(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240116BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240116BHJP
G06F 12/16 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04N1/00 C
B41J29/38 104
G06F12/16
(21)【出願番号】P 2020050541
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】大杉 彰義
(72)【発明者】
【氏名】中山 隼吾
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-126320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G06F 12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性半導体記憶装置と、メモリと、プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
削除されたファイルデータを前記不揮発性半導体記憶装置に通知してトリム命令を実行する際に、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合であっても、当該ファイルデータに対する操作の内容に応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に対するトリム命令を実行しないように制御する
画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、自装置の動作状態を通常動作状態から節電状態に移行するタイミングにおいて、前記不揮発性半導体記憶装置に対してトリム命令を実行する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対してネットワーク経由による操作が行われた場合、当該操作の操作内容に応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に対するトリム命令を実行しないように制御する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対してネットワーク経由にて印刷処理を伴うファイルデータの削除が行われた場合には、自装置の動作状態を節電状態から通常動作状態に移行して、当該ファイルデータの印刷処理を実行する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対してネットワーク経由にて印刷処理を伴わないファイルデータの削除が行われた場合には、前記不揮発性半導体記憶装置を起動して当該ファイルデータの削除後に、自装置の動作状態を節電状態のままとする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータを参照する操作または新たなファイルデータを前記不揮発性半導体記憶装置に追加する操作がネットワーク経由にて行われた場合には、前記不揮発性半導体記憶装置を起動して当該操作が実行した後に、自装置の動作状態を節電状態のままとする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記不揮発性半導体記憶装置が、ブロック単位でしかデータの消去を行うことができないNAND型フラッシュメモリであり、
前記不揮発性半導体記憶装置は、前記プロセッサにより実行されたトリム命令に基づいて、削除されたファイルデータが記憶された領域をブロック単位で消去する処理を実行する請求項1から5のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
削除されたファイルデータを不揮発性半導体記憶装置に通知してトリム命令を実行するステップと、
画像形成装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合であっても、当該ファイルデータに対する操作の内容に応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に対するトリム命令を実行しないように制御するステップとを、
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現在のジョブ状況が所定のジョブ状況にあるか否かを、予め作成した管理テーブルを用いて判定し、所定のジョブ状況にある場合には、半導体記憶装置の最適化処理を実行することにより、ジョブを連続して長時間実行している場合においても、ジョブの生産性を極力落とさずに半導体記憶装置の最適化処理を実施することができるようにした情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシュメモリと呼ばれる不揮発性半導体記憶装置を用いて画像データ等の各種ファイルデータを記憶するようにした画像形成装置では、ファイルデータが削除されるとフラッシュメモリに対して削除したファイルデータを通知してトリム命令を実行する。
【0005】
