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特許7419833車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/243 20180101AFI20240116BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240116BHJP
   F21S 43/145 20180101ALI20240116BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20240116BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20240116BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240116BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20240116BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240116BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240116BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20240116BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240116BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240116BHJP
【FI】
F21S43/243
F21S43/14
F21S43/145
F21S43/239
F21S43/241
F21V8/00 310
F21V8/00 320
F21V8/00 340
F21W103:45
F21W103:35
F21W103:20
F21W103:40
F21W103:00
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020008076
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021118028
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢田部 学
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021313(JP,A)
【文献】特開2015-103327(JP,A)
【文献】特開2014-060040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/243
F21S 43/14
F21S 43/145
F21S 43/239
F21S 43/241
F21V 8/00
F21W 103/45
F21W 103/35
F21W 103/20
F21W 103/40
F21W 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具のインナーレンズであって、
入射部分と、
出射部分と、
前記入射部分と前記出射部分との間の中間部分と、
を備え、
前記入射部分には、光源からの光を平行な入射光として入射させる入射面が、設けられていて、
前記出射部分には、
前記入射光のうちの一部の前記入射光を第1出射光として出射させる第1出射面と、
前記入射光のうちの残りの前記入射光を反射光として反射させる反射面と、
前記第1出射面と前記反射面との間に隣接して配置されていて、前記反射光を、前記第1出射光の出射方向に対して異なる方向に、第2出射光として出射させる第2出射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記第1出射面、前記第2出射面および前記反射面は、上下方向に隣接し、前記入射部分、前記中間部分および前記出射部分は、前記上下方向を板厚方向とする導光体から構成されている、
ことを特徴とする車両用灯具のインナーレンズ。
【請求項2】
車両用灯具のインナーレンズであって、
入射部分と、
出射部分と、
前記入射部分と前記出射部分との間の中間部分と、
を備え、
前記入射部分には、光源からの光を平行な入射光として入射させる入射面が、設けられていて、
前記出射部分には、
前記入射光のうちの一部の前記入射光を第1出射光として出射させる第1出射面と、
前記入射光のうちの残りの前記入射光を反射光として反射させる反射面と、
前記第1出射面と前記反射面との間に隣接して配置されていて、前記反射光を、前記第1出射光の出射方向に対して異なる方向に、第2出射光として出射させる第2出射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記入射部分には、入射側突出部が、前記入射光に対して交差する方向に突出して設けられていて、
前記入射側突出部には、
前記入射面に隣接して配置されていて、光源からの光を平行な追加入射光として追加入射させる追加入射面と、
