(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】通信装置、宅側装置、及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H04L12/44 Z
H04L12/44 200
(21)【出願番号】P 2020106846
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 泰彦
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-031140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側装置とともに光通信システムを構成する宅側装置と通信する通信装置であって、
前記宅側装置を接続可能な1又は複数の物理ポートと、
接続済みの前記宅側装置を管理する管理制御部と、
前記宅側装置及び前記管理制御部が送受信する通信フレームを中継する中継処理部と、を備え、
前記管理制御部は、
前記宅側装置と下記の第1通信リンクを確立したことを条件として、前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立する通信装置。
第1通信リンク:通信装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
第2通信リンク:局側装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
【請求項2】
前記管理制御部は、
前記第2通信リンクの確立により開通した前記局側装置との制御通信により、前記宅側装置の設定情報を取得する請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記管理制御部は、
前記第1通信リンクの確立により開通した前記宅側装置との制御通信により、取得した前記宅側装置の設定情報を前記宅側装置に送信する請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記管理制御部は、
前記第1通信リンクの確立時の制御通信により、接続済みの前記宅側装置のアドレス情報を取得し、取得した前記アドレス情報に基づいて、取得した前記宅側装置の設定情報の送信先を決定する請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記光通信システムは、
PONシステムである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
局側装置とともに光通信システムを構成する宅側装置であって、
光トランシーバと、
前記光トランシーバに接続されるMACチップと、
前記MACチップに接続されるPHY処理部と、
前記PHY処理部に接続される端子モジュールであって、通信装置の物理ポートに直接的又は間接的に接続可能な端子モジュールと、を備え、
前記MACチップは、
前記通信装置と下記の第1通信リンクを確立し、
前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立せず、当該第2通信リンクの確立に使用される
、前記光トランシーバと前記PHY処理部との間で送受信される制御フレームを中継する宅側装置。
第1通信リンク:通信装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
第2通信リンク:局側装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
【請求項7】
局側装置と、前記局側装置とツリー構造の光回線により接続される複数の宅側装置と、前記複数の宅側装置の全部又は一部が接続される通信装置と、を備える光通信システムであって、
前記通信装置に接続された前記宅側装置は、
前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立せず、当該第2通信リンクの確立に使用される
、前記局側装置と前記通信装置との間で送受信される制御フレームを中継し、
前記通信装置は、
自装置に接続された前記宅側装置と下記の第1通信リンクを確立したことを条件として、前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立する光通信システム。
第1通信リンク:通信装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
第2通信リンク:局側装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、宅側装置、及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、OLT(Optical Line Terminal)と、OLTとPON回線により接続されるMSA(Multi Source Agreement)規格に準拠する複数のプラガブル型ONU(Optical Network Unit)と、プラガブル型ONUを挿入可能な物理ポートを複数有する集線装置と、を備えるPON(Passive Optical Network)システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のPONシステムにおいて、プラガブル型ONUに含まれるハードウェア部品の機能の一部(例えばOAM)を集線装置に移行すれば、ハードウェア部品の回路構成を小規模にでき、プラガブル型ONUをより小型化及び汎用化することができる。
