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特許7419855流量測定装置、流量の測定方法及び流量測定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】流量測定装置、流量の測定方法及び流量測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/696 20060101AFI20240116BHJP
   G01F 1/684 20060101ALI20240116BHJP
   G01F 1/692 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01F1/696 Z
G01F1/684 A
G01F1/692 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020020720
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021127992
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 宜暁
(72)【発明者】
【氏名】山本 克行
(72)【発明者】
【氏名】半田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 秀之
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-129470(JP,A)
【文献】特開2012-233776(JP,A)
【文献】特開2008-46143(JP,A)
【文献】米国特許第5515714(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部と、
測定対象流体を加熱する加熱部および測定対象流体の温度を検出する温度検出部を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、
前記特性値取得部によって取得された測定対象流体の特性値を用いて、前記流量検出部から出力された検出信号に基づいて算出された測定対象流体の流量を補正する流量補正部と、
を備え、
前記加熱部および前記温度検出部は、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並んで配置されており、
前記特性値取得部は、前記加熱部の温度を変化させた前後における、前記温度検出部により検出された前記測定対象流体の温度の比により、前記特性値を取得することを特徴とする流量測定装置。
【請求項2】
前記特性値取得部は、前記加熱部の温度を変化させた前後における、前記温度検出部により検出された前記測定対象流体の温度の差及び比により、前記特性値を取得することを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
前記特性値は、前記加熱部の温度を変化させた前後における、前記温度検出部により検出された前記測定対象流体の温度の差及び比、または温度の比に、所定の係数を乗じた値であり、
前記流量補正部は、前記流量検出部から出力された検出信号に、前記特性値を乗じることで、前記測定対象流体の流量を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の流量測定装置。
【請求項4】
一端が前記主流路内に開口した第1流入口に連通し、且つ、他端が前記主流路内に開口した第1流出口に連通することで前記主流路から分流されるとともに、前記特性値取得部の前記温度検出部が配置された特性値検出流路を有する副流路部をさらに備え、
前記流量検出部は、前記特性値検出流路とは異なる位置に配置される
請求項1から3のいずれか一項に記載の流量測定装置。
【請求項5】
前記特性値取得部の前記温度検出部および前記流量検出部は、前記主流路または、前記副流路部を構成する部材に脱着可能に設けられた流量検出部材に設けられたことを特徴とする請求項4に記載の流量測定装置。
【請求項6】
前記副流路部は、前記流量検出部が配置された流量検出流路と、
一端が前記主流路内に開口した第1流入口に連通し、且つ、他端が前記主流路内に開口した第1流出口に連通することで前記副流路部から分流された第一副流路部と、
一端が前記第一副流路部に開口した第2流入口に連通し、且つ、他端が前記第一副流路部内に開口した第2流出口に連通することで前記第一副流路部から分流された第二副流路部と、
を有し、
前記流量検出流路及び前記特性値検出流路はともに、一端が前記第二副流路部に開口した第3流入口に連通し、且つ、他端が前記第二副流路部内に開口した第3流出口に連通することで前記第二副流路部からさらに分流されることで形成されたことを特徴とする請求項4または5に記載の流量測定装置。
【請求項7】
前記副流路部は、前記流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、
前記流量検出流路は、一端が前記第1流入口に連通し、且つ、他端が前記第1流出口に連通しており、
前記第1流入口から流入した測定対象流体を、前記特性値検出流路および前記流量検出流路に分流させることを特徴とする請求項4または5に記載の流量測定装置。
【請求項8】
前記副流路部は、前記流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、
前記特性値検出流路は、前記流量検出流路内に設けられており、
前記流量検出流路内を流れる測定対象流体の一部を前記特性値検出流路に流入させることを特徴とする請求項4または5に記載の流量測定装置。
【請求項9】
前記副流路部は、前記流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、
前記流量検出流路は、一端が前記主流路内に開口した第4流入口に連通し、且つ、他端が前記主流路内に開口した第4流出口に連通していることを特徴とする請求項4または5に記載の流量測定装置。
【請求項10】
前記流量検出部は、前記主流路に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流量測定装置。
【請求項11】
前記加熱部は、当該加熱部の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の流量測定装置。
【請求項12】
前記温度検出部は、当該温度検出部の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の流量測定装置。
【請求項13】
前記副流路部は、前記流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、
前記流量検出流路と前記特性値検出流路は、前記副流路部または該副流路部から分流された流路に、回路基板を前記測定対象流体の流れ方向に平行に配置して前記副流路部または該副流路部を分流することで形成され、
前記流量検出部及び前記特性値取得部の前記温度検出部は、それぞれ、前記回路基板上の一面と、反対面に設けられたことを特徴とする請求項4又は5に記載の流量測定装置。
【請求項14】
測定対象流体の流れ方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する加熱部および測定対象流体の温度を検出する温度検出部を有し、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部と、
測定対象流体の流れと直交する方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する第二加熱部および測定対象流体の温度を検出する第二温度検出部を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、
を備えた流量測定装置を用いた前記測定対象流体の流量の測定方法であって、
前記流量検出部によって前記主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量検出工程と、
前記第二温度検出部により前記測定対象流体の温度を測定する第一温度測定工程と、
前記第二加熱部の温度を変化させる温度変化工程と、
前記温度変化工程の後に、前記第二温度検出部により前記測定対象流体の温度を測定する第二温度測定工程と、
