(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】オートフォーカス眼鏡、その度数調節の方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G02C 7/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G02C7/00
(21)【出願番号】P 2020100080
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 義和
(72)【発明者】
【氏名】植村 昂紀
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-080527(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0185503(US,A1)
【文献】特開2014-157197(JP,A)
【文献】特表2015-509209(JP,A)
【文献】特表2009-519483(JP,A)
【文献】実開昭60-080420(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートフォーカス眼鏡であって、
度数可変レンズと、
前記度数可変レンズと目との間の距離を調整する位置調節機構と、
前記度数可変レンズの度数を調節するための度数調節部と、
前記オートフォーカス眼鏡に対する指示の入力を受け付ける入力部と、
前記度数可変レンズの度数情報を格納するための記憶部と、
前記度数可変レンズから目視対象までの距離を測定するための距離センサーと、
前記オートフォーカス眼鏡を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記距離センサーから取得した信号に基づいて、前記度数可変レンズから前記目視対象までの距離を算出し、
前記位置調節機構は、前記入力部からの位置調節指令に基づいて、前記度数可変レンズと目との間の距離を調節し、
前記度数調節部は、前記入力部からの度数調節指令に基づいて、前記度数可変レンズの度数を調節し、
前記制御部は、前記度数可変レンズの位置情報と、前記度数可変レンズの度数情報とを関連付けて前記記憶部に保存し、
前記度数調節部は、前記度数可変レンズの位置情報と、前記度数可変レンズの度数情報とに基づいて、前記度数可変レンズの度数を調節する、オートフォーカス眼鏡。
【請求項2】
前記度数可変レンズの位置情報と、前記度数可変レンズの度数情報とを関連付けて前記記憶部に保存することは、2つ以上の前記度数可変レンズの位置情報の各々と、2つ以上の前記度数可変レンズの度数情報の各々とを関連付けて前記記憶部に保存することを含む、請求項1に記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に格納した前記2つ以上の前記度数可変レンズの位置情報と、前記2つ以上の前記度数可変レンズの位置情報の各々に関連付けられた前記度数可変レンズの度数情報とに基づいて、前記度数可変レンズの度数調整のための補間データを生成する、請求項2に記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項4】
前記度数可変レンズに内蔵または重ね合わされた表示部をさらに備え、
前記表示部は、
前記目視対象から前記度数可変レンズまでの距離に基づいて、前記度数可変レンズの調節位置を表示する、請求項1~3のいずれかに記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項5】
前記制御部
は、算出した前記距離を前記表示部に出力する、請求項4に記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項6】
前記入力部は、前記度数可変レンズから前記目視対象までの距離の入力を受け付け、
前記制御部は、
受け付けた前記距離
の入力に基づいて、
入力された前記距離を前記表示部に出力する、請求項4に記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項7】
前記入力部は、前記度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付け、
前記制御部は、前記入力に基づいて、前記表示部に、ユーザーに前記度数可変レンズの位置を初期位置に戻させるための指示を表示する、請求項4~6のいずれかに記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項8】
前記入力部は、前記度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付け、
前記制御部は、前記入力に基づいて、前記位置調節機構により、前記度数可変レンズの位置を初期位置に移動させる、請求項1~7のいずれかに記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項9】
前記位置調節機構の一部または全ては、脱着可能である、請求項1~8のいずれかに記載のオートフォーカス眼鏡。
【請求項10】
オートフォーカス眼鏡の度数調節の方法であって、
距離センサーから取得した信号に基づいて、度数可変レンズから目視対象までの距離を算出するステップと、
入力部からの位置調節指令に基づいて、
前記度数可変レンズと目との間の距離を調節するステップと、
前記入力部からの度数調節指令に基づいて、前記度数可変レンズの度数を調節するステップと、
前記度数可変レンズの位置情報と、前記度数可変レンズの度数情報とを関連付けるステップと、
前記度数可変レンズの位置情報と、前記度数可変レンズの度数情報とに基づいて、前記度数可変レンズの度数を調節するステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記度数可変レンズの位置情報と、前記度数可変レンズの度数情報とを関連付けるステップは、2つ以上の前記度数可変レンズの位置情報の各々と、2つ以上の前記度数可変レンズの度数情報の各々とを関連付けるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記2つ以上の前記度数可変レンズの位置情報と、前記2つ以上の前記度数可変レンズの位置情報の各々に関連付けられた前記度数可変レンズの度数情報とに基づいて、前記度数可変レンズの度数調整のための補間データを生成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記目視対象から前記度数可変レンズまでの距離に基づいて、前記度数可変レンズの調節位置を表示部に表示するステップをさらに含む、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
