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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ロータリエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 67/06 20060101AFI20240116BHJP
   F01P 5/10 20060101ALI20240116BHJP
   F01P 5/12 20060101ALI20240116BHJP
   F02B 53/10 20060101ALI20240116BHJP
   F02M 39/02 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F02B67/06 F
F01P5/10 A
F01P5/12 D
F02B53/10 Z
F02M39/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020114269
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012443
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋
(72)【発明者】
【氏名】木ノ下 浩
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-081809(JP,A)
【文献】特開2007-198160(JP,A)
【文献】特開2009-085116(JP,A)
【文献】特開2010-156288(JP,A)
【文献】特開2019-039346(JP,A)
【文献】実開昭56-113127(JP,U)
【文献】米国特許第04237848(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 53/10
F02B 67/00
F01P 5/10
F02M 37/06
F02M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、前記ロータを回転可能に収容すると共に前記ロータの外周面との間に作動室を形成するロータハウジングと、前記ロータの回転に伴って回転する出力軸であるエキセントリックシャフトと、前記作動室に燃料を噴射するインジェクタとを備えたロータリエンジンであって、
前記インジェクタに燃料を圧送する燃料ポンプと、
冷却液を循環させるウォータポンプと、
を備え、
前記エキセントリックシャフトに設けられたエキセントリックスプロケットと前記燃料ポンプを駆動させる燃料ポンプシャフトに設けられた第1燃料ポンプスプロケットとに第1チェーンが巻き掛けられ、
前記燃料ポンプシャフトに設けられた第2燃料ポンプスプロケットと前記ウォータポンプを駆動させるウォータポンプシャフトに設けられたウォータポンプスプロケットとに第2チェーンが巻き掛けられている、
ことを特徴とするロータリエンジン。
【請求項2】
前記燃料ポンプシャフトに前記燃料ポンプを駆動させるカム部が設けられ、
前記第1燃料ポンプスプロケット及び前記第2燃料ポンプスプロケットは、前記燃料ポンプシャフトに前記カム部の軸方向一方側及び他方側にそれぞれ配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリエンジン。
【請求項3】
前記ロータハウジングは、互いに直交する長軸及び短軸を有するトロコイド状の内周面を有し、
前記燃料ポンプ及び前記ウォータポンプは、前記ロータハウジングにおける前記短軸方向一方側に各ポンプシャフトが前記エキセントリックシャフトの軸方向に沿って延びるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロータリエンジン。
【請求項4】
前記燃料ポンプ及び前記ウォータポンプは、前記短軸方向にオーバーラップする位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のロータリエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される直噴式エンジンでは、インジェクタに燃料を圧送する燃料ポンプがチェーンを介してエンジン出力軸に駆動連結されると共に冷却液を循環させるウォータポンプがベルトを介してエンジン出力軸に駆動連結されることがある。
【0003】
例えば特許文献1には、エンジン出力軸にチェーンを介して燃料ポンプが駆動連結されると共にベルトを介してウォータポンプが駆動連結され、燃料ポンプとウォータポンプとがエンジン出力軸によって駆動される直噴式レシプロエンジンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-198160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、直噴式ロータリエンジンは、ロータを回転可能に収容すると共にロータの外周面との間に作動室を形成するロータハウジングと、ロータの回転に伴って回転するエンジン出力軸であるエキセントリックシャフトとを備えている。前記ロータハウジングには作動室に燃料を直接噴射するインジェクタが配設されている。