前記第一温度測定工程で測定された前記測定対象流体の温度と、前記第二温度測定工程で測定された前記測定対象流体の温度との比によって、前記特性値を取得する特性値取得工程と、
前記流量検出工程において検出された測定対象流体の流量に、前記特性値を乗じることで、前記測定対象流体の流量を補正する補正工程と、
を有することを特徴とする流量の測定方法。
【請求項15】
測定対象流体の流れ方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する加熱部および測定対象流体の温度を検出する温度検出部を有し、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部と、
測定対象流体の流れと直交する方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する第二加熱部および測定対象流体の温度を検出する第二温度検出部を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、
を備えた流量測定装置に、前記測定対象流体の流量の測定させる流量測定プログラムであって、
情報処理装置に、
前記流量検出部によって前記主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量検出ステップと、
前記第二温度検出部により前記測定対象流体の温度を測定する第一温度測定ステップと、
前記第二加熱部の温度を変化させる温度変化ステップと、
前記温度変化ステップの後に、前記第二温度検出部により前記測定対象流体の温度を測定する第二温度測定ステップと、
前記第一温度測定ステップで測定された前記測定対象流体の温度と、前記第二温度測定ステップで測定された前記測定対象流体の温度との比によって、前記特性値を取得する特性値取得ステップと、
前記流量検出ステップにおいて検出された測定対象流体の流量に、前記特性値を乗じることで、前記測定対象流体の流量を補正する補正ステップと、
を実行させるための流量測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量測定装置、流量の測定方法及び流量測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱部および温度検出部を備え、測定対象流体の流量を測定する流量測定装置が提案されている。例えば、測定対象流体の物性変化による出力特性の変化を低減させるため、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部を備える流量測定装置も提案されている(特許文献1)。具体的には、マイクロヒータとサーモパイルとの温度差を検出することにより熱伝導率(熱拡散定数)を求め、センサによって測定された流量を熱伝導率に基づいて補正する。
【0003】
さらに、熱拡散率が異なる測定対象流体について、流量の測定の精度を向上させるために、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並んで配置された物質検出用のマイクロヒータとサーモパイルを準備し、マイクロヒータの温度を2段階に変化させた前後において、測定対象流体の温度の差を検出する流量測定装置が提案されている。この技術においては、マイクロヒータの温度を2段階に変化させた前後における測定対象流体の温度の差により特性値を取得し、取得した特性値を用いて測定対象流体の流量を補正する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-233776号公報
【文献】特開2017-129470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定対象の流体の種類が増加した場合には、マイクロヒータの温度を2段階に変化させた前後における、サーモパイルにより検出された測定対象流体の温度の差により、測定対象流体の特性値を取得しただけでは、充分に精度よく、測定対象の流体の物性を識別することが困難であり、熱拡散率が異なる測定対象流体について、流量の測定の精度を充分に向上させることが困難な場合があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、熱拡散率が異なる測定対象流体について、流量の測定の精度をさらに向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流量測定装置は、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部と、測定対象流体を加熱する加熱部および測定対象流体の温度を検出する温度検出部を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、前記特性値取得部によって取得された測定対象流体の特性値を用いて、前記流量検出部から出力された検出信号に基づいて算出された測定対象流体の流量を補正する流量補正部とを備え、前記加熱部および前記温度検出部は、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並んで配置されており、前記特性値取得部は、前記加熱部の温度を変化させた前後における、前記温度検出部により検出された前記測定対象流体の温度の比により、前記特性値を取得する。
【0008】
加熱部の温度を変化させた前後における、温度検出部により検出された測定対象流体の温度の比により取得した特性値を用いれば、測定対象流体の熱伝導率や比熱、粘度によっ
て変わる熱拡散率に応じた補正を行うことができる。したがって、熱拡散率が異なる測定対象流体について、流量の測定の精度を向上させることができる。
【0009】
また、本発明においては、前記特性値取得部は、前記加熱部の温度を変化させた前後における、前記温度検出部により検出された前記測定対象流体の温度の差及び比により、前記特性値を取得するようにしてもよい。
【0010】
ここで、熱拡散率が異なる測定対象流体の中には、加熱部の温度を変化させた前後における、温度検出部により検出された測定対象流体の温度の差によって精度よく物性を反映できる流体と、加熱部の温度を変化させた前後における、温度検出部により検出された測定対象流体の温度の比によって精度よく物性を反映できる流体とが存在し得る。よって、本発明において、特性値取得部は、前記加熱部の温度を変化させた前後における、前記温度検出部により検出された前記測定対象流体の温度の差及び比により、前記特性値を取得するようにすれば、より精度よく、熱拡散率が異なる測定対象流体の物性を反映した特性値を得ることが可能である。
【0011】
また、特性値は、加熱部の温度を変化させた前後における、温度検出部により検出された測定対象流体の温度の差および/または比に、所定の係数を乗じた値であり、流量補正部は、流量検出部から出力された検出信号に、特性値を乗じることで、測定対象流体の流量を補正するようにしてもよい。具体的には、このような値を特性値として用いることができる。
【0012】
また、一端が主流路内に開口した第1流入口に連通し、且つ、他端が主流路内に開口した第1流出口に連通することで主流路から分流されるとともに、特性値取得部の前記温度検出部が配置された特性値検出流路を有する副流路部をさらに備え、流量検出部は、特性値検出流路とは異なる位置に配置されるようにしてもよい。副流路部を設けることで、主流路の大きさや流量にかかわらず、流量を測定できる装置を提供することができる。また、流量検出部や特性値取得部の前記温度検出部へのダストの侵入を抑制できる。
【0013】
また、特性値取得部の前記温度検出部および流量検出部は、主流路または、副流路部を構成する部材に脱着可能に設けられた流量検出部材に設けられるようにしてもよい。このようにすれば、様々な流量や形状の主流路部2に対して取り付け可能な部品を提供することができ、コストを低減できる。
【0014】
また、副流路部は、流量検出部が配置された流量検出流路と、一端が主流路内に開口した第1流入口に連通し、且つ、他端が主流路内に開口した第1流出口に連通することで副流路部から分流された第一副流路部と、一端が第一副流路部に開口した第2流入口に連通し、且つ、他端が第一副流路部内に開口した第2流出口に連通することで第一副流路部から分流された第二副流路部とを有し、流量検出流路及び特性値検出流路はともに、一端が第二副流路部に開口した第3流入口に連通し、且つ、他端が第二副流路部内に開口した第3流出口に連通することで第二副流路部からさらに分流されることで形成されるようにしてもよい。このように3段階の分流構造を採用すれば、流量検出部や特性値取得部の前記温度検出部へのダストの侵入量をさらに低減することができる。
