(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】検知システム、画像形成システム、検知システムの制御プログラム、および検知システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B65H7/02
(21)【出願番号】P 2020044221
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小山 弘
(72)【発明者】
【氏名】泉宮 賢二
(72)【発明者】
【氏名】白熊 拓美
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-137457(JP,A)
【文献】特開2000-159394(JP,A)
【文献】特開2003-312895(JP,A)
【文献】特開平6-56312(JP,A)
【文献】特開2019-137549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体へ送信した超音波を、前記記録媒体を介して受信し、受信した前記超音波に基づいて検知した、前記記録媒体の重送に関する重送検知情報を出力する重送検知部と、
前記記録媒体へ照射した光の、前記記録媒体を透過した透過光、および前記記録媒体により反射された反射光の少なくともいずれかに基づいて検知した、前記記録媒体の特性に関する特性検知情報を出力する特性検知部と、を有し、
前記重送検知部は、前記特性検知情報を前記重送検知情報の検知制御に利用し、前記特性検知部は、前記重送検知情報を前記特性検知情報の検知制御に利用する、検知システム。
【請求項2】
前記重送検知情報および前記特性検知情報を、前記記録媒体ごとにシートプロファイルに反映する制御部をさらに有する、請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記重送検知情報には、紙厚、坪量、および重送回数が含まれる、請求項1または2に記載の検知システム。
【請求項4】
前記特性検知情報の検知制御には、前記透過光および前記反射光の少なくともいずれかの信号を電気信号に変換して増幅する際の増幅率の制御が含まれ、前記特性検知部は、前記増幅率で増幅された前記電気信号に基づいて、前記特性検知情報を検知する、請求項1~3のいずれか一項に記載の検知システム。
【請求項5】
前記シートプロファイルには、前記重送検知情報として重送発生頻度が含まれる、請求項2に記載の検知システム。
【請求項6】
前記重送検知部は、前記記録媒体を介して受信した前記超音波を電気信号に変換したアナログ信号と、前記アナログ信号を所定の第1閾値と比較することで2値化したデジタル信号とのいずれかを前記重送検知情報として切り替えて出力する、請求項1~5のいずれか一項に記載の検知システム。
【請求項7】
前記請求項1~6のいずれか一項に記載の検知システムと、
前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送部と、を有し、
前記重送検知部は、前記搬送部による前記記録媒体の搬送経路における前記記録媒体の搬送方向に対し、前記特性検知部の上流に配置される、画像形成システム。
【請求項8】
前記請求項5に記載の検知システムと、
前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送部と、
前記画像形成部に前記記録媒体を給紙する給紙部と、
前記シートプロファイルにおいて、前記重送発生頻度が所定の第2閾値以上である場合、前記給紙部の給紙制御パラメーターを補正する給紙制御部と、
をさらに有する画像形成システム。
【請求項9】
記録媒体へ送信した超音波を、前記記録媒体を介して受信し、受信した前記超音波に基づいて検知した、前記記録媒体の重送に関する重送検知情報を出力する重送検知部と、
前記記録媒体へ照射した光の、前記記録媒体を透過した透過光、および前記記録媒体により反射された反射光の少なくともいずれかに基づいて検知した、前記記録媒体の特性に関する特性検知情報を出力する特性検知部と、を有する検知システムの制御プログラムであって、
前記特性検知情報を、前記重送検知部による前記重送検知情報の検知制御に利用させる手順(a)と、
前記重送検知情報を、前記特性検知部による前記特性検知情報の検知制御に利用させる手順(b)と、をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【請求項10】
記録媒体へ送信した超音波を、前記記録媒体を介して受信し、受信した前記超音波に基づいて検知した、前記記録媒体の重送に関する重送検知情報を出力する重送検知部と、
前記記録媒体へ照射した光の、前記記録媒体を透過した透過光、および前記記録媒体により反射された反射光の少なくともいずれかに基づいて検知した、前記記録媒体の特性に関する特性検知情報を出力する特性検知部と、を有する検知システムの制御方法であって、
前記特性検知情報を、前記重送検知部による前記重送検知情報の検知制御に利用させる段階(a)と、
前記重送検知情報を、前記特性検知部による前記特性検知情報の検知制御に利用させる段階(b)と、を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知システム、画像形成システム、検知システムの制御プログラム、および検知システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メディアセンサーは、用紙に光を照射し、用紙を透過した透過光に基づいて用紙の坪量等を検知するとともに、用紙に反射された反射光に基づいて、用紙の表面性等を検知することで用紙の特性を検知する。
