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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240116BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03G21/00 538
G03G15/20 510
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020016400
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021124554
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山木 秀郎
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070945(JP,A)
【文献】特開2006-119507(JP,A)
【文献】特開2005-122018(JP,A)
【文献】特開2015-099341(JP,A)
【文献】特開2007-106572(JP,A)
【文献】特開2006-330434(JP,A)
【文献】特開2007-003922(JP,A)
【文献】特開2012-242787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記トナー画像が転写された記録材を挟持し、前記トナー画像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部よりも前記記録材の搬送方向の上流側に設けられた、回転駆動する駆動部材と、
前記駆動部材に接して回転駆動され、前記記録材を搬送する被駆動部材と、
前記被駆動部材の周囲の雰囲気温度を検知する機内温度センサーと、
前記画像形成部における画像形成動作を停止した後、前記機内温度センサーで検知する温度の値が所定温度以上の場合に前記駆動部材を所定期間駆動させ前記画像形成動作を停止したときからの温度の低下量が所定値となった場合に、前記駆動部材を所定期間駆動させる制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録材の種類に応じて、前記駆動部材を所定期間駆動させる温度の低下量の値を設定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被駆動部材は、当該被駆動部材の表面において前記記録材を搬送し、
前記制御部は、前記被駆動部材の走行面積と前記記録材の面積との比率を表す記録材比率に応じて、前記機内温度センサーで検知する温度の低下量の値を設定する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記機内温度センサーが検知する温度が小さくなるに従い、前記駆動部材を所定期間駆動させる温度の低下量を大きく設定する
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記機内温度センサーが検知する温度が所定の基準温度に低下するまで、前記駆動部材を前記所定期間駆動させる
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
外気温度を検知するための機外温度センサーを備え、
前記制御部は、前記外気温度を前記基準温度として設定する
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被駆動部材の移動量が、前記駆動部材と前記被駆動部材との最も大きい接触領域以上となる期間を、前記駆動部材を駆動させる前記所定期間として設定する
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記被駆動部材と接する接触部材を備え、
前記制御部は、前記被駆動部材の移動量が、前記駆動部材と前記接触部材との最も大きい接触領域以上となる期間を、前記駆動部材を駆動させる前記所定期間として設定する
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体に潜像を形成し、この潜像にトナーを付与することによって顕像化し、この顕像化されたトナー画像を転写ベルト(中間転写ベルト等)に転写(一次転写)した後、転写ベルトから記録材に転写(二次転写)し、記録材上に転写されたトナー画像を定着して排紙する。このようにトナー画像を定着する定着部としては、ハロゲンヒータ等を内蔵した定着ローラーと、定着ローラーを加圧する加圧ローラーとによって形成された定着ニップ部で、トナー画像が転写された記録材を挟持して搬送しながら、加熱及び加圧する熱ローラー定着方式が知られている。また、ハロゲンヒータ等を内蔵した加熱ローラーと定着ローラーとに張架した無端状の定着ベルトと、定着ベルトを介して定着ローラーを加圧する加圧ローラーとを有し、定着ベルトと加圧ローラーとによって形成された定着ニップ部で、トナー画像が転写された記録材を挟持して搬送しながら、加熱及び加圧するベルト定着方式が知られている。
【0003】
上記のような画像形成装置では、定着部によって加熱された空気によって、定着部の周囲にある構成、例えば、転写部を構成する転写ベルト等の温度が上昇すると、トナーの凝集や、転写ベルトの膨張による走行精度の低下等の様々な不具合が生じることが知られている。特に、近年では画像形成装置のコンパクト化が進められ、定着部と、その周囲の部位との間の隙間も狭くなる傾向にあるため、上記の熱による問題が顕著に現れやすい。
【0004】