しかし、特許文献1では、OLT/ONU間のOAMリンクを集線装置が適切に代行するための制御通信の手順については想定されていない。
【0005】
本開示は、従来の問題点に鑑み、宅側装置を接続可能な通信装置が局側装置/宅側装置間の制御通信リンクを適切に代行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る装置は、局側装置とともにPONシステムを構成する宅側装置と通信する通信装置であって、前記宅側装置を接続可能な1又は複数の物理ポートと、接続済みの前記宅側装置を管理する管理制御部と、前記宅側装置及び前記管理制御部が送受信する通信フレームを中継する中継処理部と、を備え、前記管理制御部は、前記宅側装置と下記の第1通信リンクを確立したことを条件として、前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立する。
第1通信リンク:通信装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
第2通信リンク:局側装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
【0007】
本開示の別態様に係る装置は、局側装置とともにPONシステムを構成する宅側装置であって、光トランシーバと、前記光トランシーバに接続されるPON処理部と、前記PON処理部に接続されるPHY処理部と、前記PHY処理部に接続される端子モジュールであって、通信装置の物理ポートに直接的又は間接的に接続可能な端子モジュールと、を備え、前記PON処理部は、前記通信装置と上記の第1通信リンクを確立し、前記局側装置と上記の第2通信リンクを確立せず、当該第2通信リンクの確立に使用される制御フレームを中継する。
【0008】
本開示の一態様に係るシステムは、局側装置と、前記局側装置とPON回線により接続される複数の宅側装置と、前記複数の宅側装置の全部又は一部が接続される通信装置と、を備えるPONシステムであって、前記通信装置に接続された前記宅側装置は、前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立せず、当該第2通信リンクの確立に使用される制御フレームを中継し、前記通信装置は、自装置に接続された前記宅側装置と上記の第1通信リンクを確立したことを条件として、前記局側装置と上記の第2通信リンクを確立する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、宅側装置を接続可能な通信装置が局側装置/宅側装置間の制御通信リンクを適切に代行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、光通信システムの全体構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、OLT、プラガブル型ONU、及び集線装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3Aは、プラガブル型ONUの監視プロセスの一例を示すシーケンス図である。
図3Bは、プラガブル型ONUの監視プロセスの別例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、PON通信のリンクアップ手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、第1の変形例に係る光通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係る光通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の実施形態の概要>
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1) 本実施形態の通信装置は、局側装置とともにPONシステムを構成する宅側装置と通信する通信装置であって、前記宅側装置を接続可能な1又は複数の物理ポートと、接続済みの前記宅側装置を管理する管理制御部と、前記宅側装置及び前記管理制御部が送受信する通信フレームを中継する中継処理部と、を備え、前記管理制御部は、前記宅側装置と下記の第1通信リンクを確立したことを条件として、前記局側装置と下記の第2通信リンクを確立する。
第1通信リンク:通信装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
第2通信リンク:局側装置が宅側装置を管理対象として確立を試みる制御通信リンク
【0013】
本実施形態の通信装置によれば、管理制御部が、宅側装置と上記の第1通信リンクを確立したことを条件として、局側装置と上記の第2通信リンクを確立するので、宅側装置を接続可能な通信装置が、局側装置/宅側装置間の制御通信リンク(第2通信リンク)を適切に代行できるようになる。
【0014】
(2) 本実施形態の通信装置において、前記管理制御部は、前記第2通信リンクの確立により開通した前記局側装置との制御通信により、前記宅側装置の設定情報を取得することが好ましい。
このようにすれば、局側装置が宅側装置のために送信した宅側装置の設定情報を、通信装置の管理制御部が適切に取得することができる。
【0015】
(3) 本実施形態の通信装置において、前記管理制御部は、前記第1通信リンクの確立により開通した前記宅側装置との制御通信により、取得した前記宅側装置の設定情報を前記宅側装置に送信することが好ましい。