しかし、フラッシュメモリでは、記憶素子の書き換え回数に上限があるため、頻繁にトリム命令を実行したのではフラッシュメモリの寿命を短くしてしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合に、不揮発性半導体記憶装置に対して常にトリム命令を実行する場合と比較して、トリム命令を実行する回数を削減することが可能な画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、不揮発性半導体記憶装置と、メモリと、プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
削除されたファイルデータを前記不揮発性半導体記憶装置に通知してトリム命令を実行する際に、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合であっても、当該ファイルデータに対する操作の内容に応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に対するトリム命令を実行しないように制御する画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記プロセッサが、自装置の動作状態を通常動作状態から節電状態に移行するタイミングにおいて、前記不揮発性半導体記憶装置に対してトリム命令を実行する請求項1記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサが、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対してネットワーク経由による操作が行われた場合、当該操作の操作内容に応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に対するトリム命令を実行しないように制御する請求項2記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記プロセッサが、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対してネットワーク経由にて印刷処理を伴うファイルデータの削除が行われた場合には、自装置の動作状態を節電状態から通常動作状態に移行して、当該ファイルデータの印刷処理を実行する請求項3記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサが、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対してネットワーク経由にて印刷処理を伴わないファイルデータの削除が行われた場合には、前記不揮発性半導体記憶装置を起動して当該ファイルデータの削除後に、自装置の動作状態を節電状態のままとする請求項3記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記プロセッサが、自装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータを参照する操作または新たなファイルデータを前記不揮発性半導体記憶装置に追加する操作がネットワーク経由にて行われた場合には、前記不揮発性半導体記憶装置を起動して当該操作が実行した後に、自装置の動作状態を節電状態のままとする請求項5記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記不揮発性半導体記憶装置が、ブロック単位でしかデータの消去を行うことができないNAND型フラッシュメモリであり、
前記不揮発性半導体記憶装置は、前記プロセッサにより実行されたトリム命令に基づいて、削除されたファイルデータが記憶された領域をブロック単位で消去する処理を実行する請求項1から5のいずれか記載の画像形成装置である。
【0014】
[プログラム]
請求項8に係る本発明は、削除されたファイルデータを不揮発性半導体記憶装置に通知してトリム命令を実行するステップと、
画像形成装置の動作状態が節電状態の場合において、前記不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合であっても、当該ファイルデータに対する操作の内容に応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に対するトリム命令を実行しないように制御するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合に、不揮発性半導体記憶装置に対して常にトリム命令を実行する場合と比較して、トリム命令を実行する回数を削減することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に係る本発明によれば、通常動作状態における処理に影響を与えることなくトリム命令を実行することが可能となる。
【0017】
請求項3に係る本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作がネットワーク経由にて行われた場合に、不揮発性半導体記憶装置に対して常にトリム命令を実行する場合と比較して、トリム命令を実行する回数を削減することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対して、印刷処理を伴う削除が行われた場合には、節電状態へ移行するタイミングにおいてトリム命令が実行されるようにすることができる。
【0019】
