(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240116BHJP
G03G 21/02 20060101ALI20240116BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240116BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
G03G21/02
B41J29/00 Z
B41J29/38 206
B41J29/00 H
(21)【出願番号】P 2020034978
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 倫大
(72)【発明者】
【氏名】大畑 勤
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-105966(JP,A)
【文献】特開2016-068340(JP,A)
【文献】特開2005-343103(JP,A)
【文献】特開2005-074724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/02
B41J 29/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、後処理装置とで構成され、ジョブを実行して、ジョブにより選択されたシートに画像を印刷する画像形成装置であって、
前記画像形成装置本体は、シートの第1面に印刷される印刷画像を示す印刷画像データから、文字、写真、図形の何れかを含む領域を抽出する抽出手段と、
前記印刷画像データから抽出された文字、写真、図形の何れかを含む領域の裏側となるシートの第2面における位置を、ICタグの貼付け位置に定める位置決定手段とを備え、
前記後処理装置及び画像形成装置本体の何れか一方は、定められた貼付け位置に、ICタグを貼り付ける貼付手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブには、片面印刷と、両面印刷とがあり、
前記ジョブが両面印刷である場合、
前記位置決定手段は、前記シートにおける第1面の印刷画像データから抽出された領域の裏側に所在していて、第2面側の印刷画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しない第2面における位置を前記ICタグの貼付け位置に定める
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記抽出手段により複数の領域が抽出された場合、個々の領域を、ICタグの貼付位置に選ぶことが、ICタグを剥がすとの課金逃れの抑止になるかを、前記第1面の印刷画像データから抽出された各領域のドット濃度、各領域に描画された内容、シートにおける各領域の位置の何れかに基づき評価する評価手段を更に備え、
前記位置決定手段は、評価手段による評価に基づき、前記印刷画像データから抽出された複数領域の順位付けを行い、当該順位付けで最も高い順位を得た領域の裏側となる第2面における位置を、ICタグの貼付位置に定める
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記評価手段による課金逃れ行為の抑止になるかの評価は、
各領域に形成されるドットの濃度が所定の基準を上回るかどうか、
各領域に描画される文字、写真、図形が、特定の内容を示すかどうか、
シートにおける各領域の位置は、シートの中心から所定の距離以上隔てられているかどうかによる各領域の得点付けを含み、
前記位置決定手段は、前記印刷画像データから抽出された複数の領域のうち、前記得点付けによる総合点が、もっとも高いものの裏側となるシート第2面の位置を、ICタグの貼付位置に定める
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブには、片面印刷と、両面印刷とがあり、
前記位置決定手段は、前記抽出手段により抽出された複数の領域の中から、シートの裏側において、第2面側に印刷されるべき印刷画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しないものを選び、
前記ICタグの貼付位置として定められるのは、シートの裏側において、第2面側に印刷されるべき印刷画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しないとして複数領域の中から選ばれ、尚且つ、前記得点付けによる総合点が、もっとも高いものの裏側となる第2面の位置である
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記抽出手段により、前記シートの第1面の印刷画像データから複数の領域が抽出され、各領域の裏側となる第2面における位置が、ICタグの貼付け位置として定められた場合、前記貼付手段は、前記シートの複数の貼付け位置のうち1つにICタグを貼り付け、残りの貼付け位置に、課金額を格納していないダミーのICタグを貼り付ける
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シートの第1面に形成される印刷画像データから複数の領域が抽出され、各領域の裏側となる第2面における位置が、ICタグの貼付け位置として定められた場合、前記貼付手段は、前記シートの複数の貼付け位置のそれぞれにICタグを貼り付け、
複数の貼付け位置に貼り付けられる複数のICタグには、同じジョブに対応していることを示す識別情報と、同一の課金額を示す情報とが格納される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置本体と、後処理装置とで構成される画像形成装置に関し、用紙にICタグを貼り付ける際の貼付位置決定の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の人手不足、人件費高騰の社会背景から、セルフレジの導入が、コンビニ、量販店、スーパーマーケットといった業務形態の店舗で検討されている。セルフレジには、スマートフォンを用いたバーコードの読み取りを前提にしたものやICタグの利用を前提にしたものなど、様々なタイプがある。しかしスマートフォンを用いた支払いは事前設定、事前操作が必要となり、後払いを望むユーザーから敬遠される。事前設定、事前操作が必要となるものを除外すると、ICタグを用いた料金精算が、ジョブ内容に応じた従量課金に最適であると考えられる。
【0003】
特許文献1の画像形成装置は、隅部にICタグが付された用紙を印刷に使用する。そしてジョブを実行すると、当該ジョブによる課金額を、シートに付されたICタグの不揮発メモリに書き込む。
【0004】
