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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】楽曲生成方法および楽曲生成システム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G10H1/00 102Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019216228
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086060
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】井芹 大智
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-017578(JP,A)
【文献】特開2015-079130(JP,A)
【文献】特開2002-091445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲に関する条件をそれぞれが表す複数の楽曲パラメータを含むパラメータセットに応じて楽曲を生成する楽曲生成方法であって、
第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する
コンピュータにより実現される楽曲生成方法。
【請求項2】
前記楽曲生成方法は、さらに、
生成しようとする楽曲に関する前記第1パラメータセットを取得し、
前記判定においては、前記取得された第1パラメータセットと、過去に楽曲の生成に利用した前記第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する
請求項1の楽曲生成方法。
【請求項3】
前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似しないと判定された場合には、当該第1パラメータセットに応じて楽曲を生成し、
前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似すると判定された場合には、当該第1パラメータセットを利用した楽曲を生成しない
請求項1または請求項2の楽曲生成方法。
【請求項4】
前記判定においては、
前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとの間において楽曲パラメータ毎の類似度に応じた評価値を算定し、
前記評価値が閾値に対して非類似側にある場合には、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似しないと判定し、
前記評価値が前記閾値に対して類似側にある場合には、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似すると判定する
請求項1から請求項3の何れかの楽曲生成方法。
【請求項5】
前記評価値の算定においては、前記評価値に対する前記各楽曲パラメータの類似度に関する重みを当該楽曲パラメータ毎に設定する
請求項4の楽曲生成方法。
【請求項6】
前記第1パラメータセットの取得においては利用者が楽曲について指定した条件を表す入力パラメータに応じて当該第1パラメータセットを生成する
請求項1から請求項5の何れかの楽曲生成方法。
【請求項7】
前記第1パラメータセットの取得においては、前記入力パラメータと、ランダムに設定される要素とに応じて当該第1パラメータセットが生成される
請求項6の楽曲生成方法。
【請求項8】
楽曲に関する条件をそれぞれが表す複数の楽曲パラメータを含むパラメータセットに応じて楽曲を生成する楽曲生成部と、
第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する判定部と
を具備する楽曲生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、楽曲を生成するための楽曲生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば楽曲を生成するための各種の技術が従来から提案されている。特許文献1には、利用者が入力したパラメータに応じて楽曲を生成する作曲支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-17578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば利用者が入力するパラメータが類似していると、作曲支援システムにより生成された楽曲が類似する。したがって、独自の楽曲を生成したいという要望に応えられない場合がある。生成された楽曲を過去に生成された楽曲と比較することも考えられる。具体的には、周波数特性および音量等の音響特徴量を比較する構成が想定される。しかし、楽曲の音響特徴量同士の比較には過大な処理負荷または記憶容量が必要であるという問題がある。以上の事情を考慮して、作曲すべき楽曲が独自の楽曲であるか否かを簡便に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る楽曲生成方法は、楽曲に関する条件をそれぞれが表す複数の楽曲パラメータを含むパラメータセットに応じて楽曲を生成する楽曲生成方法であって、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する。
【0006】
また、本開示のひとつの態様に係る楽曲生成システムは、楽曲に関する条件をそれぞれが表す複数の楽曲パラメータを含むパラメータセットに応じて楽曲を生成する楽曲生成部と、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する判定部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る楽曲生成システムの構成を例示するブロック図である。
図2】制御装置の機能を表すブロック図である。
図3】操作画像の模式図である。
図4】入力データの模式図である。
図5】パラメータセットの模式図である。
図6】制御装置が実行する処理のフローチャートである。
図7】第2実施形態におけるコンテンツ生成システムの構成を例示するブロック図である。
図8】第2実施形態における制御装置の機能を表すブロック図である。
図9】変形例において制御装置が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A:第1実施形態
図1は、本開示の第1実施形態に係る楽曲生成システム100の構成を例示するブロック図である。楽曲生成システム100は、利用者Uからの指示に応じて楽曲を生成するコンピュータシステムである。利用者Uにより指定された楽曲に関する複数の条件に応じて楽曲が生成される。楽曲生成システム100は、例えば携帯電話機もしくはスマートフォン等の可搬型の情報端末、またはパーソナルコンピュータ等の可搬型または据置型の情報端末である。具体的には、楽曲生成システム100は、制御装置11と記憶装置12と表示装置13と操作装置14と放音装置15とを具備する。
