(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】過電流検出装置
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20240116BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20240116BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240116BHJP
H03K 17/08 20060101ALI20240116BHJP
H03K 17/567 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M1/00 H
H02M7/48 M
H03K17/08 Z
H03K17/567
(21)【出願番号】P 2020154835
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智貴
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一範
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104077(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/077895(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/115272(WO,A1)
【文献】特開2019-122175(JP,A)
【文献】特開2019-187172(JP,A)
【文献】特開2018-42416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00- 7/98
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象スイッチ(SWH,SWL)の端子間電圧(VH,VL)に基づいて決まる電圧である検出電圧(Vd)を検出する検出部(482)と、
前記対象スイッチがターンONされてから所定期間経過するまでの期間である第1期間(T1)において、前記検出電圧に基づいて、前記対象スイッチに過電流が流れている過電流異常か否かを判定する第1判定処理を行う第1判定部(483)と、
前記第1期間に続く期間であって前記対象スイッチがONの期間である第2期間(T2)において、前記第1判定処理を行った場合よりも早期に前記過電流異常と判定する第2判定処理を行う第2判定部(484)と、を有
し、
前記対象スイッチは、高電位用端子と低電位用端子とを有し、
前記第1判定部は、前記高電位用端子側から前記低電位用端子側に電流が流れる順電流期間における前記第1期間において前記第1判定処理を行い、
前記第2判定部は、前記第2期間、及び前記低電位用端子側から前記高電位用端子側に電流が流れる逆電流期間(T3)において、前記第2判定処理を行う、
過電流検出装置(40H,40L)。
【請求項2】
前記第1判定部は、前記第1判定処理として、前記検出電圧が判定電圧(Vth)を超えている時間である過電圧時間(T)が、第1フィルタ時間(Tth1)を経過したことを条件に、前記過電流異常であると判定する処理を行い、
前記第2判定部は、前記第2判定処理として、前記過電圧時間が、前記第1フィルタ時間よりも短い第2フィルタ時間(Tth2)を経過したことを条件に、前記過電流異常であると判定する処理を行う、請求項
1に記載の過電流検出装置。
【請求項3】
前記第2フィルタ時間は、前記検出電圧にサージ電圧が重畳する期間よりも長い、請求項
2に記載の過電流検出装置。
【請求項4】
前記第1判定部は、前記第1判定処理として、前記検出電圧が第1判定電圧(Vth1)を超えたことを条件に、前記過電流異常であると判定する処理を行い、
前記第2判定部は、前記第2判定処理として、前記検出電圧が前記第1判定電圧よりも低い第2判定電圧(Vth2)を超えたことを条件に、前記過電流異常であると判定する処理を行う、請求項
1に記載の過電流検出装置。
【請求項5】
電圧源(461)と、前記対象スイッチに対して並列に接続されていると共に前記電圧源から電圧が供給されるコンデンサ(44)と、を有し、
前記検出電圧は前記コンデンサの端子間電圧であり、
前記第2判定部は、前記第2判定処理として、前記第1判定処理が行われる場合よりも前記電圧源と前記コンデンサとの間の電気抵抗(463,464)を前記第1判定処理が行われる場合よりも小さくすることにより、前記第1判定処理が行われる場合よりも前記コンデンサを高速で充電する処理を行う、請求項
1に記載の過電流検出装置。
【請求項6】
前記第2判定部は、前記第2判定処理として、前記対象スイッチを流れる電流に基づいて、前記過電流異常であるか否かを判定する処理を行う、請求項
1に記載の過電流検出装置。
【請求項7】
対象スイッチ(SWH,SWL)の端子間電圧(VH,VL)に基づいて決まる電圧である検出電圧(Vd)を検出する検出部(482)と、
前記対象スイッチがターンONされてから所定期間経過するまでの期間である第1期間(T1)において、前記検出電圧に基づいて、前記対象スイッチに過電流が流れている過電流異常か否かを判定する第1判定処理を行う第1判定部(483)と、
前記第1期間に続く期間であって前記対象スイッチがONの期間である第2期間(T2)において、前記第1判定処理を行った場合よりも早期に前記過電流異常と判定する第2判定処理を行う第2判定部(484)と、を有し、
前記対象スイッチがターンONされた後、前記検出電圧が増加から減少に転じたことを条件に、前記第1期間から前記第2期間に移行したと判定する
、
過電流検出装置(40H,40L)。
【請求項8】
前記対象スイッチは
、ゲート端
子を有し、
