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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240116BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240116BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04N1/00 885
G03G21/00 398
B41J29/38 104
H04N1/00 350
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019228394
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021097357
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 友佑
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099815(JP,A)
【文献】特開2014-022810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象を検知する検知部と、
ユーザーに操作される操作対象部の動作モードを通常モードから前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードに切り替える切替処理部と、
前記省電力モードにおいて前記検知部が前記検知対象を検知した場合に、前記操作対象部の検知感度を、前記検知部が前記検知対象を検知する前の第1検知感度よりも高い第2検知感度に変更する設定処理部と、
を備え
前記省電力モードにおいて前記検知部が前記検知対象を検知した場合に、前記切替処理部は前記省電力モードを維持し、前記設定処理部は前記操作対象部の検知感度を前記第2検知感度に設定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記切替処理部は、前記操作対象部の検知感度が前記第2検知感度に設定されている状態で前記操作対象部に対する前記ユーザーの操作が検知された場合に、前記操作対象部の前記動作モードを前記省電力モードから前記通常モードに切り替える、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定処理部は、前記操作対象部の検知感度が前記第2検知感度に設定されている状態で前記操作対象部に対する前記ユーザーの操作が検知された場合に、前記操作対象部の検知感度を前記第2検知感度から前記第1検知感度に変更する、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定処理部は、前記通常モードの前記操作対象部の検知感度を前記第1検知感度に設定し、前記省電力モードにおける前記検知部が前記検知対象を検知する前の前記操作対象部の検知感度を前記第1検知感度又は前記第1検知感度よりも低い第3検知感度に設定し、前記省電力モードにおける前記検知部が前記検知対象を検知した後の前記操作対象部の検知感度を前記第2検知感度に設定する、
請求項1~のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記省電力モードは、第1省電力モードと前記第1省電力モードよりも消費電力の小さい第2省電力モードとを含み、
前記設定処理部は、前記通常モードの場合に前記操作対象部の検知感度を前記第1検知感度に設定し、前記第1省電力モードの場合に前記操作対象部の検知感度を前記第2検知感度に設定し、前記第2省電力モードの場合に前記操作対象部の検知感度を前記第1検知感度又は前記第3検知感度に設定する、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
検知対象を検知する検知部と、
ユーザーに操作される操作対象部の動作モードを通常モードから前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードに切り替える切替処理部と、
前記省電力モードにおいて前記検知部が前記検知対象を検知した場合に、前記操作対象部の検知感度を、前記検知部が前記検知対象を検知する前の第1検知感度よりも高い第2検知感度に変更する設定処理部と、
を備え、
前記設定処理部は、前記通常モードの前記操作対象部の検知感度を前記第1検知感度に設定し、前記省電力モードにおける前記検知部が前記検知対象を検知する前の前記操作対象部の検知感度を前記第1検知感度又は前記第1検知感度よりも低い第3検知感度に設定し、前記省電力モードにおける前記検知部が前記検知対象を検知した後の前記操作対象部の検知感度を前記第2検知感度に設定する、画像形成装置。
