(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】光伝送装置、光合波器及び光伝送方法
(51)【国際特許分類】
H04J 14/02 20060101AFI20240116BHJP
H04B 10/564 20130101ALI20240116BHJP
H04B 10/077 20130101ALI20240116BHJP
【FI】
H04J14/02
H04B10/564
H04B10/077 190
(21)【出願番号】P 2020073730
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀下 雅和
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-80109(JP,A)
【文献】特開2005-352202(JP,A)
【文献】特開2019-135524(JP,A)
【文献】特開2003-50323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/02
H04B 10/564
H04B 10/07 - 10/079
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非対称の光導波路を有するマッハツェンダ部に入力するチャネル毎の光信号の光出力パワーを検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部で検出した前記チャネル毎の光出力パワーに基づき、前記マッハツェンダ部に入力する複数のチャネルの内、特定のチャネルの光信号にディザ信号を重畳する重畳部と、
前記マッハツェンダ部から出力する前記特定のチャネルの光信号に重畳されたディザ信号の振幅値を検出する第2の検出部と、
前記第2の検出部にて検出した前記特定のチャネルの光信号に重畳された前記ディザ信号の振幅値が所定閾値未満になるように前記マッハツェンダ部の位相差を調整する調整部と
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記重畳部は、
前記特定のチャネルの光信号を発光する発光部を駆動する駆動電流に前記ディザ信号を重畳することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記重畳部は、
前記特定のチャネルの光信号を変調する変調器の変調信号に前記ディザ信号を重畳することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記第1の検出部で検出した前記チャネル毎の光出力パワーに基づき、各チャネルの光出力パワー大小の順位を特定する特定部を有し、
前記重畳部は、
前記特定部にて特定された前記順位に基づき、前記マッハツェンダ部に入力する複数のチャネルの内、特定のチャネルの光信号にディザ信号を重畳することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記重畳部は、
前記順位の内、光出力パワーが最小のチャネルの光信号である前記特定のチャネルの光信号にディザ信号を重畳することを特徴とする請求項4に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記重畳部は、
前記順位に基づき、前記チャネル毎の光信号に同一周波数のディザ信号を順次重畳することを特徴とする請求項4に記載の光伝送装置。
【請求項7】
前記重畳部は、
前記順位に基づき、前記チャネル毎の光信号に、前記チャネル毎に異なる周波数のディザ信号を順次重畳することを特徴とする請求項4に記載の光伝送装置。
【請求項8】
非対称の光導波路を有するマッハツェンダ部に入力するチャネル毎の光信号の光出力パワーを検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部で検出した前記チャネル毎の光出力パワーに基づき、前記マッハツェンダ部に入力する複数のチャネルの内、特定のチャネルの光信号にディザ信号を重畳する重畳部と、
前記マッハツェンダ部から出力する前記特定のチャネルの光信号に重畳されたディザ信号の振幅値を検出する第2の検出部と、
前記第2の検出部にて検出した前記特定のチャネルの光信号に重畳された前記ディザ信号の振幅値が所定閾値未満になるように前記マッハツェンダ部の位相差を調整する調整部と
を有することを特徴とする光合波器。
【請求項9】
非対称の光導波路を有するマッハツェンダ部に入力するチャネル毎の光信号の光出力パワーを検出し、
検出した前記チャネル毎の光出力パワーに基づき、前記マッハツェンダ部に入力する複数のチャネルの内、特定のチャネルの光信号にディザ信号を重畳し、
前記マッハツェンダ部から出力する前記特定のチャネルの光信号に重畳されたディザ信号の振幅値を検出し、
検出した前記特定のチャネルの光信号に重畳された前記ディザ信号の振幅値が所定閾値未満になるように前記マッハツェンダ部の位相差を調整する
処理を実行することを特徴とする光伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置、光合波器及び光伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来の光伝送装置100の一例を示す説明図である。
図18に示す光伝送装置100は、例えば、4波長の光信号を合波可能にする光波長多重方式の光送信装置である。光伝送装置100は、例えば、3個の光合波部を使用して2段カスケード接続した構成である。光伝送装置100は、4個の発光部110と、3個の光合波部120とを有する。発光部110は、異なる波長の光信号を発光する第1~第4の発光部110A~110Dである。光合波部120は、第1~第3の光合波部120A~120Cである。
【0003】
第1の光合波部120Aは、第1の発光部110Aからの光信号λ1と、第2の発光部110Bからの光信号λ2とを合波する。第2の光合波部120Bは、第3の発光部110Cからの光信号λ3と、第4の発光部110Dからの光信号λ4とを合波する。第3の光合波部120Cは、第1の光合波部120Aで合波した光信号λ1+λ2と、第2の光合波部120Bで合波した光信号λ3+λ4とを合波する。
【0004】
第1の光合波部120Aは、入力側カプラ121と、マッハツェンダ部122と、出力側カプラ123と、遅延部124と、制御部125とを有する。入力側カプラ121は、第1の発光部110Aからの光信号λ1と第2の発光部110Bからの光信号λ2とを合波し、合波後の光信号λ1+λ2をマッハツェンダ部122に出力する。マッハツェンダ部122は、異なるアーム長の2本の光導波路を有する非対称方式のマッハツェンダ干渉器である。マッハツェンダ部122は、2本の光導波路内を合波後の光信号λ1+λ2が通過して合波後の光信号λ1+λ2を位相調整し、位相調整後の光信号λ1+λ2を出力側カプラ123に出力する。出力側カプラ123は、正転ポートである出力ポート123Aと反転ポートであるモニタポート123Bとを有する。出力ポート123Aは、位相調整後の光信号λ1+λ2を第3の光合波部120Cに出力する。遅延部124は、マッハツェンダ部122の位相差、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を遅延する。制御部125は、遅延部124を制御する。
【0005】
第2の光合波部120Bは、入力側カプラ121と、マッハツェンダ部122と、出力側カプラ123と、遅延部124と、制御部125とを有する。入力側カプラ121は、第3の発光部110Cからの光信号λ2と第4の発光部110Dからの光信号λ4とを合波し、合波後の光信号λ3+λ4をマッハツェンダ部122に出力する。マッハツェンダ部122は、異なるアーム長の2本の光導波路を有する非対称方式のマッハツェンダ干渉器である。マッハツェンダ部122は、2本の光導波路内を合波後の光信号λ3+λ4を通過して合波後の光信号λ3+λ4を位相調整し、位相調整後の光信号λ3+λ4を出力側カプラ123に出力する。出力側カプラ123は、正転ポートである出力ポート123Aと反転ポートであるモニタポート123Bとを有する。出力ポート123Aは、位相調整後の光信号λ3+λ4を第3の光合波部120Cに出力する。遅延部124は、マッハツェンダ部122の位相差、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を遅延する。制御部125は、遅延部124を制御する。
【0006】
第3の光合波部120Cは、入力側カプラ121と、マッハツェンダ部122と、出力側カプラ123と、遅延部124と、制御部125と、光モニタ126とを有する。入力側カプラ121は、第1の光合波部120Aからの光信号λ1+λ2と第2の光合波部120Bからの光信号λ3+λ4とを合波し、合波後の光信号λ1+λ2+λ3+λ4をマッハツェンダ部122に出力する。マッハツェンダ部122は、異なるアーム長の2本の光導波路を有する非対称方式のマッハツェンダ干渉器である。マッハツェンダ部122は、2本の光導波路内を合波後の光信号λ1+λ2+λ3+λ4が通過して合波後の光信号λ1+λ2+λ3+λ4を位相調整する出力側カプラ123に出力する。出力側カプラ123は、正転ポートである出力ポート123Aと反転ポートであるモニタポート123Bとを有する。出力側カプラ123は、出力ポート123Aと出力ポート130とを接続し、位相調整後の光信号λ1+λ2+λ3+λ4を出力ポート130に出力する。出力側カプラ123は、モニタポート123Bと光モニタ126とを接続し、光信号の反転出力を光モニタ126に出力する。光モニタ126は、第3の光合波部120Cの反転出力の光信号の光出力パワーを検出する。遅延部124は、マッハツェンダ部122の位相差、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を遅延する。制御部125は、光モニタ126で検出した光信号の光出力パワーが最小になるように位相調整すべく、遅延部124を制御する。
【0007】
従来の光伝送装置100では、環境温度の変動により発光部110内のLD特性(波長等)の温度変動が発生した場合でも、第3の光合波部120Cのモニタポート123Bの光信号の光出力パワーが最小になるように、遅延部124の位相設定点を最適化する。その結果、位相設定点を最適化することで、第3の光合波部120Cの出力ポート123Aから最適な光出力パワーを安定出力できる。尚、Allはλ1~λ4の光出力パワーのトータル、λxはλxの光出力パワーに相当する。モニタポート123B及び出力ポート123Aの出力特性に使用する位相設定点ΔLは、マッハツェンダ部122の使用材料や、使用する第1~第4の発光部110A~110Dの使用する光波長に応じて異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-106605号公報
【文献】特開2019-184844号公報
【文献】米国特許第7499177号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図19は、従来の光伝送装置100での出力ポート123A及びモニタポート123Bの出力の一例(理想時)を示す説明図である。
図19に示す光伝送装置100は、例えば、各チャネルλ1~λ4の波長間隔が等間隔(例えば、0.02μm)、かつ、各チャネルλ1~λ4の光出力パワーPoutが同一となる理想状態である。理想状態では、モニタポート123Bの出力が最小になるようにマッハツェンダ部122の位相設定点ΔLを設定した場合、各チャネルのフィルタロスが最小となるため、出力ポート123Aからは最適な光出力パワーを安定出力できる。
【0010】
図20は、従来の光伝送装置100での出力ポート123A及びモニタポート123Bの出力の一例を示す説明図である。
図20に示すように、各チャネルλ1~λ4の波長間隔が等間隔ではなく、各チャネルλ1~λ4の出力パワーPoutに差が生じる状態を想定したとする。この場合、モニタポート123Bの出力が最小となるようにマッハツェンダ部122の位相設定点ΔLを設定する際、相対的に出力パワーPoutが大きなチャネル(例えば、λ2)に依存することになる。λ2に応じた位相設定点を設定し、出力ポート123Aのトータルパワーが最大となるものの、相対的に出力パワーPoutが小さいチャネル(例えば、λ1)の光出力パワーが最適化できない。
【0011】
従来の光伝送装置100では、各チャネルの光出力パワーや波長間隔が一定でない状態、最適な位相設定点に合わせる必要がある。しかしながら、フィルタ透過後に確認できる光モニタ126は波長が多重されたトータルパワー、すなわち第3の光合波部120Cの光出力パワーのみのため、トータルパワーの全チャネルの内、特定のチャネルを識別することができない。