このようにすれば、局側装置から取得した宅側装置の設定情報を、通信装置の管理制御部が宅側装置に適切に提供することができる。
【0016】
(4) 本実施形態の通信装置において、前記管理制御部は、前記第1通信リンクの確立時の制御通信により、接続済みの前記宅側装置のアドレス情報を取得し、取得した前記アドレス情報に基づいて、取得した前記宅側装置の設定情報の送信先を決定することが好ましい。
このようにすれば、局側装置から複数の宅側装置の設定情報を取得した場合に、通信装置が宅側装置の設定情報を適切な送信先に提供することができる。
【0017】
(5) 本実施形態の宅側装置は、局側装置とともにPONシステムを構成する宅側装置であって、光トランシーバと、前記光トランシーバに接続されるPON処理部と、前記PON処理部に接続されるPHY処理部と、前記PHY処理部に接続される端子モジュールであって、通信装置の物理ポートに直接的又は間接的に接続可能な端子モジュールと、を備え、前記PON処理部は、前記通信装置と上記の第1通信リンクを確立し、前記局側装置と上記の第2通信リンクを確立せず、当該第2通信リンクの確立に使用される制御フレームを中継する。
【0018】
本実施形態の宅側装置によれば、PON処理部が、通信装置と上記の第1通信リンクを確立し、局側装置と上記の第2通信リンクを確立せず、当該第2通信リンクの確立に使用される制御フレームを中継するので、宅側装置を接続可能な通信装置が、局側装置/宅側装置間の制御通信リンク(第2通信リンク)を適切に代行できるようになる。
【0019】
(6) 本実施形態のPONシステムは、上述の(1)~(4)の通信装置及び上述の(5)の宅側装置を備えるコンビネーションに係るシステムである。
従って、本実施形態のPONシステムは、上述の(1)~(4)の通信装置及び上述の(5)の宅側装置と同様の作用効果を奏する。
【0020】
<本発明の実施形態の詳細>
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0021】
〔光通信システムの全体構成〕
図1は、光通信システムの全体構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の光通信システムは、局側装置1、宅側装置2、及び集線装置3などを備えるPONシステムよりなる。
局側装置1は、PON回線4の上位側に接続される光回線終端装置(OLT)である。宅側装置2は、PON回線4の下位側に位置される光回線終端装置(ONU)である。以下、局側装置1を「OLT1」と記載し、宅側装置2を「ONU2」と記載する。
【0022】
本実施形態のPONは、例えば、IEEE系の通信規格に従うPON(例えば、GE-PON又は10G-EPONなど)である。
本実施形態のPONは、ITU-T系の通信規格に従うPON(例えば、G-PON、XG-PON、XGS-PON又はNG-PON2など)であってもよい。
【0023】
OLT1は、例えば通信事業者の局舎などに設置される。OLT1は、上位ネットワークに接続される。ONU2と集線装置3は、例えば通信サービスの加入者(ユーザ)の建物などに設置される。
ONU2には、MSA(Multi-Source Agreement)規格に準拠する比較的サイズが小さい「プラガブル型ONU2A」と、MSA規格に準拠しない比較的サイズが大きい「据え置き型ONU2B」とが含まれる。
【0024】
MSA規格は、例えば、「SFP」(Small Form-factor Pluggable)、「SFP+」(Small Form-factor Pluggable Plus)、又は「XFP」(10 Gigabit Small Form-factor Pluggable)などである。
以下において、「プラガブル型ONU2A」を「ONU2A」と略記し、「据え置き型ONU2B」を「ONU2B」と略記することがある。ONU2AとONU2Bとで共通する事項については、共通符号「2」を用いて「ONU2」として説明する。
【0025】
集線装置3は、例えば、複数の物理ポートを備えるマネジメントスイッチよりなる。集線装置3の物理ポートには、プラガブル型ONU2Aを接続可能なスロットイン方式の物理ポートPi(i=1,2……m)と、LANケーブルなどの通信ケーブルを接続可能な物理ポートQj(j=1,2……n)が含まれる。
集線装置3は、10/100/1000BASE-Tなどに準拠するイーサネット(「イーサネット」は登録商標である。)通信機能、L2/L3レイヤのネットワーク機能、QoS(Quality of Service)機能、及びVLAN(Virtual LAN)機能などを有する。
【0026】
集線装置3には、1又は複数のプラガブル型ONU2Aと、1又は複数のユーザ端末5とが接続される。据え置き型ONU2Aには、1又は複数のユーザ端末5が接続される。ユーザ端末5は、加入者側の通信機器である「下位装置」の一例である。
ユーザ端末5は、例えばパーソナルコンピュータなどのイーサネット通信が可能なコンピュータ装置よりなる。ユーザ端末5は、中継ネットワーク(図示せず)を介して集線装置3又はONU2Bに接続してもよい。
【0027】
PON回線4は、光スプリッタ6により光ファイバを分岐させたツリー構造の光回線よりなる。OLT1は、PON回線4の幹線ファイバ7に接続され、ONU2は、PON回線4の支線ファイバ8に接続される。
光スプリッタ6は、電力供給を必要とせずに、入力された光信号から受動的に光信号を分岐又は多重する。
【0028】
OLT1が送出する下り光信号は、光スプリッタ6において分岐し、支線ファイバ8を通って各ONU2に伝送される。各ONU2が送出する上り光信号は、光スプリッタ6において集束し、幹線ファイバ7を通ってOLT1に伝送される。