算出した前記距離を前記表示部に出力するステッ
プをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記度数可変レンズから前記目視対象までの距離の入力を受け付けるステップと、
受け付けた前記距離
の入力に基づいて、
入力された前記距離を前記表示部に出力するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付けるステップと、
前記入力に基づいて、前記表示部に、ユーザーに前記度数可変レンズの位置を初期位置に戻させるための指示を表示するステップとをさらに含む、請求項13~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付けるステップと、
前記入力に基づいて、前記度数可変レンズの位置を初期位置に移動させるステップとをさらに含む、請求項10~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
請求項10~17のいずれかに記載の方法を1以上のプロセッサーに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してオートフォーカス眼鏡に関し、より特定的には、オートフォーカス眼鏡の度数可変レンズの度数の調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカス眼鏡は、度数可変レンズを備えており、ユーザーの目の状態、またはオートフォーカス眼鏡から目視対象までの距離に合わせて度数可変レンズの度数を調節する。そのため、ユーザーは視力に関係なく同じオートフォーカス眼鏡を使用することができる。
【0003】
ただし、オートフォーカス眼鏡から目視対象までの距離が同一であっても、ユーザーの視力によって、度数可変レンズの最適な度数は異なる。そのため、ユーザーは、予め、初期設定として、オートフォーカス眼鏡から目視対象までの距離ごとに、度数可変レンズの度数を設定しておく必要がある。
【0004】
オートフォーカス眼鏡の度数可変レンズの度数の調節に関し、例えば、特開2015-052772号公報(特許文献1)は、「固体レンズ、可変焦点レンズの両レンズが設けられた第1の光学系または第2の光学系において、眼に屈折異常がある使用者が固体レンズ、可変焦点レンズを介して所定の目視対象物を視認した際に、使用者が所定の目視対象物を明瞭に視認できるように、固体レンズ、可変焦点レンズを構成する、あるいは、可変焦点レンズを備え、可変焦点レンズを駆動する電極に印加電圧が印加されない状態において、使用者が可変焦点レンズを介して所定の目視対象物を視認した際に、使用者が所定の目視対象物を明瞭に視認できるように、使用者の視力に応じて、可変焦点レンズを構成する」視力矯正装置を開示している([要約]参照)。
【0005】
また、オートフォーカス眼鏡のレンズの度数の調節に関する他の技術が、例えば、特許文献2~特許文献8に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-052772号公報
【文献】特開2014-157197号公報
【文献】特開2014-134782号公報
【文献】特開2014-038302号公報
【文献】特表2018-525672号公報
【文献】特表2017-523445号公報
【文献】国際公開第2018/168644号
【文献】国際公開第2018/168570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~8に開示された技術によると、度数可変レンズの度数の初期設定時に、ユーザーが目視対象を複数回設置し直す必要がある。その結果、目視対象の設置時の位置ずれ等により度数可変レンズの度数調節が正確にできない可能性がある。したがって、ユーザーが目視対象を設置し直すことなく度数可変レンズの度数の初期設定を完了するための技術が必要とされている。
【0008】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、ユーザーが目視対象を設置し直すことなく度数可変レンズの度数の初期設定を完了するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡は、度数可変レンズと、度数可変レンズと目との間の距離を調整する位置調節機構と、度数可変レンズの度数を調節するための度数調節部と、オートフォーカス眼鏡に対する指示の入力を受け付ける入力部と、度数可変レンズの度数情報を格納するための記憶部と、オートフォーカス眼鏡を制御する制御部とを備える。位置調節機構は、入力部からの位置調節指令に基づいて、度数可変レンズと目との間の距離を調節する。度数調節部は、入力部からの度数調節指令に基づいて、度数可変レンズの度数を調節する。制御部は、度数可変レンズの位置情報と、度数可変レンズの度数情報とを関連付けて記憶部に保存する。度数調節部は、度数可変レンズの位置情報と、度数可変レンズの度数情報とに基づいて、度数可変レンズの度数を調節する。
【0010】
ある局面において、度数可変レンズの位置情報と、度数可変レンズの度数情報とを関連付けて記憶部に保存することは、2つ以上の度数可変レンズの位置情報の各々と、2つ以上の度数可変レンズの度数情報の各々とを関連付けて記憶部に保存することを含む。
【0011】
ある局面において、制御部は、記憶部に格納した2つ以上の度数可変レンズの位置情報と、2つ以上の度数可変レンズの位置情報の各々に関連付けられた度数可変レンズの度数情報とに基づいて、度数可変レンズの度数調整のための補間データを生成する。
【0012】