【請求項7】
前記操作対象部は、前記ユーザーのタッチ操作を受け付ける操作表示部、及び、前記ユーザーの識別情報を読み取る読取部の少なくともいずれかを含む、
請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ユーザーの操作を受け付ける受付処理部と、
前記ユーザーの操作が行われない無操作時間を計測する計時部と、
をさらに備え、
前記切替処理部は、前記無操作時間が予め設定された設定時間に達した場合に前記操作対象部の前記動作モードを前記通常モードから前記省電力モードに切り替える、
請求項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
検知部に検知対象を検知させる検知ステップと、
ユーザーに操作される操作対象部の動作モードを通常モードから前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードに切り替える切替ステップと、
前記省電力モードにおいて前記検知部が前記検知対象を検知した場合に、前記操作対象部の検知感度を、前記検知部が前記検知対象を検知する前の第1検知感度よりも高い第2検知感度に変更する設定ステップと、
を備え
前記省電力モードにおいて前記検知ステップで前記検知対象を検知した場合に、前記切替ステップにおいて前記省電力モードを維持し、前記設定ステップにおいて前記操作対象部の検知感度を前記第2検知感度に設定する、画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、消費電力の低減のために、ユーザーの操作が行われない無操作時間が所定の設定時間に達した場合に一部の操作対象部(例えばタッチパネル)の動作モードを通常モードから消費電力の小さい省電力モードに切り替える機能を有することがある。前記画像形成装置では、例えば省電力モードにおいて人感センサーがユーザーを検知した場合に通常モードに復帰する。ここで、省電力モードの種類に応じて人感センサーの最長検出距離を変更することによって、ユーザーが画像形成装置の操作を開始するまでに確実にメインコントローラーを起動させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-109196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記画像形成装置では、例えば前記画像形成装置の前を通過する人(通行人)を検知した場合に、メインコントローラーが起動し、タッチパネルが点灯する。しかし、前記通行人が前記タッチパネルに対する操作を行わない場合、前記タッチパネルの点灯は不必要になり消費電力の低減効果が低下してしまう。そこで、前記人を検知した場合に、メインコントローラーのみを起動し、前記タッチパネルを点灯しない構成とすることが考えられる。しかし、この構成では、前記タッチパネルに対するユーザーの操作(復帰操作)から前記タッチパネルが起動(復帰)するまでに要する時間(復帰時間)が長くなる問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、消費電力の低減及び操作対象部の復帰時間の短縮を図ることが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、検知部と、切替処理部と、設定処理部とを備える。前記検知部は、検知対象を検知する。前記切替処理部は、ユーザーに操作される操作対象部の動作モードを通常モードから前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードに切り替える。前記設定処理部は、前記省電力モードにおいて前記検知部が前記検知対象を検知した場合に、前記操作対象部の検知感度を、前記検知部が前記検知対象を検知する前の第1検知感度よりも高い第2検知感度に変更する。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像形成方法は、検知ステップと、切替ステップと、設定ステップとを備える。前記検知ステップでは、検知部に検知対象を検知させる。前記切替ステップでは、ユーザーに操作される操作対象部の動作モードを通常モードから前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードに切り替える。前記設定ステップでは、前記省電力モードにおいて前記検知部が前記検知対象を検知した場合に、前記操作対象部の検知感度を、前記検知部が前記検知対象を検知する前の第1検知感度よりも高い第2検知感度に変更する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消費電力の低減及び操作対象部の復帰時間の短縮を図ることが可能な画像形成装置及び画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
