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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020139326
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035189
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】尾島 典行
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248217(JP,A)
【文献】特開2007-086082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0356801(US,A1)
【文献】特開2008-032751(JP,A)
【文献】特開2000-266756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が1以上の第1施設により管理されておりかつ被験者の検体を分析する複数の分析装置と、
第2施設により管理されておりかつ前記複数の分析装置と通信可能なサーバ装置とを備え、
前記サーバ装置は、検査項目の第1基準値が定められている第1基準検体を識別するための第1基準検体IDと、該第1基準値に基づく第1範囲とを関連付けて記憶しており、
前記複数の分析装置は、
前記第1基準値が通知されることなく提供された前記第1基準検体を分析し、
前記第1基準検体の分析値を前記第1基準検体IDに関連付けて送信し、
前記サーバ装置は、受信した前記第1基準検体IDに対応する前記第1範囲に、受信した前記第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、異常信号を出力し、
前記複数の分析装置は、前記第1基準検体を、前記検体とは区別不可能な態様で受ける、分析システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記第1基準検体IDに対応する前記第1範囲に属していない前記第1基準検体の分析値を送信した前記分析装置に前記異常信号を出力し、
前記分析装置は、前記異常信号を受信したことに応答して、検体の分析を停止する、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記複数の分析装置毎に、該分析装置の異常が発生したことを記憶する、請求項1または請求項2に記載の分析システム。
【請求項4】
前記検体と、前記第1基準検体とは、前記複数の分析装置に提供される経路が異なる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項5】
前記第1基準検体は、前記分析装置のメーカで製造される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項6】
前記複数の分析装置は、
前記検体を分析し、
前記検体を識別するための検体IDと関連付けて、前記検体の分析値を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、受信した前記第1基準検体IDに対応する前記第1範囲に、受信した前記第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、前記検体の分析結果を前記被験者に通知することを規制する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、検査項目の第2基準値が定められている第2基準検体を識別するための第2基準検体IDと、該第2基準値に基づく第2範囲とを関連付けて記憶しており、
前記複数の分析装置は、
前記第2基準値が通知されて提供された前記第2基準検体を分析し、
前記第2基準検体の分析値を前記第2基準検体IDに関連付けて送信し、
前記サーバ装置は、受信した前記第2基準検体IDに対応する前記第2範囲に、受信した前記第2基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、当該第2基準検体の直近の前記第2基準検体が分析されたとき以降に分析された前記検体の分析値は不合格であることを判断する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-39896号公報(特許文献1)には、被験者から採取された検体を分析する分析システムとして、分析センタに配置されている分析装置と、サービスセンタに配置されているサーバ装置とを備えるものが提案されている。この分析システムでは、分析装置は、検体を分析することにより取得した分析値をサーバ装置に送信する。サーバ装置は、受信した分析値に基づいて、疾患の有無などを判定する。サーバ装置は、判定結果を、被験者が保持する端末装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-39896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、分析システムにおいて一連の分析過程の異常を適切に判断する方法として、システム検証用試料の分析によって得られた分析値を評価する手法がある。分析装置が、システム検証用試料の分析値が正常範囲に属していると判断した場合には、分析システムは適切であると判断する。一方、分析装置が、システム検証用試料の分析値が正常範囲に属していないと判断した場合には、分析システムの異常が発生していると判断する。
【0005】
このように、分析装置の分析品質を確保するために、検体以外に、システム検証用試料を分析し、その分析値を評価することが重要である。ここで、分析装置が試料を分析しこの分析装置がその分析値を評価する構成においては、分析装置のユーザが分析値の評価結果に対して不正を行う場合がある。この不正は、たとえば、システム検証用試料の分析値が正常範囲に属していないにも関わらず、この分析値を正常範囲に属するように改ざんするということである。このような不正が行われた場合には、分析システムにおいて一連の分析過程の異常を適切に検出することができないという問題が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、分析システムにおいて一連の分析過程の異常を検出することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う分析システムは、各々が1以上の第1施設により管理されておりかつ被験者の検体を分析する複数の分析装置と、第2施設により管理されておりかつ複数の分析装置と通信可能なサーバ装置とを備える。サーバ装置は、検査項目の第1基準値が定められている第1基準検体を識別するための第1基準検体IDと、該第1基準値に基づく第1範囲とを関連付けて記憶している。複数の分析装置は、第1基準値が通知されることなく提供された第1基準検体を分析し、第1基準検体の分析値を第1基準検体IDに関連付けて送信し、サーバ装置は、受信した第1基準検体IDに対応する第1範囲に、受信した第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、異常信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、第1施設で管理されているサーバ装置は、第2施設で管理されている分析装置による第1基準検体の分析値が、第1範囲に属していないことを判断した場合に異常信号を出力することから、第1基準検体の分析値の判断結果に対して、分析装置のユーザなどに不正を行わせることなく分析システムにおける一連の分析過程の異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に従う分析システムの構成例を示す図である。
図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】分析装置およびサーバ装置の機能ブロック図の一例である。