【0015】
また、副流路部は、流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、流量検出流路は、一端が第1流入口に連通し、且つ、他端が第1流出口に連通しており、第1流入口から流入した測定対象流体を、特性値検出流路および流量検出流路に分流させるようにしてもよい。具体的な分流構造としては、このような構成を採用することもできる。
【0016】
また、副流路部は、流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、特性値
検出流路は、流量検出流路内に設けられており、流量検出流路内を流れる測定対象流体の一部を特性値検出流路に流入させるようにしてもよい。具体的な分流構造としては、このような構成を採用することもできる。
【0017】
また、副流路部は、流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、流量検出流路は、一端が主流路内に開口した第4流入口に連通し、且つ、他端が主流路内に開口した第4流出口に連通するようにしてもよい。具体的な分流構造としては、このような構成を採用することもできる。
【0018】
また、流量検出部は、主流路に配置されるようにしてもよい。このように、流量検出部が主流路の流体を測定対象とする構成にしてもよい。
【0019】
また、加熱部は、当該加熱部の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されるようにしてもよい。このようにすれば、加熱部は、測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に測定対象流体を加熱することが可能となる。
【0020】
また、温度検出部は、当該温度検出部の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されるようにしてもよい。このようにすれば、温度検出部は、測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に温度を検出することが可能となる。
【0021】
また、副流路部は、流量検出部が配置された流量検出流路をさらに有しており、流量検出流路と特性値検出流路は、副流路部または該副流路部から分流された流路に、回路基板を測定対象流体の流れ方向に平行に配置して副流路部または該副流路部を分流することで形成され、流量検出部及び特性値取得部の前記温度検出部は、それぞれ、回路基板上の一面と、反対面に設けられるようにしてもよい。具体的な分流構造としては、このような構成を採用することもできる。
【0022】
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、課題を解決するための手段に示した流量測定装置の内容は、方法又はプロセッサやマイクロコントローラ等に実行させるプログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
熱拡散率が異なる測定対象流体について、流量の測定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】流量測定装置の装置構成を示す斜視図である。
図2】流量測定装置の縦断面図である。
図3】流量測定装置の横断面図である。
図4】流量検出部及び物性値取得部に用いられるセンサ素子の一例を示す斜視図である。
図5】センサ素子の仕組みを説明するための断面図である。
図6】流量検出部の概略構成を示す上面図である。
図7】物性値取得部の概略構成を示す上面図である。
図8】流量測定装置の機能構成を示すブロック図である。
図9】流量測定処理の一例を示す処理フロー図である。
図10】特性値取得処理の一例を示す処理フロー図である。
図11】縦軸にセンサ感度比、横軸に熱伝導率を示すグラフである。
図12】縦軸にセンサ感度比、横軸にΔTを示すグラフである。
図13】流量測定装置を示す図である。
図14】副流路部を示す斜視図である。
図15】物性値検出部および流量検出部の概略構成を示す図である。
図16】物性値検出用流路および流量検出用流路に分流する測定対象流体の流量を説明するための模式図である。
図17】副流路部の上面に形成された、物性値検出用流路および流量検出用流路の変形例を示す上面図である。
図18】物性値検出部の変形例の概略構成を示す上面図である。
図19】流量測定装置を示す斜視図である。
図20】流量測定装置の他の例を示す図である。
図21】流量測定装置の他の例を示す図である。
図22】他の変形例に係る多段分流型の一例を示す図である。
図23】他の変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について図面を用いて説明する。本発明は、図8のブロック図で示されるような、流量測定装置1に適用される。図8において流量測定装置1は、流量検出部11と、物性値検出部12と、制御部13とを備えている。流量検出部11及び物性値検出部12は、図4に示されるような、マイクロヒータ101により形成する加熱部とサーモパイル102が形成する温度検出部とを含む、いわゆる熱式のフローセンサ100により構成される。流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111と、流量検出部内第2温度検出部112とを備える。物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内第2温度検出部122と、物性値検出部内加熱部123とを備える。
【0026】
流量検出部11は、流量を示す値を制御部13に出力する。物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122から出力された温度検出信号を流量算出部133に出力する。より詳細には、制御部13による制御によって物性値検出部内加熱部123の温度が2段階に変更され、物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後における出力値を求め、制御部13に出力する。
【0027】
また、制御部13は、補正処理部131と、特性値算出部132と、流量算出部133とを含む。流量算出部133は、流量検出部11の検出値に基づいて測定対象流体の流量を算出する。特性値算出部132は、物性値検出部12の検出値に基づいて特性値を算出する。具体的には、特性値算出部132は、前述のように物性値検出部12の物性値検出部内加熱部123であるマイクロヒータ101の温度を変化させ、変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122としてのサーモパイル102が検出した測定対象流体の温度の比に所定の係数を乗じて特性値を算出する。補正処理部131は、特性値を用いて、流量算出部133が算出した流量を補正する。これにより、マイクロヒータの温度を2段階に変化させた前後における、サーモパイルにより検出された測定対象流体の温度の差により、測定対象流体の特性値を取得しただけでは、充分に精度よく、測定対象の流体の物性を識別することが困難な場合であっても、熱拡散率が異なる測定対象流体についての流量測定の精度を充分に向上させることが可能となる。
【0028】
〔実施例〕
以下、本発明の実施形態に係る流量測定装置について、図面を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態は、流量測定装置の一例であり、本発明に係る流量測定装置は、以下
の構成には限定されない。
【0029】
<装置構成>
図1は、本実施形態に係る流量測定装置の装置構成を示す斜視図である。図2は、流量測定装置の縦断面図である。図3は、流量測定装置の横断面図である。流量測定装置は、例えばガスメータや燃焼機器、自動車等の内燃機関、燃料電池に組み込まれ、流路を通過する気体の量を測定する。なお、図1の破線の矢印は、流体の流れる方向を例示している。図1図3に示すように、本実施形態では、流量測定装置1は主流路部2の内部に設けられる。また、流量測定装置1は、流量検出部11と、物性値検出部(「温度検出部」とも呼ぶ)12と、制御部13とを備える。流量検出部11及び物性値検出部12は、マイクロヒータが形成する加熱部とサーモパイルが形成する温度検出部とを含む、いわゆる熱式のフローセンサである。