請求項5に係る本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対して、印刷処理を伴わない削除が行われた場合には、トリム命令が実行されないようにすることができる。
【0020】
請求項6に係る本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータを参照する操作やファイルデータを追加する操作が行われた場合には、トリム命令が実行されないようにすることができる。
【0021】
請求項7に係る本発明によれば、NAND型フラッシュメモリに記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合に、NAND型フラッシュメモリに対して常にトリム命令を実行する場合と比較して、トリム命令を実行する回数を削減することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項8に係る本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置に記憶されているファイルデータに対する操作が行われた場合に、不揮発性半導体記憶装置に対して常にトリム命令を実行する場合と比較して、トリム命令を実行する回数を削減することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のフローチャートのステップS108において示した、SSD13に対するファイル操作の実行処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【
図6】節電モード中におけるファイル操作の操作内容に応じて、SSD13に対するトリム命令が実行される場合と実行されない場合との場合分けの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【0026】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、
図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷データを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0027】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を
図2に示す。
【0028】
画像形成装置10は、
図2に示されるように、CPU11、メモリ12、SSD(Solid State Driveの略。)13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0029】
プリントエンジン17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0030】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0031】
ここで、SSD13は、フラッシュメモリと呼ばれる不揮発性半導体記憶装置であり、印刷処理中の画像データやスキャン処理により読み取られた原稿画像データ、ファクシミリ受信した画像データ等の各種ファイルデータを格納するように構成されている。さらに、SSD13はNAND型フラッシュメモリであり、ブロック単位でしかデータの消去を行うことができない構造となっている。
【0032】
また、SSD13は、数多くの記憶素子により構成された記憶部42と、記憶部42に対するデータの書き込みや、読み出し等の制御を行うメモリ制御部41とから構成されている。
【0033】
また、フラッシュメモリは、その構造上の理由により、各記憶素子において書き換え回数に上限があり、書き換え回数がこの上限を超えると寿命が尽きて正常な動作を行えなくなるという特徴を有している。
【0034】
そのため、SSDでは一般的にウェアレベリングという機能が備えられており、データを記憶させる記憶素子を平均化して、装置全体の寿命が長くなるような処理が行われている。
【0035】
さらに、NAND型フラッシュメモリでは、記憶素子の構造上の理由により、記憶されているデータに対する上書き処理を実行することができないため、消去済みの領域にしかデータを書き込むことができず、上述したようにデータの消去はブロックと呼ばれる大きな記憶領域単位でしか実行できないという特性がある。
【0036】
そのため、書き込み速度を向上させるためには、不要となったファイルデータは予め削除して各ブロックをできるだけ空き状態とすることが必要となる。また、上述したウェアレベリングの処理負荷を削減するためにも、不要となったファイルデータを削除しておく必要がある。
【0037】
このような理由により、システム上において論理的に不要となったファイルデータを、SSD上から物理的に消去して、上述したような処理負荷を軽減してSSD全体のパフォーマンスを向上することを目的として、SSDには、トリム処理を呼ばれる機能が存在する。
【0038】
具体的には、システムからSSDに対して、削除したファイルデータを通知してトリム命令を実行すると、SSDでは、トリム処理を実行して、削除されたファイルデータが記憶された領域をブロック単位で消去する処理を実行する。ここで、このトリム命令とは、SSDに対してトリム処理の実行を指示する命令である。
【0039】
しかし、上述したように、SSDの記憶素子の書き換え回数に上限があるため、あまり頻繁にトリム命令を実行したのではSSDの寿命を短くしてしまう可能性がある。
【0040】