この熱による問題を解決するために、定着部と画像形成部との間に冷媒が導入されるダクトを設ける構成が提案されている。例えば、容量の大きなシロッコファンを用いて、ダクトから冷媒として外気を効率よく大量に取り込んで下流側から定着器に吹き付け、定着部と転写部との間に設けられた開口部から排出する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-109732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の画像形成装置では、定着部の熱と圧力とによって記録材に含まれる成分が熱分解されて揮発する。定着部において記録材から揮発した熱分解生成物は、温度が高い環境下で気化した状態で拡散し、転写部を駆動する駆動部材や、この駆動部材に接して駆動される2次転写ベルトや中間転写ベルト等の被駆動部材等に付着する。これら駆動部材や被駆動部材等に付着した熱分解生成物は、温度が低いときに固着する性質を有する。このため、画像形成装置において画像形成動作を停止し、装置内の温度が低下すると駆動部材や被駆動部材とが固着する場合がある。この場合には、画像形成装置を再稼働した際に、駆動部材と被駆動部材との固着を解除するために、大きな駆動トルクが要求される。
【0007】
上述した問題の解決のため、本発明においては、記録材の熱分解生成物による駆動部材と被駆動部材との固着を抑制し、駆動部材の駆動トルクを低下させることが可能な画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナー画像を形成する画像形成部と、画像形成部によりトナー画像が転写された記録材を挟持し、トナー画像を記録材に定着させる定着部と、定着部よりも記録材の搬送方向の上流側に設けられた、回転駆動する駆動部材と、駆動部材に接して回転駆動され、記録材を搬送する被駆動部材と、被駆動部材の周囲の雰囲気温度を検知する機内温度センサーと、画像形成部における画像形成動作を停止した後、機内温度センサーで検知する温度の値が所定温度以上の場合に駆動部材を所定期間駆動させる制御部とを備える。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、トナー画像を形成する画像形成部と、画像形成部によりトナー画像が転写された記録材を挟持し、トナー画像を記録材に定着させる定着部と、定着部よりも記録材の搬送方向の上流側に設けられた、回転駆動する駆動部材と、駆動部材に接して回転駆動され、記録材を搬送する被駆動部材と、被駆動部材の周囲の雰囲気温度を検知する機内温度センサーと、画像形成部において所定値以上の稼働率で画像形成動作を行い、画像形成動作を停止した後、駆動部材を所定期間駆動させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、録材の熱分解生成物による駆動部材と被駆動部材との固着を抑制し、駆動部材や被駆動部材の駆動トルクを低下させることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】画像形成装置における定着部、及び、二次転写部付近の構成を示す図である。
図3】二次転写ベルトユニットの構成を示す図である。
図4】第1実施形態の画像形成装置のシステムブロック図である。
図5】第1実施形態の画像形成装置の制御部の機能ブロック図である。
図6】記録材の被覆面積の比率の算出方法を説明するための図である。
図7】第1実施形態の駆動制御部が転写部や二次転写ベルトユニットを駆動する条件テーブルの一例である。
図8】第1実施形態の駆動制御部が転写部や二次転写ベルトユニットを駆動する条件テーブルの一例である。
図9】第1実施形態の画像形成中から画像形成停止後までの画像形成装置の機内温度の様子と、駆動タイミングとを示すグラフである。
図10】第2実施形態の画像形成装置の制御部の機能ブロック図である。
図11】第2実施形態の駆動制御部が転写部や二次転写ベルトユニットを駆動する条件テーブルの一例である。
図12】第2実施形態の記録材の種類ごとに設定された、駆動部を駆動させる所定時間間隔に対する係数のテーブルである。
図13】第2実施形態の画像形成中から画像形成停止後までの画像形成装置の機内温度の様子と、駆動タイミングとを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の実施形態(第1実施形態)
2.画像形成装置の実施形態(第2実施形態)
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
〈1.画像形成装置の実施形態(第1実施形態)〉
画像形成装置の第1実施形態について説明する。図1に、画像形成装置の概略構成を示す。図1に示す画像形成装置1は、画像形成装置本体100と画像読取装置200とから構成される。
画像形成装置本体100は、タンデム型カラー画像形成装置であり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応した画像形成部10Y,10M,10C,10K、転写部6、定着部9、クリーニング部8A、送風部30、及び、機外温度センサー17等からなる。また、画像形成装置本体100は、画像形成装置本体100の各構成の駆動を制御する図示しない制御部(図7参照)を備える。
【0014】
画像形成装置本体100の上部には、自動原稿送り部201と原稿画像走査露光部202から構成された画像読取装置200が設置されている。画像読取装置200では、自動原稿送り部201の原稿台上に載置された原稿dが搬送部によって搬送され、原稿画像走査露光部202の光学系によって原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。ラインイメージセンサCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、各色の露光部3Y,3M,3C,3Kに送られる。