【0009】
図1の記憶装置12は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成された単数または複数のメモリである。記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムと制御装置11が使用する各種のデータとを記憶する。なお、記憶装置12は、複数種の記録媒体の組合せにより構成されてもよい。また、記憶装置12は、楽曲生成システム100に対して着脱可能な可搬型の記録媒体、または楽曲生成システム100が通信網を介して通信可能な外部記録媒体(例えばオンラインストレージ)としてもよい。
【0010】
制御装置11は、例えば楽曲生成システム100の各要素を制御する単数または複数のプロセッサである。例えば、制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより構成される。
【0011】
図2は、制御装置11の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムに従って複数のタスクを実行することで、楽曲を生成するための複数の機能(データ生成部111,変換部112,判定部113,楽曲生成部114,音源部115および制御部116)を実現する。なお、複数の装置の集合(すなわちシステム)で制御装置11の機能を実現してもよいし、制御装置11の機能の一部または全部を専用の電子回路で実現してもよい。
【0012】
放音装置15は、音源部115による制御のもとで、楽曲生成システム100により生成された楽曲を放音する。例えばスピーカまたはヘッドホンが放音装置15として利用される。操作装置14は、利用者Uからの指示を受付ける入力機器である。操作装置14は、例えば、利用者Uが操作可能な複数の操作子、または、表示装置13の表示面に対する接触を検知するタッチパネルである。具体的には、操作装置14は、楽曲の条件に関する複数のパラメータ(以下「入力パラメータ」という)P1を指定するための操作を利用者Uから受付ける。
【0013】
表示装置13(例えば液晶表示パネル)は、制御部116による制御のもとで各種の画像を表示する。例えば、表示装置13は、利用者Uが複数の入力パラメータP1を指定するための画面(以下「操作画像」という)Gを表示する。図3は、操作画像Gの模式図である。利用者Uは、所望する楽曲に関する複数の入力パラメータP1の各々を指定する。各入力パラメータP1は、例えば楽曲を生成するための専門的な知識がない利用者Uにとっても理解可能な内容である。図3には、「楽曲のイメージ」「楽曲が利用されるシチュエーション」「楽曲のテンポ」および「楽曲の長さ」について指定される各条件を表す入力パラメータP1が例示されている。
【0014】
利用者Uは、例えば入力パラメータP1毎に事前に用意された複数の候補の何れかを選択する。「イメージ」に関する入力パラメータP1の候補としては、例えば、「軽やか」「静か」「上品な」「おしゃれ」「重厚」または「華麗」等が例示される。「シチュエーション」に関する入力パラメータP1の候補としては、例えば、「夜景」「南国」または「大自然」等が例示される。「テンポ」に関する入力パラメータP1の候補としては、例えば、「ゆっくり」「ふつう」または「はやい」等が例示される。「長さ」に関する入力パラメータP1の候補としては、例えば、「60秒」「90秒」または「180秒」等が例示される。
【0015】
なお、入力パラメータP1に指定できる内容は、以上の例示に限定されない。例えば、「楽曲の雰囲気」に関する入力パラメータP1の候補として、「明るい」「暗い」または「おだやか」等が例示される。「楽曲の音高」に関する入力パラメータP1の候補として、「高い」「ふつう」または「低い」等が例示される。「年代」に関する入力パラメータP1の候補として、「1980年代」「1990年代」または「2000年代」等が例示される。また、例えば、利用者Uの属性(例えば年代または性別)、楽曲が使用される業界、または、楽曲を演奏する楽器の種類等について指定する条件を入力パラメータP1が表してもよい。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の入力パラメータP1は、音楽の専門用語ではなく、日常的に使用される言葉により指定可能である。なお、利用者Uが任意の文字を入力することで各入力パラメータP1を指定可能な構成も採用される。例えば、利用者Uは、任意の単語または文章を入力することで入力パラメータP1を指定する。
【0016】
データ生成部111は、利用者Uが指定した複数の入力パラメータP1を含む入力データDaを生成する。図4は、入力データDaの模式図である。具体的には、入力データDaは、相異なる条件に関する複数の入力パラメータP1を含む。
【0017】
変換部112(取得部の一例)は、楽曲の生成に利用されるパラメータセットSを生成する。具体的には、変換部112は、データ生成部111が生成した入力データDaをパラメータセットSに変換する。図5は、パラメータセットSの模式図である。パラメータセットSは、楽曲の条件に関する複数のパラメータ(以下「楽曲パラメータ」という)P2を含む。楽曲パラメータP2は、各入力パラメータP1よりも専門的な条件を表す。言い換えれば、楽曲パラメータP2が表す条件は、楽曲を生成する専門的な知識がない利用者Uにとっては理解が難しい条件である。図5では、「ジャンル」「楽曲構成」「コード進行」「BPM(Beats Per Minute)」および「小節数」について指定される各条件を表す楽曲パラメータP2が例示されている。楽曲パラメータP2は、入力パラメータP1よりも楽曲に関する具体的な条件を表す。なお、楽曲パラメータP2は、以上の例示に限定されない。例えば、音高、楽曲を演奏する楽器の種類、伴奏パターン、または、拍子(4/4,6/8,…)等の条件を楽曲パラメータP2が表してもよい。
【0018】
ここで、楽曲を生成する場合、過去に生成された楽曲とは音楽的な印象が類似しない独自の楽曲を生成したいという要望がある。パラメータセットSが類似すると生成される楽曲の音楽的な印象も類似するという傾向がある。典型的には、共通のパラメータセットSを利用して生成された楽曲は同じになる。そこで、楽曲生成システム100は、変換部112が取得したパラメータセットSと、当該楽曲生成システム100が過去に楽曲の生成に利用したパラメータセットSとが類似するか否かを判定する。したがって、利用者Uの指示に応じて生成しようとする楽曲の音楽的な印象が、過去に生成された楽曲の音楽的な印象に類似するか否かを判定することが可能である。
【0019】
以下の説明では、変換部112が生成したパラメータセットSを「第1パラメータセット」と表記し、過去に楽曲の生成に利用されたパラメータセットSを「第2パラメータセット」と表記する。図1の記憶装置12には、複数の第2パラメータセットが記憶される。各第2パラメータセットは、相異なる楽曲に対応する。なお、第2パラメータセットは、楽曲が生成されるたびに記憶装置12に記憶される。
【0020】
