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特許7419918駐車支援制御装置、駐車支援装置、駐車支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】駐車支援制御装置、駐車支援装置、駐車支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 99/00 20090101AFI20240116BHJP
【FI】
B60R99/00 351
B60R99/00 322
B60R99/00 330
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020055485
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154803
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅田 章典
(72)【発明者】
【氏名】永井 亮行
(72)【発明者】
【氏名】春原 一史
(72)【発明者】
【氏名】清水 義之
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-199298(JP,A)
【文献】特開2000-229547(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039004(WO,A1)
【文献】特開2009-192365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 99/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得部と、
前記駐車場における障害物を検出する障害物検出部と、
前記駐車場情報取得部が取得した駐車場情報と、前記障害物検出部の検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する駐車候補判定部と、
前記車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する移動範囲情報取得部と、
前記駐車候補判定部の判定結果と、前記移動範囲情報取得部が取得した前記移動範囲情報とに基づいて、複数の前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形をそれぞれ重畳した駐車候補画像を出力する表示制御部と、
を備え
前記駐車候補画像は、前記車両とそれぞれの前記駐車候補の駐車区画との相対的な位置関係、または、前記駐車場内における前記車両の走行ルートの予測進行方向に基づいて、前記車両の移動範囲を示す図形の態様をそれぞれについて変化させる、
駐車支援制御装置。
【請求項2】
前記複数の前記駐車候補の駐車区画は、前記駐車場内における前記車両の走行ルートの予測進行方向に沿った、数か所先までの駐車候補である、
請求項1に記載の駐車支援制御装置。
【請求項3】
前記駐車候補画像は、複数の前記駐車候補の駐車区画のうち、車両が通過した駐車区画は、前記車両の移動範囲を示す図形を目立たない態様に変化させる、
請求項1または2に記載の駐車支援制御装置。
【請求項4】
前記車両の運転者の駐車傾向を示す駐車傾向情報を取得する傾向情報取得部、
をさらに備え、
前記駐車候補判定部は、さらに前記傾向情報取得部が取得した前記車両の運転者の駐車傾向情報に基づいて、前記駐車候補の駐車区画を判定する、
請求項に記載の駐車支援制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の駐車支援制御装置と、
前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形を重畳した駐車候補画像を出力する表示部と、
を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項6】
駐車場における駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得ステップと、
前記駐車場における障害物を検出する障害物検出ステップと、
前記駐車場情報取得ステップによって取得された駐車場情報と、前記障害物検出ステップにおける検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する駐車候補判定ステップと、
前記車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する移動範囲情報取得ステップと、
前記駐車候補判定ステップの判定結果と、前記移動範囲情報取得ステップが取得した前記移動範囲情報とに基づいて、複数の前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形をそれぞれ重畳した駐車候補画像を出力する表示制御ステップと、