セルフレジのレジ機は、課金額が書き込まれたICタグを用いてジョブ代金について料金精算を行う。ICタグを用いて料金清算がなされると、セルフレジのレジ機は、料金精算が完了した旨をICタグに書き込む。セルフレジ店舗の出口ゲートは、店舗から出ようとするICタグのメモリにアクセスして、当該ICタグに書き込まれた課金額の情報は、料金精算がなされたかどうかを判定する。料金精算がなされている場合、出口ゲートは、来店者をそのまま通過させる。ICタグに書き込まれた課金額の情報について、料金精算がなされていない場合、来店者の通過時に警報を発し、管理者に通報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで従来の画像形成装置は、ICタグが貼り付けられたシートがゲートを通過することを前提にしている。シートのうち、ICタグが貼り付けられた隅部が破られ、取り去られた場合、ユーザーは課金を受けないまま印刷がなされた印刷物を店外に持ち出すことができる。特許文献1は、ICタグを貼った用紙隅部を破り去るという課金逃れ行為に抑止をかける術がないという問題がある。課金逃れを抑止できないことから、ICタグを用いた画像形成装置の利用料金の精算は、店舗オーナーや企業経営者の安定した収入を保障するものではないという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、課金のためのICタグをシートから剥がすという課金逃れ行為に、歯止めをかけることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、画像形成装置本体と、後処理装置とで構成され、ジョブを実行して、ジョブにより選択されたシートに画像を印刷する画像形成装置であって、前記画像形成装置本体は、シートの第1面に印刷される印刷画像を示す印刷画像データから、文字、写真、図形の何れかを含む領域を抽出する抽出手段と、前記印刷画像データから抽出された文字、写真、図形の何れかを含む領域の裏側となるシートの第2面における位置を、ICタグの貼付け位置に定める位置決定手段とを備え、前記後処理装置及び画像形成装置本体の何れか一方は、定められた貼付け位置に、ICタグを貼り付ける貼付手段を備えることを特徴とする画像形成装置により解決される。
【0009】
前記ジョブには、片面印刷と、両面印刷とがあり、前記ジョブが両面印刷である場合、前記位置決定手段は、前記シートにおける第1面の印刷画像データから抽出された領域の裏側に所在していて、第2面側の印刷画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しない第2面における位置を前記ICタグの貼付け位置に定めてもよい。
【0010】
前記抽出手段により複数の領域が抽出された場合、個々の領域を、ICタグの貼付位置に選ぶことが、ICタグを剥がすとの課金逃れの抑止になるかを、前記第1面の印刷画像データから抽出された各領域のドット濃度、各領域に描画された内容、シートにおける各領域の位置の何れかに基づき評価する評価手段を更に備え、前記位置決定手段は、評価手段による評価に基づき、前記印刷画像データから抽出された複数領域の順位付けを行い、当該順位付けで最も高い順位を得た領域の裏側となる第2面における位置を、ICタグの貼付位置に定めてもよい。
【0011】
前記評価手段による課金逃れ行為の抑止になるかの評価は、各領域に形成されるドットの濃度が所定の基準を上回るかどうか、各領域に描画される文字、写真、図形が、特定の内容を示すかどうか、シートにおける各領域の位置は、シートの中心から所定の距離以上隔てられているかどうかによる各領域の得点付けを含み、前記位置決定手段は、前記印刷画像データから抽出された複数の領域のうち、前記得点付けによる総合点が、もっとも高いものの裏側となるシート第2面の位置を、ICタグの貼付位置に定めてもよい。
【0012】
前記ジョブには、片面印刷と、両面印刷とがあり、前記位置決定手段は、前記抽出手段により抽出された複数の領域の中から、シートの裏側において、第2面側に印刷されるべき印刷画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しないものを選び、前記ICタグの貼付位置として定められるのは、シートの裏側において、第2面側に印刷されるべき印刷画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しないとして複数領域の中から選ばれ、尚且つ、前記得点付けによる総合点が、もっとも高いものの裏側となる第2面の位置であるとしてもよい。
【0013】
前記抽出手段により、前記シートの第1面の印刷画像データから複数の領域が抽出され、各領域の裏側となる第2面における位置が、ICタグの貼付け位置として定められた場合、前記貼付手段は、前記シートの複数の貼付け位置のうち1つにICタグを貼り付け、残りの貼付け位置に、課金額を格納していないダミーのICタグを貼り付けるとしてもよい。
【0014】
前記シートの第1面に形成される印刷画像データから複数の領域が抽出され、各領域の裏側となる第2面における位置が、ICタグの貼付け位置として定められた場合、前記貼付手段は、前記シートの複数の貼付け位置のそれぞれにICタグを貼り付け、複数の貼付け位置に貼り付けられる複数のICタグには、同じジョブに対応していることを示す識別情報と、同一の課金額を示す情報とが格納されるとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
前記位置決定手段は、第1面において、文字、写真、図形の何れかを含む領域の裏側となるシート第2面の位置をICタグの貼付位置に定めるので、当該貼付位置にICタグを貼り付けた場合、ICタグを取り去ろうとすると、第1面の文字、写真、図形を傷つけてしまう。ICタグをシートから取り去ると、折角の印刷内容を欠損させてしまうという事実が、課金逃れという不法行為の抑止力になるので、ユーザーは、ICタグを利用した決算を正しく受けるようになり、セルフレジを導入したセルフレジ店舗のオーナーや企業経営者は安定した収益を得ることができ、セルフレジ店舗の運営を軌道に乗せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態にかかる画像形成装置が設置されたセルフレジ店舗の一例を示す。
【
図2】画像形成装置本体1000及び後処理装置1005の内部構成を示す。
【
図3】ICタグ貼付部150に設けられた切替爪153、紙送りローラー157、158、ストッパー162、押出板163を示す。
【
図4】ICタグ貼付ヘッド155及びキャリッジ機構156を斜め上から見た際の斜視図を示す。
【
図5】繰出リール171、巻取リール172、スタンパー173、タグライター174のみを抜き出して斜め上から見た際の斜視図である。
【
図6】画像形成装置本体1000の制御系統の構成を示す図である。
【
図7】第1実施形態にかかる画像形成装置2000の制御のメインルーチンである。
【
図8】ICタグの貼付け位置決定手順を示すフローチャートである。
【
図9】ICタグ貼付部150の制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】(a)~(c)は、貼付用トレイ151、蓄積用トレイ152に印刷済み用紙1020~1024が供給される過程、貼付用トレイ151、蓄積用トレイ152から印刷済み用紙1020~1024が排出される過程を示す。
【
図11】(a)~(c)は、タグラベル176上のICタグ4001がスタンパー173により圧着され、印刷済み用紙1020に貼り付けられる過程を示す。
【
図12】排出トレイ1006Tに収容される印刷済み用紙1020~1024からなる用紙束を示す。
【
図13】(a)、(b)は、ICタグ4001が貼り付けられた印刷済み用紙1020の表面、裏面のレイアウトを示す。
【
図14】課金逃れの抑止レベルの計算手順を示すフローチャートである。
【
図15】(a)(b)は、課金逃れの抑止レベルに基づき選出された貼付け位置にICタグを貼り付けた結果の領域レイアウトを示す。
【
図16】ガイド板301G、301Hで用紙幅方向の位置決めを行う構成のICタグ貼付部150を示す。
【
図17】ICタグ貼付ヘッド155A、B、C、D、E、Fを設けた構成のICタグ貼付部150を示す。
【
図18】画像形成装置本体1000にICタグ貼付部150を設けた構成の画像形成装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]第1実施形態
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる画像形成装置の実施形態を説明する。
図1は、本開示にかかる画像形成装置が設置されたセルフレジ店舗の一例を示す。
