(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】オーディオ信号出力装置、オーディオシステム及びオーディオ信号出力方法
(51)【国際特許分類】
G10L 19/00 20130101AFI20240116BHJP
G10L 19/008 20130101ALI20240116BHJP
H04S 3/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G10L19/00 330B
G10L19/008 100
G10L19/00 400Z
H04S3/00 800
(21)【出願番号】P 2019221387
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 良太郎
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/164156(WO,A1)
【文献】特表2008-542818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 19/00
G10L 19/008
H04S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルのオーディオ信号を取得するオーディオ信号取得部と、
前記オーディオ信号の量子化ビット数を拡張して拡張領域を生成する量子化ビット拡張部と、
前記拡張領域を使用して、前記複数のチャンネルのうち、少なくとも1つのチャンネルのオーディオ信号が他のチャンネルのオーディオ信号と異なる基準ビット位置に配置するようにダウンミックスした出力信号を生成する、オーディオ信号処理部と、
前記出力信号を出力する出力部と、を備え
、
前記少なくとも1つのチャンネルは複数であって、
前記オーディオ信号処理部は、ダウンミックスする対象の全チャンネルのオーディオ信号のビット位置を、前記拡張領域を使用して互いに異なる位置に配置する、
オーディオ信号出力装置。
【請求項2】
前記オーディオ信号処理部は、前記複数のチャンネルのオーディオ信号を順番に配置する、
請求項1に記載のオーディオ信号出力装置。
【請求項3】
前記オーディオ信号処理部は、前記複数のチャンネルのオーディオ信号をアップサンプリングする、
請求項1に記載のオーディオ信号出力装置。
【請求項4】
前記オーディオ信号処理部は、前記オーディオ信号の基準ビット位置とは異なる位置に、前記オーディオ信号の信号処理用パラメータを付加する、
請求項1乃至
3のいずれかに記載のオーディオ信号出力装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれかに記載のオーディオ信号出力装置と、
前記オーディオ信号出力装置が出力した前記出力信号を受信する受信部と、チャンネル数に応じて、各チャンネルのオーディオ信号を抽出するオーディオ信号抽出部と、を有する受信装置と、
を備える、
オーディオシステム。
【請求項6】
前記受信装置は、受信した前記出力信号のサンプリング毎のビット位置に基づいて、前記チャンネル数を検出するチャンネル数検出部を、備える
請求項
5に記載のオーディオシステム。
【請求項7】
前記チャンネル数検出部は、所定サンプル数の前記出力信号を使用して前記チャンネル数を検出する、
請求項
6に記載のオーディオシステム。
【請求項8】
前記チャンネル数検出部は、所定のチャンネル数を想定し、想定した前記所定のチャンネル数に応じて、所定の期間を設定し、前記所定の期間において、前記想定した所定のチャンネル数であるか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記所定の期間を再設定する、
請求項
7に記載のオーディオシステム。
【請求項9】
前記オーディオ信号処理部は、前記複数のチャンネルのそれぞれの前記オーディオ信号の前記基準ビット位置を、予め決められた位置に配置し、
前記受信装置は、配置された前記基準ビット位置のデータに基づいて、前記オーディオ信号の信号処理用パラメータを抽出する、パラメータ抽出部を備える、
請求項
5乃至8のいずれかに記載のオーディオシステム。
【請求項10】
前記オーディオ信号抽出部は、前記出力信号がアップサンプリングされている場合に、前記オーディオ信号のダウンサンプリングする、
請求項
5乃至9のいずれかに記載のオーディオシステム。
【請求項11】
複数のチャンネルのオーディオ信号を取得し、
前記オーディオ信号の量子化ビット数を拡張して拡張領域を生成し、
前記拡張領域を使用して、前記複数のチャンネルのうち、少なくとも1つのチャンネルのオーディオ信号が他のチャンネルのオーディオ信号と異なる基準ビット位置に配置するようにダウンミックスした出力信号を生成し、
前記出力信号を出力
し、
前記少なくとも1つのチャンネルは複数であって、
ダウンミックスする対象の全チャンネルのオーディオ信号のビット位置を、前記拡張領域を使用して互いに異なる位置に配置する、
オーディオ信号出力方法。
【請求項12】
前記複数のチャンネルのオーディオ信号を順番に配置する、
請求項
11に記載のオーディオ信号出力方法。
【請求項13】
前記複数のチャンネルのオーディオ信号をアップサンプリングする、
請求項
11に記載のオーディオ信号出力方法。
【請求項14】
前記オーディオ信号の基準ビットとは異なる位置に、前記オーディオ信号の信号処理用パラメータを付加する、
請求項
11乃至13のいずれかに記載のオーディオ信号出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一実施形態は、オーディオ信号の信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンから受信した音楽データを信号処理し、転送先の機器に転送する信号処理装置があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の信号処理装置は、例えば、2.1ch(Lチャンネル、Rチャンネル及びLEFチャンネル)の音楽データを、転送先の機器の能力に応じた音楽データに変換し、変換したデータを転送する。例えば、特許文献1の信号処理装置は、サンプリング周波数を上げてサンプル間の空領域を確保し、確保した空領域を使用して複数のチャンネルの信号をダウンミックスして転送する。特許文献1の受信装置は、1サンプルおきに異なるチャンネル信号を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、チャンネルの識別手法について、開示されていない。特許文献1の方式では、予め先頭のサンプルのチャンネルを決めておき、先頭のサンプルから順に取得する必要がある。特許文献1の方式では、目的のチャンネルのサンプルが先頭に来るとは限らない場合に、チャンネルの識別ができない可能性がある。
【0005】
この発明の一実施形態は、確実にチャンネルを識別できる信号を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るオーディオ信号出力装置は、複数のチャンネルのオーディオ信号を取得するオーディオ信号取得部と、前記オーディオ信号の量子化ビット数を拡張して拡張領域を生成する量子化ビット拡張部と、前記拡張領域を使用して、前記複数のチャンネルのうち、少なくとも1つのチャンネルのオーディオ信号が他のチャンネルのオーディオ信号と異なる基準ビット位置に配置するようにダウンミックスした出力信号を生成する、オーディオ信号処理部と、前記出力信号を出力する出力部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、確実にチャンネルを識別できる信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】オーディオシステムの構成を示す構成図である。
【
図3】FL(Front Left)チャンネルのオーディオ信号、FR(Front Right)チャンネルのオーディオ信号、SL(Surround Left)チャンネルのオーディオ信号及び、SR(Surround Right)チャンネルのオーディオ信号の説明図である。
【
図4】FLチャンネルの量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号、FRチャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号及び、SRチャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号の説明図である。
【
図5】SLチャンネル及びSRチャンネルのオーディオ信号がシフトされた場合の、各チャンネルにおけるオーディオ信号を示す説明図である。
【
図6】FLチャンネルとSLチャンネルとをダウンミックスした信号及び、FRチャンネルとSRチャンネルとをダウンミックスした信号を示す説明図である。
【
図7】PCの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】AVレシーバの主要な構成を示すブロック図である。
【
図9】AVレシーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例1の出力信号の一例を示す説明図である。
【
図11】変形例1のAVレシーバの主要な構成を示すブロック図である。
【
図12】変形例2のLaチャンネルの出力信号及びRaチャンネルの出力信号を示す説明図である。
【
図13】変形例2のAVレシーバの主要な構成を示すブロック図である。
【
図14】変形例2のLaチャンネルの出力信号及びRaチャンネルの出力信号の別の例を示す説明図である。
【
図15】変形例3の出力信号の一例を示す説明図である。
【
図16】変形例3のAVレシーバの主要な構成を示すブロック図である。
