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特許7419830伴奏音生成装置、電子楽器、伴奏音生成方法および伴奏音生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】伴奏音生成装置、電子楽器、伴奏音生成方法および伴奏音生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G10H1/00 102Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020006370
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113895
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大地
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058597(JP,A)
【文献】特開2006-201654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した演奏音に基づいて、伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定する特定部と、
前記演奏音ごとに、特定された前記複数の演奏パートに属する前記伴奏音を生成する伴奏音生成部と、
前記複数の演奏パートにおいて生成された前記伴奏音を前記演奏音と発音タイミングを合わせて出力する伴奏音出力部と、
を備える伴奏音生成装置。
【請求項2】
前記演奏音から前記伴奏音を生成するモードとして、複数のモードが用意されており、
前記特定部は、各モードにおいて前記伴奏音を生成する複数の演奏パートを登録した設定情報を参照し、設定されたモードに対応する前記複数の演奏パートを特定する、請求項1に記載の伴奏音生成装置。
【請求項3】
前記設定情報は、各モードにおいて前記演奏音に基づいて生成する前記伴奏音の生成規則に関する情報を含んでおり、
前記伴奏音生成部は、前記設定情報を参照し、設定されたモードに対応する前記生成規則に基づいて、前記演奏音から前記伴奏音を生成する、請求項2に記載の伴奏音生成装置。
【請求項4】
前記設定情報には、前記生成規則として前記演奏音の特徴と前記伴奏音の特徴とを対応付けた情報が登録されている、請求項3に記載の伴奏音生成装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の伴奏音生成装置を備える電子楽器であって、
所定の伴奏パターン情報に基づいてパターン伴奏音を所定の演奏パートにおいて生成するパターン伴奏音生成部を備え、
前記パターン伴奏音生成部は、前記伴奏音生成部から前記伴奏音が生成されている間、前記伴奏音と同じ演奏パートについては、前記パターン伴奏音の生成を停止する、電子楽器。
【請求項6】
前記パターン伴奏音生成部は、前記伴奏音を生成するモードがオンされたとき、第1の演奏パートについては、前記パターン伴奏音の生成を停止し、第2の演奏パートについては、前記パターン伴奏音の生成を継続する、請求項5に記載の電子楽器。
【請求項7】
入力した演奏音に基づいて、伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定し、
前記演奏音ごとに、特定された前記複数の演奏パートに属する前記伴奏音を生成し、
前記複数の演奏パートにおいて生成された前記伴奏音を前記演奏音と発音タイミングを合わせて出力する、伴奏音生成方法。
【請求項8】
入力した演奏音に基づいて、伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定する処理と、
前記演奏音ごとに、特定された前記複数の演奏パートに属する前記伴奏音を生成する処理と、
前記複数の演奏パートにおいて生成された前記伴奏音を前記演奏音と発音タイミングを合わせて出力する処理と、をコンピュータに実行させる伴奏音生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伴奏音生成装置、方法およびプログラム、並びに、伴奏音生成装置を備える電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
予め記憶された伴奏パターンデータに基づいて演奏者による演奏音に自動伴奏音を付加する機能を備えた電子楽器が知られている。例えば自動伴奏機能を備えた電子鍵盤楽器がある。演奏者が鍵盤を操作して演奏を行うと、電子鍵盤楽器は、演奏音と合わせて自動伴奏音を出力する。下記特許文献1の自動伴奏データ生成装置は、音楽演奏のアクセント位置に合うように、自動伴奏音のリズムを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-58597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動伴奏機能を備えた電子楽器を演奏することで、演奏者は例えばメロディーを演奏しながら、伴奏音が伴う演奏音を楽しむことができる。自動伴奏機能は、伴奏パターンデータに基づいて繰り返し伴奏音を生成するため、演奏者とっては、物足りないと感じられる場面もある。演奏者に更なる演奏の楽しみを与えるためには、自動伴奏機能が変化に富んだ伴奏音を生成することが期待される。
【0005】