前記追加入射光を平行な第1反射光として反射させる第1反射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記出射部分には、出射側突出部が、前記入射側突出部の突出方向に対して反対方向に突出して設けられていて、
前記出射側突出部には、
前記第1反射光を平行な第2反射光として反射させる第2反射面と、
前記第2反射光を第3反射光として反射させる第3反射面と、
前記第3反射面に隣接して配置されていて、前記第3反射光を、前記第1出射光および前記第2出射光の出射方向に対して異なる方向に、第3出射光として出射させる第3出射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記第3反射面および前記第3出射面は、前記第1出射面、前記第2出射面および前記反射面に隣接して配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具のインナーレンズ。
【請求項3】
前記入射部分には、入射側突出部が、前記入射光に対して交差する方向に突出して設けられていて、
前記入射側突出部には、
前記入射面に隣接して配置されていて、光源からの光を平行な追加入射光として追加入射させる追加入射面と、
前記追加入射光を平行な第1反射光として反射させる第1反射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記出射部分には、出射側突出部が、前記入射側突出部の突出方向に対して反対方向に突出して設けられていて、
前記出射側突出部には、
前記第1反射光を平行な第2反射光として反射させる第2反射面と、
前記第2反射光を第3反射光として反射させる第3反射面と、
前記第3反射面に隣接して配置されていて、前記第3反射光を、前記第1出射光および前記第2出射光の出射方向に対して異なる方向に、第3出射光として出射させる第3出射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記第3反射面および前記第3出射面は、前記第1出射面、前記第2出射面および前記反射面に隣接して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具のインナーレンズ。
【請求項4】
灯室を形成するランプハウジング、ランプレンズおよび装飾部材と、
前記灯室内に配置されている光源、および、前記の請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用灯具のインナーレンズと、
を備え、
前記装飾部材は、前記ランプレンズの周囲に配置されていて、
前記入射部分は、前記光源に対向し、
前記出射部分は、前記ランプレンズに対向している、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
灯室を形成するランプハウジング、ランプレンズおよび装飾部材と、
前記灯室内に配置されている光源、および、車両用灯具のインナーレンズと、
を備え、
前記車両用灯具のインナーレンズは、
入射部分と、
出射部分と、
前記入射部分と前記出射部分との間の中間部分と、
を備え、
前記入射部分には、光源からの光を平行な入射光として入射させる入射面が、設けられていて、
前記出射部分には、
前記入射光のうちの一部の前記入射光を第1出射光として出射させる第1出射面と、
前記入射光のうちの残りの前記入射光を反射光として反射させる反射面と、
前記第1出射面と前記反射面との間に隣接して配置されていて、前記反射光を、前記第1出射光の出射方向に対して異なる方向に、第2出射光として出射させる第2出射面と、
が、それぞれ、設けられていて、
前記装飾部材は、前記ランプレンズの周囲に配置されていて、
前記入射部分は、前記光源に対向し、
前記出射部分は、前記ランプレンズに対向している、
ことを特徴とする車両用灯具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具のインナーレンズに関する。また、この発明は、車両用灯具のインナーレンズを備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具のインナーレンズ、および、車両用灯具のインナーレンズを備える車両用灯具として、たとえば、特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1について説明する。
【0003】
特許文献1の車両用灯具は、光源と、導光レンズと、を備え、導光レンズの出射部が、光を第一照射方向に向けて出射させる第一出光面と、正面視で第一出光面に隣接させて設けられ、光を前方に向けて出射させる第二出光面と、を有し、第二出光面の前方には、第二出光面を覆うとともに、第二出光面から出射された光を第一照射方向とは異なる第二照射方向に向けて反射させる反射部材が配置されている、ものである。
【0004】