【0012】
つまり、従来の光伝送装置100では、複数のチャネルの内、特定のチャネルに対して光出力パワーが最適になるようにマッハツェンダ部122の位相差を調整できる仕組みではない。従って、全チャネルが合波されたトータルパワーでのロスが最小となる制御にとどまっているのが実情である。その結果、部品バラツキ、製造バラツキや温度変動がある場合、複数のチャネルの内、最適に合わせたい特定のチャネルに対して適切な制御が行えず、合波器の特性変動が起因で発生する光出力パワーの変動で伝送品質の劣化の一因となった。つまり、複数チャネルの光出力パワーを安定出力することができない。
【0013】
一つの側面では、複数のチャネルの光出力パワーを安定出力できる光伝送装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一つの態様の光伝送装置は、第1の検出部と、重畳部と、第2の検出部と、調整部とを有する。第1の検出部は、非対称の光導波路を有するマッハツェンダ部に入力するチャネル毎の光信号の光出力パワーを検出する。重畳部は、前記第1の検出部で検出した前記チャネル毎の光出力パワーに基づき、前記マッハツェンダ部に入力する複数のチャネルの内、特定のチャネルの光信号にディザ信号を重畳する。第2の検出部は、前記マッハツェンダ部から出力する前記特定のチャネルの光信号に重畳されたディザ信号の振幅値を検出する。調整部は、前記第2の検出部にて検出した前記特定のチャネルの光信号に重畳された前記ディザ信号の振幅値が所定閾値未満になるように前記マッハツェンダ部の位相差を調整する。
【発明の効果】
【0015】
1つの側面によれば、複数のチャネルの光出力パワーを安定出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施例1の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、各チャネルの光出力パワーと位相設定点との関係の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施例2の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、発光素子、変調器、第1の検出部での各出力の比較の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、第2の検出部での各出力の比較の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、各ヒータ制御部内のディザ信号検出部の出力の比較の一例を示す説明図である。
【
図7A】
図7Aは、第1の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7B】
図7Bは、第1の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施例3の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、設定対象のチャネルの第1のLD、第1の変調器、第1の入力側光モニタでの各出力の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第2の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施例4の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、各チャネルの第1~第4のLD、第1~第4の変調器、第1~第4の入力側光モニタでの各出力の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、第1~第3の出力側光モニタでの各出力の比較の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、第1~第3のヒータ制御部内のディザ信号検出部の出力の比較の一例を示す説明図である。
【
図15A】
図15Aは、第3の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15B】
図15Bは、第2の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施例5の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
【
図17A】
図17Aは、第4の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17B】
図17Bは、第4の最適化処理に関わる光伝送装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、従来の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、従来の光伝送装置での出力ポート及びモニタポートの出力の一例(理想時)を示す説明図である。
【
図20】
図20は、従来の光伝送装置での出力ポート及びモニタポートの出力の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光伝送装置等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の光伝送装置1の一例を示す説明図である。
図1に示す光伝送装置1は、例えば、4波長の光信号を合波可能にする光波長多重方式の光送信装置である。光伝送装置1は、例えば、3個の光合波部を使用して2段カスケード接続した構成である。光伝送装置1は、発光部2と、第1の検出部3と、光合波フィルタ4と、第2の検出部5と、制御部6と、出力ポート7と、生成部8と、特定部9とを有する。
【0019】
発光部2は、各チャネルの光信号を出力する、例えば、第1~第4の発光部2A~2Dを有する。第1の発光部2Aは、第1のチャネルの光信号λ1を発光する。第2の発光部2Bは、第2のチャネルの光信号λ2を発光する。第3の発光部2Cは、第3のチャネルの光信号λ3を発光する。第4の発光部2Dは、第4のチャネルの光信号λ4を発光する。
【0020】
第1の検出部3は、発光部2からの光信号の光出力パワーをモニタする、例えば、4個の入力側光モニタである。第1の検出部3は、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dである。第1の入力側光モニタ3Aは、第1のチャネル対応の光信号λ1を光電変換し、第1のチャネル対応の光信号λ1の光出力パワーを検出する。第2の入力側光モニタ3Bは、第2のチャネル対応の光信号λ2を光電変換し、第2のチャネル対応の光信号λ2の光出力パワーを検出する。第3の入力側光モニタ3Cは、第3のチャネル対応の光信号λ3を光電変換し、第3のチャネル対応の光信号λ3の光出力パワーを検出する。第4の入力側光モニタ3Dは、第4の光チャネル対応の光信号λ4を光電変換し、第4の光チャネル対応の光信号λ4の光出力パワーを検出する。
【0021】
光合波フィルタ4は、第1~第4のチャネルの光信号λ1~λ4を合波し、合波後の光信号を出力ポート7に出力するフィルタである。光合波フィルタ4は、第1の光合波部4Aと、第2の光合波部4Bと、第3の光合波部4Cとを有する。第1の光合波部4Aは、第1のチャネル対応の光信号λ1と第2のチャネル対応の光信号λ2とを合波する。第2の光合波部4Bは、第3のチャネル対応の光信号λ3と第4のチャネル対応の光信号λ4とを合波する。第3の光合波部4Cは、第1の光合波部4Aで合波した光信号λ1+λ2と第2の光合波部4Bで合波した光信号λ3+λ4とを合波する。
【0022】
第1の光合波部4Aは、入力カプラ11と、マッハツェンダ部12と、出力カプラ13と、遅延部14である第1の遅延部14Aとを有する。入力カプラ11は、第1の発光部2Aからの第1のチャネルの光信号λ1と第2の発光部2Bからの第2のチャネルの光信号λ2とを合波する。マッハツェンダ部12は、異なるアーム長の2本の光導波路を有する非対称方式のマッハツェンダ干渉器である。マッハツェンダ部12は、2本の光導波路を通過する光信号λ1+λ2を位相調整し、位相調整後の光信号λ1+λ2を出力カプラ13に出力する。出力カプラ13は、正転ポートである出力ポート13Aと、反転ポートであるモニタポート13Bとを有する。尚、出力ポート13Aの出力と、モニタポート13Bの出力とは相反関係にあり、出力ポート13Aの出力が最大の場合、モニタポート13Bの出力は最小となる。第1の遅延部14Aは、マッハツェンダ部12内の位相差、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する。
【0023】
第2の光合波部4Bは、入力カプラ11と、マッハツェンダ部12と、出力カプラ13と、遅延部14である第2の遅延部14Bとを有する。入力カプラ11は、第3の発光部2Cからの第3のチャネルの光信号λ3と第4の発光部2Dからの第4のチャネルの光信号λ4とを合波する。マッハツェンダ部12は、異なるアーム長の2本の光導波路を有する非対称方式のマッハツェンダ干渉器である。マッハツェンダ部12は、2本の光導波路を通過する光信号λ3+λ4を位相調整し、位相調整後の光信号λ3+λ4を出力カプラ13に出力する。出力カプラ13は、出力ポート13Aと、モニタポート13Bとを有する。尚、出力ポート13Aの出力と、モニタポート13Bの出力とは相反関係にあり、出力ポート13Aの出力が最大の場合、モニタポート13Bの出力は最小となる。第2の遅延部14Bは、マッハツェンダ部12内の位相差、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する。
【0024】
第3の光合波部4Cは、入力カプラ11と、マッハツェンダ部12と、出力カプラ13と、遅延部14である第3の遅延部14Cとを有する。入力カプラ11は、第1の光合波部4Aで合波した第1及び第2のチャネルの光信号λ1+λ2と第2の光合波部4Bで合波した第3及び第4のチャネルの光信号λ3+λ4とを合波する。マッハツェンダ部12は、異なるアーム長の2本の光導波路を有する非対称方式のマッハツェンダ干渉器である。マッハツェンダ部12は、2本の光導波路を通過する光信号λ1+λ2+λ3+λ4を位相調整し、位相調整後の光信号λ1+λ2+λ3+λ4を出力カプラ13に出力する。出力カプラ13は、正転ポートである出力ポート13Aと、反転ポートであるモニタポート13Bとを有する。尚、出力ポート13Aの出力と、モニタポート13Bの出力とは相反関係にあり、出力ポート13Aの出力が最大の場合、モニタポート13Bの出力は最小となる。第3の遅延部14Cは、マッハツェンダ部12内の位相差、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する。
【0025】
第2の検出部5は、第1~第3の出力側光モニタ5A~5Cを有する。第1の出力側g光モニタ5Aは、第1の光合波部4Aのモニタポート13Bで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーを検出する。第2の出力側光モニタ5Bは、第2の光合波部4Bのモニタポート13Bで検出した光信号λ3+λ4の光出力パワーを検出する。第3の出力側光モニタ5Cは、第3の光合波部4Cのモニタポート13Bで検出した光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを検出する。第1の出力側光モニタ5Aは、第1の光合波部4A内の出力カプラ13のモニタポート13Bと接続し、モニタポート13Bからの第1の光合波部4Aの光信号λ1+λ2を光電変換し、光信号λ1+λ2の光出力パワーを第1の制御部6Aに通知する。第1の制御部6Aは、第1の出力側光モニタ5Aからの光出力パワーに基づき、第1の光合波部4A内のマッハツェンダ部12内の2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整すべく、第1の遅延部14Aを制御する。尚、第1の遅延部14A及び第1の制御部6Aは、例えば、調整部である。
【0026】
第2の出力側光モニタ5Bは、第2の光合波部4B内の出力カプラ13のモニタポート13Bと接続し、モニタポート13Bからの第2の光合波部4Bの光信号λ3+λ4を光電変換し、光信号λ3+λ4の光出力パワーを第2の制御部6Bに通知する。第2の制御部6Bは、第2の出力側光モニタ5Bからの光出力パワーに基づき、第2の光合波部4B内のマッハツェンダ部12内の2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整すべく、第2の遅延部14Bを制御する。尚、第2の遅延部14B及び第2の制御部6Bは、例えば、調整部である。
