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特許7420023慣性センサ較正装置および慣性センサ較正プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】慣性センサ較正装置および慣性センサ較正プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20240116BHJP
   G01S 19/54 20100101ALI20240116BHJP
   G01P 21/00 20060101ALI20240116BHJP
   G01C 19/00 20130101ALI20240116BHJP
【FI】
G01C21/28
G01S19/54
G01P21/00
G01C19/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020148868
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043546
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宝地 卓
(72)【発明者】
【氏名】武藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕也
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-122921(JP,A)
【文献】特開平09-154308(JP,A)
【文献】特開2007-163335(JP,A)
【文献】特開2008-116370(JP,A)
【文献】特開2014-228495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G01S 5/00 - 5/14
G01S 19/00 - 19/55
G01P 7/00 - 11/02
G01P 21/00 - 21/02
G01C 19/00 - 19/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて前記車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)と、
前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)と、
前記誤差推定部によって推定された前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)と、
を備え
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の前記車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した前記車両の姿勢に関する値を予測した値と、前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)を推定するとともに、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)と、推定した現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定する慣性センサ較正装置。
【請求項2】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて前記車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)と、
前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)と、
前記誤差推定部によって推定された前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)と、
を備え、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記角速度誤差に関する値(εΩ)は、前記車両の角速度が変化するときに前記慣性センサによって検出される前記車両の角速度の変化に関する値(εφφ、εψψ、εθθ、εψφ、εθφ、εφψ、εθψ、εφθ、εψθ)または前記車両が停止しているときの前記慣性センサによって検出される前記車両の角速度に関する値(εφ0、εψ0、εθ0)を含み、
前記誤差推定部は、現時点より前の前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて現時点の前記角速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した前記角速度誤差に関する値を予測した値と、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、現時点の前記角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する慣性センサ較正装置。
【請求項3】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて前記車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)と、
前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)と、
前記誤差推定部によって推定された前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)と、
を備え、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記慣性センサ較正装置は、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)をさらに備え、
前記較正部は、前記位置判定部によって前記参照用受信部、前記第1受信部および前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、前記慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正装置。
【請求項4】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、
を備え
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の前記車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した前記車両の姿勢に関する値を予測した値と、前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する慣性センサ較正装置。
【請求項5】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、
を備え、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記加速度誤差に関する値(εA)は、前記車両の加速度が変化するときに前記慣性センサによって検出される前記車両の加速度の変化に関する値(εxx、εyy、εzz、εyx、εzx、εxy、εzy、εxz、εyz)または前記車両が停止しているときの前記慣性センサによって検出される前記車両の加速度に関する値(εx0、εy0、εz0)を含み、
前記誤差推定部は、現時点より前の前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて現時点の前記加速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した前記加速度誤差に関する値を予測した値と、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、現時点の前記加速度誤差に関する値(εA)を推定する慣性センサ較正装置。
【請求項6】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、
を備え、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記慣性センサ較正装置は、前記車両が停止しているか否かを判定する停止判定部(S300)をさらに備え、
前記較正部は、前記車両が停止しているとき、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正し、
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)と、現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定し、
前記慣性センサ較正装置は、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて、前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)を推定する角速度推定部(S210)をさらに備え、
前記停止判定部は、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値未満であるとき、前記車両が停止していると判定し、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が前記閾値以上であるとき、前記車両が停止していないと判定する慣性センサ較正装置。
【請求項7】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、
を備え、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記慣性センサ較正装置は、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)をさらに備え、
前記較正部は、前記位置判定部によって前記参照用受信部、前記第1受信部および前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、前記慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正装置。
【請求項8】
前記慣性センサ較正装置は、前記車両が停止しているか否かを判定する停止判定部(S300)をさらに備え、
前記較正部は、前記車両が停止しているとき、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する請求項4、5、7のいずれか1つに記載の慣性センサ較正装置。
【請求項9】
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)と、現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定し、
前記慣性センサ較正装置は、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて、前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)を推定する角速度推定部(S210)をさらに備え、
前記停止判定部は、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値未満であるとき、前記車両が停止していると判定し、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が前記閾値以上であるとき、前記車両が停止していないと判定する請求項に記載の慣性センサ較正装置。
【請求項10】
前記慣性センサ較正装置は、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)をさらに備え、
前記較正部は、前記位置判定部によって前記参照用受信部、前記第1受信部および前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、前記慣性センサの較正を行う請求項1、2、4、5、6のいずれか1つに記載の慣性センサ較正装置。
【請求項11】
前記慣性センサ較正装置は、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両のヨー角に関する値(θ)を推定する変換部(S106)と、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)により前記参照用受信部の速度(Vref)を算出し、前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)により前記第1受信部の速度(V1)を算出し、前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)により前記第2受信部の速度(V2)を算出する速度算出部(S110)と、
前記参照用受信部の速度(Vref)と、前記第1受信部の速度(V1)と、前記第2受信部の速度(V2)とに基づいて、前記車両のヨー角に関する値(θe)を推定するヨー角推定部(S112)と、
をさらに備え、
前記位置判定部は、前記変換部によって推定された前記車両のヨー角に関する値(θ)と、前記ヨー角推定部によって推定された前記車両のヨー角に関する値(θe)とに基づいて、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する請求項3、7、10のいずれか1つに記載の慣性センサ較正装置。
【請求項12】
前記慣性センサ較正装置は、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両のヨー角に関する値(θ)を推定する変換部(S106)と、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)による前記参照用受信部の速度(Vref)、前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)による前記第1受信部の速度(V1)および前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)による前記第2受信部の速度(V2)のうちいずれかを算出する速度算出部(S110)と、
前記参照用受信部の速度(Vref)、前記第1受信部の速度(V1)および前記第2受信部の速度(V2)のうちいずれかに基づいて、前記車両のヨー角に関する値(θe)を推定するヨー角推定部(S112)と、
をさらに備え、
前記位置判定部は、前記変換部によって推定された前記車両のヨー角に関する値(θ)と、前記ヨー角推定部によって推定された前記車両のヨー角に関する値(θe)とに基づいて、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する請求項3、7、10のいずれか1つに記載の慣性センサ較正装置。
【請求項13】
前記慣性センサ較正装置は、
前記車両の速さ(Vc)が前記車両の速さに関する閾値(Vc_th)以上であるか否かを判定する速度判定部(S108)をさらに備え、
前記位置判定部は、前記速度判定部によって前記車両の速さ(Vc)が前記車両の速さに関する閾値(Vc_th)以上であると判定されているとき、前記参照用受信部、前記第1受信部および前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する請求項3、7、10、11、12のいずれか1つに記載の慣性センサ較正装置。
【請求項14】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて前記車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)、
前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)として、機能させ
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の前記車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した前記車両の姿勢に関する値を予測した値と、前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)を推定するとともに、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)と、推定した現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定する慣性センサ較正プログラム。
【請求項15】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて前記車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)、
前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)として、機能させ、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記角速度誤差に関する値(εΩ)は、前記車両の角速度が変化するときに前記慣性センサによって検出される前記車両の角速度の変化に関する値(εφφ、εψψ、εθθ、εψφ、εθφ、εφψ、εθψ、εφθ、εψθ)または前記車両が停止しているときの前記慣性センサによって検出される前記車両の角速度に関する値(εφ0、εψ0、εθ0)を含み、
前記誤差推定部は、現時点より前の前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて現時点の前記角速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した前記角速度誤差に関する値を予測した値と、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、現時点の前記角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する慣性センサ較正プログラム。