前記対象スイッチは、前記高電位用端子と前記ゲート端子との間の電圧、又は前記ゲート端子と低電位用端子との間の電圧であるゲート電圧が閾値電圧以上になるとONになる半導体スイッチであり、
前記ゲート電圧の変化に基づいて、前記第1期間から前記第2期間に移行したと判定する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の過電流検出装置。
【請求項9】
対象スイッチ(SWH,SWL)の端子間電圧(VH,VL)に基づいて決まる電圧である検出電圧(Vd)を検出する検出部(482)と、
前記対象スイッチがターンONされてから所定期間経過するまでの期間である第1期間(T1)において、前記検出電圧に基づいて、前記対象スイッチに過電流が流れている過電流異常か否かを判定する第1判定処理を行う第1判定部(483)と、
前記第1期間に続く期間であって前記対象スイッチがONの期間である第2期間(T2)において、前記第1判定処理を行った場合よりも早期に前記過電流異常と判定する第2判定処理を行う第2判定部(484)と、を有し、
前記対象スイッチは、高電位用端子と低電位用端子と制御用端子とを有し
、
前記対象スイッチは、前記高電位用端子と前記制御用端子との間の電圧、又は前記制御用端子と低電位用端子との間の電圧である制御用電圧が閾値電圧以上になるとONになる半導体スイッチであり、
前記低電位用端子側から前記高電位用端子側に電流が流れる逆電流期間(T3)には、前記高電位用端子側から前記低電位用端子側に電流が流れる順電流期間に比べて前記制御用電圧を小さくする制御部(48)を有する
、
過電流検出装置(40H,40L)。
【請求項10】
前記対象スイッチに対して並列に接続されているコンデンサ(441,442)の直列接続体を有し、
前記検出部は、前記コンデンサにより分圧された電圧を前記検出電圧として検出する、請求項1~
4,6,7,9のいずれか1項に記載の過電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路に過電流が流れている過電流異常を検出する過電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチを有する回路に対する過電流検出装置の中には、スイッチをONにした際のスイッチの端子間電圧に基づいて過電流異常か否かを判定するものがある。
【0003】
具体的には、正常時においてスイッチをONにした場合には、スイッチの端子間電圧は所定の飽和電圧にまで低下する。他方、回路に短絡等が生じている場合においてスイッチをONにした際には、スイッチに想定以上の大電流が流れることにより、スイッチの端子間電圧は飽和電圧以上の不飽和電圧になってしまう。
【0004】
その点を利用して、スイッチの端子間電圧が飽和電圧であるか不飽和電圧であるかに基づいて、過電流異常か否かを判定する。以上のような技術を示す文献としては、次の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチのターンON直後においては、正常時であっても、直ちにスイッチの端子間電圧が飽和電圧にまで低下する訳ではなく、不飽和電圧から多少のタイムラグをおいて飽和電圧に低下する。そのため、ターンON直後において、直ちにスイッチの端子間電圧が不飽和電圧であることに基づいて、過電流異常と判定したのでは、回路が正常であるにも関わらず、過電流異常と誤判定してしまうおそれがある。
【0007】
そのため、不飽和電圧であるなら直ちに過電流異常と判定するのではなく、例えば、誤判定を避けるためのフィルタ時間等を設定して、フィルタ時間経過後等においても不飽和電圧であることに基づいて、過電流異常と判定する必要がある。
【0008】
他方、回路の正常時において、ターンONからしばらく経過した後では、基本的にはスイッチの端子間電圧は飽和電圧を維持する。そのため、回路の正常時において、ターンONからしばらく経過した後では、ターンON直後とは違い、スイッチの端子間電圧が長時間不飽和電圧となる可能性は低い。それにも関わらず、過剰なフィルタ時間等を設定したのでは、過電流異常か否かの判定が無駄に遅くなり、フェイルセーフ処理等の対処の遅れに繋がる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ターンON直後において正常なのに過電流異常とする誤判定を抑制しつつ、過電流異常を速やかに検出できる過電流検出装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電流検出装置は、検出部と第1判定部と第2判定部とを有する。前記検出部は、対象スイッチの端子間電圧に基づいて決まる電圧である検出電圧を検出する。前記第1判定部は、前記対象スイッチがターンONされてから所定期間経過するまでの期間である第1期間において、前記検出電圧に基づいて、前記対象スイッチに過電流が流れている過電流異常か否かを判定する第1判定処理を行う。前記第2判定部は、前記第1期間に続く期間であって前記対象スイッチがONの期間である第2期間において、前記第1判定処理を行った場合よりも早期に前記過電流異常と判定する第2判定処理を行う。
【0011】
本発明によれば、ターンON直後の第1期間においては第1判定処理を行う一方、第1期間に続く第2期間においては、第1判定処理よりも早期に過電流異常であると判定する第2判定処理を行う。そのため、ターンON直後の第1期間においては、第2期間よりも判定に時間をかけることにより、正常なのに過電流異常とする誤判定を抑制しつつも、第1期間に続く第2期間においては、過電流異常を速やかに検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態のインバータ及びその周辺を示す回路図
【
図3】スイッチ間電圧及びデサット検出電圧を示すグラフ
【
図5】スイッチ間電圧及びデサット検出電圧の推移を示すグラフ
【
図7】スイッチ間電圧及びデサット検出電圧の推移を示すグラフ