【0003】
しかし、用紙に画像を形成する画像形成システムにおいて、メディアセンサーにより特性を検知しようとする用紙は多種多様である。そのため、用紙に照射する光の強度や、透過光をフォトダイオードで電気信号に変換し電気回路で増幅する際の増幅率が適当に設定されていないと、用紙特性の検知精度が低下する。例えば、坪量の検知において、用紙の厚さによって透過光の強度が変化するため、用紙に照射する光の強度や上述の増幅率が適当に設定されていないと、電気回路の飽和や、SN比の低下により、用紙特性の検知精度が低下し得る。
【0004】
重送検知センサーは、用紙へ超音波を送信し、用紙を透過した透過超音波の強度に基づいて用紙の重送を検知する。
【0005】
しかし、画像形成システムにおいて、重送を検知しようとする用紙は多種多様であるため、用紙に送信する超音波の強度、透過超音波を超音波センサーで電気信号に変換して電気回路で増幅する際の増幅率、および重送判定のための閾値が適当に設定されていないと、重送の検知精度が低下する。例えば、調整用として規定された用紙を使用して、重送判定のための閾値が適当に設定されていても、画像を形成しようとする用紙の表面性の特性等によっては、透過超音波の強度が低下し、正常な搬送がされているにもかかわらず、重送と誤検知される場合がある。
【0006】
下記特許文献1には次の先行技術が開示されている。シート特性センサーにより、搬送中のシートの特性情報を取得し、シート特性センサーに対して搬送方向下流に設けられた重送検知装置が発信する超音波の特性を変更して、当該重送検知装置によりシートの重送を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記先行技術では、シート特性センサーによる用紙特性の検知精度が紙種によって低下した場合に対応できない。さらに、用紙特性の検知精度が低下した場合に、重送の検知精度が低下し得るという問題がある。
【0009】
本発明はこのような問題に対応するためになされたものである。すなわち、用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる、検知システム、画像形成システム、検知システムの制御プログラム、および検知システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0011】
(1)記録媒体へ送信した超音波を、前記記録媒体を介して受信し、受信した前記超音波に基づいて検知した、前記記録媒体の重送に関する重送検知情報を出力する重送検知部と、前記記録媒体へ照射した光の、前記記録媒体を透過した透過光、および前記記録媒体により反射された反射光の少なくともいずれかに基づいて検知した、前記記録媒体の特性に関する特性検知情報を出力する特性検知部と、を有し、前記重送検知部は、前記特性検知情報を前記重送検知情報の検知制御に利用し、前記特性検知部は、前記重送検知情報を前記特性検知情報の検知制御に利用する、検知システム。
【0012】
(2)前記重送検知情報および前記特性検知情報を、前記記録媒体ごとにシートプロファイルに反映する制御部をさらに有する、上記(1)に記載の検知システム。
【0013】
(3)前記重送検知情報には、紙厚、坪量、および重送回数が含まれる、上記(1)または(2)に記載の検知システム。
【0014】
(4)前記特性検知情報の検知制御には、前記透過光および前記反射光の少なくともいずれかの信号を電気信号に変換して増幅する際の増幅率の制御が含まれ、前記特性検知部は、前記増幅率で増幅された前記電気信号に基づいて、前記特性検知情報を検知する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の検知システム。
【0015】
(5)前記シートプロファイルには、前記重送検知情報として重送発生頻度が含まれる、上記(2)に記載の検知システム。
【0016】
(6)前記重送検知部は、前記記録媒体を介して受信した前記超音波を電気信号に変換したアナログ信号と、前記アナログ信号を所定の第1閾値と比較することで2値化したデジタル信号とのいずれかを前記重送検知情報として切り替えて出力する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の検知システム。
【0017】
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の検知システムと、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体を搬送する搬送部と、を有し、前記重送検知部は、前記搬送部による前記記録媒体の搬送経路における前記記録媒体の搬送方向に対し、前記特性検知部の上流に配置される、画像形成システム。
【0018】
(8)前記(5)に記載の検知システムと、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記画像形成部に前記記録媒体を給紙する給紙部と、前記シートプロファイルにおいて、前記重送発生頻度が所定の第2閾値以上である場合、前記給紙部の給紙制御パラメーターを補正する給紙制御部と、をさらに有する画像形成システム。
【0019】