本発明の目的は、変化に富んだ自動伴奏音を生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に従う伴奏音生成装置は、入力した演奏音に基づいて、伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定する特定部と、演奏音ごとに、特定された複数の演奏パートに属する伴奏音を生成する伴奏音生成部と、複数の演奏パートにおいて生成された伴奏音を発音タイミングを合わせて出力する伴奏音出力部とを備える。
【0007】
演奏音から伴奏音を生成するモードとして、複数のモードが用意されており、特定部は、各モードにおいて伴奏音を生成する複数の演奏パートを登録した設定情報を参照し、設定されたモードに対応する複数の演奏パートを特定してもよい。
【0008】
設定情報は、各モードにおいて演奏音に基づいて生成する伴奏音の生成規則に関する情報を含んでおり、伴奏音生成部は、設定情報を参照し、設定されたモードに対応する生成規則に基づいて、演奏音から伴奏音を生成してもよい。
【0009】
設定情報には、生成規則として演奏音の特徴と伴奏音の特徴とを対応付けた情報が登録されてもよい。
【0010】
本発明の他の局面に従う電子楽器は、上記いずれかに記載の伴奏音生成装置を備える電子楽器であって、所定の伴奏パターン情報に基づいてパターン伴奏音を所定の演奏パートにおいて生成するパターン伴奏音生成部を備え、パターン伴奏音生成部は、伴奏音生成部から伴奏音が生成されている間、伴奏音と同じ演奏パートについては、パターン伴奏音の生成を停止する。
【0011】
パターン伴奏音生成部は、伴奏音を生成するモードがオンされたとき、第1の演奏パートについては、パターン伴奏音の生成を停止し、第2の演奏パートについては、パターン伴奏音の生成を継続させてもよい。
【0012】
本発明のさらに他の局面に従う伴奏音生成方法は、入力した演奏音に基づいて、伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定し、演奏音ごとに、特定された複数の演奏パートに属する伴奏音を生成し、複数の演奏パートにおいて生成された伴奏音を発音タイミングを合わせて出力する。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従う伴奏音生成プログラムは、入力した演奏音に基づいて、伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定する処理と、演奏音ごとに、特定された複数の演奏パートに属する伴奏音を生成する処理と、複数の演奏パートにおいて生成された伴奏音を発音タイミングを合わせて出力する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、変化に富んだ自動伴奏音を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る電子楽器の機能ブロック図である。
図2】伴奏スタイルデータのデータ構造を示す図である。
図3】実施の形態に係る伴奏音生成装置の機能ブロック図である。
図4】アクセントモードの設定情報を示す図である。
図5】ユニゾンモードの設定情報を示す図である。
図6】実施の形態に係る伴奏音生成方法を示すフローチャートである。
図7】実施の形態に係る伴奏音生成方法を示すフローチャートである。
図8】実施の形態に係る伴奏音生成方法を示すフローチャートである。
図9】自動伴奏生成のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る伴奏音生成装置、電子楽器、伴奏音生成方法および伴奏音生成プログラムについて図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
(1)電子楽器の構成
図1は本発明の実施の形態に係る伴奏音生成装置10を含む電子楽器1の構成を示すブロック図である。演奏者は、電子楽器1を操作することで、曲の演奏を行うことができる。また、電子楽器1は、伴奏音生成装置10を動作させることより、演奏者の演奏音に自動伴奏音を付加することができる。
【0018】
電子楽器1は、演奏操作部101、設定操作部102および表示部103を備える。演奏操作部101は、鍵盤等の音高指定操作子を含み、バス120に接続される。演奏操作部101は、演奏者の演奏操作を入力し、演奏音を示す演奏データを出力する。演奏データは、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データまたはオーディオデータからなる。設定操作部102は、オンオフ操作されるスイッチ、回転操作されるロータリエンコーダ、またはスライド操作されるリニアエンコーダ等を含み、バス120に接続される。設定操作部102は、演奏音または自動伴奏音の音量の調整、電源のオンオフおよび各種設定を行うために用いられる。表示部103は、例えば液晶ディスプレイを含み、バス120に接続される。表示部103により、演奏または設定等に関する各種情報が表示される。演奏操作部101、設定操作部102および表示部103の少なくとも一部がタッチパネルディスプレイにより構成されてもよい。
【0019】
電子楽器1は、CPU(中央演算処理装置)106、RAM(ランダムアクセスメモリ)107、ROM(リードオンリメモリ)108および記憶装置109をさらに備える。CPU106、RAM107、ROM108および記憶装置109はバス120に接続される。CPU106、RAM107、ROM108および記憶装置109が伴奏音生成装置10を構成する。
【0020】
