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特許7419903パラメータ制御装置、パラメータ制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】パラメータ制御装置、パラメータ制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/34 20060101AFI20240116BHJP
   G10H 1/053 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G10H1/34
G10H1/053 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020048247
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021148930
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直哉
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 雅彦
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/34
G10H 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1操作子の指示値を取得する指示値取得部と、
複数の座標軸によって規定される領域における座標と複数のパラメータ値との関係が設定された設定情報、および前記指示値と前記座標との対応関係に基づいて、前記取得された指示値に対応する複数のパラメータ値を出力するパラメータ出力部と、
を備えるパラメータ制御装置。
【請求項2】
前記領域は、2つの座標軸によって規定され、
前記複数のパラメータ値は、3種類以上のパラメータ値を含む、請求項1に記載のパラメータ制御装置。
【請求項3】
前記設定情報は、前記領域における複数の座標のそれぞれに対応して複数の値を設定し、
前記パラメータ出力部は、前記指示値に対応する座標に設定された複数の値を前記複数のパラメータ値として出力する、請求項1または請求項2に記載のパラメータ制御装置。
【請求項4】
前記設定情報は、前記領域における複数の基準座標のそれぞれに対応して複数の基準値が規定され、
前記パラメータ出力部は、前記指示値に対応する座標と前記複数の基準座標との関係に基づいて、前記複数の基準値から演算した結果を前記複数のパラメータ値として出力することを含む、請求項1または請求項2に記載のパラメータ制御装置。
【請求項5】
前記複数のパラメータ値のうち少なくとも2つのパラメータ値は、その組み合わせによって1種類のパラメータの値を規定する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のパラメータ制御装置。
【請求項6】
前記領域を表示するための表示部と、
前記表示部に表示された前記領域上で軌跡を指定するためのインターフェースを提供し、当該軌跡に基づいて前記指示値と前記座標との対応関係を設定する軌跡設定部と、
をさらに含む、請求項1から請求項5のいずれかに記載のパラメータ制御装置。
【請求項7】
前記パラメータ出力部は、第2操作子からの操作信号に応じて、前記指示値に対応する座標に設定された前記複数のパラメータ値の少なくとも1つを変更して出力する、請求項1から請求項6のいずれかに記載のパラメータ制御装置。
【請求項8】
第1操作子の指示値を取得し、
所定の座標軸によって規定される領域における座標と複数のパラメータ値との関係が設定された設定情報、および前記指示値と前記座標との対応関係に基づいて、前記取得された指示値に対応する複数のパラメータ値を出力する、
パラメータ制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1操作子の指示値を取得し、
所定の座標軸によって規定される領域における座標と複数のパラメータ値との関係が設定された設定情報、および前記指示値と前記座標との対応関係に基づいて、前記取得された指示値に対応する複数のパラメータ値を出力すること、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメータを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子楽器は、様々なパラメータに基づいて音を出力する。これらのパラメータには、電子楽器に設けられたコントローラによってリアルタイムに変更可能なものが含まれる。リアルタイムにパラメータを変更することによって、多様な演奏表現が可能になる。一般的には、1つのコントローラに対して1つのパラメータが割り当てられている。したがって、複数のパラメータを同時に変更しようとすると、複数のコントローラを操作する必要が生じる。そこで、1つのコントローラへの操作で複数のコントローラを同時に操作する技術が開発されている(例えば、特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-129604号公報
【文献】特開2016-81043号公報
【文献】特開2016-81044号公報