(9)記録媒体へ送信した超音波を、前記記録媒体を介して受信し、受信した前記超音波に基づいて検知した、前記記録媒体の重送に関する重送検知情報を出力する重送検知部と、前記記録媒体へ照射した光の、前記記録媒体を透過した透過光、および前記記録媒体により反射された反射光の少なくともいずれかに基づいて検知した、前記記録媒体の特性に関する特性検知情報を出力する特性検知部と、を有する検知システムの制御プログラムであって、前記特性検知情報を、前記重送検知部による前記重送検知情報の検知制御に利用させる手順(a)と、前記重送検知情報を、前記特性検知部による前記特性検知情報の検知制御に利用させる手順(b)と、をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【0020】
(10)記録媒体へ送信した超音波を、前記記録媒体を介して受信し、受信した前記超音波に基づいて検知した、前記記録媒体の重送に関する重送検知情報を出力する重送検知部と、前記記録媒体へ照射した光の、前記記録媒体を透過した透過光、および前記記録媒体により反射された反射光の少なくともいずれかに基づいて検知した、前記記録媒体の特性に関する特性検知情報を出力する特性検知部と、を有する検知システムの制御方法であって、前記特性検知情報を、前記重送検知部による前記重送検知情報の検知制御に利用させる段階(a)と、前記重送検知情報を、前記特性検知部による前記特性検知情報の検知制御に利用させる段階(b)と、を有する制御方法。
【発明の効果】
【0021】
用紙の重送を検知する重送検知部、および用紙の特性を検知する特性検知部でそれぞれ出力される検知情報を互いの検知制御に利用する。これにより、用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示す概略図である。
【
図2】画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】透過超音波の強度と、用紙の坪量との関係を示すグラフである。
【
図4】重送検知部と特性検知部の具体的な構成を示す説明図である。
【
図5】重送検知部、特性検知部、およびサーバーの相互間で送受信されるデータを説明するための説明図である。
【
図7A】用紙特性検知および重送検知を実行する際の画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7B】用紙特性検知および重送検知を実行する際の画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】ペーパープロファイルに基づき、給紙装置の給紙トレイの給紙制御パラメーターの補正を実行する際の画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】重送検知部、特性検知部、および他の特性検知部の相互間で送受信されるデータを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る検知システム、画像形成システム、検知システムの制御プログラム、および検知システムの制御方法について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システム100の構成を示す概略図である。
図2は、画像形成システム100の構成を示すブロック図である。
【0025】
画像形成システム100は、画像形成装置101、後処理装置102、および給紙装置103を有する。画像形成装置101は、記録媒体である用紙Sに画像を形成する。後処理装置102は画像形成された用紙を後処理する。給紙装置103は各給紙トレイ45に収納している用紙Sを画像形成装置101へ供給する。なお、これらの装置は、それぞれ他の装置を含んで構成されてもよい。従って、例えば、画像形成装置101は、後処理装置102や給紙装置103を含んで構成され得る。画像形成システム100は、プロダクションプリント機であり得る。
【0026】
図2に示すように、画像形成システム100は、制御部10、記憶部20、画像形成部30、給紙搬送部40、操作表示部50、後処理部60、通信部70、重送検知部80、および特性検知部90を有する。これらは、各部の間で信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。重送検知部80および特性検知部90は、検知システムを構成する。
【0027】
制御部10は、CPUにより構成され、プログラムに従って各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部10は、画像形成装置101が備える制御部12と、後処理装置が備える制御部13と、給紙装置103が備える制御部14とを含み、これらが協働して画像形成システム100全体を制御する。制御部10は給紙制御部を構成する。制御部10の具体的な作用については後述する。
【0028】
記憶部20は、各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、および各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等から構成される。
【0029】
画像形成部30は、中間転写ベルト31、感光体ドラム32、現像部33、書込部34、2次転写部35、および定着部36を備える。
【0030】
感光体ドラム32、現像部33、および書込部34は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各基本色に対応した構成をそれぞれ備える。
図1では、感光体ドラム32、現像部33については、符号32(Y)、33(Y)以外の符号の表記を省略している。
【0031】