第1実施形態では、上述した通り、入力データDaに応じて第1パラメータセットが生成される。各入力パラメータP1は、利用者Uにより直接的に指定される。それに対して、各楽曲パラメータP2は、入力パラメータP1を加味して変換部112により設定される。
【0021】
例えば、「ジャンル」「楽曲構成」および「コード進行」に関する楽曲パラメータP2は、「イメージ」および「シチュエーション」に関する入力パラメータP1に応じて生成される。「BPM」および「小節数」に関する楽曲パラメータP2は、「テンポ」および「長さ」に関する各入力パラメータP1に応じて生成される。
【0022】
第1パラメータセットの取得には、例えば記憶装置12に記憶された参照テーブルが利用される。参照テーブルは、複数の入力パラメータP1の組合せ(すなわち入力データDa)毎に第1パラメータセットが登録されたデータテーブルである。具体的には、変換部112は、参照テーブルの複数の入力データDaのうちデータ生成部111が生成した入力データDaに対応するパラメータセットSを、第1パラメータセットとして生成する。第1実施形態の参照テーブルにおいては、1個の入力データDaに対して複数の第1パラメータセットが登録される。変換部112は、データ生成部111が生成した入力データDaに対応する複数の第1パラメータセットの何れかを、例えば乱数等のランダムな要素を利用して確率的に選択する。すなわち、入力データDaとランダムな要素とに応じて第1パラメータセットが生成される。
【0023】
したがって、第1実施形態においては、利用者Uが指定した各入力パラメータP1が共通する場合でも相異なる多様な第1パラメータセットが生成され得る。なお、入力データDaに応じて第1パラメータセットを生成する方法は任意である。例えば、入力データDaと第1パラメータセットとの間の関係を学習した統計的モデル(例えばニューラルネットワーク)に入力データDaを入力することで第1パラメータセットを生成する構成も採用される。
【0024】
判定部113は、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する。具体的には、判定部113は、算定部133と処理部135とを具備する。算定部133は、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間の類似の度合いを表す指標(以下「評価値」という)を算定する。評価値は、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間において楽曲パラメータP2毎の類似度に応じて算定される。第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間で、同種の楽曲パラメータP2同士の類似度が算定される。例えば、複数の楽曲パラメータP2にわたる類似度の合計値が評価値として算定される。したがって、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが全体として類似するほど評価値が大きくなる。
【0025】
処理部135は、算定部133が算定した評価値に応じて、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する。具体的には、処理部135は、評価値が閾値を下回る場合には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定し、評価値が閾値を上回る場合には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似すると判定する。評価値が閾値を上回る場合には、第1パラメータセットに応じて生成されるべき楽曲が、過去に生成された楽曲(すなわち第2パラメータセットに応じた楽曲)に類似する。他方、評価値が閾値を下回る場合には、生成しようとする楽曲が過去に生成された楽曲に類似しない。閾値は、実験的または統計的に設定される。
【0026】
なお、判定部113は、記憶装置12に記憶された複数の第2パラメータセットの各々について、当該第2パラメータセットと第1パラメータセットとが類似するか否かを判定する。複数の第2パラメータセットのうちの何れにも第1パラメータセットが類似しないと判定された場合、第1パラメータセットに応じて生成されるべき楽曲は、過去に楽曲生成システム100が生成した複数の楽曲の何れにも類似しない。
【0027】
楽曲生成部114は、第1パラメータセットに応じた楽曲を生成する。すなわち、利用者Uが指定した複数の入力パラメータP1に応じた楽曲が生成される。具体的には、第1パラメータセットに応じた楽曲を表す楽曲データMが生成される。楽曲データMは、例えば、強度を指定して発音を指示する指示データと、各指示データが指示する発音の時点を指定する時間データとが時系列に配列されたMIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式のファイル(SMF:Standard MIDI File)である。
【0028】
具体的には、楽曲生成部114は、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定された場合には、当該第1パラメータセットに応じて楽曲を生成する。第1実施形態では、複数の第2パラメータセットの何れにも第1パラメータセットが類似しないと判定された場合に、当該第1パラメータセットに応じた楽曲が生成される。したがって、楽曲生成システム100が過去に生成した楽曲の何れにも類似しない独自の楽曲が生成される。
【0029】
楽曲の生成には公知の自動作曲が任意に採用される。例えば、事前に生成された楽曲の部分を表す複数の素材データが記憶装置12に記憶される。楽曲生成部114は、第1パラメータセットにより指定される1以上の楽曲パラメータP2に合致する素材データを時系列に配列する。例えば「ジャンル」「楽曲構成」または「コード進行」について指定された楽曲パラメータP2に応じて素材データが選択される。そして、楽曲生成部114は、第1パラメータセットにより指定される1以上の楽曲パラメータP2に応じて各素材データを調整することで楽曲データMを生成する。例えば、「BPM」および「小節数」について指定された楽曲パラメータP2に応じて各素材データが調整される。第1実施形態においては、第1パラメータセットが共通するならば楽曲生成部114が生成する楽曲も共通する構成を想定する。なお、例えば、第1パラメータセットと楽曲データMとの間の関係を学習した統計的モデル(例えばニューラルネットワーク)に第1パラメータセットを入力することで楽曲データMを生成する構成も採用される。
【0030】
制御部116は、楽曲生成部114が生成した楽曲を利用者Uに提示する。具体的には、制御部116は、楽曲が生成されたことを表示装置13に表示させる。利用者Uは、表示装置13の表示を視認したうえで、操作装置14を操作することで楽曲の再生を指示する。制御部116は、利用者Uからの指示に応じて楽曲を再生する。具体的には、制御部116は、楽曲データMの時間データで指定されたタイミングで指示データを音源部115に供給する。音源部115は、楽曲データMの各指示データに応じて音響信号を生成し、当該音響信号を放音装置15に供給する。楽曲生成部114による楽曲の生成に利用された第1パラメータセットは、判定部113による以降の判定に利用される第2パラメータセットとして記憶装置12に記憶される。
