(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電子吹奏楽器
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20240116BHJP
G10H 1/32 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G10H1/00 A
G10H1/32 Z
(21)【出願番号】P 2020034814
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】柏瀬 一輝
(72)【発明者】
【氏名】田畑 亮
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-164542(JP,A)
【文献】特表2018-521367(JP,A)
【文献】特開2017-062327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00
G10H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレスセンサーと、
音高を指示する操作子と、
前記ブレスセンサー及び/又は前記操作子から得られる演奏情報に基づいて音を出力するスピーカーと、
前記スピーカー内の空間に繋げられ、前記スピーカーの外側に延びる音響管と、
を備える電子吹奏楽器。
【請求項2】
前記操作子が、前記音響管に設けられている請求項1に記載の電子吹奏楽器。
【請求項3】
前記音響管は、前記スピーカーから延びる第一管部と、第一管部の延長方向の先端に連なる第二管部と、を有し、
前記操作子は、前記第一管部に設けられている請求項1又は請求項2に記載の電子吹奏楽器。
【請求項4】
前記第二管部が金属製である請求項3に記載の電子吹奏楽器。
【請求項5】
マウスピースを固定するマウスピース固定部を備え、
前記マウスピース固定部は、前記スピーカーに固定される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子吹奏楽器。
【請求項6】
前記スピーカーが、前記マウスピース固定部と前記操作子との間に位置する請求項5に記載の電子吹奏楽器。
【請求項7】
前記音響管の外周面に対して間隔をあけるように前記音響管の外側を囲むケースを備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子吹奏楽器。
【請求項8】
前記音響管の外周面と前記ケースとの隙間に設けられた回路基板を備える請求項7に記載の電子吹奏楽器。
【請求項9】
前記回路基板は、前記ブレスセンサー、前記操作子及び前記スピーカーの少なくとも一つに接続される請求項8に記載の電子吹奏楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子吹奏楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、息を吹き込むことでスピーカーから音を出力する電子吹奏楽器として、アルトサックスのベルを模した部分にスピーカーを設置したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サックスなどのアコースティック管楽器では、音がベルだけではなく、開口している音孔などベルから離れた部位からも放射される。すなわち、アコースティック管楽器の音は、互いに異なる複数の部位から外部に放射される。このため、特許文献1の電子吹奏楽器における音響特性は、アコースティック管楽器と大きく異なる、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、音響特性をアコースティック管楽器に近づけることができる電子吹奏楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ブレスセンサーと、音高を指示する操作子と、前記ブレスセンサー及び/又は前記操作子から得られる演奏情報に基づいて音を出力するスピーカーと、前記スピーカー内の空間に繋げられ、前記スピーカーの外側に延びる音響管と、を備える電子吹奏楽器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子吹奏楽器の音響特性をアコースティック管楽器に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電子吹奏楽器を示す模式図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る電子吹奏楽器の回路構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図1,2の電子吹奏楽器の変形例を示す模式図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る電子吹奏楽器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一実施形態〕
