(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】端子ユニット及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/44 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H01R13/44 N
(21)【出願番号】P 2020027843
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】亀村 誠人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良太
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015107304(DE,A1)
【文献】特開2020-017522(JP,A)
【文献】特開2019-003744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0044267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子との電気的接続に用いる端子ユニットであって、
前記相手端子との電気的接続に用いられる接続領域を含む、板状の端子金具と、
前記端子金具に取り付けられる絶縁部材と、を備え、
前記端子金具は、前記端子金具の板厚方向に沿って延びる側面と、前記板厚方向に交差する方向に延びる接続面と、を有し、
前記絶縁部材は、前記端子金具の長手方向における先端を含む領域を覆う延在部と、前記接続面の一部を覆う包囲部と、を有し、
前記接続領域は、前記接続面に位置し、
前記包囲部は、前記長手方向において、前記接続領域に対して前記先端の反対側に設けられて
おり、
前記端子金具の前記側面は、前記板厚方向と前記長手方向とに交差する幅方向における一方側に位置する第1側面と、前記幅方向における他方側に位置する第2側面と、を有し、
前記延在部は、前記第1側面を覆う部分と、前記第2側面を覆う部分と、を有し、
前記第1側面を覆う部分と前記第2側面を覆う部分とは、前記第1側面の側と前記第2側面の側とから前記端子金具を挟むように設けられており、
前記包囲部は、前記第1側面を覆う部分から前記幅方向において前記接続面の中央に向かって延びる第1突出部分と、前記第2側面を覆う部分から前記幅方向において前記接続面の中央に向かって延びる第2突出部分と、を有し、
前記第1突出部分の端部と前記第2突出部分の端部とは、前記幅方向において離隔している、
端子ユニット。
【請求項2】
前記延在部は、前記先端を収容する凹部を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項3】
前記延在部は、前記幅方向において前記第1側面を覆う部分と前記第2側面を覆う部分との間の距離を変化させるように弾性変形できる、
請求項
1または請求項
2に記載の端子ユニット。
【請求項4】
前記接続面は、前記板厚方向における一方側に位置する第1接続面と、前記板厚方向における他方側に位置する第2接続面と、を有し、
前記包囲部は、前記第1接続面を覆う部分と、前記第2接続面を覆う部分とを有し、
前記第1接続面を覆う部分と前記第2接続面を覆う部分とは、前記第1接続面の側と前記第2接続面の側とから前記端子金具を挟むように設けられている、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の端子ユニット。
【請求項5】
前記端子金具は、前記側面に形成された係止凹部を有し、
前記延在部は、前記係止凹部に対応する位置に、前記係止凹部に嵌まる凸部を有する、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の端子ユニット。
【請求項6】
相手端子を有する相手コネクタに電気的接続が可能なコネクタであって、
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の端子ユニットと、
前記端子ユニットを収容するハウジングと、を備える、
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子ユニット及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の端子本体と、絶縁性を有し、端子本体に取り付けられる絶縁部材とを備える端子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
同文献1に記載の端子本体は、板状の主部と、主部の先端から突出した2つの突出部とを有している。
【0003】
また、絶縁部材は、絶縁端部と、絶縁端部から端子本体に向かって延びるとともに各突出部同士の間に挟まれる補助部とを有している。絶縁端部のうち各突出部に対応する部分には、凹部が設けられている。各突出部が各凹部に圧入されることにより、絶縁部材が端子本体の先端に固定されている。
