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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20240116BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240116BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02J7/04 L
H02J7/10 L
H02J7/10 H
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019205714
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021078326
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】周 博
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135510(JP,A)
【文献】特開平9-154239(JP,A)
【文献】特開2017-108522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
H02J 7/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池(11)と、該2次電池に電気的に接続される充電器(14)と、を備えるシステムに適用され、前記2次電池の充電電流又は充電電力のいずれかである充電パラメータを前記充電器により制御する充電制御装置(15)において、
前記2次電池の充電制御期間のうち初期の期間である学習フェーズで用いられる前記充電パラメータの学習指令値(Ist,Ist1,Ist2)を、前記2次電池の温度に基づいて算出する学習指令値算出部と、
前記学習フェーズにおいて、前記充電パラメータを前記学習指令値に制御すべく前記充電器を操作する学習時操作部と、
前記2次電池の温度に基づいて、前記学習フェーズにおける前記2次電池の温度上昇率である学習昇温率(dTst,dTst1,dTst2)を算出する学習昇温率算出部と、
前記充電制御期間のうち前記学習フェーズに続く充電フェーズの開始に先立ち、該充電フェーズにおける前記2次電池の温度上昇率である充電時昇温率(dTf,dTf1,dTf2)を、前記2次電池の制限温度(Tlimit)及び前記充電フェーズの長さ(TL,TL1,TL2)に基づいて算出する充電時昇温率算出部と、
前記充電フェーズの開始タイミングから終了タイミングまでに亘る前記充電パラメータの充電指令値(I*,I1*,I2*)を、前記学習指令値、前記学習昇温率及び前記充電時昇温率に基づいて算出する充電指令値算出部と、
前記充電フェーズにおいて、前記充電パラメータを前記充電指令値に制御すべく前記充電器を操作する充電時操作部と、を備える充電制御装置。
【請求項2】
前記充電時昇温率算出部は、前記充電フェーズにおける前記2次電池の初期温度(Tini)と前記制限温度との差、及び前記充電フェーズの長さに基づいて、前記充電時昇温率を算出する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記学習昇温率算出部は、前記2次電池の温度上昇量(ΔTr,ΔTr1,ΔTr2)が規定上昇量(ΔTα)となるのに要した時間(TA,TA1,TA2)と、前記規定上昇量とに基づいて、前記学習昇温率を算出する請求項1又は2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記2次電池の温度、電圧及び充電電流のうち少なくとも1つに基づいて、前記学習時操作部による充電器の操作と、前記学習昇温率算出部による前記学習昇温率の算出とを禁止するか否かを決定する禁止判定部を備える請求項1~3のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記充電フェーズにおいて、前記充電時昇温率に基づいて前記2次電池の温度を都度推定する温度推定部と、
前記2次電池の温度を取得する温度取得部と、
前記充電フェーズにおいて、取得された前記2次電池の温度が前記温度推定部により推定された温度よりも第1閾値以上高い場合、算出された前記充電指令値を減少補正し、取得された前記2次電池の温度が前記温度推定部により推定された温度よりも第2閾値以上低い場合、算出された前記充電指令値を増加補正する補正部と、を備える請求項1~4のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記充電制御期間のうち初期の期間に、前記学習フェーズが複数設定される請求項1~5のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記学習指令値算出部は、前記各学習フェーズで用いる前記学習指令値を互いに異なる値とする請求項6に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記学習昇温率算出部は、前記各学習フェーズにおいて前記学習昇温率を算出し、算出した前記各学習昇温率が同等であるか否かを判定し、
