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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】竪型ローラミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B02C15/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020055612
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154197
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 和宏
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-000768(JP,A)
【文献】実開昭57-165248(JP,U)
【文献】米国特許第08820535(US,B1)
【文献】実開昭57-165246(JP,U)
【文献】実開平06-029636(JP,U)
【文献】実開平04-053455(JP,U)
【文献】特開平06-286840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/00 - 15/16
B02C 23/10 - 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪型ハウジングと、
該竪型ハウジングの下部に設けられ被粉砕物を粉砕する粉砕部と、
該粉砕部に被粉砕物を供給する原料供給部と、
前記粉砕部で発生する粉砕物を上方に搬送する上昇流を発生させる気流発生部と、
前記粉砕部の上方に設けられ前記粉砕物を分級する分級部と、
前記原料供給部に設けられ、前記粉砕物を前記粉砕部に向けて落下させるドア付ホッパとを備え
前記ドア付ホッパは、
前記粉砕物を収容すると共に下端に下部開口が設けられるホッパ本体と、
前記下部開口を閉鎖/ 開放する扉部と、
該扉部に前記下部開口を塞ぐ付勢力を作用させる付勢部とを備え、
前記扉部は、前記ホッパ本体において前記原料供給部から遠い側に回動支点を有することを特徴とする竪型ローラミル。
【請求項2】
前記粉砕部と前記分級部との間に設けられ、前記粉砕物が流通する流通開口の開口面積を切替える流路調節部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の竪型ローラミル。
【請求項3】
前記扉部は、前記ホッパ本体の下端に回動自在に設けられ、重力方向に対して鋭角となる姿勢で前記下部開口を閉鎖し、前記粉砕物の重量が作用して前記下部開口を開放することを特徴とする請求項1または2に記載の竪型ローラミル。
【請求項4】
前記被粉砕物は、石炭あるいはバイオマスであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の竪型ローラミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型ローラミルに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、粉砕されたバイオマス粉体を効率的に外部に排出することができるバイオマス粉砕装置及びバイオマス・石炭混焼システムが開示されている。この背景技術は、バイオマス原料を鉛直軸方向上方から供給する原料供給管と、バイオマス原料が載置される粉砕テーブルと、粉砕テーブルを回転駆動する駆動部と、バイオマス原料を押圧力により粉砕する粉砕ローラと、粉砕したバイオマス粉体を上昇流を用いて上方に気流搬送する送風手段と、内筒と外筒とを用いてバイオマス粉体を分級する分級器とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-083016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術では、分級器から外部に排出されなかったバイオマス粉体(粉砕物)が原料供給管と外筒との隙間を介して粉砕テーブル上に落下する。この一方、バイオマス原料を粉砕する場合、原料供給管の管径を小さくすることによって供給流速を上げることが行われている。