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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240116BHJP
   A45D 29/00 20060101ALI20240116BHJP
   B41J 19/18 20060101ALI20240116BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B41J2/01 303
A45D29/00
B41J19/18 Z
B41J29/46 F
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020051963
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021146721
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】助則 篤志
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104189(JP,A)
【文献】特開2020-001308(JP,A)
【文献】特開2012-045798(JP,A)
【文献】特開2010-064442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
A45D 29/00
B41J 19/18
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドのインク吐出動作及び移動動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得手段と、
を備え、
前記速度取得手段によって取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動動作を継続させ、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、所定の移動速度安定時間を経過した後に前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させた位置から前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値以下である所定値よりも低下した場合には、前記印刷ヘッドのインク吐出動作及び移動を停止させて印刷を中止させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得工程と、
前記速度取得工程において取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動を継続させる移動継続工程と、
前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させる印刷動作再開工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得機能と、
前記速度取得機能によって取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱したか否かを判断する機能と、
前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動を継続させる機能と、
前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させる機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ヘッドを往復移動させながら印刷対象に印刷処理を行う印刷装置が知られている。
こうした装置では、印刷動作として一定の適正速度で印刷ヘッドが移動しながらインク吐出動作を行わないと高精細な仕上がりとならない。
このため、例えば特許文献1には、用紙等の媒体に印刷する印刷装置において、印刷ヘッドを搭載したキャリッジを移動させて速度を測定するメジャメント動作を行い、当該メジャメント動作で測定された速度に基づいて設定された閾値よりも印刷中のキャリッジの速度が低下すると、キャリッジを停止させるとの技術が開示されている。
これにより、搬送される用紙に紙ジャム(紙詰まり)等が発生した場合に、速やかにキャリッジを停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-137674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、用紙等の媒体に印刷する場合であれば、紙ジャムを起こした用紙を取り除けばよいため、速度低下が生じた場合には速やかに装置を停止させることが好ましいが、例えば爪等に印刷する場合に印刷の途中で処理が中止されると、一旦途中まで印刷されたものをリムーバ等で除去して、下地を塗り直す必要等が生じる。
このため、印刷の途中で処理が中止された場合のユーザの負担が大きいとの問題がある。
【0005】
印刷ヘッド(印刷ヘッドを搭載したキャリッジ)の移動速度が低下する要因は様々であり、例えば装置に加わった振動や静電気の影響等による軽微で瞬間的な速度低下であれば、元の適正な速度に回復する見込みがある。
このような場合には、できるだけ印刷を中止せずに最後までプリントを継続した方が無駄な負担がかからず好ましい。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、できるだけ印刷を止めずに適正な速度で印刷を行うことのできる印刷装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置の一態様は、