【0004】
こうした絶縁部材により、作業者の手指が端子本体に接触することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の端子においては、絶縁部材が端子本体の先端側にのみ設けられているため、例えば、端子本体の幅方向における側面などに作業者の手指が接触するおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、作業者の手指と端子本体との接触を抑制できる端子ユニット及びコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の端子ユニットは、相手端子との電気的接続に用いる端子ユニットであって、前記相手端子との電気的接続に用いられる接続領域を含む、板状の端子金具と、前記端子金具に取り付けられる絶縁部材と、を備え、前記端子金具は、前記端子金具の板厚方向に沿って延びる側面と、前記板厚方向に交差する方向に延びる接続面と、を有し、前記絶縁部材は、前記端子金具の長手方向における先端を含む領域を覆う延在部と、前記接続面の一部を覆う包囲部と、を有し、前記接続領域は、前記接続面に位置し、前記包囲部は、前記長手方向において、前記接続領域に対して前記先端の反対側に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、作業者の手指と端子金具との接触を広い範囲にわたって抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態の端子ユニットの斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態の絶縁部材の斜視図である。
【
図4】
図4は、同実施形態の端子ユニットの正面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態の端子ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の端子ユニットは、相手端子との電気的接続に用いる端子ユニットであって、前記相手端子との電気的接続に用いられる接続領域を含む、板状の端子金具と、前記端子金具に取り付けられる絶縁部材と、を備え、前記端子金具は、前記端子金具の板厚方向に沿って延びる側面と、前記板厚方向に交差する方向に延びる接続面と、を有し、前記絶縁部材は、前記端子金具の長手方向における先端を含む領域を覆う延在部と、前記接続面の一部を覆う包囲部と、を有し、前記接続領域は、前記接続面に位置し、前記包囲部は、前記長手方向において、前記接続領域に対して前記先端の反対側に設けられている。
【0012】
同構成によれば、絶縁部材は、側面のうち端子金具の長手方向における先端を含む領域を覆う延在部を有している。このため、作業者の手指と端子金具との接触が広い範囲にわたって抑制される。
【0013】
また、上記構成によれば、絶縁部材の包囲部によって、端子金具の板厚方向における端子金具と絶縁部材との相対変位が規制される。したがって、簡易な構成により絶縁部材が端子金具から脱離することが抑制される。
【0014】
[2]前記延在部は、前記先端を収容する凹部を有することが好ましい。
同構成によれば、絶縁部材に形成された凹部に接続金具の先端が収容される。したがって、絶縁部材が端子金具から脱離することが一層抑制される。
【0015】
[3]前記端子金具の前記側面は、前記板厚方向と前記長手方向とに交差する幅方向における一方側に位置する第1側面と、前記幅方向における他方側に位置する第2側面と、を有し、前記絶縁部材の前記延在部は、前記第1側面を覆う部分と、前記第2側面を覆う部分と、を有し、前記第1側面を覆う部分と前記第2側面を覆う部分とは、前記第1側面の側と前記第2側面の側とから前記端子金具を挟むように設けられていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、絶縁部材は、第1側面を覆う部分と第2側面を覆う部分とによって、第1側面の側と前記第2側面の側とから端子金具を挟む。したがって、絶縁部材が端子金具から脱離することが一層抑制される。
【0017】
[4]前記包囲部は、前記第1側面を覆う部分から前記幅方向において前記接続面の中央に向かって延びる第1突出部分と、前記第2側面を覆う部分から前記幅方向において前記接続面の中央に向かって延びる第2突出部分と、を有し、前記第1突出部分の端部と前記第2突出部分の端部とは、前記幅方向において離隔していることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、絶縁部材は、第1突出部分の端部と第2突出部分の端部とが離隔していない場合に比べて、第1側面を覆う部分と第2側面を覆う部分との間の距離の変化を許容できる。したがって、絶縁部材の端子金具への取り付けが容易である。
【0019】