【0006】
前記直噴式ロータリエンジンにおいて、特許文献1に記載されるように、エキセントリックシャフトにチェーンを介して燃料ポンプが駆動連結されると共にベルトを介してウォータポンプが駆動連結される場合、ベルトが被水や摩耗によってスリップしてウォータポンプの駆動ロスを発生するおそれがある。
【0007】
また、エキセントリックシャフトにチェーンを介して燃料ポンプが駆動連結され、エキセントリックシャフトの回転に伴って燃料ポンプシャフトに設けられたカム部が回転して燃料ポンプ、特に高圧燃料ポンプが駆動される場合、カム部に大きな荷重が作用して燃料ポンプシャフトが傾いて燃料ポンプシャフトに設けられたチェーンが巻き掛けられる燃料ポンプスプロケットが偏摩耗するおそれがある。燃料ポンプスプロケットが偏摩耗するとチェーンによる伝達ロスが生じて燃料ポンプの駆動ロスが発生するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、エキセントリックシャフトによって燃料ポンプ及びウォータポンプが駆動されるロータリエンジンにおいて、燃料ポンプ及びウォータポンプの駆動ロスを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ロータと、前記ロータを回転可能に収容すると共に前記ロータの外周面との間に作動室を形成するロータハウジングと、前記ロータの回転に伴って回転する出力軸であるエキセントリックシャフトと、前記作動室に燃料を噴射するインジェクタとを備えたロータリエンジンであって、前記インジェクタに燃料を圧送する燃料ポンプと、冷却液を循環させるウォータポンプと、を備え、前記エキセントリックシャフトに設けられたエキセントリックスプロケットと前記燃料ポンプを駆動させる燃料ポンプシャフトに設けられた第1燃料ポンプスプロケットとに第1チェーンが巻き掛けられ、前記燃料ポンプシャフトに設けられた第2燃料ポンプスプロケットと前記ウォータポンプを駆動させるウォータポンプシャフトに設けられたウォータポンプスプロケットとに第2チェーンが巻き掛けられている、ロータリエンジンを提供する。
【0010】
本発明によれば、ロータリエンジンにおいて、エキセントリックシャフトのエキセントリックスプロケットと燃料ポンプシャフトの第1燃料ポンプスプロケットとに第1チェーンが巻き掛けられ、燃料ポンプシャフトの第2燃料ポンプスプロケットとウォータポンプシャフトのウォータポンプスプロケットとに第2チェーンが巻き掛けられる。
【0011】
燃料ポンプ及びウォータポンプは、エキセントリックシャフトによって第1チェーン及び第2チェーンを介して駆動されるので、エキセントリックシャフトによってベルトを介して駆動される場合に比してスリップによる駆動ロスを抑制することができる。
【0012】
燃料ポンプシャフトに、エキセントリックシャフトとの間に第1チェーンが巻き掛けられると共にウォータポンプシャフトとの間に第2チェーンが巻き掛けられるので、燃料ポンプシャフトに第1チェーンのみが巻き掛けられる場合に比して、燃料ポンプシャフトに荷重が作用する場合に、燃料ポンプシャフトが傾いて第1燃料ポンプスプロケットが偏摩耗することを抑制して第1チェーンによる伝達ロスを抑制して駆動ロスを抑制することができる。
【0013】
したがって、エキセントリックシャフトによって燃料ポンプ及びウォータポンプが駆動されるロータリエンジンにおいて、燃料ポンプ及びウォータポンプの駆動ロスを抑制することができる。
【0014】
前記燃料ポンプシャフトに燃料ポンプを駆動させるカム部が設けられ、第1及び第2燃料ポンプスプロケットは、燃料ポンプシャフトにカム部の軸方向一方側及び他方側に配置され得る。
【0015】
本構成により、第1及び第2燃料ポンプスプロケットが燃料ポンプシャフトにカム部の軸方向一方側及び他方側に配置されるので、燃料ポンプシャフトのカム部に荷重が作用する場合に、燃料ポンプシャフトにカム部の軸方向両側に配置される第1チェーン及び第2チェーンを用いて、燃料ポンプ及びウォータポンプの駆動ロスを抑制することができる。
【0016】
前記燃料ポンプ及び前記ウォータポンプは、ロータハウジングにおける短軸方向一方側に各ポンプシャフトがエキセントリックシャフトの軸方向に沿って延びるように配置されることが好ましい。
【0017】
本構成により、燃料ポンプ及びウォータポンプは、ロータハウジングにおける短軸方向一方側に各ポンプシャフトがエキセントリックシャフトの軸方向に沿って延びるように配置されるので、燃料ポンプ及びウォータポンプをロータハウジングの短軸方向一方側にコンパクトに配置してロータリエンジンのコンパクト化を図ることができる。ウォータポンプを燃料ポンプ近傍に配置することができ、第2チェーンによる伝達ロスを抑制して駆動ロスを抑制することができる。
【0018】
前記燃料ポンプ及び前記ウォータポンプは、ロータハウジングの短軸方向にオーバーラップする位置に配置されることが好ましい。
【0019】