以下、
図1,2を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電子吹奏楽器1は、ブレスセンサー2と、操作子3と、スピーカー4と、音響管5と、を備える。また、本実施形態の電子吹奏楽器1は、マウスピース100を固定するマウスピース固定部6を備える。マウスピース100は、電子吹奏楽器1の演奏者がブレスセンサー2に向けて息を吹きつけるための部品である。
【0010】
操作子3は、演奏者の手指によって操作されることで、少なくとも後述するスピーカー4から出力される音の音高を指示する。操作子3は、例えば演奏者の手指で押さえられる押しボタンのみによって構成されてもよいし、例えば押しボタンと、手指で操作することで押しボタンを押すキー機構とを含む構成であってもよい。本実施形態では、複数の操作子3が同一のベース部7上に設けられている。ベース部7は、操作子3の押しボタンを搭載する回路基板や、操作子3のキー機構を支持する支持部などを含んでよい。
【0011】
図2に示すように、電子吹奏楽器1は、ブレスセンサー2、操作子3、制御部32及び音信号生成部33をバス30に接続した回路を有する。
ブレスセンサー2は、これに吹きつけられた演奏者の息の流速や長さを検出し、これに応じたブレスデータを出力する。操作子3は、演奏者による操作を検出し、検出結果に応じた運指データを出力する。制御部32は、ブレスセンサー2からのブレスデータや操作子3からの運指データを含む演奏情報に基づいて、音信号生成部33の動作を制御する。音信号生成部33は、制御部32の制御により、演奏情報に応じた音高や音量などを含む楽音信号を生成し、楽音信号をアンプ34に出力する。音信号生成部33から出力された楽音信号は、アンプ34で増幅された上で、スピーカー4に出力される。
【0012】
スピーカー4は、ブレスセンサー2及び/又は操作子3から得られる演奏情報に基づいて音を出力する。すなわち、スピーカー4は、演奏情報に応じた楽音信号がアンプ34で増幅された後の楽音信号に基づいて音を出力する。
具体的には、スピーカー4は、演奏者の息がマウスピース100に吹き込まれたときに音を出力する。なお、スピーカー4は、例えば、演奏者の息がマウスピース100に吹き込まれない状態で、演奏者が操作子3を操作したときにも音を出力してよい。
【0013】
図1に示すように、スピーカー4は、スピーカードライバ11と、スピーカーボックス12と、を有する。スピーカードライバ11は、演奏情報に基づいて音を発生する。スピーカーボックス12は、内部に空間を有し、スピーカードライバ11を収容する箱状に形成されている。スピーカーボックス12は、その内部の空間を外側につなぐ開口部12Aを有する。
【0014】
音響管5は、スピーカー4内の空間に繋げられ、スピーカー4の外側に延びる。具体的には、音響管5は、その長手方向の一端がスピーカーボックス12の開口部12Aに繋げられ、スピーカーボックス12の外側に延びる。本実施形態の音響管5は、直線状に延びている。なお、音響管5は、例えば湾曲してもよい。
【0015】
本実施形態の音響管5は、第一管部21と、第二管部22と、を有する。第一管部21は、スピーカーボックス12の開口部12A(スピーカー4)から外側に延びる。第二管部22は、第一管部21の延長方向の先端に連なる。第二管部22は、外側に開口する音響管5の開口端5Aを含む。
本実施形態において、第一管部21は、その延長方向において第一管部21の径寸法が変化しない又は当該径寸法の変化が小さい管である。一方、第二管部22は、その径寸法が第一管部21の先端から離れるにしたがって大きくなるテーパ管である。すなわち、第二管部22は、アコースティック管楽器のベルに相当する形状に形成されている。
なお、第一管部21は、上記した形状の管に限らず、例えば第二管部22と同様のテーパ管であってもよいし、第一管部21の延長方向における第一管部21の径寸法の変化が大きい管であってもよい。
【0016】
本実施形態の第二管部22は、金属製である。なお、第二管部22は、例えば樹脂など金属以外の材料によって構成されてもよい。第一管部21は、第二管部22と同じ金属製であってもよいし、第二管部22と異なる材料(例えば樹脂など金属以外の材料)によって構成されてもよい。