ある局面において、オートフォーカス眼鏡は、度数可変レンズに内蔵または重ね合わされた表示部をさらに備える。表示部は、目視対象から度数可変レンズまでの距離に基づいて、度数可変レンズの調節位置を表示する。
【0013】
ある局面において、オートフォーカス眼鏡は、度数可変レンズから目視対象までの距離を測定するための距離センサーをさらに備える。制御部は、距離センサーから取得した信号に基づいて、度数可変レンズから目視対象までの距離を算出し、算出した距離を表示部に出力する。
【0014】
ある局面において、入力部は、度数可変レンズから目視対象までの距離の入力を受け付け得る。制御部は、距離に基づいて、距離を表示部に出力する。
【0015】
ある局面において、入力部は、度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付ける。制御部は、入力に基づいて、表示部に、ユーザーに度数可変レンズの位置を初期位置に戻させるための指示を表示する。
【0016】
ある局面において、入力部は、度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付ける。制御部は、入力に基づいて、位置調節機構により、度数可変レンズの位置を初期位置に移動させる。
【0017】
ある局面において、位置調節機構の一部または全ては、脱着可能である。
他の実施の形態に従うと、オートフォーカス眼鏡の度数調節の方法が提供される。この方法は、入力部からの位置調節指令に基づいて、度数可変レンズと目との間の距離を調節するステップと、入力部からの度数調節指令に基づいて、度数可変レンズの度数を調節するステップと、度数可変レンズの位置情報と、度数可変レンズの度数情報とを関連付けるステップと、度数可変レンズの位置情報と、度数可変レンズの度数情報とに基づいて、度数可変レンズの度数を調節するステップとを含む。
【0018】
ある局面において、度数可変レンズの位置情報と、度数可変レンズの度数情報とを関連付けるステップは、2つ以上の度数可変レンズの位置情報の各々と、2つ以上の度数可変レンズの度数情報の各々とを関連付けるステップを含む。
【0019】
ある局面において、方法は、2つ以上の度数可変レンズの位置情報と、2つ以上の度数可変レンズの位置情報の各々に関連付けられた度数可変レンズの度数情報とに基づいて、度数可変レンズの度数調整のための補間データを生成するステップをさらに含む。
【0020】
ある局面において、方法は、目視対象から度数可変レンズまでの距離に基づいて、度数可変レンズの調節位置を表示部に表示するステップをさらに含む。
【0021】
ある局面において、方法は、距離センサーから取得した信号に基づいて、度数可変レンズから目視対象までの距離を算出するステップと、算出した距離を表示部に出力するステップとをさらに含む。
【0022】
ある局面において、方法は、度数可変レンズから目視対象までの距離の入力を受け付けるステップと、距離に基づいて、距離を表示部に出力するステップとをさらに含む。
【0023】
ある局面において、方法は、度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付けるステップと、入力に基づいて、表示部に、ユーザーに度数可変レンズの位置を初期位置に戻させるための指示を表示するステップとをさらに含む。
【0024】
ある局面において、方法は、度数可変レンズの度数の調節を完了するための入力を受け付けるステップと、入力に基づいて、度数可変レンズの位置を初期位置に移動させるステップとをさらに含む。
【0025】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかの方法を1以上のプロセッサーに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
ある実施の形態に従うと、ユーザーが目視対象を設置し直すことなく度数可変レンズの度数の初期設定を完了することが可能である。
【0027】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】ある実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡100の構成の一例を示す図である。
【
図2】ある実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の一例を示す図である。
【
図3】度数可変レンズ101の度数の調節手順の概要の一例を示す図である。
【
図4】オートフォーカス眼鏡100の回路構成の一例を示す図である。
【
図5】オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第1の例を示す図である。
【
図6】オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第2の例を示す図である。
【
図7】オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第3の例を示す図である。
【
図8】
図7における補間情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0030】
<A.基本構成>
まず、
図1および
図2を参照して、本実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡の基本構成について説明する。
図1は、本実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡100の構成の一例を示す図である。オートフォーカス眼鏡100は、備え付けられたレンズの度数を変更可能な眼鏡である。そのため、視力の異なる複数のユーザーが同一のオートフォーカス眼鏡100を使用することができる。
【0031】
オートフォーカス眼鏡100は、度数可変レンズ101と、フレーム102と、制御部103と、入力部104と、記憶部105と、電源部106と、通信部107と、距離センサー108と、表示部109と、位置調節機構110と、度数調節部111とを備える。
【0032】