【0030】
図4は、流量検出部及び物性値取得部に用いられるセンサ素子の一例を示す斜視図である。また、図5は、センサ素子の仕組みを説明するための断面図である。センサ素子100は、マイクロヒータ(加熱部)101と、マイクロヒータ101を挟んで両側に設けられたサーモパイル(温度検出部)102とを備える。これらの上下には絶縁薄膜が形成され、シリコン基台上に設けられている。また、マイクロヒータ101及びサーモパイル102の下方のシリコン基台には、キャビティ(空洞)が設けられている。マイクロヒータ101は、例えばポリシリコンで形成された抵抗体である。図5は、破線の楕円によって、マイクロヒータ101が発熱した場合の温度分布を模式的に示している。なお、破線が太いほど温度が高いものとする。空気の流れがない場合、図5の上段(1)に示すようにマイクロヒータ101の両側の温度分布はほぼ均等になる。一方、例えば図5の下段(2)において破線の矢印で示す方向に空気が流れた場合、周囲の空気が移動するため、マイクロヒータ101の風上側よりも風下側の方が、温度は高くなる。センサ素子は、このようなヒータ熱の分布の偏りを利用して、流量を示す値を出力する。
【0031】
また、図1の制御部13は、マイクロコントローラ等の演算装置によって形成され、流量検出部11の出力に基づいて流量を算出したり、物性値検出部12の出力に基づいて所定の特性値を算出したり、特性値を用いて流量を補正したりする。
【0032】
<流量検出部及び物性値取得部>
【0033】
図6は、図1に示した流量検出部11の概略構成を示す上面図であり、図7は、図1に示した物性値検出部12の概略構成を示す上面図である。
【0034】
図6に示すように、流量検出部11は、測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(流量検出部内第1温度検出部)111および第2サーモパイル(流量検出部内第2温度検出部)112と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ113とを備えている。マイクロヒータ113と、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112とは、流量検出部11内において、測定対象流体の流れ方向Pに沿って並んで配置されている。また、マイクロヒータ113、流量検出部内第1温度検出部111、および流量検出部内第2温度検出部112の形状は、平面視においてそれぞれ略矩形であり、各々の長手方向は測定対象流体の流れ方向Pと直交する。
【0035】
流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112は、マイクロヒータ113の上流側に流量検出部内第1温度検出部111が配置され、下流側に流量検出部内第2温度検出部112が配置されて、マイクロヒータ113を挟んで対称な位置の温度を検出する。
【0036】
流量測定装置1では、物性値検出部12および流量検出部11に、実質的に同一構造のセンサが用いられており、測定対象流体の流れ方向に対する配置角度を90°異ならせて配置されている。これにより、同一構造のセンサを物性値検出部12または流量検出部11として機能させることが可能となるため、流量測定装置1の製造コストを低減することができる。
【0037】
一方、図7に示すように、物性値検出部12は、測定対象流体の温度を検出する第1サーモパイル(物性値検出部内第1温度検出部)121および第2サーモパイル(物性値検出部内第2温度検出部)122と、測定対象流体を加熱するマイクロヒータ(物性値検出部内加熱部)123とを備えている。物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122とは、物性値検出部12内において、測定対象流体の流れ方向Qと直交する方向に並んで配置されている。また、物性値検出部内加熱部123、物性値検出部内第1温度検出部121、および物性値検出部内第2温度検出部122の形状は、平面視においてそれぞれ略矩形であり、各々の長手方向は測定対象流体の流れ方向Qに沿っている。また、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122は、物性値検出部内加熱部123を挟んで左右対称に配置されており、物性値検出部内加熱部123の両側の対称な位置の温度を検出する。
【0038】
ここで、測定対象流体の流れによって温度分布は下流側に偏るため、流れ方向と直交する方向の温度分布の変化は、測定対象流体の流れ方向の温度分布の変化に比べて小さい。このため、物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第2温度検出部122とを、この順で測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並べて配置することにより、温度分布の変化による物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
【0039】
また、物性値検出部内加熱部123の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されているため、物性値検出部内加熱部123は測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に測定対象流体を加熱することが可能となる。このため、測定対象流体の流れによって温度分布が下流側に偏った場合であっても、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
【0040】
さらに、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の長手方向が測定対象流体の流れ方向に沿って配置されているため、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122は測定対象流体の流れ方向に亘って広範囲に温度を検出することが可能となる。このため、測定対象流体の流れによって温度分布が下流側に偏った場合であっても、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122の出力特性の変化を低減することができる。したがって、測定対象流体の流れによる温度分布の変化の影響を低減して、物性値検出部12による検出精度を向上させることができる。
【0041】
<機能構成>
図8は、流量測定装置の機能構成を示すブロック図である。流量測定装置1は、流量検出部11と、物性値検出部12と、制御部13とを備えている。流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111と、流量検出部内第2温度検出部112とを備える。物性
値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121と、物性値検出部内第2温度検出部122と、物性値検出部内加熱部123とを備える。
【0042】
流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号に基づいて、測定対象流体の流量を示す値を検出する。具体的には、流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111から出力された温度検出信号と流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号との差分を算出し、差分に基づいて測定対象流体の流量を示す値を求める。そして、流量検出部11は、流量を示す値を制御部13に出力する。
【0043】
物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122から出力された温度検出信号を流量算出部133に出力する。具体的には、物性値検出部12は、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122から出力された温度検出信号の平均値を求める。また、物性値検出部内加熱部123は、例えば制御部13による制御に応じて温度を変更する。これにより、物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後における出力値を求めることができる。物性値検出部12は、取得した出力値を制御部13に出力する。