【0027】
第3の出力側光モニタ5Cは、第3の光合波部4C内の出力カプラ13のモニタポート13Bと接続し、モニタポート13Bからの第3の光合波部4Cの光信号λ1+λ2+λ3+λ4を光電変換する。そして、第3の出力側光モニタ5Cは、光電変換後の光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを第3の制御部6Cに通知する。第3の制御部6Cは、第3の出力側光モニタ5Cからの光出力パワーに基づき、第3の光合波部4C内のマッハツェンダ部12内の2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整すべく、第3の遅延部14Cを制御する。尚、第3の遅延部14C及び第3の制御部6Cは、例えば、調整部である。
【0028】
第3の光合波部4C内の入力カプラ11は、第1の光合波部4A内の出力カプラ13の出力ポート13Aと接続し、第1の光合波部4Aからの光信号λ1+λ2を入力する。更に、入力カプラ11は、第2の光合波部4B内の出力カプラ13の出力ポート13Aと接続し、第2の光合波部4Bからの光信号λ3+λ4を入力する。更に、第3の光合波部4C内の出力カプラ13は、その出力ポート13Aと出力ポート7とを接続し、第3の光合波部4Cからの光信号λ1+λ2+λ3+λ4を出力ポート7に出力する。
【0029】
生成部8は、第1~第4のチャネルλ1~λ4の内、設定対象チャネルの光信号に重畳する低周波数のディザ信号を生成する。特定部9は、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dのモニタ結果である各チャネルの光出力パワーに基づき、第1~第4のチャネルの光信号の光出力パワーの大小を判定し、光出力パワーの小さい順に各チャネルのパワー順位を特定する。特定部9は、パワー順位を生成部8及び第1~第3の位相特定部9制御部6A~6Cに通知する。
【0030】
生成部8は、特定部9からのパワー順位に基づき、複数のチャネルλ1~λ4の内、光出力パワーが最小の特定チャネルの光信号にディザ信号を重畳すべく、当該特定チャネルの発光部2にディザ信号を出力する。
【0031】
第1の出力側光モニタ5Aは、第1の光合波部4Aのモニタポート13Bからの光信号λ1+λ2を光電変換し、光信号λ1+λ2の光出力パワーを第1の制御部6Aに通知する。第1の制御部6Aは、第1の出力側光モニタ5Aの光出力パワーからディザ信号の振幅値を検出し、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する。尚、ターゲット値は、許容可能なディザ信号の振幅値を識別する閾値である。第1の制御部6Aは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満でない場合、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満、例えば、最小になるようにマッハツェンダ部12の位相設定点を調整すべく、第1の遅延部14Aを制御する。
【0032】
第2の出力側光モニタ5Bは、第2の光合波部4Bのモニタポート13Bからの光信号λ3+λ4を光電変換し、光信号λ3+λ4の光出力パワーを第2の制御部6Bに通知する。第2の制御部6Bは、第2の出力側光モニタ5Bの光出力パワーからディザ信号の振幅値を検出し、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する。第2の制御部6Bは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満でない場合、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満、例えば、最小になるようにマッハツェンダ部12の位相設定点を調整すべく、第2の遅延部14Bを制御する。
【0033】
第3の出力側光モニタ5Cは、第3の光合波部4Cのモニタポート13Bからの光信号λ1+λ2+λ3+λ4を光電変換し、光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを第3の制御部6Cに通知する。第3の制御部6Cは、第3の出力側光モニタ5Cの光出力パワーからディザ信号の振幅値を検出し、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する。第3の制御部6Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満でない場合、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満、例えば、最小になるようにマッハツェンダ部12の位相設定点を調整すべく、第3の遅延部14Cを制御する。
【0034】
図2は、各チャネルの光出力パワーと位相設定点との関係の一例を示す説明図である。
図2に示す説明図では、
図2では、第1のチャネルの光信号λ1の光出力パワーPλ1、第2のチャネルの光信号λ2の光出力パワーPλ2、第3のチャネルの光信号λ3の光出力パワーPλ3、第4のチャネルの光信号λ4の光出力パワーλP4を示している。更に、
図2では、第1~第4のチャネルのトータルパワーPAを示している。第1~第4のチャネルの内、第1のチャネルの光出力パワーが最小とする。第1のチャネルの光信号λ1にディザ信号が重畳されている。従って、トータルパワーにもディザ信号が重畳されることになる。従って、トータルパワー内のディザ信号の振幅値が最小となるマッハツェンダ部12の位相差を調整する位相設定点を探索する。そして、制御部6は、遅延部14に位相設定点を設定することで、ディザ信号の振幅値が最小となる。尚、Allはλ1~λ4の光出力パワーのトータル、λxはλxの光出力パワーに相当する。出力特性に使用する位相設定点ΔLは、マッハツェンダ部12の使用材料や、使用する第1~第4の発光部2A~2Dの使用する光波長に応じて異なる。
【0035】
光伝送装置1では、光出力パワーが最小の設定対象チャネルにディザ信号を重畳し、設定対象チャネルのディザ信号の振幅値が最小になるように位相設定点(位相差)を制御すべく、遅延部14を制御する。その結果、部品バラツキや製造バラツキがあった場合でも、光合波フィルタ4を適切に制御して各チャネルの光出力パワーを安定化できる。
【0036】
実施例1の光伝送装置1では、位相設定点に応じてディザ信号の振幅も変動する点に着目し、設定対象のチャネルに対してディザ信号を重畳し、トータルパワーにもディザ信号の成分が重畳される。そして、ディザ信号の振幅値を検出し、モニタポート13Bのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように位相設定点を設定する。すなわち、光伝送装置1は、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。その結果、複数のチャネルの内、特定のチャネルの光出力パワーを最適化する。しかも、部品バラツキ、製造バラツキが発生した場合でも、温度変動や経時変動による光合波器の特性変動が起因で発生する光出力パワーの変動を自動補償し、光出力パワーを安定出力できる。その結果、光出力信号の伝送品質の向上や劣化防止が可能となる。
【0037】
尚、実施例1では、特定部で特定した各チャネルのパワー順位に基づき、当該チャネルの光出力パワーのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように位相設定点を設定する場合を例示した。しかしながら、パワー順位に限定されるものではなく、各チャネルの光出力パワーに基づき、当該チャネルの光出力パワーのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように位相設定点を設定しても良く、適宜変更可能である。
【実施例2】
【0038】
図3は、実施例2の光伝送装置1Aの一例を示すブロック図である。尚、実施例1の光伝送装置1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0039】
実施例1の光伝送装置1と実施例2の光伝送装置1Aとが異なるところは、遅延部14をヒータ141、制御部6をヒータ制御部60にした点にある。
図3に示す発光部2は、駆動回路21と、発光素子22と、変調器23とを有する。駆動回路21は、第1~第4の駆動回路21A~21D、発光素子22は、第1~第4のLD(Laser Diode)22A~22D、変調器23は、第1~第4の変調器23A~23Dを有する。駆動回路21は、例えば、発光素子22に供給する駆動電流が一定になるACC(Auto Current Control)や、発光素子22が発光する光出力パワーのモニタ値が一定になるAPC(Auto Power Control)を有する。
【0040】
第1の発光部2Aは、第1の駆動回路21Aと、第1のLD22Aと、第1の変調器23Aとを有する。第1の駆動回路21Aは、第1のLD22Aを駆動する第1のチャネルの第1の駆動電流を第1のLD22Aに出力する。第1のLD22Aは、第1の駆動回路21Aからの第1の駆動電流に応じて第1のチャネルの光信号λ1を発光する。第1の変調器23Aは、第1のLD22Aからの第1のチャネルの光信号λ1を変調し、変調後の第1のチャネルの光信号λ1を出力する。
【0041】
第2の発光部2Bは、第2の駆動回路21Bと、第2のLD22Bと、第2の変調器23Bとを有する。第2の駆動回路21Bは、第2のLD22Bを駆動する第2のチャネルの第2の駆動電流を第2のLD22Bに出力する。第2のLD22Bは、第2の駆動回路21Bからの第2の駆動電流に応じて第2のチャネルの光信号λ2を発光する。第2の変調器23Bは、第2のLD22Bからの第2のチャネルの光信号λ2を変調し、変調後の第2のチャネルの光信号λ2を出力する。
【0042】
第3の発光部2Cは、第3の駆動回路21Cと、第3のLD22Cと、第3の変調器23Cとを有する。第3の駆動回路21Cは、第3のLD22Cを駆動する第3のチャネルの第3の駆動電流を第3のLD22Cに出力する。第3のLD22Cは、第3の駆動回路21Cからの第3の駆動電流に応じて第3のチャネルの光信号λ3を発光する。第3の変調器23Cは、第3のLD22Cからの第3のチャネルの光信号λ3を変調し、変調後の第3のチャネルの光信号λ3を出力する。
【0043】
第4の発光部2Dは、第4の駆動回路21Dと、第4のLD22Dと、第4の変調器23Dとを有する。第4の駆動回路21Dは、第4のLD22Dを駆動する第4のチャネルの第4の駆動電流を第4のLD22Dに出力する。第4のLD22Dは、第4の駆動回路21Dからの第4の駆動電流に応じて第4のチャネルの光信号λ4を発光する。第4の変調器23Dは、第4のLD22Dからの第4のチャネルの光信号λ4を変調し、変調後の第4のチャネルの光信号λ4を出力する。
【0044】
第1の光合波部4Aは、第1の遅延部14Aの代わりに、マッハツェンダ部12内の2本の光導波路を温度調整する第1のヒータ141Aを有する。第1のヒータ141Aは、マッハツェンダ部12内の2本の光導波路への温度調整で光導波路内の屈折率を調整することで、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する。
【0045】
第2の光合波部4Bは、第2の遅延部14Bの代わりに、マッハツェンダ部12内の2本の光導波路を温度調整する第2のヒータ141Bを有する。第2のヒータ141Bは、マッハツェンダ部12内の2本の光導波路への温度調整で光導波路内の屈折率を調整することで、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する。
【0046】
第3の光合波部4Cは、第3の遅延部14Cの代わりに、マッハツェンダ部12内の2本の光導波路を温度調整する第3のヒータ141Cを有する。第3のヒータ141Cは、マッハツェンダ部12内の2本の光導波路への温度調整で光導波路内の屈折率を調整することで、例えば、2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する。
【0047】