図3A図3Aは、本発明の実施形態に係る画像形成装置において人を検知する様子を示す模式図である。
図3B図3Bは、本発明の実施形態に係る画像形成装置において人を検知する様子を示す模式図である。
図4A図4Aは、本発明の実施形態に係る画像形成装置における前記動作モード及び前記検知感度の関係の一例を示すグラフである。
図4B図4Bは、本発明の実施形態に係る画像形成装置における前記動作モード及び前記検知感度の関係の他の例を示すグラフである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において実行される検知感度設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
図1及び図2に示すように、画像形成装置100は、画像読取部1、ADF2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、操作表示部6、排出部7、記憶部8、人感センサー9、タイマー10、及び電源部11などを備える。画像形成装置100は、原稿から画像データを読み取るスキャン機能、画像データに基づいて画像を形成する印刷機能、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。なお、画像形成装置100は、コピー機であってもよい。画像形成装置100は、本発明の画像形成装置の一例である。
【0012】
画像読取部1は、コンタクトガラス、読取ユニット、ミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)などを備える画像読取部である。
【0013】
ADF2は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部1によって読み取られる原稿を搬送する。
【0014】
画像形成部3は、画像読取部1で読み取られた画像データに基づいて、電子写真方式で用紙に画像を形成することが可能である。また、画像形成部3は、外部の情報処理装置(例えばユーザー端末)から入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成することも可能である。具体的に、画像形成部3は、感光体ドラム、帯電装置、光走査装置(LSU)、現像装置、転写ローラー、クリーニング装置、定着ローラー、及び加圧ローラーを備える。なお、画像形成部3は、インクジェット方式などの他の画像形成方式により画像を形成するものであってもよい。また画像形成部3は、画像を形成した用紙(印刷用紙)を排出部7に搬送する。
【0015】
給紙部4は、用紙収容部、及び複数の搬送ローラーを備え、画像形成部3に用紙を供給する。給紙部4は、制御部5によって制御されることにより、用紙収容部41に収容された用紙を画像形成部3に搬送する。また給紙部4は、ユーザーが手動(手差し)により用紙をセットする手差しトレイ42を含む。給紙部4は、制御部5によって制御されることにより、手差しトレイ42にセットされた用紙を画像形成部3に搬送する。本実施形態では、用紙収容部41は、画像形成装置100の正面に向かって下側に設けられており、手差しトレイ42は、画像形成装置100の正面に向かって右側に設けられている。
【0016】
排出部7は、画像形成部3により画像が形成された印刷用紙を排出する。排出部7は、1又は複数の排出トレイ71を備える。排出トレイ71が複数設けられる場合、複数の排出トレイ71のそれぞれは、画像形成装置100の設置面(床面)からの高さが互いに異なる位置に設けられる。排出部7は、制御部5によって制御されることにより、前記印刷用紙を所定の排出トレイ71に排出する。排出部7は、制御部5の命令に従って、決定された排出トレイ71に前記印刷用紙を排出する。本実施形態では、排出トレイ71は、画像形成装置100の正面に向かって左側に設けられている。
【0017】
操作表示部6は、制御部5の命令に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。給紙部4、排出部7、及び操作表示部6は、ユーザーが操作可能な構成要素であり、本発明の操作対象部の一例である。本発明の操作対象部は、これらの構成要素に限定されず、ユーザーの識別情報を読み取る読取部(ICカードリーダー、指紋認証リーダー)、ユーザーの音声を集音するマイクであってもよい。例えば、本発明の操作対象部は、ユーザーのタッチ操作を受け付ける操作表示部(特にはタッチパネル)、及び、前記読取部の少なくともいずれかを含む。以下では、前記操作対象部の具体例として、タッチパネルを挙げて説明する。