【0015】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y及びクリーニング部8Yを有している。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電部2M、露光部3M、現像部4M及びクリーニング部8Mを有している。シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電部2C、露光部3C、現像部4C及びクリーニング部8Cを有している。黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電部2K、露光部3K、現像部4K及びクリーニング部8Kを有している。そして、帯電部2Yと露光部3Y、帯電部2Mと露光部3M、帯電部2Cと露光部3C、及び帯電部2Kと露光部3Kは、それぞれ潜像形成部を構成する。
【0016】
転写部6は、駆動ローラー6B(図2参照)と、複数の従動ローラーと、各ローラーに張架されて回転可能に支持された無端状の中間転写ベルト61を備える。転写部6において、駆動ローラー6Bが、記録材を搬送するために回転駆動する駆動部材である。また、中間転写ベルト61が、駆動部材に接して回転駆動される被駆動部材である。また、従動ローラーが、被駆動部材と接する接触部材である。
画像形成部10Y,10M,10C,10Kで形成された各色のトナー画像は、一次転写部7Y,7M,7C,7Kにより中間転写ベルト61上に位置を合わせて逐次転写される(一次転写)。
【0017】
給紙部20は、給紙カセット21内に収容された記録材Sが、搬送ローラー22A,22B,22C,22D、レジストローラ23等を経て、二次転写部7Aに搬送される。そして、中間転写ベルト61上に形成されたカラーのトナー画像が、記録材Sに転写される(二次転写)。
【0018】
二次転写部7Aは、中間転写ベルト61と、中間転写ベルト61の内面側を支持するローラー6Aと、ローラー6Aと中間転写ベルト61を介して対向する位置に配置された二次転写ベルトユニット70とを備える。ローラー6Aは二次転写ベルトユニット70に対向するバックアップローラーであり、中間転写ベルト61と二次転写ベルトユニット70とにより二次転写部7Aが形成される。また、中間転写ベルト61の内周面側の二次転写部7Aの近傍には、中間転写ベルト61の温度を測定するための機内温度センサー16(図2参照)を備える。
【0019】
定着部9は、カラーのトナー画像(カラー画像)が形成された記録材Sに定着処理を行う構成であり、搬送された記録材Sを加圧及び加熱して、転写されたカラー画像を記録材Sに定着させる。二次転写部7Aにおいてカラー画像が転写された記録材Sは、定着部9において加熱及び加圧され、記録材S上にカラー画像が定着される。その後、記録材Sは、排紙ローラー24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
一方、二次転写部7Aにより記録材Sにカラー画像を転写した後、記録材Sを曲率分離した中間転写ベルト61は、クリーニング部8Aにより未定着トナーや転写残トナーが除去される。
【0020】
また、定着部9のユニット内において、定着ニップ部の記録材搬送方向の下流側には、定着ニップ部の近傍に送風する送風部30を備える。送風部30は、定着部9の定着ニップ部に送風することにより、例えば、定着部9からの記録材Sの剥離や、定着部9を通過した記録材Sの挙動の制御、記録材Sの冷却等を行う。
【0021】
機外温度センサー17は、画像形成装置1の外気温を測定するためのセンサーである。機外温度センサー17は、例えば、画像形成装置1の外気に接触するように、画像形成装置1外装体に設置される。機外温度センサー17は、外気温に応じてた信号を図示しない制御部(図7参照)に送信する。制御部は、機外温度センサー17から受信した信号を基に、画像形成装置1の外気の温度(機外温度)を取得する。
【0022】
[定着部、二次転写部の構成]
図2に、画像形成装置1における定着部9、及び、二次転写部7A付近の構成を示す。
画像形成装置1の定着部9は、定着ローラー92と、加熱部を内蔵する加熱ローラーと、定着ローラー92と加熱ローラーとに張架された無端状の定着ベルト91とを備える。さらに、定着部9は、定着ベルト91を介して定着ローラー92に記録材搬送経路を挟んで対向する、定着部9を押圧する加圧部材としての加圧ローラー94とを備える。定着部9は、定着ベルト91と加圧ローラー94との間に形成される定着ニップ部Nにおいて、トナー画像が転写された記録材Sを挟持及び搬送しながら、記録材Sのトナー画像を加熱及び加圧して定着する。
【0023】
定着部9では、記録材Sに含まれる成分が定着部9での加熱と加圧によって熱分解される。特に、記録材Sに含まれる低分子量のセルロースが定着部9の加熱と加圧によって熱分解されやすい。熱分解されたセルロース(以下、セルロースの熱分解生成物)は、温度が高い環境下で気化したまま、中間転写ベルト61や二次転写ベルトユニット70等に付着する。
【0024】
特に、図2に示すように、定着部9の下流側に送風部30を備える構成では、送風部30からの空気が定着ベルト91と加圧ローラー94との間を通過し、二次転写部7Aの方向に向かって流れる。このため、定着部9で発生するセルロースの熱分解生成物が、中間転写ベルト61や二次転写ベルトユニット70等に向けて移動しやすい。
【0025】