【0031】
一方で、楽曲生成部114は、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似すると判定された場合には、当該第1パラメータセットを利用した楽曲を生成しない。第1実施形態では、第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットが1つでもある場合には、楽曲は生成されない。第1パラメータセットに応じた楽曲が生成されない場合には、制御部116は、入力パラメータP1の変更を利用者Uに提案する。具体的には、制御部116は、過去に生成された楽曲に類似するため楽曲を生成できないこと、および、入力パラメータP1の変更を利用者Uに対して促す情報を表示装置13に表示させる。
【0032】
図6は、制御装置11が実行する処理のフローチャートである。図6の処理は、例えば利用者Uからの指示を契機として開始される。データ生成部111は、複数の入力パラメータP1の指定を利用者Uから受付ける(Sa1)。データ生成部111は、利用者Uが指定した複数の入力パラメータP1を含む入力データDaを生成する(Sa2)。変換部112は、入力データDaを、複数の楽曲パラメータP2を含む第1パラメータセットに変換する(Sa3)。算定部133は、記憶装置12に記憶された複数の第2パラメータセットを順次に選択する(Sa4)。そして、算定部133は、選択した第2パラメータセットと第1パラメータセットとの間における評価値を算定する(Sa5)。
【0033】
複数の第2パラメータセットのうち評価値が算定されていない第2パラメータセットがある場合(Sa6:NO)、処理はステップSa4に移行する。すなわち、全ての第2パラメータセットについて評価値が算定されるまで、ステップSa4からステップSa6の処理が繰り返し実行される。
【0034】
全ての第2パラメータセットについて評価値が算定された場合(Sa6:YES)、処理部135は、第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットがあるか否かを判定する(Sa7)。複数の第2パラメータセットの各々について、第1パラメータセットに類似するか否かが判定される。具体的には、処理部135は、評価値が閾値を下回る場合には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定し、評価値が閾値を上回る場合には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似すると判定する。
【0035】
第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットが1つもない場合(Sa7:NO)、楽曲生成部114は、当該第1パラメータセットに応じて楽曲を生成する(Sa8)。すなわち、第1パラメータセットに応じた楽曲データMが生成される。制御部116は、今回の楽曲の生成に利用された第1パラメータセットを、判定部113が以降の判定に利用する第2パラメータセットとして記憶装置12に記憶する(Sa9)。
【0036】
制御部116は、楽曲生成部114により生成された楽曲を利用者Uに提示する(Sa10)。例えば、制御部116は、楽曲が生成されたことを表示するとともに、利用者Uからの指示に応じて楽曲を再生する。具体的には、制御部116は、楽曲データMの各指示データを音源部115に供給することで音響信号を生成する。すなわち、最終的には、第1パラメータセットに応じた楽曲の音響信号が利用者Uに提供される。
【0037】
他方、複数の第2パラメータセットのうちの何れかが第1パラメータセットに類似する場合(Sa7:YES)、制御部116は、過去に類似の楽曲が生成されていることを、例えば表示装置13の画像の表示により利用者Uに報知する(Sa11)。第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットが存在する場合(Sa7:YES,Sa11)、処理はステップSa3に移行する。ステップSa3において、変換部112は、図6の処理において生成済の第1パラメータセットとは異なる第1パラメータセットを生成する。制御部116は、更新後の第1パラメータセットについて、各第2パラメータセットとの間の評価値の算定(Sa4-Sa6)と、当該第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットがあるか否かの判定(Sa7)とを実行する。すなわち、過去に生成した楽曲に類似しない楽曲が生成されるまでステップSa3からステップSa7の処理が繰り返し実行される。図6の処理により、過去に生成した複数の楽曲の何れにも類似しない楽曲が生成される。
【0038】
以上の説明から理解される通り、生成しようとする楽曲に関する第1パラメータセットと、過去に楽曲の生成に利用された第2パラメータセットとが類似しているか否かが判定される。したがって、楽曲の音響特徴量同士の比較が不要であるから、生成しようとする楽曲と過去に生成された楽曲とが類似しているか否か(すなわち生成しようとする楽曲が独自の楽曲であるか否か)を簡便に判定することができる。すなわち、独自の楽曲を生成することができる。
【0039】
第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しない場合にのみ楽曲が生成されるから、過去に生成された楽曲に非類似の楽曲を生成することができる。また、第1実施形態では、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間において楽曲パラメータP2毎の類似度に応じた評価値に応じて、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かが算定される。したがって、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが全体として類似するか否かを判定することができる。
【0040】
楽曲パラメータP2の理解に楽曲に関する専門的な知識を必要とする場合、例えば楽曲パラメータP2を利用者Uが直接的に指定する構成では、専門的な知識がない利用者Uにとっては楽曲パラメータP2の指定が困難である。それに対して、第1実施形態では、利用者Uにより指定された入力パラメータP1から楽曲パラメータP2が生成されるから、利用者Uが楽曲パラメータP2を直接的に指定しなくてもよい。したがって、楽曲に関する専門的な知識がない利用者Uでも所望の楽曲を簡便に生成できる。
【0041】
B:第2実施形態
第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各構成において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0042】