【0018】
人感センサー9は、画像形成装置100の筐体の正面側における人(検知対象)の存否を検知可能である。例えば、人感センサー9は、人体から発せられる赤外線の検出の有無に基づいて、予め定められた検知範囲における人の存否を検知する焦電型の赤外線センサーである。人感センサー9は、光が遮光されたか否かに基づいて人の存否を検知する光センサーであってもよい。人感センサー9は、本発明の検知部の一例である。
【0019】
タイマー10は、時間を計測する。具体的には、タイマー10は、制御部5の命令に従って、時間の計測を開始及び終了したり、計測した時間をリセットしたりする。例えば、タイマー10は、ユーザーの操作が行われない無操作時間を計測する。タイマー10は、本発明の計時部の一例である。
【0020】
電源部11は、画像形成装置100を構成する各部の少なくとも一部に電力を供給する。画像形成装置100は、画像形成装置100を構成する各部に電力を供給する通常の動作モード(以下、「通常モード」という。)と、一部に電力を供給しない動作モード(以下、「省電力モード」という。)とを有する。電源部11は、制御部5からの命令(モード切替指示)に従って、前記操作対象部(ここではタッチパネル)の動作モードを通常モード又は省電力モードに設定する。例えば、タッチパネルが通常モードに設定されている場合において、画像形成装置100においてユーザーの操作が行われない無操作時間が所定の設定時間に達した場合に、制御部5がタッチパネルの動作モードを通常モードから省電力モードに切り替えるモード切替指示を電源部11に出力することにより、動作モードが省電力モードに切り替わる。
【0021】
また例えば、タッチパネルが省電力モードに設定されている場合において、画像形成装置100において人感センサー9がユーザーを検知し、その後に前記タッチパネルがユーザの操作(タッチ操作)を受け付けた場合に、制御部5がタッチパネルの動作モードを省電力モードから通常モードに切り替えるモード切替指示を電源部11に出力することにより、動作モードが通常モードに切り替わる(復帰する)。
【0022】
ここで、前記省電力モードは複数の省電力モードを含む。例えば、前記省電力モードは、プレオフモード(本発明の第1省電力モードの一例)と、当該プレオフモードによりも消費電力の小さいオールオフモード(本発明の第2省電力モードの一例)とを含む。前記オールオフモードでは、制御部5のCPU(メインコントローラー)及び前記操作対象部(ここではタッチパネル)がオフ状態になり、前記プレオフモードでは、制御部5のCPU(メインコントローラー)がオン状態かつ前記操作対象部(ここではタッチパネル)がオフ状態になる。
【0023】
例えば、前記動作モードが前記通常モードに設定されている場合において、画像形成装置100においてユーザーの操作が行われない無操作時間が所定の設定時間に達した場合に、制御部5が前記通常モードを前記オールオフモードに切り替えるモード切替指示を電源部11に出力することにより、前記動作モードが前記オールオフモードに切り替わる。また例えば、前記動作モードが前記オールオフモードに設定されている場合において、画像形成装置100において人感センサー9がユーザーを検知した場合に、制御部5が前記オールオフモードを前記プレオフモードに切り替えるモード切替指示を電源部11に出力することにより、前記動作モードが前記プレオフモードに切り替わる。さらに例えば、前記動作モードが前記プレオフモードに設定されている場合において、前記タッチパネルがユーザーの操作(タッチ操作)を受け付けた場合に、制御部5が前記プレオフモードを前記通常モードに切り替えるモード切替指示を電源部11に出力することにより、前記動作モードが通常モードに切り替わる(復帰する)。
【0024】
前記省電力モードの数は限定されず、3つ以上であってもよい。
【0025】
記憶部8は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部8は、フラッシュメモリー、及びEEPROM(登録商標)などの不揮発性メモリー、SSD(ソリッドステートドライブ)、並びにHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置である。記憶部8には、制御部5に後述の検知感度設定処理(図5参照)を実行させるための検知感度設定プログラムなどの各種の制御プログラム、及び各種のデータなどが記憶される。