図1に示すセルフレジ店舗には、画像形成装置2000、陳列棚2001、2002、セルフレジ機3000、出口ゲート3010が設置されている。また、画像形成装置2000は、画像形成装置本体1000と、後処理装置1005とで構成される。
【0018】
画像形成装置本体1000は、セルフレジ店舗の店内に設けられた多機能複合機 (Multifunction Peripheral)であり、タッチパネルディスプレイ1001によりジョブの設定を受け付けた上、スキャナー1004により原稿画像を光学的に読み取り、給紙カセット1002a、b、c、dから繰り出された用紙に、上記設定に従った画像を形成する。
【0019】
給紙カセット1002a、b、c、dに収容される用紙には、普通紙、上質紙、カラー用紙、および光沢紙(塗工紙)等、様々な紙種があり、来店者であるユーザーは、ジョブ実行にあたって希望する用紙を選ぶことができる。
【0020】
後処理装置1005は、画像形成装置本体1000と接続され、
図5に示す
ICタグ4001を印刷済み用紙1020に貼り付けて排出トレイ1006Tに排出する。
【0021】
陳列棚2001、2002には、ICタグ4011、4012、4013が貼り付けられた食品2011、2012、2013等が陳列されている。
【0022】
セルフレジ機3000は、タッチパネルディスプレイ3001、コインベンダー3002、紙幣ベンダー3003、レシート発行器3004を備え、商品が収納されたカゴ3005が載置されると、当該商品に貼り付けられたICタグ4011、4012、4013から課金額を読み取り、料金精算を行う。ユーザーは、画像形成装置本体1000により印刷され、ICタグ4001が貼り付けられた印刷済み用紙1020をカゴ3005に収容して、セルフレジ機3000に載置することで、陳列棚2001、2002に陳列された商品と共に、画像形成装置本体1000を利用した印刷に関しても料金清算を行うことができる。
【0023】
出口ゲート3010は、料金清算が済んでいないICタグ4001を所持した来店者が通過しようとした際、警報を発し、セルフレジ店舗の管理者、警備員に通報する。料金精算がされずに印刷済み用紙1020を店外に持ち出そうとする来店者は、印刷済み用紙1020に貼り付けられたICタグ4001の存在により、出口ゲート3010を通じて警告を受ける。しかし、印刷済み用紙のうち、ICタグ4001が貼り付けられた部分を破ってICタグ4001を剥がし、セルフレジ3000で清算を行わずに出口ゲート3010を通過しても出口ゲート3010による警報は作動しない。この場合、セルフレジ機3000による料金精算を受けることなく、店外に印刷済み用紙1020を持ち出すという課金逃れ行為が可能になる。
【0024】
[2]画像形成装置2000の内部構成
図2を参照して画像形成装置2000の内部構成を説明する。ICタグの貼り付けを行い得るプリンターとしては、RF-IDプリンターが知られている。しかしRF-IDプリンターの印刷方式はインクジェット方式であり、生産性が低くまた、印刷に専用の用紙を必要とすることから、
図1に示した店舗での設置用途に向かない。そこで画像形成装置2000では、
図2に示すように、電子写真式の画像形成を行う構成要素である露光器110と、現像器111と、転写器112と、搬送部113と、定着器114とを画像形成装置本体1000に設け、RF-IDプリンターと同様のICタグ貼付け機能を有するICタグ貼付部150を後処理装置1005に設けている。
【0025】
露光器110による露光走査、現像器111による現像で感光体ドラム110Dに得られたトナー像は中間転写ベルト112Nに一次転写される。駆動ローラー112Rが、中間転写ベルト112Nを周回駆動することで、一次転写されたトナー像は2次転写位置112Pにまで搬送される。トナー像の搬送と同時に、搬送部113が、給紙カセット1002a、bから繰り出した用紙を2次転写位置112Pに送り込むことで、トナー像は用紙に2次転写される。
【0026】
片面印刷においては、用紙のうち、中間転写ベルト112Nと接し、トナー像が2次転写された側が表面となり、反対側の面が裏面となる。一方、両面印刷の場合、反転搬送路116の搬送ローラー117、118により片面印刷済みの用紙が2次転写位置112Pに送り込まれる。この際、2次転写位置112Pにおいてトナー像が転写される面が裏面となる。定着器114による定着を経た用紙(印刷済み用紙)は本体排出口119を通じて後処理装置1005に引き渡される。後処理装置1005では、搬送路140の搬送ローラー141、142、143、144を駆動することで、印刷済み用紙を画像形成装置本体1000から引き継いで搬送し、裏面が上を向いた姿勢でICタグ貼付部150に送り込む。
【0027】
[3]後処理装置1005の内部構成
ICタグ貼付部150は、ICタグを貼付けるべき印刷済み用紙1020を待機させておくための貼付用トレイ151と、ICタグが貼り付けられない2枚目以降の印刷済み用紙が蓄積される蓄積用トレイ152とを含む。ICタグ貼付部150には、用紙の搬送方向を貼付用トレイ151、蓄積用トレイ152のどちらかに切り替えるための切替部材や、貼付用トレイ151、蓄積用トレイ152において用紙を搬送する搬送部材が設けられている。こうした切替部材、搬送部材としては、
図3に示す切替爪153、紙送りローラー157、158、159、ストッパー162、押出板163がある。
【0028】
画像形成装置本体1000の排出口119から送り出された印刷済み用紙の進路は、切替爪153によって、貼付用トレイ151、蓄積用トレイ152の何れかに切り替えられる。後述する
図10(a)(b)に示すように、切替爪153による切り替えで、ICタグの貼付け対象となる用紙1020は貼付用トレイ151に送られ、ICタグの貼付け対象でない用紙1021~1024は蓄積用トレイ152に送られ、それぞれ選別される。
【0029】
紙送りローラー157、158は、ICタグの貼付け対象となる用紙1020を、ICタグ貼付ヘッド155の位置まで搬送する。紙送りローラー159は、印刷済み用紙1020をICタグ貼付ヘッド155の位置から排出口160に搬送する。、
蓄積用トレイ152に送り込まれた非貼付け対象の印刷済み用紙1021~1024は、後述する
図10(b)に示すように、ストッパー162により用紙先端の位置が規制され、押出板163により用紙後端の位置が規制された状態で蓄積用トレイ152に蓄積される。
【0030】
後述する
図10(c)に示すように、ストッパー162を上昇させることで、用紙先端の規制を解き、押出板163を前進させることで、押出板163は排出口165から印刷済み用紙1021~1024を排出口165に向けて搬送させ、排出口165から排出させる。
【0031】
図4は、ICタグ貼付部150の貼付用トレイ151の斜視図である。本図に示すように、貼付用トレイ151には、キャリッジ機構156が用紙幅方向に横架されている。キャリッジ機構156のキャリッジ175には、ICタグ貼付ヘッド155が搭載されている。ICタグ貼付ヘッド155は、
図4のプーリー302P、Q、ベルト302Bにより図示しないモーターから駆動力を受けて、ガイドレール302Rに沿って用紙の用紙幅方向に移動する。
図5はICタグ貼付ヘッド155を斜め上から見た斜視図である。本図に示すように、ICタグ貼付ヘッド155は、タグラベル176と、繰出リール171、巻取リール172と、スタンパー173と、タグライター174とを含む。
【0032】
タグラベル176は、貼付け用のICタグ4001、4002、4003が貼り付けられた帯状の格納媒体である。
図5の右下に拡大して示すように、タグラベル176は両面粘着テープ177の両面に内側セパレータ176a、外側セパレータ176bを貼り合わせた3層構造を有する。内側セパレータ176aの略正方形状の打ち抜き窓178の内側にICタグ4001、4002、4003が等しい間隔を空けて配置される。両面粘着テープ177において、打ち抜き窓178と断面方向の同じ位置には、打ち抜き窓178と同じ略正方形状のミシン目179が形成されている。ここで打抜窓178は、L[mm]×L[mm]の略正方形状であるとする。