特許文献1の車両用灯具は、導光レンズを用いて互いに異なる2方向を照明することができ、しかも、出光部を灯具前方に露出させる開口幅を狭くすることができる、ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-62963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の車両用灯具は、第二出光面から出射された光を、反射部材において、第一照射方向とは異なる第二照射方向に向けて反射させる、ものであるから、第二照射方向に向けて反射された光の光量が反射部材の反射率分低下する。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、光の光量を低下させることなく、互いに異なる2方向を照明することができ車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両用灯具のインナーレンズは、入射部分と、出射部分と、入射部分と出射部分との間の中間部分と、を備え、入射部分には、光源からの光を平行な入射光として入射させる入射面が、設けられていて、出射部分には、入射光のうちの一部の入射光を第1出射光として出射させる第1出射面と、入射光のうちの残りの入射光を反射光として反射させる反射面と、第1出射面と反射面との間に隣接して配置されていて、反射光を、第1出射光の出射方向に対して異なる方向に、第2出射光として出射させる第2出射面と、が、それぞれ、設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用灯具のインナーレンズにおいて、第1出射面、第2出射面および反射面が、上下方向に隣接し、入射部分、中間部分および出射部分が、上下方向を板厚方向とする導光体から構成されている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用灯具のインナーレンズにおいて、入射部分には、入射側突出部が、入射光に対して交差する方向に突出して設けられていて、入射側突出部には、入射面に隣接して配置されていて、光源からの光を平行な追加入射光として追加入射させる追加入射面と、追加入射光を平行な第1反射光として反射させる第1反射面とが、それぞれ設けられていて、出射部分には、出射側突出部が、入射側突出部の突出方向に対して反対方向に突出して設けられていて、出射側突出部には、第1反射光を平行な第2反射光として反射させる第2反射面と、第2反射光を第3反射光として反射させる第3反射面と、第3反射面に隣接して配置されていて、第3反射光を、第1出射光および第2出射光の出射方向に対して異なる方向に、第3出射光として出射させる第3出射面とが、それぞれ設けられていて、第3反射面および第3出射面が、第1出射面、第2出射面および反射面に隣接して配置されている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成するランプハウジング、ランプレンズおよび装飾部材と、灯室内に配置されている光源、および、この発明の車両用灯具のインナーレンズと、を備え、装飾部材が、ランプレンズの周囲に配置されていて、入射部分が、光源に対向し、出射部分が、ランプレンズに対向している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明の車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具は、光の光量を低下させることなく、互いに異なる2方向を照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具の実施形態を示す使用状態の車両の背面図(車両Vの後側から前側を見た図)である。
図2図2は、非点灯時の状態を示す車両用灯具の縦断面図(図1におけるII-II線断面図)である。
図3図3は、点灯時の状態を示す車両用灯具の縦断面図(図2に対応する縦断面図)である。
図4図4は、インナーレンズの入射部分側の光路のうち一部の光路を示す拡大縦断面説明図である。
図5図5は、インナーレンズの出射部分側の光路のうち一部の光路を示す拡大縦断面説明図である。
図6図6は、インナーレンズの入射部分、出射部分および中間部分を示す拡大縦断面説明図である。
図7図7は、非点灯時の状態を示す光源およびインナーレンズの横断面説明図(図2におけるVII-VII線断面説明図)である。
図8図8は、点灯時の状態を示す光源およびインナーレンズの横断面説明図(図7に対応する横断面説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
なお、この明細書および別紙の特許請求の範囲において、「平行」とは、製造公差による平行を含む。このため、この明細書および別紙の特許請求の範囲における「平行」は、完全な平行およびほぼ平行を含む。また、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。さらに、図面において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。
【0016】
なお、図面は、この発明にかかる車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具の詳細な部分は、図面においては省略されている。また、インナーレンズおよびランプレンズにおいては、ハッチングが省略されている。