度数可変レンズ101は、度数、すなわち光の屈折率を変更可能なレンズである。また、左右の度数可変レンズ101の各々の度数は、互いに異なっていてもよい。ある局面において、度数可変レンズ101は、液晶レンズであってもよい。液晶レンズは、入力された電圧に基づいて液晶を変化させることで、液晶レンズ自体の度数調節を可能にする。他の局面において、度数可変レンズ101は、液体レンズであってもよい。液体レンズは、例えば、ポンプ等によりレンズ内に含まれる液体の量を調節することで、液体レンズ自体の度数調節を可能にする。
【0033】
フレーム102は、度数可変レンズ101および他の構成を内蔵する。ある局面において、度数可変レンズ101、制御部103~位置調節機構110の一部または全ては、フレーム102から脱着可能であってもよい。その場合、ユーザーは、必要に応じて各パーツをフレーム102に装着し得る。他の局面において、フレーム102は、樹脂、金属、木材およびその他の任意の素材またはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0034】
制御部103は、オートフォーカス眼鏡100の全体の動作を制御する。入力部104は、度数可変レンズ101の設定情報の入力を受け付ける。ある局面において、入力部104は、ダイヤル、タッチパネルまたはボタン等の任意の入力手段を備えていてもよく、当該入力手段からユーザーの入力を受け付ける。入力部104は、ユーザーから、度数可変レンズ101の度数情報および位置情報の入力を受け付け得る。
【0035】
「設定情報」は、左右の度数可変レンズ101の「度数情報」および「位置情報(距離情報)」を含む。制御部103は、設定情報に含まれる度数情報に基づいて、度数調節部111を介して、液晶レンズである度数可変レンズ101に対する電圧、または液体レンズである度数可変レンズ101の液量を調節し得る。「位置情報(距離情報)」は、度数可変レンズ101の目に対する位置(度数可変レンズ101から目までの距離)を示す。制御部103は、入力部104から入力された度数可変レンズ101の位置情報に基づいて、位置調節機構110を介して、度数可変レンズ101の位置を調節し得る。
【0036】
ある局面において、入力部104は、度数可変レンズ101の度数情報の入力を受け付けるための第1の入力部と、度数可変レンズ101の位置情報の入力を受け付けるための第2の入力部とに分かれていてもよい。また、他の局面において、入力部104は、その他の入力を受け付けるための任意の数の入力部に分かれていてもよい。
【0037】
記憶部105は、制御部103が度数可変レンズ101の度数を調節するときに使用する設定情報を保存する。制御部103は、入力部104または通信部107から取得した設定情報を記憶部105に保存する。制御部103は、記憶部105に保存された設定情報に基づいて、適宜、度数可変レンズ101の度数を変更し得る。また、記憶部105は、制御部103によって実行されるプログラムを格納する。
【0038】
電源部106は、度数可変レンズ101、制御部103,入力部104、記憶部105、通信部107、距離センサー108、表示部109および位置調節機構110の全てまたは一部に電力を提供する。
【0039】
通信部107は、コンピューター、スマートフォンまたはタブレット等の任意の機器と通信し得る。例えば、制御部103は、入力部104の代わりに、通信部107を介してスマートフォン等にインストールされたアプリケーションから指令(設定情報等)を取得してもよい。
【0040】
距離センサー108は、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離を測定し得る。距離センサー108は、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離の測定結果を示す信号を制御部103に出力する。ある局面において、制御部103は、距離センサー108から取得した信号に基づいて、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離を算出してもよい。
【0041】
表示部109は、制御部103からの指令に基づいて、各種情報を表示する。例えば、度数可変レンズ101の度数情報、位置調節機構110に設定すべき位置情報、またはオートフォーカス眼鏡100の初期設定のインストラクション等を表示し得る。ある局面において、表示部109は、距離センサー108によって取得した目視対象までの距離を表示してもよい。
【0042】
位置調節機構110は、オートフォーカス眼鏡100の初期設定のために使用される。位置調節機構110は、度数可変レンズ101を移動させることで、オートフォーカス眼鏡100をかけたユーザーの目から度数可変レンズ101までの距離(度数可変レンズ101の位置)を調節し得る。
【0043】
一例として、ユーザーは、オートフォーカス眼鏡100を使用して、目視対象を視認しているとする。位置調節機構110により度数可変レンズ101の位置が変化すると、度数可変レンズ101における目視対象からの反射光の入射角が変化する。それにより、オートフォーカス眼鏡100をかけたユーザーには、自分から目視対象までの距離が変化したように見える。ユーザーは、例えば、入力部104を介して位置調節機構110に対する指示を入力することで、疑似的に自分の目から目視対象までの距離を遠距離、中距離、または近距離のように変化させることができる。
【0044】
上述した位置情報(距離情報)は、ユーザーの目から度数可変レンズ101までの距離であると同時に、疑似的にユーザーの目または度数可変レンズ101から目視対象までの距離を示す。ユーザーは、度数可変レンズ101の位置情報を変更することで、目視対象を移動させることなく、例えば、疑似的に自分の目から遠距離、中距離、または近距離だけ離れた目視対象を見ることができる。ユーザーは、当該機能を使用して度数可変レンズ101の度数調整を行ない得る。具体的な度数可変レンズ101の度数調整方法については
図3を参照して説明する。
【0045】
ある局面において、位置調節機構110は、制御部103からの指令に基づいて、度数可変レンズ101の位置を調節してもよい。他の局面において、位置調節機構110は、入力部104から入力された指令に基づいて、度数可変レンズ101の位置を調節してもよい。また、他の局面において、位置調節機構110は、モーター等のアクチュエーターを含んでいてもよい。また、他の局面において、位置調節機構110の一部(モーターのみ等)または全てはオートフォーカス眼鏡100から脱着可能であってもよい。位置調節機構110が脱着可能となることで、オートフォーカス眼鏡100の重量は軽減し得る。