前記充電指令値算出部は、前記各学習昇温率が同等であると判定された場合、算出された前記各学習昇温率のいずれか1つを、前記充電時操作部で用いられる前記充電指令値の算出に用いる請求項6又は7に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記学習昇温率算出部は、前記各学習フェーズにおいて前記学習昇温率を算出し、算出した前記各学習昇温率が同等であるか否かを判定し、
前記充電指令値算出部は、前記各学習昇温率が同等でないと判定された場合、算出された前記各学習昇温率のうち最小の学習昇温率を、前記充電時操作部で用いられる前記充電指令値の算出に用いる請求項6~8のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項10】
前記学習昇温率算出部は、前記各学習フェーズにおいて前記学習昇温率を算出し、算出した前記各学習昇温率が同等であるか否かを判定し、
前記各学習昇温率が同等であると判定された場合、前記2次電池の次回の充電制御期間において設定する前記学習フェーズを1つにする請求項6~9のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次電池の充電制御を行う充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制御装置としては、特許文献1に見られるように、2次電池の温度がその制限温度を超えないように、2次電池の充電電流をその指令電流に制御するものが知られている。詳しくは、この制御装置は、制限温度、2次電池の内部抵抗及び2次電池の充電期間等に基づいて、指令電流を算出する。これにより、充電制御中に2次電池が過熱状態となることの回避を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-108522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2次電池には経時劣化が生じる。経時劣化が生じると、2次電池が充電される場合における2次電池の温度変化特性が変わり得る。また、2次電池の充電毎に、2次電池の雰囲気温度が変わり得る。このため、2次電池の温度が制限温度を超えないような2次電池の充電電流又は充電電力の指令値を適正に算出する上では、2次電池の経時劣化や雰囲気温度の影響を加味することが要求される。
【0005】
本発明は、2次電池の温度が制限温度を超えないような2次電池の充電電流又は充電電力の指令値の算出精度を高めることができる充電制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、2次電池と、該2次電池に電気的に接続される充電器と、を備えるシステムに適用され、前記2次電池の充電電流又は充電電力のいずれかである充電パラメータを前記充電器により制御する充電制御装置において、
前記2次電池の充電制御期間のうち初期の期間である学習フェーズで用いられる前記充電パラメータの学習指令値を、前記2次電池の温度に基づいて算出する学習指令値算出部と、
前記学習フェーズにおいて、前記充電パラメータを前記学習指令値に制御すべく前記充電器を操作する学習時操作部と、
前記2次電池の温度に基づいて、前記学習フェーズにおける前記2次電池の温度上昇率である学習昇温率を算出する学習昇温率算出部と、
前記充電制御期間のうち前記学習フェーズに続く充電フェーズの開始に先立ち、該充電フェーズにおける前記2次電池の温度上昇率である充電時昇温率を、前記2次電池の制限温度及び前記充電フェーズの長さに基づいて算出する充電時昇温率算出部と、
前記充電フェーズの開始タイミングから終了タイミングまでに亘る前記充電パラメータの充電指令値を、前記学習指令値、前記学習昇温率及び前記充電時昇温率に基づいて算出する充電指令値算出部と、
前記充電フェーズにおいて、前記充電パラメータを前記充電指令値に制御すべく前記充電器を操作する充電時操作部と、を備える。
【0007】
本発明では、2次電池の充電制御期間の初期に設定される学習フェーズにおいて、充電パラメータが学習指令値に制御されている場合の2次電池の温度上昇率である学習昇温率が算出される。学習指令値及び学習昇温率により、2次電池の現状の劣化状態及び雰囲気温度を反映した適正な2次電池の温度変化特性を定量化できる。
【0008】
本発明では、学習フェーズに続く充電フェーズにおける2次電池の温度上昇率である充電時昇温率が、2次電池の制限温度及び充電フェーズの長さに基づいて算出される。そして、充電時昇温率に加え、学習指令値及び学習昇温率が充電指令値の算出に用いられる。学習指令値及び学習昇温率は、同一の充電制御期間に設定された学習フェーズで算出されているため、2次電池の現状の劣化状態及び雰囲気温度を反映した適正な温度変化特性を定量化した値である。したがって、充電時昇温率に加え、学習指令値及び学習昇温率が用いられることにより、2次電池の現状の劣化状態及び雰囲気温度を反映した適正な充電指令値を算出できる。その結果、充電フェーズにおいて2次電池の温度が制限温度を超えないような充電指令値の算出精度を高めることができる。