第一管部21及び第二管部22は、例えば一体に形成されてよい。また、第一管部21と第二管部22とは、例えば別個に形成された上で、互いに連結されてもよい。
【0017】
音響管5には、前述した操作子3が設けられる。具体的には、操作子3は、音響管5の第一管部21に設けられている。複数の操作子3は、第一管部21の長手方向に並んでいる。また、複数の操作子3と第一管部21との間にはベース部7が介在している。なお、ベース部7は、第一管部21の外周面に接触してもよいし、第一管部21の外周面に対して間隔をあけて配置されてもよい。本実施形態において、操作子3やベース部7は第二管部22に設けられない。すなわち、第二管部22は、操作子3やベース部7によって覆われず、その全体が露出する。
【0018】
マウスピース固定部6は、スピーカー4に固定されている。具体的には、マウスピース固定部6は、スピーカーボックス12に直接固定されている。マウスピース固定部6は、マウスピース100を固定する役割を有する。すなわち、マウスピース固定部6は、マウスピース100をスピーカーボックス12に取り付ける役割を有する。マウスピース固定部6は、マウスピース100を着脱可能に固定するように構成されてよい。
マウスピース固定部6の内部には、ブレスセンサー2が配置されている。このため、マウスピース100をマウスピース固定部6に固定した状態では、マウスピース100に吹き込んだ演奏者の息がマウスピース固定部6の内部に入ってブレスセンサー2に到達する。これにより、ブレスセンサー2において演奏者の息の流速や長さを検出することができる。
【0019】
スピーカー4は、前述したマウスピース固定部6と操作子3との間に位置する。本実施形態では、マウスピース固定部6、スピーカー4及び操作子3が、この順番で直線方向(
図1において左右方向)に並ぶ。また、マウスピース100をマウスピース固定部6に固定した状態では、マウスピース100、スピーカー4及び操作子3が、この順番で直線方向に並ぶ。
【0020】
本実施形態の電子吹奏楽器1では、スピーカードライバ11が、マウスピース固定部6(マウスピース100)、スピーカー4及び操作子3(音響管5)が並ぶ方向に対して主に直交する方向(
図1では上方向)に向けられている。このため、スピーカードライバ11から出た音は、マウスピース固定部6(マウスピース100)、スピーカー4及び操作子3が並ぶ方向に対して直交する方向に主に放射される。
【0021】
本実施形態の電子吹奏楽器1では、ブレスセンサー2や操作子3から得られる演奏情報に基づいてスピーカー4から出た音が、スピーカー4から外側に直接放射される。さらに、スピーカー4から出た音は、スピーカー4内の空間(スピーカーボックス12)及び音響管5の内部を通して音響管5の開口端5Aから外側に放射される。すなわち、スピーカー4の音を、互いに異なる二つの位置から電子吹奏楽器1の外側に放射することができる。これにより、電子吹奏楽器1の音響特性をアコースティック管楽器に近づけることができる。
【0022】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、スピーカードライバ11が向く方向(
図1では上方向)と、音響管5の開口端5Aが開口する方向(
図1では右方向)とが、互いに異なっている。このため、互いに異なる二つの位置から出るスピーカー4の音を、互いに異なる方向に放射することができる。
なお、音響管5の開口端5Aが開口する方向は、任意に設定されてよい。これにより、音響管5の開口端5Aから出る音の放射方向を任意に設定することができる。
【0023】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、アコースティック管楽器と同様に、運指(音程)に応じて音が放射される位置(特に演奏者を基準とした音の放射位置)を変えることができる。以下、この点について説明する。
アコースティック管楽器では、低音ほど閉じられる音孔が多くなることに伴い、ベル(音響管の開口端)から放射される音が大きくなる。このため、アコースティック管楽器では、低音ほど音が演奏者(マウスピース)から離れた位置で鳴っているように聞こえる。
【0024】
一方、本実施形態の電子吹奏楽器1では、スピーカー4から出た音は低音ほど音響管5で共鳴しやすい。このため、電子吹奏楽器1では、アコースティック管楽器の場合と同様に、低音ほど音響管5の開口端5Aから放射される音が大きくなる。また、電子吹奏楽器1では、前述したように、演奏者(マウスピース100)の近くに位置するスピーカー4、及び、スピーカー4よりも演奏者(マウスピース100)から離れて位置する音響管5の開口端5Aの両方から音が放射される。これにより、本実施形態の電子吹奏楽器1においても、アコースティック管楽器と同様に、低音ほど音が演奏者(マウスピース100)から離れた位置で鳴っているように聞こえる。
