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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240116BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/16 180
G03G21/16 195
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020045767
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148839
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】奥山 真司
(72)【発明者】
【氏名】柿島 彩
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-271804(JP,A)
【文献】特開昭63-180648(JP,A)
【文献】特開2011-033856(JP,A)
【文献】特開2000-169009(JP,A)
【文献】特開2016-156860(JP,A)
【文献】特開平03-134690(JP,A)
【文献】特開平02-157872(JP,A)
【文献】米国特許第06089158(US,A)
【文献】米国特許第09446612(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/16
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整用画像を含む色材画像を保持する像保持手段と、
記録媒体を保持した保持部が外周面に設けられた凹部を通過するよう回転し、前記像保持手段から前記色材画像を前記記録媒体に転写する転写領域を有する転写手段と、
前記記録媒体を前記保持部により保持したまま前記転写手段の転写領域を通過させる搬送手段と、
前記転写手段の凹部を覆うことで前記色材画像を構成する色材が前記凹部に侵入するのを抑制する遮蔽手段と、
前記転写手段の凹部に対応した前記像保持手段に前記調整用画像を形成する画像形成手段を備え、
前記遮蔽手段は、前記調整用画像に対応した位置が前記転写手段の外周面より内側に位置する画像形成装置。
【請求項2】
前記遮蔽手段は、把持部と異なる開閉可能なカバー部材からなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記遮蔽手段は、1つ又は2つ以上のヒンジ部を介して前記転写手段に開閉可能に取り付けられる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記遮蔽手段は、前記転写手段の凹部を開放する位置において、前記転写手段の回転方向に沿った下流側に移動することで前記凹部を露出させ、露出した凹部に前記把持部が配置される請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遮蔽手段は、前記転写手段の外周面に沿って移動することで前記凹部を露出させ、露出した凹部に前記把持部が配置される請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮蔽手段は、前記把持部が前記転写手段の凹部に入るときと前記転写手段の凹部から出るときに開閉する請求項2乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写手段の凹部には、前記記録媒体の端部を把持する把持手段が配置され、
前記遮蔽手段は、前記把持手段から構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記把持手段は、前記記録媒体の先端部を把持する爪部材と、前記爪部材を開閉する開閉部材とを備え、
前記遮蔽手段は、前記把持手段の少なくとも前記爪部材から構成される請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記遮蔽手段の前記転写手段の外周面より内側に位置する領域は、前記転写手段の軸方向に沿って連続して形成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記遮蔽手段の前記転写手段の外周面より内側に位置する領域は、前記転写手段に転写用電圧を印加した際に前記調整用画像が静電的に転写されない深さを有する請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に関する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、シートを保持するシート保持手段が設けられ当該シート保持手段により保持されたシートを搬送する搬送胴と、前記搬送胴に対接し、フィルムを前記搬送胴により搬送されるシートに押付ける押圧周面部と胴軸方向に延びた切欠部とが設けられた押圧胴と、を備えたフィルム取扱い装置において、前記押圧胴の前記切欠部に、前記押圧周面部とほぼ同じ曲率を有する案内用周面部を有したカバーを備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-224015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、転写手段の凹部が色材画像を保持する像保持手段に対して開放されている場合に比べて、転写手段の凹部に色材が侵入するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、調整用画像を含む色材画像を保持する像保持手段と、
記録媒体を保持した保持部が外周面に設けられた凹部を通過するよう回転し、前記像保持手段から前記色材画像を前記記録媒体に転写する転写領域を有する転写手段と、
前記記録媒体を前記保持部により保持したまま前記転写手段の転写領域を通過させる搬送手段と、
前記転写手段の凹部を覆うことで前記色材画像を構成する色材が前記凹部に侵入するのを抑制する遮蔽手段と、
前記転写手段の凹部に対応した前記像保持手段に前記調整用画像を形成する画像形成手段を備え、
前記遮蔽手段は、前記調整用画像に対応した位置が前記転写手段の外周面より内側に位置する画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記遮蔽手段は、把持部と異なる開閉可能なカバー部材からなる請求項1に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記遮蔽手段は、1つ又は2つ以上のヒンジ部を介して前記転写手段に開閉可能に取り付けられる請求項2に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記遮蔽手段は、前記転写手段の凹部を開放する位置において、前記転写手段の回転方向に沿った下流側に移動することで前記凹部を露出させ、露出した凹部に前記把持部が配置される請求項2又は3に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記遮蔽手段は、前記転写手段の外周面に沿って移動することで前記凹部を露出させ、露出した凹部に前記把持部が配置される請求項2又は3に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記遮蔽手段は、前記把持部が前記転写手段の凹部に入るときと前記転写手段の凹部から出るときに開閉する請求項2乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【0012】
請求項7に記載された発明は、前記転写手段の凹部には、前記記録媒体の端部を把持する把持手段が配置され、