画像形成部30の書込部34は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム32の表面を露光し、静電潜像を形成する。現像部33では、形成された静電潜像を現像部33のトナーにより現像して、各感光体ドラム32の表面に各色のトナー画像を形成する。これを各色の1次転写部(図示せず)で中間転写ベルト31上に順次重ねてゆき、フルカラーのトナー画像を形成する。このトナー画像は、2次転写部35で用紙S上に転写される。その後、トナー画像が形成された用紙Sは、定着部36へ搬送されて、定着部36で加熱および加圧されることで用紙S上にフルカラーの画像を定着する。
【0032】
印刷ジョブとは、画像形成システム100に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDF(Portable Document Format)データ、PDL(Page Description Language)データ、またはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙900への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、ページ割付、ステープル、パンチ、折り、ウォーターマーク、原稿の向き、用紙サイズ等の各種設定が含まれる。
【0033】
給紙搬送部40は、給紙トレイ41、搬送路42(42a~42d)、複数の搬送ローラー、これを駆動する駆動モーター(図示せず)、および給紙装置103を備える。
【0034】
給紙搬送部40は、駆動モーターの駆動によってそれぞれの搬送ローラーを所定のタイミングで回転させ、給紙トレイ41または給紙装置103から供給される用紙Sを画像形成部30へ搬送する。
【0035】
給紙トレイ41は、例えば、上トレイ41aと下トレイ41bの2段の引き出し式トレイとなっていて、それぞれ個別に用紙を収納し、画像形成部30へ用紙を供給する。
【0036】
給紙装置103は、画像形成装置101内部の上トレイ41aおよび下トレイ41bよりも多くの用紙を複数の給紙トレイ45に収納し、画像形成装置101へ用紙Sを供給する。
【0037】
搬送路42は、画像形成部30内の搬送路42a、42c、後処理部60内の搬送路42b、給紙装置103内の搬送路42dから構成される。
【0038】
給紙装置103または給紙トレイ41から給紙された用紙Sは、搬送路42aを搬送される。搬送路42aには、クラッチにより回転、停止することで用紙の搬送タイミングを調整するレジストローラー431が配置されている。
【0039】
搬送路42aを搬送され画像形成部30により画像形成された用紙Sは、下流側の搬送路42bを経由して、印刷ジョブの印刷設定に応じた後処理を施されたのち機外に排出され排紙トレイ44上に載置される。
【0040】
印刷ジョブの印刷設定が、両面印刷の設定であれば、片面(第1面、通常は表面)に画像形成された用紙Sを画像形成部30の下部にあるADU搬送路42cに搬送する。このADU搬送路42cに搬送された用紙Sは、スイッチバック経路で表裏を反転された後、搬送路42aに合流し、再び画像形成部30で用紙Sのもう一方の面(第2面、通常は裏面)に画像形成される。
【0041】
操作表示部50はタッチパネル付きディスプレイ、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種指示を入力するための入力画面および装置の状態等を表示するとともに、印刷設定等の各種設定および各種指示の入力を受け付ける。
【0042】
後処理部60は、搬送路42bに設けられている。後処理部60では、たとえば綴じ処理を行い、用紙をスタックするスタック部とステープル部を有し、複数枚の用紙Sをこのスタック部で重ねた後、ステープル部でステープルを用いた平綴じ処理を行う。平綴じされた用紙Sの束は、排紙トレイ44上に排出される。また平綴じしない用紙Sは、そのまま搬送路42bを経由して排出される。
【0043】
通信部70には、SATA、PCI Expres、USB、イーサネット(登録商標)、IEEE1394などの規格によるネットワークインターフェース、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11などの無線通信インターフェース、などの各種ローカル接続インターフェースが用いられる。通信部70を通じてPC等の外部の端末から印刷ジョブが受信される。また、通信部70を通じてインターネット上のサーバー500(
図5参照)との間でデータの送受信がされる。
【0044】
重送検知部80は、用紙Sへ送信した超音波を、用紙Sを介して受信し、受信した超音波(以下、「透過超音波」とも称する)に基づいて検知した、用紙Sの重送に関する重送検知情報を出力する。重送検知部80は、例えば、給紙装置103の搬送路42dに設置されることで、搬送路42dを搬送される用紙Sについて、重送に関する重送検知情報を検知して出力する。重送検知情報には、透過超音波、透過超音波の強度(増幅された透過超音波の強度を含む)、重送の有無、重送回数、紙厚、および坪量が含まれる。重送の有無、重送回数、紙厚、および坪量は、透過超音波の強度に基づいて、公知の方法で算出され得る。重送検知部80の具体的な構成は、後述する。
【0045】
図3は、透過超音波の強度と、用紙Sの坪量との関係を示すグラフである。なお、
図3においては、透過超音波の強度として、後述する、透過超音波を受信したときの超音波受信素子82の出力電圧(電圧振幅)が示されている。
【0046】
図3のグラフから判るように、透過超音波の強度と、用紙Sの坪量とは一定の関係があるため、近似式を用いること等により、透過超音波の強度から用紙Sの坪量を算出できる。なお、同様に、紙厚等も、透過超音波の強度との関係の近似式を用いること等により、透過超音波の強度に基づいて算出し得る。
【0047】
特性検知部90は、搬送路42における用紙Sの搬送方向に対し、重送検知部80の下流に配置される。
