(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】避難誘導装置、避難誘導システム、避難誘導方法、および避難誘導プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20240116BHJP
A62B 3/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G08B27/00 A
A62B3/00 B
(21)【出願番号】P 2019204396
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 吾朗
(72)【発明者】
【氏名】大串 智美
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167042(JP,A)
【文献】特開2013-242687(JP,A)
【文献】特開2009-134660(JP,A)
【文献】特開2003-256962(JP,A)
【文献】特開2011-008618(JP,A)
【文献】特開2011-145861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 5/00-31/00
A62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理エリア内に設定された複数の観測地点毎に設けられた複数の補助電源装置の状態を取得する状態取得部と、
前記状態取得部が取得した前記補助電源装置の状態に基づいて、災害が発生したかどうかを推定する推定部と、
前記補助電源装置に対して応答を要求し、この要求に対する応答の有無によって通行を規制する規制地点を検出する検出部と、
前記推定部によって災害が発生したと推定されたとき、前記管理エリア内の通路網を参照し、前記検出部によって検出された前記規制地点を避けた避難誘導経路を探索する探索部と、
前記観測地点毎に、避難誘導にかかる案内情報を、前記探索部において探索された前記避難誘導経路に応じて生成する案内情報生成部と、
前記観測地点毎に、その観測地点について生成された案内情報を、当該観測地点に割り当てられている出力装置に出力する出力部と、を備えた避難誘導装置。
【請求項2】
前記状態取得部は、前記補助電源装置の状態として、
設備機器に対して電源供給を行っているかどうかを取得する、請求項1に記載の避難誘導装置。
【請求項3】
前記探索部は、前記観測地点毎に、前記避難誘導経路を探索する、請求項1、または2に記載の避難誘導装置。
【請求項4】
前記探索部は、前記観測地点について、複数の前記避難誘導経路を探索すると、それぞれの前記避難誘導経路の距離に基づいて、1つの前記避難誘導経路を選択する、請求項3に記載の避難誘導装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記補助電源装置に対してバッテリの残量の通知を要求し、当該補助電源装置からの応答によって、その補助電源装置のバッテリの残量を取得し、
前記探索部は、前記観測地点について、複数の前記避難誘導経路を探索すると、それぞれの前記避難誘導経路の距離、および前記補助電源装置のバッテリの残量とに基づいて、1つの前記避難誘導経路を選択する、請求項3に記載の避難誘導装置。
【請求項6】
前記案内情報は、前記出力装置である表示装置の画面に表示させる画像情報である、請求項1~5のいずれかに記載の避難誘導装置。
【請求項7】
管理エリア内に設定された複数の観測地点毎に設けられ、対応する前記観測地点周辺に設置されている設備機器に対する商用電源の供給が停止したときに、電源供給を行う複数の補助電源装置、および、
請求項1~6のいずれかに記載の避難誘導装置、
を備える避難誘導システム。
【請求項8】
管理エリア内に設定された複数の観測地点毎に設けられ、対応する前記観測地点周辺に設置されている設備機器に対する商用電源の供給が停止したときに、電源供給を行う複数の補助電源装置、
避難誘導にかかる案内を出力する出力装置、および、
請求項1~6のいずれかに記載の避難誘導装置、
を備える避難誘導システム。
【請求項9】
管理エリア内に設定された複数の観測地点毎に設けられた複数の補助電源装置の状態を取得し、災害が発生したかどうかを推定する推定ステップと、
前記補助電源装置に対して応答を要求し、この要求に対する応答の有無によって通行を規制する規制地点を検出する検出ステップと、
前記推定ステップで災害が発生したと推定されたとき、前記管理エリア内の通路網を参照し、前記検出ステップで検出された前記規制地点を避けた避難誘導経路を探索する探索ステップと、
前記観測地点毎に、避難誘導にかかる案内情報を、前記探索ステップで探索された前記避難誘導経路に応じて生成する案内情報生成ステップと、
前記観測地点毎に、その観測地点について生成された案内情報を、当該観測地点に割り当てられている出力装置に出力する出力ステップと、を備えた避難誘導方法。
【請求項10】
管理エリア内に設定された複数の観測地点毎に設けられた複数の補助電源装置の状態を取得し、災害が発生したかどうかを推定する推定ステップと、
前記補助電源装置に対して応答を要求し、この要求に対する応答の有無によって通行を規制する規制地点を検出する検出ステップと、
前記推定ステップで災害が発生したと推定されたとき、前記管理エリア内の通路網を参照し、前記検出ステップで検出された前記規制地点を避けた避難誘導経路を探索する探索ステップと、