【0009】
また、本発明では、充電フェーズの開始に先立ち、充電フェーズの開始タイミングから終了タイミングまでの期間に亘る充電指令値が算出され、充電フェーズにおいて、算出された充電指令値が基本的には用いられる。このため、2次電池の充電が開始されてから終了するまでの期間が充電制御期間から大きくずれることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る車載充電システムの全体構成図。
図2】制御部及びその周辺構成としてのセンサ等を示す図。
図3】充電制御処理の手順を示すフローチャート。
図4】補正処理の手順を示すフローチャート。
図5】温度偏差と補正量との関係を示す図。
図6】充電制御処理の一例を示すタイムチャート。
図7】第2実施形態に係る充電制御処理の手順を示すフローチャート。
図8】充電制御処理の手順を示すフローチャート。
図9】充電制御処理の一例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る充電制御装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る充電制御装置は、車両に搭載されている。
【0012】
図1に示すように、車両10は、2次電池11と、回転電機12とを備えている。2次電池11は、例えばリチウムイオン蓄電池又はニッケル水素蓄電池であり、本実施形態では組電池を想定している。回転電機12は、2次電池11から給電されて駆動されることにより、車両10の走行動力源となる。
【0013】
車両10は、電池監視装置13と、充電器14と、制御部15とを備えている。電池監視装置13は、2次電池11を構成する各電池セルの端子電圧等を検出する機能と、各電池セルのSOC等を算出する機能とを有している。充電器14は、車両10の外部に設けられる給電設備から供給される電力を2次電池11に充電するための機器である。
【0014】
車両10は、図2に示すように、温度センサ20と、電圧センサ21と、電流センサ22とを備えている。温度センサ20は、2次電池11の温度を検出し、電圧センサ21は、2次電池11の端子電圧を検出し、電流センサ22は、2次電池11に流れる電流を検出する。各センサ20~22の検出値や、電池監視装置13で算出された2次電池11のSOC等の情報は、制御部15に入力される。
【0015】
制御部15は、入力された検出値及び情報に基づいて、充電器14から2次電池11への充電制御処理を行う。なお、制御部15が提供する機能は、例えば、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって提供することができる。
【0016】
続いて、制御部15により実行される2次電池11の充電制御処理について説明する。本実施形態では、2次電池11の充電制御期間が、学習フェーズ、定電流充電フェーズ(「充電フェーズ」に相当)及び定電圧充電フェーズで構成されている。
【0017】
図3に、2次電池11の充電制御処理の手順を示す。
【0018】
ステップS10では、2次電池11の充電許可があるか否かを判定する。充電許可があると判定した場合には、2次電池11の充電が開始され、2次電池11に充電電流が流れ始める。
【0019】
続くステップS11では、学習処理が禁止されているか否かを判定する。本実施形態では、以下に説明する第1~第3条件の少なくとも1つが成立していると判定した場合、学習処理が禁止されていると判定する。
【0020】
第1条件は、電流センサ22により検出された2次電池11の充電電流(以下、充電電流検出値Ichr)が所定電流Ij以下であるとの条件である。この条件は、現在の充電モードが急速充電モードではなく普通充電モードであることを判定するためのものである。つまり、本実施形態では、充電モードが普通充電モードの場合、学習処理の実行を禁止する。
【0021】
第2条件は、電圧センサ21により検出された2次電池11の端子電圧(以下、電圧検出値Vbr)が所定電圧Vj以上であるとの条件である。この条件は、充電制御期間において学習フェーズを確保できるか否かを判定するためのものである。つまり、本実施形態では、電圧検出値Vbrがその目標電圧Vtgtに到達すると、定電圧充電フェーズが開始されるため、電圧検出値Vbrがある程度高いと、学習フェーズとして十分な期間を確保できない。なお、所定電圧Vjは、例えば、目標電圧Vtgtと同じ値又は目標電圧Vtgtよりもやや低い値に設定されていればよい。
【0022】
第3条件は、温度センサ20により検出された2次電池11の温度(以下、温度検出値Tbr)が所定温度Tj以上であるとの条件である。この条件は、充電制御処理中に2次電池11が過熱状態になるおそれがあるか否かを判定するためのものである。なお、ステップS11の処理が「禁止判定部」に相当する。
【0023】
ステップS11において学習処理が禁止されていないと判定した場合には、ステップS12に進み、学習処理の開始条件が成立しているか否かを判定する。本実施形態では、充電電流検出値Ichrの変動量が所定変動量以下であると判定した場合、充電電流が安定していると判定し、学習処理の開始条件が成立していると判定する。