[5]前記延在部は、前記幅方向において前記第1側面を覆う部分と前記第2側面を覆う部分との間の距離を変化させるように弾性変形できることが好ましい。
同構成によれば、絶縁部材は、第1側面を覆う部分と第2側面を覆う部分との間の距離の変化を許容できる。したがって、絶縁部材の端子金具への取り付けが容易である。
【0020】
[6]前記接続面は、前記板厚方向における一方側に位置する第1接続面と、前記板厚方向における他方側に位置する第2接続面と、を有し、前記包囲部は、前記第1接続面を覆う部分と、前記第2接続面を覆う部分とを有し、前記第1接続面を覆う部分と前記第2接続面を覆う部分とは、前記第1接続面の側と前記第2接続面の側とから前記端子金具を挟むように設けられていることが好ましい。
【0021】
同構成によれば、絶縁部材は、第1接続面の側と第2接続面の側とから端子金具を挟むことができるので、絶縁部材が端子金具から脱離することを一層抑制できる。
[7]前記端子金具は、前記側面に形成された係止凹部を有し、前記延在部は、前記係止凹部に対応する位置に、前記係止凹部に嵌まる凸部を有することが好ましい。
【0022】
同構成によれば、端子金具に設けられた係止凹部に絶縁部材に設けられた凸部が嵌まるため、端子金具と絶縁部材との相対変位が規制される。したがって、絶縁部材が端子金具から脱離することを一層抑制できる。
【0023】
[8]本開示の他の形態によれば、相手端子を有する相手コネクタに電気的接続が可能なコネクタが提供される。このコネクタは、上記[1]から上記[7]のいずれか1つに記載の端子ユニットと、前記端子ユニットを収容するハウジングと、を備える。
【0024】
同構成によれば、上記[1]から上記[7]のいずれか1つに記載の端子ユニットの作用効果に準じた作用効果を奏することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子ユニット及びコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「直交」は厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。以下において、「沿って」と記載する場合には、基準となる方向と延びる方向との成す角度が10度以下であることが好ましい。この場合に、基準となる方向と延びる方向との成す角度は、5度以下であることがより好ましく、1度以下であることがさらに好ましく、0度つまり平行であることが最も好ましい。また、以下において、「交差する」と記載する場合には、基準となる方向に対して角度が80度以上になるように交わることが好ましい。この場合に、基準となる方向に対して成す角度は、85度以上であることがより好ましく、89度以上であることがさらに好ましく、90度つまり垂直であることが最も好ましい。
【0025】
<コネクタ10の構成>
図1に示すように、コネクタ10は、機器のケース120に対して、ケース120から一部が突出した状態で取り付けられるものである。なお、各図における上下方向は、必ずしもコネクタ10の使用時の姿勢を表すものではない。
【0026】
コネクタ10は、平板状をなす複数の端子ユニット20と、これら端子ユニット20を収容する樹脂製のハウジング50とを備えている。本実施形態では、2つの端子ユニット20がハウジング50内に並んで収容されている。
【0027】
<端子ユニット20の全体構成>
図2に示すように、各端子ユニット20は、基部31、及び基部31から延在する平板状の接続端部35を有する金属製の端子金具30と、接続端部35に取り付けられる絶縁部材40とを備えている。端子金具30は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金などの金属板材をプレス加工することにより形成されている。絶縁部材40は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。
【0028】
以降において、第1方向Zは、端子金具30、具体的には接続端部35の長手方向である。第2方向Yは、接続端部35の幅方向であり、第1方向Zと交差している。第3方向Xは、接続端部35の板厚方向であり、第1方向Zと第2方向Yとに交差している。本実施形態において、第2方向Yは、第1方向Zに垂直に交差している。また、第3方向Xは、第1方向Zと第2方向Yとに垂直に交差している。なお、第1方向Zと第2方向Yと第3方向Xとは、互いに垂直に交差しているが、必ずしも互いに垂直に交差していなくてもよい。
【0029】
<端子金具30の構成>
図2に示すように、基部31は、第3方向Xに沿って直線状に延在する第1直線部32と、第1直線部32から屈曲して第1方向Zに沿って直線状に延在する第2直線部33と、第2直線部33から第3方向Xに沿って直線状に延在する第3直線部34とを有している。第3直線部34は、第3方向Xにおける第1直線部32側に延在している。第1直線部32には、第1方向Zに貫通する貫通孔32aが設けられている。接続端部35は、第3方向Xに交差する第1接続面352A及び第2接続面352Bを有している(