また、定着部9と転写部6との間には、図2に示すように断熱ダクト31を備える。断熱ダクト31は、画像形成装置1の外部に空気を排出するための図示しないファン等を備える。そして、定着部9から転写部6に向けて流れる空気を、断熱ダクト31から排出する。断熱ダクト31によって、セルロースの熱分解生成物を画像形成装置1の外部に排出することができる。これにより、転写部6や二次転写ベルトユニット70へのセルロースの熱分解生成物の付着を抑制することができる。
【0026】
また、断熱ダクト31と転写部6との間には、機内温度センサー16が配置されている。機内温度センサー16は、画像形成装置1の内部の温度、特に、中間転写ベルト61付近の温度を測定するためのセンサーである。機内温度センサー16は、例えば、中間転写ベルト61の内面近傍、かつ、中間転写ベルト61の内側において、定着部9の熱の影響を受けにくい位置に配置される。機内温度センサー16は、周囲の温度に応じた信号を制御部110(図10参照)に送信する。制御部は、機内温度センサー16から受信した信号を基に、画像形成装置1の内部の温度(機内温度)を取得する。
【0027】
また、図2に示すように、定着部9の上流側には、二次転写部7Aには、定着部9に対向して二次転写部7Aを構成する二次転写ベルトユニット70が配置されている。図3に、二次転写ベルトユニット70の構成を示す。
【0028】
二次転写ベルトユニット70は、駆動ローラー72、加圧ローラー73、従動ローラー74、及び、これらのローラーに張架されて回転可能に支持された無端状の二次転写ベルト71を備える。また、二次転写ベルトユニット70は、二次転写ベルト71の表面を清掃するためのクリーニングブレード75,76を備える。
【0029】
駆動ローラー72は、二次転写ベルト71を回転駆動するためのモーター等の駆動部を備える。従動ローラー74は、二次転写ベルト71に接触し、駆動ローラー72による二次転写ベルト71の駆動に追従して回転する。
加圧ローラー73は、中間転写ベルト61の内面側を支持するローラー6Aに対向するバックアップローラーである。ローラー6Aと加圧ローラー73とが対向する領域(ニップ部)において、中間転写ベルト61と二次転写ベルト71との間に二次転写部7Aが形成される。また、加圧ローラー73は、従動ローラー74と同様に、駆動ローラー72による二次転写ベルト71の駆動に追従して回転する。
【0030】
駆動ローラー72において、駆動ローラー72が、記録材Sを搬送するために回転駆動する駆動部材である。また、二次転写ベルトユニット70が、駆動部材に接して回転駆動される被駆動部材である。また、加圧ローラー73、及び、従動ローラー74が、被駆動部材と接する接触部材である。
【0031】
[画像形成装置のシステムブロック図]
図4に、画像形成装置1のシステムブロック図を示す。
画像形成装置1は、給紙部20、操作表示部5、画像形成部10と共に、制御部110、記憶部14、通信I/F(Interface)15を備える。画像形成装置1内の各部は、バスを介して接続されている。
【0032】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13を備える。
CPU11、ROM12、RAM13は、画像形成装置1内の各部の動作を制御するコンピューターの一例として用いられる。例えば、CPU11は、操作表示部5を通じて行われるユーザーの印刷指示に基づいた画像形成部10の画像形成処理(印刷動作)の制御や、給紙部20による記録材Sの供給の制御や、画像データのオブジェクト化処理等を行う。また、CPU11は、操作表示部5からユーザーによるジョブの設定、不図示の後処理装置を用いた後処理機能の登録等を受け取る。
ROM12は、不揮発性メモリの一例として用いられ、CPU11が実行及び参照するプログラムやデータ等を記憶している。
RAM13は、揮発性メモリの一例として用いられ、CPU11が行う各処理に必要な情報(データ)を一時的に記憶する。
【0033】
記憶部14は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成され、CPU11が各部を制御するためのプログラム、OS(Operating System)、コントローラー等のプログラム、データを記憶する。記憶部14に記憶されるプログラム、データの一部は、ROM12に記憶されていてもよい。記憶部14は、CPU11によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。なお、画像形成装置1によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体としては、HDDに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
通信I/F15は、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、後処理装置及び不図示のPC端末との接続を確立し、各種データの送受信を実行する。
【0034】
また、画像形成装置1は、機内温度センサー16、及び、機外温度センサー17を備える。機内温度センサー16、及び、機外温度センサー17で検知した信号は制御部110に送信される。制御部110は、各センサーから受信した信号を基に、画像形成装置1の機内温度、及び、画像形成装置の機外温度を取得する。
【0035】
[制御部の構成]
図5に、画像形成装置1の制御部110の構成の機能ブロック図を示す。制御部110は、駆動制御部111、機内温度検知部112、機外温度検知部113、比率算出部114、及び、条件記憶部115を備える。
【0036】