RAM107は、例えば揮発性メモリからなり、CPU106がプログラムを実行するときの作業領域として用いられるとともに、各種データを一時的に記憶する。ROM108は、例えば不揮発性メモリからなり、伴奏音生成プログラムP1等のコンピュータプログラムおよび設定データSD、伴奏スタイルデータASD等の各種データを記憶する。ROM108としては、例えばEEPROMなどのフラッシュメモリが用いられる。CPU106は、RAM107を作業領域として利用しつつ、ROM108に記憶された伴奏音生成プログラムP1を実行することにより、後述する自動伴奏処理を実行する。
【0021】
記憶装置109は、ハードディスク、光学ディスク、磁気ディスクまたはメモリカード等の記憶媒体を含む。伴奏音生成プログラムP1、設定データSDまたは伴奏スタイルデータASDが記憶装置109に記憶されてもよい。
【0022】
本実施の形態における伴奏音生成プログラムP1は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納された形態で提供され、ROM108または記憶装置109にインストールされてもよい。また、電子楽器1が備える通信I/Fが通信網に接続されている場合、通信網に接続されたサーバから配信された伴奏音生成プログラムP1がROM108または記憶装置109にインストールされてもよい。同様に、設定データSDまたは伴奏スタイルデータASDが記録媒体から取得されてもよく、通信網に接続されたサーバから取得されてもよい。
【0023】
電子楽器1は、音源104およびサウンドシステム105をさらに備える。音源104はバス120に接続され、サウンドシステム105は音源104に接続される。音源104は、演奏操作部101から入力される演奏データまたは伴奏音生成装置10により生成される自動伴奏音に係るデータに基づいて楽音信号を生成する。
【0024】
サウンドシステム105は、デジタルアナログ(D/A)変換回路、増幅器およびスピーカを含む。このサウンドシステム105は、音源104から与えられる楽音信号をアナログ音信号に変換し、アナログ音信号に基づく音を発生する。それにより、楽音信号が再生される。
【0025】
(2)自動伴奏音
次に、本実施の形態に係る伴奏音生成装置10が生成する自動伴奏音について説明する。本実施の形態に係る伴奏音生成装置10は、パターン伴奏音およびリアルタイム伴奏音の2種類の自動伴奏音を生成することができる。パターン伴奏音は、予め記憶された伴奏パターンデータを繰り返し再生することにより生成される。演奏者によってカテゴリー等が指定されることにより、指定されたカテゴリーに対応する伴奏パターンデータが再生される。演奏者は、パターン伴奏音の再生に合わせて、演奏を行うことができる。
【0026】
リアルタイム伴奏音は、演奏者の演奏操作によって生成される演奏音に応じて、リアルタイムで生成される伴奏音である。リアルタイム伴奏音は、演奏音の1音ごとに設定データSDの内容にしたがって生成される。演奏者が演奏を行うと、演奏者の演奏音に基づいてリアルタイム伴奏音が付加される。
【0027】
(3)伴奏スタイルデータ
次に、伴奏スタイルデータASDについて説明する。伴奏スタイルデータASDは、パターン伴奏音の内容をカテゴリー別に分類したデータである。また、伴奏スタイルデータASDは、リアルタイム伴奏音の音色を決定するときに利用されてもよい。
【0028】
図2は伴奏スタイルデータASDのデータ構造を示す図である。図2に示すように、ジャズ、ロック、クラシック(図示せず)等のカテゴリー毎に1または複数の伴奏スタイルデータASDが用意される。このようなカテゴリーは階層的に設けられてもよい。例えばロックの下位のカテゴリーとしてハードロックおよびプログレッシブロック等が設けられてもよい。各伴奏スタイルデータASDは、複数の伴奏セクションデータを含む。
【0029】
伴奏セクションデータは、「イントロ」セクション用、「メイン」セクション用、「フィルイン」セクション用および「エンディング」セクション用に分類される。「イントロ」、「メイン」、「フィルイン」および「エンディング」は、それぞれセクションのタイプを示し、図2において、それぞれアルファベット“I”、“M”、“F”および“E”で表されている。各伴奏セクションデータは、さらに、複数のバリエーションに分類されている。
【0030】
「イントロ」セクション、「メイン」セクションおよび「エンディング」セクションのバリエーションは、自動伴奏音の雰囲気または盛り上がり度を表し、図2の例では、盛り上がり度に応じてアルファベット“A”(普通(静か))、“B”(少し派手)、“C”(派手)、および “D”(かなり派手)等で表されている。
【0031】
「フィルイン」セクションは、他のセクション間のつなぎ(フィルイン)であるので、「フィルイン」セクションのバリエーションは、図2においては、前後のセクションの雰囲気または盛り上がり度の変化に対応した2つのアルファベットの組み合わせで表されている。例えば、バリエーション“AC”は、「静か」から「派手」への変化に対応する。
【0032】
図2において、伴奏セクションデータは、セクションのタイプを表すアルファベットとバリエーションを表すアルファベットとの組み合わせで表されている。例えば、伴奏セクションデータMAのセクションのタイプは「メイン」であり、バリエーションは“A”である。また、伴奏セクションデータFABのセクションのタイプは「フィルイン」であり、バリエーションは“AB”である。
【0033】