図7は、第2実施形態に係るコンテンツ生成システム300の構成を例示するブロック図である。コンテンツ生成システム300は、利用者Uが端末装置200により撮像した動画Vに、楽曲生成システム100で生成した楽曲を付加したコンテンツCを生成する。例えば製品紹介、会社紹介、または、観光PR等に利用される動画Vが利用者Uの端末装置200により撮像される。具体的には、コンテンツ生成システム300は、楽曲生成システム100と端末装置200とを具備する。楽曲生成システム100と端末装置200とは、移動体通信網またはインターネット等の通信網30を介して通信可能である。
【0043】
端末装置200は、撮像装置により動画Vを撮像する。利用者Uは、動画Vを編集するための情報(以下「編集情報」という)を端末装置200から入力する。編集情報は、例えば、動画Vに表示するテロップの文字列や位置を指定する情報、または、動画Vの加工を指定する情報等である。また、利用者Uは、動画Vに付加する楽曲に関する入力パラメータP1を指定する。入力パラメータP1の内容および入力パラメータP1を指定する方法は、第1実施形態と同様である。
【0044】
端末装置200は、複数の入力パラメータP1を含む入力データDaと、編集情報を表すデータ(以下「編集データ」という)Dbとを生成する。そして、端末装置200は、動画Vと入力データDaと編集データDbとを楽曲生成システム100に送信する。すなわち、第2実施形態では、入力データDaを生成する要素が端末装置200に搭載される。
【0045】
第2実施形態の楽曲生成システム100は、第1実施形態と同様の要素(制御装置11,記憶装置12,表示装置13,操作装置14および放音装置15)に加えて通信装置16を具備する。通信装置16は、通信網30を介して端末装置200と通信する。
【0046】
図8は、第2実施形態における楽曲生成システム100の機能的な構成を例示するブロック図である。第2実施形態の楽曲生成システム100の制御装置11は、第1実施形態と同様の変換部112と判定部113と楽曲生成部114と音源部115とに加えて、編集部117としても機能する、楽曲生成システム100は、端末装置200から送信された動画Vと入力データDaと編集データDbとに応じてコンテンツCを生成する。
【0047】
編集部117は、編集データDbに応じて動画Vを編集する。動画Vの編集には公知の画像処理技術が任意に利用される。なお、楽曲生成システム100の管理者が、動画Vの具体的な編集の内容を編集データDbに応じて楽曲生成システム100に指示してもよい。楽曲生成システム100は、編集後の動画Vに入力データDaに応じた楽曲を付加することでコンテンツCを生成する。
【0048】
変換部112は、端末装置200から送信された入力データDaに応じて第1パラメータセットを生成する。第1パラメータセットは第1実施形態と同様の方法で生成される。判定部113は、第1実施形態と同様に、複数の第2パラメータセットの各々と、第1パラメータセットとが類似するか否かを判定する。第2実施形態の記憶装置12に記憶される各第2パラメータセットは、コンテンツ生成システム300が過去に生成したコンテンツCに含まれる楽曲の生成に利用されたパラメータセットSであるとも換言できる。
【0049】
楽曲生成部114は、第1実施形態と同様に、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定された場合に、当該第1パラメータセットに応じて楽曲を生成する。音源部115は、楽曲生成部114が生成した楽曲データMに応じた音響信号を生成する。そして、編集部117は、編集後の動画Vに、音源部115が生成した音響信号を付加してコンテンツCを生成する。生成したコンテンツCは、端末装置200に送信される。
【0050】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。なお、端末装置200の利用者Uが入力パラメータP1を指定することは必須ではない。例えば、楽曲生成システム100の管理者が端末装置200から送信された動画Vに応じて入力パラメータP1を指定してもよい。
【0051】
また、動画Vが複数のシーンで構成されてもよい。以上の構成では、動画Vを構成する複数のシーン毎に入力パラメータP1が指定される。すなわち、複数のシーン毎に楽曲が付加されたコンテンツCが生成される。
【0052】
C:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0053】
(1)前述の各形態では、利用者Uが指定した複数の入力パラメータP1を含む第1パラメータセットを取得する構成を例示したが、第1パラメータセットを取得する方法は以上の例示に限定されない。例えば、利用者Uが楽曲パラメータP2を直接的に指定可能な構成も想定される。
【0054】
また、変換部112は、例えば、利用者Uが撮像した画像(静止画または動画)に応じて第1パラメータセットを取得してもよい。具体的には、利用者Uが撮像した画像を公知の画像解析技術により解析し、当該画像の特徴を表すデータ(以下「特徴データ」という)を生成する。記憶装置12には、複数の相異なる特徴データの各々にパラメータセットSが対応付けられた特徴テーブルが記憶される。そして、変換部112は、特徴テーブルに登録された複数のパラメータセットSのうち、生成した特徴データに応じたパラメータセットSを第1パラメータセットとして取得する。すなわち、第1パラメータセットの生成に利用されるデータは入力データDaに限定されない。複数の入力パラメータP1を含む入力データDa、および、その他の各種のデータ(例えば画像を表すデータ)が第1パラメータセットの生成に利用される。以上の説明から理解される通り、利用者Uが入力パラメータP1を指定することは必須ではない。また、データ生成部111は、利用者Uが撮像した画像を解析することで入力パラメータP1を設定し、当該入力パラメータP1を含む入力データDaを生成してもよい。
【0055】
(2)前述の各形態において、評価値に対する各楽曲パラメータP2の類似度の重みを当該楽曲パラメータP2毎に設定してもよい。具体的には、算定部133は、複数の楽曲パラメータP2にわたる類似度の加重和を評価値として算定する。例えば、最終的に生成される楽曲の印象に対する影響が大きい楽曲パラメータP2の重みが大きい数値に設定される。例えば、「ジャンル」「楽曲構成」および「コード進行」に関する楽曲パラメータP2は、「BPM」および「小節数」に関する楽曲パラメータP2よりも、楽曲の印象に対する影響が大きいという傾向がある。以上の構成によれば、楽曲パラメータP2の性質に応じて楽曲パラメータP2の類似度の重みを設定することができる。したがって、第1パラメータセットに対応する楽曲と第2パラメータセットに対応する楽曲との間で音楽的な印象が類似する度合いを高精度に反映した評価値を算定できる。
【0056】
また、複数の楽曲パラメータP2のうち評価値の算定に加味されない楽曲パラメータP2があってもよい。例えば、「BPM」および「小節数」に関する楽曲パラメータP2の類似度を評価値の算定に使用しなくてもよい。
【0057】