【0044】
また、制御部13は、補正処理部131と、特性値算出部132と、流量算出部133とを含む。流量算出部133は、流量検出部11の検出値に基づいて測定対象流体の流量を算出する。特性値算出部132は、物性値検出部12の検出値に基づいて特性値を算出する。具体的には、特性値算出部132は、物性値検出部12のマイクロヒータの温度を変化させ、変化の前後においてサーモパイルが検出した測定対象流体の温度の比に所定の係数を乗じて特性値を算出する。補正処理部131は、特性値を用いて、流量算出部133が算出した流量を補正する。なお、物性値検出部12と特性値算出部132とを総称して特性値取得部とも呼ぶ。
【0045】
<流量測定処理>
図9は、流量測定処理の一例を示す処理フロー図である。図9に示すように、流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部および流量検出部内第2温度検出部112から温度検出信号を出力し、流量算出部133は、2つの温度検出信号に基づいて測定対象流体の流量を算出する(図9:S1)。
【0046】
具体的には、流量検出部11は、流量検出部内第1温度検出部111から出力された温度検出信号と流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号とを出力する。また、流量算出部133は、2つの温度検出信号の差分を算出し、差分に基づいて測定対象流体の流量を示す値を算出する。
【0047】
なお、流量検出部内第1温度検出部111および流量検出部内第2温度検出部112から出力された温度検出信号に基づいて測定対象流体の流量を算出する手法は、公知のものを用いることができる。流量検出部11は、算出した測定対象流体の流量を制御部13に出力する。
【0048】
また、物性値検出部12は、特性値取得処理を実行する(S2)。特性値取得処理の詳細は、図10を用いて説明する。
【0049】
図10は、特性値取得処理の一例を示す処理フロー図である。制御部13の特性値算出部132は、物性値検出部12の物性値検出部内加熱部123に、第1の温度で加熱させる(図10:S11)。その後、物性値検出部12の物性値検出部内第1温度検出部12
1及び物性値検出部内第2温度検出部122は、第1の温度を検出する(S12)。本ステップは、例えば制御部13による制御に基づいて行うようにしてもよい。測定対象流体を伝わる熱の速度は、熱伝導率、熱拡散率、比熱などの物性値によって決定される。また、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122との温度差を検出することによって、熱伝導率を求めることができる。例えば、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122との温度差が大きいほど、熱伝導率は小さくなる。このような性質を利用して、本ステップでは、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に配置された物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122によって測定対象流体の温度を検出する。
【0050】
次に、制御部13の特性値算出部132は、物性値検出部12の物性値検出部内加熱部123に、第2の温度で加熱させる(S13)。その後、物性値検出部12の物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122は、第2の温度を検出する(S14)。本ステップも、例えば制御部13による制御に基づいて行うようにしてもよい。このようにして、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により検出された温度を示す値が取得される。
【0051】
また、特性値算出部132は、検出された温度を用いて特性値を算出する(S15)。本ステップでは、センサ感度比を求める。センサ感度比とは、基準となる気体を流した場合のセンサ出力値に対する、所定の気体を流した場合のセンサ出力値の比であり、熱拡散率を表す特性値である。センサ感度比αは、下記の式(1)で求められる。
α = β × rT ・・・(1)
βは所定の係数である。また、rTは、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により出力された検出値の比率である。
【0052】
その後、図9の処理に戻り、制御部13は、特性値を用いて、流量算出部が算出した測定対象流体の流量を補正する(図9:S3)。具体的には、制御部13は、下記の式(2)を用いて、補正後の流量を算出する。
補正後の出力 = 流量算出部の出力 × α ・・・(2)
【0053】
本実施形態では、マイクロヒータの温度を変化させた前後においてサーモパイルで検出される温度のの比(rT)を用いることで、測定対象流体の熱拡散率をより詳細に検出することができるようになる。ここで、熱式のフローセンサが出力する流量は、熱拡散率と相関がある。したがって、本実施形態に係る流量の補正処理によれば、あらゆる気体について適切に補正できるようになる。すなわち、熱拡散率が異なる測定対象流体について、流量の測定の精度を向上させることができる。
【0054】
図11は、縦軸にセンサ感度比、横軸に熱伝導率を示すグラフである。ここで、図11に示すように、例えば組成の異なる混合ガスのように熱伝導率以外の物性値が異なる複数のガス群が存在する場合、物性値としてある熱伝導率が求められただけではいずれのセンサ感度比を用いて補正すればよいのか定まらない。すなわち、マイクロヒータの加熱温度とサーモパイルの検知温度とを1組用いて補正を行う手法では、所定のガス群に属する2以上の基準ガスに基づいて補正を行っていたところ、複数のガス群について適切に補正を行うことはできなかった。また、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後において物性値検出部内第1温度検出部121及び物性値検出部内第2温度検出部122により出力された検出値の差ΔTでは、充分に精度のよい特性値を算出することが困難であった測定対象流体についても、適切な特性値を算出することが可能である。
【0055】
図12(a)は、縦軸にセンサ感度比、横軸にΔTを示すグラフである。図11に示した、センサ感度比と熱伝導率とが一直線に近似されないガスについても、センサ感度比とΔTとは一直線に近似される。したがって、本実施形態では熱拡散率が未知のガス群についても補正を行うことができる。図12(b)は、物性値検出部内加熱部123の温度変化の前後における物性検出部内第1温度検出部121及び物性検出部内第2温度検出部122の出力の平均値と、ΔTとrTとの関係を示した図である。
【0056】
なお、本実施形態においては、マイクロヒータの温度を変化させた前後においてサーモパイルで検出される温度の比(rT)を用いて特性値を算出した。これに加え、本実施形態においては、マイクロヒータの温度を変化させた前後においてサーモパイルで検出される温度の差(ΔT)をも用いて特性値を算出してもよい。その場合のセンサ感度比αは、下記の式(3)で求められる。
α = γ × rT + ε × ΔT ・・・(3)
ここで、γ、εは所定の係数である。
これにより、熱拡散率と相関のある、マイクロヒータの温度を変化させた前後においてサーモパイルで検出される温度の比(rT)と、マイクロヒータの温度を変化させた前後においてサーモパイルで検出される温度の差(ΔT)の両方を用いて、特性値を算出することができ、より精度よく、特性値を算出することが可能となる。なお、本実施形態において、測定対象流体の熱拡散率と、マイクロヒータの温度を変化させた前後においてサーモパイルで検出される温度の差(ΔT)との相関が非常に高い場合には、センサ感度比αを、ΔTのみの式(ΔTに所定の係数を乗じた値)によって定義しても構わない。
【0057】
〔変形例〕
上述した実施形態では、流量測定装置1のフローセンサが主流路部2内の流体を測定対象とする構成を示したが、このような例には限定されない。例えば、流量測定装置1のフローセンサは、主流路部2から分岐させた副流路内の流体を測定対象としてもよい。
【0058】
図13(a)は、本実施形態に係る流量測定装置1を示す分解斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示される流量測定装置1を示す透視図である。図13(a)(b)に示すように、変形例に係る流量測定装置1は、主流路部2と、副流路部3と、シール4と、回路基板5と、カバー6とを備えている。