前記観測地点毎に、避難誘導にかかる案内情報を、前記探索ステップで探索された前記避難誘導経路に応じて生成する案内情報生成ステップと、
前記観測地点毎に、その観測地点について生成された案内情報を、当該観測地点に割り当てられている出力装置に出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる避難誘導プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不特定多数の人が集まる施設で災害が発生したときの避難誘導にかかる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害の発生時に、周辺の人に対して、災害の発生を知らせるとともに、避難誘導を行うものがあった(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された装置は、災害が発生したことを検出すると、災害の発生を列車内の乗客に知らせるメッセージや、降車後の避難方向を示す画像等を、列車内に設けられた情報表示装置において表示する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、不特定多数の人(利用者)が集まる駅、テーマパーク等の様々な施設には、利用者の移動の利便性を考慮し、複数の通路を交差させた通路網が形成されている。このような施設で災害が発生すると、災害の発生地点、災害の規模の大きさ等によって、利用者を誘導すべき避難経路が変化する。また、利用者を誘導すべき避難経路は、その利用者の位置によっても変化する。
【0005】
すなわち、施設内で、災害が発生すると、その災害の発生地点、規模等を考慮して、施設内の地点毎に、利用者を安全に避難させるための避難誘導経路を生成しなければならない。また、施設内の地点毎に、その地点に対して生成された避難誘導経路に応じた避難誘導を利用者に対して行う必要がある。
【0006】
この発明の目的は、複数の通路を交差させた通路網が形成されている施設等で災害が発生したとき、発生した災害に応じて利用者を安全に避難させる避難誘導が行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の避難誘導装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0008】
状態取得部は、管理エリア内に設定された複数の観測地点毎に設けられた複数の補助電源装置の状態を取得する。管理エリアは、例えば、不特定多数の人(利用者)が集まる駅、テーマパーク等の施設である。管理エリアには、利用者の移動の利便性を考慮し、複数の通路を交差させた通路網が形成されている。また、補助電源装置は、例えば、対応する観測地点周辺に設置されている設備機器に対する商用電源の供給が停止したときに、電源供給を行う無停電電源装置(UPS(Uninterruptible Power Supply))である。状態取得部は、例えば、補助電源装置の状態として、設備機器に対して電源供給を行っているかどうかを取得する。
【0009】
推定部が、状態取得部が取得した補助電源装置の状態に基づいて、災害が発生したかどうかを推定する。推定部は、例えば、補助電源装置が設備機器に対して電源供給を行っている観測地点を、発生した災害によって商用電源の供給が停止している地点(すなわち、発生した災害の影響を受けている地点)と判断する。すなわち、いずれかの補助電源装置が、設備機器に対して電源供給を行っていると、災害が発生したと推定する。
【0010】
検出部が、補助電源装置に対して応答を要求し、この要求に対する応答の有無によって通行を規制する規制地点を検出する。この検出部は、例えば、観測地点毎に、補助電源が破損しているかどうかを、その補助電源装置からの応答の有無によって確認し、補助電源が破損している観測地点を規制地点として検出する。
【0011】
探索部が、推定部によって災害が発生したと推定されたとき、管理エリア内の通路網を参照し、検出部によって検出された規制地点を避けた避難誘導経路(規制地点を通らない避難誘導経路)を探索する。したがって、探索部は、災害発生エリア内の観測地点毎に、利用者を安全に避難させることができる、適正な避難誘導経路を探索できる。
【0012】
案内情報生成部が、観測地点毎に、避難誘導にかかる案内情報を、探索部において探索された避難誘導経路に応じて生成する。そして、出力部が、観測地点毎に、その観測地点について生成された案内情報を、当該観測地点に割り当てられている出力装置に出力する。出力装置は、例えば、避難誘導にかかる画面を表示する表示装置であってもよいし、避難誘導にかかるメッセージを音声で出力するスピーカであってもよいし、避難誘導にかかる案内を利用者が所持しているスマートフォン、タブレット端末等に対して近距離無線通信で送信する無線送信器であってもよい。
【0013】
したがって、上記構成によれば、複数の通路を交差させた通路網が形成されている施設等で災害が発生した場合、発生した災害に応じて利用者を安全に避難させる避難誘導が行える。
【0014】
また、探索部は、観測地点について、複数の避難誘導経路を探索すると、それぞれの避難誘導経路の距離に基づいて、1つの避難誘導経路を選択する構成にしてもよい。このように構成すれば、利用者をより安全に避難させることができる。
【0015】