【
図17】変形例4の出力信号の一例を示す説明図である。
【
図18】変形例5の出力信号の一例を示す説明図である。
【
図19】変形例6の出力信号の一例を示す説明図である。
【
図20】FLチャンネル及びFRチャンネルをアップサンプリングした一例を示す説明図である。
【
図21】2つのチャンネルを1つのチャンネルにダウンミックスした波形の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、オーディオシステム10の構成を示す構成図である。オーディオシステム10は、
図1に示すように、オーディオ信号を取得して信号処理をするパーソナルコンピュータ(以下の説明では、PCと称す。)1と、PC1から出力された出力信号(オーディオ信号)を再生するAVレシーバ2とを備えている。この例でいうPC1は、本発明のオーディオ信号出力装置の一例である。また、この例でいうAVレシーバ2は、本発明の受信装置の一例である。
【0010】
PC1は、FL(Front Left)チャンネル、FR(Front Right)チャンネル、SL(Surround Left)チャンネル及びSR(Surround Right)チャンネル(以下の説明では、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルをまとめて4チャンネルと称す。また、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルのそれぞれを指す場合は各チャンネルと称す。)のオーディオ信号を音源(図示せず)から取得する。そして、PC1は、取得したオーディオ信号に信号処理を施す。このとき、PC1は、取得した4チャンネルのオーディオ信号を2チャンネル(Loチャンネル及びRoチャンネル)にダウンミックスして、Loチャンネル及びRoチャンネルの出力信号をAVレシーバ2に出力する。
【0011】
なお、この例でいう音源は、スマートフォン等の携帯端末、サーバ、又は音楽プレーヤなどが含まれる。また、この例では、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルを使用して説明するが、チャンネル数及びチャンネルの種類はこれらに限定されない。また、この例では2チャンネルの出力信号を使用して説明するが、これに限定されない。
【0012】
PC1について、
図2を参照して説明する。
図2は、PC1の主要な構成を示すブロック図である。PC1は、
図2に示すように、オーディオ信号取得部11と、CPU12と、RAM13と、フラッシュメモリ14と、A/D変換部15と、インタフェース(I/F)18とを備えている。
【0013】
CPU12は、フラッシュメモリ14に記憶されている動作用のOS及びアプリケーションプログラムをRAM13に読み出し、PC1を統括的に制御する。
【0014】
また、CPU12は、量子化ビット拡張部16と、オーディオ信号処理部17と、を備えている。CPU12は、フラッシュメモリ14から量子化ビット拡張処理に関するプログラム及びオーディオ信号処理に関するプログラム等をRAM13に読出し、量子化ビット拡張部16及びオーディオ信号処理部17を構成する。
【0015】
オーディオ信号取得部11は、例えば、音源(図示せず)から4チャンネルのオーディオ信号(アナログ信号)を取得する。オーディオ信号取得部11は、取得したオーディオ信号をA/D変換部15に出力する。なお、オーディオ信号取得部11が、例えばS/PDIF(Sony Philips Digital InterFace)の規格に準じて、音源からデジタルオーディオ信号を取得した場合、A/D変換部15は不要である。
【0016】
図3は、FLチャンネルのオーディオ信号、FRチャンネルのオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号の及びSRチャンネルのオーディオ信号の説明図である。
【0017】
なお、
図3では、各チャンネルの横軸がサンプル(FL1~FL7、FR1~FR7、SL1~SL7及びSR1~SR7)(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0018】
A/D変換部15は、オーディオ信号取得部11でアナログ信号を取得した場合、A/D変換して、アナログ信号からデジタル信号に変換する。A/D変換部15は、
図3に示すように、オーディオ信号の量子化ビット数が16ビット(bit0~bit15)のデジタル信号に変換する。A/D変換部15は、デジタル信号に変換したオーディオ信号を量子化ビット拡張部16に出力する。なお、オーディオ信号取得部11がデジタルのオーディオ信号を取得した場合、A/D変換する必要がない。すなわち、A/D変換部15は、本発明において必須の構成ではない。
【0019】
図4は、FLチャンネルの量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号、FRチャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号、及びSRチャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が拡張されたオーディオ信号の説明図である。なお、
図4では、各チャンネルの横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0020】
量子化ビット拡張部16は、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号の量子化ビット数を拡張して拡張領域を生成する。
【0021】
量子化ビット拡張部16は、
図4に示すように、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号の量子化ビット数を拡張する。この例では、PC1は、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号の量子化ビット数(16ビット)の下位側に8ビットを付加して、24ビットに拡張する。
【0022】
オーディオ信号の各サンプルに拡張領域が付加された状態において、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号の各サンプルの基準ビット位置は、上位側の16ビット(bit8~bit23)のうち、最下位のビット(bit8)である。
【0023】
図5は、SLチャンネル及びSRチャンネルのオーディオ信号がシフトされた場合の、各チャンネルにおけるオーディオ信号を示す説明図である。
図5では、各チャンネルの横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0024】
オーディオ信号処理部17は、例えば、
図5に示すように、FLチャンネルのオーディオ信号を上位16ビットの範囲に格納しておく。すなわち、FLチャンネルの基準ビット位置はbit8である。この場合、オーディオ信号処理部17は、FLチャンネルのオーディオ信号の下位8ビット(拡張領域)に「0」を格納する。オーディオ信号処理部17は、SLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit0になるように、SLチャンネルのオーディオ信号を8ビット下位側にシフトする。オーディオ信号処理部17は、下位に8ビットシフトしたSLチャンネルのオーディオ信号のbit16~bit23の各bitに「0」を格納する。すなわち、オーディオ信号処理部17は、SLチャンネルのオーディオ信号が、FLチャンネルのオーディオ信号と異なる基準ビット位置になるように配置する。
【0025】
また、オーディオ信号処理部17はFRチャンネルのオーディオ信号を上位16ビットの範囲に格納しておく。すなわち、FRチャンネルの基準ビット位置は、bit8である。この場合、オーディオ信号処理部17は、FRチャンネルのオーディオ信号の下位8ビット(拡張領域)に「0」を格納する。また、オーディオ信号処理部17は、SRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit0になるように、SRチャンネルのオーディオ信号を8ビット下位側にシフトする。オーディオ信号処理部17は、下位に8ビットシフトしたSRチャンネルのオーディオ信号のbit16~bit23の各bitに「0」を格納する。すなわち、オーディオ信号処理部17は、SRチャンネルのオーディオ信号が、FRチャンネルのオーディオ信号と異なる基準ビット位置になるように配置する。
【0026】
オーディオ信号処理部17は、4チャンネルのオーディオ信号を2チャンネル(Loチャンネル及びRoチャンネル)のオーディオ信号(出力信号)にダウンミックスする。
【0027】
図6は、FLチャンネルとSLチャンネルとをダウンミックスした信号、FRチャンネルとSRチャンネルとをダウンミックスした信号を示す説明図である。なお、
図6では、Loチャンネル及びRoチャンネルの横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0028】
オーディオ信号処理部17は、
図6に示すように、FL1サンプルとFL2サンプル間に、SL1サンプルを格納する。また、オーディオ信号処理部17は、FL2サンプルとFL3サンプル間に、SL2サンプルを格納する。さらに、オーディオ信号処理部17は、FL3サンプルとFL4サンプル(図示せず)との間に、SL3サンプルを格納する。このように、FLチャンネルの各サンプルとSLチャンネルの各サンプルとが交互に配置されることで、FLチャンネルとSLチャンネルとが1つのチャンネル(Loチャンネル)としてダウンミックスされる。
【0029】