を含み、
前記駐車候補画像は、前記車両とそれぞれの前記駐車候補の駐車区画との相対的な位置関係、または、前記駐車場内における前記車両の走行ルートの予測進行方向に基づいて、前記車両の移動範囲を示す図形の態様をそれぞれについて変化させる、
駐車支援方法。
【請求項7】
駐車支援制御装置として動作するコンピュータに、
駐車場における駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得ステップと、
前記駐車場における障害物を検出する障害物検出ステップと、
前記駐車場情報取得ステップによって取得された駐車場情報と、前記障害物検出ステップにおける検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する駐車候補判定ステップと、
前記車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する移動範囲情報取得ステップと、
前記駐車候補判定ステップの判定結果と、前記移動範囲情報取得ステップが取得した前記移動範囲情報とに基づいて、複数の前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形をそれぞれ重畳した駐車候補画像を出力する表示制御ステップと、
を実行させ
前記駐車候補画像は、前記車両とそれぞれの前記駐車候補の駐車区画との相対的な位置関係、または、前記駐車場内における前記車両の走行ルートの予測進行方向に基づいて、前記車両の移動範囲を示す図形の態様をそれぞれについて変化させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援制御装置、駐車支援装置、駐車支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車時の俯瞰画像に扇形状の駐車に関する案内指標を重畳して表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。第1駐車スペースが駐車条件を充足しない状態になることが予測された場合、又は第1駐車スペース以外の第2駐車スペースが駐車条件を充足する状態になることが予測された場合には、第1態様とは異なる第2表示態様で第1駐車スペースを表示する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-012836号公報
【文献】国際公開第2017/068697号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車時に、車両が走行している状態において、駐車区画に関する情報が表示される場合、表示された情報を運転者が認識することが難しいおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駐車区画の情報を運転者が認識しやすい態様で表示して、適切に駐車支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る駐車支援制御装置は、駐車場における駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得部と、前記駐車場における障害物を検出する障害物検出部と、前記駐車場情報取得部が取得した駐車場情報と、前記障害物検出部の検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する駐車候補判定部と、前記車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する移動範囲情報取得部と、前記駐車候補判定部の判定結果と、前記移動範囲情報取得部が取得した前記移動範囲情報とに基づいて、前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形を重畳した駐車候補画像を出力する表示制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る駐車支援装置は、上記の駐車支援制御装置と、前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形を重畳した駐車候補画像を出力する表示部と、を備える。
【0008】
本発明に係る駐車支援方法は、駐車場における駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得ステップと、前記駐車場における障害物を検出する障害物検出ステップと、前記駐車場情報取得ステップによって取得された駐車場情報と、前記障害物検出ステップにおける検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する駐車候補判定ステップと、前記車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する移動範囲情報取得ステップと、前記駐車候補判定ステップの判定結果と、前記移動範囲情報取得ステップが取得した前記移動範囲情報とに基づいて、前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形を重畳した駐車候補画像を出力する表示制御ステップと、を含む。