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドのインク吐出動作及び移動動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得手段と、
を備え、
前記速度取得手段によって取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動動作を継続させ、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、できるだけ印刷を止めずに適正な速度で印刷を行うことができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における印刷装置の要部を前方斜め上側から見た斜視図である。
図2】本実施形態における印刷装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図3】本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から図3を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置1が人の爪に印刷を施すネイルプリント装置である場合を例に説明するが、本発明における印刷装置1は、印刷対象の上方を移動しながら印刷を行う装置であればよく、ネイルプリント装置に限定されない。また、本実施形態では、印刷装置1が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する場合を例とするが、本発明における印刷装置1がネイルプリント装置である場合にその印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象としてもよい。
【0011】
図1は、本実施形態における印刷装置を前方斜め上側から見た斜視図である。
なお、本明細書においては、左右及び前後は図1に示した向きを言うものとする。また、X方向、Y方向は、図1に示した方向をいうものとする。
【0012】
図1に示すように印刷装置1は、基台10及び基台10の上に組付けられたシャーシ11を備えている。
なお、図1では図示を省略しているが、印刷装置1は、図1に示す基台10及びその上に配置される装置各部を覆うように収容する筐体(外装ケース)を備えている。なお、筐体の具体的な形状・構成は特に限定されない。
【0013】
基台10における装置前面側であって左右方向(X方向)のほぼ中央部には、指保持部6が配置されている。
指保持部6は、装置前面側に開口部61を有する。本実施形態における印刷対象である爪を有する指(いずれも図示せず)を開口部61から指保持部6内の所定の位置まで挿入すると、指の爪の表面(印刷対象面)が印刷部40による印刷を行うのに適した位置に保持されるようになっている。
【0014】
印刷装置1には、印刷対象である爪に印刷を施すための印刷部40が設けられている。
印刷部40は、インク吐出動作を行う印刷ヘッド41を備えている。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける印刷対象面(本実施形態では爪の表面)に対向する面に設けられた図示しないインク吐出部とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。
インク吐出部には、それぞれの色のインクを吐出する複数のノズルからなるノズルアレイの吐出口(インク吐出口、図示せず)が列状に形成されている。印刷ヘッド41は、インクを微滴化し、インク吐出部(インク吐出部のインク吐出口)から爪の表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドであり、爪の表面等に繊細な印刷を施すことが可能に構成されている。
なお、印刷ヘッド41は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出口を備えていてもよい。
【0015】
また、印刷装置1の印刷部40は、印刷ヘッド41を移動させるためのヘッド移動機構49を備えている。
本実施形態の印刷装置1は、印刷ヘッド41をX方向(図1におけるX方向、装置の左右方向)及びY方向(図1におけるY方向、装置の前後方向)に移動させながらインク吐出動作を行い、印刷を行う。
このため、ヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるためのX方向移動機構45及び印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させるためのY方向移動機構47を有する2軸構成となっている。
【0016】
印刷ヘッド41は、ホルダ42に支持された状態でX方向移動機構45のキャリッジ451に取り付けられている。
キャリッジ451は、装置の左右方向(X方向)に亘って延在しており、キャリッジ451の延在方向(本実施形態では装置の左右方向、X方向)の両側は、後述するY方向移動機構47の一対のガイドシャフト475に支持されるとともに、後述する駆動ベルト474に係止されている。これにより、駆動ベルト474の駆動にしたがってキャリッジ451がガイドシャフト475に沿ってガイドシャフト475の延在方向(本実施形態では装置の前後方向、Y方向)に移動する。
【0017】