【0024】
ステップS12において開始条件が成立していると判定した場合には、ステップS13に進み、学習フェーズを開始する。ステップS13では、温度検出値Tbr及び2次電池11のSOCを取得し、取得した温度検出値Tbr及びSOCに基づいて、学習フェーズにおける2次電池11の充電電流の指令値である指令学習電流Ist(「学習指令値」に相当)を算出する。指令学習電流Istは、例えば、0℃近傍の基準温度から温度検出値Tbrが低温側,高温側に離れるほど小さい値に算出されればよい。また、指令学習電流Istは、例えば、SOCが高いほど、大きい値に算出されればよい。
【0025】
なお、指令学習電流Istは、例えば、温度検出値Tbr及びSOCと関係付けられて指令学習電流Istが規定されたマップ情報に基づいて算出されればよい。このマップ情報は、制御部15が備えるメモリ15aに記憶されている。メモリ15aは、ROM以外の非遷移的実体的記録媒体(例えば、ROM以外の不揮発性メモリ)である。
【0026】
そして、ステップS13では、算出した指令学習電流Istを目標電流Itgtに設定し、充電器14の操作により、充電電流検出値Ichr(「充電パラメータ」に相当)を目標電流Itgtにフィードバック制御する処理を開始する。これにより、指令学習電流Istで2次電池11の充電が開始される。なお、本実施形態において、ステップS13の処理が「学習指令値算出部」及び「学習時操作部」に相当する。
【0027】
ステップS14では、温度検出値Tbrに基づいて、ステップS13の処理により2次電池11が指令学習電流Istで充電され始めてからの温度上昇量ΔTrが規定上昇量ΔTα(例えば0.5℃)になったか否かを判定する。
【0028】
ステップS14において肯定した場合には、ステップS15に進み、ステップS13の処理により2次電池11が指令学習電流Istで充電され始めてから、ステップS14で肯定判定するまでの期間である学習期間TAを算出する。そして、算出した学習期間TAで規定上昇量ΔTαを除算することにより、学習昇温率dTstを算出する。ステップS15の処理が「学習昇温率算出部」に相当する。
【0029】
ステップS16では、2次電池11の制限温度Tlimitと、現在のタイミングで取得した温度検出値Tbrである初期温度Tiniと、規定期間TLとに基づいて、下式(eq1)を用いて充電時昇温率dTfを算出する。
【0030】
【数1】
本実施形態において、規定期間TLは、定電流充電フェーズの長さの想定値に設定されている。ここで、定電流充電フェーズの長さは、充電開始前の2次電池11のSOC等により変化し得るため、定電流充電フェーズの実際の長さは上記想定値からずれ得る。また、制限温度Tlimitは、例えば、2次電池11の劣化の防止を回避可能な2次電池11の許容上限温度に設定されている。
【0031】
そして、ステップS16では、算出した充電時昇温率dTf、ステップS15で算出した学習昇温率dTst、及びステップS13で算出した指令学習電流Istに基づいて、下式(eq2)を用いて指令充電電流I*(「充電指令値」に相当)を算出する。
【0032】
【数2】
上式(eq2)は、学習フェーズにおける2次電池11の発熱量,温度上昇率と、定電流充電フェーズにおける2次電池11の発熱量,温度上昇率の関係を示す下式(eq3)において、「R1=R2」との条件を課して導かれたものである。R1は、学習フェーズにおける2次電池11の内部抵抗を示し、R2は、定電流充電フェーズにおける2次電池11の内部抵抗を示す。
【0033】
【数3】
短時間の充電過程では、2次電池11の雰囲気温度及び内部抵抗の変化が無視できるため、上式(eq3)を上式(eq2)のように近似表現できる。なお、ステップS16の処理が「充電時昇温率算出部」及び「充電指令値算出部」に相当する。
【0034】
そして、ステップS17では、算出した指令充電電流I*を目標電流Itgtに設定し、充電器14の操作により、充電電流検出値Ichrを目標電流Itgtにフィードバック制御する処理を開始する。これにより、定電流充電フェーズが開始され、指令充電電流I*で2次電池11の充電が開始される。なお、本実施形態において、ステップS17の処理が「充電時操作部」に相当する。
【0035】
本実施形態では、定電流充電フェーズが開始されてから規定期間TLが経過するまでの目標電流Itgtとして、基本的にはステップS16算出された指令充電電流I*が用いられる。これは、本実施形態では、2次電池11を冷却するためのファン及び冷却水路等の冷却装置が車両10に備えられていないためである。つまり、この場合、2次電池11の充電中において、2次電池11の温度が一旦高くなってしまうと、その温度をすぐには低下させることができず、2次電池11の温度が制限温度Tlimitを超えてしまうおそれがある。特に、停車中に充電が行われる場合、車両10の走行に伴う2次電池11の空冷効果も期待できず、2次電池11の温度が制限温度Tlimitを超えるおそれが大きくなる。したがって、定電流充電フェーズの開始に先立ち、2次電池11の温度が制限温度Tlimitを超えないような指令充電電流I*を決めてしまい、定電流充電フェーズでは、基本的にはその指令充電電流I*が目標電流Itgtとされる。