【0046】
度数調節部111は、制御部103からの指令に基づいて、左右の度数可変レンズ101の度数を調節する。ここでの度数可変レンズ101の度数の調節は、一例として、度数可変レンズ101に対する電圧の調節、または度数可変レンズ101内の液体の量の調節を含み得る。制御部103は、後述する入力部104または通信部107から取得した度数可変レンズ101の設定情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0047】
図2は、本実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の一例を示す図である。
図2の例では、度数可変レンズ101に対して遠距離の場所(A)、中距離の場所(B)および近距離の場所(C)の各々にある目視対象からの反射光が、度数可変レンズ101に届く様子を示している。このように、度数可変レンズ101から目視対象までの距離が異なる場合、度数可変レンズ101に入る光の入射角も変化する。度数可変レンズ101を経由した光は、ユーザーの目の水晶体201を経由して、網膜202に到達する。
【0048】
そこで、制御部103は、取得した設定情報(度数情報、位置情報)を参照することにより、適宜、現在のユーザーの目または度数可変レンズ101から目視対象までの距離に応じて、度数可変レンズ101の屈折率を調節する。
【0049】
これ以降の説明では、度数可変レンズ101に対して遠距離、中距離および近距離の位置にある各目視対象を「遠距離の目視対象」、「中距離の目視対象」、および「近距離の目視対象」とそれぞれ表す。また、ユーザーがオートフォーカス眼鏡100をかけて遠距離、中距離および近距離の目視対象の各々を見るときの度数可変レンズ101の度数を「遠距離の度数」、「中距離の度数」、および「近距離の度数」とそれぞれ呼ぶ。また、度数可変レンズ101に対して遠距離、中距離および近距離の各位置を単に「近距離の位置」、「中距離の位置」、および「遠距離の位置」とそれぞれ呼ぶ。
【0050】
<B.度数可変レンズ101の度数の調節の流れ>
次に、度数可変レンズ101の度数の調節方法の具体的な流れを説明する。
図3は、度数可変レンズ101の度数の調節手順の概要の一例を示す図である。
図3を参照して、ユーザーが、位置調節機構110を用いて、度数可変レンズ101の遠距離の度数、中距離の度数および近距離の度数を設定する手順について説明する。以下の度数可変レンズ101の度数の調節は、左右の度数可変レンズ101の各々に対して実行され得る。
【0051】
位置調節機構110は、度数可変レンズ101を平行移動させることができる。ある局面において、位置調節機構110は、アクチュエーターおよび直動機構等を含んでいてもよく、また、
図3に示すようにフレーム102の度数可変レンズ101のはめ込み部分を延長するような形状であってもよい。
【0052】
ステップS1において、制御部103は、距離センサー108から取得した信号に基づいて、度数可変レンズ101から、ユーザーが机の上等に設置した目視対象302までの距離を算出する。ある局面において、制御部103は、入力部104を介して、度数可変レンズ101から目視対象302までの距離の入力を受け付けてもよい。
【0053】
ステップS2において、ユーザーは、表示部109に表示された指示に従い、位置調節機構110を用いて、度数可変レンズ101を位置301A(遠距離の位置)に移動させる。ある局面において、位置調節機構110は、制御部103または入力部104からの位置調節指令に基づいて、駆動し得る。度数可変レンズ101が位置301Aにあるとき、ユーザーには目視対象302が遠距離(例えば目から2メートル先)にあるように見える。
【0054】
表示部109は、ユーザーへの指示を表示し得る。例えば、入力部104がダイヤルであれば、表示部109は、合わせるべきダイヤルの目盛りを表示してもよい。また、入力部104がボタンやタッチパネルであれば、表示部109は、入力すべき数値を表示してもよい。また、他の局面において、制御部103が通信部107を介して他の端末から度数可変レンズ101の位置情報の入力を受け付ける場合、端末がディスプレイにユーザーへの指示を表示してもよい。その際、制御部103は、通信部107を介して、端末にユーザーへの指示を送信してもよい。
【0055】
ステップS3において、ユーザーは、入力部104に度数を入力し、度数調節部111により度数可変レンズ101の遠距離の度数を調節する。制御部103は、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納する。ある局面において、制御部103は、入力部104が度数可変レンズ101の度数の調節を完了するための入力を受け付けたことに基づいて、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納してもよい。制御部103は、次回以降、ユーザーが遠距離にある物を目視しているとき、入力部104から入力された指示、または距離センサー108からの信号に基づいて、度数調節部111を介して、度数可変レンズ101の度数を本ステップにて調節された度数に変更し得る。ユーザーは、入力部104に、度数可変レンズ101の遠距離の度数の調節の完了指示を入力することで、度数可変レンズ101の遠距離の度数の調節を完了することができる。
【0056】
ステップS4において、ユーザーは、表示部109に表示された指示に従い、位置調節機構110を用いて、度数可変レンズ101を位置301B(中距離の位置)に移動させる。ある局面において、位置調節機構110は、制御部103または入力部104からの位置調節指令に基づいて、駆動し得る。度数可変レンズ101が位置301Bにあるとき、ユーザーには目視対象302が中距離(例えば目から80センチメートル先)にあるように見える。表示部109は、ステップS2と同様にユーザーへの指示を表示し得る。
【0057】