ONU2が送出する上り光信号は光スプリッタ6で合流するので、同じ波長の上り光信号が合流後に衝突しないための多重化が必要である。このため、PONでは、MPCP(Multi-Point Control Protocol)に則った時分割多重化が行われる。
【0029】
具体的には、ONU2は、自己のバッファ内のデータ長さ(送信要求量)を記した制御フレーム(レポート)をOLT1に送信する。
OLT1は、配下のONU2から収集したレポートに基づいて、各ONU2に指示する上り方向の送信開始時刻及び送信時間長を演算する。OLT1は、演算結果を含む制御フレーム(ゲート)を各ONU2に送信する。
【0030】
各ONU2は、ゲートで指示された送信開始時刻に、ゲートで指示された送信時間長に相当するデータをOLT1に送信する。これと同時に、ONU2は、次回分の送信要求量をレポートとともにOLT1に送信する。
また、OLT1は、P2MP(Point To Multi Point)ディスカバリを実行し、PON回線4へのONU2の接続を検出すると、検出したONU2の登録処理を実行する。この際、ONU2にLLID(Logical Link ID)が付与される。
【0031】
PONシステムはイーサネットに準拠するので、OLT1は、イーサネット規格に従うOAM(Operations, Administration and Maintenance)機能を有する。
このため、OLT1は、例えばIEEE802.3-2008のClause57に規定された通常のOAMフレーム、及び、通信事業者が保守管理の目的で独自に定義可能な拡張OAMフレームを、管理対象の通信機器であるONU2との間で送受信する。
【0032】
図1の光通信システムにおいて、据え置き型ONU2BをPON回線4に接続せず、プラガブル型ONU2AのみをOLT1に収容することにしてもよい。
また、複数の集線装置3が含まれるシステム構成としてもよいし、1つの集線装置3に接続するプラガブル型ONU2Aの個数は少なくとも1つ以上であればよい。
【0033】
〔OLTの内部構成〕
図2は、OLT1、プラガブル型ONU2A、及び集線装置3の内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、OLT1は、光トランシーバ(TRx)11、PON処理部12、スイッチ部13、及び管理制御部14を備える。管理制御部14は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリなどから構成される。
【0034】
光トランシーバ11は、光信号と電気信号を相互に変換するサブアセンブリ(例えば、Bidirectional Optical Sub-Assembly)を含む光デバイスよりなる。光トランシーバ11は、PON回線4に光学的に接続され、PON処理部12に電気的に接続される。
光トランシーバ11は、PON回線4から入力される上り光信号を電気信号に変換してPON処理部12に入力し、PON処理部12から入力される電気信号を下り光信号に変換してPON回線4に送出する。
【0035】
PON処理部12は、PONの通信規格に則った所定の通信処理などを実行する集積回路(例えばOLT用のMACチップ)よりなる。
PON処理部12は、光トランシーバ11から入力される上りフレームがレポートである場合は、ONU2の上り方向の送信開始時刻及び送信時間長を演算する。PON処理部12は、演算結果を含む所定のLLID(ONU2)宛てのゲートを生成し、生成したゲートを光トランシーバ11に出力する。
【0036】
PON処理部12は、P2MPディスカバリ及びONU2の登録処理や、ONU2を管理対象とするOAMフレームの送受信なども実行する。
PON処理部12は、光トランシーバ11から入力される上りフレームがユーザフレームである場合は、ユーザフレームをスイッチ部13に出力する。
PON処理部12は、スイッチ部13から入力される下りフレームがユーザフレームである場合は、ユーザフレームを光トランシーバ11に出力する。
【0037】
スイッチ部13は、自身に入力されるL2レイヤのフレームの宛先に応じて出力ポートを決定する、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路よりなる。
スイッチ部13は、上位ネットワークから入力される下りフレームがユーザフレームである場合は、下りフレームをPON処理部12に出力する。
スイッチ部13は、PON処理部12から入力される上りフレームがユーザフレームである場合は、ユーザフレームを上位ネットワークに送出する。
【0038】
管理制御部14は、スイッチ部13及びPON処理部12に接続される。管理制御部14は、通信事業者の管理用端末15とも通信可能に接続される。管理用端末15は、上位ネットワークを通じて管理制御部14と通信してもよい。
管理制御部14は、スイッチ部13のQoS(Quality of Service)パラメータ(例えば最大通信帯域)などを設定可能である。スイッチ部13は、設定されたパラメータ値となるように、ユーザフレームのデータ通信量を調整する。
【0039】
管理用端末15は、OLT1及びONU2の設定情報を管理制御部14に送信することができる。管理制御部14は、OLT1の設定情報を受信すると、受信した設定情報に応じて自装置の各部のパラメータを調整する。
管理制御部14は、ONU2の設定情報を受信すると、受信した設定情報をPON処理部12に出力する。PON処理部12は、ONU2の設定情報を含む制御フレーム(例えば拡張OAMフレーム)を生成して光トランシーバ11に出力する。