【請求項16】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて前記車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)、
前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(Ωe)と前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)として、機能させ、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記慣性センサ較正装置を、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)として機能させ、
前記較正部は、前記位置判定部によって前記参照用受信部、前記第1受信部および前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、前記慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正プログラム。
【請求項17】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の前記車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した前記車両の姿勢に関する値を予測した値と、前記第1相対位置(P1)と、前記第2相対位置(P2)とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する慣性センサ較正プログラム。
【請求項18】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記加速度誤差に関する値(εA)は、前記車両の加速度が変化するときに前記慣性センサによって検出される前記車両の加速度の変化に関する値(εxx、εyy、εzz、εyx、εzx、εxy、εzy、εxz、εyz)または前記車両が停止しているときの前記慣性センサによって検出される前記車両の加速度に関する値(εx0、εy0、εz0)を含み、
前記誤差推定部は、現時点より前の前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて現時点の前記加速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した前記加速度誤差に関する値を予測した値と、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、現時点の前記加速度誤差に関する値(εA)を推定する慣性センサ較正プログラム。
【請求項19】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記慣性センサ較正装置を、前記車両が停止しているか否かを判定する停止判定部(S300)として機能させ、
前記較正部は、前記車両が停止しているとき、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正し、
前記姿勢推定部は、現時点より前の前記車両の姿勢に関する値(q)と、現時点の前記車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定し、
前記慣性センサ較正装置を、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)と、前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて、前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)を推定する角速度推定部(S210)として機能させ、
前記停止判定部は、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値未満であるとき、前記車両が停止していると判定し、前記角速度推定部によって推定された前記車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が前記閾値以上であるとき、前記車両が停止していないと判定する慣性センサ較正プログラム。
【請求項20】
測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える前記車両に用いられる慣性センサ較正装置を、
前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、前記参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と前記第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて前記参照用受信部の位置に対する前記第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、
前記第1相対位置と、前記第2相対位置とに基づいて、前記車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、
前記姿勢推定部によって推定された前記車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、前記車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、
前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、前記加速度推定部によって推定された前記車両の加速度に関する値(Ae)と前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、
前記誤差推定部によって推定された前記加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、前記慣性センサによって検出された前記車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、
前記第1受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも左後側に配置されており、
前記第2受信部は、前記車両において前記参照用受信部よりも右後側に配置されており、
前記慣性センサ較正装置を、前記参照用受信部、前記第1受信部または前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)として機能させ、
前記較正部は、前記位置判定部によって前記参照用受信部、前記第1受信部および前記第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、前記慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、慣性センサ較正装置および慣性センサ較正プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、車両の加速度センサを較正する較正装置が知られている。この較正装置は、車両の基準位置と停止位置が一致し、かつ、車両の基準方向と停止方向とが一致するときに、加速度センサを較正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-132378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される較正装置は、車両が予め設定された場所および方向に配置されるときに、加速度センサを較正する。このため、この較正装置は、例えば、車両の走行中に加速度センサを較正できない。また、加速度センサに加えて、車両の角速度を検出するジャイロセンサを較正する場合がある。この場合、この較正装置は、上記したように車両が予め設定された場所および方向に配置されたときに較正を行うため、車両の走行中にジャイロセンサを較正できない。
【0005】
本開示は、車両が停止中および走行中のいずれであっても、車両の加速度および角速度を検出する慣性センサを較正できる慣性センサ較正装置および慣性センサ較正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)と、車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)と、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)と、
誤差推定部によって推定された角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、姿勢推定部は、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した車両の姿勢に関する値を予測した値と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて現時点の車両の姿勢に関する値(q)を推定するとともに、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)と、推定した現時点の車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定する慣性センサ較正装置である。
また、請求項2に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)と、車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)と、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)と、誤差推定部によって推定された角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、角速度誤差に関する値(εΩ)は、車両の角速度が変化するときに慣性センサによって検出される車両の角速度の変化に関する値(εφφ、εψψ、εθθ、εψφ、εθφ、εφψ、εθψ、εφθ、εψθ)または車両が停止しているときの慣性センサによって検出される車両の角速度に関する値(εφ0、εψ0、εθ0)を含み、誤差推定部は、現時点より前の角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて現時点の角速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した角速度誤差に関する値を予測した値と、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、現時点の角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する慣性センサ較正装置である。
さらに、請求項3に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)と、車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)と、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)と、誤差推定部によって推定された角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、慣性センサ較正装置は、参照用受信部、第1受信部または第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)をさらに備え、較正部は、位置判定部によって参照用受信部、第1受信部および第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正装置である。
【0007】
請求項4に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、姿勢推定部は、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した車両の姿勢に関する値を予測した値と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する慣性センサ較正装置である。
また、請求項5に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、加速度誤差に関する値(εA)は、車両の加速度が変化するときに慣性センサによって検出される車両の加速度の変化に関する値(εxx、εyy、εzz、εyx、εzx、εxy、εzy、εxz、εyz)または車両が停止しているときの慣性センサによって検出される車両の加速度に関する値(εx0、εy0、εz0)を含み、誤差推定部は、現時点より前の加速度誤差に関する値(εA)に基づいて現時点の加速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した加速度誤差に関する値を予測した値と、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、現時点の加速度誤差に関する値(εA)を推定する慣性センサ較正装置である。
さらに、請求項6に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、慣性センサ較正装置は、車両が停止しているか否かを判定する停止判定部(S300)をさらに備え、較正部は、車両が停止しているとき、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正し、姿勢推定部は、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)と、現時点の車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定し、慣性センサ較正装置は、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて、車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)を推定する角速度推定部(S210)をさらに備え、停止判定部は、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値未満であるとき、車両が停止していると判定し、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値以上であるとき、車両が停止していないと判定する慣性センサ較正装置である。
また、請求項7に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置であって、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)と、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)と、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)と、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)と、を備え、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、慣性センサ較正装置は、参照用受信部、第1受信部または第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)をさらに備え、較正部は、位置判定部によって参照用受信部、第1受信部および第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正装置である。
【0008】
請求項14に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)と、車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)、および、誤差推定部によって推定された角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、姿勢推定部は、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した車両の姿勢に関する値を予測した値と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて現時点の車両の姿勢に関する値(q)を推定するとともに、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)と、推定した現時点の車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定する慣性センサ較正プログラムである。
また、請求項15に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)と、車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)、および、誤差推定部によって推定された角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、角速度誤差に関する値(εΩ)は、車両の角速度が変化するときに慣性センサによって検出される車両の角速度の変化に関する値(εφφ、εψψ、εθθ、εψφ、εθφ、εφψ、εθψ、εφθ、εψθ)または車両が停止しているときの慣性センサによって検出される車両の角速度に関する値(εφ0、εψ0、εθ0)を含み、誤差推定部は、現時点より前の角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて現時点の角速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した角速度誤差に関する値を予測した値と、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、現時点の角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する慣性センサ較正プログラムである。