【0026】
制御部5は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサー(本発明のメインコントローラーの一例)である。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶部である。
【0027】
ところで、従来の画像形成装置では、例えば前記画像形成装置の前を通過する人(通行人)を検知した場合に、メインコントローラーが起動し、タッチパネルが点灯する。しかし、前記通行人が前記タッチパネルに対する操作を行わない場合、前記タッチパネルの点灯は不必要になり消費電力の低減効果が低下してしまう。そこで、前記人を検知した場合に、メインコントローラーのみを起動し、前記タッチパネルを点灯しない構成とすることが考えられる。しかし、この構成では、前記タッチパネルに対するユーザーの操作(復帰操作)から前記タッチパネルが起動(復帰)するまでに要する時間(復帰時間)が長くなる問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る画像形成装置100では、消費電力の低減及び操作対象部の復帰時間の短縮を図ることが可能である。
【0028】
具体的に、図2に示されるように、制御部5は、受付処理部51、検知処理部52、計時処理部53、切替処理部54、設定処理部55を含む。制御部5は、前記ROMに記憶されているプログラムに従った処理を前記CPUで実行することにより、受付処理部51、検知処理部52、計時処理部53、切替処理部54、設定処理部55として機能する。なお、受付処理部51、検知処理部52、計時処理部53、切替処理部54、設定処理部55のいずれか一又は複数がASICなどの電子回路であってもよい。
【0029】
受付処理部51は、ユーザーから各種操作を受け付ける。受付処理部51は、本発明の受付処理部の一例である。具体的には、受付処理部51は、操作表示部6に対するユーザーの操作を受け付ける。例えば、ユーザーが前記タッチパネルを押下(タッチ)した場合に、当該タッチ操作を受け付ける。また例えば、ユーザーがICカードをICカードリーダーに翳した場合に、当該操作を受け付ける。また例えば、ユーザーが操作表示部6において原稿の読取指示を行った場合に、受付処理部51は当該読取指示を受け付ける。また、ユーザーが操作表示部6において画像データの印刷指示を行った場合に、受付処理部51は当該印刷指示を受け付ける。また、受付処理部51は、操作表示部6の設定画面におけるユーザーの各種設定操作を受け付ける。例えば、受付処理部51は、設定画面において、前記設定時間などの設定操作を受け付ける。
【0030】
検知処理部52は、画像形成装置100の前に存在する人を検知する検知処理を実行する。例えば、検知処理部52は、人感センサー9を用いて前記人を検知する。具体的には、人感センサー9は、人感センサー9に設定される感度レベルに対応する検知範囲DAに人が進入した場合に検知信号を出力する。検知処理部52は、人感センサー9から前記検知信号を取得することにより人を検知する。
【0031】
ここで、検知処理部52は、前記動作モードが前記省電力モードに設定されている場合に前記検知処理を実行する。例えば図3A及び図3Bに示すように、画像形成装置100の前記動作モードが前記省電力モードである場合に、検知処理部52は、前記検知処理を実行し、ユーザーAが画像形成装置100に近付いて人感センサー9の検知範囲DAに進入するとユーザーAを検知する。
【0032】
なお、本発明の検知部は、カメラでもよい。例えば前記カメラは、画像形成装置100において、自装置の前方側を撮像可能に設けられる。この場合、検知処理部52は、前記カメラを用いて、自装置の前に存在する人を検知してもよい。
【0033】
計時処理部53は、タイマー10に時間の計測を指示する。具体的には、計時処理部53は、タイマー10に、ユーザーの操作が行われない無操作時間の計測を指示する。例えば、計時処理部53は、画像形成装置100においてユーザーの操作が行われなくなった場合にタイマー10に時間の計測を開始させる。また、計時処理部53は、タイマー10が時間の計測を開始してからユーザーの操作が行われた場合に、タイマー10に計測時間をリセットさせる。このように、計時処理部53は、受付処理部51がユーザーから操作を受け付けるごとに、タイマー10に時間の計測を指示する。タイマー10は、計時処理部53から前記指示を取得するごとに計測時間をリセットして時間の計測を繰り返す。
【0034】