第1のヒータ制御部60Aは、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーに基づき、第1のヒータ141Aへのヒータ電流を制御する。第1のヒータ制御部60Aは、ディザ信号検出部61と、比較部62と、電流制御部63とを有する。ディザ信号検出部61は、例えば、フーリエ変換を用いて、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーからディザ信号の振幅値を検出する。比較部62は、ディザ信号検出部61で検出したディザ信号の振幅値と、ディザ信号のターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する。電流制御部63は、比較部62の比較結果に基づき、振幅値がターゲット値未満でない場合、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、第1のヒータ制御部60Aは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。尚、環境温度による変動を抑制することが目的であるため、時定数は100m秒等比較的遅くてもよい。
【0048】
第2のヒータ制御部60Bは、第2の出力側光モニタ5Bで検出した光信号λ3+λ4の光出力パワーに基づき、第2のヒータ141Bへのヒータ電流を制御する。第2のヒータ制御部60Bは、ディザ信号検出部61と、比較部62と、電流制御部63とを有する。ディザ信号検出部61は、例えば、フーリエ変換を用いて、第2の出力側光モニタ5Bから検出した光信号λ3+λ4の光出力パワーからディザ信号の振幅値を検出する。比較部62は、ディザ信号検出部61で検出したディザ信号の振幅値と、ディザ信号のターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する。電流制御部63は、比較部62の比較結果に基づき、振幅値がターゲット値未満でない場合、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、第2のヒータ制御部60Bは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。尚、環境温度による変動を抑制することが目的であるため、時定数は100m秒等比較的遅くてもよい。
【0049】
第3のヒータ制御部60Cは、第3の出力側光モニタ5Cで検出した光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーに基づき、第3のヒータ141Cへのヒータ電流を制御する。第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号検出部61と、比較部62と、電流制御部63とを有する。ディザ信号検出部61は、例えば、フーリエ変換を用いて、第3の出力側光モニタ5Cから検出した光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーからディザ信号を検出する。比較部62は、ディザ信号検出部61で検出したディザ信号の振幅値と、ディザ信号のターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する。電流制御部63は、比較部62の比較結果に基づき、振幅値がターゲット値未満でない場合、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。尚、環境温度による変動を抑制することが目的であるため、時定数は100m秒等比較的遅くてもよい。
【0050】
生成部8は、特定部9からのパワー順位に基づき、複数のチャネルの内、光出力パワーが最小の特定チャネルの光信号にディザ信号を重畳すべく、当該特定チャネルの駆動回路21にディザ信号を出力する。
【0051】
図4は、発光素子22、変調器23、第1の検出部3での各出力の比較の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、特定部9は、第1の検出部3の各チャネルの光出力パワーに基づき、第1のチャネルの光信号λ1の光出力パワーが最小のため、第1のチャネルが最上位とするパワー順位を特定した場合を想定している。そして、生成部8は、第1のチャネルに対応する第1の駆動回路21Aの第1の駆動電流にディザ信号を重畳する。
【0052】
第1のLD22Aは、重畳されたディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。第1の変調器23Aも、重畳されたディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。第1の入力側光モニタ3Aも、重畳されたディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。
【0053】
これに対して、第2~第4のLD22B~22Dは、ディザ信号が重畳されていないため、光信号の光出力パワーが一定の状態で安定している。第2~第4の変調器23B~23Dも、ディザ信号が重畳されていないため、光信号の光出力パワーが一定の状態で安定している。第2~第4の入力側光モニタ3B~3Dも、ディザ信号が重畳されていないため、光信号の光出力パワーが一定の状態で安定している。
【0054】
図5は、第2の検出部5での各出力の比較の一例を示す説明図である。第1の出力側光モニタ5Aは、重畳されたディザ信号に応じて、第1の光合波部4Aからの光信号λ1+λ2の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。また、第3の出力側光モニタ5Cも、重畳されたディザ信号に応じて、第3の光合波部4Cからの光信λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。これに対して、第2の出力側光モニタ5Bは、ディザ信号が重畳されていないため、第2の光合波部4Bからの光信号λ3+λ4の光出力パワーが一定の状態で安定している。
【0055】
図6は、各ヒータ制御部60内のディザ信号検出部61の出力の比較の一例を示す説明図である。第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61は、第1のチャネルの光信号にディザ信号が重畳されているため、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光出力パワーからディザ信号の振幅値Amp1を検出する。また、第3のヒータ制御部60C内のディザ信号検出部61も、第1のチャネルの光信号λ1にディザ信号が重畳されているため、第3の出力側光モニタ5Cで検出した光出力パワーからディザ信号の振幅値Amp3を検出する。これに対して、第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61は、第3のチャネル及び第4のチャネルの光信号にディザ信号が重畳されていないため、第2の出力側光モニタ5Bで検出した光出力パワーからディザ信号の振幅値を検出しない。
【0056】
図7A及び
図7Bは、第1の最適化処理に関わる光伝送装置1Aの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7Aにおいて光伝送装置1A内の第1の検出部3は、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dを通じて第1~第4のチャネルの光信号の光出力パワーを検出する(ステップS11)。特定部9は、第1~第4のチャネルの光出力パワーの大小に基づき、チャネル毎のパワー順位を特定し、パワー順位を生成部8及び第1~第3のヒータ制御部60A~60Cに通知する(ステップS12)。尚、パワー順位は、光出力パワーが最小のチャネルを最上位とし、光出力パワーが最大のチャネルを最下位とする。
【0057】
生成部8は、特定部9からのパワー順位に基づき、最上位のチャネルを判定する(ステップS13)。生成部8は、最上位のチャネルが第1のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第1のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS14A)。第1の駆動回路21Aは、第1のチャネル対応の第1の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS15A)。その結果、第1のLD22Aは、ディザ信号を重畳した第1の駆動電流に応じて第1のチャネルの光信号λ1を発光する。
【0058】
第1の光合波部24Aは、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2+λ3+λ4を透過出力する(ステップS16A)。第1の出力側光モニタ5Aは、第1の光合波部4Aのモニタポート13Bから出力した光信号λ1+λ2の光出力パワーを検出する(ステップS17A)。第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61は、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーから周波数f1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS18A)。第1のヒータ制御部60A内の比較部62は、ステップS18Aで抽出した振幅値とターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS19A)。
【0059】
第1のヒータ制御部60A内の電流制御部63は、振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS19A:No)、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS20A)。すなわち、第1のヒータ制御部60Aは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。そして、第1の出力側光モニタ5Aで第1の光合波部4Aからの光出力パワーを監視すべく、ステップS17Aに移行する。第1の出力側光モニタ5Aは、第1のヒータ制御部60A内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS19A:Yes)、
図7Bに示すM1に移行する。
【0060】
また、生成部8は、ステップS13にて最上位のチャネルが第2のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第2のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS14B)。第2の駆動回路21Bは、第2のチャネル対応の第2の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS15B)。その結果、第2のLD22Bは、ディザ信号を重畳した第2の駆動電流に応じて第2のチャネル対応の光信号λ2を発光する。その結果、第1の光合波部4Aは、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2+λ3+λ4を透過出力すべく、ステップS16Aに移行する。
【0061】
生成部8は、ステップS13にて最上位のチャネルが第3のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第3のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS14C)。第3の駆動回路21Cは、第3のチャネル対応の第3の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS15C)。その結果、第3のLD22Cは、ディザ信号を重畳した第3の駆動電流に応じて第3のチャネル対応の光信号λ3を発光する。
【0062】
第2の光合波部4Bは、周波数f1で揺らいだ光信号λ3+λ4を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2+λ3+λ4を透過出力する(ステップS16B)。第2の出力側光モニタ5Bは、第2の光合波部4Bのモニタポート13Bから出力した光信号λ3+λ4の光出力パワーを検出する(ステップS17B)。第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61は、第2の出力側光モニタ5Bで検出した光信号λ3+λ4の光出力パワーから周波数f1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS18B)。第2のヒータ制御部60B内の比較部62は、ステップS18Bで抽出した振幅値とターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS19B)。
【0063】