ステップS5において、ユーザーは、入力部104に度数を入力し、度数調節部111により度数可変レンズ101の中距離の度数を調節する。制御部103は、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納する。ある局面において、制御部103は、入力部104が度数可変レンズ101の度数の調節を完了するための入力を受け付けたことに基づいて、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納してもよい。制御部103は、次回以降、ユーザーが中距離にある物を目視しているとき、入力部104から入力された指示、または距離センサー108からの信号に基づいて、度数調節部111を介して、度数可変レンズ101の度数を本ステップにて調節された度数に変更し得る。ユーザーは、入力部104に、度数可変レンズ101の中距離の度数の調節の完了指示を入力することで、度数可変レンズ101の中距離の度数の調節を完了することができる。
【0058】
ステップS6において、ユーザーは、表示部109に表示された指示に従い、位置調節機構110を用いて、度数可変レンズ101を位置301C(近距離の位置)に移動させる。ある局面において、位置調節機構110は、制御部103または入力部104からの位置調節指令に基づいて、駆動し得る。度数可変レンズ101が位置301Cにあるとき、ユーザーには目視対象302が近距離(例えば目から20センチメートル先)にあるように見える。表示部109は、ステップS2と同様にユーザーへの指示を表示し得る。
【0059】
ステップS7において、ユーザーは、入力部104に度数を入力し、度数調節部111により度数可変レンズ101の近距離の度数を調節する。制御部103は、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納する。ある局面において、制御部103は、入力部104が度数可変レンズ101の度数の調節を完了するための入力を受け付けたことに基づいて、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納してもよい。制御部103は、次回以降、ユーザーが近距離にある物を目視しているとき、入力部104から入力された指示、または距離センサー108からの信号に基づいて、度数調節部111を介して、度数可変レンズ101の度数を本ステップにて調節された度数に変更し得る。ユーザーは、入力部104に、度数可変レンズ101の近距離の度数の調節の完了指示を入力することで、度数可変レンズ101の近距離の度数の調節を完了することができる。
【0060】
ある局面において、制御部103は、距離センサー108からの信号に基づいて、目視対象302の位置情報(度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象302までの疑似的な距離)を算出しても良い。その場合、制御部103は、当該位置情報に基づいて度数可変レンズ101の度数を自動で調節してもよい。自動調節の後、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから微調節のための度数情報の入力を受け付け、当該度数情報に基づいて度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0061】
上記のように、オートフォーカス眼鏡100は、位置調節機構110により度数可変レンズ101の位置を変更することができる。当該機能により、ユーザーは、目視対象302を物理的に動かすことなく、複数の距離(近距離、中距離および遠距離等)にある物を見るときの度数可変レンズ101の度数の調節を行なうことができる。
【0062】
<C.回路構成>
図4は、オートフォーカス眼鏡100の回路構成の一例を示す図である。
図4を参照して、オートフォーカス眼鏡100の回路構成について説明する。ある局面において、
図4に示す回路の一部または全ては、センサー、機械部品等の周辺機器を含んでいてもよい。
【0063】
オートフォーカス眼鏡100は、回路構成として、度数可変レンズ101と、制御部103と、入力部104と、記憶部105と、電源部106と、通信部107と、距離センサー108と、表示部109と、位置調節機構110と、度数調節部111とを備える。
【0064】
度数可変レンズ101は、度数調節部111およびその周辺回路と電気的に接続される端子等を含み得る。
【0065】
制御部103は、一例として、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、RAM(Random Access Memory)(図示せず)とを含み得る。また、ある局面において、制御部103は、組み込みCPUであってもよいし、FPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよいし、またはこれらの組み合わせ等によって構成されてもよい。制御部103は、オートフォーカス眼鏡100の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。
【0066】
入力部104は、ユーザーからの入力を受け付けるためのボタン、タッチパネルまたはダイヤル等のインターフェイス、またはこれらの組み合わせによって実現され得る。また、入力部104は、これらのインターフェイスからの入力を処理する回路を含む。
【0067】
記憶部105は、制御部103が実行するプログラム、度数可変レンズ101の設定情報等を保存する。ある局面において、記憶部105は、小型のHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリによって実現されてもよい。
【0068】
電源部106は、バッテリー(図示せず)と、変圧装置(図示せず)と、給電部(図示せず)とを含んでいてもよい。給電部は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子を含む任意の端子を含んでいてもよく、当該端子を介して外部から給電を受け、バッテリーを充電し得る。
【0069】
通信部107は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)モジュール等によって実現され得る。他の局面において、通信部107は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
