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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電飾装置および遊技機
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240116BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20240116BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20240116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240116BHJP
【FI】
F21S2/00 670
A63F5/04 603D
F21S2/00 443
F21V3/10 330
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020037093
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021140930
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 浩之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
(72)【発明者】
【氏名】阿形 剛宏
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164977(JP,A)
【文献】特開2017-157325(JP,A)
【文献】特開2013-131454(JP,A)
【文献】特開2018-139756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
A63F 5/04
F21V 3/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の電飾装置であって、
端面より入射した光を反射面に形成された凹部にて反射させて光出射面より出射させる複数の導光板と、
該複数の導光板に対応して設けられた複数の光源と、
当該電飾装置の正面と側面の少なくとも二方向を開放する長尺状の窓部と、を備え、
前記複数の導光板は、ユーザによって前記導光板の形状そのものが視認できる間隔を空けて傾斜して配置され、傾斜状態で前記光出射面が前記窓部に向くように配置されている電飾装置。
【請求項2】
前記複数の導光板が配置される内部の空間を区画する内壁に、光反射機能を有するミラー部が設けられている請求項1に記載の電飾装置。
【請求項3】
前記窓部に、光反射機能および光透過機能を有するハーフミラー部が設けられている請求項1に記載の電飾装置。
【請求項4】
前記複数の導光板が配置される内部の空間を区画する内壁に、光反射機能を有するミラー部が設けられ、かつ、
前記窓部に、光反射機能および光透過機能を有するハーフミラー部が設けられている請求項1に記載の電飾装置。
【請求項5】
上下方向に長い長尺状をなし、
前記複数の導光板は、上下方向に配置され、かつ、後方を前方よりも高くした傾斜状態で前記光出射面が前記窓部に向くように配置されている請求項1から4の何れか1項に記載の電飾装置。
【請求項6】
遊技機本体と、
前記遊技機本体の筐体に設置された請求項1から5の何れか1項に記載の電飾装置と、を有する遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を備えた電飾装置および遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源部から出射された光を導光板の端面から内部に入射させ、導光板の一方の面(反射面)に設けられた凹部にて反射させて他方の面(光出射面)から出射させる技術が知られている。カジノ等の遊技場に設置されるスロットマシンやゲーミングマシン等の遊技機には、このような技術を用いた電飾装置が搭載されている。本願出願人もまた、遊技機に好適に搭載される電飾装置を提案している(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような電飾装置は、光出射面は装置正面に向けては配置されており、導光板の照光パターンを切り替えて光による演出を行う。