【
図8】第4実施形態の駆動回路及びその周辺を示す回路図
【
図9】第5実施形態のゲート電圧の推移を示すグラフ
【
図10】第6実施形態の駆動回路及びその周辺を示す回路図
【
図11】第7実施形態の駆動回路及びその周辺を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態で診断対象となるインバータ30及びその周辺を示す回路図である。インバータ30は、バッテリ10及び回転電機60に電気的に接続されている。なお、以下では、「電気的に接続」されていることを、単に「接続」されているという。インバータ30は、バッテリ10から供給される直流電力を3相交流電力に変換して回転電機60に供給することにより力行を行い、回転電機60で発生する交流電力を直流電力に変換してバッテリ10に供給することにより回生を行う。
【0015】
回転電機60は、ロータとステータとを有する。ロータは、ロータ磁石を有する。ステータは、ステータコアと、ステータコアに巻回されたU~Wの各相のコイル61~63とを有する。各相のコイル61~63の一端どうしは、中性点で接続されている。
【0016】
インバータ30は、U~Wの相毎に、上スイッチSWH及び下スイッチSWLと、それらを駆動する駆動回路40とを有する。上下の各スイッチSWH,SWLは、Nチャンネル型のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であって、コレクタcが高電位用端子を構成し、エミッタeが低電位用端子を構成し、ゲートgが制御用端子を構成している。
【0017】
各相のコイル61~63における中性点とは反対側の端は、自身の相の上スイッチSWHのエミッタeと、自身の相の下スイッチSWLのコレクタcとに接続されている。各相の上スイッチSWHのコレクタcは、バッテリ10の正極端子に接続され、各相の下スイッチSWLのエミッタeは、バッテリ10の負極端子に接続されている。それにより、各相のコイル61~63における中性点とは反対側の端は、自身の相の上スイッチSWHを介してバッテリ10の正極端子に接続されると共に、自身の相の下スイッチSWLを介してバッテリ10の負極端子に接続されている。
【0018】
上下の各スイッチSWH,SWLに対しては、フリーホイールダイオードDが逆並列接続されている。つまり、各フリーホイールダイオードDのアノードは、自身に対応するスイッチSWH/SWLのエミッタeに接続され、各フリーホイールダイオードDのカソードは、自身に対応するスイッチSWH/SWLのコレクタcに接続されている。
【0019】
インバータ30は、さらに平滑コンデンサ31を有する。平滑コンデンサ31の高電位用端子は、各相の上スイッチSWHのコレクタcに接続され、平滑コンデンサ31の低電位用端子は、各相の下スイッチSWLのエミッタeに接続されている。
【0020】
各上スイッチSWH及び各下スイッチSWLのゲートgには、自身に対応する相の駆動回路40が接続されている。各駆動回路40は、力行時には、自身に対応する相の上スイッチSWH及び下スイッチSWLのON/OFFを制御することにより、各コイル61~63にロータを回転させるための3相交流電流を発生させる。また、各駆動回路40は、回生時には、自身に対応する相の上スイッチSWH及び下スイッチSWLをOFFに固定したり、ON/OFFに制御したりすることにより、コイル61~63に発生する交流電力を直流電力に変換する。
【0021】
図2は、駆動回路40及びその周辺を示す回路図である。駆動回路40は、上スイッチSWHを駆動する上駆動回路40Hと、下スイッチSWLを駆動する下駆動回路40Lとを有する。以下では、上駆動回路40Hについてのみ説明する。下駆動回路40Lについての説明は、以下に示す上駆動回路40Hの説明において「上」及び「下」の各方を他方に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えたものと同様であるため、その記載を省略する。
【0022】
上駆動回路40Hは、上スイッチSWHを駆動するための構成として、スイッチ制御端子p2を有する制御回路48を備えており、スイッチ制御端子p2には、上スイッチSWHのゲートgが接続されている。スイッチ制御端子p2の出力電位がLowになると、上スイッチSWHのゲートgの電位とエミッタeの電位との差であるゲート電圧が閾値電圧未満になり、上スイッチSWHがOFFになる。他方、スイッチ制御端子p2の出力電位がHiになると、ゲート電圧が閾値電圧以上になり、上スイッチSWHがONになる。これらのON/OFFにより、力行や回生のためのスイッチ制御を行う。
【0023】
さらに、上駆動回路40Hは、上記の過電流異常を検出するために、コンデンサ44と定電流源46と放電スイッチ45とを有する。よって、上駆動回路40Hは、過電流検出装置を兼ねている。
【0024】
コンデンサ44は、上スイッチSWHに対して、ダイオード43を介して並列接続されている。具体的には、ダイオード43は、アノードがコンデンサ44の高電位用端子に接続され、カソードが上スイッチSWHのコレクタcに接続されている。コンデンサ44の低電位用端子は、上スイッチSWHのエミッタeに接続されている。定電流源46は、コンデンサ44の高電位用端子に対して接続されており、コンデンサ44に定電流を給電する。
【0025】
放電スイッチ45は、コンデンサ44に対して並列接続されている。具体的には、放電スイッチ45は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であって、ドレインdrが高電位用端子を構成し、ソースsoが低電位用端子を構成し、ゲートgaが制御用端子を構成している。放電スイッチ45は、ドレインdrがコンデンサ44の高電位用端子に接続され、ソースsoがコンデンサ44の低電位用端子に接続されている。
【0026】