さらに、請求項16に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の角速度(Ωc)を検出する慣性センサ(20)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)を算出する位置算出部(S206)、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)と、車両の姿勢変化に関する値(Δq)とを推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて車両の角速度に関する値(Ωe)を推定する角速度推定部(S210)、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)とに基づいて、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(Ωe)と慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)との誤差である角速度誤差に関する値(εΩ)を推定する誤差推定部(S212)、および、誤差推定部によって推定された角速度誤差に関する値(εΩ)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の角速度に関する値(Ωc)を較正する較正部(S214)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、慣性センサ較正装置を、参照用受信部、第1受信部または第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)として機能させ、較正部は、位置判定部によって参照用受信部、第1受信部および第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正プログラムである。
【0009】
請求項17に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、姿勢推定部は、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)に基づいて現時点の車両の姿勢に関する値を予測した値を算出して、算出した車両の姿勢に関する値を予測した値と、第1相対位置(P1)と、第2相対位置(P2)とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する慣性センサ較正プログラムである。
また、請求項18に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、加速度誤差に関する値(εA)は、車両の加速度が変化するときに慣性センサによって検出される車両の加速度の変化に関する値(εxx、εyy、εzz、εyx、εzx、εxy、εzy、εxz、εyz)または車両が停止しているときの慣性センサによって検出される車両の加速度に関する値(εx0、εy0、εz0)を含み、誤差推定部は、現時点より前の加速度誤差に関する値(εA)に基づいて現時点の加速度誤差に関する値を予測した値を算出して、算出した加速度誤差に関する値を予測した値と、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、現時点の加速度誤差に関する値(εA)を推定する慣性センサ較正プログラムである。
さらに、請求項19に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、慣性センサ較正装置を、車両が停止しているか否かを判定する停止判定部(S300)として機能させ、較正部は、車両が停止しているとき、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正し、姿勢推定部は、現時点より前の車両の姿勢に関する値(q)と、現時点の車両の姿勢に関する値(q)とに基づいて現時点の車両の姿勢変化に関する値(Δq)を推定し、慣性センサ較正装置を、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)と、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢変化に関する値(Δq)とに基づいて、車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)を推定する角速度推定部(S210)として機能させ、
停止判定部は、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値未満であるとき、車両が停止していると判定し、角速度推定部によって推定された車両の角速度に関する値(ωeφ、ωeψ、ωeθ)が閾値以上であるとき、車両が停止していないと判定する慣性センサ較正プログラムである。
また、請求項20に記載の発明は、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの参照用受信部(10)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第1受信部(11)と、測位衛星からの信号を受信する少なくとも1つの第2受信部(12)と、車両(1)の加速度(Ac)を検出する慣性センサ(40)とを備える車両に用いられる慣性センサ較正装置を、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第1受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D1)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第1受信部の相対位置である第1相対位置(P1)を算出するとともに、参照用受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(Dref)と第2受信部が測位衛星から受信した信号に基づくデータ(D2)とに基づいて参照用受信部の位置に対する第2受信部である第2相対位置(P2)とを算出する位置算出部(S206)、第1相対位置と、第2相対位置とに基づいて、車両の姿勢に関する値(q)を推定する姿勢推定部(S208)、姿勢推定部によって推定された車両の姿勢に関する値(q)に基づいて、車両の加速度に関する値(Ae)を推定する加速度推定部(S216)、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)とに基づいて、加速度推定部によって推定された車両の加速度に関する値(Ae)と慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)との誤差である加速度誤差に関する値(εA)を推定する誤差推定部(S218)、および、誤差推定部によって推定された加速度誤差に関する値(εA)に基づいて、慣性センサによって検出された車両の加速度に関する値(Ac)を較正する較正部(S220)として、機能させ、第1受信部は、車両において参照用受信部よりも左後側に配置されており、第2受信部は、車両において参照用受信部よりも右後側に配置されており、慣性センサ較正装置を、参照用受信部、第1受信部または第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレているか否かを判定する位置判定部(S114、S116、S118)として機能させ、較正部は、位置判定部によって参照用受信部、第1受信部および第2受信部の位置が予め設定された位置に対してズレていないと判定されるとき、慣性センサの較正を行う、慣性センサ較正プログラムである。
【0010】
第1相対位置は、車両に配置される参照用受信部に対する第1受信部の相対位置である。また、第2相対位置は、車両に配置される参照用受信部に対する第2受信部の相対位置である。このため、第1相対位置および第2相対位置は、車両が停止中および走行中のいずれであっても変化しない。これにより、車両が停止中および走行中のいずれであっても、較正装置は、第1相対位置と第2相対位置とに基づいて車両の姿勢に関する値を推定できる。このため、車両が停止中および走行中のいずれであっても、較正装置は、この推定した車両の姿勢に関する値に基づいて慣性センサを較正できる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の較正装置のブロック図。
図2】較正装置が用いられる車両の上面図。
図3】較正装置が受信機の位置ズレを検出する処理を示すフローチャート。
図4】較正装置が慣性センサを較正する処理を示すフローチャート。
図5】変形例の較正装置のブロック図。
図6】較正装置が慣性センサを較正する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
較正装置50は、慣性センサ較正装置であって、例えば、車両1に用いられる。まず、この車両1について説明する。
【0015】
車両1は、図1に示すように、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11、第2GNSS受信機12、ジャイロセンサ20、車速センサ30、加速度センサ40および較正装置50を備えている。
【0016】
参照用GNSS受信機10は、参照用受信部に対応しており、図2に示すように、車両1に配置されている。また、参照用GNSS受信機10は、図示しない複数の測位衛星からの信号を受信する。さらに、参照用GNSS受信機10は、図1に示すように、この受信した信号に基づいて、参照用データDrefを後述の較正装置50に送信する。なお、参照用データDrefは、例えば、時刻に対する測位衛星からの搬送波の波数および位相ならびにエフェメリス等を含む。また、エフェメリスは、測位衛星の軌道情報である。
【0017】
第1GNSS受信機11は、第1受信部に対応しており、図2に示すように、車両1において参照用GNSS受信機10よりも左後側に配置されている。また、第1GNSS受信機11は、参照用GNSS受信機10と同様に、図示しない複数の測位衛星からの信号を受信する。さらに、第1GNSS受信機11は、図1に示すように、この受信した信号に基づいて、第1データD1を後述の較正装置50に送信する。なお、第1データD1は、例えば、時刻に対する測位衛星からの搬送波の波数および位相ならびにエフェメリス等を含む。
【0018】
第2GNSS受信機12は、第2受信部に対応しており、図2に示すように、車両1において参照用GNSS受信機10よりも右後側に配置されている。また、第2GNSS受信機12は、参照用GNSS受信機10および第1GNSS受信機11と同様に、図示しない複数の測位衛星から信号を受信する。さらに、第2GNSS受信機12は、図1に示すように、この受信した信号に基づいて、第2データD2を後述の較正装置50に送信する。なお、第2データD2は、例えば、時刻に対する測位衛星からの搬送波の波数および位相ならびにエフェメリス等を含む。また、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12に用いられる測位衛星は、例えば、GPS衛星、GLONASS衛星、Galileo衛星および準天頂衛星等である。
【0019】
ジャイロセンサ20は、慣性センサに対応しており、図1に示すように、車両1の検出角速度Ωcに応じた信号を後述の較正装置50に送信する。
【0020】
車速センサ30は、車速Vcに応じた信号を後述の較正装置50に送信する。なお、ここでは、車速Vcは、車両1の速さの大きさである。
【0021】
加速度センサ40は、慣性センサに対応しており、車両1の検出加速度Acに応じた信号を後述の較正装置50に送信する。
【0022】
較正装置50は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えるマイクロコンピュータである。また、RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。さらに、CPUは、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。また、較正装置50は、このCPUのプログラムの実行により、ジャイロセンサ20および加速度センサ40を較正する。さらに、較正装置50は、後述するように、上記較正プログラムとは別のプログラムの実行により、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレを検出する。なお、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレとは、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の予め設定された位置関係に対するズレである。
【0023】
また、較正装置50は、相対位置算出部51、姿勢推定部52、オイラー角変換部53および位置ズレ検出部54を機能ブロックとして有する。さらに、較正装置50は、角速度推定部55、角速度誤差推定部56、ジャイロ較正部57、加速度推定部58、加速度誤差推定部59および加速度較正部60を機能ブロックとして有する。
【0024】
相対位置算出部51は、参照用GNSS受信機10の参照用データDrefおよび第1GNSS受信機11の第1データD1に基づいて、第1相対位置ベクトルP1を算出する。また、相対位置算出部51は、参照用GNSS受信機10の参照用データDrefおよび第2GNSS受信機12の第2データD2に基づいて、第2相対位置ベクトルP2を算出する。なお、第1相対位置ベクトルP1は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルである。また、第2相対位置ベクトルP2は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルである。さらに、絶対座標系Σoは、図2に示すように、車両1の外部の空間に固定されている座標系である。また、絶対座標系ΣoにおけるXo軸、Yo軸、Zo軸は、互いに直交する。さらに、この絶対座標系Σoは、右手系で表されている。
【0025】
姿勢推定部52は、カルマンフィルタを用いて、相対位置算出部51によって算出された第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2に基づいて、車両1の姿勢量qを推定する。また、姿勢推定部52は、この推定した姿勢量qに基づいて、姿勢変化量Δqを推定する。この車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqの推定の詳細については、後述する。
【0026】
オイラー角変換部53は、姿勢推定部52に推定された姿勢量qに基づいて、車両1のロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θを算出する。
【0027】
ここで、図2に示すように、車両1内の所定の位置を原点とする座標系を車両座標系Σとする。例えば、車両1内の所定の位置は、車両1の重心である。また、車両1の前方を車両座標系ΣにおけるX軸の正方向とする。さらに、車両1の左方を車両座標系ΣにおけるY軸の正方向とする。また、車両1の上方を車両座標系ΣにおけるZ軸の正方向とする。したがって、ここでは、車両座標系Σは、右手系で表されている。
【0028】
また、ロール角φは、車両座標系ΣにおけるX軸周りの回転角である。さらに、車両座標系Σの原点からX軸の正方向を見たときの時計回り方向を、ロール角φの正方向とする。また、ピッチ角ψは、車両座標系ΣにおけるY軸周りの回転角である。さらに、車両座標系Σの原点からY軸の正方向を見たときの時計回り方向を、ピッチ角ψの正方向とする。また、ヨー角θは、車両座標系ΣにおけるZ軸周りの回転角である。さらに、車両座標系Σの原点からZ軸の正方向を見たときの時計回り方向を、ヨー角θの正方向とする。また、ここでは、ロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θは、Z軸周り、Y軸周り、X軸周りの順番で回転させるZYXオイラー角と同義である。これらのロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θの算出の詳細については、後述する。
【0029】
位置ズレ検出部54は、速度判定部、速度算出部、ヨー角推定部および位置判定部に対応する。位置ズレ検出部54は、オイラー角変換部53によって算出されたヨー角θおよび車速センサ30によって検出された車速Vcに基づいて、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているか否かを検出する。この参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレの検出の詳細については、後述する。
【0030】
角速度推定部55は、姿勢推定部52によって推定された姿勢量qおよび姿勢変化量Δqに基づいて、車両1の推定角速度Ωeを算出する。この推定角速度Ωeの推定の詳細については、後述する。
【0031】
角速度誤差推定部56は、角速度推定部55による推定角速度Ωeおよびジャイロセンサ20による検出角速度Ωcに基づいて、車両1の角速度誤差εΩを推定する。また、ここでは、この角速度誤差εΩは、角速度推定部55による推定角速度Ωeとジャイロセンサ20による検出角速度Ωcとの誤差である。また、角速度誤差εΩは、後述するように、車両1の角速度が変化するときにジャイロセンサ20による検出角速度Ωcの変化に関する値または車両1が停止しているときのジャイロセンサ20による検出角速度Ωcに関する値を含む。この角速度誤差εΩの推定の詳細については、後述する。
【0032】
ジャイロ較正部57は、角速度誤差推定部56によって推定された角速度誤差εΩに基づいて、ジャイロセンサ20による検出角速度Ωcを較正する。この検出角速度Ωcの較正の詳細については、後述する。
【0033】
加速度推定部58は、姿勢推定部52に推定された姿勢量qに基づいて、車両1の推定加速度Aeを算出する。この推定加速度Aeの推定の詳細については、後述する。
【0034】
加速度誤差推定部59は、加速度推定部58による推定加速度Aeおよび加速度センサ40による検出加速度Acに基づいて、車両1の加速度誤差εAを推定する。また、ここでは、この加速度誤差εAは、加速度推定部58による推定加速度Aeと加速度センサ40による検出加速度Acとの誤差である。また、加速度誤差εAは、後述するように、車両1の加速度が変化するときに加速度センサ40による検出加速度Acの変化に関する値または車両1が停止しているときの加速度センサ40による検出加速度Acに関する値を含む。この加速度誤差εAの推定の詳細については、後述する。