【0009】
本発明に係るプログラムは、駐車場における駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得ステップと、前記駐車場における障害物を検出する障害物検出ステップと、前記駐車場情報取得ステップによって取得された駐車場情報と、前記障害物検出ステップにおける検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する駐車候補判定ステップと、前記車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する移動範囲情報取得ステップと、前記駐車候補判定ステップの判定結果と、前記移動範囲情報取得ステップが取得した前記移動範囲情報とに基づいて、前記駐車候補の駐車区画に、前記車両の移動範囲を示す図形を重畳した駐車候補画像を出力する表示制御ステップと、を駐車支援制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駐車区画の情報を運転者が認識しやすい態様で表示して、適切に駐車支援を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第一実施形態に係る駐車支援装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、移動範囲を示す図形の表示態様の一例を示す図である。
図3図3は、移動範囲を示す図形の表示態様の他の例を示す図である。
図4図4は、表示部に表示された駐車候補画像の表示態様の一例を示す図である。
図5図5は、第一実施形態に係る駐車支援装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第二実施形態に係る駐車支援装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る駐車支援制御装置、駐車支援装置、駐車支援方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[第一実施形態]
<駐車支援装置>
図1は、第一実施形態に係る駐車支援装置10の構成例を示すブロック図である。駐車支援装置10は、駐車場において駐車候補の駐車区画を示す駐車候補画像100(図4参照)を表示することによって、駐車区画への駐車を支援する。駐車候補画像100は、駐車候補の駐車区画に、駐車の難易度を運転者が容易に識別可能な移動範囲を重畳した駐車候補画像である。駐車支援装置10は、カメラ(撮影部)11と、GPS受信部12と、駐車場情報記憶部13と、移動範囲情報記憶部14と、表示部15と、制御部(駐車支援制御装置)20とを有する。
【0014】
カメラ11は、車両の周辺を撮影するカメラである。本実施形態では、カメラ11の設置位置や数は任意であるが、少なくとも車両の周辺の駐車区画が撮影可能である。カメラ11は、駐車支援装置10が動作している間は、映像を常時撮影する。カメラ11は、駐車区画線を検出可能な撮影データを撮影する。カメラ11は、撮影した撮影データを制御部20の撮影データ取得部21へ出力する。カメラ11は、撮影した撮影データを図示しない記録部に記憶してもよい。撮影データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0015】
GPS受信部12は、図示しないGPS衛星から電波を受信する。GPS受信部12は、受信した電波の信号を制御部20の位置情報取得部22へ出力する。GPS受信部12は、GPSシステムの利用に限らず、他の方式の測位衛星システムの受信装置などであってもよい。
【0016】
駐車場情報記憶部13は、駐車場ごとに、駐車場の位置と、駐車場における駐車区画の配置、駐車場の駐車区画の形状、車両が走行可能な通路の形状と幅などを含む駐車場情報を記憶する。駐車場情報記憶部13は、駐車場の平面図を示す駐車場画像を駐車場情報に含んで記憶してもよい。駐車場情報記憶部13は、駐車区画ごとに、後ろ向き駐車、前向き駐車、縦列駐車、および、斜め駐車のいずれが可能かあるいは推奨されているかを示す情報を駐車場情報に含んで記憶してもよい。駐車場情報記憶部13は、記憶している駐車場情報を駐車場情報取得部23へ出力する。駐車場情報記憶部13は、図示しない通信機能を介して駐車場情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0017】