制御回路48は、さらに放電制御端子p3を有し、放電制御端子p3には、放電スイッチ45のゲートgaが接続されている。制御回路48は、スイッチ制御端子p2の出力電位がLowになると放電制御端子p3の出力電位がHiになり、スイッチ制御端子p2の出力電位がHiになると放電制御端子p3の出力電位がLowになるように構成されている。つまり、制御回路48は、上スイッチSWHをOFFに制御する間は、放電スイッチ45をONに制御し、上スイッチSWHをONに制御する間は、放電スイッチ45をOFFに制御する。
【0027】
制御回路48は、さらに正極側検出端子p1と負極側検出端子p4とを有すると共に、検出部482と第1判定部483と第2判定部484とを有する。なお、これら検出部482、第1判定部483、第2判定部484は、模式的に示しており、例えば、これら3つのうちの2つ以上の少なくとも一部ずつが、共通の構成であってもよい。以下では、第1判定部483及び第2判定部484を、まとめて「判定部483,484」という。
【0028】
正極側検出端子p1は、コンデンサ44の高電位用端子に接続されている。負極側検出端子p4は、コンデンサ44の低電位用端子に接続されている。検出部482は、正極側検出端子p1に入力される電位と、負極側検出端子p4に入力される電位との差から、コンデンサ44の端子間電圧を検出する。以下では、その端子間電圧を「デサット検出電圧Vd」とする。判定部483,484は、そのデサット検出電圧Vdに基づいて、上記の過電流異常であるか否か判定する。以下にその判定原理を説明する。
【0029】
以下では、上下の各スイッチSWH,SWLのコレクタエミッタ間の電圧を、「上スイッチ間電圧VH」とし、下スイッチSWLのコレクタエミッタ間の電圧を、「下スイッチ間電圧VL」とする。
【0030】
上スイッチSWHがOFFである間は、放電スイッチ45がONでありコンデンサ44が放電されるため、コンデンサ44には充電されない。他方、上スイッチSWHがONになると、放電スイッチ45がOFFになるので、定電流源46からの給電がコンデンサ44に蓄積されることにより、コンデンサ44が充電される。
【0031】
ここで、コンデンサ44はダイオード43を介して上スイッチSWHに並列接続されているので、コンデンサ44の端子間電圧であるデサット検出電圧Vdが、上スイッチ間電圧VHよりも高くなると、定電流源46からの給電が、コンデンサ44には充電されず、ダイオード43を通過して上スイッチSWH側に流れ出る。そのため、コンデンサ44は、基本的には上スイッチ間電圧VH以上には充電されない。そのため、放電スイッチ45がONになると、最終的には、デサット検出電圧Vdが上スイッチ間電圧VHと略等しくなる。なお、正確には、ダイオード43に流れる電流や、コンデンサ44と上スイッチSWHとの間の配線に流れる電流によるドロップ電圧の分だけ、デサット検出電圧Vdの方が上スイッチ間電圧VHよりも高くなる。ただし、そのドロップ電圧は僅かなので、ここでは、上記のとおり、デサット検出電圧Vdと上スイッチ間電圧VHとが「略等しく」なると表現する。
【0032】
ところで、インバータ30の正常時においては、上スイッチSWHがONの時には、必ず同じ相の下スイッチSWLはOFFになるように制御される。同じ相の上スイッチSWHと下スイッチSWLとが同時にONになると、バッテリ10の正極端子が負極端子に短絡してしまうからである。その関係上、インバータ30の正常時において、上スイッチSWHがONになると、バッテリ電圧の大部分は、OFFである下スイッチSWLのコレクタエミッタ間にかかり、上スイッチ間電圧VHは、飽和電圧Vsatにまで低下する。他方、下スイッチSWLの端子間で短絡が生じているショート異常時において、上スイッチSWHがONになると、上スイッチSWHに過電流(短絡電流)が流れることにより、上スイッチ間電圧VHは、飽和電圧Vsatよりも高い不飽和電圧となる。なお、ここでの下スイッチSWLの端子間での短絡とは、下スイッチSWLのオープン故障の他、下スイッチSWLのコレクタcに接続されている配線とエミッタeに接続されている配線との配線間での短絡も含む。
【0033】
そして、上述の通り、コンデンサ44の端子間電圧であるデサット検出電圧Vdは、最終的には、上スイッチ間電圧VHと略等しくなる。そのため、判定部483,484は、デサット検出電圧Vdが飽和電圧Vsatと略等しければインバータ30が正常であり、デサット検出電圧Vdが不飽和電圧であれば、過電流異常であると判定できる。
【0034】
以上に示した判定原理に基づいて上駆動回路40Hが実際に行う判定について、以下に説明する。以下では、デサット検出電圧Vdが、飽和電圧Vsatよりも高い判定電圧Vthを上回っている時間を、「過電圧時間T」とする。判定部483,484は、過電圧時間Tが所定のフィルタ時間Tth1,Tth2を超えたことを条件に、過電流異常であると判定する。具体的には、第1判定部483は、過電圧時間Tが所定の第1フィルタ時間Tth1を超えたことを条件に、過電流異常と判定する第1判定処理を行う。他方、第2判定部484は、過電圧時間Tが、第1フィルタ時間Tth1よりも短い第2フィルタ時間Tth2を超えたことを条件に、過電流異常と判定する第2判定処理を行う。
【0035】
以下では、上スイッチSWHのコレクタ側からエミッタ側に電流が流れる期間を「順電流期間」とする。また、上スイッチSWHのエミッタ側からコレクタ側に電流が流れる期間、すなわちここでは、上スイッチSWHに逆並列接続されているフリーホイールダイオードDのアノードからカソードに電流が流れる期間を「逆電流期間T3」とする。また以下では、上スイッチSWHがターンONされてから所定時間経過するまでの期間を、「第1期間T1」とし、第1期間T1に続く期間であっての上スイッチSWHがONである期間を「第2期間T2」とする。
【0036】
制御回路48は、順電流期間及び逆電流期間T3のいずれであるか、並びに第1期間T1及び第2期間T2のいずれであるかに基づいて、第1判定処理及び第2判定処理の切り替えを行う。以下にその切り替えの詳細について説明する。