伴奏セクションデータは、メインドラムパート、ベースパート、コードパート、フレーズパートおよびパッドパート等の複数の演奏パート(トラック)それぞれについての伴奏パターンデータPDを含む。また、伴奏セクションデータは、基準コード情報および音高変換規則(音高変換テーブル情報、音域、コード変更時の再発音規則等)を含む。伴奏パターンデータPDは、MIDIデータまたはオーディオデータであり、基準コード情報および音高変換規則に基づいて任意の音高に変換することができる。対応するバリエーションに応じて、パターン伴奏音が生成される演奏パートの数および伴奏パターンデータPDの音符列等が異なる。
【0034】
例えば、演奏者は図1の設定操作部102を操作して、所望のパターン伴奏音のカテゴリーおよび伴奏スタイルデータASDを選択することができる。表示部103にパターン伴奏音のカテゴリーおよび伴奏スタイル名から伴奏セクションデータ(バリエーションを含む)の一覧を表示させ、演奏者が設定操作部102を操作して、カテゴリーおよび伴奏スタイル名等を選択できるようにしてもよい。さらに、演奏者は図1の設定操作部102を操作して、曲構成を設定する。曲構成とは、曲を構成するセクションの配列である。例えば曲の開始から終了までの間の各区間がどのセクションに対応しているかが設定される。これにより、パターン伴奏音を構成する伴奏パターンデータPDの順序が特定される。あるいは、演奏者が、予め登録された複数の曲から所望の曲を選択することによって伴奏スタイルデータASDおよび曲構成が自動的に選択されるようになっていてもよい。このようにして演奏者によって選択されたパターン伴奏音の選択内容および伴奏スタイルデータASDに基づいて、図1のサウンドシステム105からパターン伴奏音が出力される。
【0035】
(4)伴奏音生成装置の機能的構成
図3は本発明の実施の形態に係る伴奏音生成装置10の機能的な構成を示すブロック図である。伴奏音生成装置10は、パターン伴奏音およびリアルタイム伴奏音を生成する装置である。図1のCPU106がROM108または記憶装置109に記憶された伴奏音生成プログラムP1を実行することにより図3における伴奏音生成装置10の各部の機能が実現される。図3に示すように、伴奏音生成装置10は、演奏音入力部11、モード判定部12、特定部13、リアルタイム伴奏音生成部14、伴奏スタイルデータ取得部15、パターン伴奏音生成部16および伴奏音出力部17を含む。
【0036】
演奏音入力部11は、演奏操作部101から出力された演奏データ(演奏音)を入力する。演奏音入力部11は、演奏データを、特定部13およびリアルタイム伴奏音生成部14に出力する。上述したように、演奏データとして、MIDIデータまたはオーディオデータが用いられる。
【0037】
モード判定部12は、演奏者によるモード操作を設定操作部102から入力する。本実施の形態の伴奏音生成装置10は、リアルタイム伴奏を行うモードとして、複数のモードを有している。演奏者は、設定操作部102を操作することで、モード設定を行うことができる。本実施の形態においては、リアルタイム伴奏のモードとして、アクセントモードおよびユニゾンモードの2つのモードが用意されている。
【0038】
特定部13は、リアルタイム伴奏音を生成する演奏パートを特定する。リアルタイム伴奏音は、パターン伴奏音と同様、メインドラムパート、ベースパート、コードパート、フレーズパート、パッドパート等の複数の演奏パートにおいてタイミングを合わせて出力される。特定部13は、演奏音入力部11から入力する演奏データに基づいて、リアルタイム伴奏音を生成する演奏パートを特定する。つまり、特定部13は、演奏音の1音ごとにリアルタイム伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定する。
【0039】
リアルタイム伴奏音生成部14は、リアルタイム伴奏データRDを生成する。リアルタイム伴奏音生成部14は、特定部13において特定された演奏パートにおいて生成するリアルタイム伴奏データRDを生成する。リアルタイム伴奏音生成部14は、演奏音入力部11から入力した演奏データ(演奏音)に基づいてリアルタイム伴奏音の音色、音量等を決定する。リアルタイム伴奏音生成部14は、生成したリアルタイム伴奏データRDを伴奏音出力部17に出力する。伴奏音出力部17は、リアルタイム伴奏データRDを、図1に示す音源104に出力する。音源104は、サウンドシステム105を介してリアルタイム伴奏音を再生する。
【0040】
伴奏スタイルデータ取得部15は、伴奏スタイルデータASDを取得する。上述したように、演奏者が、パターン伴奏音の選択操作を行うことにより、伴奏スタイルデータ取得部15は、ROM108にアクセスし、選択された伴奏スタイルデータASDを取得する。
【0041】
パターン伴奏音生成部16は、伴奏スタイルデータ取得部15が取得した伴奏スタイルデータASDを入力し、伴奏スタイルデータASDからパターン伴奏音に用いる伴奏パターンデータPDを取得する。パターン伴奏音生成部16は、演奏者によって選択されたバリエーションを含む伴奏セクションデータに基づいて、伴奏スタイルデータASDに含まれる伴奏パターンデータPDを取得する。パターン伴奏音生成部16は、伴奏パターンデータPDに必要な音高変換を行うとともに、演奏音のテンポに合わせて伴奏音出力部17に出力する。伴奏音出力部17は、伴奏パターンデータPDを、図1に示す音源104に出力する。音源104は、サウンドシステム105を介してパターン伴奏音を再生する。
【0042】
リアルタイム伴奏音生成部14は、また、パターン伴奏音生成部16に対してパターン伴奏データの生成を停止させる指示を送る。リアルタイム伴奏データRDを生成しているとき伴奏パターンデータPDの生成は停止される。つまり、リアルタイム伴奏音が出力されるとき、パターン伴奏音が設定された期間ミュートされる。また、アクセントモードまたはユニゾンモードがオンされたとき、リアルタイム伴奏データRDを生成する演奏パートのうち一部の演奏パートについては、伴奏パターンデータPDの生成が停止される。つまり、いずれかのモードがオンとなった場合には、一部の演奏パートについては、演奏パート単位でミュートされる。