【文献】特開2016-81045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの特許文献によれば、1つのコントローラへの操作であっても多様な演奏表現が可能である。一方、このような演奏表現を実現するためには、複数のパラメータの制御形態を予め設定する必要がある。パラメータの種類が増えると、このような設定を行うためには非常に多くの時間を要する。
【0005】
本発明の目的の一つは、1つのコントローラへの操作によって複数のパラメータを制御するための設定を容易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、第1操作子の指示値を取得する指示値取得部と、複数の座標軸によって規定される領域における座標と複数のパラメータ値との関係が設定された設定情報、および前記指示値と前記座標との対応関係に基づいて、前記取得された指示値に対応する複数のパラメータ値を出力するパラメータ出力部と、を備えるパラメータ制御装置が提供される。
【0007】
前記領域は、2つの座標軸によって規定されてもよい。前記複数のパラメータ値は、3種類以上のパラメータ値を含んでもよい。
【0008】
前記設定情報は、前記領域における複数の座標のそれぞれに対応して複数の値を設定してもよい。前記パラメータ出力部は、前記指示値に対応する座標に設定された複数の値を前記複数のパラメータ値として出力してもよい。
【0009】
前記設定情報は、前記領域における複数の基準座標のそれぞれに対応して複数の基準値が規定されてもよい。前記パラメータ出力部は、前記指示値に対応する座標と前記複数の基準座標との関係に基づいて、前記複数の基準値から演算した結果を前記複数のパラメータ値として出力することを含んでもよい。
【0010】
前記複数のパラメータ値のうち少なくとも2つのパラメータ値は、その組み合わせによって1種類のパラメータの値を規定してもよい。
【0011】
前記領域を表示するための表示部と、前記表示部に表示された前記領域上で軌跡を指定するためのインターフェースを提供し、当該軌跡に基づいて前記指示値と前記座標との対応関係を設定する軌跡設定部と、をさらに含んでもよい。
【0012】
前記パラメータ出力部は、第2操作子からの操作信号に応じて、前記指示値に対応する座標に設定された前記複数のパラメータ値の少なくとも1つを変更して出力してもよい。
【0013】
また、本発明の一実施形態によれば、第1操作子の指示値を取得し、所定の座標軸によって規定される領域における座標と複数のパラメータ値との関係が設定された設定情報、および前記指示値と前記座標との対応関係に基づいて、前記取得された指示値に対応する複数のパラメータ値を出力する、パラメータ制御方法が提供される。
【0014】
また、本発明の一実施形態によれば、コンピュータに、第1操作子の指示値を取得し、所定の座標軸によって規定される領域における座標と複数のパラメータ値との関係が設定された設定情報、および前記指示値と前記座標との対応関係に基づいて、前記取得された指示値に対応する複数のパラメータ値を出力すること、を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つのコントローラへの操作によって複数のパラメータを制御するための設定を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における電子鍵盤装置の外観を説明する図である。
図2】本発明の第1実施形態における電子鍵盤装置の構成を説明する図である。
図3】本発明の第1実施形態における設定テーブルを説明する図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるマッピング領域を説明する図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるパラメータ変換テーブルを説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態における指示値変換テーブルを説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態におけるパラメータ制御機能を説明する図である。
図8】本発明の第1実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。
図9】本発明の第1実施形態におけるパラメータ制御方法を説明するフローチャートである。
図10】本発明の第2実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。
図11】本発明の第3実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。
図12】本発明の第4実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。
図13】本発明の第5実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態における電子鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなど付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0018】
<第1実施形態>
[1.電子鍵盤装置の構成]