この場合に隙間に対する上昇流の影響が増大するので、粉砕物が隙間を通過することができず、最終的に隙間を閉塞させる虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上昇流の影響を従来よりも軽減して粉砕物を粉砕テーブル上に効果的に供給することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、竪型ローラミルに係る第1の解決手段として、竪型ハウジングと、該竪型ハウジングの下部に設けられ被粉砕物を粉砕する粉砕部と、該粉砕部に被粉砕物を供給する原料供給部と、前記粉砕部で発生する粉砕物を上方に搬送する上昇流を発生させる気流発生部と、前記粉砕部の上方に設けられ前記粉砕物を分級する分級部と、前記原料供給部に設けられ、前記粉砕物を前記粉砕部に向けて落下させるドア付ホッパとを備える、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、竪型ローラミルに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記粉砕部と前記分級部との間に設けられ、前記粉砕物が流通する流通開口の開口面積を切替える流路調節部をさらに備える、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、竪型ローラミルに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記ドア付ホッパは、前記粉砕物を収容すると共に下端に下部開口が設けられるホッパ本体と、前記下部開口を閉鎖/開放する扉部と、該扉部に前記下部開口を塞ぐ付勢力を作用させる付勢部とを備える、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、竪型ローラミルに係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記扉部は、前記ホッパ本体の下端に回動自在に設けられ、重力方向に対して鋭角となる姿勢で前記下部開口を閉鎖し、前記粉砕物の重量が作用して前記下部開口を開放する、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、竪型ローラミルに係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記扉部は、前記ホッパ本体において前記原料供給部から遠い側に回動支点を有する、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、竪型ローラミルに係る第6の解決手段として、上記第1~第5のいずれかの解決手段において、前記被粉砕物は石炭あるいはバイオマスである、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上昇流の影響を従来よりも軽減して粉砕物を粉砕テーブル上に効果的に供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る竪型ローラミルの構成を示す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるドア付ホッパの一部を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る竪型ローラミルAは、石炭あるいはバイオマスを被粉砕物Xとするものである。すなわち、この竪型ローラミルAは、例えば火力発電所のボイラに併設される設備であり、ボイラの燃料である被粉砕物Xを所定の粒径(最適燃料粒径)まで粉砕してボイラに供給する燃料供給系を構成している。
【0015】
ここで、上記最適燃料粒径は、燃料としての性質の違いから石炭とバイオマスとで異なる。石炭の最適燃料粒径は例えば数十ミクロンメートルであり、バイオマスの最適燃料粒径は例えば数百ミクロンメートルである。したがって、竪型ローラミルAは、ボイラに向けて排出する粉砕物Xaの粒径を石炭あるいはバイオマスに応じて変更するように性能調整される。
【0016】
火力発電所は、石炭あるいはバイオマスを択一的に燃料として選択してボイラを運転し、当該ボイラが発生させる蒸気等を用いてタービンを作動させることにより発電機を駆動する。すなわち、火力発電所は、時期に応じて燃料を石炭あるいはバイオマスに切り替えつつ運転される。したがって、竪型ローラミルAは、外部から供給される燃料が石炭とバイオマスとの間で切り替えられる度に性能調整する必要がある。