【0033】
繰出リール171、巻取リール172は、タグラベル176におけるICタグ4001、4002、4003を1つずつ貼付け位置に供給する供給部材であり、タグラベル176が巻きかけられている。繰出リール171、巻取リール172は、タグラベル176に配されたICタグ4001、4002、4003のそれぞれが1つずつ印刷済み用紙1020における貼付位置1020P(
図4参照)の真上になるよう回転する(
図5における繰出しリール171、巻取リール172は時計回りro1の向きに所定の角度θだけしている)
スタンパー173はタグラベル176からICタグ4001、4002、4003を分離して印刷済み用紙1020に貼り付ける貼付部材である。スタンパー173はソレノイド173S及びプランジャー173Bから構成され、後述する画像形成装置本体1000の制御系統からの制御に応じて、プランジャー173Bを下降させる。後述する
図11(a)に示すようにICタグ4001がスタンパー173の直下にある状態で、プランジャー173Bを下降させると、ミシン目179から両面粘着テープ177が破断する。これにより打ち抜き窓178の内側の矩形形状の部分がタグラベル176から分離して、
図11(b)に示すように打抜窓178の内側の矩形形状の部分が印刷済み用紙1020に貼り付けられる。その後、
図11(c)に示すようにプランジャー173Bを上昇させる。
【0034】
タグライター174は、印刷済み用紙1020に貼り付けられたICタグ4001に情報を書き込む書込部材であり、後述する画像形成装置本体1000の制御系統からの制御に応じて、非接触式の情報書き込みを行う。
【0035】
[4]画像形成装置本体1000の制御系統
画像形成装置本体1000の制御系統の構成を
図6に示す。画像形成装置本体1000の制御系統には画像形成に関するものと、課金に関するものとがある。まず、画像形成に関する制御系統について説明する。画像形成に関する制御系統は、パネル制御部101、待ち行列メモリ102、ジョブデータ実行部103、メカコントローラー104により構成され、露光器110、現像器111、転写器112、搬送部113、定着器114を制御する。
【0036】
(4-1)パネル制御部101
パネル制御部101は、ジョブの設定画面をタッチパネルディスプレイ1001に表示させる制御や設定画面に対するユーザー操作を検出する制御を行う入出力モジュールであり、タッチパネルディスプレイ1001の設定画面に対してなされたユーザー操作に従い、実行すべきジョブの内容を特定する。そうして特定されたジョブの内容を示す設定データと、スキャナー1004の読み取りにより得られた画像データとを含むジョブデータを生成して待ち行列メモリ102に書き込む。
【0037】
(4-2)待ち行列メモリ102
待ち行列メモリ102は、先入先出し式のメモリ(FIFOメモリ)であり、実行すべきジョブを示すジョブデータを、パネル制御部101によって書き込まれた順序に従い格納する。
【0038】
(4-3)ジョブデータ実行部103
ジョブデータ実行部103は、待ち行列メモリ102に蓄積された個々のジョブデータに含まれる設定データを解釈する設定データ解釈モジュールであり、待ち行列メモリ102に格納されたジョブデータ(図中のジョブデータA、B、C)を1つずつ取り出し、取り出されたジョブデータに含まれる設定データにに従い、ジョブデータに含まれる画像データを画像メモリ103Mに書き込む。そしてジョブデータ実行部103は、ジョブデータにおける片面印刷、両面印刷の指定に従い、用紙の表面及び裏面のレイアウトを生成して、領域レイアウトメモリ203Mに格納する。具体的にいうと、領域レイアウトメモリ203Mは表面領域203A、裏面領域203Bからなり、これらの領域には、領域抽出部202による領域抽出の対象となる画像データが配置される。ジョブが両面印刷であり、ICタグの貼付位置を用紙1ページ目の裏側領域から選ぶ場合は、両面印刷の1ページ目の画像データを画像メモリ103Mから読み出して表面領域に配し、2ページ目の画像データを用紙の裏面領域に配する。第2実施形態で後述するように、ICタグの貼付位置を各用紙の裏側領域から選ぶ場合は、両面印刷用の奇数ページの画像データを画像メモリ103Mから読み出して表面領域203Aに配し、偶数ページの画像データを用紙の裏面領域203Bに配する。
【0039】
(4-4)メカコントローラー104
メカコントローラー104は、ASIC、マイコンシステム等で構成され、パルス幅変調回路104Wを通じて駆動モーター110m、111m、112m、113m、114mの回転速度を調整して、露光器110、現像器111、転写器112、搬送部113、定着器114のローラー部材等の回転を制御する。具体的にいうと、メカコントローラー104は、
図2に示す露光器110における感光体ドラム110Dの回転や光源となるLED110Lの明滅、ポリゴンミラー110Pの回転、現像器111における攪拌スクリュー111S、111Tの回転や現像ローラー111Rの回転、中間転写ベルト112Nが張架された駆動ローラー112Rの回転や、ピックアップローラー121及び給紙ローラー122の回転、タイミングローラー123の回転を制御する。こうした制御により、露光器110の露光走査や現像器111による静電潜像の現像、転写器112によるトナー像の一次転写や二次転写、搬送部113による用紙搬送、定着器114による熱定着を順次実行させる。
【0040】
[5] 課金に関する制御系統
以上が、画像形成のための構成要素である。続いて、課金に関する制御系統について説明する。
図6は、画像形成装置2000の制御系統を示す機能構成図である。本図に示すように画像形成装置2000は、課金に関する制御系統として、課金額算出部201、領域抽出部202、ICタグ貼付位置決定部203、タグ貼付け・書込み制御部204を含む。
【0041】
(5-1)課金額算出部201
課金額算出部201は、金銭処理モジュールであり、用紙一枚当たりの用紙種別毎の単価、カラー/モノクロの違いによるサービス単価等を記憶しており、ジョブデータにおける印刷枚数、カラー、モノクロの違い、光沢紙、普通紙といった用紙種別、両面印刷/片面印刷の区別からジョブデータの実行により課金すべき金額を算出する。
【0042】
(5-2)領域抽出部202
領域抽出部202は、文字抽出、写真抽出、図形抽出を行う画像処理モジュールであり、領域レイアウトメモリ203Mに格納されたジョブの1枚目用紙で表面に印刷されるべき画像データから、文字、写真、グラフをなす画素を抽出し、用紙の表面に印刷されるべき画像データにおいて、文字、写真、グラフをなす画素を囲む矩形領域(
図6の文字領域1、4、5、写真領域2、図形領域3)の位置、縦幅、横幅を特定する。領域抽出部202による抽出は、以下の第1段階、第2段階を経てなされる。第1段階として、表面の画像データの有色画素を縦横方向に投影し、射影ヒストグラムの谷を検出する。この射影ヒストグラムの谷を境界として画像データを、複数の矩形領域に分割する。第2段階として、分割により得られた個々の矩形領域を処理対象として、以下のi)、ii)、iii)の検査に供する。
【0043】
i)処理対象とされた矩形領域は、射影ヒストグラムにおいて、黒画素等、単一色画素のストライプが高頻度に表れるかどうかを判定する。ストライプが高頻度に表れる場合、処理対象とされた矩形領域を、文字領域として抽出する。
【0044】
ii)処理対象とされた矩形領域に含まれる有色画素を最小外接方形で囲み、最小外接方形内の有色画素の分布や有色画素が占める面積を算出する。そうして算出された有色画素の分布や面積が線図特有のものであれば、処理対象とされた矩形領域を図形領域として抽出する。