また、探索部は、観測地点について、複数の避難誘導経路を探索すると、それぞれの避難誘導経路の距離、および補助電源装置のバッテリの残量とに基づいて、1つの避難誘導経路を選択する構成にしてもよい。この場合、検出部が、補助電源装置に対してバッテリの残量の通知を要求し、当該補助電源装置からの応答によって、その補助電源装置のバッテリの残量を取得する構成にすればよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、複数の通路を交差させた通路網が形成されている施設等で災害が発生したとき、発生した災害に応じて利用者を安全に避難させる避難誘導が行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この例にかかる避難誘導システムが適用される施設に形成されている通路網に一部を示す概略図である。
【
図2】この例にかかる避難誘導システムを示す図である。
【
図3】避難誘導装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図4】避難誘導装置が、通路網DBに記憶する距離テーブルを示す図である。
【
図5】UPSの主要部の構成を示すブロック図である。
【
図6】表示装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図7】避難誘導装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.適用例>
図1は、この例にかかる避難誘導システムが適用される施設に形成されている通路網の一部を示す概略図である。
図2は、この例にかかる避難誘導システムを示す図である。
【0020】
この例にかかる避難誘導システムは、不特定多数の人(利用者)が集まる駅、テーマパーク等の様々な施設において、災害が発生したときに、利用者を安全に避難させる避難誘導を行うものである。この例では、施設内が、この発明で言う管理エリアに相当する。
【0021】
施設内には、
図1に示すように、複数の通路を交差させた通路網が形成されている。
図1において、ハッチングで示していない領域が通路である。また、ハッチングを示した領域は、様々な種類の構造物(例えば、壁、柱、エレベータ)が設けられ、利用者が通行することができない領域である。通路網には、災害発生時に、利用者に対して避難する方向等を案内する地点P1~P19が予め設定されている。
図1に示す例では、通路網に設定されている地点P1~P19は、19であるが、この地点の総数は19に限らず、いくつであってもよい。地点P1~P19が、この発明で言う観測地点に相当する。
【0022】
各地点P1~P19には、無停電電源装置3(以下、UPS3(UninterruptiblePower Supply)と言う。)、および表示装置5が割り当てられている。UPS3、および表示装置5は、割り当てられている地点P1~P19の周辺に設置されている。UPS3は、同じ地点P1~P19に割り当てられている表示装置5だけでなく、割り当てられている地点P1~P19周辺に設置されている照明灯等への電力供給を行う。また、UPS3は、商用電源が供給されさているとき、その商用電源をバッテリの充電に利用する構成である。UPS3は、通常時における商用電源による電源供給出力と、停電時におけるバッテリによる電源供給出力を、公知のどのような方式で切り換えるものであってもよい。ただし、この例では、UPS3は、商用電源の状態(通電状態、または停電状態)を出力できる構成である。
【0023】
表示装置5は、通常時(災害が発生しておらず、利用者に対して避難誘導を行わないとき、)、設定されている広告等のコンテンツにかかる画面を表示器で表示する。また、表示装置5は、避難誘導装置1から、利用者に対する避難誘導にかかる画面の表示が指示されると、通常時でないと判断し、避難誘導装置1からの指示に応じた画面(避難誘導にかかる画面)を表示器で表示する。
【0024】
避難誘導装置1には、各地点P1~P19に割り当てられているUPS3、および表示装置5が接続されている(
図2参照)。避難誘導装置1は、接続されている各地点P1~P19のUPS3の状態を監視している。避難誘導装置1は、接続されているいずれかのUPS3から商用電源が停電状態であることが入力されると、管理エリア内において災害が発生したと推定する。
【0025】
避難誘導装置1は、災害が発生したと推定すると、接続されている各UPS3に対して、応答(レスポンス)を要求するリクエストを出力する。このリクエストは、UPS3が破損し停止しているかどうかを確認するためのものである。避難誘導装置1は、UPS3毎に、レスポンスの有無を確認する。避難誘導装置1は、レスポンスがなかったUPS3が災害によって破損した、と判断する。
【0026】
避難誘導装置1は、破損したと判断したUPS3が割り当てられている地点P1~P19を、今回発生したと推定した災害の避難誘導において、利用者の通行を規制する規制地点として検出する。避難誘導装置1は、地点P1~P19毎に、避難誘導経路を探索する。このとき、避難誘導装置1は、規制地点を通らない避難誘導経路を探索する。言い換えれば、避難誘導装置1は、規制地点を、通路が存在しない地点P1~P19とみなして、避難誘導経路を探索する。
【0027】
なお、避難誘導装置1は、規制地点として検出した地点P1~P19については、避難誘導経路を探索しない構成にしてもよい。このように構成すれば、避難誘導経路の探索にかかる処理負荷を抑えることができる。
【0028】
避難誘導装置1は、地点P1~P19毎に、その地点P1~P19について探索した避難誘導経路が複数ある場合、探索した複数の避難誘導経路の中で、距離が最短である避難誘導経路を選択し、当該地点P1~P19の避難誘導経路にする。