【0017】
このような本実施形態に係る竪型ローラミルAは、図1に示すように、竪型ハウジング1、粉砕部2、原料供給部3、気流発生部4、分級部5、流路調節部6及びドア付ホッパ7を備えている。
【0018】
竪型ハウジング1は、鉛直姿勢の有底円筒状部材である。すなわち、この竪型ハウジング1は、ハウジング本体1aと、当該ハウジング本体1aの下端に設けられた支持体1bと、ハウジング本体1aの上端に設けられた蓋体1cとを備える。
【0019】
上記ハウジング本体1aは、略円筒状の部材であり、支持体1bによって鉛直姿勢に支持されている。支持体1bは、ハウジング本体1aの下端を閉塞させると共に鉛直姿勢つまり中心軸線が鉛直方向となるようにハウジング本体1aを地面に対して支持する基礎構造物である。蓋体1cは、竪型ハウジング1の上端を閉塞状態とする略円板状の部材であり、排出部1dを備えている。この排出部1dは、粉砕物Xaをボイラ等の外部に排出する開口である。
【0020】
粉砕部2は、回転テーブル2a、複数の粉砕ローラ2b、回転動力源2c及び連結機2dを備え、被粉砕物Xである石炭あるいはバイオマスを粉砕して粉砕物を生成する。回転テーブル2aは、水平姿勢で回転する回転体であり、上面が円環状の破砕面2eである。この回転テーブル2aは、連結機2dを介して回転動力源2cによって回転駆動されることによって、上記破砕面2eを水平面内で回転させる。
【0021】
なお、上記破砕面2eは、鉛直方向から見た場合に所定幅を有する円環状の面である。また、破砕面2eの内側は、図示するように水平方向から見た場合に略円錐状に盛り上がる中央突出部2fが設けられている。この中央突出部2fは、破砕面2eと同軸状に設けられており、上方の原料供給部3から落下する被粉砕物Xを受ける受部である。
【0022】
粉砕ローラ2bは、周面が上記破砕面2eに対峙する円形ローラであり、竪型ハウジング1に対して回動自在に支持されている。この粉砕ローラ2bは、破砕面2eとの間に被粉砕物Xを挟んだ状態で従動回転する。上述した被粉砕物Xは、回転テーブル2aの破砕面2e(上面)と粉砕ローラ2bの周面との間に噛み込まれることによって破砕され、粉砕物Xaとなる。
【0023】
このような粉砕ローラ2bは、鉛直方向から見た場合に、回転テーブル2a(破砕面2e)の回転中心周りに所定の角度割で複数設けられている。例えば、この粉砕ローラ2bは、回転中心周りに120°の角度割で3つ設けられている。すなわち、被粉砕物Xは、回転テーブル2a(破砕面2e)上の離散する複数個所、例えば3か所で破砕されて粉砕物Xaとなる。
【0024】
回転動力源2cは、出力軸が水平姿勢となるように設けられた原動機であり、連結機2dを介して回転テーブル2aに接続されている。連結機2dは、回転動力源2cと回転テーブル2aとの間に設けられており、回転動力源2cの回転を減速させて回転テーブル2aに伝達する減速機である。すなわち、この連結機2dは、回転動力源2cの回転を減速させると共に回転中心を水平方向から鉛直方向に変換する変換器としても機能する。
【0025】
原料供給部3は、上記蓋体1cによって鉛直姿勢に支持された管状部材であり、内部を被粉砕物Xが流通する。この原料供給部3は、中心軸線(鉛直軸)が回転テーブル2a(破砕面2e)の回転中心と同軸である。すなわち、原料供給部3は、上記中央突出部2fの中心に向けて被粉砕物Xを上方から供給する。
【0026】
気流発生部4は、空気導入部4a及び複数の案内口4bを備え、外部から供給される圧縮空気Fを受け付けて竪型ハウジング1に上昇流を形成する。空気導入部4aは、圧縮空気Fの受入口であり、図示するように竪型ハウジング1の下部に設けられている。複数の案内口4bは、回転テーブル2aの外周側に所定間隔を空けて設けられており、矢印で示すように空気導入部4aから流入する圧縮空気Fを上方に向けて放出する。
【0027】
ここで、回転テーブル2a上で生成される粉砕物は、上記気流発生部4が発生させる上昇流に乗って回転テーブル2aの上方に搬送される。また、この粉砕物は、流路調節部6を通過することによって分級部5に至る。
【0028】
分級部5は、原料供給部3を中心として回転する回転分級機であり、外周部が粉砕物Xaの流入口であり、上部が粉砕物Xaの流出口である。この分級部5は、回転によって発生する風圧によって、粒径が最適燃料粒径以下のものを選択的に捕集して排出部1dに供給し、粒径が最適燃料粒径を超えるものについては下方に落下させる。
