(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240116BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240116BHJP
F21V 29/77 20150101ALI20240116BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240116BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240116BHJP
F21Y 105/18 20160101ALN20240116BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240116BHJP
【FI】
F21S2/00 375
F21V29/503
F21V29/77
F21S2/00 623
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y105:18
F21Y115:10 700
F21Y115:10 100
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2020027477
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】野澤 秋寛
(72)【発明者】
【氏名】天羽 裕史
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006204(JP,A)
【文献】米国特許第05617628(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/503
F21V 29/77
F21Y 115/15
F21Y 115/30
F21Y 105/18
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源と、
前記光源から発生した熱を放散させるヒートシンクと、を備え、
前記ヒートシンクは、
金属板からなる放熱フィンと、
前記放熱フィンが固定されるベース部と、を備え、
前記放熱フィンは、
前記ベース部に接触した状態で固定される底面部と、
前記底面部の端部から前記底面部に対して予め定められた角度の方向に延びて設けられた側面部と、を備え、
前記側面部が前記底面部に対し前記角度となる状態で支持する支持手段をさらに備え
、
前記支持手段は、前記側面部の前記底面部とは反対側の端部と前記底面部との間にわたって設けられた照明装置。
【請求項2】
光を照射する光源と、
前記光源から発生した熱を放散させるヒートシンクと、を備え、
前記ヒートシンクは、
金属板からなる放熱フィンと、
前記放熱フィンが固定されるベース部と、を備え、
前記放熱フィンは、
前記ベース部に接触した状態で固定される底面部と、
前記底面部の端部から前記底面部に対して予め定められた角度の方向に延びて設けられた側面部と、を備え、
前記側面部が前記底面部に対し前記角度となる状態で支持する支持手段をさらに備え、
前記支持手段は、前記側面部と前記底面部とに挟まれた隅角部の内側から前記側面部に接する支持部を有す
る照明装置。
【請求項3】
前記支持手段は、前記支持部に連結され、前記隅角部の内側から前記底面部に接する支持基部をさらに有し、
前記支持手段の前記支持基部と前記放熱フィンの前記底面部とを共締めにより前記ベース部に固定する締結手段をさらに備えた請求項
2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置においては、固定板部と固定板部に対し略垂直方向に起立した本体板部とを有する放熱板(放熱フィン)を、ベースに固定板部がリベットで固定された状態で配置するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような照明装置においては、照明装置に継続的に振動、衝撃等の外力が加わると、放熱フィンの固定板部がベースに固定された状態で、ベースから伝わる外力により放熱フィンが振動する。このため、照明装置に継続的に振動、衝撃等の外力が印加された場合に、放熱フィンにおける固定板部と本体板部との接続部分(折り曲げ部)に応力が集中し、放熱フィンが疲労破壊に至る可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、放熱フィンの強度向上を図り、継続的に振動等の外力が照明装置に印加される設置環境下での放熱フィンの疲労破壊を抑制できる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明装置は、光を照射する光源と、前記光源から発生した熱を放散させるヒートシンクと、を備え、前記ヒートシンクは、金属板からなる放熱フィンと、前記放熱フィンが固定されるベース部と、を備え、前記放熱フィンは、前記ベース部に接触した状態で固定される底面部と、前記底面部の端部から前記底面部に対して予め定められた角度の方向に延びて設けられた側面部と、を備え、前記側面部が前記底面部に対し前記角度となる状態で支持する支持手段をさらに備え、前記支持手段は、前記側面部の前記底面部とは反対側の端部と前記底面部との間にわたって設けられる。