第2のヒータ制御部60B内の電流制御部63は、振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS19B:No)、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS20B)。すなわち、第2のヒータ制御部60Bは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。そして、第2の出力側光モニタ5Bで第2の光合波部4Bからの光信号λ3+λ4の光出力パワーを監視すべく、ステップS17Bに移行する。第2の出力側光モニタ5Bは、第2のヒータ制御部60B内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS19B:Yes)、
図7Bに示すM1に移行する。
【0064】
また、生成部8は、ステップS13にて最上位のチャネルが第4のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第3のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS14D)。第4の駆動回路21Dは、第4のチャネル対応の第4の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS15D)。その結果、第4のLD22Dは、ディザ信号を重畳した第4の駆動電流に応じて第4のチャネルの光信号λ4を発光する。その結果、第2の光合波部4Bは、周波数f1で揺らいだ光信号λ3+λ4を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2+λ3+λ4を透過出力すべく、ステップS16Bに移行する。
【0065】
第3の出力側光モニタ5Cは、第1のヒータ制御部60A内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS19A:Yes)、第3の光合波部4Cのモニタポート13Bから出力した光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを検出する(ステップS21)。第3の出力側光モニタ5Cは、第2のヒータ制御部60B内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS19B:Yes)、ステップS21に移行する。
【0066】
第3のヒータ制御部60C内のディザ信号検出部61は、第3の出力側光モニタ5Cで検出した光出力パワーから周波数f1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS22)。第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、ステップS22で抽出した振幅値とターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0067】
第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS23:No)、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS24)。すなわち、第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。そして、第3の出力側光モニタ5Cで第3の光合波部4Cからの光出力パワーを監視すべく、ステップS21に移行する。第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、第3のヒータ制御部60C内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS23:Yes)、
図7Bに示す最適化処理を終了する。
【0068】
実施例2の光伝送装置1Aでは、光出力パワーが最小の設定対象チャネルにディザ信号を重畳し、設定対象チャネルのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように設定対象チャネルのヒータ6のヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、光伝送装置1Aは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。その結果、設定対象チャネルのヒータ6の温度を調整することでマッハツェンダ部12内の光導波路の屈折率を調整することで、部品バラツキや製造バラツキがあった場合でも、光合波フィルタ4を適切に制御して各チャネルの光出力パワーを安定化できる。
【0069】
尚、実施例2の光伝送装置1Aでは、発光素子22を駆動する駆動電流にディザ信号を重畳する場合を例示した。しかしながら、駆動回路21はAPC又はACC方式を採用するため、モニタする光信号にディザ信号が重畳されている場合、APC又はACC方式のコントロール制御にディザ信号の影響が及ぶことが考えられる。そこで、このような事態に対処すべく、駆動回路21ではなく、変調器23にディザ信号を入力しても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例3】
【0070】
図8は、実施例3の光伝送装置1Bの一例を示すブロック図である。尚、実施例2の光伝送装置1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0071】
実施例2の光伝送装置1Aと実施例3の光伝送装置1Bとが異なるところは、生成部8で生成したディザ信号を設定対象のチャネルの駆動回路21に入力する代わりに、生成部8で生成したディザ信号を設定対象チャネルの変調器23に入力する点にある。
【0072】
生成部8は、特定部9からのパワー順位に基づき、複数チャネルの内、光出力パワーが最小の特定チャネルの光信号にディザ信号を重畳すべく、当該特定チャネルの変調器23にディザ信号を出力する。
【0073】
図9は、設定対象のチャネルの第1のLD22A、第1の変調器23A、第1の入力側光モニタ3Aでの各出力の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、特定部9は、第1の検出部3の各チャネルの光出力パワーに基づき、第1のチャネル対応の光信号λ1の光出力パワーが最小のため、第1のチャネルが最上位とするパワー順位を特定した場合を想定する。そして、生成部8は、第1のチャネルに対応する第1の変調器23Aの変調後の光信号λ1にディザ信号を重畳しているものとする。
【0074】
第1のLD22Aは、ディザ信号が重畳されていないため、光信号λ1の光出力パワーが一定の状態で安定している。しかしながら、第1の変調器23Aでは、重畳されたディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。第1の入力側光モニタ3Aも、重畳されたディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。
【0075】
図10は、第2の最適化処理に関わる光伝送装置1Bの処理動作の一例を示すフローチャートである。第2の最適化処理では、ステップS15A、ステップS15B、ステップS15C及びステップS15Dの代わりに、ステップS31A、ステップS31B、ステップS31C及びステップS31Dの処理を実行する。
【0076】
生成部8は、最上位のチャネルが第1のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第1のチャネルの場合、ステップS14Aにて周波数f1のディザ信号を生成する。そして、第1の変調器23Aは、第1のチャネルの光信号にディザ信号を重畳し(ステップS31A)、周波数f1で揺らいだ光信号を透過出力すべく、ステップS16Aに移行する。
【0077】
また、生成部8は、最上位のチャネルが第2のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第2のチャネルの場合、ステップS14Bにて周波数f1のディザ信号を生成する。そして、第2の変調器23Bは、第2のチャネルの光信号にディザ信号を重畳し(ステップS31B)、周波数f1で揺らいだ光信号を透過出力すべく、ステップS16Aに移行する。
【0078】
生成部8は、最上位のチャネルが第3のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第3のチャネルの場合、ステップS14Cにて周波数f1のディザ信号を生成する。そして、第3の変調器23Cは、第3のチャネルの光信号にディザ信号を重畳し(ステップS31C)、周波数f1で揺らいだ光信号を透過出力すべく、ステップS16Bに移行する。
【0079】
また、生成部8は、最上位のチャネルが第4のチャネルの場合、すなわち、光出力パワーが最小の特定チャネルが第4のチャネルの場合、ステップS14Dにて周波数f1のディザ信号を生成する。そして、第4の変調器23Dは、第4のチャネルの光信号にディザ信号を重畳し(ステップS31D)、周波数f1で揺らいだ光信号を透過出力すべく、ステップS16Bに移行する。
【0080】
実施例3の光伝送装置1Bでは、光出力パワーが最小の設定対象チャネルにディザ信号を重畳し、設定対象チャネルのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように設定対象チャネルのヒータ6のヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、光伝送装置1Bは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。その結果、設定対象チャネルのヒータ6の温度を調整することでマッハツェンダ部12内の光導波路の屈折率を調整することで、部品バラツキや製造バラツキがあった場合でも、光合波フィルタ4を適切に制御して各チャネルの光出力パワーを安定化できる。
【0081】
更に、光伝送装置1Bでは、設定対象チャネルの光信号にディザ信号を重畳する際に、設定対象チャネルの光信号を変調する変調器23の変調信号にディザ信号を重畳するため、駆動回路21側でのAPC又はACCに影響を与えるような事態を回避できる。
【実施例4】
【0082】
図11は、実施例4の光伝送装置1Cの一例を示すブロック図である。尚、実施例2の光伝送装置1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0083】
実施例2の光伝送装置1Aと実施例4の光伝送装置1Cとが異なるところは、生成部8で生成したディザ信号を複数のチャネルλ1~λ4の内、一つの設定対象のチャネル対応の駆動回路21にディザ信号を入力する代わりに、各チャネルの駆動回路21に異なる周波数f1~f4のディザ信号を入力する点にある。
【0084】
生成部8は、周波数f1の第1のディザ信号を第1のチャネル対応の第1の駆動回路21Aに入力すると共に、周波数f2の第2のディザ信号を第2のチャネル対応の第2の駆動回路21Bに入力する。更に、生成部8は、周波数f3の第3のディザ信号を第3のディザ信号を第3のチャネル対応の第3の駆動回路21Cに入力すると共に、周波数f4のディザ信号を第4のディザ信号を第4のチャネル対応の第4の駆動回路21Dに入力する。生成部8は、特定部9にて特定されたパワー順位に基づき、各駆動回路21にチャネル毎のディザ信号を順次入力する。各駆動回路21は、生成部8からの自チャネル対応のディザ信号を入力した場合、当該ディザ信号を駆動電流に重畳する。
【0085】
第1の駆動回路21Aは、第1のチャネル対応の第1の駆動電流に第1のディザ信号を重畳し、第1のディザ信号を重畳した第1の駆動電流を第1のLD22Aに入力する。第1のLD22Aは、第1のディザ信号を重畳した第1の駆動電流に応じて第1のチャネル対応の光信号λ1を発光する。
【0086】
第2の駆動回路21Bは、第2のチャネル対応の第2の駆動電流に第2のディザ信号を重畳し、第2のディザ信号を重畳した第2の駆動電流を第2のLD22Bに入力する。第2のLD22Bは、第2のディザ信号を重畳した第2の駆動電流に応じて第2のチャネル対応の光信号λ2を発光する。
【0087】
第3の駆動回路21Cは、第3のチャネル対応の第3の駆動電流に第3のディザ信号を重畳し、第3のディザ信号を重畳した第3の駆動電流を第3のLD22Cに入力する。第3のLD22Cは、第3のディザ信号を重畳した第3の駆動電流に応じて第3のチャネル対応の光信号λ3を発光する。
【0088】
第4の駆動回路21Dは、第4のチャネル対応の第4の駆動電流に第4のディザ信号を重畳し、第4のディザ信号を重畳した第4の駆動電流を第4のLD22Dに入力する。第4のLD22Dは、第4のディザ信号を重畳した第4の駆動電流に応じて第4のチャネル対応の光信号λ4を発光する。