図4】テーブルの一例を示した図である。
図5】サーバ装置によるQC試料の分析値の判断を示す図である。
図6】サーバ装置による検証用試料の分析値の判断を示す図である。
図7】複数の分析装置の各々の異常が発生した日を示す図である。
図8】サーバ装置のコントローラのフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[分析システムの全体構成]
図1は、本実施の形態に従う分析システム500の構成例を示す図である。図1を参照して、分析システム500は、サーバ装置100と、M個(Mは2以上の整数)の分析装置200m(m=1,...,M)と、クライアント装置300とを含む。以下では、「複数の分析装置200m」を単に「分析装置200」と称する場合がある。なお、図1では、図面簡略化のために、「複数の分析装置200m」として、1つの分析装置200mが示されている。複数の分析装置200mの各々には、分析装置を識別するための分析装置ID(Identification)が付与されている。サーバ装置100は、分析装置IDに基づいて、分析装置200を別個に認識することができる。
【0012】
サーバ装置100は、サービスセンタ1100に設置されており、かつ管理されている。本実施の形態のサービスセンタ1100は、本開示の「第2施設」の一例である。分析装置200は、分析センタ1200に設置されており、かつ管理されている。分析センタ1200は、本開示の「第1施設」の一例である。
【0013】
クライアント装置300は、医療機関1300に設置されている。また、サービスセンタ1100には、サービスセンタ1100の担当者(以下、サーバ装置100のユーザとも称する)が存在する。分析センタ1200には、分析センタ1200の担当者(以下、分析装置200のユーザとも称する)が存在する。
【0014】
また、サービスセンタ1100と、分析センタ1200とは別の施設である。サービスセンタ1100の担当者は、サーバ装置100による判断結果に基づいて分析システムにおける一連の分析過程に異常が発生しているか否かを、分析センタ1200の担当者の意見などによらず客観的に判断することができる。
【0015】
医療機関1300には、医療機関1300の担当者(以下、クライアント装置300のユーザとも称する)が存在する。本実施の形態の分析システム500は、被験者の検体を分析することにより、被験者の疾患の有無および疾患の種類のうちの少なくとも一方を判断するためのものである。
【0016】
サーバ装置100と、分析装置200とは通信可能となるようにネットワーク(図2のネットワーク550)に接続されており、互いに通信可能となるように構成される。サーバ装置100と、クライアント装置300とは通信可能となるようにネットワーク(図2のネットワーク550)に接続されており、互いに通信可能となるように構成される。
【0017】
分析装置200は、被験者の検体を分析するための装置である。被験者の検体は、たとえば、被験者の血液などである。分析装置200は、被験者の検体を分析できる装置であれば如何なる装置であってもよい。分析装置200は、たとえば、液体クロマトグラフ装置、ガスクロマトグラフ装置、液体クロマトグラフ質量分析装置、ガスクロマトグラフ質量分析装置、走査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、エネルギー分散型蛍光X線分析装置、波長分散型蛍光X線分析装置および、フーリエ変換赤外分光光度計などを含む。分析装置200はさらに、フォトダイオードアレイ検出器、液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析計、近赤外分光装置、引張試験機および、圧縮試験機などを含んでもよい。
【0018】
サーバ装置100は、分析装置200の分析による検体の分析値を、分析装置200から受信する。サーバ装置100は、該分析値に基づいて、検体が採取された被験者の疾患の有無および該被験者の疾患の種類のうち少なくとも一方を判断する。被験者の疾患の有無の検査、および疾患の種類のうちの少なくとも一方の判断が本開示の「検査項目」に対応する。サーバ装置100は、判断結果をクライアント装置300に送信する。本実施の形態では、分析値は、検体に含まれる所定物質の濃度とする。なお、分析値は、所定物質の質量、あるいは、1単位質量当たりの検体の質量に対する該検体に含まれる所定物質の質量の比(つまり、質量比)などの他の指標であってもよい。
【0019】
クライアント装置300は、サーバ装置100から送信された判断結果を表示する。医療機関1300の担当者は、該判断結果を被験者に対して通知する。
【0020】
次に、図1を参照して、被験者から検体が採取されて、該検体に基づく判断結果が被験者に通知されるまでの流れを説明する。なお、図1の実線の矢印は情報の流れを示し、破線の矢印は検体などの流れを示す。
【0021】
まず、クライアント装置300は、医療機関1300の担当者によるクライアント装置300に対する操作に応じて、ID生成リクエストをサーバ装置100に対して送信する。ここで、クライアント装置300から送信されるID生成リクエストは、検体IDと、後述の検証用試料IDとをサーバ装置100に生成させるための情報である。また、医療機関1300の担当者は、ID生成リクエストによりIDを生成させる種別(検体および検証用試料のいずれであるかを示す情報)と、この種別で生成させるIDの数を入力する。たとえば、医療機関1300の担当者が、30個の検体IDと、1個の検証用試料IDとの生成を所望する場合には、30個の検体IDと、1個の検証用試料IDとをサーバ装置100に生成させることを示す情報を、クライアント装置300に入力する。
【0022】
サーバ装置100は、ID生成リクエストを受信すると、検体を識別するための検体IDと、検証用試料IDを識別するための検証用IDとを生成する。サーバ装置100は、クライアント装置300に対して、検体IDと検証用IDとを送信する。医療機関1300の担当者は、サーバ装置100から送信された検体IDが記載されたラベルを容器に貼り付ける。検証用IDについては後述する。なお、検体ID、後述するQC(Quality control)試料IDおよび検証用試料IDは、たとえば、数字のラベル、バーコードラベル、およびRFID(radio frequency identifier)などのうちいずれであってもよい。
【0023】
ステップ(1)において、医療機関1300で被験者の検体が採取される。次に、ステップ(2)において、該検体が収容された容器が、医療機関1300から分析センタ1200に提供される。次に、ステップ(3)において、分析装置200は、検体を分析することにより、分析値を取得する。
【0024】
次に、ステップ(4)において、分析装置200は、該分析装置200の分析により取得された分析値を、サーバ装置100に送信する。次にステップ(5)において、サーバ装置100は、分析値に基づいて、該分析値が取得された検体が採取された被験者の疾患の有無などを判定する。次に、ステップ(6)において、サーバ装置100は、判定結果をクライアント装置300に送信する。そして、医療機関1300を通じて判定結果が被験者に通知される。
【0025】
ところで、QC試料を用いて、分析装置200により取得される分析値の精度を検査する手法がある。QC試料は、たとえば、疾患の有無などの判定に使用される所定物質(マーカ)が予め定められた濃度で混合されている試料である。分析センタ1200の担当者などにより、QC試料が準備される。QC試料の所定物質の濃度は、予め、分析装置のユーザに通知されている。また、分析装置200に付属する情報処理装置(図示せず)は、分析センタ1200の担当者による情報処理装置に対する操作に応じて、ID生成リクエストをサーバ装置100に対して送信する。情報処理装置は、たとえば、PC(personal computer)などである。
【0026】