あるいは、本開示に係る照明装置は、光を照射する光源と、前記光源から発生した熱を放散させるヒートシンクと、を備え、前記ヒートシンクは、金属板からなる放熱フィンと、前記放熱フィンが固定されるベース部と、を備え、前記放熱フィンは、前記ベース部に接触した状態で固定される底面部と、前記底面部の端部から前記底面部に対して予め定められた角度の方向に延びて設けられた側面部と、を備え、前記側面部が前記底面部に対し前記角度となる状態で支持する支持手段をさらに備え、前記支持手段は、前記側面部と前記底面部とに挟まれた隅角部の内側から前記側面部に接する支持部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明装置によれば、放熱フィンの強度向上を図り、継続的に振動等の外力が照明装置に印加される設置環境下での放熱フィンの疲労破壊を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明装置を下から見た斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明装置の要部の構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明装置の放熱フィンを構成する部品を模式的に示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る照明装置の放熱フィンを構成する部品及び支持構造を模式的に示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る照明装置の支持部材を模式的に示す斜視図である。
【
図6】実施の形態2に係る照明装置の放熱フィンを構成する部品及び支持構造を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図6中の矢印Aで示す方向から見た矢視図である。
【
図8】実施の形態2に係る照明装置の放熱フィンを構成する部品及び支持構造の別例を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図8中の矢印A’で示す方向から見た矢視図である。
【
図10】実施の形態3に係る照明装置の放熱フィンを構成する部品を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る照明装置を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1から
図5を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。
図1は照明装置を下から見た斜視図である。
図2は照明装置の要部の構成を模式的に示す図である。
図3は照明装置の放熱フィンを構成する部品を模式的に示す斜視図である。
図4は照明装置の放熱フィンを構成する部品及び支持構造を模式的に示す断面図である。そして、
図5は照明装置の支持部材を模式的に示す斜視図である。
【0011】
この実施の形態に係る照明装置1は、天井に設置され、下へ向けて光を照射する。以下の説明では、照明装置1が使用されるときの姿勢を基準として、上及び下の方向を特定する。この実施の形態における照明装置1は、特に、工場、倉庫、体育館、競技施設等の高い天井、高所に設置されたクレーン等に設置した使用に適する。
【0012】
この実施の形態の照明装置1は、
図1に示すように、天板2、基板10及びヒートシンク100を備えている。照明装置1の灯軸は、照明装置1の中心軸に相当する。
【0013】
基板10は、光源となる発光素子11を備えている。この実施の形態では、複数の発光素子11が1個の基板10上に実装されている。ここで説明する構成例では、基板10は、発光ダイオード(LED)を発光素子11として使用している。基板10には、複数の発光素子11に給電するための導電パターンが形成されている。ここで説明する構成例では、基板10は平板状であり、平面上に複数の発光素子11であるLEDが配置されている。この発光素子11が配置される平面により光源面が形成される。光源面は、灯軸に対し垂直に配置される。
【0014】
光源となる発光素子11としてLEDを使用する場合、基板10は、例えば、表面実装型LEDパッケージ、砲弾型LEDパッケージ、配光レンズ付きLEDパッケージ、チップ・スケール・パッケージのLED、チップ・オン・ボード(COB)タイプのLEDパッケージのうちの少なくとも一種を備えている。また、基板10は、光源としてLEDを利用したものに限らず、他に例えば、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子又は半導体レーザ等を利用したものでもよい。