【0089】
第1の入力側光モニタ3Aは、第1の変調器23Aから第1のディザ信号を重畳した第1のチャネルの光信号λ1の光出力パワーを検出し、第1のチャネル対応の光信号λ1の光出力パワーを特定部9に通知する。第2の入力側光モニタ3Bは、第2の変調器23Bから第2のディザ信号を重畳した第2のチャネルの光信号λ2の光出力パワーを検出し、第2のチャネル対応の光信号λ2の光出力パワーを特定部9に通知する。
【0090】
第3の入力側光モニタ3Cは、第3の変調器23Cから第3のディザ信号を重畳した第3のチャネルの光信号λ3の光出力パワーを検出し、第3のチャネル対応の光信号λ3の光出力パワーを特定部9に通知する。第4の入力側光モニタ3Dは、第4の変調器23Dから第4のディザ信号を重畳した第4のチャネルの光信号λ4の光出力パワーを検出し、第4のチャネル対応の光信号λ4の光出力パワーを特定部9に通知する。
【0091】
特定部9は、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dのモニタ出力電圧の大小から各チャネルのパワー順位を特定し、パワー順位を生成部8及び第1~第3のヒータ制御部60A~60Cに通知する。
【0092】
第1の光合波部4Aは、第1の変調器23Aからの第1のディザ信号を重畳した第1のチャネル対応の光信号λ1と、第2の変調器23Bからの第2のディザ信号を重畳した第2のチャネル対応の光信号λ2とを合波する。そして、第1の光合波部4Aは、合波後の光信号λ1+λ2を出力ポート13A経由で第3の光合波部4Cに入力すると共に、モニタポート13B経由で第1の出力側光モニタ5Aに出力する。
【0093】
また、第2の光合波部4Bは、第3の変調器23Cからの第3のディザ信号を重畳した第3のチャネル対応の光信号λ3と、第4の変調器23Dからの第4のディザ信号を重畳した第4のチャネル対応の光信号λ4とを合波する。そして、第2の光合波部4Bは、合波後の光信号λ3+λ4を出力ポート13A経由で第3の光合波部4Cに入力すると共に、モニタポート13B経由で第2の出力側光モニタ5Bに出力する。
【0094】
第3の光合波部4Cは、第1の光合波部4Aで合波した第1及び第2のチャネル対応の光信号λ1+λ2と、第2の光合波部4Bで合波した第3及び第4のチャネル対応の光信号λ3+λ4とを合波する。そして、第3の光合波部4Cは、合波後の光信号を出力ポート13A経由で出力ポート7に出力すると共に、モニタポート13B経由で第3の出力側光モニタ5Cに出力する。
【0095】
第1の出力側光モニタ5Aは、第1の光合波部4Aで合波した第1及び第2のチャネル対応の光信号λ1+λ2の光出力パワーを検出し、第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61に通知する。ディザ信号検出部61は、第1の出力側光モニタ5Aの光出力パワーから第1及び第2のディザ信号の振幅値を検出する。第1のヒータ制御部60A内の比較部62は、第1のチャネルを比較対象とした場合、第1のディザ信号の振幅値と第1のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第1のディザ信号の振幅値が第1のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第1のヒータ制御部60A内の電流制御部63は、第1のディザ信号の振幅値が第1のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第1のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、第1のヒータ制御部60Aは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0096】
また、第1のヒータ制御部60A内の比較部62は、第2のチャネルを比較対象とした場合、第2のディザ信号の振幅値と第2のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第1のヒータ制御部60A内の電流制御部63は、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第2のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、第1のヒータ制御部60Aは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0097】
第2の出力側光モニタ5Bは、第2の光合波部4Bで合波した第3及び第4のチャネル対応の光信号λ3+λ4の光出力パワーを検出し、第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61に通知する。ディザ信号検出部61は、第2の出力側光モニタ5Bの光出力パワーから第3及び第4のディザ信号の振幅値を検出する。第2のヒータ制御部60B内の比較部62は、第3のチャネルを比較対象とした場合、第3のディザ信号の振幅値と第3のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第2のヒータ制御部60B内の電流制御部63は、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第3のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流を調整する。すなわち、第2のヒータ制御部60Bは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0098】
また、第2のヒータ制御部60B内の比較部62は、第4のチャネルを比較対象とした場合、第4のディザ信号の振幅値と第4のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第4のディザ信号の振幅値が第4のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第2のヒータ制御部60B内の電流制御部63は、第4のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第4のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流を調整する。すなわち、第2のヒータ制御部60Bは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0099】
第3の出力側光モニタ5Cは、第3の光合波部4Cで合波した第1~第4のチャネル対応の光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを検出し、光出力パワーを第3のヒータ制御部60C内のディザ信号検出部61に通知する。ディザ信号検出部61は、第3の出力側光モニタ5Cで検出した光出力パワーから第1~第4のディザ信号の振幅値を検出する。第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、第1のチャネルを比較対象とした場合、第1のディザ信号の振幅値と第1のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第1のディザ信号の振幅値が第1のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、第1のディザ信号の振幅値が第1のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第1のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流を調整する。すなわち、第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0100】
また、第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、第2のチャネルを比較対象とした場合、第2のディザ信号の振幅値と第2のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第2のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流を調整する。すなわち、第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0101】
また、第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、第3のチャネルを比較対象とした場合、第3のディザ信号の振幅値と第3のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット振幅値未満でない場合、第3のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流を調整する。すなわち、第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0102】
また、第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、第4のチャネルを比較対象とした場合、第4のディザ信号の振幅値と第4のディザ信号のターゲット振幅値とを比較する。比較部62は、第4のディザ信号の振幅値が第4のディザ信号のターゲット振幅値未満であるか否かを判定する。第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、第4のディザ信号の振幅値が第4のディザ信号のターゲット振幅値以上の場合、第4のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流を調整する。すなわち、第3のヒータ制御部60Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。
【0103】
図12は、各チャネルの第1~第4のLD22A~22D、第1~第4の変調器23A~23D、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dでの各出力の一例を示す説明図である。第1のLD22Aでは、重畳された第1のディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。第1の変調器23Aでは、重畳された第1のディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。第1の入力側光モニタ3Aでは、重畳された第1のディザ信号に応じて光信号λ1の光出力パワーに周波数f1の揺らぎが生じる。
【0104】
第2のLD22Bでは、重畳された第2のディザ信号に応じて光信号λ2の光出力パワーに周波数f2の揺らぎが生じる。第2の変調器23Bでも、重畳された第2のディザ信号に応じて光信号λ2の光出力パワーに周波数f2の揺らぎが生じる。第2の入力側光モニタ3Bでも、重畳された第2のディザ信号に応じて光信号λ2の光出力パワーに周波数f2の揺らぎが生じる。
【0105】
第3のLD22Cでは、重畳された第3のディザ信号に応じて光信号λ3の光出力パワーに周波数f3の揺らぎが生じる。第3の変調器23Cでも、重畳された第3のディザ信号に応じて光信号λ3の光出力パワーに周波数f3の揺らぎが生じる。第3の入力側光モニタ3Cでも、重畳された第3のディザ信号に応じて光信号λ3の光出力パワーに周波数f3の揺らぎが生じる。
【0106】
第4のLD22Eでは、重畳された第4のディザ信号に応じて光信号λ4の光出力パワーに周波数f4の揺らぎが生じる。第4の変調器23Dでも、重畳された第4のディザ信号に応じて光信号λ4の光出力パワーに周波数f4の揺らぎが生じる。第4の入力側光モニタ3Dでは、重畳された第4のディザ信号に応じて光信号λ3の光出力パワーに周波数f4の揺らぎが生じる。
【0107】
図13は、第1~第3の出力側光モニタ5A~5Cでの各出力の比較の一例を示す説明図である。第1の出力側光モニタ5Aは、重畳された第1及び第2のディザ信号に応じて、第1の光合波部4Aからの光信号λ1+λ2の光出力パワーに周波数f1及びf2の揺らぎが生じる。第2の出力側光モニタ5Bは、重畳された第3及び第4のディザ信号に応じて、第2の光合波部4Bからの光信号λ3+λ4の光出力パワーに周波数f3及びf4の揺らぎが生じる。また、第3の出力側光モニタ5Cも、重畳された第1~第4のディザ信号に応じて、第3の光合波部4Cからの光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーに周波数f1~f4の揺らぎが生じる。