本構成により、燃料ポンプとウォータポンプとがロータハウジングの短軸方向にオーバーラップする位置に配置されるので、燃料ポンプとウォータポンプとをロータハウジングの短軸方向にオーバーラップさせない場合に比して、燃料ポンプとウォータポンプとをロータハウジングの短軸方向にコンパクトに配置することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るロータリエンジンによれば、エキセントリックシャフトによって駆動される燃料ポンプ及びウォータポンプの駆動ロスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るロータリエンジンの斜視図である。
図2】エンジン本体の側面図である。
図3】エンジン本体の断面図である。
図4】オイルの流れを説明するための説明図である。
図5】チェーン駆動機構を示す斜視図である。
図6図5に示す燃料ポンプシャフト近傍の拡大図である。
図7】チェーン駆動機構の要部を示す正面図である。
図8】チェーン駆動機構の要部を示す側面図である。
図9】ウォータポンプの斜視図である。
図10】ウォータポンプスプロケットを示す図である。
図11】ウォータポンプスプロケットとポンプシャフトとの係合を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るロータリエンジンの斜視図、図2は、エンジン本体の側面図、図3は、エンジン本体の断面図である。図1から図3に示すように、本発明の実施形態に係るロータリエンジン1(以下、適宜「エンジン1」という)は、自動車等の車両に搭載されるものであり、エンジン本体2と、エンジン本体2に供給するオイルを貯留するオイルタンク3とを備えている。オイルタンク3は、エンジン本体2から独立して設けられ、エンジン本体2は、コンパクトに形成されている。
【0024】
エンジン本体2は、図3に示すように、外形が断面略三角形状に形成されるロータ4と、ロータ4を回転可能に収容するロータハウジング7と、ロータ4の回転に伴って回転するエンジン出力軸であるエキセントリックシャフト6とを備え、エキセントリックシャフト6の軸線Xが車体前後方向に延びるように配置されている。
【0025】
エンジン本体2は、図1及び図2に示すように、車体前側及び車体後側に配置される2つのロータハウジング7と、2つのロータハウジング7の間並びに車体前側及び車体後側に配置される3つのサイドハウジング8とを備え、2つのロータハウジング7と3つのサイドハウジング8とが交互に配置されて結合されている。
【0026】
ロータハウジング7は、図3に示すように、環状に形成されている。ロータハウジング7は、互いに直交する長軸Y及び短軸Zを有するトロコイド状、具体的にはペリトロコイド状の内周面7aを備え、内周面7aは、略楕円形状に形成されている。エンジン本体2は、ロータハウジング7の長軸Y及び短軸Zが車体上下方向及び車幅方向にそれぞれ延びるように車体フレームに支持されている。ロータハウジング7及びサイドハウジング8についても、互いに直交する長軸Y及び短軸Zを有するように形成されている。
【0027】
エンジン本体2には、ロータハウジング7の内周面7aとロータハウジング7の車体前後方向に配置されるサイドハウジング8の車体前後方向の側面8aとによってロータ4を回転可能に収容するロータ収容室9が形成されている。ロータ収容室9に、ロータハウジング7の内周面7aとロータ4の外周面4aとの間に3つの作動室10が形成されている。
【0028】
ロータ収容室9を構成する一方のサイドハウジング8に、ロータ収容室9に開口する吸気ポート11及び排気ポート12が形成されている。吸気ポート11は、ロータハウジング7の長軸Y方向一方側である車体上側且つ短軸Z方向他方側である車体右側に設けられている。排気ポート12は、ロータハウジング7の長軸Y方向他方側である車体下側且つロータハウジング7の短軸Z方向他方側である車体右側に設けられている。
【0029】
吸気ポート11には、空気を作動室10に供給する吸気通路13が接続され、排気ポート12には、作動室10から燃焼ガスである排気ガスを排出する排気通路14が接続されている。吸気通路13及び排気通路14は、エンジン本体2においてロータハウジング7の短軸Z方向他方側である車体右側に配置されている。
【0030】
ロータハウジング7には、作動室10に燃料を噴射するインジェクタ15が配設されている。インジェクタ15は、ロータハウジング7の車体上側に先端部が作動室10に臨むように配設されている。インジェクタ15には、後述する燃料ポンプ20から燃料が圧送される。
【0031】
ロータハウジング7には、作動室10に供給される空気と燃料の混合気に点火する点火プラグ16が配設されている。点火プラグ16は、先端部に設けられた電極に火花を生じさせて混合気に点火するようになっている。点火プラグ16は、ロータハウジング7の車体左側に先端部が作動室10に臨むように配設されている。本実施形態では、各ロータハウジング7に2つの点火プラグ16が配設されている。
【0032】
エンジン1では、ロータ4の内側には図示しない内歯車が設けられると共にサイドハウジング8に図示しない外歯車が設けられ、ロータ側の内歯車とサイドハウジング側の外歯車とが噛み合い、ロータ4は、ロータ4を回転可能に支持するエキセントリックシャフト6に対して遊星回転運動し、ロータ4の回転に伴ってエキセントリックシャフト6が回転するようになっている。