【0015】
ヒートシンク100は、光源である発光素子11から発生した熱を放散させるためのものである。ヒートシンク100は、ベース部110と放熱フィン120とを備えている。基板10は、ヒートシンク100のベース部110の下面に取り付けられている。
【0016】
照明装置1は、カバー3を備えている。カバー3は、ベース部110に取り付けられている。カバー3は、基板10の全体を覆っている。発光素子11から発せられた光は、カバー3を透過して、照明装置1の外部へ照射される。カバー3とベース部110との接合部に、防水性を有するシール材又は接着剤が備えられてもよい。
【0017】
ヒートシンク100のベース部110と天板2は、いずれも平板状の部材である。ベース部110及び天板2の面は、灯軸に対して垂直である。灯軸方向から見たときのベース部110及び天板2の形状は、正方形を呈する。変形例として、灯軸方向から見たときのベース部110及び天板2の形状が、長方形、円形、又は楕円形でもよい。ベース部110及び天板2は、灯軸方向から見たときに、実質的に同じ形状及び寸法を有することが望ましい。ベース部110と天板2とは、灯軸に平行に延びる支柱4により、互いに連結されている。
【0018】
ヒートシンク100のベース部110の上に複数の放熱フィン120が配置されている。そして、ヒートシンク100の複数の放熱フィン120の上に天板2が配置されている。天板2は、ベース部110に対して、放熱フィン120を間に挟んで反対側に位置する。天板2は、ヒートシンク100の放熱フィン120の上を覆っている。
【0019】
このような天板2を備えたことで、以下の効果が得られる。照明装置1の上から降りかかる埃、油分等を天板2で受けることで、埃、油分等からなる汚れがベース部110の上面及び放熱フィン120の表面に付着及び堆積することを防止できる。また、汚れの影響によるベース部110及び放熱フィン120の放熱効率の低下を軽減できる。照明装置1が天井のような高所に設置された場合には、ベース部110及び放熱フィン120の頻繁な清掃を行うことが困難である。ベース部110及び放熱フィン120を頻繁に清掃しなくても、汚れがベース部110の上面及び放熱フィン120の表面に堆積することを天板2により防止できる。
【0020】
照明装置1は、電源装置5をさらに備えている。電源装置5は、直方体の外形を有する筐体と、当該筐体の内部に配置された回路基板等を備える。電源装置5は、天板2の上面に固定されている。電源装置5は、発光素子11を点灯させる直流電力を生成する点灯回路を備えている。電源装置5の点灯回路は、例えば商用電源から供給される交流電力から直流電力を生成する電源回路を含んでいる。電源装置5から給電線を介して基板10へ電力が供給されることで、発光素子11が点灯する。変形例として、照明装置1は、電源装置5を備えないものでもよい。すなわち、照明装置1は、照明装置1の外部に配置された電源装置から直流電力の供給を受けることによって発光素子11を点灯させるものでもよい。
【0021】
照明装置1は、アーム6と補強部材7とをさらに備えている。補強部材7は、ヒートシンク100のベース部110と天板2との間に掛け渡すようにして取り付けられている。ここで説明する構成例では、灯軸を間に挟んで反対側に位置する2箇所に補強部材7が設置されている。なお、補強部材7は、3箇所以上に設けられてもよい。
【0022】
アーム6は、補強部材7に連結されている。アーム6は、補強部材7を介して照明装置1の本体を支持する。アーム6は、細長い板状のアーム基部6aと、アーム基部6aの両端から突出する一対のアーム支持部6bとを有している。アーム支持部6bは、アーム基部6aの長手方向に対して垂直な方向に突出している。一対のアーム支持部6bの先端部分は、補強部材7にそれぞれ接続されている。アーム6は、金属板を曲げ加工することにより作られていてもよい。
【0023】
建物の天井面又は梁、あるいはクレーンのアームのような取付面に対してアーム基部6aをボルト等により固定することで、照明装置1を取付面に対して固定することができる。図示の例では、ボルトを挿通するための孔がアーム基部6aに形成されている。
図1では、アーム基部6aの面が灯軸に対して垂直になっている。取付面が水平である場合には、
図1に示す状態でアーム基部6aを取付面に対して固定することにより、光源面が水平になるように、すなわち、灯軸が鉛直になるように照明装置1を設置できる。
【0024】
発光素子11を有する基板10は、ヒートシンクのベース部110の下面に対して熱伝導可能となるように設けられている。発光素子11で発生した熱は、基板10からベース部110へ熱伝導する。基板10は、ベース部110の下面に対して、直接に接していてもよいし、熱伝導性材料を介して接触していてもよい。この際の熱伝導性材料として、例えば、熱伝導性グリス、熱伝導性シート、熱伝導性接着剤、熱伝導性両面粘着テープ等を挙げることができる。