【0043】
(5)リアルタイム伴奏機能のモード
上述したように、本実施の形態の伴奏音生成装置10は、リアルタイム伴奏音を生成するモードとして、アクセントモードとユニゾンモードとを有している。アクセントモードは、例えば、演奏者が強く押鍵したとき、あるいは、演奏者がフォルテで演奏したときなどに、シンバルを強く鳴らすような自動伴奏音を生成する。ユニゾンモードは、例えば、ピアノのメロディーに合わせて同一の音高で、あるいは、オクターブ関係にある同じ音名の音でストリングを鳴らすような自動伴奏音を生成する。
【0044】
図4および図5は、設定データSDのデータの内容を示す図である。図4は、設定データSDに登録されているデータのうち、アクセントモードのデータの内容を示す。図5は、設定データSDに登録されているデータのうち、ユニゾンモードのデータの内容を示す。いずれのモードにおいても、設定データSDには、「演奏音(入力音)」、「強さ条件」、「変換先」、「ミュート対象」および「ミュート解除タイミング」に関するデータが登録されている。
【0045】
「演奏音(入力音)」は、演奏音の種別を示すデータである。リアルタイム伴奏音生成部14は、所定のアルゴリズムに従って、演奏音の判定を行う。「トップノート」は、演奏音に含まれる音の中で最も高い音高を示す。例えば、演奏者が和音を弾いているときには、和音の中で最も高い音高がトップノートとして判定される。「オールノート」は全ての演奏音を示す。「コード」は、あるタイミングで同時に演奏されている音のうち和声的な(あるいは伴奏的な)役割を持つ演奏音を示す。「ボトムノート」は、演奏音に含まれる音の中で最も低い音高を示す。例えば、演奏者が和音を弾いているときには、和音の中で最も低い音高がボトムノートとして判定される。
【0046】
「強さ条件」は、「演奏音」の強さ条件を示す。図4および図5においては、「強さ条件」として、「強」、「中以上強未満」等、感覚的に分かり易い表現で示しているが、実際には、強さ条件は、ベロシティまたは音量などの具体的な数値で示される。
【0047】
「変換先」は、さらに、「パート」および「音高(楽器)」のフィールドを含む。「パート」には、リアルタイム伴奏音を生成する演奏パートが登録される。「音高(楽器)」には、リアルタイム伴奏音の音高または楽器が示される。リアルタイム伴奏音を生成する演奏パートとしては、伴奏スタイルデータASDに含まれている演奏パートと同様、「メインドラム」、「コード1」、「フレーズ1」等が指定される。リアルタイム伴奏音を生成する音高(楽器)としては、演奏パートが「メインドラム」の場合、通常ドラムキットが設定される。ドラムキットは、MIDIのノートナンバーにドラムキットで使用されるリズム楽器がアサインされることにより設定される。リズム楽器の種類とアサインの方法は、ドラムキットによって異なる。図4で「変換先」-「音高(楽器)」が「シンバル」の場合、演奏音が、実際にパート音色として指定されているドラムキットの「シンバルがアサインされている音高」に変換される。図4の「変換先」-「音高(楽器)」の高/中/低は、実際の変換値ではなく、「高めの音のリズム楽器」/「中くらいの高さの音のリズム楽器」/「低めの音のリズム楽器」を示している。音色は、図4の場合は、リアルタイム伴奏音生成の開始前までに選択(設定)された伴奏スタイルデータASDの各パートで設定されている音色が流用される。
【0048】
「ミュート対象」は、リアルタイム伴奏音を生成しているときに、停止させるパターン伴奏音の対象を示す。アクセントモードまたはユニゾンモードがオンとなった場合には、一部の演奏パートについてはパターン伴奏音の生成が停止される。「ミュート対象」において、演奏パートが登録されている場合、いずれかのモードがオンとなった場合には、その演奏パートのパターン伴奏音は再生されない。また、リアルタイム伴奏音が生成されているときには、リアルタイム伴奏音を生成している演奏パートと同一の演奏パートのパターン伴奏音は再生されない。「ミュート対象」において、「1音」と登録されている場合には、リアルタイム伴奏音の生成に合わせて1音ごとにパターン伴奏音の再生が停止される。あるいは、リアルタイム伴奏音の生成に合わせて1音ごとに、リアルタイム伴奏音と同音の音のみパターン伴奏音の再生が停止されるようにしてもよい。
【0049】
「ミュート解除タイミング」は、「ミュート対象」で示されるパターン伴奏音の再生停止を解除するタイミングを示す。「ミュート解除タイミング」として、「所定時間経過後」と記載されているが、具体的には、1音、1拍等、パターン伴奏音の再生を停止してから再生を再開するまでのタイミングが登録される。「ミュート解除タイミング」として、「入力音のオフ検出」と記載されているのは、演奏音の入力がオフされた時点でパターン伴奏音の再生を再開することを示す。ただし、「ミュート対象」において演奏パートが登録されている場合には、アクセントモードまたはリアルタイムモードが継続している間は、パターン伴奏音のミュートは解除されない。モードがオフされた場合には、入力音のオフを検出した時点でパターン伴奏音のミュートが解除される。
【0050】
例えば、アクセントモードの1行目のデータは、以下の設定を示す。演奏データ(演奏音)のトップノートが「強」の場合、メインドラムのシンバルをリアルタイム伴奏音として鳴らす。メインドラムのシンバルを鳴らすとき、パターン伴奏音のメインドラムは再生されない。そして、所定時間経過後、パターン伴奏音のメインドラムの再生を再開する。