【0033】
エンジン1は、ロータハウジング7の内周面7aとロータ4の外周面4aとの間に形成される3つの作動室10において吸気、圧縮、燃焼及び排気の各行程が行われることにより発生するロータ4の回転力をエンジン出力軸であるエキセントリックシャフト6から取り出すように構成されている。
【0034】
エンジン1はまた、インジェクタ15に燃料を圧送する燃料ポンプ20と、冷却液を循環させるウォータポンプ30と、オイルを圧送するオイルポンプ40とを備えている。燃料ポンプ20、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40は、エンジン本体2においてロータハウジング7の短軸Z方向一方側である車体左側に配置されている。
【0035】
オイルポンプ40は、オイルタンク3からエンジン本体2、具体的にはエキセントリックシャフト6などの要潤滑部にオイルを圧送するフィードポンプ41と、エンジン本体2、具体的にはエンジン本体2の車体下側に配置されるオイルパン2aからオイルタンク3にオイルを圧送するスカベンジポンプ42,43とを有している。
【0036】
図4は、オイルの流れを説明するための説明図である。図4に示すように、エンジン本体2の車体下側に配置されるオイルパン2aからスカベンジポンプ42,43によってオイルが吸い上げられてオイルタンク3に圧送される。エンジン1では、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43を用いてオイルがオイルタンク3に圧送される。
【0037】
オイルパン2aは、略矩形状に形成される底面部と、底面部の前側、後側、車右側及び左側からそれぞれ上側に延びる前側面部、後側面部、右側面部及び左側面部とを有し、前記底面部、前記前側面部、前記後側面部、前記右側面部及び前記左側面部によってオイルを貯留するオイル貯留部が形成されている。
【0038】
第1スカベンジポンプ42は、前記オイル貯留部においてオイルパン2aの前側面部と右側面部との角部近傍からオイルを吸い上げるように形成され、第2スカベンジポンプ43は、前記オイル貯留部においてオイルパン2aの後側面部と左側面部との角部近傍からオイルを吸い上げるように形成されている。車両の加減速時及び左右の旋回時においても、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43を用いてオイルパン2aからオイルがオイルタンク3に圧送されるようになっている。
【0039】
第1及び第2スカベンジポンプ42,43とオイルタンク3との間にはサーモスタット17が介設されている。オイルパン2aからオイルタンク3に圧送されるオイルは、オイルの温度が所定温度未満である場合にはオイルクーラ18を通過することなくオイルタンク3に圧送され、オイルの温度が所定温度以上になるとサーモスタット17が開状態とされてオイルクーラ18によって冷却されてオイルタンク3に圧送される。
【0040】
オイルタンク3に圧送されて貯留されたオイルは、フィードポンプ41によってオイルタンク3からエンジン本体2、具体的にはエンジン本体2の要潤滑部に圧送される。フィードポンプ41からエンジン本体2に圧送されるオイルは、オイルフィルタ19によってろ過されてエンジン本体2に供給される。エンジン本体2に供給されたオイルは、オイルパン2aの前記オイル貯留部に戻るようになっている。
【0041】
エンジン1では、燃料ポンプ20、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40は、エキセントリックシャフト6によってチェーン駆動機構を介して駆動されるようになっている。
【0042】
図5は、チェーン駆動機構を示す斜視図、図6は、図5に示す燃料ポンプシャフト近傍の拡大図、図7は、チェーン駆動機構の要部を示す正面図、図8は、チェーン駆動機構の要部を示す側面図である。
【0043】
図5から図8に示すように、燃料ポンプ20、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40は、エキセントリックシャフト6によってチェーン駆動機構50を介して駆動されるようになっている。チェーン駆動機構50は、燃料ポンプ20を駆動させる無端状の第1チェーン51と、ウォータポンプ30及び燃料ポンプ20を駆動させる無端状の第2チェーン52とを備えている。
【0044】
オイルポンプ40、具体的にはフィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43は、トロコイド式オイルポンプによって同様に構成されている。オイルポンプ40はそれぞれ、ポンプハウジング44内に歯数の異なるインナロータ45aとアウタロータ45bとが偏心して組み付けられ、インナロータ45aにはオイルポンプ40を駆動するポンプシャフト(オイルポンプシャフト)46が設けられている。
【0045】