【0035】
加速度較正部60は、加速度誤差推定部59によって推定された加速度誤差εAに基づいて、加速度センサ40による検出加速度Acを較正する。この検出加速度Acの較正の詳細については、後述する。
【0036】
以上のように、車両1は構成されている。この車両1に搭載されている較正装置50は、ジャイロセンサ20および加速度センサ40を較正する。また、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレを検出する。
【0037】
次に、較正装置50の位置ズレプログラムの実行による参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレの検出について、図3のフローチャートを参照して説明する。例えば、車両1のイグニッションがオンされるとき、この位置ズレ検出プログラムは、実行される。以下では、較正装置50のステップS100の処理が開始されてからステップS100の処理に戻るまでの一連の動作の期間を、較正装置50による位置ズレ検出の制御周期とする。
【0038】
ステップS100において、較正装置50は、各種情報を取得する。
【0039】
具体的には、較正装置50は、参照用データDrefを参照用GNSS受信機10から取得する。また、較正装置50は、第1データD1を第1GNSS受信機11から取得する。さらに、較正装置50は、第2データD2を第2GNSS受信機12から取得する。また、較正装置50は、車速Vcを車速センサ30から取得する。
【0040】
続いて、ステップS102において、較正装置50は、第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2を算出する。
【0041】
例えば、較正装置50は、ステップS100にて取得した参照用データDrefおよび第1データD1における同時刻の搬送波の波数および位相を用いて、Moving Baseline RTK方式により第1相対位置ベクトルP1を算出する。また、較正装置50は、ステップS100にて取得した参照用データDrefおよび第2データD2における同時刻の搬送波の波数および位相を用いて、Moving Baseline RTK方式により第2相対位置ベクトルP2を算出する。なお、RTKとは、Real Time Kinematicの略である。
【0042】
続いて、ステップS104において、較正装置50は、ステップS102にて算出した第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2に基づいて、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを推定する。この車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqの推定の詳細については、後述する。
【0043】
続いて、ステップS106において、較正装置50は、ステップS104にて推定した姿勢量qに基づいて、車両1のロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θを算出する。この車両1のロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θの算出の詳細については、後述する。
【0044】
ここで、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12は、車両1に配置されている。このため、車速Vcが大きくなるにつれて、後述する参照用GNSS受信機10の速度、第1GNSS受信機11の速度および第2GNSS受信機12の速度は、大きくなる。また、これらの速度が大きくなるにつれて、その速度の値が安定するため、これらの速度を算出する精度が高くなる。さらに、これにより、後述する推定ヨー角θeを算出する精度が向上する。
【0045】
したがって、ステップS106に続くステップS108において、較正装置50は、ステップS100にて取得した車速Vcが車速閾値Vc_th以上であるか否かを判定する。これにより、較正装置50は、後述する速度および推定ヨー角θeの算出精度が高い状態にあるか否かを判定する。なお、車速閾値Vc_thは、実験やシミュレーション等により設定される。また、上記したように、車速Vcは、車両1の速さの大きさである。
【0046】
そして、車速Vcが車速閾値Vc_th以上であるとき、処理は、ステップS110に移行する。また、車速Vcが車速閾値Vc_th未満であるとき、上記算出精度は、低い状態にある。このため、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレの検出をしないで、処理は、ステップS100に戻る。
【0047】
ステップS108に続くステップS110において、較正装置50は、上記算出精度が高い状態であるため、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2を算出する。例えば、較正装置50は、図示しない測位衛星からの搬送波のドップラー効果を用いて、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2を算出する。なお、参照用受信機速度Vrefは、絶対座標系Σoにおける参照用GNSS受信機10の速度ベクトルである。また、第1受信機速度V1は、絶対座標系Σoにおける第1GNSS受信機11の速度ベクトルである。さらに、第2受信機速度V2は、絶対座標系Σoにおける第2GNSS受信機12の速度ベクトルである。
【0048】
具体的には、較正装置50は、ステップS100にて取得した参照用データDrefに含まれる測位衛星からの搬送波の波数に基づいて、この搬送波の波長および周波数を算出する。また、較正装置50は、ステップS100にて取得した参照用データDrefに含まれるエフェメリスに基づいて、測位衛星の速度を算出する。さらに、較正装置50は、上記算出した搬送波の周波数と、上記算出した測位衛星の速度と、測位衛星から送信される搬送波の周波数と、光速とに基づいて、参照用受信機速度Vrefを算出する。また、較正装置50は、上記と同様に、第1受信機速度V1を算出する。さらに、較正装置50は、上記と同様に、第2受信機速度V2を算出する。なお、上記したように、エフェメリスは、測位衛星の軌道情報である。また、測位衛星から送信される搬送波の周波数は、測位衛星に応じて設定される。
【0049】
続いて、ステップS112において、較正装置50は、ステップS110にて算出した参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2の平均値を算出する。これにより、較正装置50は、絶対座標系Σoにおける車両1の平均速度Vc_aveを算出する。また、これらの平均値が算出されていることにより、平均速度Vc_aveに含まれるノイズは、平滑される。このため、平均速度Vc_aveに含まれるノイズは、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2のいずれかを車両1の推定速度の代表とする場合と比較して低減される。
【0050】
さらに、較正装置50は、例えば、この算出した平均速度Vc_aveのXo軸方向の成分およびYo軸方向の成分を以下関係式(1)に代入する。これにより、較正装置50は、車両1の推定ヨー角θeを推定する。なお、以下関係式(1)において、Vc_ave_Xoは、平均速度Vc_aveのうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分である。また、Vc_ave_Yoは、平均速度Vc_aveのうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分である。
【0051】
【数1】
【0052】
続いて、ステップS114において、較正装置50は、ステップS106にて算出したヨー角θとステップS112にて算出した推定ヨー角θeとの差の絶対値|θ-θe|を算出する。
【0053】
ここで、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置がズレていないとき、ステップS106にて算出されるヨー角θとステップS112にて算出される推定ヨー角θeとは、同じはずである。
【0054】
また、上記したように、ステップS106にて算出されるヨー角θは、ステップS104にて推定される車両1の姿勢量qに基づいて、算出される。さらに、この車両1の姿勢量qは、ステップS102にて算出された第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2に基づいて、算出される。なお、上記したように、第1相対位置ベクトルP1は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルである。また、第2相対位置ベクトルP2は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルである。
【0055】
したがって、ステップS106にて算出されるヨー角θは、ステップS102にて算出された第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2に基づいて、算出される。また、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレると、ズレている受信機のデータが変化するため、第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2の値が変化する。
【0056】
よって、車両1が同じ姿勢である場合に参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレると、ステップS106にて算出されるヨー角θは、これらの位置がズレていないときのヨー角θとは異なる値になる。
【0057】
また、上記したように、ステップS112にて算出される推定ヨー角θeは、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2によって算出される。さらに、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12が車両1に配置されているため、これらの参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2は、車速Vcにより変化する。
【0058】
したがって、ステップS112にて算出される推定ヨー角θeは、車速Vcにより変化する。また、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレても、車速Vcは、変化しない。
【0059】
よって、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレても、ステップS112にて算出される推定ヨー角θeは、変化しない。
【0060】
上記のことから、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレると、ステップS106にて算出されるヨー角θの値とステップS112にて算出される推定ヨー角θeの値とは、同じとならず異なる。このため、上記絶対値|θ-θe|は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレていないときと比較して大きくなる。
【0061】
したがって、較正装置50は、ステップS114にて、この算出した絶対値|θ-θe|がズレ閾値Δθ_thより大きいか否かを判定する。これにより、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレを検出する。なお、ズレ閾値Δθ_thは、実験やシミュレーション等により設定される。
【0062】
絶対値|θ-θe|がズレ閾値Δθ_thより大きいとき、処理は、ステップS116に移行する。また、絶対値|θ-θe|がズレ閾値Δθ_th以下であるとき、処理は、ステップS118に移行する。
【0063】
ステップS114に続くステップS116において、絶対値|θ-θe|がズレ閾値Δθ_thより大きいため、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレていると判定する。また、この判定は、例えば、較正装置50のRAMに記憶される。その後、処理は、ステップS100に戻る。
【0064】
ステップS114に続くステップS118において、絶対値|θ-θe|がズレ閾値Δθ_th以下であるため、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置がズレていないと判定する。また、この判定は、例えば、較正装置50のRAMに記憶される。その後、処理は、ステップS100に戻る。
【0065】
以上のように、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレを検出する。
【0066】
次に、較正装置50のステップS104における車両1の姿勢量qの推定について説明する。
【0067】
ここで、この姿勢量qの推定を説明するために、以下の用語を定義する。
【0068】
車両座標系Σにおける参照用GNSS受信機10の位置座標をAnt_refとする。車両座標系Σにおける第1GNSS受信機11の位置座標をAnt1とする。車両座標系Σにおける第2GNSS受信機12の位置座標をAnt2とする。また、ここでは、例えば、Ant_refのうち車両座標系ΣにおけるX座標を1とする。Ant_refのうち車両座標系ΣにおけるY座標を0とする。Ant_refのうち車両座標系ΣにおけるZ座標を0とする。Ant1のうち車両座標系ΣにおけるX座標を0とする。Ant1のうち車両座標系ΣにおけるY座標を1とする。Ant1のうち車両座標系ΣにおけるZ座標を0とする。Ant2のうち車両座標系ΣにおけるX座標を0とする。Ant2のうち車両座標系ΣにおけるY座標を-1とする。Ant2のうち車両座標系ΣにおけるZ座標を0とする。
【0069】
このとき、Ant_refは、以下関係式(2-1)のように表される。また、Ant1は、以下関係式(2-2)のように表される。さらに、Ant2は、以下関係式(2-3)のように表される。なお、関係式(2-1)~(2-3)において、上付添字の「T」は、転置行列を意味する。
【0070】
【数2】
【0071】
また、ここでは、車両1の姿勢量qは、クォータニオンで表現される。クォータニオンは、3次元空間における車両1の回転を表すものである。また、姿勢量qの4つの各成分を、q0、q1、q2、q3とする。これらのq0、q1、q2、q3は、車両1の姿勢に関する情報を含む。
【0072】
このとき、姿勢量qは、例えば、以下関係式(3-1)、(3-2)のように表される。また、このとき、車両座標系Σの位置座標を絶対座標系Σoの位置座標に変換する座標変換行列Eは、姿勢量qによって以下関係式(3-3)のように表される。なお、以下関係式(3-1)において、i、j、kは、四元数の単位である。また、以下関係式(3-2)において、上付添字の「T」は、転置行列を意味する。
【0073】
【数3】
【0074】
また、ここで、絶対座標系Σoにおける参照用GNSS受信機10の位置座標をAnt_ref_absとする。絶対座標系Σoにおける第1GNSS受信機11の位置座標をAnt1_absとする。絶対座標系Σoにおける第2GNSS受信機12の位置座標をAnt2_absとする。
【0075】
このとき、Ant_ref_absは、以下関係式(4-1)に示すように、上記した座標変換行列Eと、Ant_refとを乗算することにより算出される。また、Ant1_absは、以下関係式(4-2)に示すように、上記した座標変換行列Eと、Ant1とを乗算することにより算出される。さらに、Ant2_absは、以下関係式(4-3)に示すように、上記した座標変換行列Eと、Ant2とを乗算することにより算出される。なお、上記したように、Ant_refは、車両座標系Σにおける参照用GNSS受信機10の位置座標である。また、Ant1は、車両座標系Σにおける第1GNSS受信機11の位置座標である。さらに、Ant2は、車両座標系Σにおける第2GNSS受信機12の位置座標である。
【0076】
【数4】
【0077】
さらに、ここで、以下関係式(5)に示すように、f11、f12、f13、f21、f22、f23を成分とする6次元数ベクトルを定義する。
【0078】
f11は、Ant1_absのXo軸方向の成分からAnt_ref_absのXo軸方向の成分を減算することにより表される。したがって、f11は、参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルのうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分になっている。
【0079】
f12は、Ant1_absのYo軸方向の成分からAnt_ref_absのYo軸方向の成分を減算することにより表される。したがって、f12は、参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルのうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分になっている。
【0080】
f13は、Ant1_absのZo軸方向の成分からAnt_ref_absのZo軸方向の成分を減算することにより表される。したがって、f13は、参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルのうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分になっている。
【0081】
f21は、Ant2_absのXo軸方向の成分からAnt_ref_absのXo軸方向の成分を減算することにより表される。したがって、f21は、参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルのうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分になっている。