発光色と発光タイミングの組み合わせを種々変更することで様々な照光パターンを生み出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-156317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の電飾装置は、導光板の光出射面を遊技機の正面に位置する遊技者に向けて配置される。そのため、遊技機の遊技者に対しては演出効果の高い演出を見せることができる。しかしながら、正面以外に位置する周囲のユーザ等には演出効果の高い演出を見せることができず、改善の余地を有している。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置正面以外に位置するユーザ等に対しても演出効果の高い光による演出を見せることが可能な電飾装置および遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る電飾装置においては、長尺状の電飾装置であって、端面より入射した光を反射面に形成された凹部にて反射させて光出射面より出射させる複数の導光板と、該複数の導光板に対応して設けられた複数の光源と、当該電飾装置の正面と側面の少なくとも二方向を開放する長尺状の窓部と、を備え、前記複数の導光板は、互いに間隔を空けて傾斜して配置され、傾斜状態で前記光出射面が前記窓部に向くように配置されている。
【0008】
上記構成によれば、複数の導光板は、互いに間隔を空けて傾斜して配置され、傾斜状態で光出射面が窓部に向くように配置されている。複数の導光板をこのように配置することで奥行き感が生まれると共に、導光板の光出射面だけでなく、導光板の外周部端面の照光も見せることができ、導光板の形状そのものを見せることができる。
【0009】
そして、窓部は正面と側面の少なくとも二方向を開放され、このような光出射面と外周部端面とを視認できる複数の導光板を、開放された少なくとも二方向から視認させることができる。これにより、装置正面以外に居るユーザ等に対しても演出効果の高い光による演出を見せることが可能となる。
【0010】
本開示の一態様に係る電飾装置においては、さらに、前記複数の導光板が配置される内部の空間を区画する内壁に、光反射機能を有するミラー部が設けられている構成とすることもできる。
【0011】
上記構成によれば、導光板の窓部とは反対側に位置する外周部端面から出射される光や、導光板の裏面に漏れ出る光などが、ミラー部に映って反射される。これにより、本来、窓部からは見ることができなかった光を遊技者等のユーザに見せることが可能となり、より演出効果を高めることができる。
【0012】
本開示の一態様に係る電飾装置においては、さらに、前記窓部に、光反射機能および光透過機能を有するハーフミラー部が設けられている構成とすることもできる。
【0013】
上記構成によれば、窓部にハーフミラー部を設けることで、何れの導光板も照光されていない状態では、窓部を鏡のように見せることができる。また、複数の導光板の一部が照光された状態では、照光された導光板とその周囲の明るい部分のみを視認可能とし、あたかも照光している導光板が宙に浮いているような錯覚を見る人に与えることができる。そして、より多くの導光板が照光し、内部の空間が明るくなると、窓部は内部が視認可能となり、内部の複数の導光板の演出を全て見せることができる。これにより、窓部が透明窓からなる構成よりも演出効果を高めることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る電飾装置においては、さらに、前記複数の導光板が配置される内部の空間を区画する内壁に、光反射機能を有するミラー部が設けられ、かつ、
前記窓部に、光反射機能および光透過機能を有するハーフミラー部が設けられている構成とすることもできる。
【0015】
上記構成によれば、内壁に設けられたミラー部と、窓部に設けられたハーフミラー部とで合わせ鏡が構成される。これにより、上述したミラー部およびハーフミラー部によるそれぞれの効果に加えて、照光した導光板が何重にも映り込むといった合わせ鏡による奥行き感のある幻想的な演出が可能となり、演出効果をより一層高めることができる。
【0016】
本開示の一態様に係る電飾装置においては、さらに、上下方向に長い長尺状をなし、
前記複数の導光板は、上下方向に配置され、かつ、後方を前方よりも高くした傾斜状態で前記光出射面が前記窓部に向くように配置されている構成とすることもできる。このような構成では、遊技機本体の筐体の正面の左右両側に設置することができる。