【0036】
続くステップS18では補正処理を行う。図4に補正処理の手順を示す。
【0037】
ステップS30では、上記初期温度Tini、充電時昇温率dTf及びステップS17の処理により指令充電電流I*で2次電池11の充電が開始されてからの経過時間に基づいて、2次電池11の温度推定値Testを算出する。具体的には、充電時昇温率dTfと経過時間との乗算値に初期温度Tiniを加算することにより、温度推定値Testを算出する。ステップS30の処理が「温度推定部」に相当する。
【0038】
ステップS31では、取得した現在の温度検出値Tbrから温度推定値Testを減算することにより、温度偏差Terrを算出する。
【0039】
ステップS32では、温度偏差Terrが閾値Tth(>0)以上であるか否かを判定する。なお、ステップS32の閾値Tthが「第1閾値」に相当する。
【0040】
ステップS32において肯定判定した場合には、ステップS33に進み、指令値補正量ΔIchgを負の値に設定する。詳しくは、図5に示すように、正の温度偏差Terrの絶対値が大きいほど、負の指令値補正量ΔIchgの絶対値を大きく設定する。
【0041】
ステップS33の処理の完了後、ステップS34に進み、ステップS16で算出した指令充電電流I*にステップS33で設定した指令値補正量ΔIchgを加算することにより、補正後の指令充電電流I*を算出する。これにより、ステップS16で算出した指令充電電流I*の減少補正が実施される。そして、以降、この補正された指令充電電流I*が目標電流Itgtとして用いられる。
【0042】
ステップS32において温度偏差Terrが閾値Tthよりも小さいと判定した場合には、ステップS35に進み、温度偏差Terrが「-Tth」以下であるか否かを判定する。なお、ステップS35の「-Tth」が「第2閾値」に相当する。
【0043】
ステップS35において肯定判定した場合には、ステップS36に進み、指令値補正量ΔIchgを正の値に設定する。詳しくは、図5に示すように、負の温度偏差Terrの絶対値が大きいほど、正の指令値補正量ΔIchgの絶対値を大きく設定する。
【0044】
ステップS36の処理の完了後、ステップS34に進み、ステップS16で算出した指令充電電流I*にステップS36で設定した指令値補正量ΔIchgを加算することにより、補正後の指令充電電流I*を算出する。これにより、ステップS16で算出した指令充電電流I*の増加補正が実施される。そして、以降、この補正された指令充電電流I*が目標電流Itgtとして用いられる。なお、ステップS32~S36の処理が「補正部」に相当する。
【0045】
ステップS35において温度偏差Terrが「-Tth」よりも大きいと判定した場合には、ステップS37に進み、指令値補正量ΔIchgを0に設定する(図5参照)。ステップS37の処理の完了後、ステップS34に進む場合、ステップS16で算出した指令充電電流I*の補正は実施されない。
【0046】
上述した補正処理は、学習フェーズと定電流充電フェーズとで2次電池11のSOCや温度が変化し、SOCや温度に依存する2次電池11の内部抵抗が変化することに鑑みた処理である。
【0047】
先の図3の説明に戻り、ステップS18の処理の完了後、ステップS19に進み、定電流充電フェーズが終了したか否かを判定する。詳しくは、電圧検出値Vbrが目標電圧Vtgtに到達したと判定した場合、定電流充電フェーズが終了したと判定する。ステップS19において否定判定した場合には、ステップS18に移行する。一方、ステップS19において肯定判定した場合、本実施形態では、定電圧充電フェーズを移行する。定電圧充電フェーズでは、充電器14から2次電池11への印加電圧を目標電圧Vtgtにフィードバック制御することにより2次電池11を充電する。
【0048】
なお、ステップS12において否定判定した場合には、学習フェーズを設定せず、定電流充電フェーズに移行する。詳しくは、ステップS20では、学習フェーズを設定しない場合の指令充電電流I*を算出する。そして、ステップS21では、算出した指令充電電流I*を目標電流Itgtに設定し、充電器14の操作により、充電電流検出値Ichrを目標電流Itgtにフィードバック制御する処理を開始する。そして、ステップS22では、ステップS18と同様に補正処理を実施し、ステップS23では、ステップS19と同様に定電流充電フェーズが終了したか否かを判定する。
【0049】
図6に、充電制御処理の一例を示す。図6(a)は目標電流Itgtの推移を示し、図6(b)は電圧検出値Vbrの推移を示し、図6(c)は温度検出値Tbr及び温度推定値Testの推移を示す。
【0050】
時刻t1において学習フェーズが開始され、指令学習電流Istが目標電流Itgtに設定される。その後、ステップS15の処理により学習昇温率dTstが算出され、ステップS16の処理により充電時昇温率dTf及び指令充電電流I*が算出される。
【0051】
時刻t2において、定電流充電フェーズが開始され、指令充電電流I*が目標電流Itgtに設定される。