切替処理部54は、前記操作対象部の動作モードを前記通常モード又は前記省電力モード(前記オールオフモード、前記プレオフモード)に切り替える。具体的には、切替処理部54は、前記無操作時間が前記設定時間に達した場合に前記動作モードを前記通常モードから前記オールオフモードに切り替える。前記動作モードが前記オールオフモードに切り替えられた場合、制御部5は、例えば前記メインコントローラーをオフ状態にし、操作表示部6を消灯する(図3A参照)。
【0035】
前記設定時間は、ユーザー(例えば管理者)の操作に応じて設定される。例えば、画像形成装置100の管理者は、設定画面において、前記設定時間を「60分」に設定する。この場合、前記動作モードが通常モードである場合に前記無操作時間が「60分」に達すると、切替処理部54は、前記動作モードを前記通常モードから前記オールオフモードに切り替える。なお、前記設定画面は、操作表示部6に表示されてもよいし、画像形成装置100にネットワークを介して接続された機器(例えばパーソナルコンピュータ)に表示されてもよい。
【0036】
また、切替処理部54は、前記動作モードが前記オールオフモードである場合に、人感センサー9が人を検知すると、前記動作モードを前記オールオフモードから前記プレオフモードに切り替える。前記動作モードが前記プレオフモードに切り替えられた場合、制御部5は、例えば前記メインコントローラーをオン状態にする。なお、制御部5は、操作表示部6の消灯状態を維持する(図3B参照)。
【0037】
さらに、切替処理部54は、前記動作モードが前記プレオフモードである場合に、前記タッチパネルがユーザーのタッチ操作を受け付けると、前記動作モードを前記プレオフモードから前記通常モードに切り替える。前記動作モードが前記通常モードに切り替えられた場合、制御部5は、例えば前記メインコントローラーのオン状態を維持し、操作表示部6を点灯する。
【0038】
設定処理部55は、前記操作対象部の検知感度を調整(設定)する。前記検知感度は、例えば前記タッチパネルにおけるユーザーのタッチ操作(指などの接触)を検出する感度、前記ICカードリーダーにICカードを翳した場合にICカードを検出する感度(距離)などである。前記検知感度が高い程、前記操作対象部の起動時間が短くなる。
【0039】
具体的には、設定処理部55は、前記省電力モード(オールオフモード)において人感センサー9が人を検知した場合に、前記タッチパネルの検知感度を、人感センサー9が前記人を検知する前の検知感度S1(本発明の第1検知感度)よりも高い検知感度S2(本発明の第2検知感度)に変更する。また、設定処理部55は、前記省電力モード(プレオフモード)においてユーザーの前記タッチパネルに対するタッチ操作を検知した場合に、前記タッチパネルの検知感度を、検知感度S2から検知感度S1に変更する(戻す)。
【0040】
図4Aは、前記動作モード及び前記検知感度の関係を示すグラフである。なお、前記通常モードにおいて前記タッチパネルの検知感度は「S1」に設定されているものとする。図4Aに示すように、切替処理部54は時刻t1において前記動作モードを前記通常モードから前記オールオフモードに切り替える。これにより、前記メインコントローラーがオフ状態になり、前記タッチパネルが消灯する。前記オールオフモードにおいて時刻t2に人感センサー9が人を検知すると、切替処理部54は、前記動作モードを前記オールオフモードから前記プレオフモードに切り替える。これにより、前記メインコントローラーがオン状態になる。なお、このとき前記タッチパネルは消灯状態を維持する。また時刻t2において、設定処理部55は、前記タッチパネルの検知感度を検知感度S1から検知感度S2に変更する。その後、時刻t3において前記タッチパネルがユーザーのタッチ操作を受け付けると、制御部5は、時刻t4に前記タッチパネルを起動させる。これにより、前記タッチパネルが点灯する。また時刻t4において、切替処理部54は、前記動作モードを前記プレオフモードから前記通常モードに切り替える。図4Aにおいて、時刻t3~t4の期間は、前記タッチパネルに対するユーザーの操作(復帰操作)から前記タッチパネルが起動(復帰)するまでに要する時間(復帰時間T1)である。
【0041】
このように、前記省電力モードにおいて人感センサー9が人を検知した場合に、切替処理部54は前記省電力モードを維持し、設定処理部55は前記操作対象部の検知感度を検知感度S2に設定する。
【0042】