また、オーディオ信号処理部17は、FR1サンプルとFR2サンプル間に、SR1サンプルを格納する。また、オーディオ信号処理部17は、FR2サンプルとFR3サンプル間に、SR2サンプルを格納する。さらに、オーディオ信号処理部17は、FR3サンプルとFR4サンプル(図示しない)との間に、SR3サンプルを格納する。このように、FRチャンネルの各サンプルとSRチャンネルの各サンプルとが交互に配置されることで、FRチャンネルとSRチャンネルとが1つのチャンネル(Roチャンネル)としてダウンミックスされる。
【0030】
このように、オーディオ信号処理部17が2つのチャンネルのオーディオ信号の各サンプルを交互に配置することによって生成された信号は、アップサンプリングされた信号になる。すなわち、48kHzのサンプリング周波数でサンプリングされていた各チャンネルがアップサンプリングされることで、Loチャンネル及びRoチャンネルのサンプリング周波数は、48kHzのサンプリング周波数の2倍である96kHzになる。
【0031】
なお、オーディオ信号処理部17は、アップサンプリングしてから、複数のチャンネルをダウンミックスしてもよい。
【0032】
このように、PC1は、Loチャンネルにおいて、FLチャンネルのオーディオ信号のビット位置とSLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置とを異ならせることで、Loチャンネルを構成する2つのチャンネルを識別可能な状態に生成する。また、PC1は、Roチャンネルにおいて、FRチャンネルのオーディオ信号のビット位置とSRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置とを異ならせることで、Roチャンネルを構成する2つのチャンネルを識別可能な状態に生成する。
【0033】
I/F18は、2チャンネル(Loチャンネル、Roチャンネル)の出力信号をAVレシーバ2に出力する。この例でいう、I/F18は、本発明の出力部に相当する。
【0034】
PC1は、I/F18を介して、AVレシーバ2と有線又は無線で接続されている。
【0035】
I/F18は、オーディオ信号を、可逆非圧縮フォーマット又は可逆圧縮フォーマットのオーディオデータとして出力してもよい。可逆非圧縮フォーマットは、例えば、WAV(Waveform Audio Format)、LPCM(Linear Pulse Code Modulation)を含む。可逆圧縮フォーマットは、FLAC(Free Lossless Audio Codec)又はALAC(Apple Lossless Audio Codec)を含む。さらに、I/F18は、LPCMのオーディオデータをS/PDIF、又はHDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)に準じた規格で出力してもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、2チャンネルの出力信号で説明するが、出力信号のチャンネル数は、1チャンネルでも、3チャンネル以上であってもよい。
【0037】
PC1のオーディオ信号出力方法の動作について、
図7を参照して説明する。
図7は、PC1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、本発明は、
図7で示されるPC1の動作に限定されない。
【0038】
PC1は、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号を取得すると(S11:Yes)、各チャンネルのオーディオ信号の各サンプルの量子化ビット数を拡張する(S12)。PC1は、各チャンネルの基準ビット位置が異なるように、SLチャンネルのオーディオ信号とSR信号のオーディオ信号の各サンプルをシフトする(S13)。このとき、PC1は、SLチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのオーディオ信号の各サンプルの各bit16~bit23に、「0」を格納する。PC1は、4チャンネルのうちFLチャンネルのオーディオ信号の各サンプル及びSLチャンネルのオーディオ信号の各サンプルを、交互に配置してダウンミックス(アップサンプリング)する(S14)。また、FRチャンネルのオーディオ信号の各サンプル及びSRチャンネルのオーディオ信号の各サンプルを交互に配置してダウンミックス(アップサンプリング)する(S14)。PC1は、FLチャンネルとSLチャンネルとで構成されているLoチャンネル、及びFRチャンネルとSRチャンネルとで構成されているRoチャンネルの出力信号を出力する(S15)。
【0039】
このように、PC1は、Loチャンネルにおいて、FLチャンネルのオーディオ信号とSLチャンネルのオーディオ信号との基準ビット位置を異ならせることで、チャンネルが識別可能な出力信号を出力する。また、PC1は、Roチャンネルにおいて、FRチャンネルのオーディオ信号とSRチャンネルのオーディオ信号との基準ビット位置を異ならせることで、チャンネルが識別可能な出力信号を出力する。すなわち、PC1は、チャンネルを識別するための信号を別途出力しなくても、出力信号だけで受信側の機器(例えばAVレシーバ2)がチャンネルを識別できる信号を出力する。したがって、PC1は、確実にチャンネルを識別できる信号を出力することができる。
【0040】
なお、この例では、4チャンネルを2チャンネルにダウンミックスして、出力する例で、説明したが、例えば、PC1は、4チャンネルを1チャンネルにダウンミックスして、1チャンネルの出力信号を出力してもよい。また、PC1は、4つ以上のチャンネルのオーディオ信号を取得してもよい。さらに、PC1は、4つ以上のチャンネルのオーディオ信号を取得し、3つ以上のチャンネルのオーディオ信号を出力してもよい。
【0041】
また、SLチャンネル及びSRチャンネルは、両方とも8ビット下位にシフトする例で説明したが、これに限定されない。オーディオ信号処理部17は、SLチャンネルとSRチャンネルとを異なるビット数下位にシフトしてもよい。オーディオ信号処理部17は、例えば、SLチャンネルのオーディオ信号を8ビット下位にシフトし、SRチャンネルのオーディオ信号を7ビット下位にシフトしてもよい。
【0042】
また、オーディオ信号取得部11は、例えば、USBメモリ又はストリーミングサービスからオーディオ信号を取得してもよい。オーディオ信号がデジタル信号である場合、オーディオ信号取得部11は、A/D変換部15を介さずに、取得したオーディオ信号を量子化ビット拡張部16に出力する。
【0043】
また、オーディオ信号処理部17は、4チャンネルを2チャンネルにダウンミックスした後に、各チャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置が異なるように、SLチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのオーディオ信号を下位側にシフトしてもよい。
【0044】
AVレシーバ2について、
図8を参照して、説明する。
図8は、AVレシーバ2の主要な構成を示すブロック図である。
【0045】
この例では、AVレシーバ2は、受信したLoチャンネル及びRoチャンネルから4チャンネルのオーディオ信号を抽出し、4つのスピーカ(SP1、SP2、SP3、SP4)に出力する装置である。AVレシーバ2は、Loチャンネルのサンプル毎の音量差(基準ビット位置の差異)によって、元の2チャンネル(FLチャンネル及びSLチャンネル)のそれぞれのオーディオ信号を抽出する。AVレシーバ2は、上述のLoチャンネルと同様に、Roチャンネルについて、元の2チャンネル(FRチャンネル及びSRチャンネル)のそれぞれのオーディオ信号を抽出する。
【0046】
AVレシーバ2は、
図8に示すように、受信部21と、CPU22と、RAM23と、フラッシュメモリ24と、D/A変換部25と、AMP26と、信号処理部27とを備える。
【0047】
受信部21は、PC1から出力された、Loチャンネル及びRoチャンネルの出力信号を受信する。
【0048】
CPU22は、フラッシュメモリ24に記憶されている動作用プログラム(ファームウェア)をRAM23に読み出し、AVレシーバ2を統括的に制御する。
【0049】
信号処理部27は、オーディオ信号抽出部271を備えている。
【0050】
オーディオ信号抽出部271は、例えば、DSP(Digital Signal Processing)で構成されている。オーディオ信号抽出部271は、サンプル毎のオーディオ信号の音量差に応じて、各チャンネルのオーディオ信号を検出する。
【0051】
オーディオ信号抽出部271は、受信した出力信号から、最初に基準ビット位置がbit8であるチャンネルを先頭のチャンネルとして識別する。より詳細には、オーディオ信号抽出部271は、Loチャンネルのオーディオ信号において、基準ビット位置がbit8のオーディオ信号のチャンネルをFLチャンネルであると識別する。さらに、オーディオ信号抽出部271は、Loチャンネルのオーディオ信号において、基準ビット位置がbit0のオーディオ信号のチャンネルをSLチャンネルであると識別する。
【0052】
また、オーディオ信号抽出部271は、Roチャンネルのオーディオ信号において、基準ビット位置がbit8のオーディオ信号のチャンネルをFRチャンネルであると識別する。また、さらに、オーディオ信号抽出部271は、Roチャンネルのオーディオ信号において、基準ビット位置がbit0のオーディオ信号のチャンネルをSRチャンネルであると識別する。
【0053】
オーディオ信号抽出部271は、識別したチャンネルのオーディオ信号を抽出する。
【0054】
オーディオ信号抽出部271は、LoチャンネルにおけるSLチャンネルのオーディオ信号及びRoチャンネルにおけるSRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit8になるように、オーディオ信号を8ビット上位側にシフトする。これにより、AVレシーバ2は、SLチャンネル及びSRチャンネルのオーディオ信号を、PC1で取得したオーディオ信号と同じ音量で再生することができる。