【0029】
流路調節部6は、上述した粉砕部2と分級部5との間に設けられる板状部材であって、本体部6a及び複数の部分閉塞板6bを備える。この流路調節部6は、粉砕物Xaが流通する流通開口6cの一部を部分閉塞板6bで塞ぐことによって、流通開口6cの開口面積を切替える。
【0030】
本体部6aは、1あるいは複数の流通開口が形成された漏斗状(逆円錐形状)の板材であり、複数の流通開口に加え、下部挿通口6d及び上部固定部6eを備えている。なお、複数の流通開口6cは、周方向に所定間隔で並ぶ略矩形状の切欠きである。
【0031】
下部挿通口6dは、円形開口であり、ドア付ホッパ7が装着されている。すなわち、下部挿通口6dと原料供給部3の外周部との間には隙間(外周隙間)が形成されている。この外周隙間は、分級部5から落下してきた粉砕物Xaが流通するためのものであり、当該粉砕物Xaを粉砕部2に再供給させるためのものである。
【0032】
上部固定部6eは、直径が下部挿通口6dよりも大幅に大きな円形開口であり、ハウジング本体1aの内壁に固定される。すなわち、この上部固定部6eは、ハウジング本体1aの内壁に隙間なく固定されている。
【0033】
複数の部分閉塞板6bは、本体部6aに着脱自在に装着される板材であり、各流通開口6cの一部を塞ぐ。より詳細には、この部分閉塞板6bは、流通開口6cの下側の領域を塞ぐように本体部6aに装着される。このような部分閉塞板6bは、本体部6aへの着脱が容易なように、例えばネジ等の締結具によって本体部6aに装着される。また、これら部分閉塞板6bは、漏斗状(逆円錐形状)に形成された本体部6aの内側と外側のうち、外側に装着される。
【0034】
ここで、各部分閉塞板6bは各流通開口6cの下側領域つまり原料供給部3により近い部位を塞ぐので、部分閉塞板6bが装着された状態の各流通開口6cは上側つまりハウジング本体1aの内壁により近い部位が開放されている。この開放部位は、例えば分級部5の流入口の直下に位置する。
【0035】
ドア付ホッパ7は、図1に示すように原料供給部3の外周部に設けられており、ホッパ本体7a、扉部7b及び付勢部7cを備えている。このドア付ホッパ7は、上述した外周隙間を粉砕物Xaの重量を利用することにより自律的に開閉するものであり、閉状態において粉砕物Xaを蓄積し、開状態において蓄積した粉砕物Xaを下方に落下させる。
【0036】
ホッパ本体7aは、原料供給部3の外周部に円環状に設けられる一種の容器であり、分級部5から落下してきた粉砕物Xaを一時的に収容する。このホッパ本体7aは、内部が原料供給部3の周方向に区分されており、図2に示すように複数の区分領域7dが形成されている。また、各区分領域7dの下端には下部開口7eがそれぞれ設けられている。
【0037】
扉部7bは、上記ホッパ本体7aの下端に回動自在に設けられている。すなわち、この扉部7bは、図2に示すように原料供給部3から遠い側に水平姿勢で設けられた回動軸7fを介してホッパ本体7aに接続されており、回動軸7fを支点として回動することによって上記下部開口7eを開閉する。このような扉部7bは、図2に示すように重力方向(鉛直方向)に対して鋭角(90°以下)となる姿勢で下部開口7eを塞ぐと共に、粉砕物Xaの重量が作用することによって下部開口7eを開放する。なお、上記回動軸7eは本発明の回動支点に相当する。
【0038】
付勢部7cは、上記扉部7bにホッパ本体7aの下部開口7eを塞ぐ付勢力を作用させる。すなわち、この付勢部7cは、扉部7bに固定されたカウンターウエイトであり、回動軸7e(回動支点)から扉部7bとは異なる方向に離間した状態で設けられている。このような付勢部7cは、重力が作用することにより扉部7bに下部開口7eを塞ぐ向き(上向き)の付勢力を作用させる。
【0039】
次に、本実施形態に係る竪型ローラミルAの動作について詳しく説明する。
最初に石炭を被粉砕物Xとする場合について説明する。この場合には流路調節部6における複数の部分閉塞板6bが全て取り外され、全ての流通開口6cの開口面積は比較的広く設定される。
【0040】
上記部分閉塞板6bの取外作業は、粉砕部2において粉砕ローラ2bを回転テーブル2aに対峙する位置から移動させた状態で、作業員が回転テーブル2a上に進入して行われる。この部分閉塞板6bの取外作業は、各部分閉塞板6bは締結具によって本体部6aに装着されているので作業性が良い。
【0041】