キャリッジ451の内部であって延在方向の両端部には図示しないプーリが設けられている。この一対のプーリには駆動ベルト454が巻き掛けられている。またキャリッジ451内には、駆動ベルト454と平行して装置の左右方向(X方向)に亘って延在するガイドシャフト455が設けられている。
【0018】
プーリのうちいずれか一方は、正逆自在に動作する駆動プーリとなっており、X方向移動機構45は、駆動プーリを動作させるX方向駆動モータ46を備えている。
印刷ヘッド41は、駆動ベルト454に係止されており、駆動ベルト454の動作によって、ガイドシャフト455に案内されながら、装置の左右方向(X方向)に移動可能となっている。
本実施形態では、キャリッジ451及びキャリッジ451内に設けられた一対のプーリに巻き掛けられた駆動ベルト454と、X方向駆動モータ46と、駆動ベルト454と平行して設けられたガイドシャフト455と、を備えてX方向移動機構45が構成されている。
【0019】
Y方向移動機構47は、基台10又は基台10上のシャーシ11の前側及び後側(Y方向の前後)に設けられた一対のプーリと、これに巻き掛けられている駆動ベルト474と、駆動ベルト474と平行してY方向に沿って設けられたガイドシャフト475と、を装置の左右位置にそれぞれ備えている。
【0020】
プーリのうちいずれか一方(本実施形態では装置後側に配置されるプーリ477、図1参照)は、装置の左右方向(X方向)に亘って延在する支軸である連結シャフト476の両端に、軸周りに回転可能に取り付けられている。
Y方向移動機構47は、駆動源であるY方向駆動モータ48を備えており、連結シャフト476に取り付けられているプーリ477は、このY方向駆動モータ48によって回転駆動する駆動プーリとなっている。
【0021】
本実施形態において、ガイドシャフト475は、印刷ヘッド41を搭載したキャリッジ451の移動方向(本実施形態ではY方向)に延在してキャリッジ451を案内するものである。
キャリッジ451は、駆動ベルト474に係止されており、駆動ベルト474の動作によって、ガイドシャフト475に案内されながら、装置の前後方向(Y方向)に移動可能となっている。
【0022】
本実施形態において印刷ヘッド41は、非印刷時において待機領域(ホームポジション)Ar1に配置される。待機領域Ar1には、例えば印刷ヘッド41のインク吐出口を乾燥から保護する図示しない保護キャップ等が設けられている。
また、本実施形態では、基台10の上面であって印刷ヘッド41の移動可能範囲内に、印刷ヘッド41のメンテナンスを行うメンテナンス部70等が配置されている。印刷部40では、印刷開始前や印刷後等に適宜メンテナンス部70に印刷ヘッド41を移動させてインク吐出口やその周辺のクリーニング等のメンテナンスを行う。
また、指保持部6に保持された爪の表面が配置される領域は、印刷ヘッド41がインク吐出動作を行う印刷動作領域Ar2となっている。指保持部6内の所定位置に保持された指の爪は、その表面(印刷対象面)が基台10の上面の高さとほぼ等しい高さ位置に配置される。
【0023】
印刷ヘッド41は、印刷動作領域Ar2内において、爪の表面(印刷対象面)の上方を、例えばX方向に移動しながらインク吐出動作を行う。そして、印刷動作領域Ar2におけるX方向の端部まで移動すると、印刷動作における所定の1ライン幅分だけY方向に移動し、再びX方向の逆側の端部まで折り返す。
爪の表面(印刷対象面)全体に印刷を行うために印刷ヘッド41が何往復することが必要かは印刷ヘッド41の大きさ等に応じて適宜定められる。また、X方向に往復移動する場合の往路及び復路の両方で(双方向で)インクを吐出させてもよいし、往路又は復路のいずれかにおいてインクを吐出させてもよい。
印刷部40を構成する印刷ヘッド41及びこれを移動させるヘッド移動機構49は、後述の制御部31の制御にしたがって動作する。
【0024】
また本実施形態では、印刷部40が、ヘッド移動距離計測手段43及び時間計測手段44を備えている(図2参照)。
ヘッド移動距離計測手段43は、例えば図示しないリニアスケールとセンサとを備えるリニアエンコーダである。ヘッド移動距離計測手段43は、印刷ヘッド41の位置を正確に検出する。また、時間計測手段44は、例えば印刷部40による印刷開始時からの経過時間を随時取得する計時手段である。具体的には、例えばマイクロコンピュータ等に搭載されているタイマ等を時間計測手段44として用いることができる。
ヘッド移動距離計測手段43及び時間計測手段44による計測結果は、制御部31に出力される。
本実施形態では、後述するように、ヘッド移動距離計測手段43及び時間計測手段44による計測結果に基づいて、速度取得手段としての制御部31が印刷ヘッド41の移動速度を算出するようになっている。
なお、ヘッド移動距離計測手段43及び時間計測手段44は、その計測結果から印刷ヘッド41の移動速度を算出可能なものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0025】
また本実施形態の印刷装置1は、操作部12を備えている。
印刷装置1の操作部12が設けられている。操作部12は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置30に出力され、制御装置30が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお、操作部12に代えて、スマーフォン等の図示しない端末装置の操作部から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
【0026】