【0048】
特性検知部90は、用紙Sへ光を照射し、用紙Sを透過した光(以下、「透過光」と称する)、および用紙Sに反射された光(以下、「反射光」と称する)の少なくともいずれかに基づいて検知した、用紙Sの特性に関する特性検知情報を出力する。特性検知部90は、例えば、画像形成装置101の搬送路42aに設置されることで、搬送路42aを搬送される用紙Sについて、特性検知情報を検知して出力する。特性検知情報には、透過光の強度、および反射光の強度(増幅された透過光の強度、および増幅された反射光の強度を含む)、用紙Sの紙種、坪量、含水量、および表面性(例えば、表面のコーティングの有無)が含まれる。用紙Sの紙種、坪量、および含水量は、透過光の強度に基づいて、公知の方法で算出され得る。用紙Sの表面性は、反射光の強度に基づいて、公知の方法で算出され得る。
【0049】
図4は、重送検知部80と特性検知部90の具体的な構成を示す説明図である。
【0050】
重送検知部80は、超音波送信素子81、超音波受信素子82、増幅回路83、コンパレーター84、A/D変換器85、CPU86、およびクロック生成素子87を含む。CPU86は、クロック生成素子87を介して超音波送信素子81から超音波を発生させるための超音波送信素子制御信号を、クロック生成素子87へ送信する。クロック生成素子87は、超音波送信素子制御信号に基づいて、バースト信号を生成し、超音波送信素子81へ出力する。超音波送信素子81は、バースト信号が印加されることで超音波を発生して、用紙Sへ送信する。超音波送信素子81は、例えば、圧電セラミックスを含んで構成される。用紙Sを透過した透過超音波は、超音波受信素子82により受信され、電気信号に変換されて出力される。超音波受信素子82は、例えば、圧電セラミックスを含んで構成される。超音波受信素子82から出力された電気信号は、増幅回路83により所定の増幅率で増幅され、コンパレーターで所定の第1閾値と比較されることで2値化される。用紙Sが重送されているときは、コンパレーター84の出力は最小値(High)となり、用紙Sが重送されていないとき(正常な搬送がされているとき)は、コンパレーター84の出力は最小値(Low)となる。従って、コンパレーター84の出力は重送の有無(重送検知結果)に対応する。第1閾値は、重送検知精度の観点から、実験により適当な値に設定され得る。
【0051】
また、超音波受信素子82から出力され、増幅回路83により増幅された電気信号(アナログ信号)は、重送検知情報に対応し、A/D変換器85でデジタル信号に変換され、CPU86へ送信される。CPU86は、重送検知情報を、特性検知部90へ送信する。
【0052】
特性検知部90は、発光素子91、受光素子92、発光素子93、増幅回路94、A/D変換器95、およびCPU96を含み、メディアセンサーを構成する。発光素子91は所定の電力が印加されることで発光し、光を用紙Sの一方の面へ照射する。発光素子91は、LEDを含んで構成され得る。受光素子92は、用紙Sを介して透過光を受光し、電気信号に変換して出力する。受光素子92は、フォトダイオードを含んで構成され得る。発光素子93は所定の電力が印加されることで発光し、光を用紙Sの他方の面へ照射する。発光素子93は、LEDを含んで構成され得る。受光素子92は、用紙Sに反射された反射光を受光し、電気信号に変換して出力する。透過光および反射光は、それぞれ電気信号に変換され、増幅されることで、特性検知情報に対応する電気信号(アナログ信号)となる。このアナログ信号の特性検知情報は、A/D変換器95でデジタル信号に変換され、CPU96へ送信される。CPU96は、特性検知情報を、重送検知部80へ送信する。
【0053】
重送検知部80から特性検知部90へ送信される重送検知情報は、CPU96による、特性検知情報を検知するための、発光素子91、発光素子93、および増幅回路94の検知制御に利用される。具体的には、CPU96は、重送検知情報に基づいて、発光素子91または発光素子93から用紙Sへ照射させる光の強度を調整する。または、CPU96は、重送検知情報に基づいて、増幅回路94の増幅率を調整する。例えば、重送検知情報である透過超音波の強度が比較的小さいことから、重送検知部80から特性検知部90へ搬送される用紙Sが比較的厚い等と判断された場合は、透過光を検知する際の増幅回路94の増幅率を比較的大きくするか、発光素子91から用紙Sへ照射させる光の強度を比較的大きくする。これにより、透過光のS/N比を向上できる。一方、重送検知情報である透過超音波の強度が比較的大きいことから、重送検知部80から特性検知部90へ搬送される用紙Sが比較的薄い等と判断された場合は、透過光を検知する際の増幅回路94の増幅率を比較的小さくするか、発光素子91から用紙Sへ照射させる光の強度を比較的小さくする。これにより、増幅回路94やA/D変換器95の飽和を防止できる。このように、重送検知情報を特性検知情報の検知制御に利用することで、用紙特性検知結果の信頼性を向上できる。
【0054】