ここで、分析装置200に付属する情報処理装置から送信されるID生成リクエストは、QC試料のID(以下、QC試料IDとも称する。)をサーバ装置100に生成させるための情報である。また、分析センタ1200の担当者は、ID生成リクエストによりIDを生成させる種別(QC試料を示す種別)と、この種別で生成させるIDの数を入力する。たとえば、医療機関1300の担当者が、3個のQC試料IDの生成を所望する場合には、3個のQC試料IDをサーバ装置100に対して生成させることを示す情報を、情報処理装置に入力する。
【0027】
サーバ装置100は、ID生成リクエストを受信すると、QC試料IDを生成する。サーバ装置100は、分析装置200に付属する情報処理装置に対して、QC試料IDを送信する。
【0028】
分析装置200のユーザは、分析装置200によって、QC試料を分析した後、1以上の検体を分析し、さらに、QC試料を分析する。分析装置200は、QC試料の分析により取得したQC試料の分析値を、ステップ(4)において送信する。また、ステップ(5)において、サーバ装置100は、QC試料の分析値が正常範囲に属しているか否かを判断する。QC試料の分析値が、正常範囲に属していない場合には、該QC試料の直近に分析されたQC試料の分析以降に、分析装置200に何らかの異常が生じた可能性がある。そのため、分析装置のユーザは、QC試料の分析値が、正常範囲に属していないと判断した場合には、該QC試料の直近に分析されたQC試料以降に分析された検体の分析値は不合格であると判断する。QC試料の分析値が、正常範囲に属していない場合には、ステップ(6)において、サーバ装置100は、不合格であると判断された検体IDを分析装置200およびクライアント装置300に送信する。QC試料は、本開示の「第2基準検体」に対応する。
【0029】
しかしながら、QC試料を用いた検査では、分析装置200により取得される分析値の精度を検査するのみであり、分析システム500における一連の分析過程の異常の有無を検出することができないという問題が生じる場合がある。
【0030】
そこで、本実施の形態の分析システム500は、分析システム500における一連の分析過程の異常の有無を検出する。ここで、一連の分析過程とは、たとえば、分析センタ1200のオペレータが分析のためにサンプルを並べ、分析装置200が分析を開始したときから、該分析により取得した分析値をサーバ装置100に対して送信するときまでの過程である。一連の分析過程の異常とは、たとえば、オペレータによる系統的なサンプルの並べ間違い、分析装置200の分析機能の異常、および分析装置200によるサーバ装置100への分析値の後述する送信機能の異常などである。
【0031】
分析装置200の製造メーカ400は、検証用試料を製造し、該検証用試料を医療機関1300に提供する。検証用試料は、分析システムにおける一連の分析過程の異常の有無を検出するための試料である。検証用試料は、疾患の判定に用いられる所定物質(マーカ)が予め定められた濃度で混在している試料である。検証用試料は、本開示の「第1基準検体」に対応する。QC試料と、検証用試料とでは、所定物質の濃度が同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、検証用試料は、製造メーカ400ではなく、他の施設で製造されるようにしてもよい。他の施設は、たとえば、製造メーカ400の下請け会社または製造メーカ400のグループ企業などである。
【0032】
上述のように、サーバ装置100は、クライアント装置300からのID生成リクエストに応じて、検証用試料IDを生成する。検証用試料IDは、検証用試料を識別するためのIDである。サーバ装置100は、検体IDと、検証用試料IDと、QC試料IDとをテーブル(図4のテーブル1068参照)として記憶部に記憶する。また、サーバ装置100は、このテーブルを分析装置ID毎に記憶部に記憶する。
【0033】
サーバ装置100は、製造メーカ400から検証用試料の所定物質の濃度を受信する。サーバ装置100は、検証用試料IDと、検証用試料の所定物質の濃度に基づく第1範囲とを関連付けて記憶する。また、サーバ装置100は、分析センタ1200からQC試料の所定物質の濃度を受信する。サーバ装置100は、QC試料IDと、QC試料の所定物質の濃度に基づく第2範囲とを関連付けて記憶する。サーバ装置100は、検体IDと、検体に含まれる所定物質の濃度の第3範囲とを関連付けて記憶する。
【0034】
また、上述のように、サーバ装置100は、検証用試料IDをクライアント装置300に送信する。なお、サーバ装置100は、医療機関1300に設置されている装置であればクライアント装置300とは異なる装置に、検体IDと、検証用試料IDとを送信してもよい。
【0035】
医療機関1300の担当者は、サーバ装置100から送信された検証用試料IDが記載されたラベルを容器に貼り付ける。医療機関1300の担当者は、検証用試料IDのラベルが貼り付けられた容器に検証用試料を収容する。
【0036】
ステップ(2)において、検体が収容された容器とともに検証用試料が収容された容器が、医療機関1300から分析センタ1200に提供される。分析装置200は、検証用試料を、検体とは区別不可能な態様で受ける。この態様は、たとえば、検体が収容された容器と検証用試料が収容された容器とを同一とし、かつ検体IDが記載されたラベルと検証用試料IDが記載されたラベルとを同一とするなどといった態様である。このように、検証用試料が収容された容器が検体が収容された複数の容器に紛れ込んだ状態で、検体が収容された容器とともに検証用試料が収容された容器が分析センタ1200に提供される。
【0037】
ステップ(3)において、分析装置200は、検証用試料を分析することにより検証用試料の分析値を取得する。なお、分析装置200のユーザは、QC試料と、検体および検証用試料とを区別できる。また、分析装置200は、検証用試料を、検体とは区別不可能な態様で受けることから、分析装置200のユーザは、検体と検証用試料とは区別できない。つまり、分析装置200のユーザは、検証用試料が収容された容器を、検体が収容された容器であると認識している。
【0038】
ステップ(4)において、検証用試料の分析値を検証用試料IDに関連付けて送信する。また、ステップ(4)において、分析装置200は、検体、QC試料、検証用試料の分析順序を示す順序情報もサーバ装置100に対して送信するようにしてもよい。以下では、「検体ID、該検体IDが関連付けられた検体の分析値、QC試料ID、該QC試料IDが関連付けられたQC試料の分析値、検証用試料ID、および該検証用試料IDが関連付けられた検証用試料の分析値」を包括的に「全ての分析値」という。本実施の形態の全ての分析値は、サーバ装置100が、生成した全てのID(本実施の形態では、図4に示すように、ID=1~50)それぞれに対応する分析値である。
【0039】
ステップ(5)において、サーバ装置100は、検証用試料IDが関連づけられた検証用試料の分析値に基づいて、分析システムにおける一連の分析過程に異常が発生しているか否かを判断する。
【0040】
サーバ装置100は、検証用試料の分析値に基づく判断が、分析システム500における一連の分析過程に異常が発生しているというものである場合には、この判断に用いられた第1範囲のテーブルに対応する分析装置による分析システムにおける一連の分析過程に異常が発生している旨をステップ(5)において報知する。この報知は、たとえば、サーバ装置100の表示装置(図示せず)に異常信号を出力することにより、該表示装置で一連の分析過程に異常が発生していることを示す画像を表示する。これにより、サーバ装置100の担当者は、この分析装置による分析システムにおける一連の分析過程に異常が発生していることを認識する。
【0041】