【0017】
本開示の一態様に係る遊技機においては、遊技機本体と、前記遊技機本体の筐体に設置された上記開示の一態様の何れかに係る電飾装置と、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、装置正面以外に位置するユーザ等に対しても演出効果の高い光による演出を見せることが可能な電飾装置および遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1に係る電飾装置が搭載された遊技機の一例を示す斜視図である。
図2】全導光板を照光させた状態にある上記電飾装置を上方から見た斜視図である。
図3】上記電飾装置の構成を示す分解斜視図である。
図4】上記電飾装置を導光板の光出射面と平行に切った断面図である。
図5】上記電飾装置における導光板とLED基板とを示す斜視図である。
図6】上記電飾装置における導光を示す説明図であり、左右方向に切った断面図を用いて示す。
図7】上記電飾装置における導光を示す説明図であり、斜視図を用いて示す。
図8】上記電飾装置における複数の導光板と遊技者の視点位置との関係を示す説明図である。
図9】上記導光板の上下位置の違いによる光出射面と遊技者の視線との成す角度の違い示す説明図である。
図10】上記導光板の上下位置の違いによる裏面に形成された凹部の違いをイメージで示す説明図である。
図11】上記電飾装置における照光した導光板の発光イメージおよび視認イメージを示す説明図である。
図12】上記電飾装置の演出例を示す説明図である。
図13】本発明の実施形態2に係る電飾装置を導光板の光出射面と平行に切った断面図である。
図14図13に示す電飾装置の前、後、横、斜め後ろの各方向からの見え方を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、遊技機の筐体に組み込まれる長尺状の電飾装置であって、かつ、上下方向に長い電飾装置を例示する。
【0021】
§1 適用例
上下方向に長い電飾装置1は、図1に示すように、スロットマシン等の遊技機100の遊技機本体102の筐体101の正面の左右両側の縁に設置される。図2図3に示すように、電飾装置1は、上下方向に長い長尺状を有する。電飾装置1は、複数の導光板8と、該複数の導光板8に対応して設けられた複数の光源であるLEDを搭載したLED基板9と、電飾装置1の正面と該正面と連続する側面の少なくとも二方向を開放する長尺状の窓部2とを備える。窓部2には、透明、もしくはハーフミラーからなるカバー部3が取り付けられている。複数の導光板8は、互いに間隔を空けて上下方向に配置され、かつ、後方を前方よりも高くした傾斜状態で光出射面8cが窓部2に向くように配置されている。
【0022】
電飾装置1では、少なくとも正面と側面とに開放された窓部2より、上下方向に複数配置された導光板8を視認させることができる。各導光板8を傾きを持って配置することで、図6図7に示すように、光出射面8cだけでなく外周部端面8eをも視認させることができる。
【0023】
図12に示すように、任意の一つの導光板8を照光させたり、任意の数個の導光板8を照光させたり、全導光板8を照光させたりすることができる。導光板8の外周部端面8eが照光することで、各々の外形ラインを光る線として見せることができる。外形ラインの内側は、凹部18の形成領域によって全面照光又は図形パターンが面状に照光するので、各々の光出射面8cの照光面を光る面として見せることができる。
【0024】
これにより、上下方向に間隔を空けて積層された、複数の光出射面8cの面状の光と複数の外周部端面8eによる線状の光とを組み合わせた、立体的な演出を、少なくとも窓部2の開放されている正面および側方から視認させることができる。よって、遊技者等の正面に位置するユーザ以外の周囲に位置するユーザに対しても、効果の高い演出を見せることができる。
【0025】
§2 構成例
〔実施形態1〕
本開示の実施の形態について図1図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態においては、遊技機に搭載される電飾装置について説明する。
【0026】
(1.遊技機の外観)
図1は、本実施形態に係る電飾装置1が搭載された遊技機100の一例を示す斜視図である。図1に示すように、電飾装置1は、例えば、遊技機100の筐体101の正面側の左右の縁部分に取り付けられる。筐体101の正面側の左右の縁部分には、電飾装置1を嵌め込むための凹部が設けられている。なお、本明細書において左右方向は、遊技機100の正面に向かっての左右方向とする。