【0025】
ヒートシンク100のベース部110の上に複数の放熱フィン120が配置されている。ベース部110及び放熱フィン120は、発光素子11で発生した熱を周囲の空気へ散逸させることにより、発光素子11を冷却する。放熱フィン120は、基板10とは反対側のベース部110の面から突出している。すなわち、放熱フィン120は、ベース部110の上面から突出している。この実施の形態における放熱フィン120は、板状の形状を有する。放熱フィン120の面は、灯軸に対して平行である。
【0026】
基板10の発光素子11で発生した熱は、ヒートシンク100のベース部110へ熱伝導し、ベース部110から放熱フィン120へさらに熱伝導する。そして、ベース部110及び放熱フィン120の表面から周囲の空気へ熱が散逸する。放熱フィン120によってヒートシンク100の表面積を大きくすることで、発光素子11で発生した熱を効率良く散逸させることができる。その結果、発光素子11の温度を低くできるので、発光素子11のエネルギー効率すなわち発光効率が向上するとともに、発光素子11の寿命を長くできる。
【0027】
図示の構成例では、灯軸方向から見たときに、複数の放熱フィン120が放射状に配置されている。複数の放熱フィン120のそれぞれは、ベース部110の中央領域から外側へ向かって延びている。変形例として、複数の板状の放熱フィンが互いに平行に配置されてもよい。
【0028】
この実施の形態では、
図2及び
図3に示すように、放熱フィン120は、例えば、アルミニウム合金からなる1枚の金属板をコの字型に折り曲げることにより形成された1つの部品により構成されている。この構成では、放熱フィン120の1つの部品は、1つの底面部121と、2つの側面部122とを有している。すなわち、底面部121の一端側には、折り曲げ部123を介して1つの側面部122が接続されている。また、底面部121の他端側にも、折り曲げ部123を介して1つの側面部122が接続されている。それぞれの側面部122は、底面部121の端部から底面部121に対して予め定められた角度の方向に延びて設けられる。ここで説明する構成例では、底面部121と側面部122とがなす前述の角度は、90°である。
【0029】
底面部121は、ベース部110に接触した状態で固定される。
図2に示す構成例では、放熱フィン120の底面部121は、ボルト130によりベース部110にねじ止めされて固定されている。ただし、ベース部110に放熱フィン120の底面部121を固定する方法は、他に例えば、カシメ固定、接着、溶接、ろう接等、いかなる方法でもよい。なお、
図2では、複数ある放熱フィン120の部品のうちの1つのみを図示している。
【0030】
この実施の形態の照明装置1は、側面部122が底面部121に対し前述の角度となる状態で支持する支持手段をさらに備えている。次に、この実施の形態の支持手段の構成について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。この実施の形態の照明装置1は、前述の支持手段として支持部材200を備えている。この実施の形態の支持部材200は、
図5に示すように、フィン支持部210と支持基部221とを備えている。フィン支持部210は、例えば直方体状を呈する部材である。フィン支持部210は、側面部122と底面部121とに挟まれた隅角部の内側から側面部122に接している。
【0031】
ここで説明する構成例では、前述したように、1つの底面部121に2つの側面部122が設けられている。そして、2つの側面部122のそれぞれに対応して、フィン支持部210も2つ設けられている。つまり、一方のフィン支持部210が一方の側面部122に接している。そして、他方のフィン支持部210が他方の側面部122に接している。
【0032】
支持基部221は、平面視で矩形状を呈する平板状の部材である。支持基部221は、2つのフィン支持部210のそれぞれと連結されている。具体的には、支持基部221の上面部における一端側に一方のフィン支持部210が固定されている。そして、支持基部221の上面部における他端側に他方のフィン支持部210が固定されている。支持基部221は、側面部122と底面部121とに挟まれた前述の隅角部の内側から底面部121に接している。このようにして、フィン支持部210と支持基部221とを有する支持部材200は、側面部122と底面部121とに挟まれた隅角部の内側から側面部122及び底面部121に接することで、側面部122が底面部121に対し前述の角度(ここでは90°)となる状態で支持している。
【0033】
次に、
図2を参照しながら、以上のように構成された照明装置1の有利な点について説明する。照明装置1が設置される取付面で生じた振動、衝撃等の外力は、アーム基部6aからアーム6に伝わる。アーム6に伝わった外力は、アーム支持部6bから補強部材7を介してヒートシンク100のベース部110へと伝わる。そして、ベース部110に伝わった外力は、ベース部110に固定された放熱フィン120の底面部121から放熱フィン120に伝達される。