そして、この竪型ローラミルでは、流通開口6cの開口面積が比較的広く設定された状態において、被粉砕物X(石炭)が外部から原料供給部3の上端に順次連続的に供給される。そして、この被粉砕物X(石炭)は、原料供給部3を経由して回転テーブル2aの中央突出部2fに順次供給され、中央突出部2fの形状効果に基づいて破砕面2eに順次供給される。
【0042】
すなわち、被粉砕物X(石炭)は、上方から中央突出部2fに供給されるが、中央突出部2fが中央が上側に盛り上がった山形に形状設定されているので、中央突出部2fの傾斜面に沿って流動して内側から破砕面2eに流れ込む。このような被粉砕物X(石炭)の動きは破砕面2eの内側の各所において発生するので、破砕面2eには内側の各所に被粉砕物X(石炭)が順次供給される。
【0043】
一方、外部から原料供給部3への被粉砕物Xの供給に並行して、回転テーブル2aが回転動力源2cによって回転駆動される。この結果、破砕面2eに供給された被粉砕物X(石炭)は、破砕面2eと粉砕ローラ2bとの間に噛み込まれて破砕される。
【0044】
すなわち、粉砕ローラ2bの回転に伴って粉砕ローラ2bが従動回転すると共に粉砕ローラ2bの周面には破砕面2eに対する押付力が作用するので、被粉砕物X(石炭)は、破砕面2eと粉砕ローラ2bの周面との間で押し潰され、かつせん断力が作用することによって破砕される。このような被粉砕物X(石炭)に対する破砕作用によって破砕面2e上には粉砕物Xa(微粉炭)が徐々に生成される。
【0045】
そして、破砕面2e上の粉砕物Xa(微粉炭)は、気流発生部4によって回転テーブル2aの外周に発生している上昇流によって上方に吹き上げられる。すなわち、破砕面2e上の粉砕物Xa(微粉炭)のうち、粒径が比較的小さなものが上昇流の圧力が作用して浮上する。そして、この粉砕物Xa(微粉炭)は、上昇流とともに流路調節部6の流通開口6cを通過して分級部5に至る。
【0046】
ここで、粉砕物Xa(微粉炭)が流通開口6cを通過する際の流速は、流通開口6cの開口面積が比較的広く設定されているため比較的遅い。すなわち、粉砕物Xa(微粉炭)は、流路調節部6の各流通開口6cを通過する際に流体力学におけるベルヌーイ効果つまり流速の上昇効果を殆ど受けることなく上昇する。
【0047】
なお、石炭を被粉砕物Xとする場合における流通開口6cの開口面積、つまり部分閉塞板6bが本体部6aから取り外された状態における流通開口6cの開口面積S1は、粉砕物Xa(微粉炭)に作用する増速効果を睨んで適宜設定される。すなわち、この開口面積S1はに基づいて最適設定される。
【0048】
この結果、粒径が比較的小さいために比較的軽い粉砕物Xa(微粉炭)は、流路調節部6の各流通開口6cで増速されなくても、分級部5に容易に至る。そして、粉砕物Xa(微粉炭)は、分級部5において粒径が最適燃料粒径以下のものが選択的に捕集され、排出部1dを介して外部に排出される。
【0049】
一方、分級部5で捕集されなかった粉砕物Xa(微粉炭)は、粒径が最適燃料粒径よりも大きなものであり、殆どが分級部5の下方の流路調節部6上に落下する。この粉砕物Xa(微粉炭)は、粒径が最適燃料粒径よりも大きいものであり、さらに微細化する必要があるものである。このような粉砕物Xa(微粉炭)は、ドア付ホッパ7を下側として傾斜する流路調節部6上を流下してドア付ホッパ7のホッパ本体7aに収容される。
【0050】
このホッパ本体7aでは、粉砕物Xa(微粉炭)が流路調節部6から順次供給されるので、また扉部7bが初期的に閉状態にあるので、粉砕物Xa(微粉炭)の収容量が徐々に増大する。そして、ホッパ本体7aにおける粉砕物Xa(微粉炭)の収容量に基づいて扉部7bに作用する押圧力(下向きの力)が付勢部7cが発生させる付勢力(上向きの力)を超えると、扉部7bか閉状態から開状態となり、ホッパ本体7aの下部開口7eが開放される。
【0051】
すなわち、この竪型ローラミルAでは、扉部7bが閉状態にある場合、ホッパ本体7a内の粉砕物Xa(微粉炭)には、気流発生部4が発生させる上昇流が作用しない。そして、この竪型ローラミルAでは、扉部7bが開状態になると、上昇流による上方に押し上げる力(影響)が作用するが、この状態における粉砕物Xa(微粉炭)の量は、ホッパ本体7aの収容量であり比較的多い。
【0052】