特性検知部90から重送検知部80へ送信される特性検知情報は、CPU86による、重送検知情報を検知するための、超音波発生素子制御信号、および増幅回路83の検知制御に利用される。具体的には、CPU86は、特性検知情報に基づいて超音波発生素子制御信号を調整することで、超音波送信素子81により用紙Sへ送信させる超音波の強度を調整する。または、CPU86は、特性検知情報に基づいて、増幅回路83の増幅率を調整する。また、CPU86は、特性検知情報に基づいて、上述した第1閾値を調整し得る。例えば、特性検知情報である反射光の強度が比較的大きいことから、重送検知部80から特性検知部90へ搬送された用紙Sが、表面がコーティングされた塗工紙である等と判断された場合は、増幅回路83の増幅率を比較的大きくするか、超音波発生素子制御信号の調整(例えば、パルスの周波数の調整)により、超音波送信素子81から用紙Sへ送信させる超音波の強度を比較的大きくする。これは、用紙Sの表面がコーティングされていると、透過超音波の強度が小さくなるからである。このような重送検知情報を検知するための検知制御により、透過超音波のS/N比を向上できる。一方、特性検知情報である反射光の強度が比較的小さいことから、重送検知部80から特性検知部90へ搬送された用紙Sが、表面がコーティングされていない普通紙等であると判断された場合は、増幅回路83の増幅率を比較的小さく(または中程度)にし、かつ超音波送信素子81から用紙Sへ送信させる超音波の強度を比較的小さく(または中程度)にする。これにより、増幅回路83やA/D変換器85の飽和を防止できる。このように、特性検知情報を重送検知情報の検知制御に利用することで、重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0055】
制御部10の作用の詳細について説明する。
【0056】
制御部10は、印刷ジョブに基づいて、給紙搬送部40から給紙された用紙Sに、画像形成部30により画像形成し、画像形成された用紙Sに後処理部60により後処理を行って、印刷製品として排紙トレイ44へ排出する。
【0057】
制御部10は、重送検知部80で検知した重送検知情報を、特性検知部90へ送信することで、重送検知情報を、特性検知部90による特性検知情報の検知制御に利用させる。制御部10は、特性検知部90で検知した特性検知情報を、重送検知部80へ送信することで、特性検知情報を、重送検知部80による重送検知情報の検知制御に利用させる。
【0058】
制御部10は、重送検知情報および特性検知情報を、通信部70を介してサーバー500へ送信することで、シートプロファイルに反映させる。シートプロファイルは、用紙Sごとの特性(属性)や用紙Sに関する設定が登録されたデータであり、複数のユーザーや装置等で共用されることを目的とした情報である。
【0059】
図5は、重送検知部80、特性検知部90、およびサーバー500の相互間で送受信されるデータを説明するための説明図である。
図6は、シートプロファイルの例を示す図である。
【0060】
図5に示すように、重送検知部80から特性検知部90へ重送検知情報が送信され、特性検知部90から重送検知部80へ特性検知情報が送信される。重送検知部80からサーバー500へ重送検知情報が送信される。特性検知部90からサーバー500へ特性検知情報が送信される。これにより、重送検知情報および特性検知情報がシートプロファイルに反映される。
【0061】
図6に示すように、シートプロファイルには、用紙Sごと(商品ごと)の特性として、坪量、用紙種類、および重送発生頻度が登録されている。また、シートプロファイルには、用紙Sに関する設定として、給紙トレイのエアー捌き条件設定、および速度設定(搬送速度設定)が登録されている。サーバー500は、重送検知情報および特性検知情報に基づいて、シートプロファイルに登録される上記項目を算出し、登録する。
【0062】
制御部10は、重送検知部80に、超音波受信素子82により受信されて電気信号に変換されたアナログ信号である重送検知情報と、当該アナログ信号がコンパレーター84により2値化されたデジタル信号である重送検知情報とのいずれかを、切り替えて特性検知部90やサーバー500等へ出力させ得る。
【0063】
制御部10は、シートプロファイルにおいて、重送発生頻度が所定の第2閾値以上である場合、給紙装置103の給紙トレイ45等の給紙制御パラメーターを補正する。給紙制御パラメーターには、給紙トレイのエアー捌き条件設定が含まれる。例えば、制御部10は、重送発生頻度が第2閾値以上の用紙Sを給紙装置103により給紙させる際、エアー捌き条件設定である先端風量設定値およびサイド風量設定値を増大させる補正をし得る。
【0064】
画像形成システム100の動作について説明する。
【0065】
図7Aおよび
図7Bは、用紙特性検知および重送検知を実行する際の画像形成システム100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、重送検知部80のCPU86および特性検知部90のCPU96によりプログラムに従って実行され得る。なお、本フローチャートは、画像形成装置101の制御部12(CPU)により、プログラムに従って実行されてもよい。以下、説明を簡単にするために、
図7Aおよび
図7Bに示すフローチャートの各ステップの実行主体を制御部10として説明する。
【0066】
制御部10は、通信部70により印刷ジョブが受信されたかどうか判断する(S101)。制御部10は、印刷ジョブが受信されていないと判断した場合は(S101:NO)、ステップS101を繰り返し実行する。
【0067】
制御部10は、印刷ジョブが受信されたと判断した場合は(S101:YES)、重送検知部80に、特性検知部90から特性検知情報を受信させる(S102)。なお、特性検知部90は、重送検知部80に対し用紙Sの搬送方向下流側の搬送路42に設けられ、インラインで特性検知情報を出力する。このため、特性検知部90で特性検知情報が検知された用紙Sについては、すでに重送検知部80を通過しているため、印刷ジョブの実行において、最初に特性検知部90で特性検知情報が検知された用紙S(以下、「最初の搬送用紙」と称する)の特性検知情報については重送検知部80の検知制御に利用できない。従って、最初の搬送用紙に関しては、ステップS102~ステップS105を省略して、ステップS106から実行される。以下、用紙Sは、最初の搬送用紙に後続する用紙Sであるものとして説明する。