【0045】
iii)フィルタ処理を施して、人物像や建物の輪郭が抽出されるどうかを判定する。また濃淡値を算出して、濃淡値の最大と、濃淡値の最小との差が小さいかどうかを判定する。更に網点領域に変換した結果、ピーク点が規則正しく現れたかどうかを判定する。これらの判定結果の何れかが肯定的であれば、処理対象とされた矩形領域を写真領域として抽出する。
【0046】
抽出された矩形領域の位置(x1、y1)、縦幅H、横幅Wは、領域レイアウトメモリ203Mにおいて、用紙表面の左上を基点とした座標系において、例えば0.1mm刻みの座標値により特定される。両面印刷においては、用紙表面に加え、ジョブの1枚目用紙で裏面に印刷されるべき画像データからも、文字、写真、グラフをなす画素を抽出する。裏面から抽出される領域、領域の位置は、領域レイアウトメモリ203Mにおいて、用紙表面の右上を基点とした座標系のX、Y座標で特定される。
【0047】
(5-3)ICタグ貼付位置決定部203
ICタグ貼付位置決定部203は、用紙の表面及び裏面における位置決定を行う位置決定モジュールであり、ジョブが片面印刷である場合、用紙表面の画像データから抽出された複数の領域のうち、用紙中心にもっとも近いものの裏側の位置を、ICタグの貼付け位置に定める。ジョブが両面印刷である場合、用紙表面の画像データから抽出された領域の裏側に所在していて、裏面側の画像データの文字、写真、図形の何れとも重複しない無地部分を裏面上から探索する。タグラベル176の打抜窓178は、L[mm]×L[mm]の大きさであるから、L[mm]×L[mm]の大きさの無地部分が用紙裏面に存在すれば、この無地部分をICタグの貼付け位置に定める。
【0048】
(5-4)タグ貼付け・書き込み制御部204
タグ貼付け・書き込み制御部204は、ICタグ貼付部150を制御する制御モジュールであり、ジョブが実行され、課金額が決定されると、ジョブの実行に応じた課金額を示す課金情報を、タグライター174に設定して、後述する
図10(a)~(c)に示す切替爪153の切り替えやICタグ貼付部150における紙送ローラー157、158の回転、ICタグ貼付ヘッド155の位置決めを行う。
【0049】
Y座標の位置決めにおいてタグ貼付け・書込み制御部204は、紙送りローラー157の位置に印刷済み用紙1020の用紙先端が到達した段階(
図10(a)の1020A)で、用紙先端からICタグ貼付位置のY座標までの距離(
図10(a)の距離D1参照)と、その用紙先端からICタグ貼付ヘッド155までの搬送方向の距離(
図10(a)のD2参照)とを求め、これらを足し合わせた距離D1+D2だけ紙送りローラー157、158に印刷済み用紙1020の紙送りを行わせる。
【0050】
X座標の位置決めにおいてタグ貼付け・書込み制御部204は、キャリッジ機構156におけるICタグ貼付ヘッド155のホームポジションの位置と、ICタグ貼付位置のX座標との差分を求め(
図4のD3を参照)、当該差分だけ、ICタグ貼付ヘッド155を用紙幅方向に移動させる。このように、ICタグ貼付ヘッド155の位置決めを行った後、後述する
図11(a)~(c)に示すプランジャー173Bの上下動、後述する
図10(a)~(c)に示すICタグ貼付部150におけるストッパー162の上下動、押出板163の前進、後退を順次実行する。
【0051】
[6]画像形成装置本体1000、後処理装置1005の動作
課金額算出部201、ICタグ貼付位置決定部203、タグ貼付け・書込み制御部204によってなされる一連の処理を時系列に表したのが
図7のフローチャートである。領域抽出部202、ICタグ貼付位置決定部203によりなされる一連の処理を、条件分岐やループ、変数等のプログラム的記法を用いて表したのが
図8のフローチャートである。
【0052】
タグ貼付け・書込み制御部204によるICタグ貼付ヘッド155の位置決めやスタンパー173の駆動、紙送りローラー157による紙送りを、条件分岐やループ等のプログラム的記法を用いて表したのが
図9のフローチャートである。以下、
図7、
図8、
図9を参照しながら、課金額算出部201、領域抽出部202、ICタグ貼付位置決定部203、タグ貼付け・書込み制御部204の動作を説明する。
【0053】
図1に示した店舗に来店した来店者が、画像形成装置本体1000の前面に立ち、タッチパネルディスプレイ1001の操作を行って、5枚の原稿からなる原稿束をスキャナー1004のトレイに積載して、原稿束のコピーを命じたものとする。課金額算出部201は待ち行列メモリ102にジョブデータが蓄積されたかどうかを判定し(
図7のステップS1)、蓄積されると、課金額算出部201はジョブデータにおける用紙種、用紙枚数、カラー/モノクロの設定、両面印刷、片面印刷の区別から課金額を算出して(ステップS2)、1ページ目の用紙の表面、裏面に形成される画像データから貼付け位置のX座標、Y座標を決定する(ステップS3)。上述したステップS3のサブルーチンを表したのが
図8のフローチャートである。
【0054】
図8において変数Nは、領域抽出部202により抽出された領域の個数であり、変数Kは領域抽出部202により抽出された領域のそれぞれを指示する変数であり、1からNまでの範囲で変化する。この変数KがステップS106~S112のループの制御変数となる。
【0055】
ジョブの1ページ目の用紙表面に印刷される画像データ(この画像データを画像データiとする)を読み込む(ステップS101)。画像データiから文字、写真、グラフを抽出して、文字、写真、グラフの存在を基に、画像データiから複数の領域1、2、3・・・Nを抽出し、用紙中心に近いものの順にソートする(ステップS102)。
【0056】
ジョブは両面印刷かどうかを判定する(ステップS103)。片面印刷であれば(ステップS103がNo)、抽出された複数の領域のうち、用紙中心に最も近く、ステップS102でソートされた順位が最も高いものの裏側領域を、ICタグの貼付位置として決定して(ステップS113)、ICタグの貼付け位置のX座標、Y座標を
図7のメインルーチンにリターンする。
【0057】
両面印刷である場合(ステップS103でYes)、ジョブの1ページ目の用紙裏面に印刷される画像データ(この画像データを画像データjとする)を読み込む(ステップS104)。画像データjから文字、写真、グラフを抽出して、文字、写真、グラフの存在を基に、画像データjから複数の領域1、2、3・・・Nを抽出する(ステップS105)。そして変数Kを1で初期化する(ステップS106)。
【0058】
ステップS107において領域Kの裏側領域が両面印刷で裏面側に印刷される画像データjと重複していないかどうかを判定する。またステップS108では、領域Kの裏側領域のうち、画像データjとの重複部分を除いた無地部分の中からタグラベル176の打抜き窓178に相当するL[mm]×L[mm]の略正方形状の無地部分を確保し得るかどうかを判定する。
【0059】
画像データjから抽出された領域が、領域Kの裏側領域と重複していない場合(ステップS107がYes)、ステップS109において領域Kの裏側領域の中心を占めるL[mm]×L[mm]の略正方形状の範囲をICタグの貼付け位置とし、当該用紙裏面における貼付位置のX座標、Y座標をメインルーチンにリターンする。
【0060】
画像データjから抽出された領域が、領域Kの裏側領域と重複しているものの(ステップS107でNo)、打抜き窓178に相当するL[mm]×L[mm]の略正方形状の無地部分が存在する場合(ステップS108がYes)、無地部分の中のL[mm]×L[mm]の略正方形状の範囲をICタグの貼付け位置とし(ステップS110)、当該用紙裏面における貼付位置のX座標、Y座標をメインルーチンにリターンする。ステップS111はS107~S110のループの継続要件であり、変数KがNを下回るかどうかを判定する。変数Kが領域個数Nを下回る場合(ステップS111でYes)、変数Kをインクリメントして(ステップS112)、ステップS107に移行する。変数Kが領域の個数Nを下回る限り、ステップS107~S110の繰り返しを継続する。これにより、個々の領域は処理に供される。変数KがNに達すると、継続要件を規定するステップS111がNoになり、本フローチャートを終了する。