したがって、本実施形態の電子吹奏楽器1の音響特性は、アコースティック管楽器の音響特性と近似する。
【0025】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、操作子3が音響管5に設けられている。このため、スピーカー4(スピーカードライバ11)から出た音に伴う振動を、音響管5及び操作子3を通して演奏者の手指に伝えることができる。このような振動伝達の仕組みは、アコースティック管楽器と同様であるため、演奏者は、アコースティック管楽器に近い感覚で電子吹奏楽器1を演奏することができる。
【0026】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、マウスピース100がマウスピース固定部6に固定されることで、マウスピース100がスピーカー4(スピーカーボックス12)に接続される。このため、スピーカー4(スピーカードライバ11)から出た音に伴う振動を、マウスピース100を通して演奏者の口に伝えることができる。このような振動伝達の仕組みは、アコースティック管楽器と同様であるため、演奏者は、アコースティック管楽器により近い感覚で電子吹奏楽器1を演奏することができる。
【0027】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、スピーカー4がマウスピース固定部6(マウスピース100)と操作子3との間に位置する。これにより、スピーカー4(スピーカードライバ11)から出た音に伴う振動を、マウスピース100及び操作子3の両方に効率よく伝えることができる。
【0028】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、操作子3が、音響管5の第一管部21に設けられ、第二管部22には設けられない。このため、電子吹奏楽器1の構造を、管体の先端部(例えばベル)に音孔やこれを開閉するキー機構を設けていないアコースティック管楽器の構造に近づけることができる。これにより、電子吹奏楽器1の音響特性をさらにアコースティック管楽器に近づけることが可能となる。
【0029】
また、本実施形態の電子吹奏楽器1では、操作子3によって覆われずに露出する音響管5の第二管部22が、金属製となっている。第二管部22をサックスなどのアコースティック管楽器の管体と同じ金属製とすることで、電子吹奏楽器1の音響特性をさらにアコースティック管楽器に近づけることができる。また、電子吹奏楽器1の外観意匠を、金属製のアコースティック管楽器に近づけることができる。
【0030】
第一実施形態の電子吹奏楽器1では、例えば
図3に示すように、複数の操作子3のうち少なくとも一つの操作子3Aが、マウスピース100との間にスピーカー4が位置するように配されてよい。
図3では、複数の操作子3のうち残りの操作子3Bが、マウスピース100とスピーカー4との間に位置したり、マウスピース固定部6に設けられたりしているが、これに限ることはない。
【0031】
〔第二実施形態〕
次に、
図4を参照して本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態においては、第一実施形態と同様の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、第二実施形態の電子吹奏楽器1Dは、第一実施形態と同様に、ブレスセンサー2、操作子3、スピーカー4及び音響管5を備える。さらに、本実施形態の電子吹奏楽器1Dは、ケース8及び回路基板9を備える。
【0033】
ケース8は、音響管5の外周面に対して間隔をあけるように音響管5の外側を囲む。ケース8は、音響管5の長手方向に延びる筒状に形成されている。ケース8の内側には、音響管5の第一管部21の他に、スピーカー4が配置される。音響管5の第二管部22は、ケース8の軸方向の第一端部8Aからケース8の外側に突出している。第一管部21及びスピーカー4をケース8の内側に配置した状態において、第一管部21の外周面とケース8の内周面との間には隙間G1がある。
【0034】
ケース8の内側に配置されたスピーカー4は、ケース8の軸方向の第二端部8Bに位置している。スピーカーボックス12は、ケース8に固定されている。具体的に、スピーカーボックス12は、第二端部8Bをなすケース8の周壁部の周方向の一部に固定され、当該周壁部の周方向の残りの部分に対して間隔をあけて位置する。図示例では、スピーカーボックス12の一部がケース8の周壁部と一体に形成されているが、これに限ることはない。