【0017】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用灯具のインナーレンズ、車両用灯具の構成について説明する。図中、符号1L、1Rは、この実施形態にかかる車両用灯具(以下、単に「車両用灯具」と称する)である。また、図中、符号3は、この実施形態にかかる車両用灯具のインナーレンズ(以下、単に「インナーレンズ」と称する)である。なお、この実施形態において、正面は、車両Vの後側の面であり、背面は、車両Vの前側の面である。
【0018】
(車両用灯具1L、1Rの説明)
車両用灯具1L、1Rは、この例では、リヤコンビネーションランプのバックアップランプである。車両用灯具1L、1Rは、図1に示すように、車両Vの後部の左右両側にそれぞれ装備される。
【0019】
以下、車両Vの右側に取り付けられている車両用灯具1Rについて説明する。なお、車両Vの左側に取り付けられている車両用灯具1Lは、車両Vの右側に取り付けられている車両用灯具1Rの構成とほぼ左右対称である。このために、車両Vの左側に取り付けられている車両用灯具1Lの説明を省略する。
【0020】
車両用灯具1Rは、図2および図3に示すように、ランプハウジング10と、ランプレンズ11と、装飾部材(ベゼル)12と、インナーパネル(インナーハウジング、エクステンション)13と、隔壁部材14と、光源2と、インナーレンズ3と、を備える。
【0021】
ランプハウジング10および装飾部材12は、たとえば、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。
【0022】
ランプレンズ11は、たとえば、素通しのアウターカバー、アウターレンズなどである。ランプレンズ11は、この例では、PC、PMMAなどの光透過性の樹脂部材から構成されている。
【0023】
ランプレンズ11および装飾部材12は、ランプハウジング10に取り付けられている。これにより、ランプハウジング10、ランプレンズ11および装飾部材12は、灯室15を形成する。装飾部材12は、ランプレンズ11の周囲に配置されている。
【0024】
灯室15内には、インナーパネル13、隔壁部材14、光源2、および、インナーレンズ3がそれぞれ配置されている。なお、灯室15内には、隔壁部材14を隔ててその他のランプユニット(図示せず)が配置されている。その他のランプユニットとしては、たとえば、ターンシグナルランプ、テールランプ、ストップランプ、テール・ストップランプなどである。
【0025】
(光源2の説明)
光源2は、図2図3図7および図8に示すように、平板形状をなす基板21と、基板21の実装面に実装されている発光素子22と、ソケット23と、を有する。光源2は、ソケット23を介してランプハウジング10に取り付けられている。
【0026】
発光素子22は、この例では、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型発光素子(半導体発光素子)である。発光素子22は、微小な発光面を有する。発光素子22の発光面は、光L1を放射光L1として、インナーレンズ3側に放射する。光L1は、この例では、白色光である。光源2の光軸Zは、発光素子22の発光面の中心を通りかつ発光素子22の発光面に対して垂直である。
【0027】
(インナーレンズ3の説明)
インナーレンズ3は、光透過性の部材(樹脂部材など)であって、この例では、アクリル樹脂などの無色透明樹脂材からなる。インナーレンズ3は、ランプハウジング10に、直接、または、取付ブラケットなどの取付部材を介して取り付けられている。
【0028】
インナーレンズ3は、図2から図8に示すように、入射部分4と、出射部分5と、中間部分6と、を備える。インナーレンズ3の入射部分4、出射部分5および中間部分6は、上下方向を板厚方向とする導光体から構成されている。すなわち、インナーレンズ3は、板形状をなす導光体から構成されている。
【0029】
入射部分4は、図6中の左端の1番目の縦の二点鎖線と左端から3番目の縦の二点鎖線との間の部分である。出射部分5は、図6中の右端の1番目の縦の二点鎖線と右端から3番目の縦の二点鎖線との間の部分である。中間部分6は、図6中の左端から3番目の縦の二点鎖線と右端から3番目の縦の二点鎖線との間の部分である。
【0030】
これにより、インナーレンズ3の入射部分4および出射部分5の上面31は、平面をなす。また、インナーレンズ3の出射部分5および中間部分6の下面32も、平面をなす。
【0031】
(入射部分4の説明)
入射部分4は、光源2に対向する。入射部分4には、第1入射面41、第2入射面42および入射側反射面43が、それぞれ、設けられている。
【0032】
第1入射面41は、光源2からの光L1のうち中央部の光L1(発光面の中心を点(角の頂点)とする立体角が約70°~80°の光L1)を、平行な第1入射光L2として屈折入射させる面である。第1入射光L2は、光軸Zと平行である。第1入射面41は、光源2の発光面に対向して設けられている。第1入射面41は、発光面の中心もしくはその近傍を焦点とする双曲線を、双曲線の主軸(光軸Z)を回転軸として回転させてなる回転双曲面の屈折面である。
【0033】
第2入射面42は、光源2からの光L1のうち周囲部の光L1(発光面の中心を点(角の頂点)とする立体角が約70°~80°から約180°までの間の光L1)を、屈折入射光L3として屈折入射させる面である。第2入射面42は、第1入射面41の外周側部であって、光源の発光面に対向して設けられている。第2入射面42は、直線もしくは曲線を、光軸Zを回転軸として回転させてなる回転面の屈折面である。第2入射面42は、光軸Z方向に対して、少なくとも、インナーレンズ3の成形金型(図示せず)の抜き勾配(図示せず)分傾斜してなる屈折面である。