オイルポンプ40はそれぞれ、ポンプシャフト46が回転駆動されることでインナロータ45aが回転駆動され、インナロータ45aの回転に伴ってアウタロータ45bも同方向に回転される。オイルポンプ40はそれぞれ、インナロータ45aが回転するときにインナロータ45aとアウタロータ45bとの間の空間の容積が大きくなってオイル吸入ポートからオイルを吸い上げ、インナロータ45aが更に回転するときにインナロータ45aとアウタロータ45bとの間の空間の容積が小さくなってオイル吐出ポートからオイルが圧送されるようになっている。
【0046】
本実施形態では、オイルポンプ40はそれぞれ、2段オイルポンプによって構成されている。オイルポンプ40はそれぞれ、ポンプハウジング44内に、第1インナロータ45aと第1アウタロータ45bとによって構成される第1ロータ45と、第2インナロータ47aと第2アウタロータ47bとによって構成される第2ロータ47とが配置されている。第1ロータ45と第2ロータ47とは、同様に構成され、第1ロータ45と第2ロータ47との間にポンプハウジング44に設けられたスペーサ44aが配置されている。
【0047】
第1ロータ45の第1インナロータ45aと第2ロータ47の第2インナロータ47aとがポンプシャフト46に設けられ、ポンプシャフト46が回転駆動されることで第1インナロータ45a及び第2インナロータ47aが回転駆動される。第1ロータ45は、第1インナロータ45aが回転するときに第1オイル吸入ポートからオイルを吸い上げて第1オイル吐出ポートからオイルが圧送され、第2ロータ47は、第2インナロータ47aが回転するときに第2オイル吸入ポートからオイルを吸い上げて第2オイル吐出ポートからオイルが圧送されるようになっている。
【0048】
オイルポンプ40はそれぞれ、第1オイル吐出ポートから圧送されたオイルが第2オイル吸入ポートに吸い上げられ、第2オイル吐出ポートからオイルが圧送されるようになっている。オイルポンプ40はそれぞれ、2段オイルポンプによって構成されているが、これに限定されるものではない。
【0049】
エンジン1では、オイルポンプ40は、エンジン本体2においてロータハウジング7の車体左側且つ車体下側にエキセントリックシャフト6の軸線X方向に並んで配置されている。フィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43はそれぞれ、ポンプシャフト46がエキセントリックシャフト6の軸線X方向に延びるように配置され、フィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43が車体後側から順に配置されている。フィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43の各ポンプシャフト46は、同一シャフト46によって構成されている。
【0050】
フィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43の各ポンプシャフト46は、エキセントリックシャフト6に第1チェーン51及び第2チェーン52を介して駆動連結され、エキセントリックシャフト6によって駆動されるようになっている。
【0051】
図9は、ウォータポンプの斜視図である。図9に示すように、ウォータポンプ30は、エンジン本体2に供給する冷却液を強制的に循環させるものであり、ポンプハウジング31と、ポンプハウジング31に回転可能に支持されるポンプシャフト(ウォータポンプシャフト)36と、ポンプハウジング31内に配置されてポンプシャフト36に設けられたインペラ32とを有している。
【0052】
ウォータポンプ30は、ポンプシャフト36が回転駆動されることでインペラ32が回転され、インペラ32の回転によって冷却液をエンジン本体2に供給して循環させるようになっている。エンジン本体2に供給された冷却液は、エンジン本体2を冷却した後にラジエータに導かれ、ラジエータによって冷却された後にウォータポンプ30によって再びエンジン本体2に供給される。
【0053】
エンジン1では、ウォータポンプ30は、エンジン本体2においてロータハウジング7の車体左側且つ車体下側にエキセントリックシャフト6の軸線X方向に配置されている。ウォータポンプ30は、オイルポンプ40、具体的にはフィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43の車体前側に配置されている。
【0054】
ウォータポンプ30は、ポンプシャフト36がエキセントリックシャフト6の軸線X方向に延びるように配置され、フィードポンプ41、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43の車体前側に配置されている。ウォータポンプ30のポンプシャフト36の軸線C2とオイルポンプ40のポンプシャフト46の軸線C3とは、同一軸線上に配置されている。
【0055】
燃料ポンプ20は、インジェクタ15に燃料を圧送する機械式の高圧燃料ポンプ20である。高圧燃料ポンプ20は、図6に示すように、ポンプ本体部21とポンプ取付部22とを備え、ポンプ本体部21内に形成されたポンプ室(不図示)の容積が変化することで燃料タンク(不図示)から供給される燃料を昇圧してインジェクタ15に圧送するようになっている。
【0056】