【0027】
(2.電飾装置1の概略)
図2は、全導光板を照光させた状態にある電飾装置1を上方から見た斜視図である。図2に示す電飾装置1は、図1に示す遊技機100の右側(向かって右側)の縁部分に取り付けられる。電飾装置1は、上下方向に長い長尺状をなし、例えば120cm程の長さを有する。本実施形態では、電飾装置1は後方に凸をなす反りを有している。
【0028】
図2に示すように、電飾装置1は、遊技機100の筐体101の凹部に嵌め込まれた状態で表に露出する正面と右側面に窓部2を有する。窓部2は、装置正面と該装置正面と連続する側面の少なくとも二方向を開放する。窓部2を介して、電飾装置1の内部に設けられた複数の導光板8による光による演出(演出発光)が視認可能となる。本実施形態では、窓部2には、ハーフミラーからなるカバー部(ハーフミラー部)3が設けられている。カバー部3は正面と右側面との間で繋ぎ目のない1枚構造であり、角部は面取りされている。
【0029】
筐体101の凹部に嵌め込まれる、電飾装置1の背面および左側面はケース10にて塞がれている。ケース10の左側壁10bに、複数の導光板8が取り付けられている。複数の導光板8は、互いに間隔を空けて上下方向に配置され、かつ、後方を前方よりも高くした傾斜状態で光出射面8cが窓部2に向くように配置されている。複数の導光板8をこのように斜めに配置することで、光出射面8cに加えて外周部端面8eから出射される光も視認可能となる。遊技者や装置周囲のユーザ等の興味を惹き、煌びやかでインパクトのある演出発光を行うには、導光板8は2枚以上であればよいが、導光板8の枚数が多ければ多い程ダイナミックな演出発光を実現できる。
【0030】
ケース10の後壁10aの内側の面には、ミラー部15が設けられている。後壁10aは、複数の導光板8が配置される内部の空間を区画する内壁に相当する。ミラー部15とハーフミラーからなるカバー部3とで、後述する合わせ鏡が構成される。図中、参照符号6,7にて示す部材は、電飾装置1の上端部および下端部に嵌められたエンドカバーである。図示してはいないが、遊技機100の左側の縁部分に取り付けられる電飾装置1の構造は、図2に示す電飾装置1とは左右対称の構造をとる。
【0031】
(3.電飾装置1の構成)
図3は、電飾装置1の構成を示す分解斜視図である。図4は、電飾装置1を導光板8の光出射面8cと平行に切った断面図である。図3図4に示すように、電飾装置1は、前述したカバー部3、ケース10、複数の導光板8およびエンドカバー6,7の他、LED基板9、基板カバー5およびインナーカバー4を備えている。カバー部3、ケース10、基板カバー5、LED基板9およびインナーカバー4は、電飾装置1の外形に合わせて長尺状に形成されている。
【0032】
ケース10は、電飾装置1を構成する各部品を支持するものであり、正面側および右側面側が開放された短手方向に切った断面が略L字状をなす。ケース10は、後壁10aおよび左側壁10bを有し、上端および下端に上壁10cおよび下壁10dを有する。
【0033】
左側壁10bには、導光板8を支持するための固定穴11が上下方向に複数形成されている。固定穴11は、光出射面8cを斜め上方に向けて導光板8を支持し得るように、前後方向(奥行方向)に対して前方が低く後方が高い傾斜を有している。導光板8の傾斜角度は固定穴11の傾斜角度によって決まり、導光板8間のピッチは固定穴11間のピッチによって決まる。固定穴11は、左側壁10bを厚さ方向に貫く貫通穴であり、導光板8の後述する基部8b(図5参照)が差し込まれる。
【0034】
LED基板9には、複数の導光板8の枚数分のLED(光源)20が上下方向に列状に配置されている。またLED基板9は、左側壁10bの裏側(外側)に配置され、LED20が複数の固定穴11の形成位置に対応するように配置される。そのため、各LED20が各固定穴11に取り付けられた各導光板8の基部8bの外周部端面8fと対向する。基板カバー5は、左側壁10bの裏側に、LED基板9を覆うように嵌め合わされる。
【0035】
ケース10の後壁10aの内側の面10aは、前述したように、ミラー部15が設けられている。ミラー部15は光反射機能を有し、複数の導光板8の窓部2から見える像とは反対側の像を映して、窓部2からの視認を可能とする。
【0036】