【0055】
なお、オーディオ信号抽出部271は、受信したオーディオ信号がアップサンプリングされているか否かを判断する。オーディオ信号抽出部271は、受信したオーディオ信号がアップサンプリングされていると判断した場合、ダウンサンプリングする。オーディオ信号抽出部271は、識別したチャンネルのチャンネル数に基づいて、ダウンサンプリングする周波数を求める。
【0056】
例えば、オーディオ信号抽出部271は、受信した出力信号がLoチャンネル及びRoチャンネルの2チャンネルであって、Loチャンネル及びRoチャンネルにそれぞれFL、SLチャンネル、FR、SRチャンネルの合計4チャンネルのオーディオ信号が含まれている場合、Loチャンネル及びRoチャンネルのそれぞれが2倍にアップサンプリングされていると判定する。
【0057】
オーディオ信号抽出部271は、各チャンネル(FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネル)のオーディオ信号を抽出する。このとき、オーディオ信号抽出部271は、例えば、各チャンネルの偶数サンプルに、奇数サンプルと同じサンプルデータを格納する。
【0058】
より詳細には、オーディオ信号抽出部271は、SRC(Sample Rate Conversion)機能を使用して、96kHzのサンプリング周波数を半分の48kHzにダウンサンプリングする。
【0059】
通常、SRC機能は、複数のサンプルを平均化処理してダウンサンプリングを行う。したがって、仮に偶数サンプル及び奇数サンプルに異なるビットが格納されていると、ダウンサンプリングした場合に、元のビットとは異なるビットになる。
【0060】
しかし、この例で使用されるSRC機能は、通常のものではなく、上述の平均化処理を行なわないSRC機能である。オーディオ信号抽出部271は、各チャンネルの偶数サンプルに、奇数サンプルと同じサンプルデータを格納することで、SRC機能によりダウンサンプリングしても完全に元のビットに戻すことができる。
【0061】
また、オーディオ信号抽出部271は、SRC機能と同等の処理によって、1サンプルおきにオーディオ信号を抽出することで、該オーディオ信号を元のビットに戻してもよい。
【0062】
D/A変換部25は、オーディオ信号抽出部271が抽出した4チャンネルのデジタル信号のそれぞれをアナログ信号に変換する。
【0063】
AMP26は、D/A変換部25で変換したアナログのオーディオ信号のそれぞれを増幅して、対応するスピーカSP1、スピーカSP2、スピーカSP3及びスピーカSP4に出力する。
【0064】
AVレシーバ2の動作について、
図9を参照して説明する。
図9は、AVレシーバ2の動作の一例を示すフローチャートである。なお、本発明は、
図9で示されるAVレシーバ2の動作に限定されない。
【0065】
AVレシーバ2は、PC1が出力した出力信号を受信して(S21:Yes)、基準ビット位置に基づいて、チャンネルが識別可能な場合(S22:Yes)、AVレシーバ2は、識別可能なチャンネルのオーディオ信号を抽出する(S23)。
【0066】
AVレシーバ2は、抽出したオーディオ信号の基準ビット位置が拡張領域にあれば(S24:Yes)、該オーディオ信号を上位側にシフトする(S25)。この場合、AVレシーバ2は、各チャンネルの規定ビット数分(例えば、PC1とAVレシーバ2とで予めチャンネル毎に決めていたシフトされたビット数分)上位側にシフトする(例えば、この場合SLチャンネルに関しては8ビット分上位側にシフトする)。また、AVレシーバ2は、下位側にシフトされているチャンネル(この例では、SLチャンネル及びSRチャンネル)について、拡張領域のビット数等に基づいて検出したビット数分上位側にシフトする。AVレシーバ2は、オーディオ信号がアップサンプリングされていれば(S26:Yes)、該オーディオ信号をダウンサンプリングする(S27)。
【0067】
なお、AVレシーバ2は、抽出したオーディオ信号の基準ビット位置が下位側にシフトされていなければ(S24:No)、処理をS26に移行する。また、AVレシーバ2は、オーディオ信号がアップサンプリングされていなければ(S26:No)、処理をS28に移行する。さらに、AVレシーバ2は、受信した出力信号の基準ビット位置に基づいて、チャンネルが識別可能でない場合(S22:No)、AVレシーバ2は、処理をS28に移行する。
【0068】
ここでいう、チャンネルを識別しなくてもよい場合とは、後述する変形例4のように、PC1とAVレシーバ2との間で、出力信号を構成するチャンネルの順番を予め決めている場合のことを示す。
【0069】
AVレシーバ2は、4チャンネルのデジタルのオーディオ信号のそれぞれをアナログのオーディオ信号に変換する(S28)。AVレシーバ2は、4チャンネルのアナログのオーディオ信号のそれぞれを増幅する(S29)。AVレシーバ2は、4チャンネルの増幅したアナログのオーディオ信号のそれぞれを対応するスピーカ(SP1、SP2、SP3、SP4)に出力する(S30)。
【0070】
このように、AVレシーバ2は、Loチャンネル及びRoチャンネルから4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号を抽出し、対応するスピーカ(SP1、SP2、SP3、SP4)で再生することができる。
【0071】
また、AVレシーバ2は、受信したLoチャンネル及びRoチャンネルの出力信号から抽出した4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号を自装置に設けられているメモリ(例えば、RAM23又はフラッシュメモリ24)に記憶してもよい。
【0072】
なお、チャンネルのサンプルが無音時を表す場合、このチャンネルのサンプルデータは「0」になる。この場合、AVレシーバ2は、Loチャンネルから及びRoチャンネルからチャンネルを識別することができなくなり、Loチャンネル及びRoチャンネルの先頭のチャンネル(この例では、FLチャンネル及びFRチャンネル)が検出できなくなってしまう。そこで、オーディオ信号処理部17は、先頭のチャンネルであるFLチャンネル及びFRチャンネルの基準ビット位置に、常に「1」を格納することで、オーディオ信号抽出部271は、FLチャンネル及びFRチャンネルを確実に検出することができる。
【0073】
また、各チャンネル(FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネル)においても、サンプルが無音時を表す場合、オーディオ信号処理部17は、各チャンネルのサンプルの基準ビット位置(FLチャンネル及びFRチャンネルのbit4及びSLチャンネル及びSRチャンネルのbit0)に、常に「1」を格納した出力信号を生成する。これにより、AVレシーバ2は、オーディオ信号に無音のサンプルが含まれていても各チャンネルを確実に識別することができる。
【0074】
また、チャンネルのサンプルが無音時を表す場合、オーディオ信号処理部17は、例えば、FLチャンネルの基準ビット位置の1ビット下位のビット(FLチャンネル及びFRチャンネルの場合はbit3)に、常に「1」を格納してもよい。この場合、量子化ビット数の拡張前のビットデータは、他のビットデータに変更されない。これにより、AVレシーバ2は、先頭チャンネルであるFLチャンネル及びFRチャンネルを確実に検出し、かつFLチャンネル及びFRチャンネルのビットデータを完全に復元することも可能になる。
【0075】
[変形例1]
変形例1のPC1が出力する出力信号及びAVレシーバ2Aについて、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、出力信号の一例を示す説明図である。なお、
図10では、チャンネルの横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
図11は、AVレシーバ2Aの主要な構成を示すブロック図である。また、上述のAVレシーバ2と同じ構成に関しては、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0076】
PC1は、例えば、2チャンネル(Lチャンネル及びRチャンネル)のオーディオ信号を取得し、一方のオーディオ信号(例えば、Lチャンネル)と該オーディオ信号の信号処理用パラメータMDとを1つのチャンネルで出力する。この例でいう信号処理用パラメータMDとは、例えばオーディオ信号に施すエフェクタの種類を指定する情報、及びエフェクタ用パラメータ(ゲイン、ディレイ又は音像位置等である)。
【0077】
この例では、量子化ビット拡張部16は、Lチャンネルのオーディオ信号に、8ビットの拡張領域を付加する。
【0078】
オーディオ信号処理部17は、Lチャンネルのオーディオ信号をアップサンプリングする。すなわち、オーディオ信号処理部17は、Lチャンネルのオーディオ信号のサンプリング周波数を2倍にしてサンプリングする。
【0079】
オーディオ信号処理部17は、
図10に示すように、24ビットに拡張されて、アップサンプリングされたLチャンネルの信号の偶数サンプルに信号処理用パラメータMDを格納する。すなわち、オーディオ信号処理部17は、FLチャンネルのオーディオ信号と信号処理用パラメータMDとを交互に配置する。さらに、オーディオ信号処理部17は、信号処理用パラメータMDを拡張した下位ビット側に格納する。
【0080】
AVレシーバ2Aは、
図11に示すように、パラメータ抽出部272をさらに備えている。
【0081】