【0061】
図9のフローチャートを参照しながら、タグ貼付け・書込み制御部204によるICタグ貼付部150の制御手順を説明する。
【0062】
定着器114による定着がなされた印刷済み用紙1020が排出口119から送り出されると、切替爪153を駆動して
図10(a)に示すように切替爪をICタグ貼付ヘッド側の貼付用トレイ151に切替え、貼付用トレイ151に格納する(ステップS200)。
【0063】
用紙先端が紙送ローラー157に到達したかどうかの判定を行う(ステップS201)。用紙先端が紙送ローラー157に到達すると、ユーザーが要求したジョブデータにおける用紙枚数は1枚のみかどうかを判定する(ステップS202)。1枚のみなら(ステップS202でYes)、ICタグ貼付位置のY座標に従った紙送ローラー157、158による紙送りと(ステップS204)、ICタグ貼付位置のX座標に従ったキャリッジ175の移動とで(ステップS205)、ICタグ貼付ヘッド155の位置決めを行い、
図11(a)に示すように、スタンパー173の真下にICタグ4001を配置した状態でプランジャー173Bを下降させ(ステップS206)、
図11(b)に示すように、ICタグ4001を押圧する。その後、
図11(c)に示すようにプランジャー173Bを上昇させ(ステップS207)、タグライター174により課金額を書き込み(ステップS208)、ICタグ4001が貼り付けられた印刷済み用紙1020を排出トレイ1006Tに排出する(ステップS209)。その後、ジョブによる印刷枚数が1枚だけであるかどうかを判定する(ステップS210)。1枚だけであると、ステップS210がYesとなり、処理を終了する。
【0064】
用紙枚数が複数枚であれば(
図9のステップS202でNo)、切替爪153を蓄積用トレイ152側に切り替える(
図9のステップS203)。これにより、
図10(b)に示すように、1枚目の印刷済み用紙1020が貼付用トレイ151に送り込んだ後、ジョブの2枚目以降の印刷済み用紙1021~1024を、用紙先端がストッパー162により規制された態様で蓄積用トレイ152に蓄積する。
【0065】
ICタグ4001が貼り付けられた印刷済み用紙を排出した後も、ジョブデータの用紙枚数が1枚だけかどうかを判定する(ステップS210)。複数枚であれば(ステップS210でNo)、ジョブの残りの用紙が全て、画像形成装置本体1000から排出されるのを待ち(ステップS211)、残りの用紙である印刷済み用紙1021~1024が蓄積用トレイ152に全て蓄積されると、
図10(c)に示すようにストッパー162を上昇させ、押出板163を搬送方向に移動させる(ステップS212)。これにより蓄積用トレイ152に蓄積された印刷済み用紙1021~1024を排出トレイ1006Tに排出する。ICタグが貼り付けられていない印刷済み用紙1021~1024は、ICタグ4001が貼り付けられた印刷済み用紙1020の上に、積み重ねられる。
【0066】
以上の処理を経た結果、後処理装置1005の排出トレイ1006Tには、
図12に示すような印刷済み用紙1020、1021、1022、1023、1024からなる用紙束が収容される。かかる用紙束は、1枚目の印刷済み用紙1020の裏面において、ちょうど真ん中辺りにICタグ4001が貼り付けられる。印刷済み用紙1020の表面、裏面のレイアウトを
図13(a)、(b)に示す。ICタグ4001は、印刷済み用紙1020の表面のうち、図形領域3が存在する部分のちょうど裏側に貼り付けられているので、かかるICタグ4001を剥がそうとすると、表面の図形領域3に描かれているグラフを破損してしまう。そうしたICタグ4001の配置により来店者は、ICタグ4001を剥がそうとするような動機を抱かなくなる。かかる印刷済み用紙1020、1021、1022、1023、1024からなる用紙束をカゴ3005に収容してセルフレジ機3000に持ち運び、正しく印刷料金の精算を受けるようになる。
【0067】
[7]まとめ
以上のように本実施形態によれば、用紙表面において、ICタグ貼付位置決定部203は文字、写真、図形の領域の裏側となる用紙裏面の位置をICタグ4001の貼付位置に選ぶので、裏面のICタグを取り去ろうとすると、用紙表面の文字、写真、図形を傷つけてしまう。ICタグ4001を用紙から取り去ると、折角の印刷内容を欠損させてしまうという事実が、課金逃れという不法行為に対する抑止力になるので、ユーザーは、ICタグを利用した料金精算を正しく受けるようになり、セルフレジを導入したセルフレジ店舗のオーナーや企業経営者は安定した収益を得ることができる。そのため、セルフレジ店舗の運営を軌道に乗せることができる。
【0068】
[8]第2実施形態
第2実施形態では、抽出した領域のそれぞれにICタグを貼り付けることが、ICタグを剥がすという課金逃れの抑止力になるかを評価する抑止力評価部を画像形成装置本体1000の制御系統に設ける。
【0069】
抑止レベル評価部は、ジョブで印刷される複数用紙のそれぞれの表面から抽出された個々の領域について、個々の領域を、ICタグの貼付位置に選ぶことが、ICタグを剥がすとの課金逃れの抑止になるかを、領域抽出部202により抽出された各領域のドット濃度、各領域に描画された内容、用紙における各領域の位置の何れかに基づき評価する。抑止レベル評価部による課金逃れ行為の抑止になるかの評価は濃度評価、種類評価、位置評価を含む。濃度評価は、各領域に形成されるドットの濃度が所定の基準を上回るかどうかの評価であり、種類評価は各領域に描画される文字、写真、図形が、特殊な態様を示すかどうかの評価である。位置評価は用紙における各領域の位置は、用紙の中心から所定の距離以上隔てられているかどうかの評価である。これらの評価は、後述する
図14のフローチャートに従ってなされ各領域の得点付けを含む。
【0070】
抑止レベル評価部の追加に伴い領域抽出部202及びICタグ貼付位置決定部203は第2実施形態特有の処理を行う。具体的にいうと、領域抽出部202は、ジョブにより用紙の表面に印刷される全ての画像データから、領域を抽出する。ICタグ貼付位置決定部203は、用紙の裏側において、裏面側に印刷されるべき画像データの文字、写真、図形の何れとも重複せず、尚且つ、抑止レベル評価部の評価による総合点が、もっとも高いものの裏側となる裏面の位置を、ICタグの貼付け位置に選ぶ。
【0071】
第2実施形態にかかる画像形成装置本体1000の動作を説明する。第2実施形態において領域抽出部202は、ジョブで印刷されるN枚の用紙(Nは2以上の整数)の表面に印刷される画像データから文字、写真、図形を含む領域を抽出し、抑止レベル算出部は、N枚の用紙のそれぞれから抽出された領域に対して
図14に示される処理手順により、抑止レベルを算出する。
【0072】
図14は、課金逃れの抑止レベルの計算手順を示すフローチャートである。変数Kは1枚の用紙から抽出された貼付け位置のそれぞれを示す変数であり、変数X、Yは、領域Kにおけるドット数、カラー数の閾値である。変数Sは、濃度評価、種類評価、位置評価で得られる得点の総合点が集計される変数である。
【0073】
領域Kにおける1cm2当たりのドット数をカウントし(ステップS301)、1cm2当たりのドット数がX以上かどうかを判定し(ステップS302)、X以上であると(ステップS302でYes)、総合点変数Sに5点を加算する(ステップS303)。また、Y、M、C、K色のそれぞれがどれだけ使用されているかかの総使用量をカウントして(ステップS304)、カウント数がY以上かどうかを判定し(ステップS305)、Y以上であると(ステップS305でYes)、総合点変数Sに5点を加算する(ステップS306)。