前記遮蔽手段は、前記把持手段から構成されている請求項1に記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項8に記載された発明は、前記把持手段は、前記記録媒体の先端部を把持する爪部材と、前記爪部材を開閉する開閉部材とを備え、
前記遮蔽手段は、前記把持手段の少なくとも前記爪部材から構成される請求項7に記載の画像形成装置である。
【0015】
請求項9に記載された発明は、前記遮蔽手段の前記転写手段の外周面より内側に位置する領域は、前記転写手段の軸方向に沿って連続して形成されている請求項1に記載の画像形成装置である。
【0016】
請求項10に記載された発明は、前記遮蔽手段の前記転写手段の外周面より内側に位置する領域は、前記転写手段に転写用電圧を印加した際に前記調整用画像が静電的に転写されない深さを有する請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、転写手段の凹部が色材画像を保持する像保持手段に対して開放されている場合に比べて、転写手段の凹部に色材が侵入するのを抑制することができる。
また、請求項1に記載された発明によれば、遮蔽手段は、調整用画像に対応した位置が転写手段の外周面と同一面を形成する場合に比べて、転写手段の凹部に調整用画像を形成する色材が侵入するのを抑制することができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、遮蔽手段は、把持手段と異なる開閉可能なカバー部材から構成しない場合に比べて、転写手段の凹部を確実に遮蔽することができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、遮蔽手段は、1つ又は2つ以上のヒンジ部を介して転写手段に開閉可能に取り付けられない場合に比べて、簡単な構成で開閉させることができる。
【0020】
請求項4に記載された発明によれば、遮蔽手段は、転写手段の回転方向に沿った上流側に移動することで凹部を露出させる場合に比べて、把持部と干渉するのを容易に回避することができる。
【0021】
請求項5に記載された発明によれば、遮蔽手段は、転写手段の外周面に沿って移動させない場合に比べて、遮蔽手段が転写手段の外周から突出するのを抑制できる。
【0022】
請求項6に記載された発明によれば、遮蔽手段は、把持部が前記転写手段の凹部に入るときと転写手段の凹部から出るとき以外に開閉する場合に比べて、転写手段の凹部が色材が侵入するのを抑制できる。
【0023】
請求項7に記載された発明によれば、遮蔽手段を、把持手段以外から構成した場合に比べて、構成を簡略化することができる。
【0024】
請求項8に記載された発明によれば、遮蔽手段を、把持手段の爪部材以外から構成した場合に比べて、構成を簡略化することができる。
【0026】
請求項9に記載された発明によれば、遮蔽手段の転写手段の外周面より内側に位置する領域は、転写手段の軸方向に沿って連続していない場合に比べて、調整用画像を転写手段の軸方向に沿って連続して形成することができる。
【0027】
請求項10に記載された発明によれば、遮蔽手段の転写手段の外周面より内側に位置する領域は、転写手段に転写用電圧を印加した際に調整用画像が静電的に転写されない深さより浅い場合に比べて、転写手段に転写用電圧を印加したままの状態で、転写手段の凹部に調整用画像を形成する色材が侵入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の作像装置を示す構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の作像装置を示す構成図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の用紙搬送装置を示す構成図である。
図5】冷却装置を示す構成図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の用紙搬送装置を示す斜視構成図である。
図7】二次転写ロールを示す斜視構成図である。
図8】チェーングリッパーのグリップ部を示す断面構成図である。
図9】二次転写ロールを示す斜視構成図である。
図10】二次転写ロールを示す断面構成図である。
図11】二次転写ロールを示す斜視構成図である。
図12】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す断面構成図である。
図13】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す断面構成図である。
図14】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示す断面構成図である。
図15】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示す斜視構成図である。
図16】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の動作を示す断面構成図である。
図17】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の動作を示す断面構成図である。
図18】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置の要部を示す斜視構成図である。
図19】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置の要部を示す断面構成図である。
図20】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置の動作を示す断面構成図である。
図21】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置の動作を示す断面構成図である。
図22】この発明の実施の形態4に係る画像形成装置の要部を示す斜視構成図である。
図23】従来の調整用画像を示す構成図である。
図24】この発明の実施の形態4に係る画像形成装置の調整用画像を示す構成図である。
図25】二次転写ロールのカバー部材の凹部を示す模式図である。
図26】二次転写ロールのカバー部材の凹部の深さと二次転写電圧との関係を示すグラフである。
図27】この発明の実施の形態5に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
【0031】
<画像形成装置の全体の構成>
この実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば電子写真方式を採用したカラープリンタとして構成されたものである。図中符号1aは、画像形成装置1の装置本体を示すものであり、装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
【0032】
画像形成装置1は、画像形成部2を備えている。画像形成部2は、大別して、現像剤を構成する色材の一例としてのトナーで現像されるトナー像(色材画像)を形成する画像形成手段の一例としての複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録用紙5に二次転写する二次転写位置T2まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置T2に搬送すべき所要の記録用紙5を収容して供給する給紙装置50と、記録用紙5を保持部により保持したまま中間転写装置20の二次転写位置T2を通過させるよう搬送する搬送手段の一例としての用紙搬送装置80と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。
【0033】