オーディオ信号抽出部271は、基準ビット位置に基づいて、オーディオ信号のチャンネル(Lチャンネル)を識別する。この例では、基準ビット位置がbit8であれば、そのサンプルのチャンネルをLチャンネルであると判定する。オーディオ信号抽出部271は、ダウンミックスして、Lチャンネルのオーディオ信号を元に戻す。
【0082】
パラメータ抽出部272は、基準ビット位置に基づいて、信号処理用パラメータMDを抽出する。この例では、パラメータ抽出部272は、基準ビット位置がbit0であれば、信号処理用パラメータMDであると判定する。
【0083】
このように、変形例1のPC1は、Lチャンネルにおいて、基準ビット位置に基づいて、オーディオ信号と、オーディオ信号に関する信号処理用パラメータMDとを、同時に出力することができる。
【0084】
また、AVレシーバ2は、オーディオ信号に関する信号処理用パラメータMDをオーディオ信号と同時に受信するので、オーディオ信号と同じタイミングで、信号処理用パラメータMDを使用することができる。
【0085】
なお、CPU22は、例えば、パラメータ抽出部272が抽出した信号処理用パラメータMDを、メモリ(例えば、RAM23又はフラッシュメモリ24)に記憶させてもよい。
【0086】
また、信号処理用パラメータMDは、曲名などのメタデータを含んでいてもよい。また、信号処理用パラメータMDは、オーディオ信号が再生されたときに同時に使用される照明制御信号等も同時に含んでいてもよい。また、信号処理用パラメータMDは、他の制御信号を含んでいてもよい。この場合、AVレシーバ2は、CPU22等に制御されて信号処理部27から外部に出力してもよい。
【0087】
また、信号処理用パラメータMDは、音像定位を実現するための位置情報を含んでいてもよい。この場合、PC1は、例えば、オーディオ信号と、位置情報とをダウンミックスして、出力する。AVレシーバ2Aは、受信した出力信号の位置情報に基づいて、オーディオ信号に対して、音像を定位させる処理を行なう。
【0088】
また、PC1は、Rチャンネルと信号処理用パラメータMDとを1つのチャンネルに混合して出力するように構成されていてもよい。
【0089】
[変形例2]
変形例2のPC1が出力する出力信号及びAVレシーバ2Aについて、
図12、
図13及び
図14を参照して説明する。
図12は、Laチャンネルの出力信号及びRaチャンネルの出力信号を示す説明図である。
図13は、AVレシーバ2Aaの主要な構成を示すブロック図である。
図14は、変形例2のLaチャンネルの出力信号及び、変形例2のRaチャンネルの出力信号の別の例を示す説明図である。なお、
図12及び
図14では、各チャンネルの横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。なお、PC1は、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号に対して基準ビット位置を予め決めておく。
【0090】
オーディオ信号処理部17は、例えば、4チャンネルのオーディオ信号を2チャンネルにダウンミックスする前に、
図12に示すように、SLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit4になるように、SLチャンネルのオーディオ信号を所定のビット(4ビット)下位側にシフトする。この場合、オーディオ信号処理部17は、FLチャンネルのオーディオ信及びSLチャンネルのオーディオ信号の下位4ビットに、それぞれのオーディオ信号の信号処理用パラメータMDを格納する。
【0091】
オーディオ信号処理部17は、SRチャンネルのオーディオ信号の基準位置がbit4になるように、SRチャンネルのオーディオ信号の所定のビット(4ビット)下位側にシフトする。この場合、オーディオ信号処理部17は、FRチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのオーディオ信号の下位4ビットに、それぞれのオーディオ信号の信号処理用パラメータMDを格納する。
【0092】
これにより、PC1は、2つのチャンネルの基準ビット位置を異ならせることで、チャンネルが識別可能な出力信号を出力することができ、かつ、対応するオーディオ信号と同時に、信号処理用パラメータMDを出力することができる。
【0093】
AVレシーバ2Aaは、基準ビット位置に基づいてチャンネルを識別し、かつチャンネル毎のオーディオ信号及びオーディオ信号の信号処理用パラメータMDを抽出する。
【0094】
パラメータ抽出部272は、LaチャンネルにおけるFLチャンネル及びSLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置に基づいて、オーディオ信号の信号処理用パラメータMDを抽出する。すなわち、パラメータ抽出部272は、受信部21が受信したLaチャンネルのFLチャンネル及びSLチャンネルの下位4ビットに格納されている信号処理用パラメータMDを抽出する。
【0095】
同様に、パラメータ抽出部272は、FRチャンネル及びSRチャンネルの下位4ビットに格納されている信号処理用パラメータMDを抽出する。
【0096】
このように、変形例2のPC1は、Laチャンネル及びRaチャンネルのそれぞれにおいて、4チャンネルのオーディオ信号及び4チャンネルのオーディオ信号に関する信号処理用パラメータMDを、同時に出力することができる。
【0097】
また、AVレシーバ2Aaは、オーディオ信号に関する信号処理用パラメータMDをオーディオ信号と同時に受信するので、オーディオ信号と同じタイミングで、信号処理用パラメータMDを使用することができる。
【0098】
なお、各チャンネルにおいて、サンプルが無音時を表す場合、サンプリングデータには「0」が格納されてしまう。この場合、オーディオ信号抽出部271は、該無音時を表しているサンプルがどのチャンネルを示しているのか識別できなくなる。そこで、PC1のオーディオ信号処理部17は、各チャンネルのサンプルの基準ビット位置(FLチャンネルとFRチャンネルのbit8、及びSLチャンネルとSRチャンネルのbit4)に、常に「1」を格納した出力信号を出力する。これにより、AVレシーバ2Aaは、オーディオ信号に無音のサンプルが含まれていても各チャンネルを確実に識別することができ、かつ各チャンネルに対応する信号処理用パラメータMDを使用することができる。
【0099】
また、各チャンネルにおいて、サンプルが無音時を表す場合、例えば、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルの基準ビット位置の1ビット下位のビット(例えば、FLチャンネルとFRチャンネルのbit7、及びSLチャンネルとSRチャンネルのbit3)に、常に「1」を格納する。これにより、AVレシーバ2Aaは、各チャンネルを確実に識別し、かつ4チャンネルの基データを復元することも可能になる。
【0100】
また、オーディオ信号処理部17は、ダウンミックスする前、又はダウンミックスした後に、例えば、SLチャンネル及びSRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がFLチャンネル及びFRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置と異なるように、適宜オーディオ信号を下位側にシフトしてもよい。
【0101】
また、オーディオ信号処理部17は、例えば、
図14に示すように、信号処理用パラメータMDを各チャンネルの基準ビット位置の直下の3ビットに格納してもよい。オーディオ信号処理部17は、例えば、FLチャンネル及びFRチャンネルの信号処理用パラメータMDを、FLチャンネル及びFRチャンネルのサンプルのbit5~bit7に格納する。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、SLチャンネル及びSRのサンプルの信号処理用パラメータMDを、SLチャンネル及びSRのサンプルのbit3からbit1に格納する。この場合、オーディオ信号処理部17は、各チャンネルの信号処理用パラメータMDの最下位ビットに、常に「1」を格納する。AVレシーバ2は、各チャンネルの信号処理用パラメータMDの最下位ビットの位置から各チャンネルのシフトされたビット数を検出すれば、チャンネルを識別することができる。
【0102】
[変形例3]
変形例3のPC1が出力する出力信号及びAVレシーバ2Bについて、
図15及び
図16を参照して、説明する。
図15は、出力信号の一例を示す説明図である。
図16は、AVレシーバ2Bの主要な構成を示すブロック図である。
【0103】
なお、
図15では、横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。また、上述のAVレシーバ2と同じ構成に関しては、同じ符号を付し、説明を省略する。また、この例において、便宜上、各4チャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数は8ビット、拡張領域のビット数を4ビットで説明する。また、この例では、4チャンネルから1チャンネルにダウンミックスする例で説明する。
【0104】
この例では、PC1は、
図15に示すように、1チャンネルの出力信号を出力する。量子化ビット拡張部16は、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号の量子化ビット数(例えば、8ビット)に下位側4ビットを付加して、12ビットに拡張する。また、オーディオ信号処理部17は、48kHzのサンプリング周波数を4倍の192kHzでアップサンプリングして、取得したFLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルのオーディオ信号を、1つのチャンネルにダウンミックスする。
【0105】