【0082】
f22は、Ant2_absのYo軸方向の成分からAnt_ref_absのYo軸方向の成分を減算することにより表される。したがって、f22は、参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルのうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分になっている。
【0083】
f23は、Ant2_absのZo軸方向の成分からAnt_ref_absのZo軸方向の成分を減算することにより表される。したがって、f23は、参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルのうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分になっている。
【0084】
このとき、f11、f12、f13、f21、f22、f23は、車両座標系Σにおいて予め設定される参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置に基づく値になっている。
【0085】
【数5】
【0086】
また、ここで、第1相対位置ベクトルP1のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分をx1_relとする。第1相対位置ベクトルP1のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分をy1_relとする。第1相対位置ベクトルP1のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分をz1_relとする。第2相対位置ベクトルP2のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分をx2_relとする。第2相対位置ベクトルP2のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分をy2_relとする。第2相対位置ベクトルP2のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分をz2_relとする。なお、上記したように、第1相対位置ベクトルP1は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルである。また、第2相対位置ベクトルP2は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルである。
【0087】
したがって、以下関係式(6)に示すように、第1相対位置ベクトルP1のx1_relと、f11とが対応する。また、第1相対位置ベクトルP1のy1_relと、f12とが対応する。さらに、第1相対位置ベクトルP1のz1_relと、f13とが対応する。また、第2相対位置ベクトルP2のx2_relと、f21とが対応する。さらに、第2相対位置ベクトルP2のy2_relと、f22とが対応する。また、第2相対位置ベクトルP2のz2_relと、f23とが対応する。なお、関係式(6)において、sは、x1_rel、y1_rel、z1_rel、x2_rel、y2_rel、z2_relを成分とする6次元数ベクトルである。また、f(q)は、f11、f12、f13、f21、f22、f23を成分とする6次元数ベクトルである。
【0088】
【数6】
【0089】
また、ここで、これらのf11、f12、f13、f21、f22、f23と、x1_rel、y1_rel、z1_rel、x2_rel、y2_rel、z2_relとがそれぞれ一致したとする。上記したように、f11、f12、f13、f21、f22、f23が車両1の姿勢量qで表されているため、このとき、クォータニオンによって表現されている姿勢量qは、正確に推定されているはずである。
【0090】
これにより、f(q)が線形であれば、較正装置50は、カルマンフィルタを用いることによって姿勢量qを推定できる。しかし、f(q)は、上記関係式(5)に示すように、q0、q1、q2、q3を用いた2次関数であるため、非線形になっている。したがって、このままでは、較正装置50は、カルマンフィルタを用いることはできない。
【0091】
このため、ここでは、f(q)が姿勢量qで偏微分されることにより線形近似される。これにより、f(q)が線形近似されるため、較正装置50は、カルマンフィルタを用いることによって姿勢量qを推定できる。したがって、較正装置50は、この拡張カルマンフィルタを用いることによって車両1の姿勢量qを推定する。
【0092】
よって、較正装置50は、以下関係式(7-1)に示すように、姿勢量qを状態ベクトルとする状態方程式を用いる。また、較正装置50は、以下関係式(7-2)に示すように、上記したsを姿勢用観測ベクトルとする観測方程式を用いる。なお、以下状態方程式および観測方程式において、ノイズがないものとしている。上記したsは、第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2によって表されている6次元数ベクトルである。tは、0以上の整数であって、更新回数を表す。q(t)は、t回目に更新するときの姿勢量qである。Bは、q(t)からq(t+1)への状態遷移行列である。また、ここでは、車両1の姿勢量qが微小時間において変化しないものと仮定しており、この姿勢用状態遷移行列Bは、例えば、以下関係式(7-3)に示すように、4×4の単位行列になっている。H(t)は、q(t)からs(t)に変換する観測行列である。また、この姿勢用観測行列H(t)は、以下関係式(7-4)に示すように、上記したf(q)を姿勢量qで偏微分されることによって算出される。また、上記したように、f(q)の成分であるf11、f12、f13、f21、f22、f23は、車両座標系Σにおいて予め設定される参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置に基づく値になっている。このため、姿勢用観測行列H(t)は、車両座標系Σにおいて予め設定される参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置に基づく値になっている。
【0093】
【数7】
【0094】
また、較正装置50は、例えば、以下関係式(8-1)~(8-5)を用いて、姿勢量qを推定する。なお、以下関係式において、Gq(t)は、t回目に更新するときのカルマンゲインである。Pqは、姿勢量qの誤差共分散行列である。Pq(t|t-1)は、事前誤差共分散行列であって、(t-1)回目の更新までの情報に基づいてt回目に更新するときの姿勢用誤差共分散行列Pqの予測値である。Pq(t|t)は、t回目までの情報に基づいた姿勢用誤差共分散行列Pqである。q(t|t-1)は、事前推定値であって、(t-1)回目までの情報に基づいたt回目の更新における姿勢量qの予測値である。q(t|t)は、事後推定値であって、t回目の更新までの情報に基づいた姿勢量qの最適推定値である。Iは、単位行列である。上付添字の「T」は、転置行列を意味する。上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。
【0095】
【数8】
【0096】
具体的には、t回目の更新の場合、ステップS104において、較正装置50は、姿勢用状態遷移行列Bと、前回制御周期における姿勢用誤差共分散行列Pqと、姿勢用状態遷移行列Bの転置行列とを上記関係式(8-1)に代入する。これにより、較正装置50は、Pq(t|t-1)を算出する。なお、Pq(t|t-1)は、今回制御周期における姿勢用誤差共分散行列Pqの予測値である。また、ここでは、姿勢用状態遷移行列Bが単位行列であるため、Pq(t|t-1)は、前回制御周期における姿勢用誤差共分散行列Pqと同じになる。さらに、姿勢用誤差共分散行列Pqの初期値は、例えば、実験やシミュレーション等により設定される。
【0097】
また、較正装置50は、姿勢用状態遷移行列Bと、前回制御周期における姿勢量qとを上記関係式(8-2)に代入する。これにより、較正装置50は、q(t|t-1)を算出する。なお、q(t|t-1)は、今回制御周期における姿勢量qの予測値である。また、ここでは、姿勢用状態遷移行列Bが単位行列であるため、q(t|t-1)は、前回制御周期における姿勢量qと同じになる。さらに、姿勢量qの初期値は、例えば、実験やシミュレーション等により設定される。
【0098】
また、較正装置50は、上記にて算出したq(t|t-1)の各成分を上記関係式(7-4)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における姿勢用観測行列H(t)を算出する。
【0099】
さらに、較正装置50は、上記にて算出したPq(t|t-1)と、上記にて算出した姿勢用観測行列H(t)と、この姿勢用観測行列H(t)の転置行列とを上記関係式(8-3)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における姿勢用カルマンゲインGq(t)を算出する。
【0100】
また、較正装置50は、上記関係式(6)を用いて、ステップS102にて算出した第1相対位置ベクトルP1の成分と第2相対位置ベクトルP2の成分とから、今回制御周期における姿勢用観測ベクトルを生成する。
【0101】
また、較正装置50は、上記にて算出したq(t|t-1)と、上記にて算出した姿勢用カルマンゲインGq(t)と、上記にて生成した姿勢用観測ベクトルと、上記にて算出した姿勢用観測行列H(t)とを上記関係式(8-4)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における姿勢量q(t|t)を算出する。
【0102】
また、較正装置50は、単位行列のIと、上記にて算出した姿勢用カルマンゲインGq(t)と、上記にて算出した姿勢用観測行列H(t)と、上記にて算出したPq(t|t-1)とを上記関係式(8-5)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における姿勢用誤差共分散行列Pq(t|t)を算出する。このため、較正装置50は、次回制御周期において、この算出した今回制御周期における姿勢用誤差共分散行列Pq(t|t)を用いて、Pq(t+1|t)を算出することができる。なお、Pq(t+1|t)は、次回制御周期における姿勢用誤差共分散行列Pqの予測値である。
【0103】
このように、較正装置50は、姿勢量qを推定する。
【0104】
次に、較正装置50のステップS104における姿勢変化量Δqの推定について説明する。
【0105】
較正装置50は、t回目の更新の場合、以下関係式(9)に示すように、今回制御周期にて推定した姿勢量qから前回制御周期にて推定した姿勢量qを減算する。これにより、較正装置50は、姿勢変化量Δqを推定する。なお、以下関係式(9)において、q(t)は、t回目に更新した姿勢量qである。q0(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq0である。q1(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq1である。q2(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq2である。q3(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq3である。
【0106】
【数9】
【0107】
以上のように、較正装置50は、姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを推定する。
【0108】
次に、較正装置50のステップS106における車両1のロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θの算出について説明する。
【0109】
較正装置50は、ステップS104にて推定した姿勢量qを、例えば、以下関係式(10)に代入する。これにより、較正装置50は、車両1のロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θを算出する。なお、関係式(10)は、クォータニオンをオイラー角に変換する式である。
【0110】
【数10】
【0111】
以上のように、較正装置50は、車両1のロール角φ、ピッチ角ψ、ヨー角θを算出する。
【0112】
次に、較正装置50の較正プログラムの実行によるジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正について、図4のフローチャートを参照して説明する。例えば、車両1のイグニッションがオンされるとき、この較正プログラムは、実行される。以下では、較正装置50のステップS200の処理が開始されてからステップS200の処理に戻るまでの一連の動作の期間を、較正装置50による較正の制御周期とする。
【0113】
ステップS200において、較正装置50は、各種情報を取得する。
【0114】
具体的には、較正装置50は、上記した位置ズレ検出プログラムによる参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているか否かの判定をRAMから読み出す。また、較正装置50は、参照用データDrefを参照用GNSS受信機10から取得する。さらに、較正装置50は、第1データD1を第1GNSS受信機11から取得する。また、較正装置50は、第2データD2を第2GNSS受信機12から取得する。さらに、較正装置50は、車両1の検出角速度Ωcをジャイロセンサ20から取得する。また、較正装置50は、車両1の検出加速度Acを加速度センサ40から取得する。
【0115】
続いて、ステップS202において、較正装置50は、ステップS200に取得した判定により、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているか否かを判定する。これにより、較正装置50は、ジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正をするか否かを判定する。
【0116】
参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているとき、処理は、ステップS204に移行する。また、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置がズレていないとき、処理は、ステップS206に移行する。
【0117】
ステップS202に続くステップS204において、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレている。このとき、後述するように、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置がズレていないときと比較して、較正装置50により較正されたジャイロセンサ20および加速度センサ40に関する値の正確度が低下する。
【0118】
このため、較正装置50は、例えば、ジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正をしないとともに、ジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正をしないことを示す信号を図示しない報知装置に送信する。この報知装置は、例えば、音および光を用いて、ジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正しないことを車両1の運転者に知らせる。その後、処理は、ステップS200に戻る。
【0119】
ステップS202に続くステップS206において、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置がズレていない。このとき、較正装置50により較正されたジャイロセンサ20および加速度センサ40に関する値の正確度は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているときと比較して高い。
【0120】
したがって、較正装置50は、ジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正を行う。このために、較正装置50は、上記ステップS102と同様に、第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2を算出する。
【0121】
続いて、ステップS208において、較正装置50は、上記ステップS104と同様に、ステップS206にて算出した第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2に基づいて、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを推定する。
【0122】
続いて、ステップS210において、較正装置50は、ステップS208にて推定した姿勢量qおよび姿勢変化量Δqに基づいて、車両1の推定角速度Ωeを算出する。
【0123】
例えば、較正装置50は、以下関係式(11)に、ステップS208にて推定した姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを代入する。これにより、較正装置50は、車両1の推定角速度Ωeを算出する。なお、関係式(11)において、ωeφは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度である。ωeψは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度である。ωeθは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度である。上付添字の「T」は、転置行列を意味する。上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。tは、0以上の整数であって、更新回数を表す。q0(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq0である。q1(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq1である。q2(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq2である。q3(t)は、t回目に更新した姿勢量qにおける成分のうちのq3である。