【0029】
避難誘導装置1は、各地点P1~P19に設置されている表示装置5に対して、その地点P1~P19について探索した避難誘導経路に応じた画面を表示させる画像情報を送信する。したがって、地点P1~P19毎に、その地点P1~P19に設置されている表示装置5は、避難誘導装置1が当該地点P1~P19について探索した避難誘導経路に応じた画面を表示器において表示する。
【0030】
したがって、この例にかかる避難誘導システムは、複数の通路を交差させた通路網が形成されている施設等で災害が発生したとき、発生した災害に応じて利用者を安全に避難させる避難誘導が行える。
【0031】
<2.構成例>
図3は、この例にかかる避難誘導装置の主要部の構成を示すブロック図である。避難誘導装置1は、制御ユニット11と、UPS接続部12と、表示装置接続部13と、通路網データベース14(通路網DB14)を備えている。避難誘導装置1は、施設内に設けられた管理事務所等に設置されていてもよいし、施設から離れた管理センタに設置されていてもよい。
【0032】
制御ユニット11は、避難誘導装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、状態取得部21、推定部22、検出部23、探索部24、および案内情報生成部25を有している。制御ユニット11が有する、状態取得部21、推定部22、検出部23、探索部24、および案内情報生成部25の詳細については後述する。
【0033】
UPS接続部12には、各地点P1~P19に割り当てられているUPS3が接続されている。UPS3は、上記したように、割り当てられている地点P1~P19の周辺に設置されている。UPS接続部12は、接続されている各地点P1~P19のUPS3との間で入出力を行うインタフェースである。UPS接続部12には、接続されているUPS3毎に、商用電源の状態(通電状態、または停電状態)が入力される。また、UPS接続部12は、接続されているUPS3毎に、レスポンスを要求するリクエストを出力する。UPS接続部12には、接続されているUPS3毎に、リクエストに対するレスポンスが入力される。
【0034】
表示装置接続部13には、各地点P1~P19に設置されている表示装置5が接続されている。表示装置接続部13は、接続されている各地点P1~P19の表示装置5に対して、表示器に表示させる画面の画像情報を出力する。
【0035】
通路網DB14は、施設内の通路網にかかる地図情報を記憶したデータベースである。また、この地図情報は、各地点P1~P19の位置を登録したものである。さらに、通路網DB14には、隣接する2つの地点P1~P19の組み合わせ毎に、その地点P1~P19間の距離を対応付けて登録した距離テーブル14a(
図4参照)を記憶している。
【0036】
次に、制御ユニット11が有する、状態取得部21、推定部22、検出部23、探索部24、および案内情報生成部25について説明する。
【0037】
状態取得部21は、地点P1~P19に設置されているUPS3毎に、UPS接続部12に入力された商用電源の状態(通電状態、または停電状態)を取得する。
【0038】
推定部22は、各地点P1~P19に設置されているUPS3における商用電源の状態に基づいて、管理エリア内で災害が発生したかどうかを推定する。この例では、推定部22は、いずれかの地点P1~P19に設置されているUPS3において商用電源が停電状態であると、管理エリア内で災害が発生したと推定する。
【0039】
なお、推定部22は、隣接する2つの地点P1~P19に設置されているUPS3において商用電源が停電状態であるときに、管理エリア内で災害が発生したと推定するように構成してもよいし、3つ以上の地点P1~P19に設置されているUPS3において商用電源が停電状態であるときに、管理エリア内で災害が発生したと推定するように構成してもよいし、他の手法で、管理エリア内で災害が発生したと推定するように構成してもよい。
【0040】
検出部23は、推定部22において、管理エリア内で災害が発生したと推定されると、この災害の避難誘導において、利用者の通行を規制する規制地点を検出する。検出部23は、地点P1~P19毎に、その地点P1~P19を規制地点にするかどうかを判定する。検出部23は、地点P1~P19毎に、その地点P1~P19に割り当てられているUPS3に対して、UPS接続部12からリクエストを出力する。検出部23は、出力したリクエストに対するレスポンスがUPS接続部12に入力されなかったUPS3が割り当てられている地点P1~P19を規制地点として検出する。検出部23は、出力したリクエストに対するレスポンスがUPS接続部12に入力されたUPS3が割り当てられている地点P1~P19を規制地点として検出しない。
【0041】
探索部24は、通路網DB14に記憶している地図情報(施設内の通路網にかかる地図情報)を参照し、地点P1~P19毎に、利用者を避難させる避難誘導経路を探索する。探索部24は、検出部23において規制地点として検出された地点P1~P19を通らない避難誘導経路を探索する。また、探索部24は、複数の避難誘導経路を探索した地点P1~P19については、複数の避難誘導経路の中で、距離が最短である避難誘導経路を選択し、当該地点P1~P19の避難誘導経路にする。
【0042】
例えば、検出部23が、
図1に示す通路網の地点P2を規制地点として検出した場合、地点P11に対して、
(1)地点P11→地点P14→地点P15→地点P5
(2)地点P11→地点P14→地点P17→地点P6