【0037】
制御回路48は、順電流期間であるか逆電流期間T3であるか判定する。その判定は、例えばバッテリ10とインバータ30との間の電流の方向に基づいて行ってもよいし、その他の検出値や指令値等からの算出に基づいて行ってもよい。
【0038】
制御回路48は、順電流期間において、第1期間T1であるか第2期間T2であるかを判定する。具体的には、制御回路48は、ターンON後にデサット検出電圧Vdが増加して飽和電圧Vsat以上の所定電圧を超えてから減少に転じたことに基づいて、第1期間T1から第2期間T2に移行したと判定する。そのため、制御回路48は、スイッチ制御端子p2の出力電位をHiにしてからデサット検出電圧Vdが当該減少に転じるまでは、第1期間T1である判定し、当該減少に転じてから、スイッチ制御端子p2の出力電位をLowにするまでは、第2期間T2であると判定する。
【0039】
制御回路48は、順電流期間における第1期間T1においては、第1判定部483により第1判定処理を行う。すなわち、過電圧時間Tが第1フィルタ時間Tth1を経過したことを条件に、過電流異常と判定する。他方、第2期間T2又は逆電流期間T3においては、第2判定部484により第2判定処理を行う。すなわち、過電圧時間Tが、第1フィルタ時間Tth1よりも短い第2フィルタ時間Tth2を経過したことを条件に、過電流異常と判定する。
【0040】
制御回路48は、第1判定部483又は第2判定部484により、過電流異常と判定した場合には、上スイッチSWHをターンOFFするフェイルセーフ処理を行う。
【0041】
ところで、逆電流期間T3におけるインバータ30の正常時においては、上スイッチSWHをONに制御している期間においても、上スイッチSWHに順方向に電流が流れることが無いので、上スイッチSWHのゲート電圧を小さくしても特に問題はない。他方、逆電流期間T3であっても、下スイッチSWLの端子間に短絡が発生した際には、上スイッチSWHのゲート電圧が高いほど、上スイッチSWHに順方向に大電流が流れる。そこで、制御回路48は、逆電流期間T3であると判定した場合には、逆電流期間T3であると判定しない場合に比べて上スイッチSWHのゲート電圧を小さくなるように制御する。すなわち、スイッチ制御端子p2の出力電位がHiの時の当該出力電位を、抑えるように制御する。
【0042】
また、インバータ30の稼働時には、インバータ30に重畳される重畳サージにより、デサット検出電圧Vdが所定の重畳サージ期間の間、変動することがある。そのため、第1フィルタ時間Tth1よりも短い第2フィルタ時間Tth2でさえ、その重畳サージ期間よりも長くなるように設定されている。
【0043】
次に、
図3のタイムチャートを参照しつつ、上駆動回路40Hによる過電流異常の検出について説明する。
【0044】
図3(a)は、インバータ30の正常時における順電流期間での上スイッチ間電圧VH及びデサット検出電圧Vdの推移を示すグラフである。タイミング#2において上スイッチSWHがターンONされると、第1期間T1が開始されたと判定されて、フィルタ時間として第1フィルタ時間Tth1が設定される、つまり、第1判定処理が開始される。それと共に、放電スイッチ45がターンOFFされる。このとき、上スイッチSWHのターンONにより、上スイッチ間電圧VHが減少を開始すると共に、放電スイッチ45のターンOFFにより、デサット検出電圧Vdが増加を開始する。
【0045】
上スイッチ間電圧VHの減少は、上スイッチ間電圧VHが飽和電圧Vsatになるまで続く。他方、デサット検出電圧Vdの増加は、デサット検出電圧Vdが上スイッチ間電圧VHと等しくなるまで続く。そのため、デサット検出電圧Vdは、一旦、飽和電圧Vsatよりも高い上スイッチ間電圧VHになった後、上スイッチ間電圧VHの減少と共に飽和電圧Vsatまで減少する。このとき、タイミング#3において、デサット検出電圧Vdが増加から減少に転じたことに基づいて、第1期間T1から第2期間T2に移行したと判定されて、フィルタ時間が第1フィルタ時間Tth1から第2フィルタ時間Tth2に切り替えられる。つまり、第1判定処理から第2判定に切り替えられる。
【0046】
このように、順電流期間における第1期間T1には、正常時であってもデサット検出電圧Vdが一旦不飽和電圧になる。そのため、第1フィルタ時間Tth1は、この時の不飽和電圧によって過電流異常と誤判定されないだけ、十分に長いものとなっている。
【0047】
図3(b)は、順電流期間において、第1期間T1以前に下スイッチSWLの端子間で短絡が生じた場合としての第1期間以前短絡ケースにおける、上スイッチ間電圧VH及びデサット検出電圧Vdの推移を示すグラフである。まず、上スイッチSWHのOFF期間におけるタイミング#1に下スイッチSWLの端子間で短絡が生じる。その後のタイミング#2に、上スイッチSWHがターンONされると、フィルタ時間として第1フィルタ時間Tth1が設定されて第1判定処理が開始されると共に、放電スイッチ45がターンOFFされる。
【0048】
このとき、上スイッチSWHのターンONにより、上スイッチ間電圧VHは、一旦減少を開始するが、下スイッチSWLの端子間で短絡していることにより、上スイッチSWHには過剰な電流が流れて、上スイッチ間電圧VHが再び増加する。そのため、デサット検出電圧Vdは、上スイッチ間電圧VHに到達できず、増加を継続する。デサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えて、過電圧時間Tがタイミング#4において第1フィルタ時間Tth1を経過すると、フェイルセーフ処理により、上スイッチSWHがターンOFFされる。それに伴い、放電スイッチ45がターンONされ、デサット検出電圧Vdが減少する。
【0049】