さらに、ステップ(6)において、ステップ(5)での判断に用いられた第1範囲のテーブルに対応する分析装置200に異常信号を送信する。異常信号は、分析システム500における一連の分析過程に異常が発生していることを示す信号である。異常信号を受信した分析装置200は、一連の分析過程に異常が発生していることを報知する。分析装置200は、たとえば、分析装置200の表示装置(図示せず)に、一連の分析過程に異常が発生していることを示す画像を表示する。これにより、分析装置200のユーザは、分析装置200の異常が発生していることを認識できる。また、分析装置200は、異常信号を受信したときには、分析装置200は実行中の検体の分析処理を停止するようにしてもよい。また、サーバ装置100は、異常信号をクライアント装置300に送信する。
【0042】
[サーバ装置のハードウェア構成例]
図2は、サーバ装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置100は、コントローラ150を有する。コントローラ150は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)160と、ROM(Read Only Memory)162と、RAM(Random Access Memory)164と、HDD(Hard Disk Drive)166と、通信I/F(Interface)168とを有する。各構成要素はデータバスによって相互に接続されている。
【0043】
通信I/F168は、ネットワーク550を介して、分析装置200およびクライアント装置300と通信可能である。
【0044】
ROM162は、CPU160にて実行されるプログラムを格納する。RAM164は、CPU160におけるプログラムの実行により生成されるデータ、および通信I/F168を経由して入力されたデータを一時的に格納することができる。RAM164は、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能できる。HDD166は、不揮発性の記憶装置である。また、HDD166に代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
【0045】
また、ROM162に格納されているプログラムは、記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通されてもよい。または、プログラムは、情報提供事業者によって、いわゆるインターネットなどによりダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供されてもよい。サーバ装置100は、記憶媒体またはインターネットなどにより提供されたプログラムを読み取る。サーバ装置100は、読み取ったプログラムを所定の記憶領域(たとえば、ROM162)に記憶する。CPU160は、該記憶されたプログラムを実行することにより上述の表示処理を実行する。
【0046】
記憶媒体は、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、CD-ROM(compact disc read-only memory)、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリなどの固定的にプログラムを担持する媒体としてもよい。また、記録媒体は、プログラムなどをコンピュータが読取可能な非一時的な媒体である。
【0047】
[分析装置およびサーバ装置の機能ブロック図]
図3は、分析装置200およびサーバ装置100の機能ブロック図の一例である。分析装置200は、分析部202と出力部112とを有する。サーバ装置100は、入力部102と、判断部104と、出力部112と、記憶部106とを有する。入力部102と出力部112とは、通信I/F168により実現される。判断部104は、コントローラ150により実現される。記憶部106は、ROM162またはRAM164などにより実現される。
【0048】
分析部202は、検体、QC試料、および検証用試料の各々を分析することにより、検体の分析値、QC試料の分析値、および検証用試料の分析値を取得する(図1のステップ(3)参照)。出力部112は、全ての分析値(検体IDと、該検体IDが関連付けられた検体の分析値と、QC試料IDと、該QC試料IDが関連付けられたQC試料の分析値と、検証用試料IDと、該検証用試料IDが関連付けられた検証用試料の分析値)をサーバ装置100に対して送信する(図1のステップ(4)参照)。なお、出力部204は、検体の分析値とQC試料の分析値と検証用試料の分析値とのうちのいずれか1つの分析値を取得する毎に、該取得した分析値をサーバ装置100に出力するようにしてもよい。また、出力部204は、検体、QC試料、および検証用試料の全ての分析値を取得したときに、まとめて、これらの分析値をサーバ装置100に送信するようにしてもよい。全ての分析値は、本実施の形態では、後述の図4に示すように、合計数が50個である検体、QC試料、および検証用試料の各々の分析値である。
【0049】
入力部102は、全ての分析値の入力を受付ける。記憶部106には、テーブル1068が記憶される。上述したように、サーバ装置100は、検体IDと、検証用試料IDと、QC試料IDと生成し、検体IDと、検証用試料IDと、QC試料IDとを、テーブル1068として記憶部106に記憶する。
【0050】
図4はテーブル1068の一例を示した図である。上述のように、テーブル1068は分析装置ID毎に記憶されている。図4の例では、IDが1~50まで規定されている。つまり、図4では、検体、QC試料、および検証用試料の合計数が50個である場合が示されている。図4の例では、ID=1,11,48がQC試料IDとして生成されており、ID=49が検証用試料IDとして生成されており、他のIDが検体IDとして生成されている。
【0051】
判断部104は、テーブル1068と、入力部102に入力された複数のIDとに基づいて、全ての分析値の各々の種別を判断する。図4の例では、判断部104は、ID=1,11,48が関連付けられている分析値をQC試料の分析値として判断する。また、判断部104は、ID=49が関連付けられている分析値を検証用試料の分析値として判断する。また、判断部104は、ID=1,11,48,49以外のIDが関連付けられている分析値を検体の分析値として判断する。
【0052】
判断部104は、分析値の種別に対応した範囲を用いて、判断処理を実行する。本実施の形態では、第1範囲は、検出用試料の分析値に対応する範囲である。第2範囲は、QC試料の分析値に対応する範囲である。第3範囲は、検体の分析値に対応する範囲である。
【0053】
第1範囲は、検証用試料に混在されている所定物質(疾患の判定に用いられる物質)の濃度に基づいて定められる範囲である。第1範囲は、検証用試料の分析値の正常範囲であり、許容公差である。
【0054】
第1範囲は、所定物質の濃度に所定値を加算した上限値と、所定物質の濃度に所定値を減算した下限値とにより構成される範囲である。たとえば、検証用試料に混在されている所定物質の濃度が5%であり、所定値を0.2%とした場合には、第1範囲は、4.8%~5.2%となる。また、「5%」が、本開示の「第1基準値」に対応する。「4.8%~5.2%」が、本開示の「第1基準値に基づく第1範囲」に対応する。なお、図4では、第1範囲は、X1~X2と示されている。
【0055】
分析装置200が正常である場合において、分析装置200が所定物質の濃度が5%である検証用試料を分析すると、第1範囲に属する値を分析値として出力する。しかしながら、分析システム500における一連の分析過程の異常が発生している場合において、分析装置200がこの検証用試料を分析すると、第1範囲に属さない値を分析値として出力する場合がある。第1範囲に属さない値とは、第1範囲の上限値を上回る値または第1範囲の下限値を下回る値である。
【0056】