【0034】
入射側反射面43は、第2入射面42から入射した屈折入射光L3を光軸Zと平行な第2入射光L4として全反射させる面である。入射側反射面43は、光源2の発光面の中心もしくはその近傍を焦点とする放物線を、光軸Zを回転軸として回転させてなる回転放物面である。または、入射側反射面43は、前記の放物線に倣った直線を、光軸Zを回転軸として回転させてなる回転面の反射面である。
【0035】
(出射部分5の説明)
出射部分5は、ランプレンズ11に対向している。出射部分5には、第1出射面51、第2出射面52および反射面としての出射側反射面53が、それぞれ、設けられている。
【0036】
第1出射面51は、第1入射光L2および第2入射光L4のうちの一部の入射光L5を第1出射光L6として出射させる面である。第1出射面51は、インナーレンズ3の上下方向の中央部分から下側部分までの間(図6中の一点鎖線よりも下側の部分)に設けられている。
【0037】
第1出射面51は、この例では、3つの面からなる。なお、第1出射面51は、1つの面、2つの面、4つ以上の面からなるものであっても良い。3つの第1出射面51の間には、繋面がそれぞれ設けられている。この結果、第1出射面51と繋面とは、プリズム形状を形成する。
【0038】
第1出射光L6は、バックアップランプの配光を満足する。バックアップランプの配光は、スクリーン(図示せず)の上下垂直線から左右に約45°までの範囲と、スクリーンの左右水平線から上約10°、下約5°までの範囲とに囲まれたゾーンを照明するものであって、所定のポイントにおいて所定の光度を有するものである。
【0039】
出射側反射面53は、第1入射光L2および第2入射光L4のうちの残りの入射光L7を反射光L8として全反射させる面である。出射側反射面53は、インナーレンズ3の上下方向の上側部分までの間(図6中の一点鎖線よりも上側の部分)に設けられている。
【0040】
第2出射面52は、第1出射面51と出射側反射面53との間に上下に隣接して配置されている。第2出射面52は、反射光L8を、第1出射光L6の出射方向に対して異なる方向に、第2出射光L9として屈折出射させる面である。
【0041】
第2出射光L9は、車両Vの後側の近傍の路面(図示せず)を照明する。第2出射光L9が路面を照明することにより、ドライバーが車両Vの後側の近傍の路面を視認し易くなり、また、撮像装置(カメラ)が車両Vの後側の近傍の路面を確実に撮像することができる。
【0042】
第1出射面51、第2出射面52および出射側反射面53の隣接方向は、上下方向であって、インナーレンズ3(入射部分4、中間部分6および出射部分5)の板厚方向である。また、第2出射面52と出射側反射面53とは、プリズム形状を形成する。
【0043】
(中間部分6の説明)
中間部分6は、入射部分4と出射部分5との間に一体に設けられている。これにより、インナーレンズ3の入射部分4、出射部分5および中間部分6は、光軸Zに沿って、配置されている。なお、図7および図8においては、中間部分6の図示を省略している。図7および図8中において、下側の部分が入射部分4であり、上側の部分が出射部分5である。
【0044】
(入射側突出部7の説明)
入射部分4の下面(図6中の左側の横の二点鎖線を参照)には、入射側突出部7が、入射光L2に対して交差する方向であって下方向に突出して設けられている。入射側突出部7には、追加入射面71および第1反射面72が、それぞれ、設けられている。
【0045】
追加入射面71は、第1入射面41、第2入射面42および入射側反射面43の下側に隣接して配置されている。追加入射面71は、第1入射面41、第2入射面42および入射側反射面43を下側に延長して設けた面である。追加入射面71は、光源2からの光L1を平行な追加入射光L10として追加入射させる面である。
【0046】
第1反射面72は、入射側突出部7の中間部分6寄りの部分、すなわち、図6中の左端の2番目の縦の二点鎖線と左端から3番目の縦の二点鎖線との間の部分、に設けられている。第1反射面72は、追加入射光L10を平行な第1反射光L11として、出射側突出部8側に全反射させる面である。第1反射面72は、第1反射光L11に沿って傾斜している。
【0047】
(出射側突出部8の説明)
出射部分5の上面(図6中の右側の横の二点鎖線を参照)には、出射側突出部8が、入射側突出部7の突出方向(下方向)に対して反対方向(上方向)に突出して設けられている。出射側突出部8には、第2反射面81、第3反射面82および第3出射面83が、それぞれ、設けられている。
【0048】
第2反射面81は、出射側突出部8の中間部分6寄りの部分、すなわち、図6中の右端の2番目の縦の二点鎖線と右端から3番目の縦の二点鎖線との間の部分、に設けられている。第2反射面81は、第1反射光L11を平行な第2反射光L12として全反射させる面である。第2反射光L12は、入射光L2、L4、L5、L7に平行である。第2反射面81は、第1反射光L11に沿って傾斜している。
【0049】
第3反射面82は、出射側突出部8の右端に設けられている。第3反射面82は、第2反射光L12を平行な第3反射光L13として全反射させる面である。