また、本実施形態の印刷装置1は、スマーフォン等の図示しない端末装置(外部機器)と連携して印刷動作を行うようになっている。例えば印刷対象である爪に印刷するデザインのデータは端末装置側に記憶されており、通信部13を介して端末装置側からデザインのデータを取得する。
通信部13は、端末装置等の外部機器の通信部との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、後述の制御部31による制御にしたがって端末装置等の外部機器との間で各種のデータ等を送受信する。
【0027】
また、印刷装置1は、装置各部を制御する制御装置30を備えている。
図2は、本実施形態における印刷装置の制御構成を示す要部ブロック図である。
図2に示すように、本実施形態における印刷装置1の制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部31と、ROM(Read Only Memory)321及びRAM(Random Access Memory)322等で構成される記憶部32とを備えるコンピュータである。
ROM321は、例えばNAND型フラッシュメモリ等の不揮発性記憶素子のフラッシュメモリで構成される。RAM322は、例えばDDR SDRAM(Double-Data-Rate SDRAM)等のSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0028】
記憶部32には、印刷装置1を動作させるための各種プログラムや各種処理に必要なデータ等が格納されている。
具体的には、記憶部32には、印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、制御部31がこれらのプログラムを例えばRAM322の作業領域に展開して、プログラムが制御部31において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
【0029】
本実施形態の制御部31は、前述のように通信部13の動作を制御する。
また、制御部31は、印刷対象である爪の画像を取得して、印刷対象領域を画する爪の輪郭形状を検出する。爪の輪郭形状は、例えばXY平面上の座標値で表される。
さらに、制御部31は、検出された爪の輪郭形状とユーザによって選択されたデザインとに応じて印刷データを生成する。具体的には、デザインを爪の輪郭形状にフィッティンし、必要に応じて適宜各種の補正処理を行って、爪の表面にデザインを印刷するための印刷データを生成する。
【0030】
そして、印刷データを印刷部40に出力し、適宜爪の表面に印刷を行わせる。
具体的には、印刷ヘッド41のインク吐出動作及び移動動作を制御する印刷制御部として機能する。
印刷ヘッド41のインク吐出動作の制御とは、インク吐出に関する制御であり、印刷ヘッド41からインクを吐出させるインクの吐出タイミングやインク吐出量等を制御する。
また、印刷ヘッド41の移動動作の制御とは、ヘッド移動機構49による印刷ヘッド41のX方向・Y方向への移動の制御であり、より具体的には、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48の動作制御である。
【0031】
さらに、本実施形態では、前述のようにヘッド移動距離計測手段43及び時間計測手段44による計測結果が、制御部31に出力されるようになっており、制御部31は、印刷ヘッド41の移動距離と当該移動に要した時間とに基づいて、印刷ヘッド41の移動速度を算出する。すなわち本実施形態の制御部31は、印刷ヘッド41の移動速度を取得する速度取得手段として機能する。
なお、制御部31の有するこれらの各機能は、制御部31と記憶部32に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0032】
次に、図3を参照しつつ、本実施形態の印刷制御方法について説明する。
図3は、本実施形態における印刷処理を示すフローチャートである。
本実施形態の印刷装置1において印刷データが生成(ステップS1)されると、制御部31はこれを印刷部40に出力し、印刷ヘッド41を所定の印刷開始位置に移動させる(ステップS2)。すなわち、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48を動作させて、印刷ヘッド41を待機領域Ar1等から印刷動作領域Ar2に移動させ、印刷動作可能な状態とする。所定の印刷開始位置とは、例えば印刷動作領域Ar2が矩形の領域として設定されている場合に印刷動作領域Ar2のいずれかの角等である。なお、印刷開始位置はここに例示したものに限定されない。
【0033】
印刷ヘッド41が、所定の印刷開始位置に配置されると、制御部31は印刷ヘッド41に吐出駆動させながらX方向に移動させる(ステップS3)。例えば、印刷開始位置が印刷動作領域Ar2の右側端部である場合には、印刷ヘッド41をX方向に沿って左側に移動させ、印刷開始位置が印刷動作領域Ar2の左側端部である場合には、印刷ヘッド41をX方向に沿って右側に移動させる。
【0034】
印刷動作領域Ar2内における印刷ヘッド41の移動が開始されると、駆動中一定の間隔で、印刷ヘッド41のX方向の移動距離及びX方向への移動時間が制御部31において取得される(ステップS4、ステップS5)。すなわち、X方向の移動距離は、随時リニアエンコーダ等のヘッド移動距離計測手段43によって取得され、測定結果が制御部31に送られる。また、印刷ヘッド41がその移動に要した時間が時間計測手段44によって随時取得され、当該測定結果も制御部31に送られる。