図1は、本発明の第1実施形態における電子鍵盤装置の外観を説明する図である。電子鍵盤装置1は、例えば複数の鍵を含む鍵盤部80を備えるシンセサイザである。電子鍵盤装置1は、ユーザによって鍵が操作されたり、シーケンサによる曲データの再生が指示されたりすると、音信号を生成する。
【0019】
音信号は、信号出力部65から出力される。音信号は、設定に応じてスピーカ60から出力されてもよい。この例では、電子鍵盤装置1は、ノブ21、スライダ23、タッチセンサ25およびボタン27等の操作子によって、音信号を生成する際に用いられる複数のパラメータ値を変更して音を変化させることができる。なお、ノブ21、スライダ23、タッチセンサ25およびボタン27のそれぞれを区別して説明する必要が無い場合には、操作部20と記載する場合がある。
【0020】
さらに、電子鍵盤装置1は、マスターノブ30が操作されると、各種テーブルに基づいて、複数のパラメータ値をまとめて制御する。以下、このような制御を実現するための構成について詳述する。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態における電子鍵盤装置の構成を説明する図である。電子鍵盤装置1は、制御部10、記憶部18、操作部20、マスターノブ30、音源部40、表示部50、スピーカ60、信号出力部65、鍵盤部80、およびインターフェース90を備える。また、電子鍵盤装置1は、複数のセンサを備える。この例では、複数のセンサは、指示位置検出部38および押鍵検出部88を含む。
【0022】
制御部10は、CPUなどの演算処理回路、およびRAM、ROMなどの記憶装置を含むコンピュータの一例である。制御部10は、記憶部18に記憶された制御プログラムをCPUにより実行して、プログラムに記述された命令によって様々な機能を電子鍵盤装置1において実現させる。様々な機能は、後述するパラメータ制御機能100(図7参照)を含む。このプログラムは、外部装置から提供されて、記憶部18にインストールされてもよい。
【0023】
鍵盤部80は、筐体95に回転可能に支持された複数の鍵を含む。押鍵検出部88は、押下された鍵、およびその鍵の押下量に応じた検出信号KVを制御部10に出力する。操作部20は、上述したように、ノブ21、スライダ23、タッチセンサ25およびボタン27(図1参照)を含み、ユーザによって電子鍵盤装置1へ入力される指示を受け付ける。操作部20は、入力されたユーザ指示に応じた操作信号CSを制御部10に出力する。
【0024】
表示部50は、液晶ディスプレイなどの表示装置であり、制御部10による制御によって様々な画面を表示する。表示部50は、上述したタッチセンサ25とともにタッチパネルとして機能する。インターフェース90は、この例では、コントローラなどの外部装置を電子鍵盤装置1に接続するための端子を含む。インターフェース90には、MIDIデータの送受信をするための端子などが含まれていてもよい。
【0025】
音源部40は、制御部10からの音源制御信号Ctに基づいて音信号を生成する。生成した音信号は、信号出力部65に供給され、さらにスピーカ60に供給されてもよい。スピーカ60に音信号が出力されるか否かは設定に応じて決められていてもよい。音源制御信号Ctは、ノートナンバ、ノートオン、ノートオフなど各音の発生を制御するための情報、リバーブ、コーラス、フェイザ、ワウなどエフェクトを制御するための情報、音色の設定をするための情報など、音信号を生成するために必要な情報を含む。
【0026】
この例では、音色の設定に用いるパラメータは、FM(Frequency Modulation)音源において用いられる複数のパラメータを含む。FM音源のパラメータは、複数のオペレータ(キャリア、モジュレータ)の接続関係を規定するアルゴリズム、および各オペレータの波形を制御するためのパラメータ(出力レベル、周波数等)を含む。
【0027】
なお、音源部40は、DSPなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。後者である場合、音源部40の機能は、メモリなどに記憶されたプログラムをCPUにより実行することによって実現されてもよい。また、音源部40の機能の一部がソフトウェアによって実現され、残りの部分がハードウェアによって実現されてもよい。
【0028】
信号出力部65は、音源部40から供給される音信号を、外部装置へ出力するための端子である。スピーカ60は、制御部10または音源部40から供給される音信号を増幅して出力することによって、音信号に応じた音を発生する。
【0029】
マスターノブ30(第1操作子)は、この例ではロータリーエンコーダである。ノブ21とマスターノブ30とは、いずれもロータリーエンコーダであるが、この例ではマスターノブ30の径および高さが、ノブ21の径および高さより大きい。
【0030】
指示位置検出部38は、マスターノブ30の指示位置を検出して、指示位置に応じた指示値MV(第1指示値)を制御部10に出力する。指示値MVは、マスターノブ30の指示位置そのものを示す情報(この例では、「0」~「127」までの整数)を含んでいてもよいし、マスターノブ30への操作量(指示位置の変化量)を示す情報、すなわち指示位置を相対的に示す情報を含んでいてもよい。この例では、指示値MVは、指示位置を示す情報として説明する。
【0031】