そこで、本実施形態の画像形成装置10では、節電モードにおいて、SSD13に記憶されているファイルデータに対する操作がネットワーク30経由で行われた場合に、SSD13に対して常にトリム命令を実行する場合と比較して、トリム命令を実行する回数を削減するようにしている。
【0041】
なお、本実施形態におけるSSD13では、メモリ制御部41は、装置制御部35からの指示に基づいて、ファイルデータを記憶部42に書き込む処理や、記憶部42に書き込まれたファイルデータを読み出す処理を実行している。また、メモリ制御部41は、上述したウェアレベリング処理を行ってファイルデータを格納するために使用されるブロックを均等化して書き込み回数の平均化を行うとともに、装置制御部35からのトリム命令に基づいて、不要なファイルデータを消去するトリム処理を実行している。
【0042】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0043】
本実施形態の画像形成装置10は、
図3に示されるように、画像読取部31と、操作入力部32と、表示部33と、データ送受信部34と、装置制御部35と、画像出力部36と、SSD13とを備えている。
【0044】
データ送受信部34は、端末装置20等の外部の装置との間でネットワーク30経由にてデータの送受信を行う。
【0045】
装置制御部35は、データ送受信部34を介して端末装置20から受信した印刷ジョブに基づいて印刷データを生成して、生成した印刷データを画像出力部36から出力する制御を行う。その際に、SSD13には、装置制御部35により生成された印刷データ等の各種データが格納される。
【0046】
表示部33は、装置制御部35により制御され、ユーザに各種情報を表示する。操作入力部32は、ユーザにより行われた各種操作情報を入力する。
【0047】
画像出力部36は、装置制御部35による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。画像読取部31は、装置制御部35による制御に基づいて、セットされた原稿から原稿画像を読み取る。
【0048】
ここで、装置制御部35は、削除されたファイルデータをSSD13に通知してトリム命令を実行する際に、自装置の動作状態が節電モードの場合において、SSD13に記憶されているファイルデータに対する操作がネットワーク30経由にて行われた場合であっても、そのファイルデータに対する操作の内容に応じて、SSD13に対するトリム命令を実行しないように制御する。
【0049】
ここで、本実施形態の画像形成装置10では、通常動作モード(または通常動作状態とも呼ぶ。)と、節電モード(または節電状態とも呼ぶ。)という2つの動作モード間で動作モードの遷移を行っている。ここで、通常動作モードとは、画像読取部31、画像出力部36、操作入力部32、表示部33、SSD13の電源をオン状態として、装置の全ての機能を使用可能とする動作状態である。そして、節電モードとは、画像読取部31、画像出力部36、表示部33、SSD13の電源をオフ状態として、装置制御部35、操作入力部32およびデータ送受信部34のみが動作している動作状態である。なお、節電モードとは、通常動作モードよりも消費電力を削減した動作モードであれば良い。そのため、節電モードは、画像読取部31、画像出力部36、表示部33、SSD13の全ての電源をオフ状態とするものに限定されない。例えば、画像読取部31、画像出力部36、SSD13の電源をオフ状態として、表示部33の電源がオン状態の場合を節電モードとすることも可能である。つまり、節電モードとは、装置内の複数のデバイスのうちの一部のデバイスの電源をオフ状態として消費電力を削減するような動作モードであればどのような状態の場合であっても良い。
【0050】
そして、通常動作モードにおいて予め設定された時間以上ユーザによる操作や印刷ジョブの受信等が行われない場合、装置制御部35により、動作モードを節電モードに移行するような処理が行われる。また、節電モードとなっている際に、操作入力部32において何らかのユーザ操作が行われたり、データ送受信部34を介して印刷ジョブが受信されたりした場合、装置制御部35は、動作モードを通常動作モードに移行する。
【0051】
そして、装置制御部35は、自装置の動作モードを通常動作モードから節電モードに移行するタイミングにおいて、SSD13に対してトリム命令を実行する。
【0052】
そして、装置制御部35は、自装置の動作モードが節電モードの場合において、SSD13に記憶されているファイルデータに対してネットワーク30経由にて印刷処理を伴うファイルデータの削除が行われた場合には、自装置の動作モードを節電モードから通常動作モードに移行して、そのファイルデータの印刷処理を実行する。
【0053】
そのため、装置制御部35は、そのファイルデータの印刷処理を実行して、節電モードに移行する条件が満たされた場合、動作モードを通常動作モードから節電モードに移行する際に、SSD13に対するトリム命令を実行することになる。
【0054】
つまり、装置制御部35は、トリム命令を実行すべきファイル操作が行われた場合には、動作モードを節電モードから通常動作モードに移行させることにより、トリム命令が実行されるような制御を行っている。
【0055】
そして、装置制御部35は、自装置の動作モードが節電モードの場合において、SSD13に記憶されているファイルデータに対してネットワーク30経由にて印刷処理を伴わないファイルデータの削除が行われた場合には、SSD13の電源をオン様態とすることにより起動してそのファイルデータの削除後に、自装置の動作モードを節電モードのままとする。