他の実施形態として、設定処理部55は、前記オールオフモードの期間における前記タッチパネルの前記検知感度を検知感度S1よりも低い検知感度S3(本発明の第3検知感度)(但し、S3<S1<S2)に設定してもよい。例えば図4Bに示すように、時刻t1において、切替処理部54は前記動作モードを前記通常モードから前記オールオフモードに切り替え、設定処理部55は前記タッチパネルの検知感度を検知感度S1から検知感度S3に変更する。なお、検知感度S3は、前記タッチパネルの検知機能が無効となる値(「0」)であってもよい。前記オールオフモードにおいて時刻t2に人感センサー9が人を検知すると、切替処理部54は、前記動作モードを前記オールオフモードから前記プレオフモードに切り替え、設定処理部55は、前記タッチパネルの検知感度を検知感度S3から検知感度S2に変更する。これにより、前記オールオフモード中の誤検知を抑制することができる。
【0043】
このように、設定処理部55は、前記通常モードの前記操作対象部の検知感度を検知感度S1に設定し、前記省電力モードにおける人感センサー9が人を検知する前の前記操作対象部の検知感度を検知感度S1又は検知感度S3に設定し、前記省電力モードにおける人感センサー9が人を検知した後の前記操作対象部の検知感度を検知感度S2に設定する。また、設定処理部55は、前記通常モードの場合に前記操作対象部の検知感度を検知感度S1に設定し、オールオフモードの場合に前記操作対象部の検知感度を検知感度S1又は検知感度S3に設定し、プレオフモードの場合に前記操作対象部の検知感度を検知感度S2に設定する。
【0044】
[検知感度設定処理]
以下、図5のフローチャートを参照しつつ、画像形成装置100において制御部5が実行する検知感度設定処理の手順の一例について説明する。なお、制御部5によって実行される各処理工程をステップS11、S12、・・・と称する。なお、ここで説明する前記検知感度設定処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記検知感度設定処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは画像形成装置100の制御部5によって前記検知感度設定処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、他の複数のプロセッサーによって前記検知感度設定処理における各ステップが分散して実行されてもよい。なお、本発明は、前記検知感度設定処理に含まれる一又は複数のステップを実行する検知感度設定方法(本発明の画像形成方法の一例)の発明として捉えることができる。
【0045】
図5に示すフローチャートでは、最初に、前記動作モードが前記通常モードに設定されており、前記操作対象部(例えばタッチパネル)の検知感度が検知感度S1に設定されているものとする。
【0046】
ステップS11において、制御部5は、ユーザーから何らかの操作を受け付けたか否かを判定する。ユーザーから前記操作を受け付けていないと判定された場合(S11:No)、処理はステップS12に移行する。ユーザーから前記操作を受け付けている間は、ステップS11の処理を繰り返す(S11:Yes)。
【0047】
ステップS12において、制御部5は、タイマー10に時間の計測を開始させる。すなわち、制御部5は、画像形成装置100がユーザーにより操作されない無操作時間の計測をタイマー10に開始させる。
【0048】
ステップS13において、制御部5は、タイマー10の計測時間が前記設定時間に達したか否かを判定する。前記計測時間が前記設定時間に達したと判定された場合(S13:Yes)、処理はステップS16に移行する。前記計測時間が前記設定時間に達していないと判定された場合(S13:No)、処理はステップS14に移行する。
【0049】
ステップS14において、制御部5は、ユーザーから何らかの操作を受け付けたか否かを判定する。ユーザーから前記操作を受け付けていないと判定された場合(S14:No)、処理はステップS13に移行する。ユーザーから前記操作を受け付けたと判定された場合(S14:Yes)、処理はステップS15に移行する。
【0050】
ステップS15において、制御部5は、前記計測時間をリセットする。その後、処理はステップS11に戻る。
【0051】
すなわち、制御部5は、タイマー10による無操作時間の計測が開始されてから前記設定時間に達する前にユーザー操作を受け付けた場合には、前記計測時間をリセットして、前記無操作時間の計測処理をやり直す。また、制御部5は、タイマー10による無操作時間の計測が開始されてから前記設定時間に達するまでの間にユーザー操作を受け付けなかった場合には、処理をステップS16に移行する。
【0052】
ステップS16において、制御部5は、前記動作モードを前記通常モードから前記省電力モード(オールオフモード)に切り替える。これにより、画像形成装置100は、前記オールオフモードに移行し、メインコントローラー及び操作対象部(例えばタッチパネル)がオフ状態になる。ステップS16は、本発明の切替ステップの一例である。
【0053】