図3(c)は、順電流期間において、第2期間T2に下スイッチSWLの端子間で短絡が生じた場合としての第2期間短絡ケースにおける、上スイッチ間電圧VH及びデサット検出電圧Vdの推移を示すグラフである。
図3(c)については、
図3(a)に示す正常時と異なる点を中心に説明する。
【0050】
タイミング#3において、フィルタ時間が第1フィルタ時間Tth1から第2フィルタ時間Tth2に切り替わって第2判定処理が開始された後、第2期間T2内のタイミング#5において下スイッチSWLが短絡する。それにより、上スイッチSWHに過剰な電流が流れて、上スイッチ間電圧VHが増加する。それに追従する形でデサット検出電圧Vdが増加する。デサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えて、過電圧時間Tがタイミング#6において第2フィルタ時間Tth2を経過すると、フェイルセーフ処理により上スイッチSWHがターンOFFされる。それに伴い、放電スイッチ45がターンONされて、デサット検出電圧Vdが減少する。
【0051】
このときの第2フィルタ時間Tth2は、第1フィルタ時間Tth1よりも短い。そのため、フィルタ時間が第1フィルタ時間Tth1である場合に比べて、第1フィルタ時間Tth1と第2フィルタ時間Tth2との差である所定時間ΔTだけ、上スイッチSWHがターンOFFされるタイミングが早くなる。
【0052】
図3(d)は、逆電流期間T3において、下スイッチSWLの端子間で短絡が生じた場合としての逆電流期間短絡ケースにおける、上スイッチ間電圧VH及びデサット検出電圧Vdの推移を示すグラフである。
【0053】
逆電流期間T3における上スイッチSWHがOFFの期間においては、フリーホイールダイオードDに流れる電流によるドロップ電圧により、上スイッチ間電圧VHがマイナスになると共に、デサット検出電圧Vdは略ゼロになる。その後、タイミング#2において上スイッチSWHがターンONされると、フィルタ時間として第2フィルタ時間Tth2が設定されると共に、放電スイッチ45がターンOFFされる。
【0054】
このように逆電流期間T3には、上スイッチSWHのターンONと同時に第2フィルタ時間Tth2が設定されることにより、ターンON直後から第2判定処理が行われる。このとき、上スイッチSWHのターンONによっても、上スイッチSWHに順方向に電流が流れることにはならないので、上スイッチ間電圧VHはマイナスのままである。そのため、デサット検出電圧Vdも略ゼロのままである。
【0055】
その後、タイミング#7において、下スイッチSWLの端子間で短絡が生じると、上スイッチSWHに順方向に過剰な電流が流れることにより、上スイッチ間電圧VHが増加すると共に、それに追従する形でデサット検出電圧Vdが増加する。デサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えて、過電圧時間Tがタイミング#8において第2フィルタ時間Tth2を経過すると、フェイルセーフ処理により上スイッチSWHがターンOFFされる。それに伴い、放電スイッチ45がターンONされて、デサット検出電圧Vdが減少する。
【0056】
このときも、
図3(c)の場合と同様に、フィルタ時間が第1フィルタ時間Tth1である場合に比べて、第1フィルタ時間Tth1と第2フィルタ時間Tth2との差である所定時間ΔTだけ、上スイッチSWHがターンOFFされるタイミングが早くなる。
【0057】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0058】
順電流期間の第1期間T1においては第1判定処理を行う一方、第2期間T2や逆電流期間T3においては、第1判定処理よりも早期に過電流異常と判定する第2判定処理を行う。そのため、たとえ正常時であってもデサット検出電圧Vdが一時的に不飽和電圧になる期間である、順電流期間の第1期間T1においては、判定に時間をかけることにより、正常なのに過電流異常とする誤判定を抑制できる。他方、それ以外の第2期間T2や逆電流期間T3においては、過電流異常を速やかに検出できる。
【0059】
第1判定処理では、過電圧時間Tが第1フィルタ時間Tth1を経過したことを条件に過電流異常と判定し、第2判定では、過電圧時間Tが、第1フィルタ時間Tth1よりも短い第2フィルタ時間Tth2を経過したことを条件に過電流異常と判定する。それにより、第1判定処理は時間をかけて慎重に行う一方、第2判定処理は速やかに行う構成を、効率的に実現できる。
【0060】
インバータ30の稼働時には、インバータ30に重畳される重畳サージにより、デサット検出電圧Vdが所定の重畳サージ期間の間、変動することがある。その点、本実施形態では、第1フィルタ時間Tth1よりも短い第2フィルタ時間Tth2でさえ、その重畳サージ期間よりも長くなるように設定される。そのため、重畳サージにより過電流異常と誤判定されてしまう心配もない。
【0061】
制御回路48は、デサット検出電圧Vdが増加から減少に転じたことを条件に、第1期間T1から第2期間T2に移行したと判定する。それにより、第1期間T1であるか第2期間T2であるかを効率的に判定できる。
【0062】
上述のとおり、逆電流期間T3においては、正常時には、上スイッチSWHのゲート電圧を小さくしても特に問題はない一方、下スイッチSWLの端子間に短絡が発生した際には、上スイッチSWHのゲート電圧が高いほど、上スイッチSWHに順方向に大電流が流れる。その点、制御回路48は、逆電流期間T3であると判定した場合には、逆電流期間T3であると判定しない場合に比べて上スイッチSWHのゲート電圧を小さくなるように制御する。それにより、逆電流期間T3において下スイッチSWLの端子間に短絡が生じた際に、上スイッチSWHに順方向に大電流が流れるのを抑制できる。また、上記の上スイッチSWHの場合と同様に、下スイッチSWLのゲート電圧を制御することにより、逆電流期間T3において上スイッチSWHの端子間に短絡が発生した際に、下スイッチSWLに順方向に大電流が流れるのを抑制できる。