制御部110において、駆動制御部111は、画像形成装置1の各部の駆動を制御する。特に、画像形成装置1の転写部6の駆動ローラーの駆動制御や、二次転写ベルトユニット70の駆動ローラー72の駆動制御を行う。駆動制御部111の指示により、転写部6の駆動ローラーや二次転写ベルトユニット70の駆動ローラー72に接続された駆動部が駆動し、中間転写ベルト61や二次転写ベルト71を駆動する。
【0037】
機内温度検知部112は、機内温度センサー16からの信号を受信し、画像形成装置1内の温度を算出する。
機外温度検知部113は、機外温度センサー17からの信号を受信し、画像形成装置1の外気温度を算出する。
【0038】
比率算出部114は、中間転写ベルト61や二次転写ベルト71における、記録材Sの被覆面積の比率(記録材比率)を算出する。記録材比率は、例えば、図6に示すように、二次転写ベルト71の幅をMW、二次転写ベルト71の走行距離をL、二次転写ベルト71によって搬送される記録材Sの長さをSL、幅をSWとしたときに、[記録材比率=(SL×SW×記録材枚数)÷(L×MW)]で算出される。記録材比率を求めることにより、二次転写ベルト71の走行面積に対する、搬送された記録材の合計面積の比率を求めることができる。すなわち、記録材比率を求めることにより、二次転写ベルト71の走行距離に応じて、記録材Sから発生するセルロースの熱分解生成物の発生量を推定することができる。使用した記録材Sの長さSL、幅SW、使用した記録材の種類毎の枚数等は、条件記憶部115に記憶される。
【0039】
条件記憶部115は、記録材Sの種類、機内温度、機外温度、及び、記録材比率等に応じた駆動制御部111が転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動する条件のテーブルや、その他の画像形成における記録材等の情報を格納する。駆動条件テーブルとしては、例えば、図7に示すように、記録材Sの種類と、この記録材Sの種類ごとに設定された、駆動部を駆動させる所定温度の温度間隔(t1~t5)が記録されている。この駆動部を駆動させる所定温度の温度間隔(t1~t5)の詳細については後述する。
図7に示すテーブルでは、記録材Sとして普通紙を使用した場合には、駆動部を駆動させる所定温度の温度間隔が2℃に設定されている。このため、機内温度が2℃低下するごとに、駆動制御部111が転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動部を駆動する。
【0040】
なお、駆動部を駆動させる所定温度の温度間隔(t1~t5)は、一定でなくてもよい。例えば図8に示すように、所定温度の温度間隔がt1からt5に向けて、徐々に大きくなるように登録されていてもよい。
また、条件記憶部115に格納されている駆動条件テーブルにおいて温度間隔はt1~t5に限定されない。温度間隔は必要に応じて、t5以上であってもよい、例えば、t6、t7等が設定されていてもよい。
【0041】
(セルロースの熱分解生成物による固着)
画像形成装置1において、図2に示すような断熱ダクト31を設けても、転写部6や二次転写ベルトユニット70へのセルロースの熱分解生成物の付着を完全に防ぐことはできない。このため、定着部9の上流側において、中間転写ベルト61の表面(外周面、及び、内周面)や、二次転写ベルト71の表面(外周面、及び、内周面)にセルロースの熱分解生成物が付着する。また、中間転写ベルト61を張架する各ローラー(ローラー6A等)や、二次転写ベルト71を張架する駆動ローラー72、加圧ローラー73及び従動ローラー74の表面にも、セルロースの熱分解生成物が付着する。
【0042】
セルロースの熱分解生成物は、冷えると固まる性質を有するため、画像形成動作を停止して画像形成装置1内の温度が低下すると、中間転写ベルト61と、中間転写ベルト61を張架する各ローラー(ローラー6A等)とが固着してしまう。また、二次転写ベルト71と、二次転写ベルト71を張架する駆動ローラー72、加圧ローラー73及び従動ローラー74とが固着してしまう。
【0043】
特に、二次転写ベルト71は中間転写ベルト61に比べて長さが短く、セルロースの熱分解生成物が付着しにくい位置を移動している時間が短い。このため、二次転写ベルト71は、単位面積当たりのセルロースの熱分解生成物の付着量が中間転写ベルト61よりも大きい。この結果、二次転写ベルトユニット70では、セルロースの熱分解生成物による固着が起こりやすい。
【0044】
そこで、制御部110は、画像形成動作が停止して画像形成装置1内の温度が低下する際に、所定期間だけ転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動する。これにより、セルロースの熱分解生成物の粘度の増加による、固着を抑制する。
また、セルロースの熱分解生成物による固着は、駆動によって一時的に解消されても、再び温度が低下することによって、固着する。このため、再び固着する前に、転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動を繰り返す。これにより、セルロースの熱分解生成物の付着部分を剥離し、転写部6や二次転写ベルトユニット70の固着を抑制する。
【0045】
(駆動制御)
図9に、駆動制御部111による、セルロースの熱分解生成物の固着を抑制するための転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動タイミングを説明するための図を示す。図9は、画像形成中から画像形成停止後までの画像形成装置1の機内温度の様子を示すグラフである。図9は、縦軸が画像形成装置1の機内温度[℃]、横軸が時間を示す。
【0046】