【0035】
ケース8の第二端部8Bには、マウスピース100が固定される。ケース8の第二端部8Bのうちスピーカー4とマウスピース100との間の部位は、第一実施形態のマウスピース固定部6(
図1参照)に相当する。ケース8の第二端部8Bの内側にはブレスセンサー2が配置されている。このため、マウスピース100をケース8の第二端部8Bに固定した状態では、マウスピース100に吹き込んだ演奏者の息がケース8の第二端部8Bの内部に入ってブレスセンサー2に到達する。これにより、ブレスセンサー2において演奏者の息の流速や長さを検出することができる。
【0036】
ケース8の第一端部8Aは、音響管5が通る部位を除いて閉じられている。また、ケース8の第二端部8Bは、マウスピース100が取り付けられる部位を除いて閉じられている。このため、第一管部21の外周面とケース8の内周面との間の隙間G1は、マウスピース100を除いてケース8の第一端部8Aや第二端部8Bを通して外部につながらないようになっている。
【0037】
操作子3は、ケース8の外周面に設けられている。具体的に、操作子3は、ケース8の周壁部のうち第一管部21を覆う部位の外周面に設けられている。複数の操作子3は、ケース8の軸方向(第一管部21の長手方向)に並んでいる。このため、ケース8の周壁部のうち操作子3が設けられる部位は、第一実施形態のベース部7に相当する。
【0038】
回路基板9は、ブレスセンサー2及び/又は操作子3からの演奏情報に基づいて楽音信号をスピーカー4に出力する機能を有する。すなわち、回路基板9は、第一実施形態と同様の制御部32、音信号生成部33、バス30、アンプ34(
図2参照)などを含む。回路基板9は、ブレスセンサー2、操作子3及びスピーカー4に接続されている。回路基板9は、例えば一つであってもよいが、本実施形態では複数(図示例では二つ)に分かれている。複数の回路基板9は互いに接続されている。図示例では、同一の回路基板9がブレスセンサー2及びスピーカー4に接続されているが、これに限ることはない。同一の回路基板9は、ブレスセンサー2、操作子3及びスピーカー4のうち少なくとも一つに接続されていればよい。
【0039】
回路基板9は、第一管部21の外周面とケース8との隙間G1に設けられている。複数の回路基板9は、第一管部21の外周面及びケース8の内周面の両方にネジ止め等によって固定されている。なお、回路基板9は、例えば第一管部21の外周面及びケース8の内周面の一方のみに固定されてもよい。また、回路基板9は、第一管部21の外周面とケース8の内周面との隙間G1だけに設けられることに限らず、例えばスピーカー4とケース8の内周面との間にも設けられてよい。
【0040】
第二実施形態の電子吹奏楽器1Dによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第二実施形態では、ケース8が音響管5の外周面に対して間隔をあけて配置される。このため、操作子3をケース8の外周面に設けても、操作子3が音響管5に干渉することを抑制することができる。例えば、演奏者が操作子3を操作することで、操作子3の一部がケース8から音響管5に近づくように移動しても、音響管5の外周面に到達することを抑制して、音響管5に当たることを抑制又は防止することができる。
【0041】
また、第二実施形態では、回路基板9が音響管5の外周面とケース8との隙間G1に設けられる。このため、音響管5に影響を与えることなく、電子吹奏楽器1Dの小型化を図ることができる。
【0042】
第二実施形態の電子吹奏楽器1Dでは、例えば複数の操作子3の一部(例えば一つ)が、ケース8のうちスピーカー4とマウスピース100との間の部位に配されてもよい。
【0043】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
本発明において、マウスピース100は、例えばスピーカー4(特にスピーカーボックス12)に一体に設けられてもよい。すなわち、マウスピース100はスピーカー4に対して着脱不能に設けられてもよい。
【0045】
本発明において、ブレスセンサー2は、マウスピース固定部6やこれに相当するケース8の内部に配置されることに限らず、例えばマウスピース固定部6やケース8の外側に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1D…電子吹奏楽器、2…ブレスセンサー、3,3A,3B…操作子、4…スピーカー、5…音響管、6…マウスピース固定部、8…ケース、9…回路基板、21…第一管部、22…第二管部、100…マウスピース