(3)地点P11→地点P18→地点P10→地点P1
(4)地点P11→地点P18→地点P10→地点P9
等(他にも探索される避難誘導経路はあるが、ここでは例示を省略している。)の避難誘導経路が探索部24において探索される。探索部24は、上記(3)にかかる避難誘導経路の距離が最短であれば、上記(3)にかかる避難誘導経路を選択し、これを地点P11の避難誘導経路にする。
【0043】
案内情報生成部25は、各地点P1~P19に割り当てられている表示装置5に対して、対応する地点について探索された避難誘導経路に応じた画面を表示器に表示させる画像情報を生成する。案内情報生成部25は、各地点P1~P19に割り当てられている表示装置5毎に、その表示装置5に対して生成した画像情報を表示装置接続部13から出力する。この画像情報が、この発明で言う案内情報である。
【0044】
案内情報生成部25が生成する画像情報は、例えば、利用者に対して避難する方向を示す画面を表示器に表示させるものであってもよいし、避難誘導経路を示す画面を表示器に表示させるものであってもよい。この画像情報は、利用者を安全に避難させることができる画面(利用者が避難する方向を簡単に認識できる画面)を表示させるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0045】
避難誘導装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる避難誘導プログラムを実行したときに、状態取得部21、推定部22、検出部23、探索部24、および案内情報生成部25として動作する。また、メモリは、この発明にかかる避難誘導プログラムを展開する領域や、この避難誘導プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる避難誘導方法を実行するコンピュータである。
【0046】
次に、UPS3の構成について説明する。
図5は、UPSの主要部の構成を示すブロック図である。UPS3は、制御部31と、コンバータ32と、インバータ33とバッテリ34と、切替部35と、入出力部36と、を備えている。
【0047】
制御部31は、UPS3本体各部の動作を制御する。
【0048】
コンバータ32は、接続されている商用電源(交流電源)を直流電源に変換する。
【0049】
バッテリ34は、コンバータ32よって変換された直流電源によって充電される。
【0050】
インバータ33は、バッテリ34の出力を交流電源に変換する。
【0051】
切替部35は、負荷(表示装置5、照明等)に対して供給する電源を、商用電源にするか、バッテリ34(インバータ33で変換された交流電源)にするかを切り替えるスイッチ回路である。切替部35は、商用電源の通電時、負荷(表示装置5、照明等)に対する電源供給を商用電源とし、商用電源の停電時、負荷(表示装置5、照明等)に対する電源供給をバッテリ34にする切り替えを行う。
【0052】
入出力部36は、避難誘導装置1のUPS接続部12に接続されている。入出力部36は、避難誘導装置1との間で入出力を行うインタフェースである。入出力部36は、接続されている避難誘導装置1に、商用電源の状態(通電状態、または停電状態)を出力する。また、入出力部36には、接続されている避難誘導装置1からレスポンスを要求するリクエストが入力される。また、入出力部36は、避難誘導装置1からのリクエストに対するレスポンスを出力する。
【0053】
UPS3の制御部31は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、インストールされているプログラムを実行し、後述する処理を行う。制御部31は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0054】
次に、表示装置5の構成について説明する。
図6は、表示装置の主要部の構成を示すブロック図である。表示装置5は、制御ユニット51と、表示器52、コンテンツ記憶部53と、入出力部54と、を備えている。
【0055】
制御ユニット51は、表示装置5本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット51は、表示制御部51aを有している。表示制御部51aは、表示器52において表示する画面を制御する。表示器52は、液晶の表示器であってもよいし、有機ELの表示器であってもよい。
【0056】
コンテンツ記憶部53は、表示器52において表示する広告等のコンテンツを記憶する。
【0057】
入出力部54は、避難誘導装置1の表示装置接続部13に接続されている。入出力部54には、接続されている避難誘導装置1から、避難誘導経路にかかる画面の画像情報が入力される。
【0058】
表示制御部51aは、施設内において災害が発生していなければ、コンテンツ記憶部53に記憶しているコンテンツにかかる画面を表示器52に表示させる。表示制御部51aは、施設内において災害が発生していると、避難誘導装置1から入力された画像情報に基づき、利用者を安全に避難させるための避難誘導にかかる画面を表示器52に表示させる。
【0059】
表示装置5は、表示器52が本体に一体的に構成されていなくてもよい。すなわち、表示装置5は、表示器52と本体とがケーブルで接続される構成であってもよい。
【0060】