図5参照)。第1接続面352Aは、第3方向Xにおける一方側に位置している。第2接続面352Bは、第3方向Xにおける他方側に位置している。第1接続面352Aは、コネクタ10に取り付け可能な相手コネクタの端子である相手端子との電気的接続に用いられる接続領域353を含んでいる。接続領域353は、
図2において、便宜上、破線によって示された領域である。接続領域353では、コネクタ10に相手コネクタが取り付けられる際に、相手端子と端子金具30との電気的な接点が形成される。本実施形態において、接続領域353は、各接続面352A,352Bのうち一方の第1接続面352Aに形成され、他方の第2接続面352Bには形成されていない。端子金具30は、第3方向Xに沿って延びる側面351を有する。側面351は、第1側面351Aと第2側面351Bを含む。なお、第1側面351Aは、側面351のうち第2方向Yの一方側に位置する。また、第2側面351Bは、側面351のうち第2方向Yの他方側に位置する。
【0030】
接続端部35のうち第2方向Yにおける第1側面351Aおよび第2側面351Bには、係止凹部36が設けられている。
<絶縁部材40の構成>
図2及び
図3に示すように、絶縁部材40は、接続面352A,352Bを覆う包囲部41と、端子金具30の先端301を含む側面351を覆う延在部42とを有している。包囲部41は、接続端部35における基部31側の部分を包囲している。延在部42は、包囲部41から第1方向Zに沿って接続端部35の先端301側に向かって延在するとともに接続端部35の第2方向Yにおける両側面351A,351Bを覆っている。
【0031】
また、延在部42は、第1側面351Aを覆う部分42Aと、第2側面351Bを覆う部分42Bとを有する。また、延在部42は、第1側面351Aを覆う部分42Aと延在部42のうち第2側面351Bを覆う部分42Bとを連結する連結部43を有する。連結部43は、接続端部35の先端面を覆っている。部分42Aと部分42Bとは、第1側面351A側と第2側面351B側とから端子金具30を挟むように設けられている。
【0032】
図3に示すように、包囲部41は、端子金具30の長手方向である第1方向Zにおいて、接続領域353に対して先端面の反対側に設けられている。さらに包囲部41は、延在部42の第1側面351Aを覆う部分42Aから第2方向Yにおける接続面352A,352Bの中央に向かって延びる第1突出部分414Aを有している。また、包囲部41は、延在部42の第2側面351Bを覆う部分42Bから第2方向Yにおける接続面352A,352Bの中央に向かって延びる第2突出部分414Bを有している。本実施形態では、包囲部41は、第1接続面352Aを覆う部分416Aと第2接続面352Bを覆う部分416Bとを有し、第1接続面352A側と第2接続面352B側とから端子金具30を挟むように設けられている。
【0033】
図4に示すように、絶縁部材40の第2方向Yにおける最大寸法と、端子金具30の第2方向Yにおける最大寸法とは、略同一である。
図3に示すように、包囲部41における第3方向Xの両側の部分には、当該包囲部41の周方向において包囲部41を分断する分断部44がそれぞれ設けられている。したがって、各分断部44においては、包囲部41のうち第2方向Yに沿って延びる部分の端縁同士が互いに対向している。つまり、第1突出部分414Aの端部と第2突出部分414Bの端部とは、第2方向Yにおいて離隔している。
【0034】
絶縁部材40のうち少なくとも延在部42は、弾性を有し、第1側面351Aを覆う部分と第2側面351Bを覆う部分との第2方向Yにおける距離を変化させるように弾性変形できる。このため、端子金具30への絶縁部材40の取り付けが容易である。
【0035】
包囲部41の第3方向Xの両側には、上記端縁の各々から第3方向Xに沿って突出した位置決め部45が設けられている。
延在部42の内面には、接続端部35の各係止凹部36に係止される係止凸部46が形成されている。各係止凸部46は、延在部42の内面から第2方向Yの内側に向かうほど連結部43側に向かって傾斜して延びている。係止凸部46は、係止凹部36に対応する位置に設けられている。係止凸部46は、係止凹部36に嵌まる構造を有している。係止凸部46は、前述した[本開示の実施形態の説明]における凸部に相当する構成である。
【0036】
図5に示すように、連結部43には、接続端部35の先端301が収容される凹部43aが形成されている。なお、接続端部35の先端301は先細状をなしている。なお、凹部43aは、前述した[本開示の実施形態の説明]における凹部に相当する構成である。
【0037】
また、同図に示すように、接続端部35の板厚と
、延在部42の第3方向Xにおける厚みとは略同一である。
<ハウジング50の構成>
図1に示すように、ハウジング50は、各端子ユニット20が収容されるとともにケース120から第1方向Zに沿って突出した本体部51と、本体部51の全周にわたって外周側に向かって突出したフランジ52とを有している。