記憶部18は、不揮発性メモリなどの記憶装置であって、制御部10によって実行される制御プログラムを記憶する領域、曲データを記憶する領域、および音源部40の制御に用いるための複数のテーブルをそれぞれ記憶する領域を含む。この複数のテーブルは、設定テーブル、パラメータ変換テーブルおよび指示値変換テーブルを含む。曲データは、MIDI形式などの所定の形式で記述されたデータであって、音源部40における発音タイミングなどを制御するデータである。
【0032】
図3は、本発明の第1実施形態における設定テーブルを説明する図である。設定テーブルは、この例では、発生させる音色を設定するための情報であって、複数種類のパラメータPM_1、PM_2、・・・PM_nに対応する値を規定する情報である。図3における設定テーブルは、設定A~設定Dまでの4つの音色設定を含んでいる例を示している。なお、設定テーブルは、音源部40における発音に関する設定であれば、音色設定以外の設定が含まれていてもよい。
【0033】
PM_1に対応するパラメータ値は、4次元のOne-Hotベクトルで表される情報である。すなわち、PM_1は、4次元のうちいずれかの成分のみが「1」であり、それ以外は「0」で表される複数のパラメータ値を組み合わせることによって、4つの情報のいずれかを示している。PM_2に対応するパラメータ値は、所定範囲の数字のいずれかを示す情報であって、この例では、8ビットで表される範囲の数字、すなわち「0」~「127」のいずれかを示す情報である。複数種類のパラメータPM_1、PM_2、・・・PM_nのそれぞれは、One-Hotベクトルで表される情報、または、所定範囲の数字のいずれかを示す情報によって示される。One-Hotベクトルで表される情報は、特徴量がカテゴリカル変数となる情報、例えば、FM音源におけるアルゴリズムの種類を示す情報に用いられる。所定範囲の数字のいずれかを示す情報は、特徴量の変化に対して線形な関係を有する情報、例えば、オペレータの出力レベルに用いられる。周波数などをパラメータとして用いる場合には、対数に変換してパラメータ値として用いてもよい。なお、複数種類のパラメータPM_1、PM_2、・・・PM_nのいずれにおいてもOne-Hotベクトルで表される情報が含まれなくてもよい。
【0034】
後述する座標設定部210(図7参照)は、複数の音色設定(この例では、設定A~設定D)のパラメータセットを2次元平面、すなわち2つの座標軸によって規定される領域(以下、マッピング領域という)にマッピングする機能を有する。パラメータセットは、例えば、設定Aであれば、(0,1,0,0,83,55,・・・,25)のように各パラメータ値をベクトル化した情報である。マッピング領域の各座標のうち、設定テーブルに規定された音色設定が割り当てられた座標以外に対しても、自己組織化写像によってパラメータセットが割り当てられる。パラメータセットのベクトルの各値は、正規化されることで0から1の範囲の値に変換されてもよく、自己組織化写像による処理のときにこの変換が行われるようにしてもよい。このように自己組織化写像によって各座標にパラメータセットを割り当てる方法は公知の方法を用いればよいが、例えば特開2011-197429号公報に例示されている方法を用いてもよい。このマッピング領域について図4を用いて説明する。
【0035】
図4は、本発明の第1実施形態におけるマッピング領域を説明する図である。マッピング領域MPAは、この例では、横軸に「0」~「22」、縦軸に「0」~「20」の座標が割り当てられている。なお、縦軸および横軸の座標数は、ユーザが設定できるようにしてもよい。
【0036】
マッピング領域MPAの四隅の座標は、図4に示すようにMa(0,0)、Mb(0,20)、Mc(22,0)、Md(22,20)として定義される。図4に示す例では、座標SC_A、SC_B、SC_C、SC_Dには、設定A、設定B、設定C、設定Dのパラメータセットがそれぞれ割り当てられている。各座標の色は、割り当てられたパラメータセットに応じて決められている。2つの座標の色が類似しているほど、パラメータセット間の距離が近い(類似している)ことを示している。この距離は、パラメータセットの一部のパラメータのみを用いて算出されてもよい。図4においては、便宜上各座標の色はグレースケールで表現されているが、実際の画面表示としてはカラーで表現されている。したがって、図4では座標SC_A、SC_B、SC_Cの近傍は互いに類似した色を有するように見えるが、実際にはそれぞれ例えば赤、青、緑であり互いに異なる色を有している。なお、色の違いは、色相、彩度および明度の少なくとも1つの情報が異なるようにして表現されればよい。すなわち、実際の画面表示においても図4に示すようにグレースケールで表現されてもよい。また、パラメータセットと色との関係は、ユーザによる指示等で規定、変更することができる。
【0037】
図5は、本発明の第1実施形態におけるパラメータ変換テーブルを説明する図である。パラメータ変換テーブルは、マッピング領域MPAの座標に割り当てられたパラメータセットを規定する情報(設定情報)である。座標(0,9)は、図4に示す座標SC_Aに対応する。したがって、座標(0,9)には、設定Aに対応するパラメータセット(0,1,0,0,83,55,・・・,25)が割り当てられている。このパラメータ変換テーブルは、座標設定部210によってマッピング領域MPAにパラメータセットを割り当てる処理が実行されると、その割り当てた結果として生成される。
【0038】