作像装置10は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において中間転写ベルト21の周囲に沿って所要の間隔を隔てて配置されている。
【0034】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図2及び図3に示されるように、回転する像保持手段の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー画像形成手段が主に配置されている。トナー画像形成手段とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラムクリーニング装置16等である。
【0035】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から駆動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0036】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール121で構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。帯電ロール121の背面側には、帯電ロール121の表面を清掃するクリーニングロール122が接触した状態で配置されている。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いても勿論良い。
【0037】
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLEDにより感光体ドラム11に光を照射して画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる。露光装置13には、潜像形成時になると、画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。なお、露光装置13としては、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成されるレーザ光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものを用いても良い。
【0038】
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を撹拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤4の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や撹拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置からの駆動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0039】
一次転写装置15は、一次転写位置T1において感光体ドラム11の周面に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0040】
ドラムクリーニング装置16は、容器状の本体160の内部に配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃するクリーニングブレード161と、クリーニングブレード161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162などで構成されている。
【0041】
中間転写装置20は、図1に示されるように、作像装置10(Y,M)の下方及び作像装置10(C,K)の斜め上方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置T1を通過しながら矢印Bで示す方向に循環移動する像保持手段(中間転写体)の一例としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内周から所望の状態に保持して循環移動可能に支持する複数のベルト支持ロール22~26と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルトクリーニング装置27とで主に構成されている。
【0042】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の走行位置を保持する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21を保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール26は中間転写ベルト21の走行位置を保持する面出しロール及びベルトクリーニング装置27の支持ロールとして構成されている。
【0043】
二次転写装置30は、図4に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置T2において回転する転写胴として機能する二次転写ロール31を備えている。二次転写ロール31又は中間転写装置20のベルト支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。この実施の形態では、例えば、ベルト支持ロール25にトナーの帯電極性と同極性を示す直流の電圧が電圧印加ロール28を介して図示しない高圧電圧により二次転写用電圧として供給している。なお、二次転写ロール31は接地されている。
【0044】
定着装置40の定着部42は、加熱用回転体421,422と加圧用回転体423とを備える。加熱用回転体421と加圧用回転体423の接触部は、記録用紙5上にトナー像を定着する定着ニップ部を構成している。加熱用回転体422は、加熱用回転体421の外周面に接触して当該加熱用回転体421の表面を外部から加熱する。なお、定着装置40と画像形成部2の中間転写装置20との間には、定着装置40の熱が中間転写装置20等へ及ぶのを遮る遮熱板43が配置されている。
【0045】
給紙装置50は、図1に示されるように、中間転写装置20の斜め下方の位置に存在するよう配置される。給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるよう取り付けられている。
【0046】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいは合成樹脂(PETなど)製の透明なフィルム状の媒体からなるOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0047】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を転写領域の一例としての二次転写位置T2まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対53~54や図示しない搬送ガイド材で構成される給紙搬送路55が設けられている。給紙搬送路55において二次転写位置T2の上流側に配置される用紙搬送ロール対54は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。なお、この実施の形態1では、後述するように、用紙搬送装置80がチェーングリッパー81を備えており、記録用紙5の搬送時期及び搬送姿勢を当該チェーングリッパー81によって精度良く調整することが可能となっている。そのため、二次転写位置T2の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対54は、チェーングリッパー81の保持位置90に記録用紙5を単に搬送するものであっても良い。