【0070】
距離センサー108は、レーザー、赤外線、画像または超音波等の任意の手段またはこれらの組み合わせにより、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離(位置情報)を測定する。ある局面において、距離センサー108は、任意のセンサーによって取得した信号を処理して距離を計測する回路を含んでいてもよい。他の局面において、制御部103は、距離センサー108からの信号に基づいて、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離(位置情報)を算出してもよい。
【0071】
表示部109は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等によって実現され得る。表示部109は、制御部103と信号線によって接続されており、制御部103からの指令に基づいて、表示内容を変更し得る。
【0072】
位置調節機構110は、度数可変レンズ101の位置を調整するためのアクチュエーター、直動機構、ベルト、歯車またはフレーム102の一部、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。位置調節機構110は、アクチュエーターからの動力を伝達して度数可変レンズ101の位置を調節し得る。
【0073】
度数調節部111は、度数可変レンズ101が液晶レンズである場合、度数可変レンズ101に電圧を加える端子および電圧を調節する周辺回路を含む。また、度数調節部111は、度数可変レンズ101が液体レンズである場合、ポンプおよびその制御回路等を含む。
【0074】
<D.フローチャート>
次に、
図5~
図7を参照して、オートフォーカス眼鏡100における度数可変レンズ101の度数調整の処理手順について説明する。ある局面において、制御部103は、
図5~
図7に示す処理を実行するためのプログラムを記憶部105から読み出して、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0075】
図5は、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第1の例を示す図である。
図5に示す手順は、ユーザーが、机等の上に設置した目視対象を見ながら、度数可変レンズ101の度数の調整を行なう手順を示す。
【0076】
ステップS510において、制御部103は、入力部104を介して、目視対象までの距離の設定入力を受け付ける。ここでの目視対象までの距離とは、ユーザーの目または度数可変レンズ101から目視対象までの実際の距離である。ある局面において、制御部103は、距離センサー108を介して、目視対象までの距離を取得してもよい。
【0077】
ステップS520において、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから度数可変レンズ101の位置情報の入力を受け付ける。制御部103は、取得した位置情報に基づいて、位置調節機構110に指令を出力して、度数可変レンズ101の位置を調節する。ある局面において、制御部103は、ステップS510で取得した目視対象までの距離に基づいて、表示部109にユーザーが入力すべき度数可変レンズ101の位置情報を出力してもよい。他の局面において、制御部103は、表示部109に目視対象までの距離を出力してもよい。
【0078】
ステップS530において、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから度数可変レンズ101の度数情報の入力を受け付ける。制御部103は、取得した度数情報に基づいて、度数調節部111に指令を出力して、度数可変レンズ101度数を調節する。
【0079】
ステップS540において、制御部103は、入力部104を介して、度数可変レンズ101の度数の調節完了の入力を受け付けたか否かを判定する。一例として、入力部104は、調節完了の入力を受け付けるためのボタン等を備えていてもよい。制御部103は、度数可変レンズ101の度数の調節完了の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS540にてYES)、制御をステップS550に移す。そうでない場合(ステップS540にてYES)、制御部103は、制御をステップS530に移す。
【0080】
ステップS550において、制御部103は、取得した設定情報(位置情報、度数情報)を記憶部105に保存する。より具体的には、制御部103は、ステップS520にて取得した位置情報と、ステップS530にて取得した度数情報とを関連付ける。一例として、ステップS520にて目視対象までの距離が遠距離となるように位置情報が入力された場合、制御部103は、ステップS530にて入力された度数情報を度数可変レンズ101の遠距離の度数として記憶部105に保存する。記憶部105に保存された設定情報は、ユーザーがオートフォーカス眼鏡100を使用して何かを見るときの度数可変レンズ101の度数の調節に使用される。
【0081】
ある局面において、制御部103は、度数可変レンズ101の度数の調節完了の入力を受け付けたことに基づいて、位置調節機構110に指令を出力して、度数可変レンズ101の位置を初期の位置に戻してもよい。他の局面において、表示部109は、度数可変レンズ101の度数の調節完了の入力を受け付けたことに基づいて、ユーザーに度数可変レンズ101の位置を初期の位置に戻すように促す情報を表示してもよい。
【0082】
図6は、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第2の例を示す図である。
図6のフローチャートは、度数可変レンズ101の度数の調節を繰り返し実行して、複数の距離(遠距離、中距離および近距離等)における度数可変レンズ101の度数の調節を完了させる点で
図5のフローチャートと異なる。
【0083】