したがって、このような竪型ローラミルAによれば、粉砕物Xa(微粉炭)が上昇流の影響で下部開口7eから落下しなかったり、またこれによって下部開口7eが粉砕物Xa(微粉炭)によって閉塞するような事態を回避することが可能である。この結果として、本実施形態によれば、上昇流の影響を従来よりも軽減して粉砕物Xa(微粉炭)を粉砕テーブル2a上に効果的に供給することが可能である。
【0053】
一方、バイオマスを被粉砕物Xとする場合、流路調節部6における複数の部分閉塞板6bが全て本体部6aに装着される。すなわち、流路調節部6における全ての流通開口6cの開口面積は、被粉砕物Xがバイオマスの際に比較的狭く設定される。なお、この部分閉塞板6bの取外作業は、各部分閉塞板6bが締結具によって本体部6aに装着されているので作業性が良い。
【0054】
そして、この竪型ローラミルAでは、開口面積が比較的狭く設定された状態において、被粉砕物X(バイオマス)が外部から原料供給部3の上端に順次連続的に供給される。そして、この被粉砕物X(バイオマス)は、原料供給部3を経由して回転テーブル2aの中央突出部2fに順次供給され、中央突出部2fの形状効果に基づいて破砕面2eに順次供給される。
【0055】
また、外部から原料供給部3への被粉砕物X(バイオマス)の供給に並行して、回転テーブル2aが回転動力源2cによって回転駆動される。この結果、破砕面2eに供給された被粉砕物X(バイオマス)は、破砕面2eと粉砕ローラ2bとの間に噛み込まれて破砕され、粉砕物Xa(微細バイオマス)となる。
【0056】
そして、破砕面2e上で生成された粉砕物Xa(微細バイオマス)は、気流発生部4によって回転テーブル2aの外周に発生する上昇流によって上方に吹き上げられる。すなわち、破砕面2e上の粉砕物Xaのうち、粒径の比較的小さなものが上昇流の圧力が作用して浮上する。そして、この粉砕物Xa(微細バイオマス)は、上昇流とともに流路調節部6の流通開口6cを通過して分級部5に至る。
【0057】
ここで、粉砕物Xa(微細バイオマス)が流通開口6cを通過する際の流速は、流通開口6cの開口面積が比較的狭く設定されているので比較的速い。すなわち、粉砕物Xa(微細バイオマス)は、流路調節部6の各流通開口6cを通過する際に流体力学におけるベルヌーイ効果つまり流速の上昇効果を受けて上昇する。
【0058】
なお、バイオマスを被粉砕物Xとする場合における流通開口6cの開口面積、つまり部分閉塞板6bが本体部6aに装着された状態における流通開口6cの開口面積S2は、粉砕物Xa(微細バイオマス)に作用する増速効果を睨んで適宜設定される。すなわち、この開口面積S2は実験に基づいて最適設定される。
【0059】
この結果、粒径が比較的大きいために比較的重い粉砕物Xa(微細バイオマス)であっても、流路調節部6の各流通開口6cで増速されて分級部5に容易に到達する。そして、粉砕物Xa(微細バイオマス)は、分級部5において粒径が最適燃料粒径以下のものが選択的に捕集され、排出部1dを介して外部に排出される。
【0060】
一方、分級部5で捕集されなかった粉砕物Xa(微細バイオマス)は、分級部5の下方に落下し、殆どが流路調節部6上に至る。この粉砕物Xa(微細バイオマス)は、粒径が最適燃料粒径よりも大きいものであり、さらに微細化する必要があるものである。このような粉砕物Xa(微細バイオマス)は、ドア付ホッパ7を下側として傾斜する流路調節部6上を流下してドア付ホッパ7のホッパ本体7aに収容される。
【0061】
このホッパ本体7aでは、粉砕物Xa(微細バイオマス)が流路調節部6から順次供給されるので、また扉部7bが初期的に閉状態にあるので、粉砕物Xa(微細バイオマス)の収容量が徐々に増大する。そして、ホッパ本体7aにおける粉砕物Xa(微細バイオマス)の収容量に基づいて扉部7bに作用する押圧力(下向きの力)が付勢部7cが発生させる付勢力(上向きの力)を超えると、扉部7bか閉状態から開状態となり、ホッパ本体7aの下部開口7eが開放される。
【0062】
すなわち、この竪型ローラミルAでは、扉部7bが閉状態にある場合、ホッパ本体7a内の粉砕物Xa(微細バイオマス)には、気流発生部4が発生させる上昇流が作用しない。そして、この竪型ローラミルAでは、扉部7bが開状態になると、上昇流による上方に押し上げる力(影響)が作用するが、この状態における粉砕物Xa(微細バイオマス)の量は、ホッパ本体7aの収容量であり比較的多い。
【0063】