【0040】
ONU2の設定情報としては、例えば次の情報1~4の少なくとも1つが含まれる。
情報1:ONU2のMACチップの設定パラメータ
情報2:ONU2と通信するユーザ端末5の認証情報(パスワードなど)
情報3:OLT/ONU間で使用する暗号鍵
情報4:ONU2に含まれるキューのバッファサイズの設定情報
【0041】
〔プラガブル型ONUの内部構成〕
図2に示すように、プラガブル型ONU2Aは、光トランシーバ(TRx)21、PON処理部22、PHY(物理層)処理部23、及び端子モジュール(端子部)24を備える。端子モジュール24は、所定のMSA規格に準拠する所定の構造及び個数の端子を有するコネクタよりなる。
【0042】
光トランシーバ21は、光信号と電気信号を相互に変換するサブアセンブリ(例えば、Bidirectional Optical Sub-Assembly)を含む光デバイスよりなる。光トランシーバ21は、PON回線4に光学的に接続され、PON処理部22に電気的に接続される。
光トランシーバ21は、PON回線4から入力される下り光信号を電気信号に変換してPON処理部22に入力し、PON処理部22から入力される電気信号を上り光信号に変換してPON回線4に送出する。
【0043】
PON処理部22は、PONの通信規格に則った所定の通信処理などを実行する集積回路(例えばONU用のMACチップ)よりなる。
PON処理部22は、自己のバッファ内のデータ長を記したレポートを生成し、光トランシーバ21に出力する。PON処理部22は、光トランシーバ21から入力される下りフレームがゲートである場合は、ゲートに記された指示内容に従って、バッファに蓄積中のデータを含むユーザフレームを生成して光トランシーバ21に出力する。
【0044】
PON処理部22は、光トランシーバ21から入力される下りフレームがユーザフレームである場合は、ユーザフレームをPHY処理部23に出力する。
PON処理部22は、PHY処理部23から入力される上りフレームがユーザフレームである場合は、ユーザフレームに含まれるデータを一旦バッファに蓄積する。
【0045】
PHY処理部23は、物理層における信号変換及び通信処理などを実行する集積回路(例えばPHYチップ)よりなる。
PHY処理部23は、集線装置3から入力される電気信号をレイヤ2の電気信号に変換し、変換した電気信号をPON処理部22に出力する。PHY処理部23は、PON処理部22から入力される下りフレームをレイヤ1の電気信号に変換し、変換した電気信号を集線装置3に送出する。
【0046】
〔集線装置の内部構成〕
図2に示すように、集線装置3は、複数の上位側送受信部31、スイッチ部32、複数の下位側送受信部33、及び管理制御部34を備える。管理制御部34は、CPU及びメモリなどから構成される。
上位側送受信部31は、物理ポートP1,P2に接続され、下位側送受信部33は、物理ポートQ1,Q2に接続される。
図2では、各送受信部31,33が2つの場合が例示されているが、3つ以上であってもよい。
【0047】
上位側送受信部31は、物理層における信号変換及び通信処理などを実行する集積回路(例えばPHYチップ)よりなる。
上位側送受信部31は、ONU2Aから入力される電気信号をレイヤ2の電気信号に変換し、変換した電気信号をスイッチ部32に出力する。上位側送受信部31は、スイッチ部32から入力される電気信号をレイヤ1の電気信号に変換し、変換した電気信号をONU2Aに送出する。
【0048】
下位側送受信部33は、10/100/1000BASE-Tなどに準拠するイーサネット物理層における信号変換及び通信処理などを実行する集積回路(例えばPHYチップ)よりなる。
下位側送受信部33は、ユーザ端末5から入力される電気信号をレイヤ2の電気信号に変換し、変換した電気信号をスイッチ部32に出力する。下位側送受信部33は、スイッチ部32から入力される電気信号をレイヤ1の電気信号に変換し、変換した電気信号をユーザ端末5に送出する。
【0049】
スイッチ部32は、自身に入力されるL2レイヤのフレームの宛先に応じて出力ポートを決定する、FPGAなどの集積回路よりなる。
スイッチ部32には、管理制御部34によるVLAN設定などにより、上位側送受信部31と下位側送受信部33との間の対応関係が予め設定されている。スイッチ部32には、管理制御部34とONU2Aとの管理通信のためのVLAN(以下、「管理用VLAN」という。)も予め設定されている。管理用VLANでは、異なる物理ポートPi間のフレーム折り返しは禁止される。
【0050】
スイッチ部32は、管理制御部34により設定された対応関係に従って、入力されたフレーム(VLANタグ付きのイーサネットフレーム)の中継処理を行う。
従って、上位側送受信部31、スイッチ部32、及び下位側送受信部33は、接続済みのONU2A、接続済みのユーザ端末5、及び管理制御部34が送受信する通信フレームを中継する中継処理部として機能する。
【0051】
管理制御部34は、スイッチ部32に接続される。管理制御部34は、OLT1に接続された通信事業者の管理用端末15とも通信可能である。
管理用端末15と集線装置3の管理制御部34との通信は、OLT1、PON回線4及びONU2Aを介して実行される。なお、集線装置3の管理制御部34に、管理用端末15を直接接続することにしてもよい。
【0052】
〔ONUの機能の仮想化〕
本実施形態では、ONU2Aに含まれるハードウェア部品(具体的には、PON処理部22)の機能の一部が集線装置3に移行されている。すなわち、集線装置3の管理制御部(CPU)34が、PON処理部22の一部の機能を実行する。