【0059】
主流路部2は、長手方向に貫通した管状部材である。主流路部2の内周面には、測定対象流体の流れ方向Oに対して、上流側に流入口(第1流入口)34が形成され、下流側に流出口(第1流出口)35が形成されている。
【0060】
なお、本実施形態では、主流路部2の軸方向の長さは約50mmであり、内周面の直径(主流路部2の内径)は約20mmであり、主流路部2の外径は約24mmである。
【0061】
副流路部3は、主流路部2の上に設けられており、その内部および上面には、副流路が形成されている。副流路部3は、一端が流入口34Aに連通し、他端が流出口35Aに連通している。流量測定装置1では、副流路部3は、流入用流路34と、物性値検出用流路32と、流量検出用流路33と、流出用流路35とから構成されている。
【0062】
流入用流路34は、主流路部2を流れる測定対象流体を流入させて、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流させるための流路である。流入用流路34は、主流路部2と垂直な方向に、副流路部3を貫通して形成されており、一端が流入口34Aに連通し、他端は主流路部2の上面で開口して、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に連通している。これにより、主流路部2を流れる測定対象流体の一部を、流入用流
路34を介して、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流させることができる。
【0063】
物性値検出用流路32は、副流路部3の上面に形成された、主流路部2と平行な方向に延在する、縦断面が略コの字型の流路である。物性値検出用流路32は、長手方向(主流路部2と平行な方向)に延在する部分に、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部12が配置されている。物性値検出用流路32の一端は、流入用流路34を介して流入口34Aに連通しており、他端は、流出用流路35を介して流出口35Aに連通している。
【0064】
流量検出用流路33は、副流路部3の上面に形成された、主流路部2と平行な方向に延在する、縦断面が略コの字型の流路である。流量検出用流路33は、長手方向(主流路部2と平行な方向)に延在する部分に、測定対象流体の流量を検出するための流量検出部11が配置された流量検出用流路33を有している。流量検出用流路33の一端は、流入用流路34を介して流入口34Aに連通しており、他端は、流出用流路35を介して流出口35Aに連通している。
【0065】
なお、図面では、説明の便宜上、物性値検出部12および流量検出部11と、回路基板5とが分離された状態で図示しているが、物性値検出部12および流量検出部11は、回路基板5に実装された状態で物性値検出用流路32または流量検出用流路33に配置されている。
【0066】
流出用流路35は、物性値検出用流路32および流量検出用流路33を通過した測定対象流体を、主流路部2に流出させるための流路である。流出用流路35は、主流路部2と垂直な方向に、副流路部3を貫通して形成されており、一端が流出口35Aに連通し、他端は主流路部2の上面で開口して、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に連通している。これにより、物性値検出用流路32および流量検出用流路33を通過した測定対象流体を、流出用流路35を介して、主流路部2に流出させることができる。
【0067】
このように、同じ流入口34Aから流入させた測定対象流体を、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流させることで、物性値検出部12および流量検出部11は、温度、濃度などの条件が等しい測定対象流体に基づいて物性値または流量を検出することができる。したがって、流量測定装置1の測定精度を向上させることができる。
【0068】
なお、流量測定装置1では、副流路部3にシール4を嵌め込んだ後、回路基板5が配置され、さらにカバー6によって回路基板5を副流路部3に固定することで、副流路部3の内部の気密性を確保している。
【0069】
図14は、図13(a)に示される副流路部3を示す斜視図である。図14に示されるように、物性値検出用流路32は、略コの字型の一端が流入用流路34に連通し、他端が流出用流路35に連通している。同様に、流量検出用流路33は、略コの字型の一端が流入用流路34に連通し、他端が流出用流路35に連通している。
【0070】
また、物性値検出用流路32と流量検出用流路33との両端部も互いに連通しており、物性値検出用流路32および流量検出用流路33は、副流路部3の上面において矩形状の流路を構成している。
【0071】
流量測定装置1では、物性値検出用流路32および流量検出用流路33は、何れも副流路部3の上面と垂直な方向から見たときの形状が正方形であり、流入用流路34と流出用流路35とを結ぶ直線に対して対象となる位置にそれぞれ形成されている。
【0072】
なお、本実施形態では、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の一辺の長さは、何れも約4mmである。
【0073】
また、本実施形態では、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の形状を正方形としているが、本発明はこれに限定されない。物性値検出用流路32および流量検出用流路33の形状は、物性値検出部12または流量検出部11が配置可能であればよく、配置される物性値検出部12および流量検出部11の形状に応じて決定される。
【0074】
したがって、例えば、物性値検出用流路32の幅よりも、物性値検出部12のサイズが小さい場合には、物性値検出用流路32の幅を物性値検出用流路32の幅に一致させてもよい。この場合、物性値検出用流路32の長手方向に延在する部分は、直線形状に形成されることとなる。なお、流量検出用流路33についても同様である。
【0075】
図15(a)は、図13に示される物性値検出部12の概略構成を示す上面図であり、図15(b)は、図13に示される流量検出部11の概略構成を示す上面図である。図15に示す流量測定装置1では、物性値検出用流路32と流量検出用流路33とは、長手方向に延在する流路の幅がそれぞれ異なっており、物性値検出用流路32の物性値検出部12が配置された流路の幅は、流量検出用流路33の流量検出部11が配置された流路の幅よりも狭くなっている。これにより、流量測定装置1では、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流される測定対象流体の流量を、それぞれ個別に制御されている。
【0076】
図16は、図13に示される物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流する測定対象流体の流量を説明するための模式図である。図16に示されるように、本実施形態では、物性値検出用流路32には流量Pの測定対象流体が分流され、流量検出用流路33には流量Qの測定対象流体が流れるように、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の幅が設定されている。
【0077】
この流量Pおよび流量Qの値は、主流路部2を流れる測定対象流体の流量によって変動するものであるが、通常の使用態様において、流量Pは物性値検出部12の検出レンジ内の値となり、流量Qは流量検出部11の検出レンジ内の値となるように、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の幅がそれぞれ設定されている。
【0078】
なお、本実施形態では、物性値検出用流路32の幅は約0.4mmであり、流量検出用流路33の幅は約0.8mmである。
【0079】
このように、流量測定装置1では、物性値検出用流路32および流量検出用流路33に分流する測定対象流体の流量を、それぞれの幅を調整することで個別に制御することが可能である。このため、物性値検出部12の検出レンジに応じて物性値検出用流路32を流れる測定対象流体の流量を制御し、流量検出部11の検出レンジに応じて流量検出用流路33を流れる測定対象流体の流量を制御することができる。
【0080】