【0074】
続いて、ステップS307、S308、S309の判定ステップ列を実行する。ステップS307は、領域Kが文字領域かどうか、ステップS308は領域Kが写真領域かどうかの判定である。ステップS309は領域Kが図形領域かどうかの判定である。
【0075】
領域Kが文字領域であると(ステップS307でYes)、ステップS310、ステップS311の判定を実行する。ステップS310では、領域Kは、フォントサイズ、書体、文字色、密度が特殊かどうかを判定し、ステップS311では重要、印、秘、署名、金額等の重要ワードが存在するかを判定する。
【0076】
フォントサイズ、書体、文字密度が特殊であれば(ステップS310でYes)、変数Sに10点を加算する(ステップS312)。フォントサイズ、書体、文字密度は特殊ではないが(ステップS310でNo)、重要ワードが存在する場合(ステップS311でYes)、変数Sに15点を加算する(ステップS313)。
【0077】
領域Kが写真領域であると(ステップS308でYes)、特殊なサイズの人物像が存在するかどうかを判定する(ステップS314)。存在する場合(ステップS314でYes)、変数Sに5点を加算する(ステップS315)。
【0078】
領域Kが図形領域であると(ステップS309でYes)、棒グラフの頂点、円グラフの外枠、折れ線グラフの線が存在するかどうかを判定する(ステップS316)。これらが存在する場合(ステップS316でYes)、変数Sに3点を加算する(ステップS317)。
【0079】
ステップS318は、領域Kが用紙中心から15cm四方の範囲内かどうか、ステップS319は、領域Kが用紙中心から15cm以上30cm未満四方の範囲内かどうかの判定である。
【0080】
ステップS318がYesであれば、総合点変数Sに10を加算する(ステップS320)。ステップS318がNo、ステップS319がYesであれば、総合点変数Sに5点を加算する(ステップS321)。ステップS318がNo、ステップS319がNoであれば、総合点変数Sに3を加算する(ステップS322)。
【0081】
濃度評価により変数Sに加算される得点を得点A、種類評価により変数Sに加算される得点を得点B、位置評価により変数Sに加算される得点を得点Cとする。
【0082】
ジョブの1枚目からN枚目に印刷される用紙のうち、i枚目の用紙(2≦i≦N)の表面に印刷される画像データが
図15(a)に示すものであった場合、これら得点A、B、C及び総合点Sが、どのように算出されるかを説明する。
【0083】
図15(a)において文字領域1の文章T1は行間及び文字間が小さく、高密度に文字が描画されているものとする。この場合、濃度評価で5点の得点Aが変数Sに加算される(ステップS303)。しかし、特殊な書体等が存在しないのでB点は0点、用紙端部に位置するので、5点のC点が変数Sに加算され(ステップS321)、文字領域1の変数Sは10(=5+0+5)点となる。
【0084】
写真領域2は無地の背景が多くを占め濃度評価の得点Aは0点であったとする。一方、写真領域2は、特殊なサイズの人物像P1を含むので、得点Bは5点になる(ステップS315)。一方、用紙端部に位置するのでC点は5点となる(ステップS321)。これにより写真領域2の変数Sは、10(=0+5+5)点となる。
【0085】
図形領域3はYMCKの色を有するとする。この場合、濃度評価の得点Aは5点となる(ステップS306)。一方、図形領域3は、グラフ線G1、G2、G3を含むので、得点Bは3点(ステップS317)、そして用紙中央に位置するので、C点は10点となる(ステップS320)。これにより図形領域3の変数Sは、18(=5+3+10)点となる。
【0086】
文字領域4は無地の背景が多くを占め濃度評価の得点Aは0点とする。一方、文字領域4は、大サイズフォントF1を含むので、得点Bは10点(ステップS312)、一方、用紙下端に位置するので、C点は5点となる(ステップS321)。これにより文字領域4の変数Sは、15(=0+10+5)点となる。
【0087】
文字領域5は無地の背景が多くを占め濃度評価の得点Aは0点であったとする。一方、文字領域5は、重要ワードである印の文字W1を含むので、得点Bは15点(ステップS313)、一方、用紙下端に位置するので、C点は5点となる(ステップS321)。これにより図形領域3の変数Sは、20(=0+5+15)点となる。
【0088】
文字領域1、写真領域2の総合点は10点、図形領域3の総合点は18点、文字領域4の総合点は15点、文字領域5の総合点は20点である。
【0089】
その後、ICタグ貼付位置決定部203は、
図8のフローチャートを一部改変した処理手順で、抑止レベルが算出された個々の領域の裏側領域を決定する。何処が改変されたかというと、第1実施形態では、
図8のステップS107、S108の何れかがYesになった段階で、ステップS109、S110で貼付位置を決定して
図7のメインルーチンにリターンしたが、第2実施形態では、N枚の用紙から抽出された全ての領域について、ステップS107~S111のループを繰り返すことで、ICタグ4001の貼付位置の決定を、領域抽出部202がN枚の用紙から抽出した複数領域の全てについて実行する。
【0090】
裏側領域の決定が、N枚の用紙から抽出した複数領域の全てについて実行されると、ICタグ貼付位置決定部203により決定されたICタグの貼付け位置の中で、抑止レベル算出部が算出した抑止レベルが最も高い1つのものを選ぶ。ジョブで印刷されるN枚の用紙のうち、1枚目の用紙の裏側領域から決定された貼付け位置の抑止レベルが最も高く算出された場合、第1実施形態と同様のICタグの貼り付けを行う。
【0091】
2枚目以降のi枚目の用紙(2≦i≦N)の裏側領域から決定された貼付け位置の抑止レベルが最も高く算出された場合、タグ貼付け・書込み制御部204は、このi枚目の用紙の裏面にICタグを貼り付けるようICタグ貼付ヘッド155を制御する。
【0092】
この際、タグ貼付け・書込み制御部204は以下のように制御を行う。1枚目からi-1枚目の用紙については、ICタグを貼り付けることなく、排出トレイ1006Tに排出する。この排出については、貼付用トレイ151を経由して排出トレイ1006Tに送り出してもよいし、1枚目からi-1枚目の用紙を一旦、蓄積用トレイ152に蓄積して、ストッパー162を上昇させ押出板163を前進させることで、1枚目からi-1枚目の用紙を排出トレイ1006Tに排出してもよい。i枚目の用紙については、第1実施形態と同様、貼付用トレイ151に送り込み、ICタグ貼付ヘッド155によりICタグを貼り付けた後、排出トレイ1006Tに排出する。
【0093】
i+1枚目からN枚目の用紙は、第1実施形態で述べたように、一旦蓄積用トレイ152に蓄積して、ストッパー162を上昇させ押出板163を前進させることで、排出トレイ1006Tに排出する。
【0094】
こうして、選択された貼付け位置に基づきICタグ4001を貼り付けた結果を
図15(b)に示す。本図に示すように、印という重要ワードの裏側領域にICタグ4001が貼り付けられたので、課金逃れに対する抑止効果が高まる。
【0095】
[9]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが本発明は上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり以下の変形例が考えられる。
【0096】
(1)上記実施形態では、ICタグ貼付ヘッド155をキャリッジ175に搭載して用紙の幅方向の移動を可能にしたがこれに限られない。ICタグ貼付ヘッド155の位置を、用紙幅方向の中央位置に固定し、用紙を幅方向に移動することで、ICタグ貼付ヘッド155の用紙に対する幅方向の位置決めを行ってもよい。具体的には、後処理装置1005において、