画像形成中は、機内温度が上昇する。画像形成を停止した後は、機内温度が低下する。画像形成を停止したときの機内温度(停止時温度)をt0とする。画像形成の開始時の温度、及び、画像形成を停止後に低下する最終温度を基準温度trとする。基準温度trは外気温度に設定することが好ましい。
機内温度を、制御部110の機内温度検知部112で検知する。また、機外温度(基準温度tr)を、制御部110の機外温度検知部113で検知する。
【0047】
画像形成装置1が停止した後、機内温度が基準温度tr以上の場合に、制御部110の駆動制御部111は、転写部6の駆動ローラー6Bや、二次転写ベルトユニット70の駆動ローラー72を、所定期間だけ駆動する。
停止時温度t0において画像形成を停止した場合、転写部6や二次転写ベルトユニット70にセルロースの熱分解生成物が付着した状態で停止する。停止時温度t0においては、セルロースの熱分解生成物は、粘度が低い状態であるが、画像形成の停止後に機内温度が低下すると、セルロースの熱分解生成物の粘度が上昇する。この場合、転写部6や二次転写ベルトユニット70においてベルトとローラー等がセルロースの熱分解生成物によって張り付く恐れがある。セルロースの熱分解生成物によって張り付くと、駆動トルクが増加してしまう、又は、転写部6や二次転写ベルトユニット70が固着する恐れがある。
【0048】
このため、駆動制御部111は、停止時温度t0からの温度の低下量が、条件記憶部115に格納された駆動条件テーブルに登録されている所定温度t1となったときに、所定期間だけ転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動する。これにより、転写部6において、セルロースの熱分解生成物によって付着した中間転写ベルト61とローラー6A、駆動ローラー6Bとを剥離する。同様に、二次転写ベルトユニット70において、セルロースの熱分解生成物によって付着した二次転写ベルト71と、駆動ローラー72、従動ローラー74等とを剥離する。この駆動方法では、機内温度がある程度高く、セルロースの熱分解生成物の粘度が低い状態で駆動する。このため、転写部6や二次転写ベルトユニット70を低トルクで駆動でき、モータトルクの負担を低減できる。
【0049】
駆動する所定期間は、中間転写ベルト61や二次転写ベルト71の移動量が、中間転写ベルト61や二次転写ベルト71と最も接触長さが大きいローラーとの接触長さ以上となる期間とすることが好ましい。例えば、画像形成装置1では、中間転写ベルト61と駆動ローラー6Bとの接触長さが最も大きい。このため、転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動させる所定期間としては、中間転写ベルト61の移動距離が、中間転写ベルト61と駆動ローラー6Bとの接触長さ以上となる期間とすることが好ましい。
【0050】
また、画像形成装置1においては、定着部9よりも二次転写ベルトユニット70において単位面積当たりのセルロースの熱分解生成物の付着が大きい。このため、画像形成装置1においては、転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動させる所定期間を、少なくとも二次転写ベルト71の移動距離が、二次転写ベルト71と加圧ローラー73との接触長さ以上となる期間とすることが好ましい。
【0051】
さらに、駆動制御部111は、所定温度t1の温度低下によって所定期間だけ転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動した後、さらに機内温度の低下量が所定温度t2、t3、t4、t5となったときに、転写部6や二次転写ベルトユニット70を所定期間だけ再度駆動する。
セルロースの熱分解生成物による転写部6や二次転写ベルトユニット70の付着は、一度解消されても放置されると再度張り付く可能性がある。このため、転写部6や二次転写ベルトユニット70での所定期間の駆動を繰り返すことにより、張り付きを防止できる。
また、低トルクで転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動を繰り返すことで、駆動回数を多くしてもクリーニング部8Aのブレードや、クリーニングブレード75,76等のブレード捲れ等の問題が発生しにくい。
【0052】
駆動制御部111による転写部6や二次転写ベルトユニット70の所定期間の駆動は、機内温度が基準温度Trに低下するまで繰り返し行われる。基準温度Trまで機内温度が低下すると、セルロースの熱分解生成物は粘度が十分に高く、転写部6や二次転写ベルトユニット70においてベルトとローラー等とが張り付くほどの粘性を有していない。この状態まで転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動を繰り返すことにより、セルロースの熱分解生成物による固着を抑制することができる。
【0053】
(記録材の種類毎の使用比率)
記録材の種類ごとにセルロースの含有量は異なる。このため、記録材の種類ごとの使用比率によって所定温度t1~t5を変更することができる。例えば、セルロースを多く含む記録材の使用比率が高いほど、所定温度t1~t5の間隔を小さくすることが好ましい。また、セルロースを多く含む記録材の使用比率が低い場合には、所定温度t1~t5の間隔を大きくすることにより、駆動回数を少なくし、不要な駆動を抑制することができる。
【0054】
記録材の種類毎の使用比率に応じた所定温度t1~t5は、比率算出部114において、使用する記録材の種類ごとに記録材比率を算出し、図7に示す所定温度t1~t5の加重平均によって求めることができる。例えば、画像形成に用いる記録材として、同サイズの普通紙とコート紙の使用比率が半々であれば、所定温度t1~t5は3℃とすることができる。記録材の種類の識別や、使用した記録材の種類毎の枚数等は、条件記憶部115に記憶させることができる。