ステップS660において、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたか否かを判定する。制御部103は、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS660にてYES)、制御部103は、制御を終了する。そうでない場合(ステップS660にてNO)、制御部103は、制御をステップS510に移す。そして、制御部103は、再度、ユーザーから異なる目視対象の位置情報の入力と、度数情報の入力とを受け付けて、度数可変レンズ101の度数を調節する。
【0084】
ある局面において、制御部103は、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたことに基づいて、位置調節機構110に指令を出力して、度数可変レンズ101の位置を初期の位置に戻してもよい。他の局面において、表示部109は、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたことに基づいて、ユーザーに度数可変レンズ101の位置を初期の位置に戻すように促す情報を表示してもよい。
【0085】
図7は、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第3の例を示す図である。
図7のフローチャートは、度数可変レンズ101のフォーカスの補間情報を生成する点で
図5および
図6のフローチャートとは異なる。
【0086】
ステップS770において、制御部103は、ステップS510~S660までの処理で保存した設定情報(位置情報、度数情報)に基づいて、補間情報を生成する。「補間情報」とは、例えば、「目視対象が位置(A)にあるときの度数可変レンズ101の度数」と、「目視対象が位置(B)にあるときの度数可変レンズ101の度数」とに基づいて、補間計算により求めた「目視対象が位置(A),(B)以外の位置にあるときの度数可変レンズ101の度数」である。
【0087】
ある局面において、制御部103は、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたことに基づいて、位置調節機構110に指令を出力して、度数可変レンズ101の位置を初期の位置に戻してもよい。他の局面において、表示部109は、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたことに基づいて、ユーザーに度数可変レンズ101の位置を初期の位置に戻すように促す情報を表示してもよい。
【0088】
図8は、
図7における補間情報の一例を示す図である。例えば、制御部103は、3つの設定情報810A,810B,810Cを記憶部105に保存したとする。各設定情報は、ある位置情報に対応する度数情報を含む。例えば、設定情報810Aは近距離(A)の度数(A)を含み、設定情報810Bは中距離(B)の度数(A)を含み、設定情報810Cは遠距離(C)の度数(C)を含むとする。
【0089】
このとき、ユーザーが、オートフォーカス眼鏡100をかけて、近距離(A)および中距離(B)の間の距離だけ離れた目視対象を視認する場合、適切な度数可変レンズ101の度数も度数(A)および(B)の間の値になると予測される。そこで、制御部103は、度数調整時に取得した2つ以上の設定情報(例えば、設定情報(A)~(C))に基づいて、計測していない距離の度数についても補間情報を生成する。
【0090】
図8に示す線分820AB,820BCは補間によって求めた度数可変レンズ101の度数の設定値の一例である。ある局面において、制御部103は、3点以上の設定情報(位置情報、度数情報)を通過する曲線にも基づいて、補間情報を求めてもよい。他の局面において、補間情報は、記憶部105に格納されている複数の設定情報(位置情報、度数情報)に基づいて生成された計算式のデータであってもよい。他の局面において、補間情報は、記憶部105に格納されている複数の設定情報に基づいて生成された他の位置における度数情報であってもよい。また、他の局面において、制御部103は、予め補間情報を生成しておく必要はなく、必要に応じて記憶部105に格納されている複数の設定情報に基づいて動的に補間情報を生成してもよい。オートフォーカス眼鏡100は、当該補間情報を用いることで、ユーザーが予め度数可変レンズ101の度数を調節していない距離にある目視対象に対しても適切に度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0091】
ある局面において、オートフォーカス眼鏡100は、入力部104を介して、ユーザーから、度数可変レンズ101の度数または目視対象の位置情報(50センチ、2メートル等)を選択するための入力を受け付けたことに基づいて、記憶部105に格納されている度数情報を選択して、当該度数情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節してもよい。
【0092】
他の局面において、オートフォーカス眼鏡100は、距離センサー108からの入力信号(目視対象の位置情報)に基づき記憶部105に格納されている度数情報を選択して、当該度数情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節してもよい。
【0093】
以上説明したように、オートフォーカス眼鏡100は、位置調節機構110により度数可変レンズ101の位置を変更することができる。当該機能により、ユーザーは、目視対象302を物理的に動かすことなく、複数の距離(近距離、中距離および遠距離等)にある物を見るときの度数可変レンズ101の度数の調節を行なうことができる。
【0094】
また、度数可変レンズ101は、設定された複数の距離における度数情報に基づいて、補間情報を生成し得る。当該機能により、オートフォーカス眼鏡100は、ユーザーが予め度数可変レンズ101の度数を調節していない距離にある目視対象に対しても適切に度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0095】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0096】
100 オートフォーカス眼鏡、101 度数可変レンズ、102 フレーム、103 制御部、104 入力部、105 記憶部、106 電源部、107 通信部、108 距離センサー、109 表示部、110 位置調節機構、111 度数調節部、201 水晶体、202 網膜、302 目視対象。