複数の導光板8は、透明なポリカーボネートやアクリル樹脂などからなる部材である。複数の導光板8は、左側壁10bに形成された複数の固定穴11にそれぞれ取り付けられる。
【0037】
図5は、導光板8とLED基板9とを示す斜視図である。図5に示すように、導光板8は、LED20の点灯時に照光する所望の形状の本体部8aと、導光板8を左側壁10bに取り付けるための基部8bとを有する。基部8bと本体部8aとの境界部分は、細幅に形成されている。基部8bにおけるLED20と対向する外周部端面8fが光入射面である。本実施形態では、基部8bにおけるLED20と対向する部分にLED20が入り込む窪みが形成されている。
【0038】
また、本体部8aにおける光出射面8cとは反対側の裏面(反射面)8dには、内部を導光する光を反射させて光出射面8cより出射させるための後述する凹部(ディンプル)18(図10参照)が形成されている。凹部18に反射された光が光出射面8cから出射されることで光出射面8cが照光する。凹部18は、本体部8aを全体的に照光させ得るように本体部8aの裏面8dに全体的に形成されていてもよいし、裏面8dの一部にデザインや図柄を描くように形成されていてもよい。さらに、導光板8内部を導光する光は、斜線を付した外周部端面8eからも拡散されて出射し、本体部8aの外周部端面8eも照光する。
【0039】
図3図4に戻り、インナーカバー4は、左側壁10bの内側の面の正面側に配置される。インナーカバー4は、複数の固定穴11に複数の導光板8を差し込んだ状態で嵌め合わされる。インナーカバー4が固定穴11の正面側を塞ぐことで、導光板8の基部8bが固定穴11の後側の穴壁とインナーカバー4の後端とで咥えられるように保持され、導光板8が左側壁10bに固定される。
【0040】
カバー部3は、ケース10の開放されている正面側および右側面側を塞ぐ部材であり、ケース10と同様に短手方向に切った断面が略L字状をなすコーナ形状をなす。カバー部3は、ケース10にインナーカバー4が取り付けられた状態でケース10に嵌め合わされる。カバー部3は、前述したように、本実施形態ではハーフミラーからなる。ハーフミラーは、光反射機能および光透過機能を有する。
【0041】
(4.電飾装置1の導光)
図6図7は、電飾装置1における導光を示す説明図であり、図6は左右方向に切った断面図を用いて示し、図7は斜視図を用いて示す。なお、図6においては、LED20からの光の導光路を太線矢印にて示している。また、図6図7では、導光板8とLED基板9のみを示している。
【0042】
図6に示すように、LED20から出射された光は、LED20と対向する外周部端面8fから入射する。導光板8の内部に入射した光は、光出射面8cと裏面8dとの間で正反射を繰り返しながら進行する。進行する光のうち、裏面8dに形成された凹部18(図10参照)にて反射された光は、光出射面8cより出射し、光出射面8cを照光させる。また、進行する光のうち、外周部端面8eに至った光は、図7に示すように、外周部端面8eにて拡散されて外周部端面8eを照光させる。
【0043】
(5.導光板8の凹部の形状)
図8は、電飾装置1における複数の導光板8と遊技者の視点位置との関係を示す説明図である。図8に示すように、複数の導光板8は上下方向に配置されているため、各導光板8と遊技者の視点位置とは上下方向において異なる。各導光板8の各々の光出射面8cから出射される光の進行方向は、遊技者の視点の位置に向かうように設定されている。光出射面8cから出射した光の進行方向は、裏面8dに形成される凹部18の形状によって決定される。なお、遊技者の視点位置は、遊技者の背丈によって変わるものであるので、遊技者の平均身長等を考慮して決定されている。
【0044】
図9は、導光板8の上下位置の違いによる光出射面8cと遊技者の視線との成す角度の違いを示す説明図である。図9に示すように、導光板8の前後方向に対する傾斜の角度をθとした場合、光出射面8cと遊技者の視線とが成す角度は、γ>α>βとなり、下方に位置する導光板8において大きく、上方に位置する導光板8ほど小さくなる。このような関係を考慮して、各導光板8は、光出射面8cから出射された光が遊技者の視線と平行に進行して遊技者の視点に到達するように凹部の形状が設計されている。
【0045】
図10は、導光板8の上下位置の違いによる裏面8dに形成された凹部18の違いをイメージで示す説明図である。図10において、線分hは光出射面8cの法線である。最も高い位置にある導光板8-1(図8参照)では、外周部端面8fから入射した光Lを、光出射面8cに対して浅い角度で出射させる凹部18が形成される。換言すると、導光板8-1では、外周部端面8fから入射した光Lを、線分hに対して深い角度で出射させる凹部18が形成される。