燃料ポンプ20のポンプ本体部21には、前記燃料タンクから燃料が供給される供給通路23が接続されると共にインジェクタ15に燃料を圧送する供給通路24が接続されている。燃料ポンプ20は、ポンプ本体部21内において略円柱状に形成されたプランジャ25(図7参照)が軸線C4方向に移動することにより燃料が昇圧されてインジェクタ15に燃料が圧送されるようになっている。
【0057】
燃料ポンプ20のプランジャ25は、ポンプ本体部21の下部に設けられた略円筒状のスリーブ27内に配置されたスプリング28によって燃料ポンプ20を駆動させるポンプシャフト(燃料ポンプシャフト)26に付勢されている。ポンプシャフト26には、円形ベース面に対して所定リフトを有するカム部29が設けられている。
【0058】
燃料ポンプ20は、ポンプシャフト26が回転駆動されることでカム部29が回転され、カム部29によってプランジャ25が軸線C4方向に上側に移動して前記ポンプ室の容積が変化してインジェクタ15に燃料が圧送されるようになっている。
【0059】
エンジン1では、燃料ポンプ20は、エンジン本体2においてロータハウジング7の車体左側且つ車体上側にエキセントリックシャフト6の軸線X方向に配置され、ポンプシャフト26がエキセントリックシャフト6の軸線X方向に延びるように配置されている。
【0060】
燃料ポンプ20は、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40の車体上側に配置され、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40に対してロータハウジング7の長軸Y方向に離間してロータハウジング7の短軸Z方向にオーバーラップする位置に配置されている。
【0061】
前述したように、燃料ポンプ20、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40は、エキセントリックシャフト6にチェーン駆動機構50を介して駆動連結される。エキセントリックシャフト6は、エンジン本体2に回転可能に支持されている。燃料ポンプ20、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40の各ポンプシャフト26,36,46についても回転可能に支持されている。
【0062】
図5に示すように、エキセントリックシャフト6には、車体前側に円環状のエキセントリックスプロケット6aが設けられている。燃料ポンプ20のポンプシャフト26には、車体前側にエキセントリックシャフト6のエキセントリックスプロケット6aに対応する位置に円環状の第1燃料ポンプスプロケット26aが設けられている。
【0063】
燃料ポンプ20のポンプシャフト26にはまた、車体後側に円環状の第2燃料ポンプスプロケット26bが設けられている。燃料ポンプ20のポンプシャフト26に設けられるカム部29は、ポンプシャフト26の軸方向に第1燃料ポンプスプロケット26aと第2燃料ポンプスプロケット26bとの間に設けられている。
【0064】
ウォータポンプ30のポンプシャフト36には、第2燃料ポンプスプロケット26bに対応する位置に円環状のウォータポンプスプロケット36aが設けられている。ウォータポンプスプロケット36aは、オイルポンプ40のポンプシャフト46に第2燃料ポンプスプロケット26bに対応する位置に設けられるオイルポンプスプロケット36aを兼ねている。
【0065】
図10は、ウォータポンプスプロケットを示す図である。図10(a)は、ウォータポンプスプロケットの斜視図、図10(b)は、図10(a)のY10b-Y10b線に沿ったウォータポンプスプロケットの断面図である。図10(a)及び図10(b)に示すように、ウォータポンプスプロケット36aの内周側には、オイルポンプ40のポンプシャフト46の軸線C3方向に略円筒状に延びる第1ボス部33と、ウォータポンプ30のポンプシャフト36の軸線C2方向に略円筒状に延びる第2ボス部34が設けられている。
【0066】
第1ボス部33には、車体後側から車体前側に有底円筒状に窪む第1溝部35が形成され、第1溝部35は、略円形状に形成される底面部35aと略円筒状に形成される側面部35bとを有している。
【0067】
第1溝部35の底面部35aにはシャフト挿通穴39が形成され、第1溝部35の側面部35bにはオイルポンプ40のポンプシャフト46が係合される係合凹部35cが形成されている。係合凹部35cは、第1溝部35の側面部35bから径方向外側に軸方向から見て略矩形状に窪んで溝状に形成されている。係合凹部35cは、側面部35bに周方向に等間隔に分散して2つ形成されている。
【0068】
第1ボス部33にはまた、車体前側から車体後側に有底円筒状に窪む第2溝部37が形成されている。第2溝部37は、第1溝部35と同様に形成されている。第2溝部37は、略円形状に形成される底面部37aと略円筒状に形成される側面部37bとを有している。
【0069】
第2溝部37の底面部37aにはシャフト挿通穴39が貫通され、第2溝部37の側面部37bにはウォータポンプ30のポンプシャフト36が係合される係合凹部37cが形成されている。係合凹部37cは、第2溝部37の側面部37bから径方向外側に軸方向から見て略矩形状に窪んで溝状に形成されている。係合凹部37cは、側面部37bに周方向に等間隔に分散して2つ形成されている。