図16に示すようにICタグ貼付ヘッド155の位置を搬送路の用紙幅方向(同図左右方向)の中央位置に固定し、その周囲にガイド板301G、301Hを設ける。モーター301M、301N、ギア機構301K、Lによって、ガイド板301G、301Hと共に印刷済み用紙1020を用紙幅方向に移動することで、ICタグ貼付ヘッド155の位置が、ICタグ4001の貼付け位置になるようにする。
【0097】
(2)上記実施形態では、ICタグ貼付ヘッド155をキャリッジ175に搭載して用紙の用紙幅方向の移動を可能にしたがこれに限られない。用紙幅方向にICタグ貼付ヘッド155を複数並べ、ICタグ4001を貼り付ける際の用紙幅方向の位置決めを行ってもよい。具体的には、後処理装置1005において、
図17に示すようにICタグ貼付ヘッド155と同一構成のICタグ貼付ヘッド155A、B、C、D、E、Fを搬送路の用紙幅方向の複数の位置に固定する。ICタグ貼付ヘッド155A、B、C、D、E、Fのうち、ICタグ4001のX座標に対応するものにICタグ4001の貼り付けを実行させる。
【0098】
(3)ICタグ貼付部150を後処理装置1005に設けたが、画像形成装置本体1000に設けてもよい。具体的にいうと、
図18に示すように画像形成装置本体1000の内部構成において、定着器114の後段に、ICタグ貼付部150を設けて、定着器114による定着を経た印刷済み用紙1020にICタグ4001を貼り付けて、排出口160、165から排出してもよい。
【0099】
上記実施形態では、画像形成装置本体1000をMFPとしたがこれに限らない。店舗等に設置されるコピー専用機、プリンター専用機であってもよい。
【0100】
(4)上記実施形態では領域抽出部202が抽出した複数の領域のうち1つにICタグ4001を貼り付けたがこれに限られない。領域抽出部202が抽出した複数の領域のうち1つにICタグ4001を貼り付け、領域抽出部202が抽出した複数の領域のうち残りにダミータグを貼り付けてもよい。ダミータブは、ICタグ4001と外観が同じの厚紙、樹脂片、又は、課金情報が書き込まれていない空のICタグであり、ICタグ4001と共にダミータグを用紙裏側領域に貼り付けることでどれが本物かの区別がつかなくなり、ICタグを剥がして課金逃れをしようとする不法行為を断念させることができる。
【0101】
(5)画像形成装置本体1000を無人店舗に設置してもよい。無人店舗への入店を希望するユーザーは、自動店舗専用のアプリケーションがインストールされた端末装置を所持している必要がある。この端末装置は、入店のためのバーコードを表示する。
【0102】
入口ゲートは、入店を希望するユーザーがバーコードを表示した端末装置の表示画面をカメラにかざすと、表示画面に基づきユーザーの正当性を判断して、入店を希望するユーザーの正当性が判断されれば、ゲートを開く。
【0103】
出口ゲートは、カメラ、ICタグリーダーを備え、出店を希望するユーザーに対する、ゲートの開閉制御を実行する。バーコードを表示した端末装置の表示画面をカメラにかざすと、ユーザーのユーザーIDを取得すると共に、ICタグリーダーがICタグに格納された課金額の情報を読み取って、料金精算を実行し、当該課金額をユーザーに課金する。
【0104】
(6)上記第1、第2実施形態では、領域抽出部202により抽出された複数の領域のうち、1つのみの裏側領域をICタグの貼付け位置に選んだがこれに限られない。領域抽出部202によりM個(Mは3以上の整数)の領域が抽出された場合、M個の領域のうち、C個(ここでCは、2以上M以下の整数)の裏側領域をICタグの貼付け位置に選んでもよい。例えば、Mが5であり、Cが3の場合を考える。つまり、
図6に示したように、用紙の表面に印刷される画像から文字領域1、写真領域2、図形領域3、文字領域4、文字領域5という5つの領域が抽出され、これら5つの領域に、3個のICタグを貼り付ける場合を想定する。
【0105】
先ず、第2実施形態に示した抑止レベル算出部が算出した抑止レベルで文字領域1、写真領域2、図形領域3、文字領域4、文字領域5をソートし、各領域の順位付けを行う。その結果、これらの領域の順位は、文字領域5、図形領域3、文字領域1、写真領域2、文字領域4になったとする。この場合、ICタグ貼付位置決定部203は、これらの領域のうち、上位3個の領域にICタグを貼り付けると決定する。上位3個に分類される領域は、文字領域5、図形領域3、文字領域1の3つなので、ICタグ貼付ヘッド155は、送信された座標に従い、文字領域5の裏側領域、図形領域3の裏側領域、文字領域1の裏側領域に、ICタグを貼り付ける。そして、これら3個のICタグに、同じジョブを示すジョブIDと、そのジョブに対応する課金額とを書き込み、ICタグ貼付ヘッド155にこれらC個のICタグの貼り付けを行わせる。
【0106】
セルフレジ機3000では、同じジョブIDが格納された複数のICタグのうち、1つを読み出し、課金額の清算を行う。
【0107】
(7)画像形成装置本体1000は電子写真方式としたが、これに限らず、インクジェット方式であってもよい。ICタグ貼付ヘッド155の反対側に、インクカートリッジ、及び、インクジェットによる印字を行う印字ヘッドを搭載したキャリッジを設けて、この印字ヘッドに印刷済み用紙1020の表面の印刷を行わせてもよい。
【0108】
(8)第2実施形態では、濃度評価、種類評価、位置評価の全てを実行したがこれに限られない。濃度評価、種類評価、位置評価の何れかを実行して、その結果で得られた抑止力レベルに基づき、領域抽出部202が抽出した複数の領域の中からICタグを選んでもよい。また、濃度評価、種類評価、位置評価の何れか2つを実行して、その結果で得られた抑止力レベルに基づき、領域抽出部202が抽出した複数の領域の中からICタグを選んでもよい。
【0109】
(9)上記実施形態において領域抽出部202は、用紙に形成されるべき画像データから文字、写真、図形の領域を抽出して、ICタグ貼付位置決定部203がICタグ4001の貼付け位置を決定したがこれに限られない。後処理装置1005に領域抽出部202、ICタグ貼付位置決定部203を設けて、領域抽出や貼付け位置の決定を実行させてもよい。具体的にいうと、後処理装置1005に印刷済み用紙1020が送り込まれた際、後処理装置1005に設けられた画像センサーを用いて、印刷済み用紙1020の表面に形成された画像、印刷済み用紙1020の裏面に形成された画像を読み取り、画像データを得る。領域抽出部202は、そうして表面、裏面から読み取られた画像データを対象として文字、写真、図形を含む領域を抽出し、ICタグ貼付位置決定部203は、領域抽出部202により抽出された領域の座標に従い、貼付位置を決定する。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示にかかる画像形成装置は、ICタグを用いた後払いによる課金システムを構築することができ、OA機器、情報機器の産業分野を始め、小売業、賃貸業、不動産業、広告業、運輸業、出版業等、様々な業種の産業分野で利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0111】
101 パネル制御部
102 待ち行列メモリ
103 ジョブデータ実行部
104 メカコントローラー
150 ICタグ貼付部
155 ICタグ貼付ヘッド
174 タグライター
175 キャリッジ
176 タグラベル
201 課金額算出部
202 領域抽出部
203 ICタグ貼付位置決定部
203M 紙面レイアウトメモリ
204 タグ貼付け・書込み制御部
1000 画像形成装置本体
1004 スキャナー
1005 後処理装置
2000 画像形成装置
3000 セルフレジ機