移動範囲情報記憶部14は、車両ごとに、駐車動作時における移動範囲を示す図形として、例えば扇形状を移動範囲情報として記憶する。移動範囲情報記憶部14は、記憶している移動範囲情報を移動範囲情報取得部25へ出力する。移動範囲情報記憶部14は、図示しない通信機能を介して移動範囲情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0018】
移動範囲情報とは、駐車時に車両が移動可能な範囲を図形表現で示す情報である。移動範囲を示す図形は、例えば車両が駐車区画の前の通路の進行方向に沿って停止して、ステアリングを切って後退して駐車する、といった基本的な駐車動作を行った場合の駐車の難易度を図形表現で識別可能に示したものである。移動範囲情報は、駐車の難易度を面積によって識別可能な複数パターンの図形であってもよい。移動範囲を示す図形は、例えば、車体の寸法、ステアリング切れ角の範囲、車輪の位置(ホイールベースなど)、車輪のサイズといった車両情報の少なくともいずれかによって外形が規定される。移動範囲を示す図形は、後ろ向き駐車を例にすると、ステアリングを最大角である第一角度で切った場合、第一角度より小さい第二角度で切った場合、および、第二角度より小さい第三角度で切った場合、それぞれの場合における車体の軌跡を示す3パターンの形状の扇形状などである。扇形状の領域は、ステアリング切れ角が小さいほど、面積が広くなる。扇形状の領域は、車体の寸法、車輪の位置および車輪のサイズに応じて、形状および面積が変化する。
【0019】
移動範囲情報は、後ろ向き駐車、前向き駐車、縦列駐車、および、斜め駐車について、それぞれ記憶される。
【0020】
表示部15は、一例としてはナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した表示装置などである。表示部15の一例としては、電子ルームミラーを用いたり、インストルメントパネルの機能としたりすることも可能である。表示部15は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部15は、運転者から視認容易な位置に配置されている。表示部15は、駐車候補画像を表示する。表示部15は、制御部20の表示制御部28から出力された映像信号に基づき、駐車候補の駐車区画に、駐車の難易度を運転者が識別可能な移動範囲を示す図形を重畳した駐車候補画像を表示する。
【0021】
<制御部>
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部20は、記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御部20は、撮影データ取得部21と、位置情報取得部22と、駐車場情報取得部23と、障害物検出部24と、移動範囲情報取得部25と、駐車候補判定部26と、画像生成部27と、表示制御部28とを有する。制御部20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは制御部20におけるデータの一時記憶などに用いられる。制御部20は、内部メモリ等に記憶されているプログラムを展開して実行することで、各部の機能を実現する。図1においては、制御部20で実現される各部は、理解を容易にするために、バス20Xを介して互いに接続されているように記載する。
【0022】
撮影データ取得部21は、車両の周辺を撮影した撮影データを取得する。より詳しくは、撮影データ取得部21は、カメラ11が出力した撮影データを取得する。取得した撮影データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0023】
位置情報取得部22は、GPS受信部12などが受信した電波に基づいて、車両の現在位置の位置情報を公知の方法によって算出する。
【0024】
駐車場情報取得部23は、駐車場の駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する。駐車場情報取得部23は、駐車場情報記憶部13から駐車場情報を取得する。駐車場情報記憶部13の駐車場情報は、図示しない通信部などを介して駐車場の管理者が設置している管理装置から取得したものであってもよい。
【0025】
障害物検出部24は、駐車場における障害物を検出する。障害物検出部24は、駐車区画に駐車している他車両を障害物として検出する。障害物検出部24は、駐車区画への駐車を妨げる位置に存在する、例えば柱、段差、および、壁などの構造物を障害物として検出する。本実施形態では、障害物検出部24は、撮影データ取得部21が取得した撮影データに画像処理を行って、障害物を検出する。障害物検出部24は、駐車場の管理会社が設置している管理装置から、駐車場の駐車区画ごとに、駐車車両の有無を示す情報を取得して、既に駐車している車両を障害物として検出してもよい。障害物検出部24は、例えば赤外線センサまたは超音波センサ、ミリ波レーダなどであり、これらを組み合わせたセンサユニットの検出データから、障害物を検出してもよい。
【0026】