【0056】
なお、装置制御部35は、自装置の動作モードが節電モードの場合において、SSD13に記憶されているファイルデータを参照する操作または新たなファイルデータをSSD13に追加する操作がネットワーク30経由にて行われた場合には、SSD13を起動してその操作が実行した後に、自装置の動作モードを節電モードのままとする。
【0057】
次に、本実施形態の画像形成装置10における動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
まず、
図4のフローチャートを参照して、本実施形態の画像形成装置10において、トリム処理の実行指示を行うためのトリム命令をSSD13に対して行う際の動作について説明する。
【0059】
なお、上述したように、本実施形態の画像形成装置10では、装置制御部35は、動作モードを通常動作モードから節電モードに移行する際に、SSD13に対してトリム処理の実行指示を行うためのトリム命令を実行する。さらに、装置制御部35は、装置の電源スイッチが操作されてシャットダウンされる際のシャットダウン処理中においてもトリム命令を実行する。
【0060】
なお、装置制御部35は、シャットダウン処理が正常に実行されないことによりトリム命令が行われなかった場合には、起動処理時にトリム命令を実行して、起動後のSSD13の動作の安定を図るようにしても良い。
【0061】
そして、節電モードに移行する際にトリム命令を実行する場合、装置制御部35は、画像読取部31、表示部33、画像出力部36の電源を遮断するとともに、SSD13に対して、削除したファイルデータを通知してトリム命令を実行する。そして、装置制御部35は、その後SSD13についても電源をオフ状態とする。
【0062】
図4のフローチャートに沿って上記のような装置制御部35の動作について説明する。
【0063】
まず、装置制御部35は、ステップS101において、端末装置20から受信した印刷ジョブや、操作入力部32からの指示に基づく印刷ジョブ等の各種ジョブを実行する。そして、装置制御部35は、ステップS104のような判定処理により、このような印刷ジョブの処理中である場合、および印刷ジョブを受信している場合は、動作モードを通常動作モードとして各種ジョブを実行する。
【0064】
なお、この通常動作モード中に、ステップS102に示したようなシャットダウン処理が指示された場合、装置制御部35は、ステップS103においてシャットダウン処理を実行して、その際にトリム命令を実行する。
【0065】
そして、この通常動作モード中に、予め設定された時間印刷ジョブの受信やユーザ操作が行われなかった場合、装置制御部35は、ステップS105において、動作モードを通常動作モードから節電モードに移行し、その際にSSD13に対するトリム命令を実行する。
【0066】
そして、装置制御部35は、ステップS109に示した判定処理において印刷ジョブの受信またはユーザ操作のいずれかが発生したと判定されるまで、節電モードを継続する。
【0067】
ただし、この節電モード中において、ステップS106に示すように、ネットワーク経由にてSSD13に格納されているファイルデータに何らかの操作が行われた場合、装置制御部35は、ステップS107において、そのファイル操作は印刷処理を伴うファイルデータの削除処理であるか否かの判定を行う。
【0068】
このステップS107において、そのファイル操作が印刷処理を伴うファイルデータの削除である場合、装置制御部35は、ステップS110において通常動作モードに移行して、ステップS101の処理まで戻る。
【0069】
例えば、SSD13に格納されているファイルデータを画像出力部36から出力するような指示が行われた場合、このファイルデータは画像出力部36による出力が正常に行われた後は削除されるため、このようなファイル操作は、印刷処理を伴うファイルデータの削除操作となる。
【0070】
なお、SSD13に格納されているファイルデータを単に削除するような指示が行われた場合、このようなファイル操作は、印刷処理を伴わないファイルデータの削除操作となる。
【0071】
ステップS107において、そのファイル操作が印刷処理を伴わないファイルデータの削除である場合、装置制御部35は、ステップS108において、そのファイル操作を実行する。この場合、装置制御部35は、動作モードを節電モードのままとする。
【0072】
次に、このステップS108において示したSSD13に対するファイル操作の実行処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
まず、装置制御部35は、ステップS201において、SSD13の電源をオン状態とする。そして、装置制御部35は、ステップ202において、ネットワーク経由にて受信したファイル操作の内容に応じて、SSD13内のファイルデータに対する処理を実行する。
【0074】
例えば、端末装置20からネットワーク30経由にて受信したファイル操作が、ファイルデータの参照処理であった場合、装置制御部35は、SSD13内のファイルデータを参照して、その参照結果を端末装置20に返信する。また、端末装置20からネットワーク30経由にて受信したファイル操作が、新たなファイルデータの追加処理であった場合、装置制御部35は、追加されたファイルデータをSSD13に新たに格納する。
【0075】