【0046】
一方、最も低い位置にある導光板8-2(図8参照)では、外周部端面8fから入射した光Lを、光出射面8cに対して深い角度で出射させる凹部18が形成される。換言すると、導光板8-2では、外周部端面8fから入射した光Lを、線分hに対して浅い角度で出射させる凹部18が形成される。
【0047】
(6.電飾装置1における照光した導光板8の見え方の説明)
図11は、電飾装置1における照光した導光板8の発光イメージおよび視認イメージを示す説明図である。図11では、図4と同じ断面図を用いて示す。複数の導光板8は個々に選択的に点灯させることが可能であり、発光色、発光タイミングを変化させて発光パターンを切り替えることで様々な演出が可能となる。
【0048】
LED20を点灯させると、LED20の光が外周部端面8fから導光板8内部に入射し、導光板8の光出射面8cおよび外周部端面8eが照光する(図6図7参照)。導光板8が照光することで電飾装置1の内部が明るくなり、内部の光がハーフミラーからなるカバー部3を透過し、電飾装置1の内部が視認可能となる。
【0049】
電飾装置1からの光としては、細い実線矢印で示す導光板8からの直接光L1と、細い二点鎖線矢印で示すミラー部15からの反射光L2とがある。直接光L1には、導光板8の光出射面8cから凹部18で設定されている方向に進む光と、導光板8の外周部端面8eから多様な方向に出射する拡散光とが含まれる。
【0050】
ユーザの視線としては、太い実線矢印で示す視線S1、太い二点鎖線矢印で示す視線S2、太い鎖線矢印で示す視線S3がある。視線S1は、遊技者等の正面側に位置するユーザが直接導光板8を視認する視線である。視線S2は、遊技者等の正面側に位置するユーザがミラー部15に映った導光板8を視認する視線である。視線S3は、側方に位置する周囲のユーザが側方より導光板8を視認する視線である。
【0051】
遊技者等の正面側に位置するユーザ及び側方に位置する周囲のユーザは、導光板8からの直接光L1とミラー部15で反射された反射光L2を視認する。凹部18の形状を、導光板8の光出射面8cからの出射光が正面に位置する遊技者に向かって進行するように設定しているので、外周部端面8eから出射される拡散光と合わせて、遊技者には明るい光を視認させることができる。周囲のユーザは、遊技者程に明るい状態で視認することはできないが、導光板8の外形形状に合った光る形を視認できる。
【0052】
(7.電飾装置1の演出例)
図12は、電飾装置1の演出例を示す説明図である。図12に示すように、導光板8が全て非照光である場合、電飾装置1内部が暗いため、ハーフミラーからなるカバー部3はミラー状となる。任意の1枚の導光板を照光させると、照光させた導光板8の周囲が明るくなるので、その部分においてカバー部3が透過し、照光させた導光板8の視認が可能となる。ミラー状のカバー部3の一部が透過して内部の導光板8が視認されるので、あたかも導光板8が宙に浮いているような幻想的な演出が可能となる。複数の中の任意の数枚の導光板8を照光することで、複数の導光板8が宙に浮いているような演出も可能となる。すべての導光板8を照光することで、内部の光がカバー部3を透過し、照光した全導光板8を視認させることができる。
【0053】
また、例えば、照光させる導光板8を上から下へ又は下から上へと切り換えていくことで、導光板8の形状の物体が、上から下へ又は下から上へと移動しているような動きのある演出が行える。また、全導光板8を、発光色を上から下へ又は下から上へと変化させながら照光させることで、導光板8の形状で、上から下へ又は下から上へと光の帯が移動しているような動きのある演出が行える。
【0054】
(8.電飾装置1の効果)
このように、電飾装置1においては、複数の導光板8を、互いに間隔を空けて上下方向に、かつ、後方を前方よりも高くした傾斜状態で光出射面8cが窓部2に向くように配置している。そして、窓部2は装置の正面と該正面と連続する側面の少なくとも二方向を開放している。
【0055】
これによれば、正面と側面に開放された窓部2より、上下方向に複数配置された導光板8を視認させることができる。各導光板8を、傾きを持って配置することで、光出射面8cと外周部端面8eの両方を視認させることができる。外周部端面8eが照光することで、各々の外形ラインを光る線として見せることができる。外形ラインの内側は、凹部18の形成領域によって全面照光又は図形パターンが面状に照光するので、各々の光出射面8cの照光面を光る面として見せることができる。