【0038】
フランジ52には、円筒状の複数のカラー53が設けられている。図示しないボルトが各カラー53に挿通されるとともにケース120にねじ込まれることにより、コネクタ10がケース120に対して固定されている。
【0039】
ハウジング50は、第1方向Zに沿う軸線周りにおいて各端子ユニット20の接続端部35を覆うとともに第2方向Yの一方側に開口する外側壁54と、第1方向Zにおける各接続端部35の先端301側を覆う外頂壁55と、外頂壁55に対向する対向壁56とを有している。各端子ユニット20の接続端部35は、対向壁56から突出している。
【0040】
外側壁54は、第1方向Zに直交する断面形状が略U字状をなしており、接続端部35の第3方向Xの両側と、第2方向Yの他方側とを覆っている。
外頂壁55は、外側壁54の第1方向Zにおける先端縁に連なって設けられている。
【0041】
また、ハウジング50は、外側壁54の内側において各接続端部35を個別に覆う2つの内側壁57と、外頂壁55の内側において第1方向Zにおける各接続端部35の先端側を個別に覆う2つの内頂壁58とを有している。
【0042】
各内側壁57は、第1方向Zに直交する断面形状が略U字状をなしており、各接続端部35の第3方向Xの両側と、第2方向Yの他方側とを覆っている。
内頂壁58は、内側壁57の第1方向Zにおける先端縁に連なって設けられている。
【0043】
以上のことから、外側壁54と各内側壁57とは、いずれも第2方向Yの一方側に開口している。これらの開口を通じて、各端子ユニット20の接続端部35が外部に露出している。
【0044】
対向壁56には、各端子ユニット20が挿通される2つの挿通孔56aが設けられている。図示は省略するが、対向壁56の内部には、各端子ユニット20の絶縁部材40に設けられた位置決め部45が第1方向Zにおいて係止される段差が各挿通孔56aに連なって設けられている。
【0045】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)端子ユニット20は、相手端子との電気的接続に用いられる接続領域353を含む、板状の端子金具30と、端子金具30に取り付けられる絶縁部材40とを備える。端子金具30は、第3方向Xに沿って延びる側面351と、第3方向Xに交差する方向に延びる接続面352A,352Bとを有する。絶縁部材40は、先端301を含む領域を覆う延在部42と、接続面352A,352Bの一部を覆う包囲部41とを有する。接続領域353は、接続面352Aに位置する。包囲部41は、第1方向Zにおいて、接続領域353に対して先端301の反対側に設けられている。
【0046】
こうした構成によれば、絶縁部材40は、側面351のうち端子金具30の第1方向Zにおける先端301を含む領域を覆う延在部42を有している。このため、作業者の手指と端子金具30との接触が広い範囲にわたって抑制される。
【0047】
また、上記構成によれば、絶縁部材40の包囲部41によって、第3方向Xにおける端子金具30と絶縁部材40との相対変位が規制される。したがって、簡易な構成により絶縁部材40が端子金具30から脱離することが抑制される。
【0048】
(2)連結部43には、接続端部35の先端301が収容される凹部43aが形成されている。
こうした構成によれば、絶縁部材40の連結部43に形成された凹部43aに接続端部35の先端301が収容される。したがって、絶縁部材40が端子金具30から脱離することが一層抑制される。
【0049】
(3)端子金具30の側面351は、第2方向Yにおける一方側に位置する第1側面351Aと、第2方向Yにおける他方側に位置する第2側面351Bとを有している。絶縁部材40の延在部42は、第1側面351Aを覆う部分42Aと、第2側面351Bを覆う部分42Bとを有している。第1側面351Aを覆う部分42Aと第2側面351Bを覆う部分42Bとは、第1側面351Aの側と第2側面351Bの側とから端子金具30を挟むように設けられている。
【0050】
こうした構成によれば、絶縁部材40は、第1側面351Aを覆う部分42Aと第2側面351Bを覆う部分42Bとによって、第1側面351Aの側と第2側面351Bの側とから端子金具30を挟む。したがって、絶縁部材40が端子金具30から脱離することが一層抑制される。
【0051】
(4)包囲部41は、第1側面351Aを覆う部分42Aから第2方向Yにおいて接続面352A,352Bの中央に向かって延びる第1突出部分414Aと、第2側面351Bを覆う部分42Bから第2方向Yにおいて接続面352A,352Bの中央に向かって延びる第2突出部分414Bとを有している。第1突出部分414Aの端部と第2突出部分414Bの端部とは、第2方向Yにおいて離隔している。
【0052】