【0034】
この際、放熱フィン120の底面部121はベース部110に固定されている一方で、側面部122はベース部に対して固定されていないので、ベース部110から伝わる外力により放熱フィン120が振動すると、底面部121に対する側面部122の振動が生じ、底面部121と側面部122との接続部分、ここでは折り曲げ部123に応力が集中しやすい。このため、照明装置1に継続的に振動、衝撃等の外力が印加された場合に、応力が放熱フィン120の底面部121と側面部122との接続部分(折り曲げ部123)に集中し、放熱フィン120が疲労破壊に至る可能性がある。
【0035】
これに対し、以上で説明したように、この実施の形態に係る照明装置1においては、支持手段である支持部材200により、側面部122が底面部121に対し前述した一定の角度(ここでは90°)となる状態で支持している。このため、照明装置1に印加された外力に起因するヒートシンク100のベース部110の振動が放熱フィン120に伝わった際に、底面部121に対する側面部122の振動が生じることを支持部材200により抑制できる。したがって、照明装置1に継続的に振動、衝撃等の外力が印加された場合に、応力が放熱フィン120の底面部121と側面部122との接続部分(折り曲げ部123)に集中することを抑制し、放熱フィン120の疲労破壊を抑制でき、放熱フィン120の強度向上を図ることが可能である。
【0036】
また、この実施の形態の照明装置1においては、
図5に示すように、支持基部221の中央部に貫通孔222が形成されている。そして、
図4に示すように、ボルト130が、この支持基部221の貫通孔222内を通された上で、放熱フィン120の底面部121の貫通孔内を通されて、ベース部110にねじ止めされている。すなわち、この実施の形態のボルト130は、支持手段である支持部材200の支持基部221と放熱フィンの底面部121とを共締めによりベース部110に固定する締結手段である。なお、支持基部221と底面部121とを共締めする締結手段は、ボルト130に限られない。締結手段として他に例えば、カシメを用いてもよい。
【0037】
このようにすることで、ボルト130等の締結手段により、支持部材200を放熱フィン120に固定する手段と、放熱フィン120をベース部110に固定する手段の両方の手段を兼ねることができ、これらの手段を別々に備える必要がないため、照明装置1の製造コストの増加を抑制しつつ、放熱フィン120の強度向上を図り、継続的に振動等の外力が照明装置1に印加される設置環境下での放熱フィン120の疲労破壊を抑制できる。
【0038】
実施の形態2.
図6から
図9を参照しながら、本開示の実施の形態2について説明する。
図6は照明装置の放熱フィンを構成する部品及び支持構造を模式的に示す斜視図である。
図7は
図6中の矢印Aで示す方向から見た矢視図である。
図8は照明装置の放熱フィンを構成する部品及び支持構造の別例を模式的に示す斜視図である。そして、
図9は
図8中の矢印A’で示す方向から見た矢視図である。
【0039】
ここで説明する実施の形態2は、放熱フィンの底面部に対する側面部の角度が予め設定された一定角度となる状態で支持する支持手段を、放熱フィンを構成する金属板を加工して設けるようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る照明装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。以降の説明においては、実施の形態1と同様の又は対応する構成について、原則として実施の形態1の説明で用いたものと同じ符号を付して記載する。
【0040】
この実施の形態に係る照明装置1における放熱フィン120には、
図6及び
図7に示すように、フィン補強部140が備えられている。この実施の形態のフィン補強部140は、側面部122が底面部121に対し、実施の形態1で前述した角度となる状態で支持する支持手段である。実施の形態1で説明したように、放熱フィン120の底面部121と側面部122とは、折り曲げられた1枚の金属板からなる。この実施の形態においては、支持手段であるフィン補強部140は、放熱フィン120を構成する金属板における底面部121と側面部122とにわたる折り曲げ部123の一部が、側面部122と底面部121とに挟まれた隅角部の内側に突出するように折り込まれた構造を有する。なお、折り曲げ部123は、実施の形態1で
図2を参照して説明したように、放熱フィン120の底面部121と側面部122との接続部分である。
【0041】
このようなフィン補強部140は、具体的に例えば、放熱フィン120を構成する金属板に折り曲げ部123を形成する曲げ加工を行う際に、当該折り曲げ部123に三角補強(あるいは、三角リブ)をプレス加工で形成することにより設けることができる。なお、