ステップS17において、制御部5は、人感センサー9を用いて、検知範囲DAに人を検知したか否かを判定する。人を検知したと判定された場合(S17:Yes)(図4Aの時刻t2)、処理はステップS18に移行する。人を検知したと判定されるまでの間、ステップS17の処理を繰り返す(S17:No)。ステップS17は、本発明の検知ステップの一例である。
【0054】
ステップS18において、制御部5は、前記動作モードを前記オールオフモードから前記プレオフモードに切り替える(図4Aの時刻t2)。これにより、画像形成装置100は、前記プレオフモードに移行し、メインコントローラーがオン状態になり(起動し)、操作対象部(前記タッチパネル)がオフ状態を維持する。すなわち、制御部5は、メインコントローラーのみ復帰させる。ステップS18は、本発明の切替ステップの一例である。
【0055】
ステップS19において、制御部5は、前記タッチパネルの検知感度S1を検知感度S2に変更する(図4Aの時刻t2)。ステップS19は、本発明の設定ステップの一例である。
【0056】
ステップS20において、制御部5は、前記タッチパネルに対するユーザーの操作(復帰操作)を検知したか否かを判定する。前記操作を検知したと判定された場合(S20:Yes)(図4Aの時刻t3)、処理をステップS23に移行する。前記操作を検知していないと判定された場合(S20:No)、処理をステップS21に移行する。
【0057】
ステップS21において、制御部5は、前記動作モードが前記プレオフモードに切り替えられてから所定時間経過したか否かを判定する。例えば、制御部5は、時刻t2(図4A参照)からの経過時間を計測し、当該経過時間が前記所定時間に達したか否かを判定する。前記経過時間が前記所定時間に達した場合(S21:Yes)、処理をステップS22に移行する。前記経過時間が前記所定時間に達するまでの間、ステップS20、S21の処理を繰り返す(S21:No)。
【0058】
ステップS22において、制御部5は、前記タッチパネルの検知感度S2を検知感度S1に戻す。その後、制御部5は、処理をステップS17に移行する。ステップS22は、本発明の設定ステップの一例である。
【0059】
前記所定時間は、ユーザーが検知範囲DAに進入してから前記タッチパネルを操作するまでに要すると予想される時間を考慮して設定される。例えば、前記所定時間は「1分」に設定される。これにより、検知範囲DAに進入したユーザーが前記タッチパネルを操作する可能性のある前記所定時間の間、前記タッチパネルの検知感度が高感度(検知感度S2)に設定され、前記所定時間経過後は、前記タッチパネルの検知感度が通常感度(検知感度S1)に戻される。
【0060】
なお、他の実施形態として、制御部5は、ステップS21、S22を省略し、前記操作を検知していないと判定された場合(S20:No)に、処理をステップS20に戻してもよい。
【0061】
ステップS23において、制御部5は、前記動作モードを前記プレオフモードから前記通常モードに切り替える。これにより、画像形成装置100は、前記通常モードに移行し、前記タッチパネルがオン状態になる(起動する)(図4Aの時刻t4)。ステップS23は、本発明の切替ステップの一例である。
【0062】
ステップS24において、制御部5は、前記タッチパネルの検知感度を通常感度(検知感度S1)に戻す(図4Aの時刻t4)。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置100は、前記省電力モードにおいて人感センサー9が人を検知した場合に、操作対象部(例えばタッチパネル)の検知感度を、人感センサー9が人を検知する前の検知感度S1よりも高い検知感度S2に変更する。これにより、前記操作対象部が前記省電力モードでオフ状態になった場合でも、前記操作対象部の検知感度が高感度に変更されるため、前記操作対象に対するユーザーの操作(復帰操作)を検知し易くなる。このため、前記復帰操作から前記操作対象部が起動(復帰)するまでに要する復帰時間T1(図4A参照)を短縮することができる。よって、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、消費電力の低減及び操作対象部の復帰時間の短縮を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
5 :制御部
6 :操作表示部
8 :記憶部
9 :人感センサー
10 :タイマー
11 :電源部
51 :受付処理部
52 :検知処理部
53 :計時処理部
54 :切替処理部
55 :設定処理部
100 :画像形成装置
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5