集線装置3に移行する機能が多いほど、ONU2Aのハードウェア部品の回路構成を小規模にでき、ONU2Aをより小型化及び汎用化することができる。
【0053】
図2では、集線装置3の管理制御部34に移行するONU2Aの機能が、OLT/ONU間のOAMである場合が例示されている。従って、MPCPなどのPON通信のための他の機能は、ONU2AのPON処理部22の機能として残存する。
OLT/ONU間のOAMを管理制御部34が代行するためには、OLT1がONU2Aを管理対象とするOAMフレームを管理制御部34が送受信する必要がある。
【0054】
従って、ONU2AのPON処理部22は、光トランシーバ21から入力される下りのOAMフレームに「第1処理」を行って処理後のフレームをPHY処理部23に出力することにより、OLT1が送信した下りのOAMフレームを集線装置3に中継する。
第1処理には、下りのOAMフレームに管理用VLANのタグを付与する処理と、下りのOAMフレームの送信元アドレスを自装置のMACアドレスに置き換える処理と、が含まれる。
【0055】
また、ONU2AのPON処理部22は、PHY処理部23から入力される上りのOAMフレームの宛先が自装置である場合は、上りのOAMフレームに「第2処理」を行って処理後のフレームを光トランシーバ21に出力することにより、集線装置3が送信した上りのOAMフレームをOLT1に中継する。
第2処理には、上りのOAMフレームからVLANタグを削除して宛先アドレスをOAMプロトコルの規定アドレス(スロープロトコル用のマルチキャストアドレス)に書き換える処理と、上りのOAMフレームの送信元アドレスを自装置のMACアドレスに置き換える処理と、が含まれる。
【0056】
OLT/ONU間のOAMを管理制御部34が代行するためには、OLT1がどのONU2Aを管理対象として送信したOAMフレームであるかを判断する必要がある。このため、管理制御部34は、集線装置3に接続されかつ動作可能なONU2Aのアドレス情報(例えばMACアドレス)を事前に収集する。
具体的には、集線装置3の管理制御部34は、自装置へのプラガブル型ONU2Aの装着を契機として、ONU2Aを管理対象とするOAMリンクを独自に確立し、このリンク確立を条件として、OLT/ONU間のOAMリンクを代行する。
【0057】
すなわち、2種類のOAMリンク(制御通信リンク)を次のように定義すると、管理制御部34は、ONU2Aと第1OAMリンクを確立したことを条件として、OLT1と第2OAMリンクを確立させる。
第1OAMリンク:自装置がONU2Aを管理対象として確立を試みるOAMリンク
第2OAMリンク:OLT1がONU2Aを管理対象として確立を試みるOAMリンク
【0058】
管理制御部34は、第1OAMリンクの確立時の制御通信により、ONU2Aのアドレス情報を収集し、収集したアドレス情報を含む管理テーブル35をメモリに記録する。
図2に示す通り、管理テーブル35は、例えば、「エントリ」、「ポート番号」、及び「MACアドレス」のカラムを含む表形式のデータよりなる。「ポート番号」には、ONU2Aが装着された物理ポートP1,P2の番号値が記され、「MACアドレス」には、ONU2Aから通知されたMACアドレス値が記される。
【0059】
次に、管理制御部34は、記録した管理テーブル35を参照して、ONU2Aの代わりに第2OAMリンクを確立させる。
具体的には、管理制御部34は、OLT1との間でOAMディスカバリを実行し、OLT1と第2OAMリンクを確立する。また、第2OAMリンクの確立後の拡張OAMフレームにONU2Aの設定情報が含まれる場合には、管理制御部34は、取得した設定情報を、第1OAMリンクの確立後の制御通信によりONU2Aに送信する。
【0060】
〔第1OAMリンクの手順〕
図3Aは、管理制御部34が実行する第1OAMリンクの一例を示すシーケンス図である。この監視プロセスは、物理ポートPiごとに実行される。また、以下のメッセージ通信は、予め規定された管理用VLANにおいて行われる。
【0061】
図3Aに示すように、ONU2AのPON処理部22は、集線装置3に含まれるスロットイン方式の物理ポートPiへの装着を契機として、接続要求メッセージを集線装置3の管理制御部34に送信する(ステップS11)。接続要求メッセージの送信元のMACアドレスは、ONU2A自身のアドレスである。
【0062】
集線装置3の管理制御部34は、接続要求メッセージを受信すると、その旨を通知する応答メッセージをONU2AのPON処理部22に送信する(ステップS12)。
この場合、管理制御部34は、ONU2AのMACアドレスの値とポート番号の値を、管理テーブル35に記録する。その後、PON処理部22と管理制御部34は、任意の情報をONU2Aと送受信可能な状態となる(ステップS13)。すなわち、第1OAMリンクの確立により、PON処理部22と管理制御部34との制御通信が開通する。
【0063】
図3Bは、管理制御部34が実行する第1OAMリンクの別例を示すシーケンス図である。この監視プロセスも、物理ポートPiごとに実行される。
図3Bに示すように、集線装置3の管理制御部34は、MACアドレスの要求メッセージを、スロットイン方式の物理ポートPiに所定周期(例えば1秒)ごとにブロードキャストする(ステップS21)。
【0064】
集線装置3の所定の物理ポートQiにONU2Aが装着されると、当該ONU2AのPON処理部22は、自装置のMACアドレスを含む応答メッセージを集線装置3の管理制御部34に送信する(ステップS22)。