【0052】
その後、時刻t3において、温度偏差Terrが温度推定値Testよりも閾値Tth以上高いと判定される。このため、指令充電電流I*の減少補正が実施される。この際、補正前後において、指令充電電流I*の急変を回避すべく、指令充電電流I*の徐変が実施されることが望ましい。なお、その後時刻t4において、電圧検出値Vbrが目標電圧Vtgtに到達するため、定電圧充電フェーズが開始される。
【0053】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0054】
学習フェーズにおいて、充電電流検出値Ichrが指令学習電流Istにフィードバック制御されている場合の2次電池11の温度上昇率である学習昇温率dTstが算出される。指令学習電流Ist及び学習昇温率dTstにより、2次電池11の現状の劣化状態及び雰囲気温度を反映した適正な2次電池11の温度変化特性を定量化できる。
【0055】
その後、学習フェーズに続く定電流充電フェーズにおける2次電池11の温度上昇率である充電時昇温率dTfが、2次電池11の制限温度Tlimitと初期温度Tiniとの差、及び規定期間TLに基づいて算出される。そして、充電時昇温率dTfに加え、指令学習電流Ist及び学習昇温率dTstが指令充電電流I*の算出に用いられる。指令学習電流Ist及び学習昇温率dTstは、同一の充電制御期間に設定された学習フェーズで算出されているため、2次電池11の現状の劣化状態及び雰囲気温度を反映した適正な温度変化特性を定量化した値である。したがって、充電時昇温率dTfに加え、指令学習電流Ist及び学習昇温率dTstが用いられることにより、2次電池11の現状の劣化状態及び雰囲気温度を反映した適正な指令充電電流I*を算出できる。その結果、定電流充電フェーズにおいて2次電池11の温度が制限温度Tlimitを超えないような適正な指令充電電流I*を算出できる。
【0056】
また、定電流充電フェーズの開始に先立ち、定電流充電フェーズの開始タイミングから終了タイミングまでの期間に亘る指令充電電流I*が算出され、定電流充電フェーズに亘って、算出された指令充電電流I*が基本的には用いられる。このため、2次電池11の充電が開始されてから終了するまでの期間が充電制御期間から大きくずれることを回避できる。
【0057】
温度上昇量ΔTrが規定上昇量ΔTαとなるのに要した学習期間TAで規定上昇量ΔTαを除算することにより、学習昇温率dTstが算出される。この算出方法によれば、2次電池11の温度が上昇しにくい状況であったとしても、2次電池11の温度をある程度上昇させてから学習昇温率dTstが算出されることとなる。これにより、学習昇温率dTstの算出精度を高めることができ、ひいては指令充電電流I*の算出精度を高めることができる。一方、2次電池11の温度が上昇しやすい状況であれば、上昇しにくい状況よりも、ステップS41で待機する時間が短縮されるため、学習フェーズの終了タイミングが早くなる。
【0058】
ステップS11において学習処理が禁止されていると判定された場合、学習フェーズではなく、定電流充電フェーズに移行される。これにより、指令学習電流Ist及び学習昇温率dTstの算出精度が低下する状況において、学習処理が実施されることを回避できる。
【0059】
定電流充電フェーズが開始された後、温度検出値Tbrと温度推定値Testとの差である温度偏差Terrが閾値Tth以上高い場合、指令充電電流I*が減少補正される。一方、温度偏差Terrが「-Tth」以上低い場合、指令充電電流I*が増加補正される。これにより、定電流充電フェーズの開始に先立って定められる指令充電電流I*が適正な値からずれたとしても、2次電池11の温度が制限温度Tlimitを超えないようにすることができる。
【0060】
<第1実施形態の変形例>
図4のステップS32で用いられる閾値(>0)の絶対値と、ステップS35で用いられる閾値(<0)の絶対値とが異なる値に設定されていてもよい。
【0061】
図3のステップS11において、第1~第3条件のうち、いずれか1つ又は2つが学習処理を禁止するか否かを判定する条件として用いられてもよい。
【0062】
図3のステップS14の処理を、ステップS13の処理により2次電池11が指令学習電流Istで充電され始めてから所定期間経過するまでの温度検出値Tbrの上昇量を算出する処理としてもよい。この場合、ステップS15において、温度検出値Tbrの上昇量を所定期間で除算することにより、学習昇温率dTstを算出すればよい。
【0063】
図3のステップS13において、指令学習電流Istの算出に電圧検出値Vbrが用いられてもよい。また、指令学習電流Istの算出にSOCが用いられなくてもよい。
【0064】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、充電制御期間の初期に学習フェーズが複数(2つ)設定される。この設定は、指令学習電流と学習昇温率との間に正の相関(具体的には比例関係)があることに鑑み、指令充電電流の算出精度をより高めるためのものである。
【0065】