【0056】
これにより、上下方向に間隔を空けて積層された、複数の光出射面8cの面状の光と複数の外周部端面8eによる線状の光とを組み合わせた、立体的な演出が可能となる。よって、遊技者等の正面に位置するユーザ以外の周囲に位置するユーザに対しても、効果の高い演出を見せることができる。
【0057】
また、後壁10aの内面に設けられたミラー部15にて、ミラー部15に映った導光板8の像も視認させることができる。つまり、窓部2とは反対側に位置する外周部端面8eから出射される光や、導光板8の裏面に漏れ出る光などが、ミラー部15に映って反射される。これにより、本来、窓部2からは見ることができなかった光をユーザに見せることが可能となり、インパクトのあるより演出効果の高い演出が可能となる。
【0058】
しかも、カバー部3がハーフミラーから構成されているので、例えば1枚の導光板8、あるいは複数の中の数枚の導光板8を、間隔を空けて照光させることで、導光板8が宙に浮いているような錯覚を見る人に与えることができ、幻想的な演出も可能となる。
【0059】
さらに、ミラー部15とハーフミラーとの組み合わせで、合わせ鏡が構成されることとなり、照光した導光板8が実在する枚数以上に奥行方向に映し込まれることとなり、より幻想的な演出を行うことができる。
【0060】
〔実施形態2〕
本開示の実施の形態について図13図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図13は、本実施形態の電飾装置1’を導光板8の光出射面8cと平行に切った断面図である。本実施形態の電飾装置1’と実施形態1の電飾装置1との違いはケース10’にある。図13に示すように、電飾装置1’におけるケース10’は、後壁10aがカバー部3と同様に透明材より構成されている。本実施形態では、カバー部3と同様に後壁10aはハーフミラーから構成されている。また、ミラー部15を、ケース10’の左側壁10bとインナーカバー4とで構成される内壁に設けている。このような電飾装置1’は、遊技機100の筐体101の正面側の左右の縁部分に、側方に突き出た状態で取り付けられる。
【0062】
図14は、本実施形態の電飾装置1’の前、後、横、斜め後ろの各方向からの見え方を示す説明図である。図14に示すように、電飾装置1’においては、前、後、横(右横)、および斜め後ろの各方向から、複数の導光板8を視認することができる。
【0063】
このように、前、後、横(右横)、および斜め後ろの各方向から内部の導光板8を視認可能とすることで、遊技機の後方に位置するユーザに対しても、効果の高い演出を見せることができる。
【0064】
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0065】
上記実施形態では、遊技機の筐体に組み込まれる長尺状の電飾装置として上下方向に長い電飾装置を例示したが、左右方向に長い長尺状とし、導光板8を左右方向に複数配置してもよい。
【0066】
また、複数の導光板8の外形形状を全て同じ形状としていたが、外形形状の異なる導光板8が混在されていてもよい。また、照光面の形を決定する凹部18の形成領域の形状が異なる導光板8が混在されていてもよいし、また、導光板8を傾ける角度や導光板を配置する間隔が一定でなくてもよい。また、後壁10aおよび左側壁10bの両方にミラー部15を設けてもよいし、さらに、上壁10cおよび下壁10dにもミラー部15を設けてもよい。また、後壁10aをカバー部3と同様の透明材より構成する場合、カバー部を断面コの字状に形成し、ケースを細長い板状に形成して、両者を嵌め合わせる構成としてもよい。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 電飾装置
2 窓部
3 カバー部
4 インナーカバー
5 基板カバー
6,7 エンドカバー
8 導光板
8a 本体部
8b 基部
8c 光出射面
8d 裏面
8e、8f 外周部端面
9 LED基板
10、10’ ケース
10a 後壁
10b 左側壁
11 固定穴
15 ミラー部
18 凹部
20 LED
100 遊技機
101 筐体
102 遊技機本体
h 線分
L1 直接光
L2 反射光
S1、S2、S3 視線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14