【0048】
二次転写装置30と定着装置40との間には、給紙装置50から給紙される記録用紙5を保持部により保持したまま二次転写装置30の二次転写位置T2を通過させるよう搬送する搬送手段の一例としての用紙搬送装置80が設けられている。なお、用紙搬送装置80については、後に詳述する。
【0049】
定着装置40の下流側には、定着装置40によりトナー像が定着された記録用紙5を冷却する冷却装置60と、定着装置40によりトナー像が定着された記録用紙5を、装置本体1aの側面(左側面)に配置された用紙排出部58に排出するための用紙排出ロール59aを備えた排出搬送路59が設けられている。冷却装置60は、図5に示されるように、駆動ロール61と従動ロール62との間に掛け渡されて記録用紙5を搬送する通気性を有する搬送ベルト63と、搬送ベルト63とともに記録用紙5を搬送する搬送ロール64,65と、搬送ベルト63によって搬送される記録用紙5を背面側から搬送ベルト63を介して送風することで冷却する冷却ファン66とを備えている。
【0050】
さらに、画像形成装置1は、図1に示されるように、記録用紙5の両面に画像を形成するための両面用搬送部70を備えている。両面用搬送部70は、片面に画像が形成された記録用紙5を第1の切替ゲート71によって搬送方向を斜め下方の反転ロール対72を備えた用紙反転搬送路73へと切り替える。用紙反転搬送路73へ搬送された記録用紙5は、反転ロール対72の回転方向を反転させるとともに、第2の切替ゲート74によって搬送方向が両面搬送ロール対75を備えた両面用搬送路76へと切り替えられる。こうすることにより、両面用搬送部70は、片面に画像が形成された記録用紙5をその表裏を反転させた状態で複数の両面搬送ロール対75を備えた両面用搬送路76を介して給紙搬送路55へと再度搬送するよう構成されている。
【0051】
図1中、符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御手段の一例としての制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0052】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0053】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。なお、4つの作像装置10(Y,M,C,K)のうち、いずれか1つ以上の作像装置10を使用して単色又は複数色のトナー像を組み合わせた画像を形成するときの画像形成動作も基本的には同様である。
【0054】
画像形成装置1は、図1に示されるように、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御装置100の制御によって、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0055】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印A(図2図3参照)で示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0056】
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0057】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置T1まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0058】
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K)では、ドラムクリーニング装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0059】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置T2まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路55に送り出す。給紙搬送路55では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置T2へ向けて供給し、用紙搬送装置80によって二次転写位置T2まで搬送される。
【0060】
二次転写位置T2においては、転写胴としての機能する二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置20では、ベルトクリーニング装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0061】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に用紙搬送装置80によって定着装置40まで搬送される。定着装置40では、定着部42の回転する加熱用回転体421と加圧用回転体423との間の定着ニップ部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、冷却装置60によって冷却された後、用紙排出ロール59aにより排出搬送路59を介して画像形成装置1の装置本体1aの左側面に設けられた用紙排出部58に排出される。
【0062】
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を用紙排出ロール59aにより用紙排出部58へ搬送する前に、冷却装置60を通過した記録用紙5の搬送経路を第1の切替ゲート71により用紙反転搬送路73へと切り替える。そして、用紙反転搬送路73へ導入された記録用紙5は、反転ロール対72の回転方向を逆方向に切り替えることにより第2の切替ゲート74によって両面用搬送部70へと搬送される。その後、記録用紙5は、両面搬送ロール対75を備えた両面用搬送路76を介して表裏が反転された状態で給紙搬送路55へと再度搬送される。給紙搬送路55の用紙搬送ロール対54は、記録用紙5を転写時期に合わせて用紙搬送装置80により二次転写位置T2に送り出して供給する。記録用紙5は、その裏面(第2面)に中間転写ベルト21からトナー像が二次転写され、定着装置40による定着処理が施されて、冷却装置60により冷却された後に用紙排出ロール59aにより装置本体1aの側部に設置された用紙排出部58に第1面を下にして排出される。
【0063】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が排出される。
【0064】
<用紙搬送装置の構成>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、上述したように、記録用紙5が給紙装置50から用紙搬送ロール対54を介して供給され用紙搬送装置80により中間転写装置20の二次転写位置T2へと搬送される。
【0065】
このとき、記録用紙5は、レジストロールとして機能する回転が停止した用紙搬送ロール対54のニップ部に先端を突き当てることにより搬送方向と交差する方向に沿った先端が用紙搬送ロール対54の軸方向と一致するよう整合される。
【0066】
この実施の形態1に係る画像形成装置1は、記録用紙5の先端を保持部により保持したまま二次転写装置30の二次転写位置T2を通過させて二次転写装置30から定着装置40までにわたり搬送するチェーングリッパー81を有する搬送手段の一例としての用紙搬送装置80を備えている。
【0067】
チェーングリッパー81は、図4図6及び図7に示されるように、記録用紙5の搬送経路に沿った前面側と背面側にそれぞれ配置される一対のチェーン82,83と、一対のチェーン82,83の間に当該チェーン82,83の移動方向Cと交差する方向に沿って掛け渡されて記録用紙5の先端を保持する保持部の一例としてのグリップ部84と、一対のチェーン82,83を所要の移動経路に沿って循環移動させるスプロケット85~87とを備えている。グリップ部84は、チェーン82,83の移動方向Cに沿って所要の間隔を隔てて複数(例えば、2乃至3個)設けられている。