図6及び
図7に示す構成例のように底面部121と側面部122とにわたる折り曲げ部123のそれぞれに1つずつフィン補強部140を設ける場合、フィン補強部140は、折り曲げ部123の折り曲げ線に沿った方向における中央に配置することが好ましい。このようにすることで、三角補強(三角リブ)を形成するためのプレス加工に伴う歪みの発生を抑制できる。
【0042】
以上のように構成された照明装置1においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに、支持手段のために材料を追加する必要がないため、照明装置1の製造コストの増加を抑制しつつ、放熱フィン120の強度向上を図り、継続的に振動等の外力が照明装置1に印加される設置環境下での放熱フィン120の疲労破壊を抑制できる。また、折り曲げ部123を形成する曲げ加工と三角補強(三角リブ)を形成するためのプレス加工とを同時に行うことができるため、放熱フィン120製造時の工程数を増やすことなく支持手段を備えることが可能である。
【0043】
図8及び
図9に示すのは、この実施の形態に係る照明装置1における放熱フィン120の別例である。この別例においては、底面部121と側面部122とにわたる折り曲げ部123のそれぞれに2つずつフィン補強部140が設けられている。各フィン補強部140の構造及び加工方法は、
図6及び
図7に示すものと同様である。なお、折り曲げ部123のそれぞれにフィン補強部140を設ける個数は以上で説明したものに限られない。折り曲げ部123のそれぞれに3つ以上ずつフィン補強部140を設けてもよい。このように、フィン補強部140の数を増やすことで、放熱フィン120のさらなる強度向上を図ることができる。
【0044】
実施の形態3.
図10及び
図11を参照しながら、本開示の実施の形態3について説明する。
図10は照明装置の放熱フィンを構成する部品を模式的に示す断面図である。そして、
図11は
図10中の矢印Bで示す方向から見た矢視図である。
【0045】
ここで説明する実施の形態3は、放熱フィンの底面部に対する側面部の角度が予め設定された一定角度となる状態で支持する支持手段を、側面部の底面部とは反対側の端部と底面部との間にわたって設けるようにしたものである。以下、この実施の形態3に係る照明装置について、実施の形態1の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
【0046】
この実施の形態に係る照明装置1における放熱フィン120には、
図10及び
図11に示すように、一対の支持部材200が設けられている。この実施の形態の支持部材200のそれぞれは、主要な部分が細長い棒状を呈する。そして、それぞれの支持部材200の一端側には、支持基部221が設けられている。また、それぞれの支持部材200の他端側には、引っ掛け部230が設けられている。
【0047】
一方の支持部材200の引っ掛け部230は、一方の側面部122の底面部121とは反対側の端部(以降において、「側面部122の上端部」ともいう)に引っ掛けられる。一方の支持部材200の支持基部221は、底面部121における他方の側面部122寄りに固定される。また、他方の支持部材200の引っ掛け部230は、他方の側面部122の上端部に引っ掛けられる。他方の支持部材200の支持基部221は、底面部121における一方の側面部122寄りに固定される。
【0048】
以上のように構成された支持部材200を備えた照明装置1においても、実施の形態1と同様に、放熱フィン120の強度向上を図り、継続的に振動等の外力が照明装置1に印加される設置環境下での放熱フィン120の疲労破壊を抑制できる。
【0049】
なお、以上の各実施の形態においては、放熱フィン120の1つの部品は、1つの底面部121と2つの側面部122とを有し、2つの側面部122が互いに平行に配置される構成例について説明した。しかしながら、放熱フィン120を構成する1つの部品に関し、2つの側面部122が互いに平行でなくとも構わない。例えば、前述のように灯軸方向から見て複数の放熱フィン120が放射状に配置されている場合、放熱フィン120のそれぞれを構成する1つの部品における2つの側面部122の間隔を、ベース部110の中央領域側ほど狭く、ベース部110の外側ほど広くなるようにしてもよい。このようにすることで、放熱フィン120のそれぞれの側面部122を、均等な放射状に配置できる。
【符号の説明】
【0050】
1 照明装置
2 天板
3 カバー
4 支柱
5 電源装置
6 アーム
6a アーム基部
6b アーム支持部
7 補強部材
10 基板
11 発光素子
100 ヒートシンク
110 ベース部
120 放熱フィン
121 底面部
122 側面部
123 折り曲げ部
130 ボルト
140 フィン補強部
200 支持部材
210 フィン支持部
221 支持基部
222 貫通孔
230 引っ掛け部