移動範囲情報取得部25は、車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する。移動範囲情報取得部25は、移動範囲情報記憶部14から移動範囲情報を取得する。本実施形態では、移動範囲情報取得部25は、車両の移動範囲を示す図形データを取得する。
【0027】
駐車候補判定部26は、駐車場情報取得部23が取得した駐車場情報と、障害物検出部24の検出結果とに基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する。より詳しくは、駐車候補判定部26は、駐車場情報と障害物の検出結果とに基づいて、障害物が存在しない、言い換えると、空いている駐車区画を判定する。
【0028】
さらに、駐車候補判定部26は、空いている駐車区画のうち、車両の移動範囲が障害物に干渉しない駐車区画を駐車候補として判定する。より詳しくは、駐車候補判定部26は、空いている駐車区画に対して、移動範囲を示す図形が、駐車区画の枠線または障害物などに接触せずに配置可能である場合、その駐車区画を駐車候補として判定する。駐車候補判定部26は、駐車区画に移動範囲を適用した場合に、移動範囲内に障害物が位置しない駐車区画を駐車候補として判定する。
【0029】
駐車候補判定部26は、車両の現在位置に近い駐車区画を優先して駐車候補として判定してもよい。駐車候補判定部26は、例えば、駐車場において施設の出入口に近い駐車区画のように利便性の高い駐車区画を優先して駐車候補として判定してもよい。
【0030】
駐車候補判定部26は、例えば車両の現在位置が駐車場の入口付近である場合に、処理を行ってもよい。駐車候補判定部26は、例えば車両の現在位置が駐車場内である場合に、継続して処理を行ってもよい。継続して処理を行うことにより、車両が駐車場内を走行する場合に、車両の位置に応じた駐車候補が判定される。
【0031】
画像生成部27は、駐車場画像における駐車候補となる駐車区画に、車両の移動範囲を示す図形、例えば扇形状を重畳した駐車候補画像100を生成する。より詳しくは、画像生成部27は、駐車場情報から、駐車場における駐車区画の配置図の画像を生成する。画像生成部27は、移動範囲情報から、車両の移動範囲を示す図形の画像を生成する。画像生成部27は、駐車場の配置図において、駐車候補の駐車区画に、移動範囲を示す図形の画像を重畳して、駐車候補画像100を生成する。
【0032】
画像生成部27は、車両の現在位置に近い駐車候補の駐車区画についてのみ駐車候補画像100を生成してもよい。
【0033】
画像生成部27は、駐車場内における車両の走行ルートの予測進行方向に基づいて、駐車候補画像100の表示態様を変化させてもよい。より詳しくは、画像生成部27は、車両が駐車場内を走行している場合、数か所先までの駐車候補について、駐車候補画像100を生成してもよい。画像生成部27は、車両が駐車場内を走行して通過した駐車区画は、移動範囲を示す図形の画像の重畳した駐車候補画像100の生成を終了してもよいし、移動範囲を示す図形の画像の色を薄くするなど目立たない態様で駐車候補画像100を生成してもよい。
【0034】
画像生成部27は、駐車候補の駐車区画の難易度を区別可能な駐車候補画像100を生成してもよい。難易度は、難易度を示すアイコンで示してもよい。難易度は、移動範囲を示す図形の色を変えることによって示してもよい。
【0035】
図2は、移動範囲を示す図形の表示態様の一例を示す図である。図3は、移動範囲を示す図形の表示態様の他の例を示す図である。図2は、後ろ向き駐車における移動範囲を示す図形の表示態様の例である。図3は、縦列駐車における移動範囲を示す図形の表示態様の例である。図2図3ともに、難易度に応じた3つのパターンの網掛けされた図形部分で例示されている。図2の後ろ向き駐車における場合を例にすると、例えば移動範囲を示す扇形状の面積が広いものから狭くなるほど、難易度が「とても簡単」、「簡単」、「難」となる。難易度は星の記号で示され、色が塗られた星の記号の数が多いほど簡単であることを示す。また、難易度は、扇形状の色や図のような段階的なブロック分け表現を施して示してもよい。難易度が「とても簡単」とは、例えば駐車区画および通路にも余裕があり、駐車時に大回りが可能な駐車区画である。難易度が「簡単」とは、例えば駐車区画または通路のどちらかに余裕がある駐車区画である。難易度が「難」とは、例えば駐車区画および通路に余裕がない駐車区画である。難易度が「難」の駐車区画は、駐車動作時に、ステアリング切れ角を大きくする必要がある。
【0036】
表示制御部28は、駐車を支援する情報を表示する制御を行う。表示制御部28は、画像生成部27が生成した駐車候補画像100を表示部15に表示する。表示制御部28は、駐車候補判定部26の判定結果と、移動範囲情報取得部25が取得した移動範囲情報とに基づいて、駐車候補となる駐車区画に、車両の移動範囲を示す図形として扇形状を重畳した駐車候補画像100を表示する。
【0037】
表示制御部28は、駐車候補の駐車区画に対する、車両の駐車の難易度を識別可能な態様で表示することが好ましい。例えば、難易度に応じた3つのパターンの移動範囲の図形から、駐車候補の駐車区画に応じた、最も難易度の低くなるパターンの移動範囲を示す扇形状の図形を適合するように表示する。