【0068】
一対のチェーン82,83は、図4及び図6に示されるように、その移動方向Cと交差する方向である前後方向Yに沿った記録用紙5の両外側にそれぞれ配置される。一対のチェーン82,83は、記録用紙5の先端部5aを保持する保持位置90の前後方向Yにそれぞれ配置されるスプロケット85と、二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置されるスプロケット86と、定着装置40の手前に配置された解放位置97の前後方向Yにそれぞれ配置されるスプロケット87とによって所要の移動速度で循環移動するよう支持されている。複数のスプロケット85~87のうち、例えば、二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置されたスプロケット86は、図示しない駆動装置によって予め定められた速度で回転駆動される。なお、解放位置97を離れた記録用紙5は、裏面が支持された状態で二次転写ロール31の搬送力によって定着装置40へと搬送される。
【0069】
グリップ部84は、図7及び図8に示されるように、その長手方向に沿った両端部が取付部材91,92を介して一対のチェーン82,83にそれぞれ取り付けられ、一対のチェーン82,83とともに所要の姿勢を維持しつつ移動方向Cに沿って移動する。グリップ部84は、取付部材91,92に回転可能に支持された駆動軸93の軸方向に沿って所要の間隔で固定した状態で取り付けられた複数(図示例では、12個)の爪部材94と、爪部材94の先端に設けられた爪部95が当接することにより記録用紙5の先端部5aを保持(把持)する爪支持部材96とを備えている。グリップ部84の爪部材94は、記録用紙5の保持位置90及び定着装置40に突入する前の位置である解放位置97において、駆動軸93が開閉部材の一例としての図示しないカム部材によって回転駆動されることにより開閉し、記録用紙5の先端部5aの保持及び解放を行う。
【0070】
グリップ部84の複数の爪部材94は、図9に示されるように、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿って直線状に配置されている。しかも、グリップ部84は、一対のチェーン82,83によって移動方向Cに沿って所要の姿勢を維持しつつ循環移動する。そのため、チェーングリッパー81は、記録用紙5の先端部5aをその搬送方向と交差する方向に沿ってグリップ部84の爪部材94により保持して姿勢を高精度に維持した状態で記録用紙5をその搬送方向に沿って搬送することが可能となっている。
【0071】
チェーングリッパー81は、図4に示されるように、記録用紙5の先端部5aをグリップ部84によって保持しスプロケット85~87によるチェーン82,83の循環移動に伴って当該記録用紙5を保持位置90から解放位置97までにわたり所要の搬送経路に沿って搬送する。
【0072】
ところで、チェーングリッパー81によって先端部5aが保持された記録用紙5は、図6に示されるように、二次転写装置30の二次転写位置T2において二次転写ロール31とベルト支持ロール25によって挟持された状態で搬送される。そのため、二次転写ロール31及び加圧用回転体423には、記録用紙5を保持したチェーングリッパー81のグリップ部84を通過させるために収容する凹部311が設けられている。
【0073】
二次転写ロール31は、図9及び図10に示されるように、ステンレスやアルミニウム等の金属や導電性を有する合成樹脂等から円柱形状又は円筒形状に形成される二次転写ロール本体312と、二次転写ロール本体312の表面に被覆されたシリコーンゴムやフッ素ゴム等からなる弾性体層313と、弾性体層313の表面に薄く積層されたPFAやPTFE等からなる離型層314とを備えている。二次転写ロール本体312には、強度を維持しつつ軽量化を図るため、直径が異なる複数の断面円形状の中空部312aが設けられている。複数の中空部312aは、二次転写ロール31の回転モーメントが略均一となるよう略軸対称な位置にそれぞれ配置されている。なお、離型層314としては、弾性体層313の表面に薄く積層する以外に、フィルム状に形成したものを弾性体層313の表面に被覆することで設けても良い。
【0074】
二次転写ロール31は、図9及び図11に示されるように、二次転写ロール本体312の軸方向に沿った両端部にそれぞれ設けられた回転軸315を介して軸受部材316により回転可能に支持されている。二次転写ロール31は、図6に示されるように、当該二次転写ロール31の表面を清掃するクリーニングブレードやクリーニングブラシ等からなるロールクリーニング装置CLを備えている。
【0075】
二次転写ロール31の凹部311は、図10に示されるように、当該二次転写ロール31表面の周方向に沿って所要の周長を有し、かつ略半径方向の内側へ向けて所要の深さだけ窪ませた断面略矩形状の溝部から構成されている。二次転写ロール31の凹部311は、両端部が開口するよう軸方向に沿った全長にわたり設けられている。
【0076】
二次転写ロール31の凹部311は、チェーングリッパー81のグリップ部84が接触することなく且つ外周面から突出することなく収容可能なように、当該グリップ部84の周方向に沿った長さよりも長く、当該グリップ部84の高さよりも深い断面略矩形状に形成されている。
【0077】
チェーングリッパー81のグリップ部84は、一対のチェーン82,83とともに所要の搬送経路に沿って移動する。一対のチェーン82,83は、二次転写ロール31を通過する際にチェーングリッパー81のグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311の位置と合致するよう当該グリップ部84の取付位置等が設定されている。
【0078】
ところで、上記の如く構成される画像形成装置1では、図6に示されるように、二次転写ロール31の外周面に凹部311が設けられている。そのため、二次転写ロール31は、中間転写ベルト21と対向する二次転写位置T2を通過する際に、中間転写ベルト21上に転写されたトナー像を形成するトナーが凹部311の内部に落下乃至付着して堆積し、記録用紙5や画像形成装置1の装置本体1aの内部を汚損する虞れを有している。
【0079】
そこで、この実施の形態に係る画像形成装置1では、二次転写ロール31の凹部311を覆うことでトナー画像を構成する色材が凹部311に侵入するのを抑制する遮蔽手段の一例としてのカバー部材32を備えている。
【0080】
二次転写ロール31の凹部311には、図10に示されるように、その周方向に沿った一端部である当該二次転写ロール31の回転方向に沿った下流側の端部に設けられたヒンジ部33を支点として開閉可能に取り付けられたカバー部材32が設けられている。カバー部材32は、二次転写ロール31の二次転写ロール本体312の曲率半径と等しい曲率半径を有する円弧状に形成された金属製の基板321と、基板321の外周面に被覆されたシリコーンゴムやフッ素ゴム等からなる弾性体層322と、弾性体層322の表面に薄く積層されたPFAやPTFE等からなる離型層323とを備えている。
【0081】
カバー部材32は、図10及び図11に示されるように、基板321の端部に固定した状態で設けられた回転軸331を介して二次転写ロール本体312に開閉可能に取り付けられている。カバー部材32は、回転軸331の軸方向に沿った一端部又は両端部に設けられた図示しないカム部材を介して保持位置90で所要の角度だけ開閉するよう構成されている。カバー部材32には、グリップ部84の爪部材94との干渉を回避するための切欠部324が爪部材94と対応した位置にそれぞれ設けられている。