(3)前述の各形態において、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する方法は以上の例示に限定されない。例えば、判定部113は、各楽曲パラメータP2が一致するか否かに応じて、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定してもよい。例えば、同種の楽曲パラメータP2が一致しない場合、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しない(すなわち相違する)と判定される。具体的には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間において、複数の楽曲パラメータP2のうち1つでも一致しない楽曲パラメータP2がある場合には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定される。一方で、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間において、全ての楽曲パラメータP2が一致する場合には、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似する(すなわち共通する)と判定される。第1パラメータセットと第2パラメータセットとが共通する場合には、典型的には、生成される楽曲も同じである。以上の例示の通り、評価値を算定することは必須ではない。
【0058】
なお、以上の構成において、第1パラメータセットの1個の楽曲パラメータP2の全部と、第2パラメータセットの1個の楽曲パラメータP2の全部との間において一致/不一致を判定した。しかし、例えば、第1パラメータセットの1個の楽曲パラメータP2の一部と、第2パラメータセットの1個の楽曲パラメータP2の一部とについて一致/不一致を判定してもよい。また、判定部113は、複数の楽曲パラメータP2のうち特定の1以上の楽曲パラメータP2の一致/不一致を加味して、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かの判定をしてもよい。例えば、「ジャンル」「楽曲構成」および「コード進行」に関する楽曲パラメータP2の一致/不一致が、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かの判定に加味される。
【0059】
また、第1パラメータセットおよび第2パラメータセットの各々がベクトルで表現される構成においては、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの距離(例えばユークリッド距離)または相関を評価値として算定してもよい。
【0060】
(4)前述の各形態においては、利用者Uが指定した入力パラメータP1が共通する場合でも相異なる第1パラメータセットが生成される構成を例示したが、入力データDaと第1パラメータセットとを1対1に対応させてもよい。例えば、参照テーブルにおいて、1個の入力データDaに対して1個の第1パラメータセットを登録してもよい。
【0061】
(5)前述の各形態においては、第1パラメータセットが共通するならば楽曲生成部114が生成する楽曲も共通する構成を例示したが、共通の第1パラメータセットに対して相異なる複数の楽曲が生成される構成も採用される。例えば、楽曲パラメータP2を含む第1パラメータセットと、乱数等のランダムに設定される要素とに応じて、楽曲データMを生成してもよい。以上の構成によれば、楽曲パラメータP2が共通する場合でも多様な楽曲データMを生成することができる。
【0062】
(6)前述の各形態において、相異なる複数の楽曲を生成する構成も採用される。例えば、変換部112は、1個の入力データDaに対応する相異なる複数の第1パラメータセットを生成する。そして、複数の第1パラメータセットの各々について、第2パラメータセットとの類似の判断と楽曲の生成とが実行される。制御部116は、生成した複数の楽曲データMを利用者Uに提示する。利用者Uは、制御部116により提示された複数の楽曲のうちの何れかを採用する。
【0063】
(7)第2実施形態においては、端末装置200から楽曲生成システム100に入力データDaを送信したが、端末装置200において入力データDaから第1パラメータセットを生成してもよい。すなわち、第1パラメータセットが端末装置200から楽曲生成システム100に送信される。楽曲生成システム100の通信装置16は、端末装置200から第1パラメータセットを受信する。すなわち、楽曲生成システム100の通信装置16は、第1パラメータセットを取得する要素として機能する。楽曲生成システム100が端末装置200から第1パラメータセットを受信する構成においては、データ生成部111および変換部112が楽曲生成システム100から省略される。
【0064】
以上の例示から理解される通り、楽曲生成システム100において第1パラメータセットを取得する要素は、「取得部」として包括的に表現される。例えば、第1実施形態および第2実施形態の変換部112は取得部の一例である。端末装置200から楽曲生成システム100に第1パラメータセットが送信される構成では、第1パラメータセットを受信する通信装置16が取得部に相当する。また、例えば、利用者Uが楽曲パラメータP2を直接的に指定する構成では、複数の楽曲パラメータP2を表す第1パラメータセットを生成する要素が取得部に相当する。
【0065】
(8)前述の各形態においては、楽曲生成システム100が楽曲生成部114を具備する構成を例示したが、楽曲生成部114を楽曲生成システム100から省略してもよい。例えば、第2実施形態において、楽曲生成システム100の判定部113は、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する。第1パラメータセットが第2パラメータセットに類似しない場合、制御部116は、楽曲の生成が可能なことを端末装置200に通知する。そして、端末装置200は、自身が生成した第1パラメータセットに応じて楽曲データMを生成する。なお、第1パラメータセットが第2パラメータセットに類似する場合、制御部116は、楽曲の生成が不可能なことを端末装置200に通知する。そして、利用者Uは、入力パラメータP1の変更を端末装置200に指示する。
【0066】
変形例(7)および変形例(8)の例示から理解される通り、第1パラメータセットを生成する機能(データ生成部111および変換部112)と楽曲データMを生成する機能(楽曲生成部114)とは、楽曲生成システム100から省略され得る。すなわち、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する判定部113のみを楽曲生成システム100が具備する構成も想定される。
【0067】
(9)利用者Uが使用する情報端末により楽曲生成システム100が実現される第1実施形態の構成において、当該楽曲生成システム100と通信可能なサーバ装置により楽曲データMを生成してもよい。すなわち、楽曲生成部114がサーバ装置に搭載され、楽曲生成システム100からは省略される。
【0068】