たとえば、分析装置200の分析機能の異常が発生している場合において、分析装置200による検証用試料の分析により取得された分析値は、第1範囲に属さない場合がある。また、分析装置200の分析機能の異常が発生していないものの、分析装置200の送信機能に異常が発生する場合がある。送信機能とは、分析機能により取得された分析値をサーバ装置100に送信する機能である。分析装置200の分析機能の異常が発生していない場合には、分析装置200は、検証用試料の分析値として第1範囲の属する値(たとえば、5%)を取得する。しかしながら、送信機能の異常が発生している場合には、たとえば、誤って、検証用試料IDと、検体IDとが入れ替わって送信されてしまう場合がある。この場合とは、誤って、検体の分析値(たとえば、8%)が検証用試料IDと関連付けて送信され、検証用試料の分析値(たとえば、5%)が検体IDと関連付けて送信される場合である。この場合には、判断部104は、検体の分析値(8%)が第1範囲に属していないことを判断する。また、オペレータによる系統的なサンプルの並べ間違いが生じた場合にも、分析装置200による検証用試料の分析により取得された分析値が第1範囲に属さない場合がある。また、一連の分析過程の異常は、分析装置200からネットワーク550までの信号線、ネットワーク550、およびネットワーク550からサーバ装置100までの信号線、およびサーバ装置100の受信機能のうちの少なくとも1つの異常を含むようにしてもよい。
【0057】
このように、検証用試料IDに関連付けられている検体(検証用試料)が第1範囲に属していない場合には、一連の分析過程(たとえば、分析機能または送信機能など)に異常が発生している可能性が考えられる。
【0058】
また、第2範囲は、QC試料に混在されている所定物質の濃度に基づいて定められる範囲である。第2範囲は、QC試料の分析値の正常範囲であり、許容公差である。第2範囲は、所定物質の濃度に所定値を加算した上限値と、所定物質の濃度に所定値を減算した下限値とにより構成される範囲である。たとえば、検証用試料に混在されている所定物質の濃度が7%であり、所定値が0.2%である場合には、第2範囲は、6.8%~7.2%となる。また、「7%」が、本開示の「第2基準値」に対応する。「6.8%~7.2%」が、「第2基準値に基づく第2範囲」に対応する。なお、図4では、第2範囲は、Y1~Y2と示されている。
【0059】
分析装置200の分析機能が正常である場合において、分析装置200が所定物質の濃度が7%であるQC用試料を分析すると、第2範囲に属する値を分析値として出力する。しかしながら、分析装置200の分析機能に異常が発生している場合において、分析装置200がこの検証用試料を分析すると、第2範囲に属さない値を分析値として出力する。第2範囲に属さない値とは、第2範囲の上限値を上回る値または第2範囲の下限値を下回る値である。QC用試料の分析値が、第2範囲に属さない場合の処理については、図5で詳述する。
【0060】
第3範囲は、検体の分析値に対して用いられる範囲である。たとえば、判断部104は、検体の分析値が、第3範囲に属していると判断した場合には、該検体が採取された被験者に疾患がないと判断する。判断部104は、検体の分析値が、第3範囲に属していないと判断した場合には、該検体が採取された被験者に疾患があると判断する。さらに、検体の分析値が、第3範囲に属していない場合において、判断部104が該分析値は所定の範囲に属していると判断した場合には、該検体が採取された被験者に第1疾患があると判断し、該分析値は特定の範囲に属していると判断した場合には、該検体が採取された被験者に第2疾患があると判断するようにしてもよい。なお、図4では、第3範囲は、Z1~Z2と示されている。
【0061】
説明を図3に戻す。判断部104は、検証用試料の分析値が第1範囲に属さないことを判断した場合に、この第1範囲のテーブルに対応する分析装置200による分析システムにおける一連の分析過程に異常が発生している旨をサーバ装置100の表示装置に報知させる。この報知は、異常信号がサーバ装置100の表示装置に出力されることにより実行される。この報知により、サーバ装置100のユーザなどは、分析システム500における一連の分析過程の異常を検出することができる。さらに、判断部104は、この第1範囲のテーブルに対応する分析装置200(つまり、第1範囲に属していない検証用試料の分析値を送信した分析装置200)に対して異常信号を出力部112を介して送信する。異常信号を受信した分析装置200は、一連の分析過程の異常が発生していることを報知する。この報知により、分析装置200のユーザなどは、分析システム500における一連の分析過程の異常を検出することができる。また、分析装置200は、異常信号を受信したときには、実行中の検体の分析を停止するようにしてもよい。これにより、異常が発生している分析装置200において検体が分析されることを防止できる。
【0062】
判断部104は、検証用試料の分析値が第1範囲に属することを判断した場合に、異常信号を送信しない。なお、判断部104は、検証用試料の分析値が第1範囲に属することを判断した場合に、一連の分析過程が正常である正常信号を出力部112を介して分析装置200に送信してもよい。
【0063】
判断部104は、QC試料の分析値に基づく判断結果を出力部112を経由して分析装置200およびクライアント装置300に送信する。また、判断部104は、検体の分析値に基づく判断結果を出力部112を経由してクライアント装置300に送信する。
【0064】
このように、本実施の形態では、分析センタ1200に管理されている分析装置200ではなく、サービスセンタ1100により管理されているサーバ装置100が、システム検証用の分析値と第1範囲とに基づいて、一連の分析過程の異常を検出することができる。したがって、サーバ装置100は、第1基準検体の分析値の評価結果に対して分析装置のユーザなどに不正を行わせることなく、分析システムにおける一連の分析過程の異常を検出できる。なお、この不正は、たとえば、システム検証用試料の分析値が正常範囲に属していないにも関わらず、この分析値を正常範囲に属するように改ざんするということである。
【0065】
また、被験者の疾患に関する検査の精度を担保するために、分析システム500における一連の分析過程において異常が発生していない状態で分析装置200が検体を分析する必要がある。しかし、分析センタ1200が各地に分散していて、一連の分析過程の異常の検出に精通した人員が確保しにくい場合などの理由により、分析装置200のユーザが一連の分析過程の異常が発生しているか否かを確認することは困難である。
【0066】
そこで、検証用試料の分析値が第1範囲に属さない場合には、一連の分析過程の異常が発生している可能性があることから、異常信号を受信した分析装置200は、一連の分析過程の異常が発生していることを報知する。したがって、分析センタ1200のユーザなどは、分析システム500における一連の分析過程の異常を認識できる。また、分析システム500における一連の分析過程の異常が発生している状態で分析装置200により検体が分析されることを防止できることから、被験者の疾患に関する検査の精度を担保することができる。
【0067】
また、仮に、分析装置200が検体と検証用試料との分析を行う場合において、分析装置200のユーザが、検体が収容された容器と検証用試料が収容された容器とを区別できた場合には、分析装置200のユーザが検証用試料の分析値の評価結果(または分析値)に対して上記の不正を行う場合がある。このような場合を鑑みて、検体が収容された容器、および検証用試料が収容された容器は、分析装置200のユーザおよび分析装置200が判別できない態様で医療機関1300から分析センタ1200に提供される。つまり、図1のステップ(5)で説明したように、分析装置200は、検証用試料を、検体とは区別不可能な態様で受ける。したがって、分析装置200のユーザに分析装置200の異常の発生の有無の検査を意識させることなく、サーバ装置100は分析装置の異常の発生の有無を判断できる。
【0068】