図6は、本発明の第1実施形態における指示値変換テーブルを説明する図である。指示値変換テーブルは、指示値MVの取り得る範囲(「0」~「127」)の各値とマッピング領域MPAにおける座標との対応関係を規定する情報である。以下、指示値MVに対応する座標を指示座標という。指示値MVの最小値から最大値までの指示座標をマッピング領域MPAに描画すると、指示値MV「0」に対応する指示座標SPと指示値MV「127」に対応する指示座標EPとをつなぐ所定の軌跡(この例では直線)となる(図8参照)。指示値変換テーブルは、後述する経路設定部230(図7参照)によって生成される。
【0039】
[2.パラメータ制御機能の構成]
続いて、制御部10において実現されるパラメータ制御機能100について図7を用いて説明する。
【0040】
図7は、本発明の第1実施形態におけるパラメータ制御機能を説明する図である。制御部10は、制御プログラムを実行すると、電子鍵盤装置1においてパラメータ制御機能100を実現する。パラメータ制御機能100は、指示値取得部110、座標変換部130、パラメータ出力部140、再生制御部150、座標設定部210、および経路設定部230を含む。なお、これらの構成は、全てソフトウェアによって実現されてもよいし、少なくとも一部がハードウェアによって実現されてもよい。
【0041】
座標設定部210は、操作信号CSが示すユーザの指示に基づいて、設定テーブル185に規定された音色設定を読み出し、音色設定に対応するパラメータセットをマッピング領域MPAにマッピングする。座標設定部210は、操作部20および表示部50を用いて、このマッピングに必要な情報をユーザに入力させるためのインターフェースを提供する。ユーザによって入力される情報は、例えば、設定テーブル185に規定された複数の音色設定のうち、マッピング領域MPAにマッピングする音色設定、および自己組織化写像の再実行指示などを含む。座標設定部210は、自己組織化写像の処理によってパラメータセットをマッピング領域MPAにマッピングすると、マッピング結果に対応したパラメータ変換テーブル181を生成する。
【0042】
経路設定部230は、操作信号CSが示すユーザの指示に基づいて、マッピング領域MPAにおいて指示値MVに対応する指示座標を設定する。経路設定部230は、操作部20および表示部50を用いて、この設定に必要な情報をユーザに入力させるためのインターフェースを提供する。このインターフェースにおいて用いられる経路設定画面を、図8を用いて説明する。
【0043】
図8は、本発明の第1実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。図8に示すマッピング領域MPAは、図4に示したものと同じである。図8に示すように、ユーザは、マッピング領域MPAにおいて始点座標SPと終点座標EPとを指定することで、始点座標SPと終点座標EPとを結ぶ経路PLを指定する。このとき、経路設定部230は、始点座標SPを指示値MV「0」に対応させ、終点座標EPを指示値MV「127」に対応させ、経路PLを指示値MVの取り得る分割数(127)で均等に分割したときの各座標を、それぞれに対応する指示値MVと対応させる。
【0044】
このようにして、経路設定部230は、ユーザに指定された情報に基づいて、マッピング領域MPAに経路PLを設定し、指示値MVの「0」~「127」のそれぞれに、経路PL上の各座標を指示座標として対応付けて、指示値MVと指示座標との対応関係を規定する指示値変換テーブル183を生成する。図8に示す例の設定によって生成された指示値変換テーブル183が、図6に示す指示値変換テーブルの例に対応する。
【0045】
指示値取得部110(指示値取得部)は、指示値MVを取得し、座標変換部130に供給する。座標変換部130は、指示値変換テーブル183を参照し、指示値MVに対応する指示座標をパラメータ出力部140に供給する。このようにして、座標変換部130は、指示値MVを指示座標に変換する。制御部10は、経路設定部230が提供するインターフェースとは別に、図8に相当する画面を表示部50に表示させ、座標変換部130によって得られた指示座標を示す指示マーカMKをマッピング領域MPAにおいて明示するようにしてもよい。このようにすると、マスターノブ30の操作に応じて指示マーカMKが経路PL上で移動するため、ユーザは、指示値MVに対応する経路PL上の位置を表示部50により確認することもできる。
【0046】
パラメータ出力部140は、パラメータ変換テーブル181を参照し、指示座標に対応するパラメータセットを複数のパラメータ値PVとして再生制御部150に出力する。パラメータ出力部140は、操作部20(第2操作子)からの操作信号CSに基づいて、最後に出力した複数のパラメータ値PVを基点として、少なくとも1つのパラメータ値を変更して出力してもよい。
【0047】
再生制御部150は、入力される情報に基づいて、音源制御信号Ctを生成して音源部40に供給する。再生制御部150は、押鍵検出部88から検出信号KVを取得すると、検出信号KVに基づいて発生すべき音信号を音源部40において生成させるように音源制御信号Ctを生成する。なお、再生制御部150は、記憶部18から曲データを読み出して、曲データに基づいて発生すべき音信号を音源部40において生成させるように音源制御信号Ctを生成してもよい。
【0048】
再生制御部150は、パラメータ出力部140からパラメータ値PVを取得すると、パラメータ値PVに基づく音色を音源部40に設定するように、音源制御信号Ctを生成する。このような音源制御信号Ctによって、音源部40は、パラメータ値PVに基づく音色の波形を用いて、検出信号KVに応じて生成する音信号を生成する。以上が、パラメータ制御機能100についての説明である。