【0082】
更に説明すると、カバー部材32は、図12に示されるように、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が当該チェーン82,83の移動に伴ってスプロケット85から二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部に設けられたスプロケット86へと移動する間に予め定められたタイミングで開閉し、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311に収容される。このとき、カバー部材32は、グリップ部84と干渉しないように開閉駆動される。
【0083】
また、カバー部材32は、図13に示されるように、グリップ部84が二次転写位置T2を通過した後に予め定められたタイミングで開閉し、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311から離脱される。このときも、カバー部材32は、グリップ部84と干渉しないように開閉駆動される。グリップ部84は、図4に示されるように、一対のチェーン82,83によって定着装置40へと記録用紙5を搬送する。
【0084】
<用紙搬送装置の動作>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、次のようにして、転写手段の凹部が色材画像を保持する像保持手段に対して開放されている場合に比べて、転写手段の凹部に色材が侵入するのを抑制するようになっている。
【0085】
すなわち、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、図10に示されるように、二次転写ロール31の凹部311に、当該二次転写ロール31の凹部311を覆うことでトナー画像を構成するトナーが凹部311に侵入するのを抑制するカバー部材32が設けられている。
【0086】
カバー部材32は、図12に示されるように、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84がスプロケット85から二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部に設けられたスプロケット86へと移動する間に、予め定められたタイミングで開閉駆動される。
【0087】
このとき、カバー部材32は、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が予め定められた位置に到達する前に開放位置へと回転し、チェーン82,83の移動に伴ってグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311に収容されるとともに、当該二次転写ロール31の凹部311を閉塞するように回転する。
【0088】
そのため、二次転写ロール31の凹部311は、図10に示されるように、二次転写位置T2に到達する以前にカバー部材32によって覆われた状態となる。したがって、二次転写ロール31の凹部311が二次転写位置T2を通過する際に、中間転写ベルト21上に転写されたトナー像を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311内に落下又は付着することが防止乃至抑制される。
【0089】
また、カバー部材32は、図13に示されるように、グリップ部84が二次転写位置T2を通過した後に予め定められたタイミングで開閉し、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311から離脱される。このときも、カバー部材32は、グリップ部84と干渉しないように開閉駆動される。グリップ部84は、図4に示されるように、一対のチェーン82,83によって定着装置40へと記録用紙5を搬送する。
【0090】
このように、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、二次転写ロール31の凹部311にトナー像を構成するトナーが堆積して二次転写ロール31の転写領域に保持される記録用紙5の裏面等に付着したり、装置本体1aの内部を汚損することが防止乃至抑制される。
【0091】
〔実施の形態2〕
図14乃至図17はこの発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。この実施の形態2に係る画像形成装置1では、前記実施の形態1と異なり、遮蔽手段が2つ以上の複数のヒンジ部を介して転写手段に開閉可能に取り付けられている。
【0092】
すなわち、この実施の形態2に係る画像形成装置1では、図14及び図15に示されるように、二次転写ロール31の凹部311を覆うカバー部材32が、当該カバー部材32を回転可能に支持する第1のヒンジ部34と、第1のヒンジ部34に一端部が回転可能に取り付けられたリンク部材35を二次転写ロール31の凹部311に回転可能に取り付ける第2のヒンジ部36を備えるように構成されている。なお、図14及び図15では、グリップ部84の図示が省略されている。
【0093】
カバー部材32は、図14に示されるように、基板321の裏面において二次転写ロール31の回転方向に沿った中央より下流側の位置に軸支部324を備えている。カバー部材32の軸支部324には、当該軸支部324とともに第1のヒンジ部34を構成する回転軸341が回転可能に支持されている。回転軸341には、リンク部材35の一端部が回転可能に取り付けられている。
【0094】
また、リンク部材35の他端部は、二次転写ロール31の凹部311において当該二次転写ロール31の回転方向に沿った下流側の側壁311aの下部に第2のヒンジ部36を構成する回転軸361により回転可能に取り付けられている。
【0095】
リンク部材35は、図15に示されるように、二次転写ロール本体312の軸方向に沿った両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0096】
カバー部材32は、回転軸341,361の軸方向に沿った一端部又は両端部に設けられた図示しないカム部材を介して保持位置90で所要の角度だけ開閉するよう構成されている。
【0097】
更に説明すると、カバー部材32は、図16に示されるように、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が当該チェーン82,83の移動に伴ってスプロケット85から二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部に設けられたスプロケット86へと移動する間に予め定められたタイミングで開閉し、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311に収容される。
【0098】
このとき、カバー部材32は、二次転写ロール31の回転方向に沿った下流側の端部32aが二次転写ロール31の凹部311から半径方向外側へ向けて傾斜した後、当該カバー部材32の全体がリンク部材35の回転に伴って二次転写ロール31の回転方向に沿った下流側へ移動し、二次転写ロール31の凹部311を解放する。
【0099】
そして、カバー部材32は、グリップ部84が二次転写ロール31の凹部311に収容された後に、上述した動作と逆に移動して二次転写ロール31の凹部311を閉塞する。
【0100】
また、カバー部材32は、図17に示されるように、グリップ部84が二次転写位置T2を通過した後に予め定められたタイミングで開閉し、一対のチェーン82,83に取り付けられたグリップ部84が二次転写ロール31の凹部311から離脱される。このときも、カバー部材32は、グリップ部84と干渉しないように開閉駆動される。