【0124】
【数11】
【0125】
続いて、ステップS212において、較正装置50は、ステップS210にて算出した推定角速度Ωeと、ステップS200にてジャイロセンサ20から取得した検出角速度Ωcとに基づいて、角速度誤差εΩを推定する。なお、この角速度誤差εΩの推定の詳細については、後述する。
【0126】
続いて、ステップS214において、較正装置50は、ステップS212にて推定した角速度誤差εΩに基づいて、ステップS200にてジャイロセンサ20から取得した検出角速度Ωcを較正する。この検出角速度Ωcの較正の詳細については、後述する。
【0127】
続いて、ステップS216において、較正装置50は、ステップS208にて推定した姿勢量qに基づいて、車両1の推定加速度Aeを算出する。
【0128】
具体的には、加速度センサ40には重力がかかるため、較正装置50は、以下関係式(12)に、ステップS208にて推定した姿勢量qのq0、q1、q2、q3を代入する。これにより、較正装置50は、車両1の推定加速度Aeを推定する。なお、関係式(12)において、aexは、車両1の推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるX方向の成分である。aeyは、車両1の推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるY方向の成分である。aezは、車両1の推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるZ方向の成分である。gは、重力加速度である。上付添字の「-1」は、共役クォータニオンを意味する。
【0129】
【数12】
【0130】
続いて、ステップS218において、較正装置50は、ステップS216にて算出した推定加速度Aeと、ステップS200にて加速度センサ40から取得した検出加速度Acとに基づいて、加速度誤差εAを推定する。なお、この加速度誤差εAの推定の詳細については、後述する。
【0131】
続いて、ステップS220において、較正装置50は、ステップS218にて推定した加速度誤差εAに基づいて、ステップS200にて加速度センサ40から取得した検出加速度Acを較正する。この検出加速度Acの較正の詳細については、後述する。
【0132】
続いて、ステップS222において、較正装置50は、ステップS214にて算出した較正後角速度Ωc_calと、ステップS220にて算出した較正後加速度Ac_calとを外部に出力する。その後、処理は、ステップS200に戻る。
【0133】
次に、較正装置50のステップS212における角速度誤差εΩの推定について説明する。
【0134】
ここで、この角速度誤差εΩの推定を説明するために、以下の用語を定義する。
【0135】
ジャイロセンサ20による検出角速度Ωcのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度を検出ロールレートωcφとする。ジャイロセンサ20による検出角速度Ωcのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度を検出ピッチレートωcψとする。ジャイロセンサ20による検出角速度Ωcのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度を検出ヨーレートωcθとする。なお、ここでは、検出ロールレートωcφ、検出ピッチレートωcψ、検出ヨーレートωcθの各単位は、例えば、rad/秒である。radは、ラジアンを意味する。
【0136】
車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度、すなわち、車両1のロールレートが単位量変化するときに、検出ロールレートωcφが変化する量をロールレート感度εφφとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度、すなわち、車両1のピッチレートが単位量変化するときに、検出ピッチレートωcψが変化する量をピッチレート感度εψψとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度、すなわち、車両1のヨーレートが単位量変化するときに、検出ヨーレートωcθが変化する量をヨーレート感度εθθとする。なお、ロールレート感度εφφ、ピッチレート感度εψψ、ヨーレート感度εθθの各単位は、ここでは、無次元である。
【0137】
車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの車両1の角速度、すなわち、車両1のピッチレートが単位量変化するときに、検出ロールレートωcφが変化する量をピッチロール間他軸感度εψφとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度、すなわち、車両1のヨーレートが単位量変化するときに、検出ロールレートωcφが変化する量をヨーロール間他軸感度εθφとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度、すなわち、車両1のロールレートが単位量変化するときに、検出ピッチレートωcψが変化する量をロールピッチ間他軸感度εφψとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度、すなわち、車両1のヨーレートが単位量変化するときに、検出ピッチレートωcψが変化する量をヨーピッチ間他軸感度εθψとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度、すなわち、車両1のロールレートが単位量変化するときに、検出ヨーレートωcθが変化する量をロールヨー間他軸感度εφθとする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度、すなわち、車両1のピッチレートが単位量変化するときに、検出ヨーレートωcθが変化する量をピッチヨー間他軸感度εψθとする。なお、ピッチロール間他軸感度εψφ、ヨーロール間他軸感度εθφ、ロールピッチ間他軸感度εφψ、ヨーピッチ間他軸感度εθψ、ロールヨー間他軸感度εφθ、ピッチヨー間他軸感度εψθの各単位は、ここでは、無次元である。
【0138】
車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度、すなわち、車両1のロールレートがゼロであるときの検出ロールレートωcφをロールレートゼロ点誤差εφ0とする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度、すなわち、車両1のピッチレートがゼロであるときの検出ピッチレートωcψをピッチレートゼロ点誤差εψ0とする。車両1の角速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度、すなわち、車両1のヨーレートがゼロであるときの検出ヨーレートωcθをヨーレートゼロ点誤差εθ0とする。なお、ロールレートゼロ点誤差εφ0、ピッチレートゼロ点誤差εψ0、ヨーレートゼロ点誤差εθ0の各単位は、例えば、rad/秒である。radは、ラジアンを意味する。
【0139】
このとき、角速度誤差εΩは、以下関係式(13)に示すように、12次元数ベクトルで表される。この角速度誤差εΩの成分は、ロールレート感度εφφ、ピッチレート感度εψψ、ヨーレート感度εθθである。また、角速度誤差εΩの成分は、ロールピッチ間他軸感度εφψ、ロールヨー間他軸感度εφθ、ピッチロール間他軸感度εψφ、ピッチヨー間他軸感度εψθ、ヨーロール間他軸感度εθφ、ヨーピッチ間他軸感度εθψである。さらに、角速度誤差εΩの成分は、ロールレートゼロ点誤差εφ0、ピッチレートゼロ点誤差εψ0、ヨーレートゼロ点誤差εθ0である。なお、関係式(13)において、上付添字の「T」は、転置行列を意味する。
【0140】
【数13】
【0141】
そして、較正装置50は、例えば、カルマンフィルタを用いて、角速度誤差εΩを推定する。
【0142】
具体的には、較正装置50は、以下関係式(14-1)に示すように、角速度誤差εΩを状態ベクトルとする状態方程式を用いる。また、較正装置50は、以下関係式(14-2)に示すように、ジャイロセンサ20による検出角速度Ωcを観測ベクトルとする観測方程式を用いる。なお、以下状態方程式および観測方程式において、ノイズがないものとしている。tは、0以上の整数であって、更新回数を表す。εΩ(t)は、t回目に更新するときの角速度誤差εΩである。Cは、εΩ(t)からεΩ(t+1)への状態遷移行列である。また、この角速度用状態遷移行列Cは、例えば、以下関係式(14-3)に示すように、12×12の単位行列になっている。M(t)は、εΩ(t)からΩc(t)に変換する観測行列である。さらに、この角速度用観測行列Mは、以下関係式(14-4)に示すように、上記ステップS210にて推定されたωeφ、ωeψ、ωeθによって表される行列である。また、上記したように、ωeφは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度である。ωeψは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度である。ωeθは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度である。
【0143】
【数14】
【0144】
また、較正装置50は、例えば、以下関係式(15-1)~(15-5)を用いて、角速度誤差εΩを推定する。なお、以下関係式において、Gω(t)は、t回目に更新するときのカルマンゲインである。Pωは、角速度誤差εΩの誤差共分散行列である。Pω(t|t-1)は、事前誤差共分散行列であって、(t-1)回目の更新までの情報に基づいてt回目に更新するときの角速度用誤差共分散行列Pωの予測値である。Pω(t|t)は、t回目までの情報に基づいた角速度用誤差共分散行列Pωである。εΩ(t|t-1)は、事前推定値であって、(t-1)回目までの情報に基づいたt回目の更新における角速度誤差εΩの予測値である。εΩ(t|t)は、事後推定値であって、t回目の更新までの情報に基づいた角速度誤差εΩの最適推定値である。Iは、単位行列である。上付添字の「T」は、転置行列を意味する。上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。
【0145】
【数15】
【0146】
具体的には、t回目の更新の場合、ステップS212において、較正装置50は、角速度用状態遷移行列Cと、前回制御周期における角速度用誤差共分散行列Pωと、角速度用状態遷移行列Cの転置行列とを上記関係式(15-1)に代入する。これにより、較正装置50は、Pω(t|t-1)を算出する。なお、Pω(t|t-1)は、今回制御周期における角速度用誤差共分散行列Pωの予測値である。また、ここでは、角速度用状態遷移行列Cが単位行列であるため、Pω(t|t-1)は、前回制御周期における角速度用誤差共分散行列Pωと同じになる。さらに、角速度用誤差共分散行列Pωの初期値は、例えば、実験やシミュレーション等により設定される。
【0147】
また、較正装置50は、角速度用状態遷移行列Cと、前回制御周期における角速度誤差εΩとを上記関係式(15-2)に代入する。これにより、較正装置50は、εΩ(t|t-1)を算出する。なお、εΩ(t|t-1)は、今回制御周期における角速度誤差εΩの予測値である。また、ここでは、角速度用状態遷移行列Cが単位行列であるため、εΩ(t|t-1)は、前回制御周期における角速度誤差εΩと同じになる。さらに、角速度誤差εΩの初期値は、例えば、実験やシミュレーション等により設定される。
【0148】
また、較正装置50は、今回制御周期における上記ステップS210にて推定したωeφ、ωeψ、ωeθを上記関係式(14-4)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における角速度用観測行列M(t)を算出する。なお、上記したように、ωeφは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度である。ωeψは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度である。ωeθは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度である。
【0149】
また、較正装置50は、上記にて算出したPω(t|t-1)と、上記にて算出した角速度用観測行列M(t)と、この角速度用観測行列M(t)の転置行列とを上記関係式(15-3)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における角速度用カルマンゲインGω(t)を算出する。
【0150】
また、較正装置50は、上記ステップS200にてジャイロセンサ20から取得した検出角速度Ωcの各成分から、今回制御周期における角速度用観測ベクトルを生成する。なお、上記したように、ジャイロセンサ20から取得した検出角速度Ωcの成分は、検出ロールレートωcφ、検出ピッチレートωcψ、検出ヨーレートωcθである。また、検出ロールレートωcφは、検出角速度Ωcのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度である。さらに、検出ピッチレートωcψは、検出角速度Ωcのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度である。また、検出ヨーレートωcθは、検出角速度Ωcのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度である。
【0151】
また、較正装置50は、上記にて算出したεΩ(t|t-1)と、上記にて算出した角速度用カルマンゲインGω(t)と、上記にて生成した角速度用観測ベクトルと、上記にて算出した角速度用観測行列M(t)とを関係式(15-4)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における角速度誤差εΩ(t|t)を算出する。
【0152】
また、較正装置50は、単位行列のIと、上記にて算出した角速度用カルマンゲインGω(t)と、上記にて算出した角速度用観測行列M(t)と、上記にて算出したPω(t|t-1)とを(15-5)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における角速度用誤差共分散行列Pω(t|t)を算出する。このため、次回制御周期において、較正装置50は、この算出した今回制御周期における角速度用誤差共分散行列Pω(t|t)を用いて、Pω(t+1|t)を算出することができる。なお、Pω(t+1|t)は、次回制御周期における角速度用誤差共分散行列Pωの予測値である。
【0153】
このように、較正装置50は、角速度誤差εΩを推定する。
【0154】
次に、較正装置50のステップS214におけるジャイロセンサ20の較正について説明する。
【0155】
較正装置50は、t回目の更新の場合、上記ステップS212にて推定した角速度誤差εΩの各成分と、上記ステップS200にてジャイロセンサ20から取得した検出角速度Ωcの各成分とを以下関係式(16)に代入する。これにより、較正装置50は、較正後角速度Ωc_calを算出する。なお、上記したように、較正後角速度Ωc_calは、較正装置50により較正された検出角速度Ωcである。また、関係式(16)において、ωcφ_calは、較正後角速度Ωc_calのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度成分である。さらに、ωcψ_calは、較正後角速度Ωc_calのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度成分である。また、ωcθ_calは、較正後角速度Ωc_calのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度成分である。さらに、上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。
【0156】
【数16】
【0157】
このようにして、較正装置50は、ジャイロセンサ20を較正する。
【0158】
次に、較正装置50のステップS218における加速度誤差εAの推定について説明する。
【0159】
ここで、この加速度誤差εAの推定を説明するために、以下の用語を定義する。
【0160】
加速度センサ40による検出加速度Acのうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の加速度をX方向加速度acxとする。加速度センサ40による検出加速度Acのうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の加速度をY方向加速度acyとする。加速度センサ40による検出加速度Acのうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の加速度をZ方向加速度aczとする。
【0161】
車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の加速度が単位量変化するときに、X方向加速度acxが変化する量をX方向加速度感度εxxとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の加速度が単位量変化するときに、Y方向加速度acyが変化する量をY方向加速度感度εyyとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の加速度が単位量変化するときに、Z方向加速度aczが変化する量をZ方向加速度感度εzzとする。
【0162】