図7図8に、本実施形態に係る充電制御処理の手順を示す。なお、図7図8において、先の図3に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
【0066】
ステップS12において肯定判定した場合には、ステップS40に進む。ステップS40では、温度検出値Tbr及びSOCを取得し、取得した温度検出値Tbr及びSOCに基づいて、第1学習フェーズにおける第1指令学習電流Ist1を算出する。そして、算出した第1指令学習電流Ist1を目標電流Itgtに設定し、充電器14の操作により、充電電流検出値Ichrを目標電流Itgtにフィードバック制御する処理を開始する。これにより、第1指令学習電流Ist1で2次電池11の充電が開始される。
【0067】
ステップS41では、温度検出値Tbrに基づいて、ステップS40の処理により2次電池11が第1指令学習電流Ist1で充電され始めてからの温度上昇量ΔTr1が規定上昇量ΔTαになったか否かを判定する。
【0068】
ステップS41において肯定した場合には、ステップS42に進み、ステップS40の処理により2次電池11が第1指令学習電流Ist1で充電され始めてから、ステップS41で肯定判定するまでの期間である第1学習期間TA1を算出する。そして、算出した第1学習期間TA1で規定上昇量ΔTαを除算することにより、第1学習昇温率dTst1を算出する。
【0069】
ステップS42では、2次電池11の制限温度Tlimitと、現在のタイミングで取得した温度検出値Tbrである第1初期温度Tini1と、第1規定期間TL1とに基づいて、下式(eq4)を用いて第1充電時昇温率dTf1を算出する。第1規定期間TL1は、例えば、第2学習フェーズ及び定電流充電フェーズそれぞれの長さの想定値を足し合わせた値に設定されている。
【0070】
【数4】
続くステップS43では、温度検出値Tbr及びSOCを取得し、取得した温度検出値Tbr及びSOCに基づいて、第2学習フェーズにおける第2指令学習電流Ist2を算出する。本実施形態では、第2指令学習電流Ist2が第1指令学習電流Ist1よりも大きい値にされている。そして、算出した第2指令学習電流Ist2を目標電流Itgtに設定し、充電器14の操作により、充電電流検出値Ichrを目標電流Itgtにフィードバック制御する処理を開始する。これにより、第2指令学習電流Ist2で2次電池11の充電が開始される。
【0071】
ステップS44では、温度検出値Tbrに基づいて、ステップS43の処理により2次電池11が第2指令学習電流Ist2で充電され始めてからの温度上昇量ΔTr2が規定上昇量ΔTαになったか否かを判定する。
【0072】
ステップS44において肯定した場合には、ステップS45に進み、ステップS43の処理により2次電池11が第2指令学習電流Ist2で充電され始めてから、ステップS44で肯定判定するまでの期間である第2学習期間TA2を算出する。そして、算出した第2学習期間TA2で規定上昇量ΔTαを除算することにより、第2学習昇温率dTst2を算出する。
【0073】
ステップS45では、2次電池11の制限温度Tlimitと、現在のタイミングで取得した温度検出値Tbrである第2初期温度Tini2と、第2規定期間TL2とに基づいて、下式(eq5)を用いて第2充電時昇温率dTf2を算出する。本実施形態において、第2規定期間TL2は、定電流充電フェーズの長さの想定値に設定され、第1規定期間TL1よりも短い。
【0074】
【数5】
続くステップS46では、ステップS42で算出した第1充電時昇温率dTf1及び第1学習昇温率dTst1と、ステップS40で算出した第1指令学習電流Ist1とに基づいて、下式(eq6)を用いて第1指令充電電流I1*を算出する。
【0075】
【数6】
また、ステップS45で算出した第2充電時昇温率dTf2及び第2学習昇温率dTst2と、ステップS43で算出した第2指令学習電流Ist2とに基づいて、下式(eq7)を用いて第2指令充電電流I2*を算出する。
【0076】
【数7】
続くステップS47では、算出した第1指令充電電流I1*と第2指令充電電流I2*とが同等であるか否かを判定する。具体的には、第1指令充電電流I1*と第2指令充電電流I2*との差の絶対値が規定値以下であると判定した場合、同等であると判定する。この規定値は、0付近の微小な値に設定されている。
【0077】
ステップS47において同等であると判定した場合には、ステップS48に進み、各指令充電電流I1*,I2*の任意の1つを指令充電電流I*として選択する。各指令充電電流I1*,I2*のいずれを目標電流Itgtとして採用してもよいのは、各指令充電電流I1*,I2*のいずれも信頼性が高いと考えられるためである。つまり、指令学習電流と学習昇温率との間には比例関係があるため、第1指令学習電流Ist1及び第1学習昇温率dTst1に基づいて算出された第1指令充電電流I1*と、第2指令学習電流Ist2及び第2学習昇温率dTst2に基づいて算出された第2指令充電電流I2*とは、基本的には同じ値になる。
【0078】