【0101】
このように、上記実施の形態2に係る画像形成装置1では、図14及び図15に示されるように、カバー部材32が第1及び第2のヒンジ部34,36によって開閉可能に支持されているため、カバー部材32を単一のヒンジ部によって開閉可能に支持する場合に比べて、カバー部材32が二次転写ロール31の凹部311の外周に突出する突出量を小さく抑えることができ、カバー部材32が他の部材と干渉するのを抑制することができる。
【0102】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0103】
〔実施の形態3〕
図18はこの発明の実施の形態3に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。この実施の形態3では、転写手段の凹部に、記録媒体の端部を把持する把持手段が配置され、遮蔽手段は、把持手段から構成されている。
【0104】
すなわち、この実施の形態3に係る画像形成装置1では、図18及び図19に示されるように、カバー部材37を二次転写ロール31に設けるのではなくグリップ部84と一体的に設けるよう構成されている。
【0105】
グリップ部84は、爪部材94を回転させる駆動軸93を備えている。グリップ部84の駆動軸93には、爪部材94の間に位置するようにカバー部材37が固定した状態で取り付けられている。
【0106】
カバー部材37は、図19に示されるように、回転軸に固定される固定部371と、固定部371に二次転写ロール31の外周面と略等しい曲率半径を有する曲面形状に形成された遮蔽部372とを備えている。カバー部材37の遮蔽部372は、二次転写ロール31の凹部311において、爪部材94の間に位置する空間を閉塞することによりトナー像を形成するトナーが凹部311に落下したり付着するのを防止乃至抑制するよう構成されている。
【0107】
また、この実施の形態3では、二次転写ロール31の凹部311において、当該二次転写ロール31の周方向に沿って爪部材94が占める領域が、凹部311の周方向に沿った長さより短い。
【0108】
そのため、この実施の形態3では、二次転写ロール31の凹部311において、グリップ部84の二次転写ロール31の周方向に沿った下流側の領域を閉塞する補助カバー部材38が設けられている。補助カバー部材38は、カバー部材32と同様に構成されている。但し、補助カバー部材38は、開閉する必要がないため、二次転写ロール本体312に固定した状態で設けられている。
【0109】
この実施の形態3に係る画像形成装置1では、図20及び図21に示されるように、二次転写ロール31の凹部311にグリップ部84と共にカバー部材37が収容又は離脱される。
【0110】
このように、上記実施の形態3に係る画像形成装置1では、グリップ部84にカバー部材37を設けたので、二次転写ロール31の凹部311にトナー像を形成するトナーが落下したり付着するのを防止乃至抑制することができるのは勿論のこと、カバー部材37を開閉する方向に移動させる必要がなく、構成が簡略化することができる。
【0111】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
〔実施の形態4〕
図22はこの発明の実施の形態4に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。この実施の形態4では、転写手段の凹部に対応した像保持手段の位置に調整用画像を形成するとともに、遮蔽手段の調整用画像に対応した位置に凹部を設けるように構成されている。
【0113】
上記の如く構成される画像形成装置1では、図1に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において形成される各色のトナー像を中間転写ベルト21上に互いに重ね合わせた状態で一次転写し、中間転写ベルト21上に一次転写された各色のトナー像を二次転写位置T2において記録用紙5上に一括して二次転写することによって記録用紙5にフルカラー等の画像を形成するよう構成されている。
【0114】
そのため、画像形成装置1では、記録用紙5に形成されるフルカラー画像等の画質を維持するため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において各色のトナー画像を所要の画像形成位置(レジストレーション)に所要の画像濃度で精度良く形成する必要がある。
【0115】
そこで、画像形成装置1では、図23に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において、画像形成位置を制御するためのシェブロンパターンと呼ばれる山型のレジストパターン210や、画像濃度を調整するための濃度調整用パッチ220、あるいは特定の作像装置10(Y,M,C,K)において所要の濃度以上の画像が継続して形成されないことに伴う現像装置14の現像剤の劣化に起因したカブリや濃度低下等の画質低下を抑制するためトナーバンド230からなる調整用画像200を形成するよう構成されている。
【0116】
ここで、調整用画像とは、ユーザーの画像形成要求に基づいて形成される画像以外の画像をいう。レジストパターン210、濃度調整用パッチ220、トナーバンド230等からなる調整用画像200を形成するタイミングは、予め定められた調整用画像形成時期に設定される。調整用画像形成時期としては、画像形成装置1の装置本体1a内の温度や湿度等の環境条件が予め定められた範囲以上に変化したなどの環境要因に基づく第1の形成時期と、作像装置10(Y,M,C,K)によって作成された画像数などの作像装置10に起因した作像装置要因に基づく第2の形成時期とが挙げられる。第1の形成時期は、例えば、画像形成装置1の装置本体1a内の温度や湿度等の環境条件が予め定められた範囲以上に変化した毎などである。また、第2の形成時期は、各作像装置(Y,M,C,K)の感光体ドラム11の回転数が予め定められた値に達する毎、各作像装置(Y,M,C,K)において予め定められた濃度以下の画像が所要数だけ連続したときなどである。また、各作像装置10(Y,M,C,K)において形成されるトナーバンド230の画像濃度は、例えば、感光体ドラム11表面へのトナーの供給性を考慮して中間濃度(濃度50%程度)に設定されるが、これより高い濃度あるいは低い濃度であっても勿論良い。
【0117】
各作像装置10(Y,M,C,K)において形成された調整用画像200は、中間転写ベルト21上に一次転写され、図1に示されるように、中間転写ベルト21がベルト支持ロール23によって支持された検知位置に配置された検知手段の一例としてのライン型のイメージセンサなどの画像センサSによって検知される。その後、中間転写ベルト21上に転写された調整用画像200は、記録用紙5に転写されることなく、ベルトクリーニング装置27によって清掃され除去される。なお、検知手段としては、ライン型のイメージセンサなどの画像センサSに限らず、調整用画像200の位置にのみ配置されたセンサを用いても勿論良い。
【0118】
中間転写ベルト21上に形成された調整用画像200は、二次転写ロール31の二次転写位置T2を通過するため、二次転写ロール31の表面に転写されて当該二次転写ロール31の表面を汚損する虞れを有している。二次転写ロール31は、ロールクリーニング装置CLを備えているが、調整用画像200を構成するトナーを完全に除去することは困難である。二次転写ロール31の表面に調整用画像200を構成するトナーが付着すると、当該二次転写ロール31の表面に保持される記録用紙5の裏面に転移して裏面汚れの原因となる。
【0119】
そこで、この実施の形態4に係る画像形成装置1は、図24に示されるように、画像形成手段の一例としての各作像装置10(Y,M,C,K)が、二次転写ロール31の凹部311に対応した中間転写ベルト21の位置に調整用画像200を形成するよう構成されている。