また、端末装置20からネットワーク30経由にて受信したファイル操作が、ファイルデータの削除処理であった場合、装置制御部35は、SSD13に格納されているファイルデータを削除する。
【0076】
ここで、SSD13に格納されているファイルデータを削除するとは、装置制御部35が、SSD13内のファイルデータを管理するための管理情報を削除することを意味しており、SSD13の記憶部42内のファイルデータが物理的に削除されるわけではない。
【0077】
そして、装置制御部35は、最後にステップS203において、SSD13の電源をオフ状態としてそのまま節電モードを継続する。
【0078】
このように、SSD13内のファイルデータに対するファイル操作が節電モード中にネットワーク30経由で行われた場合であっても、そのファイル操作の操作内容が、ファイルデータの参照、追加および印刷処理を伴わない削除であった場合、動作モードは節電モードのまま維持されトリム命令がSSD13に対して実行されることはない。
【0079】
これに対して、SSD13内のファイルデータに対するファイル操作が節電モード中にネットワーク30経由で行われた場合であって、そのファイル操作の操作内容が、印刷処理を伴う削除であった場合、動作モードは通常動作モードに移行することになる。そのため、通常動作モードに移行して印刷処理が実行され、再度節電モードに移行する際には、SSD13に対してトリム命令が実行されることになる。
【0080】
つまり、節電モード中にSSD13に記憶されているファイルデータに対するファイル操作がネットワーク30経由であった場合、そのファイル操作の操作内容に応じて、SSD13に対するトリム命令が実行される場合と実行されない場合がある。
【0081】
このような場合分けを
図6のテーブルに示す。
図6では、SSD13に格納されているファイルデータに対する操作と、トリム命令の実行有無の関係が示されている。
【0082】
この
図6を参照すると、節電モード中におけるSSD13内のファイルデータに対する操作が、ファイルデータの参照、書き込み、印刷処理を伴わない削除である場合には、SSD13に対するトリム命令は実行されないことが分かる。
【0083】
そして、
図6を参照すると、節電モード中におけるSSD13内のファイルデータに対する操作が、印刷処理を伴う削除である場合には、SSD13に対するトリム命令が実行されることが分かる。
【0084】
ここで、ファイルデータに対する操作が、印刷処理を伴う削除である場合に、トリム命令を実行するようにしている理由を以下において説明する。
【0085】
あるファイルデータを印刷するような指示が行われた場合、印刷が指示されたファイルデータに基づく画像データを、ラスタ形式の印刷データに変換するような処理が実行される。そして、このような変換処理の過程においては一時的なデータ等の様々なデータがSSD13の記憶部42に記憶されることになる。そのため、あるファイルデータに対する印刷処理が実行された場合、SSD13の記憶部42には不要となった様々なデータが記憶されていることになる。
【0086】
このように、あるファイルデータにして印刷処理を行うような処理が実行された場合、トリム処理を実行すれば、記憶部42内に記憶されている様々な不要なデータが消去されて記憶部42内の空きブロックが増加する。そのため、SSD13におけるウェアレベリング処理の際の処理負荷も軽減されるとともに、データの削除回数も削減され、結果としてSSD13の寿命を延ばすことになる。
【0087】
なお、SSD13に記憶されているファイルデータを参照する操作や、SSD13に対して新たなファイルデータを追加する操作が行われた場合には、そもそもデータの削除が発生していないため、SSD13に対してトリム命令を実行してもあまり得られる効果は少ない。
【0088】
さらに、SSD13に記憶されているファイルデータを単に削除するような、印刷処理を伴わない削除が行われた場合、削除する必要があるデータのデータ量は、印刷処理が実行された場合と比較して少ない場合が多いと考えられる。そのため、このようなファイルデータの削除が行われたことによりトリム命令を実行しなくてもSSD13のパフォーマンスを大きく低下させる可能性は低い。そのため、装置制御部35は、このようなファイルデータの削除のタイミングでトリム命令を実行せずに、再度別の処理に基づいて通常動作モードに移行してからトリム命令を実行するようにしているのである。
【0089】
なお、本実施形態では、装置制御部35は、節電モードにおいてネットワーク経由にて印刷処理を伴うファイルデータの削除、つまり何等かのジョブ処理が発生した場合に通常動作モードに移行してトリム命令を実行するようにしていたが、このような操作内容による切り分けはあくまでも一例である。装置制御部35が、節電モードにおいてあるファイル操作がネットワーク経由で行われた場合に、動作モードを節電モードのままにするか通常動作モードに移行させるかをファイル操作の操作内容に応じてどのように切り分けるようにしても良い。
【0090】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0091】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 SSD
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク
31 画像読取部
32 操作入力部
33 表示部
34 データ送受信部
35 装置制御部
36 画像出力部
41 メモリ制御部
42 記憶部