印刷ヘッド41のX方向の移動距離及び経過時間を取得すると、制御部31は、これらの情報に基づいて印刷ヘッド41のX方向の移動速度(一定区間における平均移動速度)を算出する(ステップS6)。
【0035】
印刷を行う場合、印刷の速度(印刷ヘッド41の移動速度)には適正な速度(移動速度・駆動速度)があり、これよりも速過ぎても遅過ぎても印刷の品位が落ちてしまう。
一方で、印刷ヘッド41は、モータ(ここでは特に、X方向移動モータ46)の駆動によって移動するため、モータ(X方向移動モータ46)に生じる電気的な駆動の多少のブレにより、移動速度に、印刷に影響しない程度の若干のばらつきを生じる。このようなばらつきをエラーとすることは妥当でないため、適正な移動速度にはある程度幅を持たせることが好ましい。
また、印刷ヘッド41の速度変化(速度低下)には、様々な要因が考えられ、外部からの衝撃や振動、静電気の影響等である場合には、瞬間的に速度が閾値を超えて遅くなった場合でも元の速度に回復する可能性がある。他方で、モータ(X方向移動モータ46)周りの汚れやモータ等のメカ的な消耗(経年劣化)等によって速度低下が生じたような場合には、速度が回復しないか、何度も速度低下を繰り返し、適正な速度を維持できないことが考えられる。
【0036】
こうした各種の状況を考慮して、本実施形態では、印刷ヘッド41のX方向の移動速度について3つの閾値を予め用意している。
本実施形態において、3つの閾値T1、T2、T3は、T1<T2<T3との関係にあり、T1は、印刷ヘッド41が異物にぶつかった等、異常事態が生じていると判断される程度の明らかに異常な低速度の値である。
またT2、T3は正常な速度とみなす下限値及び上限値である。すなわち、印刷ヘッド41の移動速度が閾値T2、T3の間の値をとるときは、正常と判断される。
閾値T1、T2、T3をそれぞれどのような値とするかは適宜設定される。
例えば、閾値T1は、ほぼ停止に近い速度であり、閾値T2、T3は、例えばT2よりも低い速度、T3よりも速い速度では、印刷を行った場合に印刷される画像が崩れてしまう速度レベルである。例えば閾値T2~T3の値は、T2「8inch/sec」~T3「11inch/sec」と設定される。なお、各閾値の値はここに例示したものに限定されない。
【0037】
制御部31は、印刷ヘッド41の移動速度を取得すると、当該移動速度が閾値T1よりも遅いか否かを判断する(ステップS7)。そして、移動速度が閾値T1よりも遅い場合(ステップS7;YES)には、印刷を中止して処理を終了する(ステップS8)。
すなわちこの場合は、制御31は、印刷ヘッド41によるインク吐出動作を中止させ、印刷ヘッド41の移動も停止させる。この場合、指保持部6から指を取り出すようにユーザに促した上で、可能であればヘッド移動機構49を制御することにより、印刷ヘッド41をメンテナンス部70や、待機領域Ar1等に移動させてもよい。
【0038】
他方、移動速度が閾値T1より速い場合(ステップS7;NO)には、制御部31はさらに、移動速度が閾値T2、T3の間の値をとるか否かを判断する(ステップS9)。
移動速度が閾値T2、T3の間の値(すなわち移動速度の適正値の範囲の値)をとる場合(ステップS9;YES)には、正常な速度範囲で移動している場合であり、制御部31はさらに、1ライン分のX方向の移動が完了したか否かを判断する(ステップS10)。
1ライン分のX方向の移動が完了していない場合(ステップS10;NO)は、ステップS4に戻って処理を繰り返す。
他方、1ライン分のX方向の移動が完了した場合(ステップS10;YES)には、さらに印刷が終了したか否かを判断する(ステップS11)。そして、印刷が終了していない場合(ステップS11;NO)には、印刷ヘッド41の下方に印刷対象(本実施形態では爪)の位置しないX方向の端部において、印刷ヘッド41を規定量(すなわち、1ライン幅分)だけY方向に移動させた上で(ステップS12)、ステップS3に戻って処理を繰り返す。なお、このようにY方向の移動は印刷に影響しない位置(すなわち、印刷動作領域Ar2におけるX方向の端部位置等、爪や指等が下方に存在しない位置)で行われるため、本実施形態では特にY方向の移動速度については言及しない。
【0039】
一方移動速度が閾値T2、T3の間の値から外れている、すなわち移動速度の適正値の範囲から逸脱した場合(ステップS9;NO)には、制御部31は、印刷ヘッド41の吐出駆動を停止させて、X方向に移動させる(ステップS13)。
そして制御部31は、随時1ライン分のX方向の移動が完了したか否かを判断する(ステップS14)。1ライン分のX方向の移動が完了していない場合(ステップS14;NO)は、ステップS13に戻って処理を繰り返す。
他方1ライン分のX方向の移動が完了した場合(ステップS14;YES)には、制御部31は、ヘッド移動機構49を動作させて、印刷ヘッド41を当該ラインで折り返し、引き続き吐出駆動をさせずにX方向への移動を継続させる(ステップS15)。
【0040】
この場合、制御部31は、随時一定の間隔で、印刷ヘッド41のX方向の移動距離及びX方向への移動時間を取得し(ステップS16、ステップS17)、印刷ヘッド41のX方向の移動距離及び経過時間を取得すると、制御部31は、これらの情報に基づいて印刷ヘッドのX方向の移動速度(一定区間における平均移動速度)を算出する(ステップS18)。
そして、制御部31は、印刷ヘッド41の移動速度が閾値T1よりも遅いか否かを判断する(ステップS19)。移動速度が閾値T1よりも遅い場合(ステップS19;YES)には、直ちに印刷を中止して処理を終了する(ステップS8)。
【0041】