【0120】
すなわち、この実施の形態4に係る画像形成装置1は、図24に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において対応する色の調整用画像200を形成する。各作像装置10(Y,M,C,K)において形成された調整用画像200は、一次転写位置T1において中間転写ベルト21上に一次転写された後、中間転写ベルト21の移動に伴って二次転写ロール31と対向する二次転写位置T2へと移動する。
【0121】
このとき、中間転写ベルト21上に転写された調整用画像200は、制御装置100によって二次転写ロール31の凹部311に対応した位置に形成されるよう設定されている。
【0122】
しかも、中間転写ベルト21上に転写された調整用画像200は、二次転写ロール31の凹部311に対応した位置であって、カバー部材32の爪部材94の間に位置する凹部に対応した位置に形成するよう構成されている。
【0123】
二次転写ロール31のカバー部材32には、爪部材94の間に対応した位置に凹部311dが設けられている。中間転写ベルト21上に転写された調整用画像200は、カバー部材32の爪部材94の間に位置する凹部311dに対応した位置に形成される。
【0124】
そのため、この実施の形態4に係る画像形成装置1では、中間転写ベルト21上に形成された調整用画像200が二次転写位置T2を通過する際に、調整用画像200がカバー部材32の凹部311dを通過するため、調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31のカバー部材32に付着するのを防止乃至抑制することが可能となっている。
【0125】
図25は二次転写ロール31の凹部311dを模式的に示した概略図である。
【0126】
二次転写ロール31には、上述したように、二次転写電圧が図示しない高圧電源によって印加される。この実施の形態では、中間転写ベルト21上に転写された調整用画像200が二次転写ロール31の凹部311dを通過するタイミングにおいても当該二次転写ロール31に二次転写電圧が印加されたままの状態とされる。
【0127】
中間転写ベルト21上に転写された調整用画像200が二次転写ロール31の凹部311dを通過する際に、調整用画像200を形成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移するか否かは、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーにどの程度に転写電界が作用するかによって異なる。
【0128】
図26は二次転写ロール31に印加される二次転写電圧と二次転写ロール31の凹部311dの深さとの関係において、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移する場合を×印で、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移しない場合を〇印でそれぞれ示したグラフである。
【0129】
図26から明らかなように、二次転写ロール31に印加される二次転写電圧が高くなるに伴って、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移しない場合の〇印の領域は、二次転写ロール31の凹部311dの深さが深くなる方向に移行する。
【0130】
図26において、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移する×印の領域と、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移しない〇印の領域の境界を示す直線Mより上の領域が、中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移しない領域となる。
【0131】
したがって、この中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移しない領域は、二次転写ロール31に印加される二次転写電圧によって変化する。二次転写ロール31に印加する二次転写電圧が相対的に高い場合には、凹部311dの深さが浅いと中間転写ベルト21上の調整用画像200を構成するトナーが二次転写ロール31の凹部311dに転移する×印の領域となる。
【0132】
この実施の形態では、図25に示されるように、二次転写ロール31に印加する二次転写電圧によって決定される凹部311dの深さが〇印の領域となる直線Mより下方に位置する凹部311dの深さD0より深い領域に調整用画像200を配置するよう設定されている。
【0133】
このように、上記実施の形態4では、中間転写ベルト21上に形成された調整用画像200が二次転写ロール31に付着するのを防止乃至抑制することが可能である。
【0134】
〔実施の形態5〕
図27はこの発明の実施の形態5に係る画像形成装置を示す構成図である。この実施の形態5に係る画像形成装置1は、例えば所謂インクジェット方式によりカラー画像を形成するカラープリンタとして構成されたものである。
【0135】
画像形成装置1の画像形成部2は、記録媒体にインクを吐出して画像を形成する複数のインクジェットヘッド300を備えている。インクジェットヘッド300は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色に対応した色材の一例としてのインクにそれぞれ対応したインクジェットヘッド300Y,300M,300C,300Kから構成されている。各色のインクジェットヘッド300Y,300M,300C,300Kは、中間転写ベルト21の移動方向に沿って順に配列されている。各インクジェットヘッド300は、制御装置100による制御に基づきインクの液滴を吐出することで、中間転写ベルト21上に画像を形成する。
【0136】
各インクジェットヘッド300Y,300M,300C,300Kには、インクカートリッジ310から対応する色のインクがそれぞれ供給される。インクカートリッジ310は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクにそれぞれ対応したインクカートリッジ310Y、310M、310C、310Kにより構成される。各インクカートリッジ310Y、310M、310C、310Kには、各色のインクがそれぞれ収容される。
【0137】
この実施の形態5では、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクとして磁性体を含有し、紫外線等の光線を照射することにより硬化するものが用いられる。中間転写ベルト21上に形成された各色のインク像は、二次転写位置T2において二次転写ロール31に沿って移動する記録用紙5に磁力により一括して転写される。
【0138】
記録用紙5に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインク像は、例えば、紫外線等の光線によって硬化される。したがって、定着装置40は、便宜上、ロール形態のものを図示しているが、紫外線等の光線を照射するものが用いられる。
【0139】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0140】
1…画像形成装置
1a…装置本体
2…画像形成部
10…作像装置
20…中間転写装置
21…中間転写ベルト
30…二次転写装置
31…二次転写ロール
311…凹部
32…カバー部材
200…調整用画像
80…用紙搬送装置
81…チェーングリッパー
84…グリップ部
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