(10)前述の各形態において、楽曲生成部114が第1パラメータセットに応じて生成した楽曲データMと、楽曲生成部114が過去に生成した楽曲データMとの間の類似度を算定してもよい。過去に生成された楽曲データMは、当該楽曲データMの生成に利用された第2パラメータセットに対応付けて記憶装置12に記憶される。また、楽曲生成部114が第1パラメータセットに応じて生成した楽曲データMを加工して利用者Uに提示してもよい。
【0069】
(11)前述の各形態において、楽曲の生成に利用された入力データDaをパラメータセットSとともに記憶装置12に記憶してもよい。以上の構成においては、生成すべき楽曲の入力データDaと、過去に作曲に利用された入力データDaとの間における類似度を、評価値の算定に加味してもよい。
【0070】
(12)前述の各形態において、過去に楽曲の生成に利用された入力データDaが表す複数の入力パラメータP1を利用者Uが編集し、当該編集後の入力パラメータP1を利用して入力データDaを生成してもよい。過去に楽曲の生成に利用された入力データDaは記憶装置12に記憶される。例えば、利用者Uは記憶装置12に記憶された複数の入力データDaのうち任意の入力データDaを選択する。利用者Uにより選択された入力データDaが表す複数の入力パラメータP1が操作画像Gに表示される。利用者Uは、例えば、操作画像Gに表示された複数の入力パラメータP1のうち「シチュエーション」について指定される入力パラメータP1をのみを変更する。そして、当該変更後の入力パラメータP1を含む入力データDaが生成される。
【0071】
同様に、過去に楽曲の生成に利用された第2パラメータセットが表す複数の楽曲パラメータP2を利用者Uが編集し、当該編集後の楽曲パラメータP2を利用して楽曲を生成してもよい。
【0072】
(13)前述の各形態では、図6のステップSa5-ステップSa7において、全ての第2パラメータセットについて評価値を算定した後に、第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットがあるか否かを判定したが、第2パラメータセット毎に、評価値を算定する処理および第1パラメータセットとの類似を判定する処理を順次に実行してもよい。以上の構成では、第1パラメータセットと類似する第2パラメータセットが検出された時点で、入力パラメータP1の変更を利用者Uに提示してもよい。
【0073】
(14)前述の各形態においては、第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットがある場合(Sa7:YES)に、変換部112が、生成済の第1パラメータセットとは異なる第1パラメータセットを生成した。しかし、図9に例示される通り、第1パラメータセットに類似する第2パラメータセットがある場合(Sa7:YES)に、表示装置13の画像の表示により入力パラメータP1の変更を利用者Uに提案したうえで(Sa11)、入力パラメータP1の入力を利用者Uから改めて受付けてもよい(Sa1)。変換部112は、利用者Uによる更新後の入力パラメータP1から第1パラメータセットを生成する(Sa2,Sa3)。ただし、利用者Uによる入力パラメータP1の更新を必要とせずに第1パラメータセットが変更される第1実施形態の構成によれば、利用者Uの負荷が軽減されるという利点がある。
【0074】
(15)前述の各形態において、入力パラメータP1の変更を利用者Uに提案する場合において、複数の入力パラメータP1のうち変更すべき入力パラメータP1を利用者Uに提案してもよい。例えば、「イメージ」に関する入力パラメータP1が変更されれば第1パラメータセットが第2パラメータセット(第1パラメータセットと類似すると判定された第2パラメータセット)に非類似である場合には、当該「イメージ」に関する入力パラメータP1の変更を利用者Uに対して提案してもよい。
【0075】
(16)前述の各形態においては、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するほど評価値が増加する構成を例示したが、類似の度合と評価値との関係は以上の例示に限定されない。例えば、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するほど評価値が減少するように、算定部133が評価値を算定してもよい。以上の構成において、処理部135は、評価値が閾値を下回る場合に第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似すると判定し、評価値が閾値を上回る場合に第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定する。
【0076】
以上の例示から理解される通り、判定部113は、評価値が閾値に対して非類似側にある場合に、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しないと判定し、評価値が閾値に対して類似側にある場合に、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似すると判定する。「閾値に対して類似側」とは、パラメータセットが類似するほど評価値が増加する構成においては、閾値に対して正側の範囲を意味し、パラメータセットが類似するほど評価値が減少する構成においては、閾値に対して負側の範囲を意味する。また、「閾値に対して非類似側」とは、パラメータセットが類似するほど評価値が増加する構成においては、閾値に対して負側の範囲を意味し、パラメータセットが類似するほど評価値が減少する構成においては、閾値に対して正側の範囲を意味する。
【0077】
(17)前述の各形態において、第2パラメータセットの記憶先は楽曲生成システム100の記憶装置12には限定されない。例えば、楽曲生成システム100とは別体で記憶装置(例えばクラウドストレージ)を用意し、移動体通信網またはインターネット等の通信網を介して制御装置11が当該記憶装置に対する読出および書込を実行することも可能である。楽曲生成システム100とは別体で記憶装置を用意する場合、複数の楽曲生成システム100のそれぞれが過去に楽曲の生成に利用した第2パラメータセットを当該記憶装置に記憶する構成も採用される。以上の構成では、例えば各楽曲生成システム100において、複数の楽曲生成システム100が過去に楽曲の生成に利用した第2パラメータセットと、第1パラメータセットとが類似するか否かが判定される。したがって、複数の楽曲生成システム100が過去に生成した楽曲に生成しようとする楽曲が類似するか否かを簡便に判定することができる。
【0078】
(18)前述の各形態において、楽曲生成システム100が生成する楽曲の種類は任意である。例えば、歌唱を含まない旋律のみで構成される楽曲、楽器の演奏音のみで構成される楽曲、歌唱および演奏音を含む楽曲、BGM(background music)等の各種の楽曲が楽曲生成システム100で生成される。
【0079】