したがって、このような竪型ローラミルAによれば、粉砕物Xa(微細バイオマス)が上昇流の影響で下部開口7eから落下しなかったり、またこれによって下部開口7eが粉砕物Xa(微細バイオマス)によって閉塞するような事態を回避することが可能である。この結果として、本実施形態によれば、上昇流の影響を従来よりも軽減して粉砕物Xa(微細バイオマス)を粉砕テーブル2a上に効果的に供給することが可能である。
【0064】
また、この竪型ローラミルAでは、本体部6aに部分閉塞板6bを着脱することによって粉砕物Xaが流通する各流通開口6cの開口面積を切替えるので、当該切替に要する作業が従来よりも大幅に軽減される。したがって、本実施形態によれば、被粉砕物Xの切替に起因する竪型ローラミルAの稼働率の低下を大幅に抑制することが可能である。
【0065】
また、この竪型ローラミルAでは、ドア付ホッパ7がホッパ本体7a、扉部7b及び付勢部7cを備え、扉部7bが重力方向に対して鋭角となる姿勢で流通開口6cを塞ぐと共に粉砕物Xa(微細バイオマス)の重量が作用して下部開口7eを開放するので、上昇流の影響をより効果的に回避することが可能である。したがって、本実施形態によれば、粉砕物Xa(微細バイオマス)を粉砕テーブル2a上により効果的に供給することが可能である。
【0066】
ここで、ホッパ本体の側方に側方開口を設け、鉛直姿勢かつ上端部を回動軸とする扉部を用い、当該扉部の自重によって上記側方開口を塞ぐようなドア付ホッパが考えられる。このようなドア付ホッパでは、粉砕物の収容量があるしきい値を超えると、扉部が回動して側方開口が開放される。しかしながら、このような構成のドア付ホッパでは、扉部の開閉が良好とは言えず、上昇流の影響によって粉砕物が良好に落下しない虞がある。
【0067】
すなわち、木粉は繊維質であり,内部摩擦角が大きい。内部摩擦角とはたとえば90°であれば、箱に木粉を入れた際に箱の側壁を外しても、そのままの形状で自立できることを意味する。つまり、側壁がなくても形状をたもっているわけで、内部摩擦力が大きくなると粉体圧の水平分力が小さくなる。その結果、石炭で水平開口でも開いたドアが木粉ではドアが開かないことに繋がっている。本実施形態では、木粉の粉体の物性を生かして、側方開口ではなく、垂直下向きの開口させている。
【0068】
さらに、この竪型ローラミルAでは、扉部7bは、ホッパ本体7aにおいて原料供給部3から遠い側に回動軸7f(回動支点)を有するので、例えば原料供給部3に近い側に回動軸7f(回動支点)を設ける場合に比較して、中央突出部2fのより中心に近い位置に粉砕物Xa(微細バイオマス)を供給することができる。したがって、本実施形態によれば、粉砕物Xa(微細バイオマス)のさらなる微細化を効果的に行うことができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、図2に示すドア付ホッパ7を採用したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、原料供給部の外周隙間にドア付ホッパを設けることにより上昇流の影響を軽減することを要旨とするものでありドア付ホッパの詳細構成を限定するものではない。
【0070】
(2)上記実施形態では、本体部6aの流通開口6cの一部を部分閉塞板6bで塞ぐことにより流通開口6cの開口面積を切替える流路調節部6を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、流通開口6cの開口面積が固定な流路調節部を採用してもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、被粉砕物Xとして石炭及びバイオマスを例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、石炭及びバイオマス以外の被粉砕物についても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
A 竪型ローラミル
1 竪型ハウジング
1a ハウジング本体
1b 支持体
1c 蓋体
1d 排出部
2 粉砕部
2a 回転テーブル
2b 粉砕ローラ
2c 回転動力源
2d 連結機
2e 破砕面
2f 中央突出部
3 原料供給部
4 気流発生部
4a 空気導入部
4b 案内口
5 分級部
6 流路調節部
6a 本体部
6b 部分閉塞板
6c 流通開口
6d 下部挿通口
6e 上部固定部
7 ドア付ホッパ
7a ホッパ本体
7b 扉部
7c 付勢部
7d 区分領域
7e 下部開口
7f 回動軸(回動支点)


図1
図2