オーディオ信号処理部17は、ダウンミックスの前に、FLチャンネルのオーディオ信号、FRチャンネルのオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置が互いに異なるように、オーディオ信号を下位側にシフトする。オーディオ信号処理部17は、例えば、FRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit3になるように、オーディオ信号を1ビット下位側にシフトする。また、オーディオ信号処理部17は、SLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit2になるように、オーディオ信号を2ビット下位側にシフトする。SRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット1がbit1になるように、オーディオ信号を3ビット下位側にシフトする。
【0106】
なお、FLチャンネルの下位4ビット、FRチャンネルの下位3ビット、SLチャンネルの下位2ビット及びSRチャンネルの下位1ビットには、「0」が格納される。
【0107】
オーディオ信号処理部17は、I/F18を介して、AVレシーバ2Bに、FLチャンネルのオーディオ信号、FRチャンネルのオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのオーディオ信号を混合した1つのチャンネルの出力信号(以下出力信号Moと称す。)を出力する。
【0108】
AVレシーバ2Bの信号処理部27は、
図16に示すように、チャンネル数検出部273をさらに備えている。
【0109】
チャンネル数検出部273は、所定サンプル数の出力信号Moを使用してチャンネル数を検出する。チャンネル数検出部273は、所定のチャンネル数を想定し、想定した所定のチャンネル数に応じて、所定の期間(サンプル数)を設定する。そして、チャンネル数検出部273は、所定の期間において、想定した所定のチャンネル数であるか否かを判定する。チャンネル数検出部273は、所定の期間において、判定結果が想定した所定のチャンネル数でなければ、期間を再設定して、チャンネル数の検出を繰り返す。
【0110】
この例では、まず、チャンネル数検出部273は、チャンネル数が2つであると想定し、所定期間として20個のサンプルデータ(想定チャンネル数(2)×所定の期間)を使用して、チャンネル数が2つであるか否かを判定する。チャンネル数検出部273は、
図15に示すように、例えば、4チャンネル分のサンプルデータが含まれている出力信号Moのbit3のデータが「0」であるか「1」であるかを判定する。チャンネル数検出部273は、所定の期間、サンプル毎に、出力信号Moからbit3のデータが「0」であるか「1」であるかを検出し、無音時等を除いて、bit3のデータが、「1」「0」又は「0」「1」を所定の回数繰り返していれば、チャンネル数が2つであると判定する。すなわち、オーディオ信号抽出部271は、20サンプルのうち、bit3のデータが「1」「1」又は「0」「0」のように同じデータが何度も続けば、チャンネル数が2つでないと判定する。ここで、チャンネル数検出部273は、例えば、チャンネル数が2つでないと判定し、かつbit3のデータが「0」「1」の後に「1」「1」が続いていることを検出すると、4チャンネルを想定して、検出するサンプル数を再設定する。
【0111】
チャンネル数検出部273は、所定期間を40サンプルに再設定してチャンネル数が4つであるか否かを判定する。チャンネル数検出部273は、bit3において「0」「1」「1」「1」を所定の回数繰り返した場合、出力信号Moを構成するチャンネルのチャンネル数が4つであると判定する。なお、チャンネル数検出部273は、各サンプルのbit1が「0」「0」「0」「1」を所定の回数繰り返した場合、出力信号Moを構成するチャンネルのチャンネル数が4つであると判定してもよい。
【0112】
なお、所定期間のサンプル数は、上述の例に限定されない。例えば、所定の期間のサンプル数は、AVレシーバ2Bが想定するチャンネル数の10倍以上でも10倍以下にでも設定してもよい。
【0113】
オーディオ信号抽出部271は、検出結果に基づいて、4チャンネルのオーディオ信号を抽出する。オーディオ信号抽出部271は、例えば、bit4の値が「1」で、bit3の値が「0」であるサンプルをFLチャンネルと判定し、FLチャンネルを抽出する。オーディオ信号抽出部271は、bit3の値が「1」で、bit2の値が「0」であるサンプルをFRチャンネルとして抽出する。オーディオ信号抽出部271は、bit2の値が「1」であり、bit1の値が「0」であるサンプルをSLチャンネルとして抽出する。オーディオ信号抽出部271は、bit1の値が「1」であり、bit0の値が「0」であるサンプルをSRチャンネルとして抽出する。
【0114】
なお、各チャンネルにおいて、オーディオ信号抽出部271は、無音時の場合、無音時のサンプルがどのチャンネルを示しているのか識別できなくなる。そこで、オーディオ信号処理部17は、各チャンネルのサンプルの基準ビット位置(FLチャンネルのbit4、FRチャンネルのbit3、SLチャンネルのbit2、及びSRチャンネルのbit1)に、常に「1」を格納した出力信号Moを出力する。これにより、AVレシーバ2Bは、オーディオ信号に無音のサンプルが含まれていても各チャンネルを確実に識別することができる。この場合、各チャンネルにおいて、基準ビット位置よりも下のビットには「0」が格納される。
【0115】
これにより、AVレシーバ2Bは、別途チャンネル数を示す識別情報を受信しなくても、チャンネル数を検出し、各チャンネルのオーディオ信号を識別して抽出することができる。
【0116】
なお、この例においても、受信部21が受信した出力信号Moがアップサンプリングされていた場合、オーディオ信号抽出部271は、ダウンサンプリングする。例えば、サンプリング周波数が192kHzであった場合、オーディオ信号抽出部271は、192kHzをチャンネル数(この例では4チャンネル)で割った48kHzでダウンサンプリングする。
【0117】
また、オーディオ信号処理部17は、ダウンミックスする前又はダウンミックスした後に、各チャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置が異なるように、例えば、オーディオ信号を下位側にシフトしてもよい。
【0118】
また、オーディオ信号処理部17は、各チャンネルにおいて、サンプルが無音時を表す場合、例えば、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルの基準ビット位置の1ビット下位のビットに、常に「1」を格納してもよい。この場合、量子化ビット数の拡張前のビットデータは、他のビットデータに変更されない。これにより、AVレシーバ2Bは、各チャンネルを確実に識別し、かつ4チャンネルビットデータ(オーディ信号)を完全に復元することも可能になる。なお、この場合、基準ビット位置の1ビット下位ビットよりも下のビットには「0」が格納される。
【0119】
また、オーディオ信号が小音量、フェードイン又はフェードアウトの場合、上述のように、基準ビット位置又は基準ビット位置の下位ビットに、常に「1」を格納すれば、AVレシーバ2Bは、各チャンネルを確実に識別することができる。
【0120】
[変形例4]
変形例4のPC1が出力する出力信号について、
図17を参照して説明する。
図17は、変形例4の出力信号の一例を示す説明図である。なお、
図17では、横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0121】
この例では、拡張領域に格納されたオーディオ信号自体を信号処理用のエフェクタ用パラメータ(例えば、ディレイ)として使用する例を説明する。
【0122】
オーディオ信号処理部17は、
図17に示すように、例えば、FLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置を、bit4に設定する。このとき、FLチャンネルの拡張領域であるbit0~bit3には、「0、0、0、0」が格納されている。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、FRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置を、bit3に設定する。このとき、FRチャンネルの拡張領域であるbit0~bit3には、「0、0、0、1」が格納されている。さらに、オーディオ信号処理部17は、例えば、SLチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置を、bit2に設定する。このとき、SLチャンネルの拡張領域であるbit0~bit3には、「0、0、1、1」が格納されている。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、SRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置を、bit1に設定する。このとき、SRチャンネルの拡張領域であるbit0~bit3には、「0、1、1、1」が格納されている。
【0123】
AVレシーバ2は、拡張領域であるbit0~bit3に「0、0、0、0」が格納されているFLチャンネルを先頭のチャンネルであると判定する。また、AVレシーバ2は、拡張領域であるbit0~bit3に「0、0、0、1」が格納されているチャンネルをFRチャンネルであると判定する。また、AVレシーバ2は、拡張領域であるbit0~bit3に「0、0、1、1」が格納されているチャンネルをSLチャンネルであると判定する。また、AVレシーバ2は、拡張領域であるbit0~bit3に「0、1、1、1」が格納されているチャンネルをSRチャンネルであると判定する。
【0124】