(19)前述の各形態において、評価値と比較する閾値を可変値としてもよい。例えば利用者Uが操作装置14に対する操作により閾値を指定する。具体的には、利用者Uは、過去に生成された楽曲に対してどの程度相違する楽曲の生成を希望するかに応じて閾値を指定する。例えば、利用者Uは、過去に生成された楽曲と大きく相違する楽曲を生成したい場合には、相対的に閾値を大きくし、過去に生成された楽曲とあまり相違させる必要がない場合には、相対的に閾値を小さくする。
【0080】
(20)前述の各形態においては、生成しようとする楽曲に関する第1パラメータセットと、過去に楽曲の生成に利用された第2パラメータセットとを比較したが、判定部113による比較の対象は以上の例示に限定されない。例えば、利用者Uからの指示に応じた第1入力データDa1および第2入力データDa2の各々から楽曲データMを生成する場合に、第1入力データDa1に対応する第1パラメータセットと第2入力データDa2に対応する第2パラメータセットとを比較してもよい。すなわち、第2パラメータセットが過去の楽曲の生成に利用されたパラメータセットである必要は必ずしもない。
【0081】
(21)以上に例示した楽曲生成システム100の機能は、前述の通り、制御装置11を構成する単数または複数のプロセッサと記憶装置12に記憶されたプログラムとの協働により実現される。本開示に係るプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記憶装置12が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。なお、本開示は、前述の各形態に係る楽曲生成システム100の動作方法(楽曲生成方法)としても特定され得る。
【0082】
D:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0083】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る楽曲生成方法は、楽曲に関する条件をそれぞれが表す複数の楽曲パラメータを含むパラメータセットに応じて楽曲を生成する楽曲生成方法であって、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する。以上の態様においては、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しているか否かが判定されるから、楽曲の音響特徴量同士の比較が不要であるという利点がある。
【0084】
態様1の具体例(態様2)に係る楽曲生成方法は、さらに、生成しようとする楽曲に関する前記第1パラメータセットを取得し、前記判定においては、前記取得されたパラメータセットと、過去に楽曲の生成に利用した前記第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する。以上の態様においては、生成しようとする楽曲に関する第1パラメータセットと、過去に楽曲の生成に利用された第2パラメータセットとが類似しているか否かが判定される。楽曲同士の比較が不要であるから、生成しようとする楽曲と過去に生成された楽曲とが類似しているか否か(すなわち生成しようとする楽曲が独自の楽曲であるか否か)を簡便に判定することができる。
【0085】
態様1または態様2の具体例(態様3)において、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似しないと判定された場合には、当該第1パラメータセットに応じて楽曲を生成し、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似すると判定された場合には、当該第1パラメータセットを利用した楽曲を生成しない。以上の態様においては、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似しない場合にのみ楽曲が生成されるから、過去に生成された楽曲に非類似の楽曲を生成することができる。
【0086】
態様1から態様3の何れかの(態様4)において、前記判定においては、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとの間において楽曲パラメータ毎の類似度に応じた評価値を算定し、前記評価値が閾値に対して非類似側にある場合には、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似しないと判定し、前記評価値が前記閾値に対して類似側にある場合には、前記第1パラメータセットと前記第2パラメータセットとが類似すると判定する。以上の態様においては、第1パラメータセットと第2パラメータセットとの間において楽曲パラメータ毎の類似度に応じた評価値に応じて、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かが算定される。したがって、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが全体として類似するか否かを判定することができる。
【0087】
態様4の具体例(態様5)において、前記評価値の算定においては、前記評価値に対する前記各楽曲パラメータの類似度に関する重みを当該楽曲パラメータ毎に設定する。以上の態様においては、楽曲パラメータの性質に応じて楽曲パラメータの類似度の重みを設定することができる。
【0088】
態様1から態様5の何れかの具体例(態様6)において、前記第1パラメータセットの取得においては、前記利用者が楽曲について指定した条件を表す入力パラメータに応じて当該第1パラメータセットが生成される。以上の態様においては、利用者により指定された楽曲に関する条件に応じて第1パラメータセットが生成される。したがって、第1パラメータセットに含まれる楽曲パラメータが表す条件を、利用者が直接的に指定しなくてもよい。
【0089】
態様6の具体例(態様7)において、前記第1パラメータセットの取得においては、前記入力パラメータと、ランダムに設定される要素とに応じて当該第1パラメータセットが生成される。以上の態様においては、利用者により指定された楽曲の条件と、ランダムに設定される要素とに応じて当該第1パラメータセットが生成される。したがって、多様な第1パラメータセットを取得することができる。
【0090】
本開示のひとつの態様(態様8)に係る楽曲生成システムは、楽曲に関する条件をそれぞれが表す複数の楽曲パラメータを含むパラメータセットに応じて楽曲を生成する楽曲生成部と、第1パラメータセットと第2パラメータセットとが類似するか否かを判定する判定部とを具備する。
【符号の説明】
【0091】
11…制御装置、12…記憶装置、13…表示装置、14…操作装置、15…放音装置、30…通信網、100…楽曲生成システム、111…データ生成部、112…変換部、113…判定部、114…楽曲生成部、115…音源部、116…制御部、117…編集部、133…算定部、135…処理部、200…端末装置、300…コンテンツ生成システム、C…コンテンツ、Da…入力データ、Db…編集データ、G…操作画像、M…楽曲データ、P1…入力パラメータ、P2…楽曲パラメータ、PR…観光、S…パラメータセット、U…利用者、V…動画。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9