表示装置5の制御ユニット51は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、インストールされているプログラムを実行し、後述する処理を行う。制御ユニット51は、インストールされているプログラムを実行することによって、表示制御部51aとして機能する。制御ユニット51は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0061】
<3.動作例>
以下、この避難誘導システムにかかる、避難誘導装置1、UPS3、および表示装置5の動作について説明する。
図7は、避難誘導装置の動作を示すフローチャートである。
図8は、UPSの動作を示すフローチャートである。
図9は、表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0062】
避難誘導装置1は、各地点P1~P19のUPS3の状態を取得し、施設内で災害が発生したかどうかを推定する処理を繰り返す(s1、s2)。避難誘導装置1は、施設内で災害が発生したと推定するまで、s1、およびs2にかかる処理を繰り返す。s1で取得するUPS3の状態は、商用電源が供給されている通電状態、または商用電源が供給されていない停電状態である。状態取得部21が、s1にかかる処理を行い、推定部22がs2にかかる処理を行う。
【0063】
各地点P1~P19のUPS3は、後述する避難誘導装置1からのリクエストが入出力部36に入力されたかどうかを判定する(s21)。UPS3は、避難誘導装置1からのリクエストが入力されていなければ、商用電源が供給されている通電状態であるか、商用電源が供給されていない停電状態であるかを検出する(s22)。UPS3は、s22で検出した状態が停電状態であれば、負荷(表示装置5、照明灯等)に対する電源供給をバッテリ34に切り替える(s23、s24)。負荷に対する電源供給の切り替えは、切替部35において行われる。UPS3は、s22で検出した状態を避難誘導装置1に出力し(s25)、s21に戻る。
【0064】
このように、UPS3は、商用電源が供給されている通電状態であるか、商用電源が供給されていない停電状態であるかを検出し、検出した状態を繰り返し、避難誘導装置1に出力する。したがって、避難誘導装置1は、UPS接続部12に接続されてUPS3毎に、すなわち各地点P1~P19に割り当てられているUPS3毎に、商用電源が供給されている通電状態であるか、商用電源が供給されていない停電状態であるかを取得できる。
【0065】
図7に戻って、避難誘導装置1は、各地点P1~P19のUPS3の中に、s1で取得した状態が停電状態であるUPS3があると、推定部22が施設内で災害が発生したと推定する。
【0066】
避難誘導装置1は、施設内で災害が発生したと推定すると、各地点P1~P19のUPS3に対してレスポンスを要求するリクエストを出力する(s3)。s3にかかる処理は、検出部23が行う。このリクエストは、UPS接続部12から出力される。検出部23は、s3でリクエストを出力すると、UPS3からのレスポンスがあれば、レスポンスがあったUPS3(またはこのUPS3が割り当てられている地点P1~P19)を制御ユニット11のメモリに記憶する(s4、s5)。検出部23は、s4、およびs5にかかる処理を、s3でリクエストを出力してから一定時間(数秒)経過するまで繰り返す(s6)。UPS3からのレスポンスは、UPS接続部12に入力される。
【0067】
図8に示すように、UPS3は、避難誘導装置1からのリクエストが入力されると、レスポンスを出力する(s21、s26)。
【0068】
検出部23は、s6で一定時間経過したと判定すると、s3で出力したリクエストに対するレスポンスがなかったUPS3を判断し、そのUPS3が割り当てられている地点P1~P19を、利用者の避難誘導において通行を規制する規制地点として検出する(s7)。この例では、レスポンスがなかったUPS3を、今回発生した災害によって、破損したと判断している。すなわち、レスポンスがなかったUPS3の設置場所周辺(このUPS3が割り当てられている地点P1~P19周辺)の被災規模が大きいと判断している。
【0069】
避難誘導装置1は、地点P1~P19毎に、利用者を避難させる避難誘導経路を探索する(s8)。s8にかかる処理は、探索部24が行う。
【0070】
探索部24は、通路網DB14に記憶している地図情報(施設内の通路網にかかる地図情報)を参照し、地点P1~P19毎に、利用者を避難させる避難誘導経路を探索する。探索部24は、s7で検出部23が規制地点として検出した地点P1~P19を通らない避難誘導経路を探索する。また、探索部24は、探索した避難誘導経路が複数であった地点P1~P19については、距離テーブル14aを参照し、複数の避難誘導経路の中で、距離が最短である避難誘導経路を選択し、当該地点P1~P19の避難誘導経路にする。
【0071】
避難誘導装置1は、地点P1~P19毎に、案内情報を生成する(s9)。s9にかかる処理は、案内情報生成部25が行う。案内情報は、各地点P1~P19に割り当てられている表示装置5に対して、対応する地点について探索された避難誘導経路に応じた画面を表示器52に表示させる画像情報である。案内情報生成部25が生成する画像情報は、例えば、利用者に対して避難する方向を示す画面を表示器に表示させるものであってもよいし、避難誘導経路を示す画面を表示器に表示させるものであってもよい。この画像情報は、利用者を安全に避難させることができる画面を表示器に表示させるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0072】