他方、移動速度が閾値T1より速い場合(ステップS19;NO)には、制御部31はさらに、移動速度が閾値T2、T3の間の値をとるか否かを判断する(ステップS20)。
移動速度が閾値T2、T3の間の値(すなわち移動速度の適正値の範囲の値)をとる場合(ステップS20;YES)には、制御部31はさらに、印刷ヘッド41の移動速度が閾値T2、T3の間の値で安定している時間(図3において「移動速度安定時間」)が、所定の閾値T4よりも長いか否かを判断する(ステップS21)。ここで「移動速度安定時間」についての閾値T4は、印刷ヘッド41の移動速度がどの程度の時間正常値内で安定していれば印刷を再開してもよいかによって決められる。閾値T4をどの程度とするかは適宜設定可能である。閾値T4は、時間に限定されず、例えば、印刷ヘッド41の移動距離やX方向に何往復したか、等で規定されてもよい。
【0042】
移動速度安定時間が、所定の閾値T4を超えた場合(ステップS21;YES)には、制御部31は、印刷ヘッド41を吐出駆動を停止させた位置から吐出駆動を再開させつつ、X方向に移動させる。そして、ステップS4に戻って処理を繰り返す。
これにより、瞬間的に印刷ヘッド41の速度が遅くなったような場合でも、印刷をやり直さずに印刷処理を続けることができる。
【0043】
一方、印刷ヘッド41の移動速度が閾値T2、T3の間の値を外れた、すなわち移動速度の適正値の範囲から逸脱した場合(ステップS20;NO)及び移動速度安定時間が、所定の閾値T4を超えない場合(ステップS21;NO)には、制御部31は、ステップS15に戻って処理を繰り返す。
なお、図3において図示は省略するが、ステップS15に戻って処理を繰り返す場合、所定時間が経過した場合や印刷ヘッド41のX方向への移動が所定距離以上となった場合、X方向への移動が所定の往復回数を超えた場合等には、タイムアップして印刷を中止するようにしてもよい。
何度も往復移動を行っても速度が回復しない場合には、自然に回復・復旧することは難しい状態であると考えられる。このためこのような場合には印刷を中止させることで、無駄に時間を費やすことを回避することができる。
このように、一定の適正速度を維持して印刷を行うとしつつ、短時間の速度低下であれば速度が回復するのを待つことにより、印刷のやり直しをできる限り避けつつ、高品位なネイルプリントを行うことができる。
【0044】
以上のように、本実施形態の印刷装置1では、印刷対象である爪表面の上方を移動しながら印刷を行う印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41の移動速度を取得するとともに、印刷ヘッド41のインク吐出動作及び移動を制御する制御部31と、を備え、制御部31によって取得された印刷ヘッド41の移動速度が所定の適正値の範囲を逸脱した場合に、制御部31は、印刷ヘッド41のインク吐出動作を停止させるとともに、印刷ヘッド41の移動を継続させ、印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲に復帰した場合に、印刷ヘッド41のインク吐出動作を再開させる。
これにより、印刷が乱れるような速度での印刷を行わないようにして印刷の品質を保つとともに、瞬間的に印刷ヘッド41の移動速度が遅くなる場合等、多少の速度のブレや揺れであれば、印刷を中止させずに速度の回復を待って印刷を再開することができる。
例えば紙に印刷するような場合と異なり、本実施形態のように爪等に印刷する場合には、印刷を中止してしまうと、印刷途中のプリントを一旦落として下地から塗り直さなければならず手間がかかる。この点、速度の回復を見込めるのであれば、それを待って印刷を続けられるようにすることで、無駄な手間をかけずに高品位の仕上がりとなる印刷を実現することができる。
【0045】
また本実施形態では、制御部31は、印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲に復帰した場合に、所定の移動速度安定時間を経過した後に印刷ヘッド41のインク吐出動作を再開させる。
これにより、印刷ヘッド41が適正な速度で安定して移動する状態になってから印刷を再開させることができ、印刷の中断と再開とを繰り返すような事態を避けることができる。
【0046】
また本実施形態では、制御部31は、印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲に復帰した場合に、印刷ヘッド41のインク吐出動作を停止させた位置から印刷ヘッド41のインク吐出動作を再開させる。
これにより、瞬間的な速度低下があった場合にも、印刷されるデザインを崩すことなく、中断した印刷を適切に再開して美しい仕上がりの印刷を実現することができる。
【0047】
また本実施形態では、制御部31は、印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲以下である所定値よりも低下した場合には、印刷ヘッド41の印刷動作及び移動を停止させて印刷を中止させる。
印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲以下(すなわち閾値T2以下)であって、所定値(すなわち閾値T1)よりも低下した場合には、印刷ヘッド41が何かに衝突した等の異常事態を生じていると考えられる。この場合には印刷を続行しても高品位な仕上がりを見込めない。
このため、印刷を中止することにより時間の浪費を回避することができる。
【0048】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0049】