【0070】
図11は、ウォータポンプスプロケットとポンプシャフトとの係合を説明するための説明図である。図11に示すように、オイルポンプ40のポンプシャフト46の車体前側には、ウォータポンプスプロケット36aに係合する係合部材48が固着されている。
【0071】
係合部材48は、ポンプシャフト46に固着されて略円筒状に形成される円筒部48aと、円筒部48aから径方向外側に軸方向から見て略矩形状に突出する突出部48bと備えている。係合部材48は、突出部48bが第1溝部35の係合凹部35cに対応して周方向に等間隔に分散して2つ形成され、円筒部48aがポンプシャフト46の車体前側が突出するようにポンプシャフト46に取り付けられている。
【0072】
オイルポンプ40のポンプシャフト46は、ウォータポンプスプロケット36aに設けられた第1ボス部33の第1溝部35に、ポンプシャフト46の車体前側がシャフト挿通穴39に挿入されると共に係合部材48の突出部48bが係合凹部35cに係合された状態で係合部材48の円筒部48aが側面部35b内に嵌合されるように係合部材48が係合され、ウォータポンプスプロケット36aに相対回転不能に連結されている。
【0073】
図9に示すように、ウォータポンプ30は、ポンプハウジング31内に配置されたインペラ32に固定されたポンプシャフト36の車体後側がポンプハウジング31から突出するように形成されている。ウォータポンプ30のポンプシャフト36の車体後側には、ウォータポンプスプロケット36aに係合する係合部材38が固着されている。
【0074】
係合部材38は、ポンプシャフト36に固着されて略円筒状に形成される円筒部38aと、円筒部38aから径方向外側に軸方向から見て略矩形状に突出する突出部38bと備えている。係合部材38は、突出部38bが第2溝部37の係合凹部37cに対応して周方向に等間隔に分散して2つ形成され、円筒部38aがポンプシャフト36の車体後側が突出するようにポンプシャフト36に取り付けられている。
【0075】
ウォータポンプ30のポンプシャフト36は、ウォータポンプスプロケット36aに設けられた第1ボス部33の第2溝部37に、ポンプシャフト36の車体後側がシャフト挿通穴39に挿入されると共に係合部材38の突出部38bが係合凹部37cに係合された状態で係合部材38の円筒部38aが側面部37b内に嵌合されるように係合部材38が係合され、ウォータポンプスプロケット36aに相対回転不能に連結されている。
【0076】
このようにして、ウォータポンプスプロケット36aにウォータポンプ30のポンプシャフト36とオイルポンプ40のポンプシャフト46とが連結され、ウォータポンプスプロケット36aの回転に伴ってウォータポンプ30及びオイルポンプ40のポンプシャフト36,46が一体的に回転される。ウォータポンプスプロケット36aに、ウォータポンプ30のポンプシャフト36及びオイルポンプ40のポンプシャフト46の少なくとも一方を一体的に成形することも可能である。
【0077】
エンジン1では、図5に示すように、燃料ポンプ20、ウォータポンプ30及びオイルポンプ40の各ポンプシャフト26,36,46は、エキセントリックシャフト6に平行に配置されている。エキセントリックシャフト6に設けられたエキセントリックスプロケット6aと燃料ポンプ20のポンプシャフト26に設けられた第1燃料ポンプスプロケット26aとに第1チェーン51が巻き掛けられ、燃料ポンプの20のポンプシャフト26に設けられた第2燃料ポンプスプロケット26bとウォータポンプ30のポンプシャフト36に設けられたウォータポンプスプロケット36aとに第2チェーン52が巻き掛けられている。
【0078】
燃料ポンプ20のポンプシャフト26は、エキセントリックシャフト6に第1チェーン51を介して駆動連結されている。ウォータポンプ30のポンプシャフト36は、エキセントリックシャフト6に第1チェーン51及び第2チェーン52を介して駆動連結されている。ウォータポンプスプロケット36aに連結されるオイルポンプ40のポンプシャフト46についても、エキセントリックシャフト6に第1チェーン51及び第2チェーン52を介して駆動連結されている。
【0079】
第1チェーン51は、エキセントリックスプロケット6aと第1燃料ポンプスプロケット26aにのみ巻き掛けられ、第2チェーン52は、第2燃料ポンプスプロケット26bとウォータポンプスプロケット36aにのみ巻き掛けられている。第1チェーン51及び第2チェーン52として、ローラチェーンが用いられる。第1チェーン51及び第2チェーン52に、テンション装置によって張力(テンション)が付与されるようにしてもよい。
【0080】
図7に示すように、エンジン1では、エキセントリックシャフト6の軸線Xに直交する直交面において、エキセントリックシャフト6の軸線Xと燃料ポンプ20のポンプシャフト26の軸線C1とを結ぶ直線L1と、エキセントリックシャフト6の軸線Xとウォータポンプ30及びオイルポンプ40の各ポンプシャフト36,46の軸線C2,C3とを結ぶ直線L2とは、燃料ポンプ20のポンプシャフト26に設けられたカム部29への荷重の作用方向であるプランジャ25の軸方向C4に対して略対称になるように設けられている。