【0050】
第3出射面83は、第3反射面82の下側に隣接して配置されている。第3出射面83は、第3反射光L13を、第1出射光L6および第2出射光L9の出射方向に対して異なる方向に、第3出射光L14として屈折出射させる面である。
【0051】
第3出射光L14は、車両Vの後側の近傍の路面であって、第2出射光L9が照明する路面よりも車両Vに近い路面を照明する。第3出射光L14が路面を照明することにより、第2出射光L9の路面照明と相俟って、ドライバーが車両Vの後側の近傍の路面をさらに視認し易くなり、また、撮像装置(カメラ)が車両Vの後側の近傍の路面をさらに確実に撮像することができる。
【0052】
第3反射面82および第3出射面83は、第1出射面51、第2出射面52および出射側反射面53に上下に隣接して配置されている。また、第3反射面82と第3出射面83とは、プリズム形状を形成する。
【0053】
(インナーレンズ3の板厚T1、T2、T3の説明)
インナーレンズ3の入射部分4の板厚T1は、この例では、約11mmである。インナーレンズ3の出射部分5の板厚T2は、この例では、約12mmである。インナーレンズ3の中間部分6の板厚T3は、この例では、約12mmである。
【0054】
なお、インナーレンズ3の上下方向の板厚T1、T2、T3、前後方向の長さ、左右方向の幅などは、光源2からの光L1の強さに基づいて、バックアップランプの配光を満足する条件下において決定される。
【0055】
また、インナーレンズ3の板厚T1、T2、T3に基づいて、ランプレンズ11の上下幅T4を決定することができる。ランプレンズ11の上下幅T4としては、第1出射光L6、第2出射光L9および第3出射光L14の出射を妨げない程度の幅を、最低限必要である。
【0056】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0057】
光源2の発光素子22に電力(電流)を供給して発光素子22を点灯する。すると、光源2の発光素子22から光L1が放射光L1として発する。
【0058】
この放射光L1の中央部の放射光L1は、インナーレンズ3の第1入射面41から平行な第1入射光L2としてインナーレンズ3中に入射する。
【0059】
この放射光L1の周囲部の放射光L1は、インナーレンズ3の第2入射面42から屈折入射光L3としてインナーレンズ3中に入射する。屈折入射光L3は、インナーレンズ3の入射側反射面43において、平行な第2入射光L4として、全反射する。
【0060】
この第1入射光L2および第2入射光L4の一部の入射光L5は、インナーレンズ3の第1出射面51から第1出射光L6として出射する。第1出射光L6は、ランプレンズ11を透過して車両Vの後側をバックアップランプの配光として照明する。
【0061】
この第1入射光L2および第2入射光L4の残りの入射光L7は、インナーレンズ3の出射側反射面53において、反射光L8として全反射する。この反射光L8は、インナーレンズ3の第2出射面52から第2出射光L9として出射する。第2出射光L9は、ランプレンズ11を透過して車両Vの後側の路面を照明する。
【0062】
また、放射光L1の周囲部の放射光L1の一部は、インナーレンズ3の追加入射面71から平行な追加入射光L10としてインナーレンズ3中に入射する。追加入射光L10は、第1反射面72において、平行な第1反射光L11として全反射する。
【0063】
第1反射光L11は、第2反射面81において、入射光L2、L4、L5、L7に平行であり、かつ、相互に平行な第2反射光L12として全反射する。第2反射光L12は、第3反射面82において、平行な第3反射光L13として全反射する。
【0064】
第3反射光L13は、第3出射面83から第3出射光L14として出射する。第3出射光L14は、ランプレンズ11を透過して車両Vの後側の路面であって、第2出射光L9が照明する路面よりも車両Vに近い路面を照明する。
【0065】
なお、図4および図5において、光源2からの光L1の光路の一部、および、入射光L2、L4のうちの入射光の一部L5の光路の図示は、省略されている。
【0066】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0067】
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、入射光の一部L5をインナーレンズ3の第1出射面51から第1出射光L6として出射させ、かつ、入射光の残りL7をインナーレンズ3の出射側反射面53で反射光L8として反射させ、その反射光L8をインナーレンズ3の第2出射面52から第2出射光L9として出射させるものである。この結果、この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、光の光量を低下させることなく、互いに異なる2方向を照明することができる。
【0068】
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、第1出射面51と出射側反射面53との間に第2出射面52を上下に隣接して配置したものであるから、第1出射面51、第2出射面52および出射側反射面53の上下方向の幅を小さくすることができる。この結果、この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、第1出射面51、第2出射面52および出射側反射面53に対向するランプレンズ11の上下幅T4を小さくすることができるので、バックアップランプの発光面のデザイン形状を広げることができる。たとえば、横長の発光面のデザイン形状とすることができる。