また、図1で説明したように、検体は、医療機関1300から分析センタ1200に提供される。一方、検証用試料は、製造メーカ400で製造された後に、製造メーカ400から医療機関1300に提供され、医療機関1300から分析センタ1200に提供される。このように、検体と、検証用試料とは、分析装置200に提供される経路が異なる。したがって、サーバ装置100は、検体とは異なる経路で提供された検証用試料の分析値を用いて分析装置200の異常の有無を判断できることから、分析装置200のユーザは客観的な判断を行うことができる。また、サーバ装置100は、製造メーカ400で製造された検証用試料の分析値を用いて、分析装置200の異常の有無を判定できることから、製造メーカ400は、製造メーカ400を主体とした分析システム500を提供できる。
【0069】
また、サーバ装置100は、図4のID1~ID50のそれぞれに対応づけて、分析値をテーブル1068に記憶するようにしてもよい。また、サーバ装置100は、図4のID1~ID50のそれぞれに対応づけて、対応する範囲に分析値が属したか否かをテーブル1068に記憶するようにしてもよい。つまり、サーバ装置100は、検証用試料の分析値が第1範囲に属するか否かと、QC試料の分析値が第2範囲に属するか否かと、検体の分析値が第3範囲に属するか否か(つまり、疾患の有無)をテーブル1068に記憶するようにしてもよい。これにより、サーバ装置100は、分析装置200による分析結果および対応する範囲に分析値が属したか否かを一括で管理できる。また、図7でも説明するように、分析システム500が複数の分析装置200を含む場合には、該複数の分析装置200の各々について、分析値、および対応する範囲に分析値が属したか否かを記憶するようにしてもよい。
【0070】
また、複数の分析装置200mの各々が検体ID、検証用試料ID、およびQC試料IDを生成する構成が考えられる。しかしながら、この構成では、分析装置200によって異なった体系のIDが生成されることになり、その結果、ID管理が複雑になることからID管理におけるミスが発生しやすくなる。そこで、本実施の形態では、サーバ装置100が、複数の分析装置200mの各々における検体ID、検証用試料ID、およびQC試料IDを生成する。したがって、サーバ装置100は、複数の分析装置200mの各々における検体ID、検証用試料ID、およびQC試料IDを一括で管理できる。さらに、サーバ装置100は、「一連の分析過程における異常の検出(検証用試料を用いた判定)」、「QC試料を用いた判定」、および「被験者の疾患の有無および疾患の種類のうちの少なくとも一方の判断」を行う。したがって、本実施の形態の分析システム500は、「複数の分析装置200mの各々における検体ID、検証用試料ID、およびQC試料IDの生成」、「一連の分析過程における異常の検出(検証用試料を用いた判定)」、「QC試料を用いた判定」、および「被験者の疾患の有無および疾患の種類のうちの少なくとも一方の判断」をサーバ装置100が行うサービスを提供できる。
【0071】
[QC試料および検証用試料の分析について]
次に、サーバ装置100によるQC試料の分析値の判断の詳細を説明する。図5は、サーバ装置100によるQC試料の分析値の判断を説明するための図である。図5および後述の図6の例では、検体はドット模様で示されており、QC試料は右上がり斜線のハッチング模様で示されており、検証用試料は右下がり斜線のハッチング模様で示されている。また、図5および後述の図6の例では、QC試料IDが、1,11,44,48である場合が示されており、検証用試料IDが、49である場合が示されている。また、図5の例では、検証用試料の分析値が第1範囲に属している場合(つまり、検証用試料の分析値が正常である場合)が示されている。
【0072】
上述したように、分析装置200は、1のQC試料を分析した後に、検証用試料または1以上の検体を分析し、さらに、1のQC試料を分析する。図5の例では、QC試料ID=44であるQC試料の分析値が、判断部104(図3参照)により不合格であると判断された場合が示されている。この場合には、判断部104は、不合格であると判断されたQC試料(QC試料ID=44であるQC試料)の直近に分析されたQC試料(QC試料ID=11であるQC試料)の分析以降に分析された検体(ID=12~43,45~50の検体)の分析値は不合格であることを判断する。
【0073】
図5に示すように、サーバ装置100は、検証用試料とは別のQC試料を用いて、検体の分析値が合格であるか否かを判断できる。
【0074】
図6は、検証用試料の分析値が第1範囲に属していない場合(つまり、検証用試料の分析値が異常である場合)が示されている。なお、図6の例では、全てのQC試料の各々の分析値が合格であると判断された場合が示されている。
【0075】
図6に示すように、検証用試料の分析値が第1範囲に属していないことが、判断部104により判断された場合には、判断部104は、分析装置200が異常であることを判断し、サーバ装置100は、サーバ装置100で異常を報知するとともに分析装置200およびクライアント装置300に異常信号を出力する。
【0076】
[サーバ装置による分析装置の管理]
次に、サーバ装置100による分析装置200の管理を説明する。サーバ装置100は、複数の分析装置200mの各々における一連の分析工程における異常の有無を管理するようにしてもよい。図7は、複数の分析装置200mの各々の異常が発生した日を示す図である。図7に示すように、複数の分析装置200の各々には、分析装置IDが設定されている。図7の例では、複数の分析装置200の各々に対して、分析装置IDとして、200A1,200A2,200A3・・・が設定されている。以下では、分析装置IDが複数の分析装置200の各々の参照符号であるとする。サーバ装置100は、図7に示すテーブルを保持する。
【0077】
図7の例では、分析装置200A1の異常が発生した日が、2019年10月13日であることが示されている。また、図7の例では、分析装置200A2には異常が発生していないことが示されている。また、図7の例では、分析装置200A3の異常が発生した日が、2019年2月10日であることが示されている。
【0078】
図7に示すように、サーバ装置100は、複数の分析装置200毎に、該分析装置200の異常が発生したことを記憶する。したがって、サーバ装置100の管理者などは、複数の分析装置200の各々の異常が発生したか否かを把握することができる。なお、図7では示していないが、サーバ装置100は、分析装置毎に、分析装置が出力した検体の分析値を記憶するようにしてもよい。また、サーバ装置100は、QC試料の分析値について合格であるか不合格であるかを記憶するようにしてもよい。
【0079】
[コントローラ150のフローチャート]
図8は、サーバ装置100のコントローラ150のフローチャートの一例である。図8の説明では、検体ID、検証用試料ID、およびQC試料IDを包括的に「N」という。Nは、上述の順序情報に示される数値である。
【0080】
まず、ステップS1において、サーバ装置100が全ての分析値を受信する。次に、ステップS2において、コントローラ150は、Nを初期値(図8の例では、「1」)に設定する。ステップS4において、コントローラ150は、複数の分析値からNに対応する分析値を取得する。ステップS6において、コントローラ150は、Nは、検体IDであるか否かを判断する。Nが検体IDであると判断された場合(ステップS6でYES)、ステップS8において、コントローラ150における判断部104は、第3範囲と、Nに対応する分析値(つまり、検体ID=Nである検体の分析値)に基づいて疾患判定を行う。ステップS10において、コントローラ150は、ステップS8の判定結果を記憶部106に格納する。
【0081】
ステップS12において、コントローラ150は、全ての分析値の全ての判定が終了したか否かを判断する。全ての分析値の判定が終了したと判断された場合には(ステップS12でYES)、ステップS16において、サーバ装置100は、全ての検体の判定結果をクライアント装置300に送信する。一方、全ての分析値の判定が終了していないと判断された場合には(ステップS12でNO)、ステップS14においてコントローラ150は、Nを1インクリメントした後に、処理はステップS6に戻される。
【0082】