【0063】
[第2実施形態]
次に
図4,
図5を参照しつつ、判定電圧を切り替える第2実施形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、それ以前の実施形態のものと同一の又は対応する部材等について同一の符号を付する。以下の各実施形態においても、上駆動回路40Hについてのみ説明する。下駆動回路40Lについての説明は、第1実施形態の場合と同様に、上駆動回路40Hの説明において「上」及び「下」の各方を他方に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えたものと同様であるため、その記載を省略する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、説明を適宜省略する。
【0064】
本実施形態では、第1判定処理と第2判定処理との間で、フィルタ時間ではなく、判定電圧を切り替える。具体的には、第1判定処理では、判定電圧として第1判定電圧Vth1を設定し、第2判定処理では、判定電圧として、第1判定電圧Vth1よりも低い第2判定電圧Vth2を設定する。そして、第1判定処理では、デサット検出電圧Vdが第1判定電圧Vth1を超えたことを条件に、過電流異常と判定し、第2判定では、デサット検出電圧Vdが第2判定電圧Vth2を超えたことを条件に、過電流異常と判定する。判定電圧の切り替えは、例えば次の
図4に示す構成により実現できる。
【0065】
図4は、本実施形態の駆動回路40を示す回路図である。各制御回路48は、第1コンパレータ485と第2コンパレータ487と判定回路489とを有する。第1コンパレータ485及び第2コンパレータ487が、検出部482を構成し、第1コンパレータ485及び判定回路489が、第1判定部483を構成し、第2コンパレータ487及び判定回路489が、第2判定部484を構成している。なお、この
図4では、スイッチ制御端子p2や放電制御端子p3等の図示を省略している。
【0066】
第1コンパレータ485の非反転入力端子は、正極側検出端子p1に接続され、第1コンパレータ485の反転入力端子は、第1電圧源486を介して負極側検出端子p4に接続されている。第1電圧源486の端子間電圧は、第1判定電圧Vth1である。そのため、第1コンパレータ485は、デサット検出電圧Vdが第1判定電圧Vth1よりも低い場合は、出力電圧をLowにし、デサット検出電圧Vdが第1判定電圧Vth1よりも高い場合は、出力電圧をHiにする。
【0067】
第2コンパレータ487の非反転入力端子は、正極側検出端子p1に接続され、第2コンパレータ487の反転入力端子は、第2電圧源488を介して負極側検出端子p4に接続されている。第2電圧源488の端子間電圧は、第2判定電圧Vth2である。そのため、第2コンパレータ487は、デサット検出電圧Vdが第2判定電圧Vth2よりも低い場合は、出力電圧をLowにし、デサット検出電圧Vdが第2判定電圧Vth2よりも高い場合は、出力電圧をHiにする。
【0068】
第1コンパレータ485の出力電圧及び第2コンパレータ487の出力電圧は、それぞれ判定回路489に入力される。判定回路489は、順電流期間の第1期間T1においては、第2コンパレータ487の出力電圧に関係なく、第1コンパレータ485の出力電圧がHiであることを条件に、過電流異常と判定する。それにより、第2判定電圧Vth2に関係なく、デサット検出電圧Vdが第1判定電圧Vth1よりも高いことを条件に、過電流異常と判定する。
【0069】
他方、第2期間T2又は逆電流期間T3においては、判定回路489は、第1コンパレータ485の出力電圧に関係なく、第2コンパレータ487の出力電圧がHiであることを条件に、過電流異常と判定する。それにより、第1判定電圧Vth1に関係なく、デサット検出電圧Vdが第2判定電圧Vth2よりも高いことを条件に、過電流異常と判定することになる。
【0070】
次に、
図5のタイムチャートを参照しつつ、
図3と異なる点を中心に、上駆動回路40Hによる上スイッチSWHによる過電流異常の検出について説明する。
【0071】
図5(a)に示すように、本実施形態では、タイミング#3において、デサット検出電圧Vdが増加から減少に転じたことに基づいて、フィルタ時間ではなく、判定電圧を切り替える。具体的には、当該減少に基づいて、判定電圧を第1判定電圧Vth1から第2判定電圧Vth2に切り替える。なお、当該減少に転じたタイミング#3において、第2判定電圧Vth2の方が、デサット検出電圧Vdよりも低い場合は、例えば、デサット検出電圧Vdが第2判定電圧Vth2を下回ったタイミングで当該切り替えを行うようにするとよい。
【0072】
図5(b)に示すように、順電流期間の第1期間T1においては、過電圧時間Tが第1フィルタ時間Tth1を経過したことではなく、デサット検出電圧Vdが第1判定電圧Vth1を超えたことを条件に、過電流異常と判定して、タイミング#4において、上スイッチSWHをターンOFFする。
【0073】
図5(c)(d)に示すように、第2期間T2又は逆電流期間T3においては、過電圧時間Tが第2フィルタ時間Tth2を経過したことではなく、デサット検出電圧Vdが第2判定電圧Vth2を超えたことを条件に、過電流異常と判定して、タイミング#6,#8において、上スイッチSWHをターンOFFする。
【0074】
このときの第2判定電圧Vth2は、上記の第1判定電圧Vth1よりも低い。そのため、判定電圧が第1判定電圧Vth1である場合に比べて、所定時間ΔTだけ、上スイッチSWHをターンOFFするタイミングが早くなる。
【0075】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。第1判定処理では、デサット検出電圧Vdが第1判定電圧Vth1を超えたことを条件に、過電流異常と判定し、第2判定処理では、デサット検出電圧Vdが、第1判定電圧Vth1よりも低い第2判定電圧Vth2を超えたことを条件に、過電流異常と判定する。それにより、第1判定処理は時間をかけて慎重に行う一方、第2判定処理は速やかに行う構成を、第1実施形態とは異なる態様により実現できる。