【0108】
図14は、第1~第3のヒータ制御部60A~60C内のディザ信号検出部61の出力の比較の一例を示す説明図である。第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61は、第1の光合波部4Aで合波した光信号λ1+λ2に第1及び第2のディザ信号が重畳されているため、第1及び第2のディザ信号の振幅値を検出する。第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61は、第2の光合波部4Bで合波した光信号λ3+λ4に第3及び第4のディザ信号が重畳されているため、第3及び第4のディザ信号の振幅値を検出する。また、第3のヒータ制御部60C内のディザ信号検出部61も、第3の光合波部4Cで合波した光信号λ1+λ2+λ3+λ4に第1~第4のディザ信号が重畳されているため、第1~第4のディザ信号の振幅値を検出する。
【0109】
図15A及び
図15Bは、第3の最適化処理に関わる光伝送装置1Cの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図15Aにおいて光伝送装置1C内の生成部8は、周波数f1~f4の第1~第4のディザ信号を生成する(ステップS41)。各駆動回路21は、チャネル対応の駆動電流にディザ信号を重畳する(ステップS42)。尚、第1の駆動回路21Aは、第1のチャネル対応の第1の駆動電流に第1のディザ信号を重畳する。第2の駆動回路21Bは、第2のチャネル対応の第2の駆動電流に第2のディザ信号を重畳する。第3の駆動回路21Cは、第3のチャネル対応の第3の駆動電流に第3のディザ信号を重畳する。第4の駆動回路21Dは、第4のチャネル対応の第4の駆動電流に第4のディザ信号を重畳する。
【0110】
第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dは、第1~第4のチャネルの光出力パワーを検出する(ステップS43)。特定部9は、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dで検出した第1~第4のチャネルの光出力パワーの大小に基づき、チャネル毎のパワー順位を特定し、パワー順位を生成部8及び第1~第3のヒータ制御部60A~60Cに通知する(ステップS44)。尚、パワー順位は、光出力パワーが最小のチャネルを最上位とし、最大のチャネルを最下位とする。生成部8は、特定部9からのパワー順位に基づき、チャネルを指定する(ステップS45)。
【0111】
第1の出力側光モニタ5Aは、ステップS45にて指定チャネルが第1のチャネルの場合、第1の光合波部4Aで合波した光信号λ1+λ2の光出力パワーを検出する(ステップS46A)。第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61は、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーから周波数f1の第1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS47A)。第1のヒータ制御部60A内の比較部62は、ステップS47Aで抽出した第1のディザ信号の振幅値と第1のディザ信号のターゲット値とを比較し、第1のディザ信号の振幅値が第1のディザ信号のターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS48A)。
【0112】
第1のヒータ制御部60A内の電流制御部63は、第1のディザ信号の振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS48A:No)、第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS49A)。つまり、電流制御部63は、第1のディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。そして、第1の出力側光モニタ5Aを通じて第1の光合波部4Aからの光出力パワーを監視すべく、ステップS46Aに移行する。第3の出力側光モニタ5Cは、第1のヒータ制御部60A内の第1のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48A:Yes)、
図15Bに示すM2に移行する。
【0113】
第1の出力側光モニタ5Aは、ステップS45にて指定チャネルが第2のチャネルの場合、第1の光合波部4Aで合波した光信号λ1+λ2の光出力パワーを検出すべく、ステップS46Aに移行する。第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61は、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーから周波数f2の第2のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS47B)。第1のヒータ制御部60A内の比較部62は、ステップS47Bで抽出した第2のディザ信号の振幅値と第2のディザ信号のターゲット値とを比較し、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS48B)。
【0114】
第1のヒータ制御部60A内の電流制御部63は、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット値未満でない場合(ステップS48B:No)、ステップS49Aに移行する。つまり、電流制御部63は、第2のディザ信号の振幅値が第2のディザ信号のターゲット値未満となるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。
【0115】
第1の出力側光モニタ5Aは、第1のヒータ制御部60A内の第2のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48B:Yes)、
図15Bに示すM2に移行する。
【0116】
第2の出力側光モニタ5Bは、ステップS45にて指定チャネルが第3のチャネルの場合、第2の光合波部4Bで合波した光信号λ2+λ3の光出力パワーを検出する(ステップS46B)。第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61は、第2の出力側光モニタ5Bで検出した光信号λ3+λ4の光出力パワーから周波数f3の第3のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS47C)。第2のヒータ制御部60B内の比較部62は、ステップS47Cで抽出した第3のディザ信号の振幅値と第3のディザ信号のターゲット値とを比較し、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS48C)。
【0117】
第2のヒータ制御部60B内の電流制御部63は、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット値未満でない場合(ステップS48C:No)、第2のヒータ141Bへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS49B)。つまり、電流制御部63は、第3のディザ信号の振幅値が第3のディザ信号のターゲット値未満となるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。そして、第2の出力側光モニタ5Bで第2の光合波部4Bからの光信号λ3+λ4の光出力パワーを監視すべく、ステップS46Bに移行する。第3の出力側光モニタ5Cは、第2のヒータ制御部60B内の第3のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48C:Yes)、
図15Bに示すM2に移行する。
【0118】
第2の出力側光モニタ5Bは、ステップS45にて指定チャネルが第4のチャネルの場合、第2の光合波部4Bで合波した光信号λ3+λ4の光出力パワーを検出すべく、ステップS46Bに移行する。第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61は、第2の出力側光モニタ5Bで検出した光信号λ3+λ4の光出力パワーから周波数f4の第4のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS47D)。第2のヒータ制御部60B内の比較部62は、ステップS47Dで抽出した第4のディザ信号の振幅値と第4のディザ信号のターゲット値とを比較し、第4のディザ信号の振幅値が第4のディザ信号のターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS48D)。
【0119】
第2のヒータ制御部60B内の電流制御部63は、第4のディザ信号の振幅値が第4のディザ信号のターゲット値未満でない場合(ステップS48D:No)、ステップS49Bに移行する。つまり、電流制御部63は、第4のディザ信号の振幅値が第4のディザ信号のターゲット値未満となるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。第2のヒータ制御部60Bは、第2のヒータ制御部60B内の第4のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48D:Yes)、
図15Bに示すM2に移行する。
【0120】
第3の出力側光モニタ5Cは、第1のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48A:Yes)、第3の光合波部4Cのモニタポート13Bから出力した光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを検出する(ステップS51)。第3の出力側光モニタ5Cは、第2のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48B:Yes)、ステップS51に移行する。第3の出力側光モニタ5Cは、第3のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48C:Yes)、ステップS51に移行する。第3の出力側光モニタ5Cは、第4のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS48D:Yes)、ステップS51に移行する。
【0121】
第3のヒータ制御部60C内のディザ信号検出部61は、第3の出力側光モニタ5Cで検出した光出力パワーから周波数f1~f4の第1~第4のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS52)。第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、ステップS52で抽出した各ディザ信号の振幅値とディザ信号毎のターゲット値とを順次比較し、ディザ信号毎の振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS53)。
【0122】
第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、ディザ信号毎の振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS53:No)、第3のヒータ141Cへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS54)。そして、第3の出力側光モニタ5Cで第3の光合波部4Cからの光信号λ1+λ2+λ3+λ4の光出力パワーを監視すべく、ステップS51に移行する。
【0123】
第3のヒータ制御部60Cは、第3のヒータ制御部60C内の各ディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS53:Yes)、未指定のチャネルがあるか否かを判定する(ステップS55)。第3のヒータ制御部60Cは、未指定のチャネルがある場合(ステップS55:Yes)、次のチャネルを指定し(ステップS56)、
図15Aに示すM3のステップS45に移行する。第3のヒータ制御部60Cは、未指定のチャネルがない場合(ステップS55:No)、
図15Bに示す第3の最適化処理を終了する。
【0124】