【0051】
また、例えば、アクセントモードの3行目のデータは、以下の設定を示す。演奏データ(演奏音)の全ての音高に対して、音の強さは無条件で、コード1の演奏パートについて、演奏音(入力音)と同じ音高でリアルタイム伴奏音を鳴らす。アクセントモードがオンとなったとき、コード1の演奏パートについてはパターン伴奏音の再生が停止される。モードがオフされた場合には、入力音のオフ検出後、パターン伴奏音の再生を再開する。
【0052】
また、例えば、アクセントモードの8行目のデータは、以下の設定を示す。演奏データ(演奏音)に含まれるコードの音の強さが中以上強未満である場合に、メインドラムパートでキックをリアルタイム伴奏音として鳴らす。メインドラムパートでキックを鳴らすとき、パターン伴奏音のメインドラムのキック音は再生されない。そして、所定時間経過後、パターン伴奏音のメインドラムのキック音の生成を再開する。
【0053】
例えば、ユニゾンモードの3行目のデータは、以下の設定を示す。演奏データ(演奏音)のトップノートに対して、音の強さは無条件で、コード1の演奏パートについて、トップノートと同じ音高でリアルタイム伴奏音を鳴らす。ユニゾンモードがオンとなったとき、コード1の演奏パートについてはパターン伴奏音の再生が停止される。モードがオフされた場合には、入力音のオフ検出後、パターン伴奏音の再生を再開する。
【0054】
また、例えば、ユニゾンモードの9行目のデータは、以下の設定を示す。演奏データ(演奏音)に含まれるコードの音に対して、音の強度は無条件で、メインドラムパートでスネアをリアルタイム伴奏音として鳴らす。メインドラムパートでスネアを鳴らすとき、パターン伴奏音のメインドラムのスネア音は再生されない。そして、所定時間経過後、パターン伴奏音のメインドラムのスネア音の再生を再開する。
【0055】
このように、設定データSDにはリアルタイム伴奏音を鳴らすための設定情報が登録されている。具体的には図4および図5に示した設定データSDには、リアルタイム伴奏音を生成する演奏パートを特定する情報として、「変換先」-「パート」の情報が登録されている。また、設定データSDには、リアルタイム伴奏音の生成規則に関する情報として「変換先」-「音高(楽器)」が登録されている。図3に示したリアルタイム伴奏音生成部14は、設定データSDを参照することで、演奏データに含まれる演奏音の1音ごとに、リアルタイム伴奏データRDを生成する。
【0056】
図4および図5に示す例においては、演奏データ(演奏音)が入力されたとき、複数の演奏パートにおいてリアルタイム伴奏音が生成される設定となっている。このように、本実施の形態の伴奏音生成装置10は、1つの演奏音の入力に対して、複数の演奏パートについてリアルタイム伴奏音を生成可能としている。
【0057】
(6)伴奏音生成方法の一例
次に、本実施の形態に係る伴奏音生成方法について説明する。CPU106が図1に示す伴奏音生成プログラムP1を実行することにより、伴奏音生成装置10が、以下に示す伴奏音生成方法を実行する。図6図7および図8は、本実施の形態に係る伴奏音生成方法を示すフローチャートである。
【0058】
図6に示すように、まず、ステップS11において、パターン伴奏音生成部16は、設定操作部102が自動伴奏の開始指示を検出したか否かを判定する。自動伴奏の開始指示が検出された場合には、ステップS12において、伴奏スタイルデータ取得部15は、ROM108から伴奏スタイルデータASDを読み込む。伴奏スタイルデータ取得部15は、設定操作部102から入力した伴奏スタイルデータASDの選択情報あるいはカテゴリーの情報などに基づいて、伴奏スタイルデータASDを読み込む。次に、ステップS13において、パターン伴奏音生成部16が、伴奏パターンデータPDを取得し、伴奏パターンデータPDを伴奏音出力部17に与える。伴奏音出力部17は、伴奏パターンデータPDを音源104に出力する。これにより、サウンドシステム105を介してパターン伴奏音の再生が開始される。なお、上述したように、パターン伴奏音生成部16は、演奏者によって選択されたバリエーションを含む伴奏セクションデータに基づいて、伴奏スタイルデータASDに含まれる伴奏パターンデータPDを取得する。
【0059】
次に、ステップS14において、パターン伴奏音生成部16は、設定操作部102が自動伴奏の停止指示を検出したか否かを判定する。自動伴奏の停止指示が検出された場合には、ステップS15において、パターン伴奏音生成部16は、伴奏パターンデータPDの生成を停止し、パターン伴奏音の再生を停止する。
【0060】
ステップS14において、自動伴奏の停止指示が検出されない場合、ステップS16において、モード判定部12がアクセントモードまたはユニゾンモードのオンを検出したか否かを判定する。つまり、モード判定部12が、リアルタイム伴奏機能の開始指示を検出したか否かを判定する。モード判定部12がアクセントモードまたはユニゾンモードのオンを検出した場合、図7のステップS21において、リアルタイム伴奏音生成部14は、設定データSDを読み込む。
【0061】
続いて、リアルタイム伴奏音生成部14は、パターン伴奏音を停止させる演奏パートが存在する場合には、パターン伴奏音生成部16に対してパターン伴奏音の停止指示を与える。リアルタイム伴奏音生成部14は、設定データSDを参照し、「ミュート対象」において、演奏パート単位での停止(ミュート)が設定されている場合には、その演奏パートについてのパターン伴奏音の停止指示を行う。この指示に応じて、パターン伴奏音生成部16は、停止指示が与えられた演奏パートについては伴奏パターンデータPDの出力を停止する(ステップS22)。