【0049】
[3.パラメータ制御方法の処理]
続いて、パラメータ制御機能100における処理の流れ(パラメータ制御方法)について、図9を用いて説明する。
【0050】
図9は、本発明の第1実施形態におけるパラメータ制御方法を説明するフローチャートである。パラメータ制御機能100を開始するための制御モードに切り替えられると、このフローが開始される。なお、この制御モードへの切り替えは、例えば、操作部20から制御部10が所定の操作信号CSを取得すると実行される。
【0051】
まず、制御部10は、初期設定を行う(ステップS100)。初期設定は、指示値MVを初期値(例えば「0」)に設定する処理を含む。なお、ここで説明するパラメータ制御方法は、特にパラメータ値PVの出力による方法を示したものであり、上述した再生制御部150による音源制御信号Ctの出力は、パラメータ制御方法の処理と並行して実行される。
【0052】
制御部10は、指示値MVの変更の有無についての判定(ステップS210)を行う。制御部10は、指示値MVの変更が発生するまで待機する(ステップS210;No)。この状態を待機状態という。指示値MVが変化すると、制御部10(座標変換部130)は、変更された指示値MVを指示座標に変換する(ステップS230)。続いて制御部10(パラメータ出力部140)は、指示座標に対応する複数のパラメータ値PVを出力する(ステップS250)。制御部10は、この制御モードを終了する指示がない場合(ステップ300;No)には、上述の待機状態に戻る。一方、制御モードを終了する指示があった場合(ステップS300;Yes)には、パラメータ制御機能100における処理を終了する。以上が、パラメータ制御方法についての説明である。
【0053】
このようにして生成された音源制御信号Ctが音源部40に供給されることによって、音源部40において生成される音信号を、リアルタイムに変更することができる。このとき、複数のパラメータを含むパラメータセットが各座標に割り当てられたマッピング領域MPAを用い、座標を指定してパラメータ出力部140から出力されるパラメータを制御する。したがって、多くのパラメータの種類(座標軸の数以上のパラメータの種類)であっても容易に音源部40に設定することができる。
【0054】
また、指示値MVに対応した指示座標が設定されているため、マスターノブ30のような操作子を操作するだけでもマッピング領域MPA上の座標を容易に指定することができる。図8に示すような経路PLによって指示座標が指定される場合には、マスターノブ30を操作して2点間の設定を徐々に変化させるように指示座標を変更することもできる。
【0055】
さらには、パラメータ変換テーブル181または指示値変換テーブル183のいずれかを変更するだけでも、マスターノブ30の操作に対応して変更されるパラメータ値を異ならせることができる。したがって、マスターノブ30の操作といった単純な操作であっても、様々な音の変化を容易に実現することができる。
【0056】
<第2実施形態>
第1実施形態では、経路設定部230において設定される経路PLは、始点座標SPと終点座標EPとを結ぶ直線であったが、複数の直線を組み合わせた経路であったり、曲線を含む経路であったりしてもよい。第2実施形態では、始点座標SPと終点座標EPとが曲線で結ばれる例について説明する。
【0057】
図10は、本発明の第2実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。図10に示すマッピング領域MPAによれば経路PLaは、始点座標SPと終点座標EPとの間が曲線によって結ばれている。経路設定部230(軌跡設定部)は、例えば、タッチセンサ25において指をタッチしたまま移動させることによってマッピング領域MPA上に描画した軌跡を経路PLaとして設定できるように、インターフェースをユーザに提供すればよい。マッピング領域MPAにおける軌跡によって経路を設定する場合であっても、曲線に限らず直線に限定されるように制御されてもよい。このような経路であっても、第1実施形態と同じように指示値変換テーブルによって規定することができる。
【0058】
<第3実施形態>
第1実施形態では、経路設定部230は、始点座標SPと終点座標EPとの間の経路PLを指示値MVの取り得る分割数(127)で均等に分割することによって、各座標を指示値MVと対応させている。すなわち、マスターノブ30の操作による指示値MVの変化量と、指示マーカMKの移動量とが比例関係にある。第3実施形態では、指示値MVの変化量と指示マーカMKの移動量との関係が、指示値MVの取り得る範囲の一部とその他の範囲とで異なる例について説明する。
【0059】
図11は、本発明の第3実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。図11に示すマッピング領域MPAに表示される経路は、経路PLnおよび経路PLnよりも太く表示される経路PLwを含む。この例では、指示値MVが変化した場合に、経路PLnよりも経路PLwの方が、指示値MVの変化量に対して指示マーカMKの移動量が大きくなる(指示座標の変化量が大きくなる)ように、指示値変換テーブルが規定されている。このようにすると、始点座標SPと終点座標EPとの近傍など、指示マーカMKがゆっくり動く部分において、細かい精度で指示座標を変更することできる。指示値MVの変化に対する指示座標の変化量は、2段階に限られず、より多くの段階で変化するようにしてもよい。