このように、AVレシーバ2は、4チャンネルがどのような順番で配置されていても、拡張領域に格納されているデータに応じて、4チャンネルを識別することができる。なお、この例では、AVレシーバ2は、拡張領域(bit0~bit3)に「0」が格納されているFLチャンネルを先頭のチャンネルとして判定する。
【0125】
また、PC1は、各チャンネルの基準ビット位置に「1」を格納して出力してもよい。AVレシーバ2のオーディオ信号抽出部271は、基準ビット位置によってチャンネルを判定する。AVレシーバ2は、例えば、基準ビット位置(bit4)に「1」が格納され、bit3~bit0まで「0」が格納されていれば、このサンプルのチャンネルをFLチャンネルとして判定する。また、AVレシーバ2は、bit3に「1」が、bit2~bit0に「0」が格納されていた場合、このサンプルのチャンネルをSLチャンネルと判定する。また、AVレシーバ2は、bit2に「1」が格納され、bit1及びbit0に「0」が格納されていた場合、このサンプルのチャンネルをFRチャンネルと判定する。さらに、AVレシーバ2は、bit1に「1」が格納され、bit0に「0」が格納されていた場合、このサンプルのチャンネルをSRチャンネルと判定する。
【0126】
さらに、AVレシーバ2は、拡張領域に格納されているオーディオ信号の一部を、又は「1」が格納されている基準ビット位置に応じてディレイの量を設定してもよい。
【0127】
AVレシーバ2のCPU22は、例えば、サンプルのbit0~bit3が「0、0、0、0」又は「1」が格納されている基準ビット位置がbit4であれば、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを0ms(ディレイなし)とする。CPU22は、例えば、サンプルのbit0~bit3が「0、0、0、1」又は「1」が格納されている基準ビット位置がbit3であれば、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを100msとする。CPU22は、例えば、サンプルのbit0~bit3が「0、0、1、1」又は「1」が格納されている基準ビット位置がbit2であれば、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを200msとする。CPU22は、例えば、サンプルのbit0~bit3が「0、1、1、1」又は「1」が格納されている基準ビット位置がbit1であれば、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを300msとする。
【0128】
PC1は、全チャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置を互いに異なる位置に配置するので、チャンネルが識別可能な出力信号を出力することができる。また、AVレシーバ2は、拡張領域に格納されているオーディオ信号のデータの一部を又は基準ビット位置に応じて、エフェクタ用パラメータを設定するので、別途、エフェクタ用パラメータを受信しなくても、オーディオ信号を受信すると同時にエフェクタ用パラメータを設定することができる。
【0129】
また、PC1とAVレシーバ2との間で、予め決めた出力信号が、FLチャンネル、SRチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネルの順番で構成されていることを条件に、PC1が出力信号をAVレシーバ2に出力する例について説明する。ここで説明する例では、各チャンネルのサンプルデータのビットの移動(シフト)数をエフェクタ用パラメータとして使用する。
【0130】
ここで説明する例では、下位にシフトするビット数が、チャンネル毎に限定(決定)されているわけではなく、各チャンネルにおいて、例えば、曲の途中で、PC1によって変更される場合について説明する。
【0131】
オーディオ信号処理部17は、
図17に示すように、FLチャンネルのオーディオ信号をシフトしない。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、FRチャンネルのオーディオ信号を、1ビット下位にシフトする。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、SLチャンネルのオーディオ信号を、2ビット下位にシフトする。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、SRチャンネルのオーディオ信号を、3ビット下位にシフトする。なお、各チャンネルのシフトするビット数は、上述に固定(限定)されない。
【0132】
PC1は、チャンネル毎に、所望のビット数下位にシフトした出力信号をAVレシーバ2に出力する。なお、AVレシーバ2は、出力信号のチャンネルの順番を知っており、チャンネルを識別する必要がない。PC1とAVレシーバ2との間で出力信号に含まれるチャンネルの順番が予め決められているので、PC1は、シフトするビット数が同じである2つ以上のチャンネルが含まれる出力信号を生成してもよい。
【0133】
AVレシーバ2のCPU22は、例えば、シフトしたビット数が0の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを0ms(ディレイなし)とする。また、CPU22は、例えば、シフトしたビット数が1の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを100msとする。CPU22は、例えば、シフトしたビット数が2の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを200msとする。CPU22は、例えば、シフトしたビット数が3の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを300msとする。
【0134】
AVレシーバ2は、受信する出力信号のチャンネルの順番を知っている状態であれば、曲の途中で、チャンネルのオーディオ信号のビットの移動数が変化しても、各チャンネルに対応するディレイをリアルタイムで設定することができる。
【0135】
なお、AVレシーバ2が先頭のチャンネルがFLチャンネルであることを検出するために、FLチャンネルのオーディオ信号はシフトしない。
【0136】
[変形例5]
変形例5のPC1が出力する出力信号について、
図18を参照して説明する。
図18は、変形例5の出力信号の一例を示す説明図である。なお、
図18では、横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0137】
この例では、PC1とAVレシーバ2との間で予め決めた出力信号が、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル、SRチャンネルの順番で構成されていることを条件に、PC1が出力信号をAVレシーバ2に出力する例について説明する。
【0138】
オーディオ信号処理部17が、
図18に示すように、4チャンネルのうち1チャンネルの基準ビット位置を他のチャンネルの基準ビット位置と異なるように、出力信号を生成する。オーディオ信号処理部17は、例えば、FLチャンネルの基準ビット位置をFRチャンネル、SLチャンネル、SRチャンネルの基準ビット位置と異なる位置に配置する。この場合、オーディオ信号処理部17は、FRチャンネルのオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのオーディオ信号の基準ビット位置がbit3になるように、FRチャンネルのオーディオ信号、SLチャンネルのオーディオ信号及びSRチャンネルのそれぞれのオーディオ信号を1ビット下位側にシフトする。
【0139】
オーディオ信号抽出部271は、受信した出力信号からFLチャンネルを識別する。この場合、オーディオ信号抽出部271は、出力信号のサンプルのbit3の値が「0」であるか「1」であるかでFLチャンネルを識別する。オーディオ信号抽出部271は、FLチャンネル、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルの順に並べられているのとみなし、FLチャンネルの次のサンプルデータをFRチャンネルとして抽出する。同様に、オーディオ信号抽出部271は、SLチャンネル及びSRチャンネルのそれぞれのオーディオ信号を抽出する。
【0140】
なお、オーディオ信号抽出部271は、FRチャンネル、SLチャンネル又はSRチャンネルの基準ビット位置に「0」が格納されていると、FLチャンネルを識別するのが困難になる。そこで、オーディオ信号処理部17は、FRチャンネル、SLチャンネル及びSRチャンネルの基準ビット位置に、常に「1」を格納した出力信号を出力するのがよい。
【0141】
このように、変形例5のAVレシーバ2は、他のチャンネルと基準ビット位置が異なる1チャンネルを識別し、識別したチャンネルを先頭のサンプルとして、以後のサンプルのチャンネルを識別する。これにより、変形例5のAVレシーバ2は、4チャンネルのそれぞれのオーディオ信号を抽出することができる。
【0142】
なお、拡張領域に格納されているデータをディレイとして使用する場合、AVレシーバ2は、FRチャンネルのサンプル、SLチャンネルのサンプル及びSRチャンネルの基準ビット位置の値を「0」に変更する処理を行うことで、全て同じディレイに設定することができる。
【0143】
[変形例6]
変形例6のPC1が出力する出力信号について、
図19を参照して説明する。
図19は、変形例6の出力信号の一例を示す説明図である。なお、
図19では、横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。また、この例では、拡張する前の各チャンネルのオーディオ信号の量子化ビット数が8(ビット)であって、この8ビットに8ビット付加して16ビットに拡張したオーディオ信号の例で説明する。