集線装置3の管理制御部34は、MACアドレスの受信に成功すると、その旨を通知する応答メッセージをONU2AのPON処理部22に送信する(ステップS23)。
【0065】
この場合、管理制御部34は、受信したMACアドレスの値とポート番号の値を、管理テーブル35に記録する。その後、PON処理部22と管理制御部34は、任意の情報をONU2Aと送受信可能な状態となる(ステップS24)。すなわち、第1OAMリンクの確立により、PON処理部22と管理制御部34との制御通信が開通する。
【0066】
〔PON通信のリンクアップ手順〕
図4は、PON通信のリンクアップ手順の一例を示すシーケンス図である。
図4に示すように、OLT1は、P2MPリンクアップの完了後にOAMディスカバリを実行し、PON通信区間における第2OAMリンクの確立を試みる。
この場合、本実施形態では、P2MPディスカバリについては、ONU2AのPON処理部22が実行するが、OAMディスカバリについては、集線装置3の管理制御部34が代行する。
【0067】
具体的には、OLT1のPON処理部12は、所定のLLIDのONU2AとMPCPリンクを確立すると、自局の所定情報を記したInformation OAMフレームを下り送信する(ステップS31)。
ONU2が通常のONU2Bである場合は、ONU2BがInformation OAMフレームに応答するが、プラガブル型ONU2AのPON処理部22は、OLT1から受信したInformation OAMフレームを集線装置3に中継する(ステップS32)。
【0068】
ステップ32の下りのOAMフレームの中継において、プラガブル型ONU2AのPON処理部22は、OAMフレームに管理用VLANのタグを付与するとともに、送信元アドレスを自身のMACアドレスに置き換える(第1処理)。
【0069】
Information OAMフレームを受信した集線装置3の管理制御部34は、ONU2Aの所定情報を記したInformation OAMフレームを上り送信する(ステップS33)。
ステップ33の上りのOAMフレームの送信において、集線装置2の管理制御部34は、Information OAMフレームに管理用VLANのタグを付与するとともに、宛先アドレスをONU2AのMACアドレスに指定する。
【0070】
プラガブル型ONU2AのPON処理部22は、集線装置3から受信したInformation OAMフレームをOLT1に中継する(ステップS34)。
ステップ34の上りのOAMフレームの中継において、プラガブル型ONU2AのPON処理部22は、OAMフレームから管理用VLANのタグを削除して宛先アドレスを規定アドレス(スロープロトコル用マルチキャストアドレス)に置き換えるとともに、送信元アドレスを自身のMACアドレスに置き換える(第2処理)。
【0071】
Information OAMフレームを用いたOAMディスカバリが成功すると、OLT1とのOAMリンク(第2OAMリンク)が確立し、以後は任意のOAMフレームを送受信可能な状態(SEND_ANY状態)となる。
すなわち、第2OAMリンクの確立により、OLT1と管理制御部34との制御通信が開通する。なお、開通後の制御通信に使用するOAMフレームの中継においても、上記のステップS32,S34の場合と同じ変換処理(第1及び第2処理)が実行される。
【0072】
OAMリンクが確立すると、OLT1のPON処理部12は、例えばONU2Aの設定情報を含む拡張OAMフレームを下り送信する(ステップS35)。
ONU2が通常のONU2Bである場合は、ONU2Bが拡張OAMフレームに応答するが、プラガブル型ONU2AのPON処理部22は、OLT1から受信した拡張OAMフレームを集線装置3に中継する(ステップS36)。
【0073】
拡張OAMフレームを受信した集線装置3の管理制御部34は、ONU2Aの設定情報を含む制御フレームを生成し、生成した制御フレームをONU2Aに送信する(ステップS37)。
この場合、集線装置3の管理制御部34は、管理テーブル35を参照して、制御フレームの送信先を決定する。従って、OLT1から複数のONU2Aの設定情報を取得した場合に、当該設定情報を適切な送信先に提供することができる。
【0074】
制御フレームを受信したONU2AのPON処理部12は、応答フレームを集線装置3に送信する(ステップS38)。
なお、ステップS37,S38の制御フレームと応答フレームの送受信は、第1OAMリンクの確立により開通した制御通信により実行される。
【0075】
応答フレームを受信した集線装置3の管理制御部34は、応答用の拡張OAMフレームを上り送信する(ステップS39)。なお、ステップ35,39の拡張OAMフレームの送受信は、第2OAMリンクの確立により開通した制御通信により実行される。
ONU2AのPON処理部22は、集線装置3から受信した拡張OAMフレームをOLT1に中継する(ステップS40)。
【0076】
〔第1の変形例〕
図5は、光通信システムの第1の変形例を示す全体構成図である。
図5に示すように、第1の変形例に係る光通信システムは、モバイル通信に使用される無線基地局を、上位側に位置する信号処理部である上位装置40と、下位側に位置するアンテナ部である下位装置50とに分離し、上位装置40と下位装置50の間に光通信区間であるモバイルフロントホール(MFH)が介在する構成である。
【0077】
無線基地局の上位装置40は、例えばBBU(Base Band Unit)よりなる。無線基地局の下位装置50は、例えばRRH(Remote Radio Head)よりなる。下位装置50は、ONU2Aよりも加入者側の通信ノードである点で、前述のユーザ端末5と共通する。