Nが検体IDではないと判断された場合(ステップS6でNO)、ステップS18において、コントローラ150は、Nは、検証用試料IDであるか否かを判断する。Nが検証用試料IDであると判断された場合(ステップS18でYES)、ステップS20において、コントローラ150における判断部104は、Nに対応する分析値(つまり、検証用試料の分析値)が第1範囲(図3参照)に属するか否かを判断する。Nに対応する分析値が、第1範囲に属すると判断された場合には(ステップS20でYES)、処理は、ステップS12に進められる。一方、Nに対応する分析値が、第1範囲に属さないと判断された場合には(ステップS20でNO)、処理は、ステップS22に進められる。ステップS22において、コントローラ150は異常を報知する。これとともに、ステップS22において、コントローラ150は、異常信号を分析装置200およびクライアント装置300に送信する。分析装置200は、該分析装置200の異常が発生していることを分析装置200のユーザに通知する。また、クライアント装置300は、該分析装置200の異常が発生していることを医療機関1300の担当者に通知する。その後、処理は終了される。
【0083】
また、Nが検体IDおよび検証用試料IDのいずれでもないと判断された場合(ステップS18でNO)、Nは、QC試料IDであるということである。この場合には、ステップS24において、コントローラ150における判断部104は、Nに対応する分析値(つまり、QC試料の分析値)が第2範囲(図3参照)に属するか否かを判断する。Nに対応する分析値が、第2範囲に属すると判断された場合には(ステップS24でYES)、処理は、ステップS12に進められる。一方、Nに対応する分析値が、第2範囲に属さないと判断された場合には(ステップS24でNO)、処理は、ステップS26に進められる。
【0084】
ステップS26において、コントローラ150は、図5で説明したように、分析値が第2範囲に属していないと判断されたQC試料(図5のID=44のQC試料)の1つ前のQC試料(図5のID=11のQC試料)の分析よりも前に分析された検体(図5のID=2~10の検体)の判定結果をクライアント装置300に送信する。また、ステップS26においては、コントローラ150は、それ以外の検体(つまり、図5のID=12~43、およびID45~49の検体)の分析値は不合格であることを示す情報をクライアント装置300および分析装置200に送信する。クライアント装置300は、この情報に基づいて不合格である検体の検体IDを、医療機関1300の担当者に通知する。
【0085】
図8で説明したように、検証用試料の分析値が、第1範囲に属していないと判断された場合には(ステップS20でYES)、ステップS16の処理が実行されないことから、コントローラ150は、検体の分析結果をクライアント装置300に送信することが規制される。したがって、サーバ装置100は、一連の分析過程の異常が生じた状態で取得した判断結果を、クライアント装置300に送信されることを防止できる。
【0086】
なお、ステップS18で説明したN=検証用試料IDであるか否かの判断において、NOと判断された場合には、コントローラ150は、N=QC試料IDであるか否かの判断を実行するようにしてもよい。この判断において、YESと判断された場合には、処理はステップS24に進められる。一方、この判断において、NOと判断された場合には、サーバ装置100は、エラー報知を実行するようにしてもよい。この判断において、NOと判断された場合とは、サーバ装置100が生成したIDとは異なるIDが分析装置200に送信された場合である。サーバ装置100が生成したIDとは異なるIDが分析装置200に送信されたことが、このエラー報知により、サーバ装置100のユーザに認識させることができる。
[変形例]
(1) 上述の実施の形態では、サーバ装置100からの異常信号の出力先は、分析装置200である構成を説明した。しかしながら、異常信号の出力先は、他の装置としてもよい。たとえば、他の装置は、サービスセンタ1100に設置されている装置としてもよい。この他の装置は、異常信号を受信したときに、分析装置200の異常が発生したことをサービスセンタ1100の担当者などに報知する。サービスセンタ1100の担当者は、分析装置200の異常が発生したことを分析装置200のユーザに電子メールなどにより通知する。
【0087】
(2) 上述の実施の形態では、検体が収容された容器、および検証用試料が収容された容器は、分析装置200のユーザおよび分析装置200が判別できない態様で分析センタ1200に提供される構成を説明した。しかしながら、検体が収容された容器、および検証用試料が収容された容器は、分析装置200のユーザおよび分析装置200の少なくとも一方が判別できる態様で分析センタ1200に提供されるようにしてもよい。
【0088】
(3) 上述の実施の形態では、医療機関1300で、被験者は、検体が採取される構成を説明した(図1など参照)。しかしながら、被験者は被験者自身で検体(たとえば、被験者の痰)を採取するようにしてもよい。この場合には、クライアント装置300は、被験者が保持する装置(たとえば、スマートフォンなど)となる。また、この場合には、検証用試料は、該検証用試料の提供元をダミーの被験者として、分析センタ1200に提供される。
【0089】
また、上述の実施の形態では、サーバ装置100が、検体に対する判断結果をクライアント装置300に送信する構成を説明した。しかしながら、サーバ装置100は、検体に対する判断結果を印刷して、サービスセンタ1100の担当者は、判断結果が印刷された用紙を被験者に郵便などにより通知するようにしてもよい。
【0090】
(4) 上述の実施の形態では、判断部104は、1のQC試料を分析した後に、検証用試料または1以上の検体を分析し、さらに、1のQC試料を分析する構成を説明した。つまり、判断部104は、検証用試料または1以上の検体を分析する期間を「所定期間」とすると、判断部104は、所定期間が経過する毎に、QC試料を分析する。この所定期間は、他の期間としてもよい。所定期間は、たとえば、時間的な期間としてもよい。所定期間は、たとえば、1日としてもよい。
【0091】
(5) 上述の実施の形態では、QC試料の分析値が第2範囲に属するか否かの判断を、サーバ装置100が実行する構成を説明した。このような構成により、サーバ装置100は、検体の分析値の判断、QC試料の分析値の判断、および検証用試料の分析値の判断を一括で実行できる。また、サーバ装置100は、検体の分析値の判断結果、QC試料の分析値の判断結果、および検証用試料の分析値の判断結果を一括で記憶できる。また、QC試料の分析値が第2範囲に属するか否かの判断を、分析装置200が実行するようにしてもよい。このような構成によれば、分析装置200が、QC試料の分析値が第2範囲に属していないと判断した場合には、分析装置200は、異常報知を実行するようにしてもよい。該異常報知が実行されることにより、分析装置200の異常が発生している可能性があることを分析装置200のユーザに即座に認識させることができる。
【0092】
[態様]
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0093】
(第1項)一態様に係る分析システムは、各々が1以上の第1施設により管理されておりかつ被験者の検体を分析する複数の分析装置と、第2施設により管理されておりかつ複数の分析装置と通信可能なサーバ装置とを備え、サーバ装置は、検査項目の第1基準値が定められている第1基準検体を識別するための第1基準検体IDと、該第1基準値に基づく第1範囲とを関連付けて記憶しており、複数の分析装置は、第1基準値が通知されることなく提供された第1基準検体を分析し、第1基準検体の分析値を第1基準検体IDに関連付けて送信し、サーバ装置は、受信した第1基準検体IDに対応する第1範囲に、受信した第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、異常信号を出力する。
【0094】