また、画像形成に使用する記録材の種類毎にサイズが異なる場合は、記録材の種類毎に記録材比率を算出しする。例えば、普通紙の記録材比率が50%、コート紙の記録材比率が40%の場合、所定温度t1~t5は、[(2×0.5+4×0.4)÷(0.5+0.4)=3.3℃]と求めることができる。
【0055】
また、図8に示すように機内温度の低下とともに所定温度を大きくする場合には、所定温度t1~t5に係数を設け、上記の加重平均で求めた値に係数を掛けて所定温度t1~t5を求めることもできる。例えば、t1の係数を1、t2の係数を2、t3~t5の係数を3とする。この場合、所定温度は、t1=3.3℃、t2=6.6℃、t3~t5=9.9℃とすることができる。
【0056】
〈2.画像形成装置の実施形態(第2実施形態)〉
次に、画像形成装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の画像形成装置は、上述の第1実施形態の画像形成装置における機内温度センサーを用いずに、駆動を制御する。このため、第2実施形態の画像形成装置は、機内温度センサー及び機内温度検知部に係わる構成を除き、上述の第1実施形態と同様の構成とすることができる。
【0057】
[制御部の構成]
図10に、第2実施形態の画像形成装置1の制御部110Aの構成の機能ブロック図を示す。制御部110Aは、駆動制御部111A、機外温度検知部113A、経過時間管理部116、比率算出部114A、及び、条件記憶部115Aを備える。
【0058】
駆動制御部111A、機外温度検知部113A、及び、比率算出部114Aは、上述の図5に示す制御部110の駆動制御部111、機外温度検知部113、及び、比率算出部114と同様の構成である。
【0059】
経過時間管理部116は、画像形成装置1において画像形成の開始や終了等の種々の起点から経過時間を計測する。例えば、経過時間管理部116は、画像形成装置1に設けられたタイマー等を用いて、起点からの経過時間を計測する。
【0060】
条件記憶部115Aは、記録材の種類、機外温度、記録材比率、及び、時間条件等に応じた、駆動制御部111Aが駆動する条件のテーブルを格納する。駆動条件テーブルとしては、例えば、図11に示すように、画像形成装置1の稼働率、例えば、直前5時間での稼働率と、各稼働率ごとに設定された駆動部を駆動させる所定の時間間隔(s1~s5)が記録されている。
【0061】
図11に示すテーブルでは、直前5時間での稼働率が80%以上の場合には、駆動部を駆動させる所定時間間隔(s1~s5)が1時間に設定されている。このため、画像形成の停止から、1時間経過する度に、駆動制御部111Aが転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動部を駆動する。
また、直前5時間での稼働率が60%以上80%未満の場合には、駆動部を駆動させる所定時間間隔(s1~s5)が2時間に設定され、直前5時間での稼働率が60%未満の場合には、駆動部を駆動させる所定時間間隔(s1~s5)が5時間に設定されている。このため、上記の各稼働率の場合には、画像形成の停止から2時間、又は、5時間経過する度に、駆動制御部111Aが転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動部を駆動する。
【0062】
また、条件記憶部115Aは、図12に示すように、記録材Sの種類と、この記録材Sの種類ごとに設定された、駆動部を駆動させる所定時間間隔(s1~s5)に対する記録材種係数(c1~c5)が記録されている。記録材種係数(c1~c5)が記録されている場合には、上記の所定時間間隔(s1~s5)に対して、記録材種ごとに対応する記録材種係数(c1~c5)を掛けることにより、画像形成装置1において転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動させる時間間隔を算出する。この記録材種係数(c1~c5)の詳細については後述する。
【0063】
(駆動制御)
図13に、駆動制御部111Aによる、セルロースの熱分解生成物の固着を抑制するための転写部6や二次転写ベルトユニット70の駆動タイミングを説明するための図を示す。図13は、画像形成中から画像形成停止後までの画像形成装置1の機内温度の様子を示すグラフである。図13は、縦軸が画像形成装置1の機内温度、横軸が時間を示す。
【0064】
画像形成中は、機内温度が上昇する。画像形成を停止した後は、機内温度が低下する。画像形成の開始時の温度、及び、画像形成を停止後に低下する最終温度を基準温度trとする。基準温度trは外気温度に設定することが好ましい。機外温度(基準温度tr)は、制御部110の機外温度検知部113で検知する。
【0065】
画像形成装置1が停止した後、機内温度が基準温度tr以上の場合に、制御部110Aの駆動制御部111Aは、転写部6の駆動ローラー6Bや、二次転写ベルトユニット70の駆動駆動ローラー72を、所定期間だけ駆動する。図13に示す例では、画像形成を停止したときの機内温度や、画像形成停止後の温度低下量に係わらず、時間経過に応じて駆動制御部111Aが駆動制御を行う。
【0066】