車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の加速度が単位量変化するときに、X方向加速度acxが変化する量をYX間他軸感度εyxとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の加速度が単位量変化するときに、X方向加速度acxが変化する量をZX間他軸感度εzxとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の加速度が単位量変化するときに、Y方向加速度acyが変化する量をXY間他軸感度εxyとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の加速度が単位量変化するときに、Y方向加速度acyが変化する量をZY間他軸感度εzyとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の加速度が単位量変化するときに、Z方向加速度aczが変化する量をXZ間他軸感度εxzとする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の加速度が単位量変化するときに、Z方向加速度aczが変化する量をYZ間他軸感度εyzとする。なお、X方向加速度感度εxx、Y方向加速度感度εyy、Z方向加速度感度εzzの各単位は、無次元である。また、YX間他軸感度εyx、ZX間他軸感度εzx、XY間他軸感度εxy、ZY間他軸感度εzy、XZ間他軸感度εxz、YZ間他軸感度εyzの各単位は、無次元である。
【0163】
車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の成分がゼロであるときのX方向加速度acxをX方向ゼロ点誤差εx0とする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の成分がゼロであるときのY方向加速度acyをY方向ゼロ点誤差εy0とする。車両1の加速度のうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の成分がゼロであるときのZ方向加速度aczをZ方向ゼロ点誤差εz0とする。
【0164】
また、加速度誤差εAは、以下関係式(17)に示すように、12次元数ベクトルで表される。なお、関係式(17)において、上付添字の「T」は、転置行列を意味する。
【0165】
【数17】
【0166】
そして、較正装置50は、例えば、カルマンフィルタを用いて、加速度誤差εAを推定する。
【0167】
具体的には、較正装置50は、以下関係式(18-1)に示すように、加速度誤差εAを状態ベクトルとする状態方程式を用いる。また、較正装置50は、以下関係式(18-2)に示すように、加速度センサ40による検出加速度Acを観測ベクトルとする観測方程式を用いる。なお、以下状態方程式および観測方程式において、ノイズがないものとしている。tは、0以上の整数であって、更新回数を表す。εA(t)は、t回目に更新するときの加速度誤差εAである。Dは、εA(t)からεA(t+1)への状態遷移行列である。また、この加速度用状態遷移行列Dは、例えば、以下関係式(18-3)に示すように、12×12の単位行列になっている。N(t)は、εA(t)からAc(t)に変換する観測行列である。さらに、この加速度用観測行列Nは、以下関係式(18-4)に示すように、上記ステップS216にて算出された推定加速度Aeのaex、aey、aezによって表される行列である。また、上記したように、aexは、推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるX方向の成分である。さらに、aeyは、推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるY方向の成分である。また、aezは、推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるZ方向の成分である。
【0168】
【数18】
【0169】
また、較正装置50は、例えば、以下関係式(19-1)~(19-5)を用いて、加速度誤差εAを推定する。なお、以下関係式において、Ga(t)は、t回目に更新するときのカルマンゲインである。Paは、加速度誤差εAの誤差共分散行列である。Pa(t|t-1)は、事前誤差共分散行列であって、(t-1)回目の更新までの情報に基づいてt回目に更新するときの、加速度用誤差共分散行列Paの予測値である。Pa(t|t)は、t回目までの情報に基づいた加速度用誤差共分散行列Paである。εA(t|t-1)は、事前推定値であって、(t-1)回目までの情報に基づいたt回目の更新における加速度誤差εAの予測値である。εA(t|t)は、事後推定値であって、t回目の更新までの情報に基づいた加速度誤差εAの最適推定値である。Iは、単位行列である。上付添字の「T」は、転置行列を意味する。上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。
【0170】
【数19】
【0171】
具体的には、t回目の更新の場合、ステップS220において、較正装置50は、加速度用状態遷移行列Dと、前回制御周期における加速度用誤差共分散行列Paと、加速度用状態遷移行列Dの転置行列とを上記関係式(19-1)に代入する。これにより、較正装置50は、Pa(t|t-1)を算出する。なお、Pa(t|t-1)は、今回制御周期における加速度用誤差共分散行列Paの予測値である。また、ここでは、加速度用状態遷移行列Dが単位行列であるため、Pa(t|t-1)は、前回制御周期における加速度用誤差共分散行列Pa(t-1|t-1)と同じになる。さらに、加速度用誤差共分散行列Paの初期値は、例えば、実験やシミュレーション等により設定される。
【0172】
また、較正装置50は、加速度用状態遷移行列Dと、前回制御周期における加速度誤差εAとを上記関係式(19-2)に代入する。これにより、較正装置50は、εA(t|t-1)を算出する。なお、εA(t|t-1)は、今回制御周期における加速度誤差εAの予測値である。また、ここでは、加速度用状態遷移行列Dが単位行列であるため、εA(t|t-1)は、前回制御周期における加速度誤差εA(t-1|t-1)と同じになる。さらに、加速度誤差εAの初期値は、例えば、実験やシミュレーション等により設定される。
【0173】
また、較正装置50は、今回制御周期における上記ステップS216にて推定したaex、aey、aezを上記関係式(18-4)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における加速度用観測行列N(t)を算出する。なお、上記したように、aexは、推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるX方向の成分である。また、aeyは、推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるY方向の成分である。さらに、aezは、推定加速度Aeのうち車両座標系ΣにおけるZ方向の成分である。
【0174】
また、較正装置50は、上記にて算出したPa(t|t-1)と、上記にて算出した加速度用観測行列N(t)と、この加速度用観測行列N(t)の転置行列とを上記関係式(19-3)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における加速度用カルマンゲインGa(t)を算出する。
【0175】
また、較正装置50は、上記ステップS200にて加速度センサ40から取得した検出加速度Acの成分から、今回制御周期における加速度用観測ベクトルを生成する。なお、加速度センサ40から取得した検出加速度Acの成分は、X方向加速度acx、Y方向加速度acy、Z方向加速度aczである。また、上記したように、X方向加速度acxは、検出加速度Acのうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の加速度である。さらに、Y方向加速度acyは、検出加速度Acのうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の加速度である。また、Z方向加速度aczは、検出加速度Acのうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の加速度である。
【0176】
また、較正装置50は、上記にて算出したεA(t|t-1)と、上記にて算出した加速度用カルマンゲインGa(t)と、上記にて生成した加速度用観測ベクトルと、上記にて算出した加速度用観測行列N(t)とを関係式(19-4)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における加速度誤差εA(t|t)を算出する。
【0177】
また、較正装置50は、単位行列のIと、上記にて算出した加速度用カルマンゲインGa(t)と、上記にて算出した加速度用観測行列N(t)と、上記にて算出したPa(t|t-1)とを(19-5)に代入する。これにより、較正装置50は、今回制御周期における加速度用誤差共分散行列Pa(t|t)を算出する。このため、次回制御周期において、較正装置50は、この算出した今回制御周期における加速度用誤差共分散行列Pa(t|t)を用いて、Pa(t+1|t)を算出することができる。なお、Pa(t+1|t)は、次回制御周期における加速度用誤差共分散行列Paの予測値である。
【0178】
このように、較正装置50は、加速度誤差εAを推定する。
【0179】
次に、較正装置50のステップS220における加速度センサ40の較正について説明する。
【0180】
較正装置50は、t回目の更新の場合、上記ステップS218にて推定した加速度誤差εAの各成分と、上記ステップS200にて加速度センサ40から取得した検出加速度Acの各成分とを以下関係式(20)に代入する。これにより、較正装置50は、較正後加速度Ac_calを算出する。なお、較正後加速度Ac_calは、較正装置50により較正された検出加速度Acである。また、関係式(20)において、acx_calは、較正後加速度Ac_calのうち車両座標系ΣにおけるX軸方向の成分である。さらに、acy_calは、較正後加速度Ac_calのうち車両座標系ΣにおけるY軸方向の成分である。また、acz_calは、較正後加速度Ac_calのうち車両座標系ΣにおけるZ軸方向の成分である。上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。
【0181】
【数20】
【0182】
このようにして、較正装置50は、加速度センサ40を較正する。
【0183】
以上のように、較正装置50は、ジャイロセンサ20および加速度センサ40を較正する。
【0184】
次に、車両1が停止中および走行中のいずれであっても、較正装置50がジャイロセンサ20および加速度センサ40を較正できることについて説明する。
【0185】
較正装置50は、ステップS206にて、第1相対位置ベクトルP1と第2相対位置ベクトルP2とに基づいて、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを推定する。
【0186】
ここで、上記したように、第1相対位置ベクトルP1は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第1GNSS受信機11の相対位置を表すベクトルである。また、第2相対位置ベクトルP2は、絶対座標系Σoにおいて参照用GNSS受信機10の位置に対する第2GNSS受信機12の相対位置を表すベクトルである。また、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12は、車両1に配置されている。これにより、車両1が停止中および走行中のいずれであっても、第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2は、変化しない。このため、車両1が停止中および走行中のいずれであっても、較正装置50は、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを推定できる。
【0187】
また、較正装置50は、ステップS210にて、これらの姿勢量qおよび姿勢変化量Δqに基づいて、推定角速度Ωeを推定する。さらに、較正装置50は、ステップS212にて、この推定角速度Ωeとジャイロセンサ20による検出角速度Ωcとに基づいて、車両1の角速度誤差εΩを推定する。また、較正装置50は、ステップS214にて、この角速度誤差εΩに基づいて、ジャイロセンサ20による検出角速度Ωcを較正する。したがって、較正装置50は、車両1が停止中および走行中のいずれであっても、ジャイロセンサ20を較正できる。
【0188】
さらに、較正装置50は、ステップS216にて、この姿勢量qに基づいて、推定加速度Aeを推定する。また、較正装置50は、ステップS218にて、この推定加速度Aeと加速度センサ40による検出加速度Acとに基づいて、車両1の加速度誤差εAを推定する。さらに、較正装置50は、ステップS220にて、この加速度誤差εAに基づいて、加速度センサ40による検出加速度Acを較正する。よって、較正装置50は、車両1が停止中および走行中のいずれであっても、加速度センサ40を較正できる。
【0189】
また、較正装置50は、以下のような効果も奏する。
【0190】
較正装置50は、上記したように、第1相対位置ベクトルP1と第2相対位置ベクトルP2とに基づいて、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqを推定する。
【0191】
ここで、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレると、第1相対位置ベクトルP1または第2相対位置ベクトルP2が変化する。これにより、このとき、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqの正確度が低下するため、較正装置50により較正されたジャイロセンサ20および加速度センサ40に関する値の正確度が低下する。
【0192】
このため、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているか否かを判定する。
【0193】
具体的には、較正装置50は、ステップS106にて、この姿勢量qに基づいて、車両1のヨー角θを算出する。さらに、較正装置50は、ステップS110にて、参照用データDref、第1データD1および第2データD2に基づいて、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2を算出する。また、較正装置50は、ステップS112にて、これらの参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2に基づいて、車両1の推定ヨー角θeを算出する。なお、上記したように、参照用データDrefは、参照用GNSS受信機10から較正装置50に送信されるデータであって、時刻に対する測位衛星からの搬送波の波数および位相ならびにエフェメリス等を含む。また、第1データD1は、第1GNSS受信機11から較正装置50に送信されるデータであって、時刻に対する測位衛星からの搬送波の波数および位相ならびにエフェメリス等を含む。さらに、第2データD2は、第2GNSS受信機12から較正装置50に送信されるデータであって、時刻に対する測位衛星からの搬送波の波数および位相ならびにエフェメリス等を含む。また、エフェメリスは、測位衛星の軌道情報である。さらに、参照用受信機速度Vrefは、絶対座標系Σoにおける参照用GNSS受信機10の速度ベクトルである。また、第1受信機速度V1は、絶対座標系Σoにおける第1GNSS受信機11の速度ベクトルである。さらに、第2受信機速度V2は、絶対座標系Σoにおける第2GNSS受信機12の速度ベクトルである。
【0194】
また、較正装置50は、ステップS114にて、上記算出したヨー角θと推定ヨー角θeとに基づいて、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているか否かを判定する。さらに、この判定は、例えば、較正装置50のRAMに記憶される。また、較正装置50は、ステップS202にて、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置がズレているか否かをRAMから読み出す。
【0195】
そして、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12の位置がズレていないとき、車両1の姿勢量qおよび姿勢変化量Δqの正確度が向上する。したがって、このとき、較正装置50は、ジャイロセンサ20および加速度センサ40を較正する。これにより、較正装置50によるジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正の正確度が向上する。
【0196】
また、ここで、較正装置50は、ステップS108にて、車速Vcが車速閾値Vc_th以上であるか否かを判定する。さらに、較正装置50は、車速Vcが車速閾値Vc_th以上であるとき、ステップS110にて参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2を算出する。このとき、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2は、車速Vcが車速閾値Vc_th未満であるときと比較して大きい。これにより、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2の値が安定するため、参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2の算出精度が向上する。このため、ステップS112における推定ヨー角θeの算出精度が向上する。
【0197】
(変形例)
変形例では、較正装置50の処理が上記実施形態と異なる。具体的には、較正装置50は、図5に示すように、停止判定部65を機能ブロックとしてさらに有する。
【0198】
停止判定部65は、上記した角速度推定部55による推定角速度Ωeに基づいて、車両1が停止しているか否かを判定する。
【0199】
また、加速度誤差推定部59は、車両1が停止しているとき、加速度推定部58による推定加速度Aeおよび加速度センサ40による検出加速度Acに基づいて、車両1の加速度誤差εAを推定する。さらに、加速度誤差推定部59は、車両1が停止していないとき、車両1の加速度誤差εAを推定しない。
【0200】