【0068】
制御部10は、ステップS102において取得された特性検知情報に基づいて、用紙Sが、塗工紙かどうか判断する(S103)。制御部10は、特性検知情報である反射光の強度が所定の閾値以上である場合に、塗工紙であると判断する。所定の閾値は、塗工紙の検知精度の観点から実験により適当な値に設定され得る。
【0069】
制御部10は、用紙Sが塗工紙であると判断した場合は(S103:YES)、重送検知部80の増幅回路83の増幅率を比較的大きい値(例えば、予め、「大」、「小」の2段階の増幅率を切り替え可能にしていた場合は、「大」の増幅率)に設定する(S104)。制御部10は、用紙Sが塗工紙ではないと判断した場合は(S103:NO)、重送検知部80の増幅回路83の増幅率を比較的小さい値(例えば、「小」の増幅率)に設定する(S105)。
【0070】
制御部10は、重送検知部80により、重送検知情報を生成し(S106)、特性検知部90へ送信する(S107)。
【0071】
制御部10は、特性検知部90に、重送検知部80から重送検知情報を受信させる(S108)。
【0072】
制御部10はステップS108において受信された重送検知情報に基づいて、用紙Sが、厚紙かどうか判断する(S109)。制御部10は、重送検知情報である超音波透過光の強度が所定の閾値以下である場合に、厚紙であると判断し得る。所定の閾値は、厚紙の検知精度の観点から実験により適当な値に設定され得る。
【0073】
制御部10は、用紙Sが厚紙であると判断した場合は(S109:YES)、特性検知部90の増幅回路94の増幅率を比較的大きい値(例えば、予め、「大」、「小」の2段階の増幅率を切り替え可能にしていた場合は、「大」の増幅率)に設定する(S110)。制御部10は、用紙Sが厚紙ではないと判断した場合は(S109:NO)、特性検知部90の増幅回路94の増幅率を比較的小さい値(例えば、「小」の増幅率)に設定する(S111)。
【0074】
制御部10は、特性検知部90により、特性検知情報を生成し(S112)、重送検知部80へ送信する(S113)。
【0075】
制御部10は、印刷終了かどうかを判断し(S114)、印刷終了であると判断した場合は(S114:YES)、処理を終了する。制御部10は、印刷終了でないと判断した場合は(S114:NO)、ステップS102に戻り、処理を継続する。
【0076】
図8は、ペーパープロファイルに基づき、給紙装置103の給紙トレイ45の給紙制御パラメーターの補正を実行する際の画像形成システム100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、給紙装置103の制御部14(CPU)によりプログラムに従って実行され得る。なお、本フローチャートは、画像形成装置101の制御部12(CPU)により、プログラムに従って実行されてもよい。以下、説明を簡単にするために、
図8に示すフローチャートの各ステップの実行主体を制御部10として説明する。
【0077】
制御部10は、通信部70により印刷ジョブが受信されたかどうか判断する(S201)。制御部10は、印刷ジョブが受信されていないと判断した場合は(S201:NO)、ステップS201を繰り返し実行する。
【0078】
制御部10は、印刷ジョブが受信されたと判断した場合は(S201:YES)、通信部70により、サーバー500から、ペーパープロファイルに登録(記録)された重送発生頻度を取得する(S202)。
【0079】
制御部10は、重送発生頻度が所定の第2閾値以上かどうか判断する(S203)。制御部10は、重送発生頻度が所定の第2閾値以上ではないと判断した場合は(S203:NO)、ステップS205に移行して処理を継続する。
【0080】
制御部10は、重送発生頻度が所定の第2閾値以上であると判断した場合は(S203:YES)、給紙装置103の給紙トレイ45のエアー捌き条件を補正する。すなわち、制御部10は、給紙装置103の給紙トレイ45の給紙制御パラメーター(例えば、先端風量設定値、サイド風量設定値)を補正する。
【0081】
制御部10は、印刷終了かどうかを判断し(S205)、印刷終了であると判断した場合は(S205:YES)、処理を終了する。制御部10は、印刷終了でないと判断した場合は(S205:NO)、ステップS202に戻り、処理を継続する。
【0082】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態と第1実施形態とで異なる点は次の点である。本実施形態では、特性検知部90以外に、オフラインで用紙Sの特性を検知する、他の特性検知部600を備える。これ以外の点は、本実施形態は第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0083】
図9は、重送検知部80、特性検知部90、および他の特性検知部600の相互間で送受信されるデータを説明するための説明図である。なお、説明の重複を回避するため、
図9においては、
図5に示すサーバー500は図示を省略している。
【0084】
特性検知部600は、特性検知部90と同様の構成であり得る。特性検知部600は、印刷ジョブを実行する前に、印刷ジョブで画像形成される用紙Sについて、予めオフラインで特性検知情報を検知する。
【0085】
特性検知部600は、検知した特性検知情報を重送検知部80へ送信し、特性検知情報を、重送検知部80による重送検知情報の検知制御に利用させる。これにより、最初の搬送用紙についても、特性検知情報が重送検知部80による重送検知情報の検知制御に利用された状態で、重送検知情報が検知され得る。