駆動制御部111Aは、画像形成停止時の時間s0から、条件記憶部115Aに格納された駆動条件テーブルに登録されている所定時間間隔s1が経過したときに、所定期間だけ転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動する。これにより、転写部6において、セルロースの熱分解生成物によって付着した中間転写ベルト61と、ローラー6A及び駆動ローラー6Bとを剥離する。同様に、二次転写ベルトユニット70において、セルロースの熱分解生成物によって付着した二次転写ベルト71と、駆動ローラー72及び従動ローラー74等とを剥離する。駆動する所定期間は、上述の第1実施形態と同様である。
【0067】
さらに、駆動制御部111Aは、所定時間間隔s1の経過後に所定期間だけ転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動した後、さらに所定時間間隔s2、s3、s4、s5が経過したときに、転写部6や二次転写ベルトユニット70を所定期間だけ再度駆動する。駆動制御部111Aによる転写部6や二次転写ベルトユニット70の所定期間の駆動は、機内温度が基準温度Trに低下するまで繰り返し行われる。
なお、上述の図13に示す所定時間間隔(s1~s5)としては、所定時間間隔(s1~s5)に記録材種係数(c1~c5)1を掛けて求めた実際に駆動する時間間隔(rs1~rs5)を用いてもよい。
【0068】
(記録材の種類毎の比率)
記録材の種類ごとにセルロースの含有量は異なる。このため、記録材の種類ごとの使用比率によって所定時間間隔(s1~s5)を変更する。例えば、セルロースを多く含む記録材の使用比率が高いほど、所定時間間隔(s1~s5)の間隔を小さくすることが好ましい。また、セルロースを多く含む記録材の使用比率が低い場合には、所定時間間隔(s1~s5)の間隔を大きくすることにより、駆動回数を少なくし、不要な駆動を抑制することができる。
【0069】
具体的には、図11に示す所定時間間隔(s1~s5)と、上述の図12に示す記録材種係数(c1~c5)のテーブルとを用いて、記録材の種類毎に応じた時間間隔(rs1~rs5)を算出することができる。
例えば、画像形成装置1の直前5時間での稼働率が100~80%であり、使用する記録材種が普通紙の場合には、以下のように実際に転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動するための時間間隔(rs1~rs5)を算出することができる。
【0070】
記録材の種類に応じた実際の時間間隔(rs1~rs5)は、比率算出部114Aにおいて算出する。まず、比率算出部114Aは、図11に示すテーブルにおける稼働率100~80%の所定時間間隔(s1~s5)を取得する。さらに、図12に示すテーブルから普通紙の記録材種係数(c1~c5)1を掛けることにより、実際に転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動する時間間隔(rs1~rs5)を算出する。このように、画像形成装置1の稼働率に応じて設定された所定時間間隔(s1~s5)に、使用した記録材種に応じて設定された記録材種係数(c1~c5)を掛けることにより、実際に駆動する時間間隔(rs1~rs5)を求めることができる。そして、画像形成を停止した時から、実際に駆動する時間間隔(rs1~rs5)が経過するごとに、駆動制御部111Aが転写部6や二次転写ベルトユニット70を駆動する。
【0071】
また、複数種類の記録材を用いた場合には、比率算出部114Aにおいて、使用する記録材の種類ごとに記録材比率を算出し、図11に示す所定時間間隔(s1~s5)と図12に示す記録材種係数(c1~c5)の加重平均によって求めることができる。例えば、直前5時間での稼働率が100~80%、記録材として同サイズの普通紙とコート紙の使用比率が半々(50%)であれば、実際に駆動する時間間隔(rs1~rs5)は、[(1×1×0.5+1×2×0.5)÷(0.5+0.5)=1.5]と求めることができる。
【0072】
また、記録材の種類毎にサイズが異なる場合は、記録材の種類毎に記録材比率を算出しする。例えば、上記と同じ条件(稼働率100~80%、普通紙とコート紙の使用比率50%)において、普通紙の記録材比率が50%、コート紙の記録材比率が40%の場合、所定温度t1~t5は、[(1×1×0.5+1×2×0.4)÷(0.5+0.4)=1.44]と求めることができる。
【0073】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置、1C,1K,1M,1Y 感光体ドラム、2C,2K,2M,2Y 帯電部、3C,3K,3M,3Y 露光部、4C,4K,4M,4Y 現像部、5 操作表示部、6 転写部、6B,72 駆動ローラー、7A 二次転写部、7Y,7M,7C,7K 一次転写部、8A,8C,8K,8M,8Y クリーニング部、9 定着部、10C,10K,10M,10Y 画像形成部、11 CPU、12 ROM、13 RAM、14 記憶部、15 通信I/F、16 機内温度センサー、17 機外温度センサー、20 給紙部、21 給紙カセット、22A 搬送ローラー、23 レジストローラ、24 排紙ローラー、25 排紙トレイ、30 送風部、31 断熱ダクト、61 中間転写ベルト、6A ローラー、70 二次転写ベルトユニット、71 二次転写ベルト、73,94 加圧ローラー、74 従動ローラー、75,76 クリーニングブレード、91 定着ベルト、92 定着ローラー、100 画像形成装置本体、110,110A 制御部、111,111A 駆動制御部、112 機内温度検知部、113,113A 機外温度検知部、114,114A 比率算出部、115,115A 条件記憶部、116 経過時間管理部、200 画像読取装置、201 自動原稿送り部、202 原稿画像走査露光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13