【0038】
表示制御部28は、車両と、駐車候補の駐車区画との相対的な位置関係に基づいて、移動範囲の態様を変化させて表示することが好ましい。表示制御部28は、駐車場内における車両の走行ルートの予測進行方向に基づいて、駐車候補画像100の表示態様を変化させて表示してもよい。より詳しくは、表示制御部28は、車両が駐車場内を走行している場合、数か所先までの駐車候補について、駐車候補画像100を表示してもよい。表示制御部28は、車両が駐車場内を走行して通過した駐車区画は、移動範囲を示す扇形状の画像の重畳した駐車候補画像100の表示を終了してもよいし、移動範囲を示す扇形状の画像の色を薄くするなど目立たない態様の駐車候補画像100を表示してもよい。
【0039】
図4は、表示部15に表示された駐車候補画像100の表示態様の一例を示す図である。図4に示す駐車候補画像100では、2つの駐車区画103と駐車区画104とが駐車候補として表示されている。駐車区画103には、図2における難易度が「とても簡単」に対応する移動範囲を示す扇形状画像111と記号アイコン112とが重畳されている。駐車区画104には、図2における難易度が「難」に対応する移動範囲を示す扇形状画像121と記号アイコン122とが重畳されている。運転者は、駐車候補画像100を確認して、駐車区画103の扇形状画像111が駐車区画104の扇形状画像121より広く、駐車の難易度が低い、言い換えると駐車しやすいことが容易にわかる。
【0040】
<制御部における処理>
次に、図5を参照して、駐車支援装置10の制御部20における処理の流れについて説明する。図5は、第一実施形態に係る駐車支援装置10における処理の流れを示すフローチャートである。駐車支援装置10の起動中、カメラ11が撮影した車両の周辺の撮影データを、撮影データ取得部21が取得する。また、GPS受信部12が受信した電波の信号を位置情報取得部22が取得して、車両の現在位置の位置情報を取得する。
【0041】
制御部20は、車両の現在位置が駐車場の入口であるか否かを判定する(ステップS101)。より詳しくは、制御部20は、位置情報取得部22が取得した車両の現在位置と、駐車場情報取得部23が取得した駐車場情報とに基づいて、車両の現在位置が駐車場の入口付近であるか否かを判定する。車両の現在位置が駐車場の入口付近であると判定する場合(ステップS101でYes)、ステップS102へ進む。車両の現在位置が駐車場の入口付近であると判定しない場合(ステップS101でNo)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0042】
制御部20は、駐車場情報を取得する(ステップS102)。より詳しくは、駐車場情報取得部23によって、駐車場の駐車区画の情報と車両が移動可能な通路の情報とを含む駐車場情報を取得する。制御部20は、ステップS103に進む。
【0043】
制御部20は、障害物を検出する(ステップS103)。より詳しくは、障害物検出部24によって、駐車場の各駐車区画に駐車している他車両を障害物として検出する。障害物検出部24によって、駐車区画への駐車を妨げる位置に存在する、例えば柱、段差、および、壁などの構造物を障害物として検出する。これらの障害物を検出する方法は、限定されない。制御部20は、ステップS104に進む。
【0044】
制御部20は、移動範囲情報を取得する(ステップS104)。より詳しくは、移動範囲情報取得部25によって、車両の車両情報に基づく移動範囲情報を取得する。移動範囲情報は、駐車時に車両が移動可能な範囲を示す図形データである。制御部20は、ステップS105に進む。
【0045】
制御部20は、駐車候補を判定する(ステップS105)。より詳しくは、駐車候補判定部26によって、駐車場情報と障害物の検出結果とに基づいて、障害物が存在しない、言い換えると、空いている駐車区画を判定する。さらに、駐車候補判定部26によって、空いている駐車区画のうち、車両の移動範囲が障害物に干渉しない駐車区画を駐車候補として判定する。制御部20は、ステップS106へ進む。
【0046】
制御部20は、画像を生成する(ステップS106)。より詳しくは、画像生成部27によって、駐車候補となる駐車区画に、車両の移動範囲を示す図形、例えば扇形状を重畳した駐車候補画像100を生成する。制御部20は、ステップS107へ進む。
【0047】
制御部20は、駐車候補画像100を表示する(ステップS107)。より詳しくは、表示制御部28によって、駐車候補判定部26の判定結果と、移動範囲情報取得部25が取得した移動範囲情報とに基づいて、駐車候補となる駐車区画に、車両の移動範囲を示す扇形状を重畳した駐車候補画像100を表示部15に表示する。制御部20は、処理を終了する。
【0048】
<効果>