案内情報生成部25は、各地点P1~P19に割り当てられている表示装置5毎に、その表示装置5に対して生成した画像情報を表示装置接続部13から出力する(s10)。この画像情報が、この発明で言う案内情報である。
【0073】
避難誘導装置1は、施設内の全ての利用者が安全に避難したことが確認されるまで、s3~s10にかかる処理を繰り返す。したがって、災害発生時点からの時間経過にともなって、施設内における被害の状況が変化しても、その変化に応じて、各地点P1~P19の避難誘導経路が更新される。これにより、災害発生時点からの時間経過にともなって、施設内における被害の状況が変化しても、その変化に応じて利用者を安全に避難させることができる。
【0074】
表示装置5は、
図9に示すように、避難誘導装置1から画像情報が入力されていなければ、コンテンツ記憶部53に記憶しているコンテンツを読み出し、表示器52に表示する(s31~s33)。また、表示装置5は、避難誘導装置1から画像情報が入力されていると、その画像情報にかかる画面を表示器52に表示する(s31、s34)。
【0075】
避難誘導装置1から表示装置5に入力される画像情報は、上記したように、災害が発生した施設から利用者を安全に避難させるための避難誘導にかかる画面を表示器52に表示させるものである。また、避難誘導装置1は、施設内において災害が発生したと推定した場合に、対応する地点に割り当てられている表示装置5に対して、避難誘導経路を案内する画像情報を出力する。
【0076】
このように、表示装置5は、通常時、コンテンツ記憶部53に記憶している広告等にかかるコンテンツを表示し、災害の発生時に、利用者を安全に避難させる避難誘導にかかる画面を表示する。
【0077】
この例にかかる避難誘導システムにおいては、施設内で災害が発生したと判定すると、その災害に応じて、避難誘導装置1が利用者を避難させる避難誘導経路を地点P1~P19毎に探索する。また、地点P1~P19毎に、その地点P1~P19に設置されている表示装置5において、当該地点P1~P19に対して探索された避難誘導経路を示す画面の表示が行われる。したがって、発生した災害に応じて利用者を安全に避難させる避難誘導が行える。
【0078】
また、避難誘導装置1は、複数の避難誘導経路が探索された地点P1~P19については、距離が最短である避難誘導経路を選択する構成にしたので、利用者をより安全に避難させる避難誘導が行える。
【0079】
<4.変形例>
次に、この避難誘導システムの変形例について説明する。
【0080】
・変形例1
上記の例では、避難誘導装置1は、地点P1~P19毎に、その地点について探索した避難誘導経路が複数である場合、距離が最短である避難誘導経路を選択するとしたが、以下に示すようにしてもよい。
【0081】
この変形例にかかる避難誘導システムを構成する、避難誘導装置1、UPS3、および表示装置5は、上記の例と同様の構成である。
【0082】
また、UPS3は、
図8に示した処理を実行するが、s26で避難誘導装置1に対して出力するレスポンスに、バッテリ34の残量を含ませる点で上記の例と相違する。この変形例では、バッテリ34の残量は、バッテリ34の蓄電量をバッテリ34の容量で除した値(バッテリ34の残量=バッテリ34の蓄電量/バッテリ34の容量)である。
【0083】
また、避難誘導装置1は、
図7に示した処理を実行するが、s5、およびs8にかかる処理が上記の例と異なる。
【0084】
s5では、検出部23によって、レスポンスがあったUPS3と、このレスポンスに含まれているバッテリ残量とが対応付けられて、制御ユニット11のメモリに記憶される。
【0085】
また、s8では、上記の例と同様に、探索部24が地点P1~P19毎に、その地点P1~P19に対する避難誘導経路を探索するが、複数の避難誘導経路が探索された場合、その距離が最短である避難誘導経路を選択するのではなく、以下の処理で選択する。
【0086】
探索された避難誘導経路毎に、通過する地点P1~P19のバッテリ残量の相乗積を算出する。例えば、地点P11に対して、
(1)地点P11→地点P14→地点P15→地点P5
(2)地点P11→地点P14→地点P17→地点P6
(3)地点P11→地点P18→地点P10→地点P1
(4)地点P11→地点P18→地点P10→地点P9
等(他にも探索される避難誘導経路はあるが、ここでは例示を省略している。)の避難誘導経路を探索された場合を想定する。
【0087】
ここで、地点P11に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR11、地点P14に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR14、地点P15に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR15、地点P5に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR5、地点P17に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR17、地点P6に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR6、地点P18に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR18、地点P9に割り当てられているUPS3のバッテリ残量をR9とする。
【0088】