【0069】
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、入射部分4、中間部分6および出射部分5が第1出射面51、第2出射面52および出射側反射面53の上下方向の隣接方向を板厚方向とする板形状の導光体から構成されている、ものであるから、インナーレンズ3の上下方向の板厚T1、T2、T3を小さくすることができる。この結果、この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、インナーレンズ3の材料や重量を軽減することができ、その分、安価にかつ容易に製造することができる。
【0070】
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、入射部分4に入射側突出部7を設け、その入射側突出部7に追加入射面71および第1反射面72を設け、かつ、出射部分5に出射側突出部8を設け、その出射側突出部8に第2反射面81、第3反射面82および第3出射面83を設けた、ものである。この結果、この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、第3出射光L14を、第1出射光L6および第2出射光L9の出射方向に対して異なる方向に、出射させることができる。すなわち、この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、出射光(第1出射光L6、第2出射光L9および第3出射光L14)を、3つの方向に、出射させることができる。
【0071】
この実施形態にかかるインナーレンズ3、車両用灯具1は、第3反射面82および第3出射面83を、第1出射面51、第2出射面52および出射側反射面53に上下に隣接して配置したものであるから、第1出射面51、第2出射面52、出射側反射面53、第3反射面82および第3出射面83の上下方向の幅を小さく抑えることができる。
【0072】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、バックアップランプについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、バックアップランプ以外のランプ、たとえば、テール・ストップランプ、ストップランプ、バックアップランプ、ターンシグナルランプ、または、リヤフォグランプなどのランプであっても良い。しかも、リヤコンビネーションランプ以外に、フロントコンビネーションランプ、室内ランプなどであっても良い。
【0073】
また、前記の実施形態においては、インナーレンズ3の入射部分4、出射部分5および中間部分6が光軸Zに沿って配置されている、ものである。しかしながら、この発明においては、インナーレンズ3の入射部分4、出射部分5および中間部分6を、前記の特許文献1中の図3に示すように、光軸Zに対して段違いに配置しても良い。
【0074】
さらに、前記の実施形態においては、入射部分4の下面に入射側突出部7を突出して設け、かつ、出射部分5の上面に出射側突出部8を突出して設けたものである。しかしながら、この発明においては、入射側突出部7および出射側突出部8を設けないものであっても良い。
【0075】
さらにまた、前記の実施形態においては、入射部分4の下面に入射側突出部7を下に突出して設け、かつ、出射部分5の上面に出射側突出部8を上に突出して設けたものである。しかしながら、この発明においては、入射部分4の上面に入射側突出部7を上に突出して設け、かつ、出射部分5の下面に出射側突出部8を下に突出して設けたものであっても良い。
【0076】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
1L、1R 車両用灯具
10 ランプハウジング
11 ランプレンズ
12 装飾部材
13 インナーパネル
14 隔壁部材
15 灯室
2 光源
21 基板
22 発光素子
23 ソケット
3 インナーレンズ
31 上面
32 下面
4 入射部分
41 第1入射面
42 第2入射面
43 入射側反射面
5 出射部分
51 第1出射面
52 第2出射面
53 出射側反射面
6 中間部分
7 入射側突出部
71 追加入射面
72 第1反射面
8 出射側突出部
81 第2反射面
82 第3反射面
83 第3出射面
B 後
D 下
F 前
L 左
L1 光(光源2からの光、放射光)
L2 第1入射光
L3 屈折入射光
L4 第2入射光
L5 一部の入射光
L6 第1出射光
L7 残りの入射光
L8 反射光
L9 第2出射光
L10 追加入射光
L11 第1反射光
L12 第2反射光
L13 第3反射光
L14 第3出射光
R 右
T1 入射部分4の板厚
T2 出射部分5の板厚
T3 中間部分6の板厚
T4 ランプレンズ11の上下幅
U 上
V 車両
Z 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8