こうした構成によれば、絶縁部材40は、第1突出部分414Aの端部と第2突出部分414Bの端部とが離隔していない場合に比べて、第1側面351Aを覆う部分42Aと第2側面351Bを覆う部分42Bとの間の距離の変化を許容できる。したがって、絶縁部材40の端子金具30への取り付けが容易である。
【0053】
(5)延在部42は、第2方向Yにおいて第1側面351Aを覆う部分42Aと第2側面351Bを覆う部分42Bとの間の距離を変化させるように弾性変形できる。
こうした構成によれば、絶縁部材40は、第1側面351Aを覆う部分42Aと第2側面351Bを覆う部分42Bとの間の距離の変化を許容できる。したがって、絶縁部材40の端子金具30への取り付けが容易である。
【0054】
(6)端子金具30は、第3方向Xにおける一方側に位置する第1接続面352Aと、第3方向Xにおける他方側に位置する第2接続面352Bとを有している。包囲部41は、第1接続面352Aを覆う部分416Aと、第2接続面352Bを覆う部分416Bとを有している。第1接続面352Aを覆う部分416Aと第2接続面352Bを覆う部分416Bとは、第1接続面352Aの側と第2接続面352Bの側とから端子金具30を挟むように設けられている。
【0055】
こうした構成によれば、絶縁部材40は、第1接続面352Aの側と第2接続面352Bの側とから端子金具30を挟むことができるので、絶縁部材40が端子金具30から脱離することを一層抑制できる。
【0056】
(7)端子金具30は、側面351に形成された係止凹部36を有している。延在部42は、係止凹部36に対応する位置に、係止凹部36に嵌まる係止凸部46を有することが好ましい。
【0057】
こうした構成によれば、端子金具30に設けられた係止凹部36に絶縁部材40に設けられた係止凸部46が嵌まるため、端子金具30と絶縁部材40との相対変位が規制される。したがって、絶縁部材40が端子金具30から脱離することを一層抑制できる。
【0058】
(8)コネクタ10は、端子ユニット20と、端子ユニット20を収容するハウジング50とを備える。
こうした構成によれば、上記(1)から上記(7)に準じた作用効果を奏することができる。
【0059】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・コネクタ10は、1つの端子ユニット20を備えるものであってもよいし、3つ以上の端子ユニット20を備えるものであってもよい。
・
図6に示すように、分断部44を省略した絶縁部材140を採用することもできる。絶縁部材140の包囲部141は、接続端部35を全周にわたって包囲するものである。この場合、係止凸部46を省略することが好ましい。
【0061】
・第1突出部分414A及び第2突出部分414Bの長さは、第2方向Y及び第3方向Xにおける端子金具30と絶縁部材40との相対移動が規制可能な範囲内において適宜変更することができる。
【0062】
・延在部42に係止凹部を設けるとともに、接続端部35の側面351A,351Bに当該係止凹部に係止される凸部を設けることで、端子金具30と絶縁部材40とを互いに係止するようにしてもよい。
【0063】
・係止凸部46は、第1側面351Aを覆う部分42Aと、第2側面351Bを覆う部分42Bとのどちらか一方にのみ設けられるものであってもよい。
・連結部43の凹部43aを省略して、接続端部35の先端面と、連結部43の内面とを面接触させる構成としてもよい。
【0064】
・絶縁部材40は、絶縁性を有するものであれば、例えば、セラミックスなどの樹脂材料とは異なる材料により形成されたものであってもよい。
・延在部42に接続端部35の第2方向Yにおける端縁が収容される凹部を形成してもよい。この場合、絶縁部材40を製造する金型の構造上の観点から、上記凹部は、延在部42のうち係止凸部46よりも基端側の部分に形成することが好ましい。
【0065】
・端子金具30は、例えば平板状の基部31と接続端部35とが同一平面上において連なる形状、すなわち、全体として平板状をなす形状であってもよい。
・本明細書における「脱離」とは、絶縁部材40が端子金具30から完全に離れる場合だけでなく、絶縁部材40が端子金具30に対して正規の位置からずれることも含む。
【符号の説明】
【0066】
X 第3方向
Y 第2方向
Z 第1方向
10 コネクタ
20 端子ユニット
30 端子金具
31 基部
32 第1直線部
32a 貫通孔
33 第2直線部
34 第3直線部
35 接続端部
36 係止凹部
40 絶縁部材
41 包囲部
42 延在部
42A 部分
42B 部分
43 連結部
43a 凹部
44 分断部
45 位置決め部
46 係止凸部(凸部)
50 ハウジング
51 本体部
52 フランジ
53 カラー
54 外側壁
55 外頂壁
56 対向壁
56a 挿通孔
57 内側壁
58 内頂壁
120 ケース
140 絶縁部材
141 包囲部
301 先端
351 側面
351A 第1側面
351B 第2側面
352A 第1接続面
352B 第2接続面
353 接続領域
414A 第1突出部分
414B 第2突出部分
416A 部分
416B 部分