【0060】
経路設定部230は、例えば、始点座標SPと終点座標EPとの間の経路上の範囲を指定して、指示値MVの変化量に対する指示座標の変化量を第1実施形態のように設定された状態から異ならせるように設定するためのインターフェースをユーザに提供すればよい。例えば、図11の例では、座標PW1と座標PW2とを指定することで、座標PW1と座標PW2との間の範囲を経路PLwとして設定する。このように経路上の一部分において指示値MVの変化量に対する指示座標の変化量を他の部分における変化量と異ならせる経路であっても、第1実施形態と同じように指示値変換テーブルによって規定することができる。
【0061】
なお、指示値MVの変化に対する指示座標の変化量は、各座標に割り当てられたパラメータセットの変化量(互いの距離)に応じて決められてもよい。例えば、指示値MVの変化量に対して、パラメータセットの距離の変化量が同じになるように、指示座標の変化量が決められてもよい。
【0062】
<第4実施形態>
第1実施形態では、経路設定部230において設定される経路PLは、始点座標SPと終点座標EPとを結ぶ直線であったが、途中で分断された経路であってもよい。第4実施形態では、始点座標SPから終点座標EPまでの経路において、1つの分断位置を有する例について説明する。
【0063】
図12は、本発明の第4実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。図12に示すマッピング領域MPAによれば、始点座標SPと終点座標EPとの間の経路は、第1経路PL1と第2経路PL2とに分かれ、第1経路PL1の分断位置BL1と第2経路PL2の分断位置BL2とを仮想接続経路PPによってつないでいる。仮想接続経路PPでつながれた双方の分断位置BL1、BL2は、指示値MVに対して相互に隣接する値として設定される。すなわち、指示値MVの変化によって指示マーカMKが始点座標SPから第1経路PL1の分断位置BL1まで到達した後に指示値MVが次の値に移ると、仮想接続経路PPでつながれた位置、すなわち第2経路PL2の分断位置BL2まで、指示マーカMKが移る。
【0064】
経路設定部230は、例えば、第1実施形態のように設定された経路PL(仮想的に二点鎖線で図示した)上において位置BPを指定することによって始点座標SP側の経路PL1と終点座標EP側の経路PL2とに分断して、さらに2つの経路PL1、PL2の分断位置BL1、BL2の座標を指定するためのインターフェースをタッチセンサ25などによってユーザに提供すればよい。このように途中で分断する経路であっても、第1実施形態と同じように指示値変換テーブルによって規定することができる。
【0065】
<第5実施形態>
第1実施形態では、パラメータセットは、マッピング領域MPAの各座標に対して割り当てられていたが、一部の座標に対して割り当てられていなくてもよい。パラメータセットが割り当てられていない座標については、一部の座標に割り当てられているパラメータセットに基づいて演算されることによって得られてもよい。第5実施形態では、マッピング領域MPAの四隅の座標にのみパラメータセットが割り当てられている例について説明する。
【0066】
図13は、本発明の第5実施形態における経路設定画面の表示例を説明する図である。図13に示すマッピング領域MPAは、四隅の座標Ma、Mb、Mc、Md(基準座標)にパラメータセット(基準値)が割り当てられている。この例では、上述したOne-Hotベクトルで表される情報は含まれていないが含まれていてもよい。指示マーカMKの位置に対応するパラメータセットについては、座標Ma、Mb、Mc、Mdに割り当てられたパラメータセットと、座標Ma、Mb、Mc、Mdに対する指示マーカMKの位置関係Ba、Bb、Bc、Bdとを用いた演算方法によって算出される。この演算方法は、公知のものが用いられればよいが、例えば、線形補間を用いたものであってもよいし、主成分分析法または多次元尺度構成法を用いたものであってもよい。
【0067】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の一実施形態は、以下のように様々な形態に変形することもできる。また、上述した実施形態および以下に説明する変形例は、それぞれ互いに組み合わせて適用することもできる。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。以下の説明では第1実施形態を変形した例として説明するが、他の実施形態を変形する例として適用することもできる。
【0068】
(1)パラメータ制御機能100は、電子鍵盤装置1における制御部10によって実現されていたが、他の装置における制御部によって実現されてもよい。例えば、タブレット端末でパラメータ制御機能100が実現される場合には、例えば、少なくとも制御部10をタブレット端末に含まれるものとし、操作部20、マスターノブ30など、他の構成の少なくとも一部がタブレット端末に接続される外部装置として実現されてもよい。なお、パラメータ制御機能100は、クラウドサーバなどネットワークに接続された装置において実現されてもよい。
【0069】