したがって、物性値検出部12は、固有の検出レンジに応じた最適な流量で、測定対象流体の物性値を検出することができるので、物性値検出部12の検出精度を高めることができる。
【0081】
同様に、流量検出部11は、固有の検出レンジに応じた最適な流量で、測定対象流体の流量を検出することができるので、流量検出部11の検出精度を高めることができる。
【0082】
上述の変形例では、図16に示されるように、物性値検出用流路32および流量検出用流路33が、何れも略コの字型に形成された構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。物性値検出用流路32および流量検出用流路33は、物性値検出用流路32および流量検出用流路33を通過する測定対象流体の流量が制御可能な幅に設定されていれば、その形状は特に限定されない。
【0083】
図17(a)~(d)は、図16に示される副流路部3の上面に形成された、物性値検出用流路32および流量検出用流路33の変形例を示す上面図である。
【0084】
図17(a)に示されるように、例えば、物性値検出用流路32を直線状に形成し、流量検出用流路33を略コの字型に形成してもよい。
【0085】
また、図17(b)~図17(d)に示されるように、流量検出用流路33に対して測定対象流体を流入させる方向と直行する方向から物性値検出用流路32に対して測定対象流体を流入させるように、物性値検出用流路32を形成してもよい。
【0086】
この場合、物性値検出部12と流量検出部11との配置角度を一致させることができるため、流量測定装置1の製造過程において、回路基板5に物性値検出部12および流量検出部11を実装する工程を簡略化することができる。
【0087】
上述の変形例では、図15(a)に示されるように、物性値検出部12は、測定対象流体を加熱する物性値検出部内加熱部123と、測定対象流体の温度を検出する物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122とを備え、物性値検出部内第1温度検出部121および物性値検出部内第2温度検出部122が、物性値検出部内加熱部123を挟んで左右対称に配置された構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0088】
図18は、図15(a)に示される物性値検出部12の変形例の概略構成を示す上面図である。図18に示されるように、物性値検出部内第2温度検出部122を省略して、物性値検出部内加熱部123と、物性値検出部内第1温度検出部121とで、物性値検出部12aを構成してもよい。
【0089】
このように、物性値検出部内加熱部と物性値検出部内第1温度検出部を、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並べて配置することで、物性値検出部12aを実現してもよい。
【0090】
〔変形例2〕
本発明に係る流量測定装置の他の変形例について、図19に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と対応する部材に関しては、対応する符号を付し、その説明を省略する。本変形例に係る流量測定装置は、流量検出部が主流路に配置される。
【0091】
図19(a)は、本変形例に係る流量測定装置1aを示す斜視図であり、図19(b)は、図19(a)に示される流量測定装置1aを示す断面図であり、図19(c)は、図19(a)に示される副流路部3aを示す上面図である。
【0092】
図19(a)~図19(c)に示されるように、流量測定装置1aでは、主流路部2aの内周面の流入口34Aと流出口35Aとの間に、開口部37Aが形成されている。
【0093】
副流路部3aの内部には、流量検出部11が配置されたセル状の流量検出用流路37aが形成されており、流量検出用流路37aは開口部37Aに連通している。このため、流
量検出用流路37aには、開口部37Aを介して主流路部2aを流れる測定対象流体が流入し、流量検出部11によってその流量が検出される。
【0094】
なお、開口部37Aの大きさを制御調整することによって、主流路部2aから流量検出用流路37aに流入する測定対象流体の流量を制御することができる。
【0095】
副流路部3aは、流入用流路34と、物性値検出用流路32と、流出用流路35とから構成されており、物性値検出用流路32は、長手方向に延在する流路に、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部12が配置された物性値検出用流路32を有している。
【0096】
このように、流量測定装置1aでは、物性値検出部12が副流路部3aに配置され、流量検出部11が主流路部2aに配置されている。このため、流量測定装置1aでは、物性値検出部12の検出レンジに応じた流量を制御することが可能である。
【0097】
それゆえ、本実施形態によれば、測定対象流体の物性変化による出力特性の変化を低減して、高精度に測定対象流体の流量を測定することができる流量測定装置1aを実現することができる。
【0098】
〔変形例3〕
本発明に係る流量測定装置の他の変形例について、図20に基づいて説明する。なお、実施形態と対応する部材に関しては、対応する符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
本変形例に係る流量測定装置は、独立した2つの副流路を有する点で、上述の流量測定装置と異なっている。
【0100】
図20(a)は、本実施形態に係る流量測定装置1bを示す斜視図であり、図20(b)は、図20(a)に示される副流路部3を示す上面図である。
【0101】
図20(a)および図20(b)に示されるように、流量測定装置1bでは、副流路部3bは、その内部および上面に2つの副流路部が形成されている。
【0102】
第1の副流路部は、流入用流路34bと、物性値検出用流路32bと、流出用流路35bとから構成されており、物性値検出用流路32bには、長手方向に延在する流路に、測定対象流体の物性値を検出するための物性値検出部12が配置されている。
【0103】
第2の副流路部は、流入用流路34Bと、流量検出用流路33Bと、流出用流路35Bとから構成されており、流量検出用流路33Bには、長手方向に延在する流路に、測定対象流体の流量を検出するための流量検出部11が配置されている。
【0104】
このように、流量測定装置1bでは、副流路部3bが独立した2つの副流路を有しており、物性値検出部12が第1の副流路部に配置され、流量検出部11が第2の副流路部に配置されている。このため、流量測定装置1bによれば、物性値検出部12および流量検出部11の検出レンジに応じた流量を、個別に制御することが可能である。
【0105】
それゆえ、本実施形態によれば、測定対象流体の物性変化による出力特性の変化を低減して、高精度に測定対象流体の流量を測定することができる流量測定装置1bを実現することができる。
【0106】
〔変形例4〕
本発明に係る流量測定装置の他の変形例について、図21に基づいて説明する。なお、実施形態と対応する部材に関しては、対応する符号を付し、その説明を省略する。
【0107】
本変形例に係る流量測定装置は、物性値検出用流路が、流量検出用流路内に形成されている点で、上述の流量測定装置と異なっている。
【0108】
図21(a)は、本実施形態に係る流量測定装置1cを示す斜視図であり、図21(b)は、図21(a)に示される副流路部3cを示す斜視図であり、図21(c)は、図21(a)に示される副流路部3cを示す上面図である。
【0109】
図21(a)~図21(c)に示されるように、流量測定装置1cでは、副流路部3cは、流入用流路34と、物性値検出用流路32cと、流量検出用流路33cと、流出用流路35とから構成されている。
【0110】
副流路部3cでは、物性値検出用流路32cが、流量検出用流路33c内に形成されており、測定対象流体の流れ方向に対して上流側に流量検出部11が配置され、下流側に物性値検出部12が配置されている。
【0111】
ここで、物性値検出用流路32cは、測定対象流体の流量を制御するための流量制御部材40によって、流量検出用流路33cと仕切られており、物性値検出部12は流量制御部材40の内部に配置されている。
【0112】
流量制御部材40は、物性値検出用流路32cを通過する測定対象流体の流量を制御するためのものであり、第1側壁部40aと第2側壁部40bとから構成されている。第1側壁部40aおよび第2側壁部40bは何れも略コの字型の板状部材であり、それぞれの端部を対向させた状態で、所定の間隔をおいて配置されている。