上述したように、本実施形態では、車両が駐車動作に入る前に、駐車候補の駐車区画に、駐車の難易度を運転者が容易に識別可能な移動範囲を重畳した駐車候補画像100を表示できる。本実施形態では、車両が駐車動作に入る前に、車両の運転者は、駐車候補画像100によって難易度を確認して駐車区画を選択できる。このように、本実施形態によれば、駐車区画の情報を運転者が認識しやすい態様で表示して、適切に駐車支援を行うことができる。
【0049】
これに対して、駐車区画の候補を走行しながら随時報知する場合には、運転に集中できないおそれ、または、運転に集中して駐車区画の候補を確認しにくいおそれがある。
【0050】
本実施形態では、駐車候補の駐車区画に、移動範囲を示す扇形状画像を重畳した駐車候補画像100を表示する。本実施形態では、移動範囲を示す扇形状画像は、駐車の難易度を面積として識別可能な複数パターンがある。本実施形態によれば、運転者は、駐車候補画像100を確認して、駐車区画ごとに駐車の難易度を直感的に識別できる。
【0051】
[第二実施形態]
図6を参照しながら、第二実施形態に係る駐車支援装置10Aについて説明する。図6は、第二実施形態に係る駐車支援装置10Aの構成例を示すブロック図である。駐車支援装置10Aは、基本的な構成は第一実施形態の駐車支援装置10と同様である。以下の説明においては、駐車支援装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。駐車支援装置10Aは、傾向情報記憶部16Aと制御部20Aに傾向情報取得部29Aを有する点と、制御部20Aの駐車候補判定部26Aにおける処理とが第一実施形態と異なる。
【0052】
傾向情報記憶部16Aは、車両の運転者の駐車傾向を示す駐車傾向情報を記憶する。傾向情報記憶部16Aは、車両の運転者ごとに、例えば駐車の好み情報または駐車履歴情報などを記憶する。駐車の好み情報とは、後ろ向き駐車、前向き駐車、縦列駐車、および、斜め駐車のいずれの駐車区画を優先するかを示す情報である。駐車の好み情報とは、設定画面などを介したユーザの設定操作によって設定可能である。駐車履歴情報とは、後ろ向き駐車、前向き駐車、縦列駐車、および、斜め駐車のいずれを行った回数が多いかを示す情報である。駐車傾向情報は、駐車場ごとに記憶していてもよい。例えば特定のショッピングモールの駐車場では後ろ向き駐車の回数が多く、他のショッピングモールでは前向き駐車の回数が多い、といったように記憶してもよい。
【0053】
傾向情報取得部29Aは、傾向情報記憶部16Aから、車両の運転者の駐車傾向を示す駐車傾向情報を取得する。
【0054】
駐車候補判定部26Aは、さらに傾向情報取得部29Aが取得した、車両の運転者の駐車傾向情報に基づいて、駐車候補の駐車区画を判定する。より詳しくは、駐車候補判定部26Aは、第一実施形態の駐車候補判定部26が行う判定に加えて、さらに車両の運転者の駐車傾向情報から、車両の運転者の駐車の好みに適した駐車候補の駐車区画を判定する。これにより、駐車候補判定部26Aは、例えば車両の運転者が前向き駐車可能な駐車区画を好んでいる場合、前向き駐車可能な駐車区画を駐車候補として判定する。駐車候補判定部26Aは、例えば当該駐車場の駐車履歴において車両の運転者が後ろ向き駐車の回数が多い場合、後ろ向き駐車ができる駐車区画を駐車候補として判定する。
【0055】
上述したように、本実施形態では、車両の運転者の好みや駐車履歴に基づいて、適切な駐車候補画像100を表示できる。
【0056】
さて、これまで本発明に係る駐車支援装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0057】
図示した駐車支援装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0058】
駐車支援装置10の構成は、例えばソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0059】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0060】
<変形例>
上記において、表示部15に表示された駐車候補画像100をタッチ操作などすることによって、タッチ操作された駐車区画の予約ができるようにしてもよい。この場合、駐車支援装置10と図示しない駐車場のサーバ装置とがデータを通信可能に接続されていて、駐車支援装置10からサーバ装置へ予約情報を送信すればよい。これにより、車両のユーザの利便性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 駐車支援装置
11 カメラ(撮影部)
12 GPS受信部
13 駐車場情報記憶部
14 移動範囲情報記憶部
15 表示部
20 制御部(駐車支援制御装置)
21 撮影データ取得部
22 位置情報取得部
23 駐車場情報取得部
24 障害物検出部
25 移動範囲情報取得部
26 駐車候補判定部
27 画像生成部
28 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6