【0062】
次に、ステップS23において、モード判定部12は、現在設定されているモードの停止指示を検出したか否かを判定する。モード判定部12が、モードの停止指示を検出した場合、リアルタイム伴奏音生成部14は、リアルタイム伴奏データRDの生成を停止する(ステップS24)。また、リアルタイム伴奏音生成部14は、パターン伴奏音生成部16に対して、停止(ミュート)させている演奏パートについてのパターン伴奏音の再開を指示する(ステップS25)。その後、処理は、図6のステップS14に戻る。
【0063】
ステップS23において、モード判定部12が、モードの停止指示を検出しなかった場合、ステップS26において、モード判定部12は、モードの変更指示を検出したか否かを判定する。例えば、アクセントモードからユニゾンモードへのモード変更などが行われたか否かを判定する。モード変更指示を検出した場合、ステップS21に戻り、再び、変更後のモードの設定データSDを読み込む。モード変更指示を検出しなかった場合、図8のステップS31において、演奏音入力部11は、ノートオンを取得したか否かを判定する。ノートオンは、鍵盤の押鍵などによる演奏音の入力イベントである。つまり、演奏音入力部11は、演奏者による演奏データ(演奏音)の入力を取得したか否かを判定する。
【0064】
演奏音入力部11が、ノートオンを取得したとき、ステップS32において、特定部13は、取得した演奏音に基づいてリアルタイム伴奏音を生成する演奏パートを特定する。特定部13は、設定データSDを参照し、現在設定されているモードに対応する「変換先」-「パート」情報から、リアルタイム伴奏音を生成する演奏パートを特定する。続いて、ステップS33において、リアルタイム伴奏音生成部14が、特定された演奏パートについてリアルタイム伴奏データRDを生成する。リアルタイム伴奏音生成部14は、設定データSDを参照し、現在設定されているモードに対応する「変換先」-「音高(楽器)」情報から、生成するリアルタイム伴奏音の音高、音色、音量などを決定する。
【0065】
リアルタイム伴奏音生成部14において生成されたリアルタイム伴奏データRDは、伴奏音出力部17に与えられる。伴奏音出力部17は、ノートオンで取得した演奏音と発音タイミングを合わせてリアルタイム伴奏データRDを音源104に出力する。複数の演奏パートについてのリアルタイム伴奏データRDが再生される場合には、複数の演奏パートのリアルタイム伴奏データRDを、演奏音と発音タイミングを合わせて音源104に出力する。これにより、サウンドシステム105からは、演奏音と複数の演奏パートのリアルタイム伴奏音が発音タイミングを合わせて出力される。
【0066】
ステップS34において、演奏音入力部11は、ノートオフを取得したか否かを判定する。ノートオフは演奏データ(演奏音)の入力がオン状態からオフ状態へ状態遷移したことを示す。演奏音入力部11がノートオフを取得したとき、ステップS35において、リアルタイム伴奏音生成部14は、ノートオフに追従するリアルタイム伴奏音を停止させる。
【0067】
(7)自動伴奏生成のシーケンス
図9は、パターン伴奏音およびリアルタイム伴奏音を含む自動伴奏音のシーケンス図である。図9は、図の左から右に向かって時間が進んでいる。まず、時刻T1において、自動伴奏の開始が指示され、パターン伴奏音の生成が開始されている。パターン伴奏音は、メインドラムパート、ベースパート、コード1パートおよびフレーズ1パートの演奏パートにおいて生成されている。時刻T1の後、演奏者による演奏音と合わせてパターン伴奏音が生成されている。
【0068】
次に、時刻T2において、ユニゾンモードのオンが検出されている。これにより、ベースパート、コード1パートおよびフレーズ1パートの演奏パートについては、パターン伴奏音が停止(ミュート)される。時刻T2以降も、メインドラムパートについては、パターン伴奏音の生成が継続される。
【0069】
次に、時刻T3において、演奏音が入力される。この演奏音に基づいて、メインドラムパート、ベースパートおよびコード1パートにおいてリアルタイム伴奏音が生成されている。そして、時刻T3において、メインドラムパートのパターン伴奏音は停止(ミュート)されている。時刻T4~T5の間において、再び演奏音が入力される。この演奏音に基づいて、メインドラムパート、ベースパートおよびフレーズ1パートにおいてリアルタイム伴奏音が生成されている。そして、時刻T4~T5の間、メインドラムパートのパターン伴奏音は停止(ミュート)されている。続いて、時刻T6において、演奏音が入力される。この演奏音に基づいて、全ての演奏パートにおいてリアルタイム伴奏音が生成されている。そして、時刻T6において、メインドラムパートのパターン伴奏音は停止(ミュート)されている。
【0070】
(8)実施の形態の効果
本実施の形態の伴奏音生成装置は、入力した演奏音に基づいて、リアルタイム伴奏音を生成する複数の演奏パートを特定し、演奏音ごとに、特定された複数の演奏パートに属するリアルタイム伴奏音を生成する。そして、複数の演奏パートにおいて生成されたリアルタイム伴奏音は、発音タイミングを合わせて出力される。これにより、演奏者は、変化に富んだ自動伴奏音を楽しむことができる。演奏音ごとにリアルタイム伴奏音が生成されるので、演奏者に単調な伴奏音の印象を与えることがない。
【0071】