【0113】
したがって、第1側壁部40aと第2側壁部40bとの間隔を制御することによって、流量制御部材40の内部、すなわち、物性値検出用流路32cを通過する測定対象流体の流量を調整することができる。
【0114】
このように、流量測定装置1cでは、副流路部3cが流量制御部材40を備え、流量制御部材40の内部に物性値検出用流路32cが設けられているため、副流路部3c内の任意の位置に物性値検出用流路32cを設けることが可能となる。また、流量制御部材40を備えることで、物性値検出用流路32cを通過する測定対象流体の流量を容易に制御することができる。
【0115】
このように、物性値検出用流路32cが、流量検出用流路33c内に形成されて構成であっても、物性値検出部12および流量検出部11の検出レンジに応じた流量を個別に制御することが可能である。
【0116】
それゆえ、本実施形態によれば、測定対象流体の物性変化による出力特性の変化を低減して、高精度に測定対象流体の流量を測定することができる流量測定装置1cを実現することができる。
【0117】
〔変形例5〕
図22(a)~図22(c)は、他の変形例に係る多段分流型の一例を示す図である。図22(c)は、主流路部2d及び流量測定装置1dの接続箇所を示す。図22(b)は、図22(c)において破線の長方形で示した箇所を拡大した図である。また、図22(a)は、図22(c)におけるユニット1000のA-A断面図である。図22(b)に
拡大して示すように、本変形例では、主流路部2の流れ方向に沿って、主流路部2dよりも細い(断面積の小さい)副流路部3dが設けられている。また、副流路部3dは、主流路部2dに沿って貫通する主流路2eと、副流路部3dに対しほぼ垂直に接続される副流路部3eとに分岐する。そして、図22(a)に示すように、副流路部3eは、流量検出部11が設けられた副流路部3fと、物性値検出部12が設けられた副流路部3gとに分岐する。
【0118】
上述した副流路を有する変形例によれば、主流路部2dの流量(すなわち、主流路部2dの太さ(断面積))にかかわらず、小型の流量測定装置1dで流量を測定できる。また、上述した副流路を有する変形例によれば、センサチップへのダストの侵入を抑制し、測定精度を向上させることができるところ、図22に示す変形例のように3段階の分流構造を採用すれば、ダストの侵入量をさらに低減することができる。
【0119】
また、図22に示したユニット1000のように、例えば流量検出部11が設けられた副流路部3fと、物性値検出部12が設けられた副流路部3gとを有する部品を着脱自在な部品として形成するようにしてもよい。このようにすれば、様々な流量や形状の主流路部2に対して取り付け可能な部品を提供することができ、コストを低減できる。
【0120】
図23は、他の変形例を説明するための断面図である。図23の例では、回路基板の表裏にそれぞれ流量検出部11と物性値検出部12とが配置されている。そして、回路基板を貫通して副流路が設けられている。管状の副流路を設ける態様に限らず、図23に示すような分流構造を採用してもよい。
【0121】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部(11)と、
測定対象流体を加熱する加熱部(123)および測定対象流体の温度を検出する温度検出部(121、122)を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、
前記特性値取得部によって取得された測定対象流体の特性値を用いて、前記流量検出部(11)から出力された検出信号に基づいて算出された測定対象流体の流量を補正する流量補正部(131)と、
を備え、
前記加熱部(123)および前記温度検出部(121、122)は、測定対象流体の流れ方向と直交する方向に並んで配置されており、
前記特性値取得部は、前記加熱部(123)の温度を変化させた前後における、前記温度検出部(121、122)により検出された前記測定対象流体の温度の比により、前記特性値を取得することを特徴とする流量測定装置(1)。
<発明14>
測定対象流体の流れ方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する加熱部(113)および測定対象流体の温度を検出する温度検出部(111、112)を有し、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部(11)と、
測定対象流体の流れと直交する方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する第二加熱部(123)および測定対象流体の温度を検出する第二温度検出部(121、123)を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、
を備えた流量測定装置(1)を用いた前記測定対象流体の流量の測定方法であって、
前記流量検出部(11)によって前記主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量検出工程(S1)と、
前記第二温度検出部(121、123)により前記測定対象流体の温度を測定する第一
温度測定工程(S12)と、
前記第二加熱部(123)の温度を変化させる温度変化工程(S13)と、
前記温度変化工程(S13)の後に、前記第二温度検出部(121、123)により前記測定対象流体の温度を測定する第二温度測定工程(S14)と、
前記第一温度測定工程(S12)で測定された前記測定対象流体の温度と、前記第二温度測定工程で測定された前記測定対象流体の温度との比によって、前記特性値を取得する特性値取得工程(S15)と、
前記流量検出工程(S1)において検出された測定対象流体の流量に、前記特性値を乗
じることで、前記測定対象流体の流量を補正する補正工程(S3)と、
を有することを特徴とする流量の測定方法。
<発明15>
測定対象流体の流れ方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する加熱部(113)および測定対象流体の温度を検出する温度検出部(111、112)を有し、主流路を流れる測定対象流体の流量を検出するための流量検出部(11)と、
測定対象流体の流れと直交する方向に並んで配置された、測定対象流体を加熱する第二加熱部(123)および測定対象流体の温度を検出する第二温度検出部(121、123)を有し、測定対象流体の特性値を取得するための特性値取得部と、
を備えた流量測定装置(1)に、前記測定対象流体の流量の測定させる流量測定プログラムであって、
情報処理装置に、
前記流量検出部(11)によって前記主流路を流れる測定対象流体の流量を検出する流量検出ステップ(S1)と、
前記第二温度検出部(121、123)により前記測定対象流体の温度を測定する第一温度測定ステップ(S12)と、
前記第二加熱部(123)の温度を変化させる温度変化ステップ(S13)と、
前記温度変化ステップ(S13)の後に、前記第二温度検出部(121、123)により前記測定対象流体の温度を測定する第二温度測定ステップ(S14)と、
前記第一温度測定ステップ(S12)で測定された前記測定対象流体の温度と、前記第二温度測定ステップで測定された前記測定対象流体の温度との比によって、前記特性値を取得する特性値取得ステップ(S15)と、
前記流量検出ステップ(S1)において検出された測定対象流体の流量に、前記特性値
を乗じることで、前記測定対象流体の流量を補正する補正ステップ(S3)と、
を実行させるための流量測定プログラム。
【符号の説明】
【0122】
1 :流量測定装置
2 :主流路部
3 :副流路部
5 :回路基板
11 :流量検出部
111 :流量検出部内第1温度検出部
112 :流量検出部内第2温度検出部
113 :マイクロヒータ
12 :物性値検出部
121 :物性値検出部内第1温度検出部
122 :物性値検出部内第2温度検出部
123 :物性値検出部内加熱部
13 :制御部
131 :補正処理部
132 :特性値算出部
32 :物性値検出用流路
33 :流量検出用流路
34 :流入用流路
100 :センサ素子
101 :マイクロヒータ
102 :サーモパイル
1000 :ユニット
図1
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図3
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