上記(1)の避難誘導経路に対して算出されるバッテリ残量の相乗積は、R11×R14×R15×R5であり、上記(2)の避難誘導経路に対して算出されるバッテリ残量の相乗積は、R11×R14×R17×R6であり、上記(3)の避難誘導経路に対して算出されるバッテリ残量の相乗積は、R11×R18×R10×R1であり、上記(4)の避難誘導経路に対して算出されるバッテリ残量の相乗積は、R11×R18×R10×R9である。
【0089】
探索部24は、探索した避難誘導経路毎に、その避難誘導経路について算出したバッテリ残量の相乗積を、当該避難誘導経路の距離で除した評価値を算出する。すなわち、探索部24は、避難誘導経路毎に、
評価値=(バッテリ残量の相乗積)/(避難誘導経路の距離)
を算出する。
【0090】
探索部24は、当該地点P1~P19の避難誘導経路として、評価値が最大である避難誘導経路を選択する。
【0091】
この変形例では、避難誘導経路の距離だけでなく、UPS3のバッテリ34の残量も考慮して避難誘導経路を選択するので、利用者が避難しているときに、UPS3による電源の供給不足により、通路の照明灯等が消灯するような事態が発生する可能性を抑えられる。
【0092】
また、上記の変形例1では、バッテリ残量の相乗積を用いて、避難誘導経路を選択するとしたが、バッテリ残量を、複数のレベルで区分し、各区分に係数を対応づけておいてもよい。例えば、バッテリ残量が1.0~0.8であるレベル、0.8~0.6であるレベル、0.6~0.4であるレベル、0.4~0.2であるレベル、0.2以下であるレベルの5つに区分し、それぞれの区分に係数を設定しておく。この係数は、バッテリ残量が多いほど、大きくなるように設定してもよいし、小さくなるように設定してもよい。ここでは、係数は、バッテリ残量が多いほど、大きくなるように設定しているものとして説明する。
【0093】
この場合、上記した変形例1において算出したバッテリ残量の相乗積を、係数の相乗積に置き換えればよい。すなわち、探索部24は、避難誘導経路毎に
評価値=(係数の相乗積)/(避難誘導経路の距離)
を算出し、評価値が最大である避難誘導経路を選択すればよい。
【0094】
また、係数が、バッテリ残量が多いほど、小さくなるように設定されている場合は、探索部24は、避難誘導経路毎に
評価値=1/((バッテリ残量の相乗積)×(避難誘導経路の距離))
を算出し、評価値が最大である避難誘導経路を選択すればよい。
【0095】
また、探索部24は、商用電源が停電していない地点P1~P19だけを通過する避難誘導経路を優先的に探索するようにしてもよい。この場合、商用電源が停電していない地点P1~P19だけを通過する避難誘導経路を探索できなければ、上記した処理で避難誘導経路を探索すればよい。
【0096】
また、上記の例では、利用者に対する避難誘導にかかる画面を表示装置5の表示器52に表示させるとしたが、スピーカを用いて避難誘導にかかるメッセージを音声で出力してもよいし、無線送信器を用いて避難誘導にかかる案内を利用者が所持しているスマートフォン、タブレット端末等に対して近距離無線通信で送信してもよい。
【0097】
また、上記の例では、避難誘導装置1は、各地点P1~P19における商用電源の状態(通電状態、または停電状態)をUPS3から取得するとしたが、UPS3以外の装置(商用電源の状態を検出できる構成を有する装置)から取得する構成であってもよい。
【0098】
また、地点P1~P19毎に、予め複数の避難誘導経路を設定しておいてもよい。この場合、各地点P1~P19の避難誘導経路は、通路網DB14に記憶させておけばよい。また、探索部24は、検出部23が上記s7で規制地点を検出すると、地点P1~P19毎に、設定されている複数の避難誘導経路の中から、検出された規制地点を通らない避難誘導経路を抽出する構成にすればよい。また、探索部24は、抽出した避難誘導経路が複数であった場合には、上記したいずれかの手法で、1つの避難誘導経路を選択すればよい。
【0099】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0100】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
管理エリア内に設定された複数の観測地点(P1~P19)毎に設けられた複数の補助電源装置(3)を取得する状態取得部(21)
前記状態取得部(21)が取得した前記補助電源装置(3)の状態に基づいて、災害が発生したかどうかを推定する推定部(22)と、
前記補助電源装置(3)に対して応答を要求し、この要求に対する応答の有無によって通行を規制する規制地点を検出する検出部(23)と、
前記推定部(22)によって災害が発生したと推定されたとき、前記管理エリア内の通路網を参照し、前記検出部(23)によって検出された前記規制地点を避けた避難誘導経路を探索する探索部(24)と、
前記観測地点(P1~P19)毎に、避難誘導にかかる案内情報を、前記探索部(24)において探索された前記避難誘導経路に応じて生成する案内情報生成部(25)と、
前記観測地点(P1~P19)毎に、その観測地点(P1~P19)について生成された案内情報を、当該観測地点(P1~P19)に割り当てられている出力装置(5)に出力する出力部(13)と、を備えた避難誘導装置(1)。
【符号の説明】
【0101】
1…避難誘導装置
3…無停電電源装置(UPS)
5…表示装置
11…制御ユニット
12…UPS接続部
13…表示装置接続部
14…通路網データベース(通路網DB)
14a…距離テーブル
21…状態取得部
22…推定部
23…検出部
24…探索部
25…案内情報生成部