また、本実施の形態によれば、演奏音からリアルタイム伴奏音を生成するモードとして、複数のモードが用意されている。そして、設定データSDには、各モードにおいてリアルタイム伴奏音を生成する複数の演奏パートが登録されている。演奏者の好みのモードに合わせてリアルタイム伴奏音をアレンジすることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、設定データSDは、各モードにおいて演奏音に基づいて生成するリアルタイム伴奏音の生成規則に関する情報を含んでいる。そして、リアルタイム伴奏音生成部14は、設定データSDを参照し、設定されたモードに対応する生成規則に基づいて、演奏音からリアルタイム伴奏音を生成する。演奏者の好みのモードに合わせてリアルタイム伴奏音をアレンジすることができる。
【0073】
例えば、人同士の演奏であれば、曲のシンコペーションや“決め”箇所がある場合、演奏者はその箇所に合わせた演奏を行う。しかし、従来の自動伴奏音生成装置は、パターン伴奏音を用いるため、このような演奏に対応することはできない。つまり、人同士であれば実現できる一体感のある演奏表現は、それに対応するような伴奏音データを事前に用意しない限りは、対応することができない。仮にこのような伴奏音データを事前に用意するとすれば、膨大なデータが必要となる。また、このような伴奏音データを一般ユーザが作成することは困難であり、時間を要する作業となる。本実施の形態の伴奏音生成装置であれば、演奏音ごとに演奏パートが特定され、演奏音に基づいてリアルタイム伴奏音が生成されるので、シンコペーションや“決め”などの演奏に即興的に合った自動伴奏音をリアルタイムで再生することができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、パターン伴奏音生成部16は、リアルタイム伴奏音が生成されている間、同じ演奏パートについては、パターン伴奏音の生成を停止する。リアルタイム伴奏音が聞き取り易くなり、演奏者は、リアルタイム伴奏音を楽しむことができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、パターン伴奏音生成部16は、リアルタイム伴奏音を生成するいずれかのモードがオンされたとき、例えば、ベースパート、コードパート、パッドパートまたはフレーズパート等の演奏パートについては、パターン伴奏音の生成を停止する。リアルタイム伴奏音が聞き取り易くなり、演奏者は、リアルタイム伴奏音を楽しむことができる。また、リアルタイム伴奏音を生成するいずれかのモードがオンされたとき、例えば、メインドラムパート等の演奏パートについては、パターン伴奏音の生成を継続する。演奏者は、パターン伴奏音の流れの中でリアルタイム伴奏音を楽しむことが可能である。
【0076】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記の実施の形態では、リアルタイム伴奏音が請求項における伴奏音の例である。上記の実施の形態では、設定データSDが設定情報の例である。上記の実施の形態では、図4における「演奏音(入力音)」および「強さ条件」が演奏音の特徴の例であり、図4における「変換先」-「音高(楽器)」が伴奏音の特徴の例である。上記の実施の形態では、図9におけるベースパート、コード1パートおよびフレーズ1パートが第1の演奏パートの例であり、メインドラムパートが第2の演奏パートの例である。なお、第1の演奏パートは、複数の演奏パートを含んでいる場合もある。また、第2の演奏パートが複数の演奏パートを含んでいる場合もある。
【0077】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する種々の要素を用いることもできる。
【0078】
(10)他の実施の形態
上記実施の形態においては、リアルタイム伴奏のモードとして、アクセントモードおよびユニゾンモードを例に説明したが、これは一例である。例えば、ハードロックモード、ジャズモード等、カテゴリーに対応したモード等を準備してもよい。
【0079】
上記実施の形態においては、リアルタイム伴奏音の音色、音量等については、設定データSDの「変換先」-「音高(楽器)」を参照して決定された。他の実施の形態としては、現在パターン伴奏音で設定されているカテゴリー、ジャンルに基づいて、伴奏スタイルデータASDを参照することで、リアルタイム伴奏音の音色、音量等を決定してもよい。
【0080】
上記実施の形態においては、リアルタイム伴奏音のモードがオンになっている間、メインドラムパート以外の演奏パートについてはミュートの設定とし、メインドラムパートだけパターン伴奏音を継続した。他の実施の形態として、メインドラムパートと合わせて、他の一部の演奏パートもパターン伴奏音を継続させてもよい。例えば、メインドラムパートおよびベースパートを継続させてもよい。
【0081】
また、ユニゾンモードから他のモードへの変更時(ユニゾンモードのオフ、または、アクセントモードへの変更)は、コード変更指示を受けるまで、リズム以外の伴奏パートを復帰させないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…電子楽器、11…演奏音入力部、12…モード判定部、13…特定部、14…リアルタイム伴奏音生成部、15…伴奏スタイルデータ取得部、16…パターン伴奏音生成部、17…伴奏音出力部、101…演奏操作部、102…設定操作部、106…CPU、107…RAM、108…ROM、109…記憶装置、P1…伴奏音生成プログラム、SD…設定データ、ASD…伴奏スタイルデータ、PD…伴奏パターンデータ、RD…リアルタイム伴奏データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9