例えば、本実施形態では、印刷ヘッド41のX方向の移動についてのみ移動速度が低下した場合の処理の対象としたが、印刷ヘッド41のX方向の移動及びY方向の移動の両方について移動速度が低下した場合の処理の対象としてもよい。
また、印刷ヘッド41がインク吐出を行う際の移動方向がY方向である場合には、印刷ヘッド41のY方向の移動についてのみ移動速度が低下した場合の処理の対象としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、印刷ヘッド41の移動速度が低下した場合のみを例示したが、印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲よりも速くなった場合にも同様の処理を行ってもよい。
例えばモータの動作不良や、モータの速度制御に影響するリニアエンコーダの検出エラー等が生じた場合には、印刷ヘッド41の移動速度が適正値の範囲よりも速くなることも考えられる。このような場合にも、直ちに印刷を中止させずに、印刷ヘッド41からインクを吐出させずに、移動を行って一定期間速度の回復を待つようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、印刷装置1が端末装置(外部機器)と連携して爪に印刷を行う場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、単体で完結するように構成された装置であってもよい。
この場合、例えば、印刷装置1にタッチパネル式の操作部や表示部を備えて、各種指示の入力等を、タッチパネルから行ってもよい。
また、印刷装置1がカメラ等を備える撮影部を有し、撮影部において印刷対象である爪を撮影させ、その画像(爪画像)を制御部31が取得するようにしてもよい。
この場合には、この爪画像に基づいて制御部31が爪の輪郭形状を検出することにより、指保持部6に保持された指の爪の位置等を正確に把握して、より適切な範囲に印刷を施すことができる。
【0052】
また、本実施形態では、爪等に印刷するデザインのデータ等は、端末装置等の外部機器から取得してもよいし、印刷装置1の記憶部32等に記憶されていてもよい。さらに、例えば印刷装置1又はこれと連携する端末装置等がネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインのデータを参照可能に構成してもよい。
この場合には、印刷装置1の記憶部32等の容量を大きくしなくても、より多くのデザインの中から印刷するデザインを選択することが可能となる。
【0053】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドのインク吐出動作及び移動動作を制御する印刷制御部と、
前記印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得手段と、
を備え、
前記速度取得手段によって取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動動作を継続させ、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、所定の移動速度安定時間を経過した後に前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値の範囲に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させた位置から前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記印刷制御部は、前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値以下である所定値よりも低下した場合には、前記印刷ヘッドのインク吐出動作及び移動を停止させて印刷を中止させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項5>
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得工程と、
前記速度取得工程において取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動を継続させる移動継続工程と、
前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させる印刷動作再開工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
<請求項6>
コンピュータに、
印刷対象の上方を移動する印刷ヘッドの移動速度を取得する速度取得機能と、
前記速度取得機能によって取得された前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱したか否かを判断する機能と、
前記印刷ヘッドの移動速度が所定の適正値の範囲から逸脱した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を停止させるとともに、前記印刷ヘッドの移動を継続させる機能と、
前記印刷ヘッドの移動速度が前記適正値の範囲外から前記適正値に復帰した場合に、前記印刷ヘッドのインク吐出動作を再開させる機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0054】
1 印刷装置
6 指保持部
31 制御部
32 記憶部
40 印刷部
41 印刷ヘッド
43 ヘッド移動距離計測手段
44 時間計測手段
図1
図2
図3