【0086】
重送検知部80は、特性検知部600から受信した特性検知情報に含まれる紙厚や坪量と、重送検知部80により検知された紙厚や坪量が一致しているかどうか判断することで、特性検知部600で特性を検知した用紙Sと、重送検知部80で重送検知情報が検知された用紙Sが同じかどうか判断する。重送検知部80は、特性検知部600から受信した特性検知情報に含まれる紙厚や坪量と、重送検知部80により検知された紙厚や坪量との差の割合(%)が所定の閾値以上かどうかによって、特性検知部600で特性を検知した用紙Sと、重送検知部80で重送検知情報が検知された用紙Sが同じかどうか判断し得る。重送検知部80は、用紙Sの一致または不一致を特性検知部600へ送信し、特性検知部600の表示部(図示せず)に表示させ得る。なお、用紙Sの不一致が検知された場合、特性検知部90の表示部には、不一致の情報とともに警告が表示(または警告音が発報)され得る。
【0087】
特性検知部600は、検知した特性検知情報を特性検知部90へ送信する。
【0088】
特性検知部90は、特性検知部600から受信した特性検知情報と、印刷ジョブの実行において特性検知部90が検知した特性検知情報とを比較することで、特性検知部600で特性を検知した用紙Sと、特性検知部90で特性検知情報が検知された用紙Sが同じかどうか判断する。特性検知部90は、例えば、特性検知部600から受信した特性検知情報に含まれる紙厚や坪量と、特性検知部90により検知された紙厚や坪量との差の割合(%)が所定の閾値以上かどうかによって、特性検知部600で特性を検知した用紙Sと、特性検知部90で特性検知情報が検知された用紙Sが同じかどうか判断し得る。特性検知部90は、用紙Sの一致または不一致を特性検知部600へ送信し、特性検知部600の表示部に表示(または警告音を発報)させ得る。
【0089】
実施形態は、以下の効果を奏する。
【0090】
用紙の重送を検知する重送検知部、および用紙の特性を検知する特性検知部でそれぞれ出力される検知情報を互いの検知制御に利用する。これにより、用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0091】
さらに、重送検知情報および特性検知情報を、記録媒体ごとにシートプロファイルに反映する制御部をさらに備える。これにより、複数の装置において用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0092】
さらに、重送検知情報に、紙厚、坪量、および重送回数を含める。これにより、効果的に用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0093】
さらに、特性検知情報の検知制御に、透過光および反射光の少なくともいずれかの信号を電気信号に変換して増幅する際の増幅率の制御を含め、特性検知部は、増幅率で増幅された電気信号に基づいて、特性検知情報を検知する。これにより、簡単かつ効果的に用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0094】
さらに、シートプロファイルに、重送検知情報として重送発生頻度を含める。これにより、複数の装置において用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を効果的に向上できる。
【0095】
さらに、重送検知部は、記録媒体を介して受信した超音波を電気信号に変換したアナログ信号と、アナログ信号を所定の第1閾値と比較することで2値化したデジタル信号とのいずれかを重送検知情報として切り替えて出力する。これにより、より必要な装置構成および信頼性、ならびにコストに応じて、より柔軟に用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0096】
さらに、重送検知部を、搬送部による記録媒体の搬送経路における記録媒体の搬送方向に対し、特性検知部の上流に配置する。これにより、最初に画像形成する用紙から信頼性の高い用紙特性検知結果を取得できるとともに、後続する用紙についての用紙特性検知結果および重送検知結果の信頼性を向上できる。
【0097】
さらに、シートプロファイルにおいて、重送発生頻度が所定の第2閾値以上である場合、給紙部の給紙制御パラメーターを補正する。これにより、重送の発生頻度を効果的に抑制できる。
【0098】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
【0099】
例えば、実施形態においては、記憶媒体として用紙を例に説明したが、記録媒体は用紙に限定されず、樹脂フィルム等であってもよい。
【0100】
また、重送検知部は、特性検知部とともに画像形成装置に設置されてもよい。
【0101】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行され得る。
【符号の説明】
【0102】
100 画像形成装置、
10 制御部、
20 記憶部、
30 画像形成部、
40 給紙搬送部、
45 給紙トレイ、
50 操作表示部、
60 後処理部、
70 通信部、
80 重送検知部、
81 超音波送信素子、
82 超音波受信素子、
83 増幅回路、
84 コンパレーター、
85 A/D変換器、
86 CPU、
90 特性検知部、
91 発光素子、
92 受光素子、
93 発光素子、
94 増幅回路、
95 A/D変換器、
96 CPU、
100 画像形成システム、
101 画像形成装置、
102 後処理装置、
103 給紙装置、
500 サーバー、
600 特性検知部。