【0144】
オーディオ信号処理部17は、オーディオ信号のそれぞれの拡張領域に、4チャンネルを識別可能にするデータを格納する。
【0145】
オーディオ信号処理部17は、
図19に示すように、拡張領域8ビットの内の下位2ビット(bit0及びbit1)を使用して、各チャンネルを識別するデータを格納する。オーディオ信号処理部17は、例えば、FLチャンネルのサンプルのbit0及びbit1に「0」を格納する。また、例えば、オーディオ信号処理部17は、例えば、FRチャンネルのサンプルのbit0に「1」を格納し、bit1に「0」を格納する。また、オーディオ信号処理部17は、例えば、SLチャンネルのサンプルのbit0に「0」を格納し、bit1に「1」を格納する。また、例えば、オーディオ信号処理部17は、例えば、SRチャンネルのサンプルのbit0及びbit1の両方に「1」を格納する。
【0146】
また、オーディオ信号処理部17は、拡張領域のbit2及びbit3に、オーディオ信号に対応する信号処理用パラメータMDを格納してもよい。
【0147】
このように、PC1は、拡張領域にチャンネルを示すデータを格納することで、チャンネルが識別可能な出力信号を出力することができる。また、PC1は、出力信号の1サンプルのみでチャンネルを特定することができるので、AVレシーバ2によるデコード時間を短くする出力信号を生成することができる。
【0148】
また、チャンネルを示すデータ及び信号処理用パラメータMDは、オーディオ信号の下位ビット(拡張領域)に格納されている。仮に、本実施形態とは異なる再生装置が、チャンネルの抽出等の処理を行わずに、オーディオ信号をそのまま再生した場合、下位ビットもオーディオデータとして扱われるため、ノイズとなる。しかし、仮に、再生装置が、オーディオ信号をそのまま生成したとしても、下位ビットのデータは音量への影響が小さい。したがって、
図19に示す出力信号を使用することで、感覚上のノイズレベルは軽減される。
【0149】
また、AVレシーバ2A又はAVレシーバ2Aaは、パラメータ抽出部272を有している。したがって、AVレシーバ2A又はAVレシーバ2Aaは、拡張領域に格納されている信号処理用パラメータMDを、オーディオ信号とは区別して抽出することができる。これにより、AVレシーバ2A又はAVレシーバ2Aaが再生する場合には、ノイズを生じさせることはない。
【0150】
[ダウンミックスの別例]
ダウンミックスの別例について、
図20を参照して説明する。
図20は、FLチャンネル及びFRチャンネルをアップサンプリングした一例を示す説明図である。なお、
図20では、各チャンネルの横軸がサンプル(時間)を表し、縦軸がビット(音量)を表す。
【0151】
オーディオ信号処理部17は、FLチャンネル及びFRチャンネルをアップサンプリングする。すなわち、オーディオ信号処理部17は、FLチャンネル及びFRチャンネルのサンプリング周波数を2倍にする。オーディオ信号処理部17は、
図20に示すように、FL1サンプル及びFL11サンプルに同じサンプルデータを格納する。また、オーディオ信号処理部17は、FL2サンプル及びFL21サンプルには、同じサンプルデータを格納する。さらに、オーディオ信号処理部17は、FL3サンプル及びFL31サンプルには、同じサンプルデータを格納する。
【0152】
オーディオ信号処理部17は、FRチャンネルにもFLチャンネルと同様の処理を行う。
【0153】
オーディオ信号処理部17は、FLチャンネルの偶数サンプル(FL11サンプル、FL21サンプル及びFL31サンプル)に、SLチャンネルのSL1サンプルのサンプルデータ、SL2サンプルのサンプルデータ及びSL3のサンプルデータを格納する。また、オーディオ信号処理部17は、FRチャンネルの偶数サンプル(FR11サンプル、FR21サンプル及びFR31サンプル)に、SRチャンネルのSR1サンプルのサンプルデータ、SR2サンプルのサンプルデータ及びSR3のサンプルデータを格納する。
【0154】
このように、オーディオ信号処理部17は、FLチャンネルの偶数サンプルにSLチャンネルのオーディオ信号を格納することで、FLチャンネルのオーディオ信号とSLチャンネルのオーディオ信号をダウンミックスする。同様に、オーディオ信号処理部17はFRチャンネルの偶数サンプルにSRチャンネルのオーディオ信号を格納することで、FRチャンネルのオーディオ信号とSRチャンネルのオーディオ信号をダウンミックスする。
【0155】
なお、アップサンプリングする際に、FLチャンネル及びFRチャンネルの偶数サンプルには、奇数サンプルと同じデータを格納する例に限定されない。FLチャンネル及びFRチャンネルの偶数サンプルには、「0」が格納されていてもよい。
【0156】
PC1が出力する出力信号の波形について、
図21を参照して説明する。
図21は、2つのチャンネルを1つのチャンネルにダウンミックスした波形の一例を示す説明図である。なお、
図21では、横軸がサンプルを表し、縦軸が音量を表す。
【0157】
この例では、アップサンプリングでダウンミックスする例を、FLチャンネルとSLチャンネルとを代表して説明する。また、この例では、FLチャンネルのオーディオ信号を
図21に示すサイン波とし、SLチャンネルのオーディオ信号を
図21で示す方形波とし、例えば、それぞれのサンプリング周波数は48kHzとする。
【0158】
オーディオ信号処理部17は、FLチャンネルをアップサンプリングして、ダウンミックスすると、ダウンミックスされた波形は、
図21の下段に示すように、FLチャンネルのオーディオ信号とSLチャンネルのオーディオ信号とが混合した信号になる。この時、サンプリング周波数は、96kHzとなる。
【0159】
このように、PC1は、アップサンプリングして、複数のチャンネルをダウンミックスすることで、各チャンネルの波形を維持したままダウンミックスすることができる。仮に、本実施形態とは異なる再生装置が、複数のチャンネルのそれぞれのオーディオ信号の抽出等の処理を行わずに、オーディオ信号をそのまま再生したとしても、ユーザは、SLチャンネル及びFLチャンネルの音を両方聞くことができる。したがって、オーディオ信号処理部17は、アップサンプリングしてダウンミックスされた信号であっても、マルチチャンネルのように再生できる出力信号を生成することができる。
【0160】
[その他の変形例]
変形例1~変形例6以外のその他の変形例について列挙する。
【0161】
PC1は、例えば、16bitで量子化された信号を24bit以上、例えば、32bitに拡張してもよい。この場合、PC1は、さらに多くの情報を拡張領域に格納することができる。
【0162】
また、PC1が取得するオーディオ信号のフォーマットは、音声信号部分に圧縮オーディオフォーマットとして可逆式のフォーマット、又は、非可逆式のフォーマットとして格納してある音声オーディオ信号でもよい。PC1が取得するオーディオ信号が非可逆式のフォーマットの場合、PC1は、非可逆式のフォーマットのオーディオ信号を、デコードして通常のPCM(Pulse Code Modulation)音声フォーマットのオーディオ信号に変換するよう構成されてもよい。
【0163】
また、PC1は、5チャンネル以上でも3チャンネル以下でも取得可能である。また、PC1は、取得したチャンネル数に関わらず、取得したチャンネル数以下のチャンネル数の出力信号を生成し、出力すればよい。例えば、PC1は、8チャンネルのオーディオ信号を取得し、2チャンネルの出力信号を出力する構成であってもよい。
【0164】
また、PC1のオーディオ信号処理部17が、例えば、先頭チャンネルの最下位ビット(bit0)に「1」を格納し、他のチャンネルの最下位ビット(bit0)に「0」を格納した場合、AVレシーバ2は、出力信号の各サンプルのbit0の値を検出することで、出力信号を構成するチャンネルを識別することができる。例えば、AVレシーバ2は、最下位ビットに1が格納されているサンプルをFLチャンネルと判定する。これにより、AVレシーバ2は、チャンネルのオーディオ信号が下位側にシフトされていなくても、最下位ビットでチャンネルを識別することができる。また、この場合、PC1のオーディオ信号処理部17は、チャンネルを識別するために、オーディオ信号をシフトさせる必要がない。オーディオ信号処理部17は、シフトするビット数をオーディオ信号のエフェクタ用のパラメータとして使用することができる。AVレシーバ2のCPU22は、例えば、シフトしたビット数が0の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを0ms(ディレイなし)とする。また、CPU22は、例えば、シフトしたビット数が1の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを100msとする。CPU22は、例えば、シフトしたビット数が2の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを200msとする。CPU22は、例えば、シフトしたビット数が3の場合、そのチャンネルのオーディオ信号に施すディレイのパラメータを300msとする。
【0165】
また、出力信号は、アナログ信号、デジタル信号、又はファイル形式のものでよい。
【0166】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0167】
1…PC(オーディオ信号出力装置)
2、2A、2Aa、2B…AVレシーバ(受信装置)
10…オーディオシステム
11…オーディオ信号取得部
16…量子化ビット拡張部
17…オーディオ信号処理部
18…I/F(出力部)
21…受信部
271…オーディオ信号抽出部
272…パラメータ抽出部
273…チャンネル数検出部