第1項の分析システムによれば、第1施設で管理されているサーバ装置は、第2施設で管理されている分析装置による第1基準検体の分析値が、第1範囲に属していないことを判断した場合に異常信号を出力することから、第1基準検体の分析値の判断結果に対する分析装置のユーザなどによる不正を行わせることなく分析システムにおける一連の分析過程の異常を検出できる。
【0095】
(第2項)第1項に記載の分析システムにおいて、複数の分析装置は、第1基準検体を、検体とは区別不可能な態様で受ける。
【0096】
第2項の分析システムによれば、分析装置は、検体と第1基準検体との区別ができないことから、ユーザに分析装置の異常の発生の有無の検査を意識させることなく、分析システムにおける一連の分析過程の異常を認識できる。
【0097】
(第3項)第1項または第2項の分析システムにおいて、第1基準検体IDに対応する第1範囲に属していない第1基準検体の分析値を送信した分析装置に異常信号を出力し、分析装置は、異常信号を受信したことに応答して、検体の分析を停止する。
【0098】
第3項の分析システムによれば、分析装置は、分析システムにおける一連の分析過程の異常が発生している状態で分析装置において検体が分析されることを防止できる。
【0099】
(第4項)第1項から第3項のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、分析システムは、分析装置とは異なる分析装置を含み、サーバ装置は、分析装置毎に、該分析装置の異常が発生したことを記憶する。
【0100】
第4項の分析システムによれば、サーバ装置は、分析装置毎に、該分析装置の異常が発生したことを一括的に管理できる。
【0101】
(第5項)第1項から第4項のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、検体と、第1基準検体とは、複数の分析装置に提供される経路が異なる。
【0102】
第5項の分析システムによれば、サーバ装置は、検体とは異なる経路で提供された第1基準検体を用いて分析システムにおける一連の分析過程の異常を判断できることから、客観的な判断を行うことができる。
【0103】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、第1基準検体は、分析装置のメーカで製造される。
【0104】
第6項の分析システムによれば、サーバ装置は、分析装置のメーカが製造した第1基準検体の分析値を用いて分析装置の異常が発生していることを判断できることから、分析装置のメーカは、分析装置のメーカを主体とした分析システムを提供できる。
【0105】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、複数の分析装置は、検体を分析し、検体を識別するための検体IDと関連付けて、検体の分析値をサーバ装置に送信し、サーバ装置は、受信した第1基準検体IDに対応する第1範囲に、受信した第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合、検体の分析結果を被験者に通知することを規制する。
【0106】
第7項の分析システムによれば、一連の分析過程の異常が生じた状態で取得した判断結果を、クライアント装置300に送信されることを防止できる。
【0107】
(第8項)第1項~第7項のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、サーバ装置は、検査項目の第2基準値が定められている第2基準検体を識別するための第2基準検体IDと、該第2基準値に基づく第2範囲とを関連付けて記憶しており、複数の分析装置は、第2基準値が通知されて提供された第2基準検体を分析し、第2基準検体の分析値を第2基準検体IDに関連付けて送信し、サーバ装置は、受信した第2基準検体IDに対応する第2範囲に、受信した第2基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、当該第2基準検体の直近の第2基準検体が分析されたとき以降に分析された検体の分析値は不合格であることを判断する。
【0108】
第8項の分析システムによれば、第1基準試料とは別の第2基準試料を用いて、検体の分析値の精度を検査することができる。
【0109】
(第9項)第1項~第8項のいずれか1項に記載の分析システムに含まれるサーバ装置。
【0110】
第9項のサーバ装置によれば、サーバ装置は、検査項目の第1基準値が定められている第1基準検体の分析値が、該第1基準値に基づく第1範囲に属していないことを判断した場合に、異常信号を出力することから、分析装置のユーザなどは、分析システムにおける一連の分析過程の異常を認識できる。
【0111】
(第10項)一態様に係る制御方法は、サーバ装置の制御方法であって、サーバ装置は、各々が1以上の第1施設に管理されておりかつ被験者の検体を分析する複数の分析装置と通信可能であり、検査項目の第1基準値が定められている第1基準検体を識別するための第1基準検体IDと、該第1基準値に基づく第1範囲とを関連付けて記憶しており、第2施設により管理されており、制御方法は、第1基準検体IDと、該第1基準検体IDが関連付けられた第1基準検体の分析値とを受信するステップと、受信した第1基準検体IDに対応する第1範囲に、受信した第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、異常信号を出力するステップとを備える。
【0112】
第10項の制御方法によれば、第1施設で管理されているサーバ装置は、第2施設で管理されている分析装置による第1基準検体の分析値が、第1範囲に属していないことを判断した場合に異常信号を出力することから、第1基準検体の分析値の判断結果に対する分析装置のユーザなどによる不正を行わせることなく分析システムにおける一連の分析過程の異常を検出できる。
【0113】
(第11項)一態様に係る制御方法は、コンピュータを制御するプログラムであって、コンピュータは、各々が1以上の第1施設に管理されておりかつ被験者の検体を分析する複数の分析装置と通信可能であり、検査項目の第1基準値が定められている第1基準検体を識別するための第1基準検体IDと、該第1基準値に基づく第1範囲とを関連付けて記憶しており、第2施設により管理されており、プログラムは、コンピュータに、第1基準検体IDと、該第1基準検体IDが関連付けられた第1基準検体の分析値とを受信するステップと、受信した第1基準検体IDに対応する第1範囲に、受信した第1基準検体の分析値が属していないことを判断した場合に、異常信号を出力するステップとを実行させる。
【0114】
第11項の制御プログラムによれば、第1施設で管理されているコンピュータは、第2施設で管理されている分析装置による第1基準検体の分析値が、第1範囲に属していないことを判断した場合に異常信号を出力することから、第1基準検体の分析値の判断結果に対する分析装置のユーザなどによる不正を行わせることなく分析システムにおける一連の分析過程の異常を検出できる。
【0115】
今回開示された各実施の形態は、技術的に矛盾しない範囲で適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本実施の形態の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均などの意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
100 サーバ装置、102 入力部、104 判断部、106 記憶部、112,204 出力部、150 コントローラ、162 ROM、164 RAM、200 分析装置、202 分析部、300 クライアント装置、400 製造メーカ、500 分析システム、550 ネットワーク、1068 テーブル、1100 サービスセンタ、1200 分析センタ、1300 医療機関。
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