【0081】
第1チェーン51及び第2チェーン52は、エキセントリックシャフト6の車体前側に配置されるサイドハウジング8に配置されている。第1チェーン51は、前記サイドハウジング8の車体前側に配置され、第2チェーン52は、前記サイドハウジング8の車体後側に配置されている。前記サイドハウジング8には、第1チェーン51を覆うように第1チェーンカバー2bが取り付けられ、第2チェーン52を覆うように第2チェーンカバー2cが取り付けられている。
【0082】
本実施形態では、オイルポンプ40はそれぞれ、トロコイド式オイルポンプによって構成されているが、ポンプを駆動するポンプシャフトを有する他のオイルポンプを用いることも可能である。エンジン1では、第1スカベンジポンプ42及び第2スカベンジポンプ43を用いてオイルがオイルタンク3に圧送されるようになっているが、1つのスカベンジポンプ42を用いてオイルをオイルタンク3に圧送するようにしてもよい。
【0083】
このように、本実施形態に係るロータリエンジン1によれば、エキセントリックシャフト6のエキセントリックスプロケット6aと燃料ポンプシャフト26の第1燃料ポンプスプロケット26aとに第1チェーン51が巻き掛けられ、燃料ポンプシャフト26の第2燃料ポンプスプロケット26bとウォータポンプシャフト36のウォータポンプスプロケット36aとに第2チェーン52が巻き掛けられる。
【0084】
燃料ポンプ20及びウォータポンプ30は、エキセントリックシャフト6によって第1チェーン51及び第2チェーン52を介して駆動されるので、エキセントリックシャフト6によってベルトを介して駆動される場合に比してスリップによる駆動ロスを抑制することができる。
【0085】
燃料ポンプシャフト26に、エキセントリックシャフト6との間に第1チェーン51が巻き掛けられると共にウォータポンプシャフト36との間に第2チェーン52が巻き掛けられるので、燃料ポンプシャフト26に第1チェーン51のみが巻き掛けられる場合に比して、燃料ポンプシャフト26に荷重が作用する場合に、燃料ポンプシャフト26が傾いて第1燃料ポンプスプロケット26aが偏摩耗することを抑制して第1チェーン51による伝達ロスを抑制して駆動ロスを抑制することができる。
【0086】
したがって、エキセントリックシャフト6によって燃料ポンプ20及びウォータポンプ30が駆動されるロータリエンジン1において、燃料ポンプ20及びウォータポンプ30の駆動ロスを抑制することができる。
【0087】
また、燃料ポンプシャフト26に燃料ポンプ20を駆動させるカム部29が設けられ、第1及び第2燃料ポンプスプロケット26a,26bは、燃料ポンプシャフト26にカム部29の軸方向一方側及び他方側に配置される。これにより、燃料ポンプシャフト26のカム部29に荷重が作用する場合に、燃料ポンプシャフト26にカム部29の軸方向両側に配置される第1チェーン51及び第2チェーン52を用いて、燃料ポンプ20及びウォータポンプ30の駆動ロスを抑制することができる。
【0088】
また、燃料ポンプ20及びウォータポンプ30は、ロータハウジング7における短軸Z方向一方側に各ポンプシャフト26,36がエキセントリックシャフト6の軸方向に沿って延びるように配置される。これにより、燃料ポンプ20及びウォータポンプ30をロータハウジング7の短軸Z方向一方側にコンパクトに配置してロータリエンジン1のコンパクト化を図ることができる。ウォータポンプ30を燃料ポンプ20近傍に配置することができ、第2チェーン52による伝達ロスを抑制して駆動ロスを抑制することができる。
【0089】
また、燃料ポンプ20及びウォータポンプ30は、ロータハウジング7の短軸Z方向にオーバーラップする位置に配置される。これにより、燃料ポンプ20とウォータポンプ30とをロータハウジング7の短軸Z方向にオーバーラップさせない場合に比して、燃料ポンプ20とウォータポンプ30とをロータハウジング7の短軸Z方向にコンパクトに配置することができる。
【0090】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明によれば、エキセントリックシャフトによって燃料ポンプ及びウォータポンプが駆動されるロータリエンジンにおいて、燃料ポンプ及びウォータポンプの駆動ロスを抑制することが可能となるから、この種のロータリエンジン又はこれが搭載される車両の製造産業分野において、好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0092】
1 ロータリエンジン
4 ロータ
6 エキセントリックシャフト
6a エキセントリックスプロケット
7 ロータハウジング
10 作動室
15 インジェクタ
20 燃料ポンプ
26 燃料ポンプシャフト
26a 第1燃料ポンプスプロケット
26b 第2燃料ポンプスプロケット
29 カム部
30 ウォータポンプ
36 ウォータポンプシャフト
36a ウォータポンプスプロケット
51 第1チェーン
52 第2チェーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11