次に、変形例の較正装置50のプログラムの実行によるジャイロセンサ20および加速度センサ40の較正について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0201】
ステップS200からステップS216までの処理は、上記と同様である。
【0202】
ステップS216に続くステップS300において、較正装置50は、上記ステップS210にて算出した推定角速度Ωeに基づいて、車両1が停止しているか否かを判定する。
【0203】
具体的には、較正装置50は、推定角速度Ωeのωeφが第1閾値ωe_th1未満、かつ、推定角速度Ωeのωeψが第2閾値ωe_th2未満、かつ、推定角速度Ωeのωeθが第3閾値ωe_th3未満であるか否かを判定する。なお、上記したように、ωeφは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるX軸周りの角速度である。また、ωeψは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるY軸周りの角速度である。さらに、ωeθは、推定角速度Ωeのうち車両座標系ΣにおけるZ軸周りの角速度である。また、第1閾値ωe_th1、第2閾値ωe_th2および第3閾値ωe_th3は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0204】
そして、ωeφが第1閾値ωe_th1未満、かつ、ωeψが第2閾値ωe_th2未満、かつ、ωeθが第3閾値ωe_th3未満であるとき、車両1の角速度が比較的小さいため、較正装置50は、車両1が停止していると判定する。その後、処理は、ステップS218に移行する。また、ωeφが第1閾値ωe_th1以上、または、ωeψが第2閾値ωe_th2以上、または、ωeθが第3閾値ωe_th3以上であるとき、車両1が移動しているため、較正装置50は、車両1が停止していないと判定する。その後、処理は、ステップS222に移行する。
【0205】
ステップS300に続くステップS218において、較正装置50は、ステップS216にて算出した推定加速度Aeと、ステップS200にて加速度センサ40から取得した検出加速度Acとに基づいて、加速度誤差εAを推定する。また、ここでは、車両1が停止しているため、重力のみが車両1に作用しやすい。これにより、加速度センサ40によって検出されるノイズが低減されるため、較正装置50による加速度誤差εAの算出精度が向上する。
【0206】
続いて、ステップS220において、較正装置50は、上記と同様に、ステップS218にて推定した加速度誤差εAに基づいて、ステップS200にて加速度センサ40から取得した検出加速度Acを較正する。
【0207】
ステップS222において、較正装置50は、車両1が停止していると判定しているとき、ステップS214にて算出した較正後角速度Ωc_calと、ステップS220にて算出した較正後加速度Ac_calとを外部に出力する。また、較正装置50は、車両1が停止していないと判定しているとき、検出加速度Acを較正していないため、ステップS214にて算出した較正後角速度Ωc_calのみを外部に出力する。その後、処理は、ステップS200に戻る。
【0208】
以上のように、変形例の較正装置50は、ジャイロセンサ20および加速度センサ40を較正する。
【0209】
変形例であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、変形例では、車両1が停止しているときに、較正装置50が加速度誤差εAを推定する。このため、上記したように、加速度センサ40によって検出されるノイズが低減されるため、較正装置50による加速度誤差εAの算出精度が向上する。
【0210】
また、較正装置50は、上記ステップS210にて算出した推定角速度Ωeに基づいて、車両1が停止しているか否かを判定する。これにより、較正装置50は、車速センサ30によって検出される車速Vcによらないで車両1が停止しているか否かを判定できる。
【0211】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0212】
本開示に記載の算出部、推定部、較正部、判定部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の算出部、推定部、較正部、判定部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の算出部、推定部、較正部、判定部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0213】
上記実施形態では、車両1は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12をそれぞれ1つ備えている。これに対して、参照用GNSS受信機10の数は、1つに限定されないで、2つ以上であってもよい。例えば、参照用GNSS受信機10の数が2個であるとき、1つの参照用GNSS受信機10の参照用データDrefと第1GNSS受信機11の第1データD1とに基づいて、第1相対位置ベクトルP1を算出する。また、このとき、もう1つの参照用GNSS受信機10の参照用データDrefと第2GNSS受信機12の第2データD2とに基づいて、第2相対位置ベクトルP2を算出してもよい。
【0214】
また、第1GNSS受信機11の数は、1つに限定されないで、2つ以上であってもよい。さらに、第2GNSS受信機12の数は、1つに限定されないで、2つ以上であってもよい。
【0215】
また、車両1は、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12とは異なる図示しない第3GNSS受信機を備えてもよい。このとき、参照用GNSS受信機10の参照用データDrefと第3GNSS受信機のデータとに基づいて、第1相対位置ベクトルP1を算出してもよい。また、このとき、参照用GNSS受信機10の参照用データDrefと第3GNSS受信機のデータとに基づいて、第2相対位置ベクトルP2を算出してもよい。
【0216】
また、上記実施形態では、較正装置50は、参照用データDrefおよび第1データD1に含まれる同時刻の搬送波の波数および位相を用いて、Moving Baseline RTK方式により第1相対位置ベクトルP1を算出する。また、較正装置50は、参照用データDrefおよび第2データD2における同時刻の搬送波の波数および位相を用いて、Moving Baseline RTK方式により第2相対位置ベクトルP2を算出する。
【0217】
これに対して、参照用GNSS受信機10は、図示しない複数の測位衛星からの信号に基づいて、参照用GNSS受信機10の絶対位置を算出する。また、参照用GNSS受信機10は、この算出した参照用GNSS受信機10の絶対位置のデータを較正装置50に送信する。さらに、第1GNSS受信機11は、図示しない複数の測位衛星からの信号に基づいて、第1GNSS受信機11の絶対位置を算出する。また、第1GNSS受信機11は、この算出した第1GNSS受信機11の絶対位置のデータを較正装置50に送信する。さらに、第2GNSS受信機12は、図示しない複数の測位衛星からの信号に基づいて、第2GNSS受信機12の絶対位置を算出する。また、第2GNSS受信機12は、この算出した第2GNSS受信機12の絶対位置のデータを較正装置50に送信する。
【0218】
ここで、参照用GNSS受信機10の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分をx_refとする。参照用GNSS受信機10の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分をy_refとする。参照用GNSS受信機10の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分をz_refとする。第1GNSS受信機11の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分をx1とする。第1GNSS受信機11の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分をy1とする。第1GNSS受信機11の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分をz1とする。第2GNSS受信機12の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分をx2とする。第2GNSS受信機12の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分をy2とする。第2GNSS受信機12の絶対位置のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分をz2とする。
【0219】
そして、較正装置50は、参照用GNSS受信機10の絶対位置および第1GNSS受信機11の絶対位置に基づいて、第1相対位置ベクトルP1を算出してもよい。また、較正装置50は、参照用GNSS受信機10の絶対位置および第2GNSS受信機12の絶対位置に基づいて、第2相対位置ベクトルP2を算出してもよい。
【0220】
具体的には、以下関係式(21)に示すように、較正装置50は、x1からx_refを減算することによってx1_relを算出する。また、較正装置50は、y1からy_refを減算することによってy1_relを算出する。さらに、較正装置50は、z1からz_refを減算することによってz1_relを算出する。また、較正装置50は、x2からx_refを減算することによってx2_relを算出する。さらに、較正装置50は、y2からy_refを減算することによってy2_relを算出する。また、較正装置50は、z2からz_refを減算することによってz2_relを算出する。なお、上記したように、x1_relは、第1相対位置ベクトルP1のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分である。y1_relは、第1相対位置ベクトルP1のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分である。z1_relは、第1相対位置ベクトルP1のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分である。x2_relは、第2相対位置ベクトルP2のうち絶対座標系ΣoにおけるXo軸方向の成分である。y2_relは、第2相対位置ベクトルP2のうち絶対座標系ΣoにおけるYo軸方向の成分である。z2_relは、第2相対位置ベクトルP2のうち絶対座標系ΣoにおけるZo軸方向の成分である。
【0221】
【数21】
【0222】
このように、較正装置50は、第1相対位置ベクトルP1および第2相対位置ベクトルP2を算出してもよい。
【0223】
また、上記実施形態では、較正装置50は、ステップS112において、ステップS110にて算出した参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2に基づいて、推定ヨー角θeを算出する。これに対して、較正装置50は、ステップS110にて算出した参照用受信機速度Vref、第1受信機速度V1および第2受信機速度V2のうちいずれか1つ以上に基づいて、推定ヨー角θeを算出してもよい。
【0224】
また、上記実施形態では、較正装置50は、ステップS114において、ステップS106にて算出したヨー角θとステップS112にて算出した推定ヨー角θeとの差の絶対値|θ-θe|を算出する。また、較正装置50は、この算出した絶対値|θ-θe|がズレ閾値Δθ_thより大きいか否かを判定する。これにより、較正装置50は、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレを検出する。これに対して、較正装置50は、上記絶対値|θ-θe|を算出することに限定されない。
【0225】
例えば、較正装置50は、ステップS106にて算出したヨー角θをステップS112にて算出した推定ヨー角θeで除算する。また、較正装置50は、この除算した値と閾値とを比較することにより、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11または第2GNSS受信機12の位置ズレを検出してもよい。なお、この除算した値に関する閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0226】
また、上記実施形態では、状態方程式および観測方程式において、ノイズがないものとしている。これに対して、状態方程式および観測方程式において、ノイズが考慮されてもよい。例えば、姿勢量qに関する状態方程式および観測方程式におけるノイズは、参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11および第2GNSS受信機12によって受信されるデータの各誤差である。また、角速度誤差εΩに関する状態方程式および観測方程式におけるノイズは、ジャイロセンサ20の温度変化によって生じる各成分の誤差である。さらに、加速度誤差εAに関する状態方程式および観測方程式におけるノイズは、加速度センサ40の温度変化によって生じる各成分の誤差である。
【0227】
また、上記実施形態では、較正装置50は、ステップS212において、車両1の角速度誤差εΩを推定する。上記実施形態では、この角速度誤差εΩは、車両1の角速度が変化するときにジャイロセンサ20による検出角速度Ωcの変化に関する値および車両1が停止しているときのジャイロセンサ20による検出角速度Ωcに関する値である。これに対して、較正装置50は、車両1の角速度が変化するときにジャイロセンサ20による検出角速度Ωcの変化に関する値のみを推定してもよい。また、較正装置50は、車両1が停止しているときのジャイロセンサ20による検出角速度Ωcに関する値のみを推定してもよい。
【0228】
また、上記実施形態では、較正装置50は、ステップS218において、車両1の加速度誤差εAを推定する。上記実施形態では、この加速度誤差εAは、車両1の加速度が変化するときに加速度センサ40による検出加速度Acの変化に関する値および車両1が停止しているときの加速度センサ40による検出加速度Acに関する値である。これに対して、較正装置50は、車両1の加速度が変化するときに加速度センサ40による検出加速度Acの変化に関する値のみを推定してもよい。また、較正装置50は、車両1が停止しているときの加速度センサ40による検出加速度Acに関する値のみを推定してもよい。
【0229】
また、上記実施形態では、車両座標系Σにおける参照用GNSS受信機10の位置座標をAnt_refとする。車両座標系Σにおける第1GNSS受信機11の位置座標をAnt1とする。車両座標系Σにおける第2GNSS受信機12の位置座標をAnt2とする。また、ここでは、Ant_refのうち車両座標系ΣにおけるX座標を1とする。Ant_refのうち車両座標系ΣにおけるY座標を0とする。Ant_refのうち車両座標系ΣにおけるZ座標を0とする。Ant1のうち車両座標系ΣにおけるX座標を0とする。Ant1のうち車両座標系ΣにおけるY座標を1とする。Ant1のうち車両座標系ΣにおけるZ座標を0とする。Ant2のうち車両座標系ΣにおけるX座標を0とする。Ant2のうち車両座標系ΣにおけるY座標を-1とする。Ant2のうち車両座標系ΣにおけるZ座標を0とする。
【0230】
Ant_ref、Ant1、Ant2の各座標は、上記に限定されない。Ant_ref、Ant1、Ant2の各座標は、車両1に配置される参照用GNSS受信機10、第1GNSS受信機11、第2GNSS受信機12に応じて設定される。
【0231】
また、上記実施形態では、較正装置50は、拡張カルマンフィルタを用いることによって車両1の姿勢量qを推定する。これに対して、較正装置50は、拡張カルマンフィルタを用いることによって車両1の姿勢量qを推定することに限定されない。例えば、較正装置50は、第1相対位置ベクトルP1の向きまたは第2相対位置ベクトルP2の向きに基づいて、車両1の姿勢量qを推定してもよい。
【0232】
また、上記実施形態では、較正装置50は、カルマンフィルタを用いて、角速度誤差εΩを推定する。これに対して、較正装置50は、カルマンフィルタを用いて、角速度誤差εΩを推定することに限定されない。例えば、較正装置50は、推定角速度Ωeとジャイロセンサ20による検出角速度Ωcとの差に基づいて、角速度誤差εΩを推定してもよい。
【0233】
また、上記実施形態では、較正装置50は、カルマンフィルタを用いて、加速度誤差εAを推定する。これに対して、較正装置50は、カルマンフィルタを用いて、加速度誤差εAを推定することに限定されない。例えば、較正装置50は、推定加速度Aeと加速度センサ40による検出加速度Acとの差に基づいて、加速度誤差εAを推定してもよい。
【0234】
また、上記実施形態では、姿勢用状態遷移行列B、角速度用状態遷移行列Cおよび加速度用状態遷移行列Dは、単位行列になっている。これに対して、姿勢用状態遷移行列B、角速度用状態遷移行列Cおよび加速度用状態遷移行列Dは、単位行列に限定されないで、実験やシミュレーション等により所定の値に設定されてもよい。
【0235】
また、上記変形例では、ステップS300において、較正装置50は、上記ステップS210にて算出した推定角速度Ωeに基づいて、車両1が停止しているか否かを判定する。これに対して、較正装置50は、この推定角速度Ωeに基づいて、車両1が停止しているか否かを判定することに限定されない。
【0236】
例えば、較正装置50は、車速センサ30によって検出される車速Vcに基づいて、車両1が停止しているか否かを判定してもよい。具体的には、較正装置50は、車速Vcが閾値未満であるとき、車両1が停止していると判定する。また、較正装置50は、車速Vcが閾値以上であるとき、車両1が停止していないと判定する。なお、この車速Vcに関する閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【符号の説明】
【0237】
1 車両
10 参照用GNSS受信機
11 第1GNSS受信機
12 第2GNSS受信機
20 ジャイロセンサ
30 車速センサ
40 加速度センサ
50 較正装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6