実施例4の光伝送装置1Cでは、全チャネルにチャネル毎に異なるディザ信号を重畳し、全チャネルのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように各チャネルの各ヒータ6のヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、光伝送装置1Cは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。その結果、全チャネルのヒータ6の温度を調整することでマッハツェンダ部12内の光導波路の屈折率を調整することで、部品バラツキや製造バラツキがあった場合でも、全チャネルの光合波フィルタを適切に制御して各チャネルの光出力パワーを安定化できる。
【実施例5】
【0125】
図16は、実施例5の光伝送装置1Dの一例を示すブロック図である。尚、実施例2の光伝送装置1Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0126】
実施例2の光伝送装置1Aと実施例5の光伝送装置1Dとが異なるところは、生成部8で生成したディザ信号を複数のチャネルの内、一つの設定対象のチャネルの駆動回路21にディザ信号を入力する代わりに、全チャネルの駆動回路21に同一周波数のディザ信号を入力する点にある。
【0127】
図17A及び
図17Bは、第4の最適化処理に関わる光伝送装置1Dの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図17Aにおいて光伝送装置1D内の第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dは、第1~第4のチャネルの光出力パワーを検出する(ステップS61)。特定部9は、第1~第4の入力側光モニタ3A~3Dで検出した第1~第4のチャネルの光信号の光出力パワーの大小に基づき、チャネル毎のパワー順位を特定し、パワー順位を生成部8及び第1~第3のヒータ制御部60A~60Cに通知する(ステップS62)。尚、パワー順位は、光出力パワーが最小のチャネルを最上位とし、光出力パワーが最大のチャネルを最下位とする。
【0128】
生成部8は、特定部9からのパワー順位に基づき、指定チャネルを判定する(ステップS63)。生成部8は、指定チャネルが第1のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS64A)。第1の駆動回路21Aは、第1のチャネルの第1の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS65A)。その結果、第1のLD22Aは、ディザ信号を重畳した第1の駆動電流に応じて第1のチャネル対応の光信号λ1を発光する。
【0129】
第1の光合波部4Aは、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2+λ3+λ4を透過出力する(ステップS66A)。第1の出力側光モニタ5Aは、第1の光合波部4Aのモニタポート13Bから出力した光信号λ1+λ2の光出力パワーを検出する(ステップS67A)。第1のヒータ制御部60A内のディザ信号検出部61は、第1の出力側光モニタ5Aで検出した光信号λ1+λ2の光出力パワーから周波数f1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS68A)。第1のヒータ制御部60A内の比較部62は、ステップS68Aで抽出したディザ信号の振幅値とターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS69A)。
【0130】
第1のヒータ制御部60A内の電流制御部63は、振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS69A:No)、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第1のヒータ141Aへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS70A)。そして、第1の出力側光モニタ5Aで第1の光合波部4Aからの光信号λ1+λ2の光出力パワーを監視すべく、ステップS67Aに移行する。
【0131】
第1の出力側光モニタ5Aは、第1のヒータ制御部60A内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS69A:Yes)、
図17Bに示すM4に移行する。
【0132】
また、生成部8は、ステップS63にて指定チャネルが第2のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS64B)。第2の駆動回路21Bは、第2のチャネルの第2の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS65B)。その結果、第2のLD22Bは、ディザ信号を重畳した第2の駆動電流に応じて第2のチャネルの光信号λ2を発光する。その結果、第1の光合波部4Aは、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ2を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ+λ3+λ4を透過出力すべく、ステップS66Aに移行する。
【0133】
生成部8は、ステップS63にて指定チャネルが第3のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS64C)。第3の駆動回路21Cは、第3のチャネルの第3の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS65C)。その結果、第3のLD22Cは、ディザ信号を重畳した第3の駆動電流に応じて第3のチャネルの光信号λ3を発光する。
【0134】
第2の光合波部4Bは、周波数f1で揺らいだ光信号λ3+λ4を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ+λ3+λ4を透過出力する(ステップS66B)。第2の出力側光モニタ5Bは、第2の光合波部4Bのモニタポート13Bから出力した光信号λ3+λ4の光出力パワーを検出する(ステップS67B)。第2のヒータ制御部60B内のディザ信号検出部61は、第2の出力側光モニタ5Bで検出した光出力パワーから周波数f1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS68B)。第2のヒータ制御部60B内の比較部62は、ステップS68Bで抽出した振幅値とターゲット値とを比較し、振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS69B)。
【0135】
第2のヒータ制御部60B内の電流制御部63は、振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS69B:No)、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第2のヒータ141Bへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS70B)。そして、第2の出力側光モニタ5Bで第2の光合波部4Bからの光出力パワーを監視すべく、ステップS67Bに移行する。
【0136】
第3の出力側光モニタ5Cは、第2のヒータ制御部60B内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS69B:Yes)、
図17Bに示すM4に移行する。
また、生成部8は、ステップS63にて指定チャネルが第4のチャネルの場合、周波数f1のディザ信号を生成する(ステップS64D)。第4の駆動回路21Dは、第4のチャネルの第4の駆動電流に周波数f1のディザ信号を重畳する(ステップS65D)。その結果、第4のLD22Dは、ディザ信号を重畳した第4の駆動電流に応じて第4のチャネルの光信号を発光する。その結果、第2の光合波部4Bは、周波数f1で揺らいだ光信号λ3+λ4を透過出力し、第3の光合波部4Cも、周波数f1で揺らいだ光信号λ1+λ+λ3+λ4を透過出力すべく、ステップS66Bに移行する。
【0137】
第3の出力側光モニタ5Cは、第1のヒータ制御部60A内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS69A:Yes)、第3の光合波部4Cのモニタポート13Bから出力した光信号λ1+λ+λ3+λ4の光出力パワーを検出する(ステップS71)。第3の出力側光モニタ5Cは、第2のヒータ制御部60B内のディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS69B:Yes)、ステップS71に移行する。
【0138】
第3のヒータ制御部60C内のディザ信号検出部61は、第3の出力側光モニタ5Cで検出した光出力パワーから周波数f1のディザ信号の振幅値を抽出する(ステップS72)。第3のヒータ制御部60C内の比較部62は、ステップS72で抽出した各ディザ信号の振幅値とディザ信号毎のターゲット値とを順次比較し、ディザ信号毎の振幅値がターゲット値未満であるか否かを判定する(ステップS73)。
【0139】
第3のヒータ制御部60C内の電流制御部63は、ディザ信号毎の振幅値がターゲット値未満でない場合(ステップS73:No)、第3のヒータ141Cへのヒータ電流(位相設定点)を調整する(ステップS74)。つまり、電流制御部63は、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように第3のヒータ141Cへのヒータ電流(位相設定点)を調整する。そして、第3の出力側光モニタ5Cで第3の光合波部4Cからの光出力パワーを監視すべく、ステップS71に移行する。
【0140】
第3のヒータ制御部60Cは、第3のヒータ制御部60C内の各ディザ信号の振幅値がターゲット値未満の場合(ステップS73:Yes)、未指定のチャネルがあるか否かを判定する(ステップS75)。第3のヒータ制御部60Cは、未指定のチャネルがある場合(ステップS75:Yes)、次のチャネルを指定し(ステップS76)、
図17Aに示すM5のステップS63に移行する。第3のヒータ制御部60Cは、未指定のチャネルがない場合(ステップS75:No)、
図17Bに示す第4の最適化処理を終了する。
【0141】
実施例5の光伝送装置1Dでは、全チャネルに同一周波数のディザ信号を重畳し、全チャネルのディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるように各チャネルのヒータ6のヒータ電流(位相設定点)を調整する。すなわち、光伝送装置1Dは、ディザ信号の振幅値がターゲット値未満になるようにマッハツェンダ部12の位相差を調整する。その結果、全チャネルのヒータ6の温度を調整することでマッハツェンダ部12内の光導波路の屈折率を調整することで、部品バラツキや製造バラツキがあった場合でも、全チャネルの光合波フィルタ4を適切に制御して各チャネルの光出力パワーを安定化できる。また、生成部8は、単一周波数のディザ信号で済むため、処理負担を軽減できる。
【0142】
尚、本実施例1~5の光伝送装置1では、4波長多重方式の光送信装置を例示したが、4波長多重方式の光受信装置にも適用可能である。更に、本実施例1~5の光伝送装置1では、4波長多重方式を例示したが、4波長に限定されるものではなく、複数波長を多重する方式であれば良く、適宜変更可能である。
【0143】
また、説明の便宜上、調整部として遅延部14やヒータ部141を使用する場合を例示したが、2本の光導波路の光信号の位相を調整する機能であれば良く、適宜変更可能である。
【0144】
また、ヒータ部141のヒータ電流を調整することで2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、光合波部4の透過スペクトルの位相を調整しても良く、適宜変更可能である。
【0145】
尚、本実施例のヒータ電流を調整して2本の光導波路を通過する光信号の位相を調整するヒータ141を調整部として例示したが、調整部はヒータ部に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0146】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0147】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0148】
1 光伝送装置
2 発光部
3 第1の検出部
4 光合波フィルタ
4A 第1の光合波部
4B 第2の光合波部
4C 第3の光合波部
5 第2の検出部
6 制御部
12 マッハツェンダ部
14 遅延部