また、複数の装置が連携することによって、パラメータ制御機能100が実現されてもよい。例えば、指示値取得部110およびパラメータ出力部140の機能が第1の装置で実現され、他の機能が第2の装置で実現されてもよい。このとき、第1の装置と第2の装置とは、有線または無線で各種信号の送受信ができるようになっていればよい。なお、本発明は、この例における第1の装置で実現される機能、すなわち、指示値取得部110およびパラメータ出力部140の機能があり、必要な情報を外部装置から取得できれば成立し得る。
【0070】
また、パラメータ制御機能100は、鍵盤部80を有しない装置において実現されてもよいし、演奏操作子を有しない装置において実現されてもよい。
【0071】
(2)マスターノブ30は、筐体95に取り付けられたロータリーエンコーダであったが、指示値MVに相当する信号を出力するために用いることができるコントローラであれば、ノブの形態を有していなくてもよく、スライダなど別の操作方法で入力を受け付ける形態など、他の構成であってもよい。また、インターフェース90に接続される外部装置(例えばフットコントローラ、ターンテーブル、タッチパネルなど)であってもよい。
【0072】
(3)マスターノブ30への操作により複数のパラメータ値PVを変更する制御をしているときにおいて、操作部20への操作によってパラメータ値PVを修正できるようになっていたが、このような制御を行っているときには操作部20の操作によってパラメータ値PVの修正が行われないようにしてもよい。
【0073】
(4)指示値変換テーブル183は、ユーザの指示に基づいて経路設定部230によって生成されていたが、外部装置から提供されて、記憶部18に記憶されてもよい。また、複数の指示値変換テーブルが電子鍵盤装置1に登録され、ユーザの指示によっていずれかの指示値変換テーブルが選択され、パラメータ制御機能100における指示値変換テーブル183として用いられてもよい。曲データを再生する場合など、時間の経過にしたがって、選択される指示値変換テーブルが変更されてもよい。
【0074】
(5)パラメータ変換テーブル181は、ユーザの指示に基づいて座標設定部210によって生成されていたが、外部装置から提供されて、記憶部18に記憶されてもよい。また、複数のパラメータ変換テーブルが電子鍵盤装置1に登録され、ユーザの指示によっていずれかのパラメータ変換テーブルが選択され、パラメータ制御機能100におけるパラメータ変換テーブル181として用いられてもよい。曲データを再生する場合など、時間の経過にしたがって、選択されるパラメータ変換テーブルが変更されてもよい。
【0075】
(6)制御部10は、操作部20への操作に指示マーカMKの位置を変更することによって経路PLを変更する(指示値変換テーブルを変更する)ようにしてもよい。
【0076】
(7)マッピング領域MPAは、2つの座標軸によって規定される領域(面)であったが、3つ以上の座標軸によって規定される領域であってもよい。例えば、3つの座標軸によって規定される領域(空間)である場合には、表示部50における2次元の表示面に仮想的に3次元空間を表示するようにしてもよい。
【0077】
(8)One-Hotベクトルを用いることによって、FM音源のアルゴリズムの種類など、特徴量の変化に対して線形な関係を有しない情報であっても、自己組織化写像の処理によるマッピング領域MPAへのパラメータセットの割り当ての精度がよくなる。このようなOne-Hotベクトルを用いることで、設定テーブルに規定された音色設定において、異なる音源方式間での設定を混在させることも可能である。
【0078】
(9)指示値取得部110は、指示位置検出部38が出力する指示値MVを取得していたが、別の情報に基づいて出力されて制御部10から出力される指示値MVを取得してもよい。例えば、曲データを再生する場合において、制御部10は、再生テンポに同期して変更される指示値MVを出力してもよいし、音のエンベロープに同期して変更される指示値MVを出力してもよい。また、制御部10は、予め指示値MVの時間変化を規定する情報に基づいて、指示値MVを変更して出力してもよい。なお、制御部10における指示値MVの変更は、指示位置検出部38が出力する指示値MVを基準とした変更であってもよい。すなわち、指示値取得部110は、複数の情報に基づいて出力された指示値MVを取得してもよい。
【0079】
(10)パラメータ値PVは音を変化させるために用いられていたが、音以外、例えば、映像を変化させるために用いられてもよい。すなわち、パラメータ値PVは、音、映像などのコンテンツを変化させるために用いられればよい。したがって、本発明はパラメータ制御装置としての概念を有し、パラメータ制御機能100を実現するためのパラメータ制御装置が上述した電子鍵盤装置1などに用いられることは、実施の一例にすぎない。
【符号の説明】
【0080】
1…電子鍵盤装置、10…制御部、18…記憶部、20…操作部、21…ノブ、23…スライダ、25…タッチセンサ、27…ボタン、30…マスターノブ、38…指示位置検出部、40…音源部、50…表示部、60…スピーカ、65…信号出力部、80…鍵盤部、88…押鍵検出部、90…インターフェース、95…筐体、100…パラメータ制御機能、110…指示値取得部、130…座標変換部、140…パラメータ出力部、150…再生制御部、181…パラメータ変換テーブル、183…指示値変換テーブル、185…設定テーブル、210…座標設定部、230…経路設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図13