また、ステップS48では、2次電池11の次回の充電制御期間において設定する学習フェーズを1つにする。これにより、次回の充電制御においては、第1実施形態の図3に示した処理を行う。その結果、次回の充電制御において、2次電池11の充電効率を高めることができ、2次電池11の充電が開始されてから完了するまでの期間を短縮できる。
【0079】
一方、ステップS47において同等でないと判定した場合には、ステップS49に進み、各指令充電電流I1*,I2*のうち小さい方を指令充電電流I*として選択する。つまり、第1,第2学習昇温率dTst1,dTst2のうち小さい方が、ステップS50で用いられる指令充電電流の算出に用いられる。ステップS49の処理によれば、定電流充電フェーズにおける指令充電電流として安全側の指令充電電流を用いることができ、2次電池11の温度が制限温度Tlimitを超える事態の発生を抑制できる。
【0080】
また、ステップS49では、2次電池11の次回の充電制御期間において設定する学習フェーズを2つに維持する。これにより、次回の充電制御においても、図7図8に示した処理を行う。
【0081】
続くステップS50では、ステップS48又はS49で算出した指令充電電流I*を目標電流Itgtに設定し、充電器14の操作により、充電電流検出値Ichrを目標電流Itgtにフィードバック制御する処理を開始する。これにより、定電流充電フェーズが開始され、指令充電電流I*で2次電池11の充電が開始される。
【0082】
図9に、充電制御処理の一例を示す。図9(a)は目標電流Itgtの推移を示し、図9(b)は温度検出値Tbr及び温度推定値Testの推移を示す。
【0083】
時刻t1において第1学習フェーズが開始され、第1指令学習電流Ist1が目標電流Itgtに設定される。その後、ステップS42の処理により第1学習昇温率dTst1及び第1充電時昇温率dTf1が算出される。
【0084】
時刻taにおいて第2学習フェーズが開始され、第2指令学習電流Ist2が目標電流Itgtに設定される。その後、ステップS45の処理により第2学習昇温率dTst2及び第2充電時昇温率dTf2が算出される。そして、ステップS46~S50の処理により、指令充電電流I*が算出され、時刻t2において定電流充電フェーズが開始される。なお、その後の時刻t3において、第1実施形態の図6と同様に補正が実施され、時刻t4において定電圧充電フェーズが開始される。
【0085】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0086】
・第2実施形態において、第1指令学習電流Ist1が第2指令学習電流Ist2よりも小さい値であってもよい。また、第1指令学習電流Ist1と第2指令学習電流Ist2とが同じ値であってもよい。
【0087】
・第2実施形態において、学習フェーズが3つ以上設定されていてもよい。
【0088】
・第1実施形態の図3のステップS13において、温度検出値Tbr及びSOCに基づいて、学習フェーズにおける2次電池11の充電電力の指令値である指令学習電力Pst(「学習指令値」に相当)を算出してもよい。指令学習電力Pstは、例えば、0℃近傍の基準温度から温度検出値Tbrが低温側,高温側に離れるほど小さい値に算出されればよい。また、指令学習電力Pstは、例えば、SOCが高いほど、大きい値に算出されればよい。
【0089】
そして、算出した指令学習電力Pstを目標電力Ptgtに設定し、充電器14の操作により、充電電力Pchr(「充電パラメータ」に相当)を目標電力Ptgtにフィードバック制御する処理を開始する。ここで、充電電力Pchrは、例えば、充電電流検出値Ichr及び電圧検出値Vbrの乗算値として算出されればよい。
【0090】
その後、ステップS16では、算出した充電時昇温率dTf、ステップS15で算出した学習昇温率dTst、及びステップS13で算出した指令学習電力Pstに基づいて、下式(eq8)を用いて指令充電電力P*(「充電指令値」に相当)を算出する。なお、下式(eq8)を導く際に、学習フェーズにおける2次電池11の端子電圧の変化を無視するとの近似を行っている。
【0091】
【数8】
そして、ステップS17では、算出した指令充電電力P*を目標電力Ptgtに設定し、充電器14の操作により、充電電力Pchrを目標電力Ptgtにフィードバック制御する処理を開始する。これにより、定電力充電フェーズ(「充電フェーズ」に相当)が開始され、定電力充電フェーズは、ステップS19で肯定判定されるまで継続される。
【0092】
なお、ステップS18における指令値補正量は、電流ではなく電力の補正量となる。
【0093】
・2次電池11付近に設けられ、2次電池11の温度と相関のある部材を温度検出対象とする第2温度センサがシステムに備えられていてもよい。この場合、第2温度センサの検出値に基づいて、充電制御で用いる2次電池11の温度が算出されればよい。
【0094】
・車両に搭載されていないシステムに本発明が適用されてもよい。
【0095】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
11…2次電池、14…充電器、15…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9