以下、無線基地局の上位装置を「BBU」といい、無線基地局の下位装置を「RRH」という。RRH50は、自装置の通信セル(例えばスモールセル)に含まれる、1又は複数の携帯端末60との無線通信が可能である。
【0078】
BBU40とOLT1は、所定の通信ケーブル(例えば光ファイバ)により通信可能に接続される。
ONU2は、プラガブル型ONU2Aよりなり、集線装置3のスロットイン方式の物理ポートに接続される。RRH50は、所定の通信ケーブル(例えばLANケーブル)により集線装置3に接続される。
【0079】
図5の変形例では、同じOLT1に収容されかつ同じ集線装置3に接続された複数のONU2Aのうち、一部のONU2Aを現用系に設定し、残りのONU2Aを予備系に設定することにより、ONU2Aが冗長化されている。
このようにすれば、現用系のONU2Aが故障した場合に、予備系のONU2AとRRH50と接続するように、集線装置3の経路設定を切り替えることにより、RRH50によるユーザ通信(
図5の場合はモバイル通信)のプロテクションを図ることができる。
【0080】
〔第2の変形例〕
図6は、光通信システムの第2の変形例を示す全体構成図である。
図6に示すように、第2の変形例に係る光通信システムは、上位ネットワークに繋がる複数のOLT1と、OLT1とPON回線4で接続される複数のONU2と、複数のONU2が接続される集線装置3と、集線装置3に接続されるユーザ端末5とを備える。
【0081】
ONU2は、プラガブル型ONU2Aよりなり、集線装置3のスロットイン方式の物理ポートに接続される。ユーザ端末5は、所定の通信ケーブル(例えばLANケーブル)により集線装置3に接続される。
【0082】
図6の変形例では、別個のOLT1に収容されかつ同じ集線装置3に接続された複数のONU2Aのうち、一部のONU2Aを現用系に設定し、残りのONU2Aを予備系に設定することにより、PON回線4が冗長化されている。
このようにすれば、現用系のPON回線4のOLT1又はONU2Aが故障した場合に、予備系のPON回線4のONU2Aをユーザ端末5と接続するように、集線装置3の経路設定を切り替えることにより、ユーザ端末5によるユーザ通信のプロテクションを図ることができる。
【0083】
〔その他の変形例〕
上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態において、ONU2Aは必ずしもプラガブル型である必要はなく、通信ケーブルを介して集線装置3などの通信装置の物理ポートに間接的に接続するタイプのONU2であってもよい。
【0084】
上述の実施形態では、ONU2Aを接続可能な通信装置が集線装置3である場合を例示したが、当該通信装置は、ホームゲートウェイ(HGW)又は汎用サーバなど、少なくとも1つのONU2A用の物理ポートPiを有する通信装置であってもよい。
上述の実施形態において、ONU2Aを接続可能な通信装置が汎用サーバなどのユーザ端末5を接続しない通信装置の場合には、ユーザ端末(下位装置)5用の物理ポートQjは不要となる。
【0085】
<実施形態の特徴の付記>
以上説明した実施形態は、以下に付記する特徴を含む。
【0086】
〔付記1〕
局側装置とともにPONシステムを構成する宅側装置であって、
光トランシーバと、
前記光トランシーバに接続されるPON処理部と、
前記PON処理部に接続されるPHY処理部と、
前記PHY処理部に接続される端子モジュールであって、通信装置の物理ポートに直接的又は間接的に接続可能な端子モジュールと、を備え、
前記PON処理部は、
管理用VLANが設定された前記通信装置と下記の第1OAMリンクを確立し、
前記光トランシーバから入力される下りのOAMフレームに第1処理を行って処理後のフレームを前記PHY処理部に出力し、前記PHY処理部から入力される上りのOAMフレームに第2処理を行って処理後のフレームを前記光トランシーバに出力することにより、下記の第2OAMリンクの確立を前記通信装置に代行させる宅側装置。
第1OAMリンク:通信装置が宅側装置を管理対象として確立を試みるOAMリンク
第2OAMリンク:局側装置が宅側装置を管理対象として確立を試みるOAMリンク
【0087】
〔付記2〕
前記第1処理には、
前記下りのOAMフレームに管理用VLANのタグを付与する処理と、
前記下りのOAMフレームの送信元アドレスを自装置のMACアドレスに置き換える処理と、が含まれる付記1に記載の宅側装置。
【0088】
〔付記3〕
前記第2処理には、
前記上りのOAMフレームから管理用VLANのタグを削除して宛先アドレスをOAMプロトコルの規定アドレスに置き換える処理と、
前記上りのOAMフレームの送信元アドレスを自装置のMACアドレスに置き換える処理と、が含まれる付記1又は付記2に記載の宅側装置。
【符号の説明】
【0089】
1 OLT(局側装置)
2 ONU(宅側装置)
2A プラガブル型ONU(宅側装置)
2B 据え置き型ONU(宅側装置)
3 集線装置(通信装置)
4 PON回線
5 ユーザ端末(下位装置)
6 光スプリッタ
7 幹線ファイバ
8 支線ファイバ
11 光トランシーバ(TRx)
12 PON処理部
13 スイッチ部
14 管理制御部
15 管理用端末
21 光トランシーバ(TRx)
22 PON処理部
23 PHY処理部
24 端子モジュール
31 上位側送受信部
32 スイッチ部
33 下位側送受信部
34 管理制御部
35 管理テーブル
40 BBU(上位装置)
50 RRH(下位装置)
60 携帯端末
P1,P2…… 物理ポート
Q1,Q2…… 物理ポート