【0076】
[第3実施形態]
次に
図6,
図7を参照しつつ、コンデンサ44の充電速度を切り替える第3実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、説明を適宜省略する。
【0077】
本実施形態では、第1判定処理と第2判定処理との間で、フィルタ時間ではなく、コンデンサ44の充電速度を切り替える。具体的には、第1判定処理では低速充電を行い、第2判定では高速充電を行う。そして、第1判定処理では、低速充電状態においてデサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えたことを条件に、過電流異常と判定し、第2判定では、高速充電状態においてデサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えたことを条件に、過電流異常と判定する。充電速度の切り替えは、例えば次の
図6に示す構成により実現できる。
【0078】
図6は、本実施形態の上駆動回路40Hを示す回路図である。本実施形態では、定電流源46の代わりに給電装置460を有する。給電装置460は、電圧源461と切替スイッチ462と第1抵抗463と第2抵抗464とを有する。第1抵抗463よりも第2抵抗464の方が電気抵抗値が小さい。切替スイッチ462は、電圧源461を第1抵抗463を介してコンデンサ44に接続する低速充電状態と、電圧源461を第2抵抗464を介してコンデンサ44に接続する高速充電状態とに切り替える。制御回路48は、切替スイッチ462を制御することにより、第2期間T2又は逆電流期間T3以外には低速充電状態にし、第2期間T2又は逆電流期間T3には高速充電状態にする。
【0079】
次に、
図7のタイムチャートを参照しつつ、
図3との違いを中心に、上駆動回路40Hによる過電流異常の検出について説明する。
【0080】
図7(a)に示すように、本実施形態では、タイミング#3において、デサット検出電圧Vdが増加から減少に転じたことに基づいて、フィルタ時間ではなく、充電速度が変更される。具体的には、当該減少に基づいて、低速充電状態から高速充電状態に変更される。
【0081】
図7(b)に示すように、順電流期間の第1期間T1においては、過電圧時間Tが第1フィルタ時間Tth1を経過したことではなく、低速充電状態においてデサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えたことを条件に、過電流異常と判定して、タイミング#4において、上スイッチSWHをターンOFFする。
【0082】
図7(c)(d)に示すように、第2期間T2又は逆電流期間T3においては、過電圧時間Tが第2フィルタ時間Tth2を経過したことではなく、高速充電状態においてデサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えたことを条件に、過電流異常と判定して、タイミング#6,#8において、上スイッチSWHをターンOFFする。
【0083】
このとき高速充電状態であることにより、低速充電状態の場合に比べて、デサット検出電圧Vdの増加が早くなるので、デサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超える時間が、低速充電状態の場合に比べて所定時間ΔTだけ早くなる。そのため、所定時間ΔTだけ、上スイッチSWHをターンOFFするタイミングが早くなる。
【0084】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。第1判定処理ではコンデンサ44の低速充電を行い、第2判定ではコンデンサ44の高速充電を行う。そして、第1判定処理及び第2判定処理では、コンデンサ44の端子間電圧であるデサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えたことを条件に、過電流異常と判定する。そのため、判定電圧Vthが同じでも、第1判定処理よりも第2判定処理の方が速やかに過電流異常と判定できる。それにより、第1判定処理は時間をかけて慎重に行う一方、第2判定処理は速やかに行う構成を、第1,第2実施形態とは異なる態様により実現できる。
【0085】
また、給電装置460は、第1抵抗463を介してコンデンサ44に給電することにより低速充電を行い、第2抵抗464を介してコンデンサ44に給電することにより高速充電を行う。そのため、定電圧源を2つ設置する必要はなく、給電装置460をコンパクトにまとめることができる。
【0086】
[第4実施形態]
次に
図8を参照しつつ、デサット検出方式とセンス検出方式を併用する第4実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、説明を適宜省略する。
【0087】
図8は、本実施形態の駆動回路40を示す回路図である。第1判定部483は、第1実施形態の場合と同様にデサット検出方式により第1判定処理を行う。他方、第2判定部484は、センス検出方式により第2判定処理を行う。そのため、上駆動回路40H及び下駆動回路40Lは、センス電流検出回路47を備えている。
【0088】
まず、上駆動回路40Hについて説明する。上スイッチSWHは、コレクタエミッタ間に流れるコレクタ電流に比例して流れるセンス電流を検出するための端子としてのセンスsを有する。センス電流検出回路47は、シャント抵抗471とコンパレータ472とを有する。シャント抵抗471の高電位用端子は、上スイッチSWHのセンスsに接続され、シャント抵抗471の低電位用端子は、上スイッチSWHのエミッタeに接続されている。
【0089】
コンパレータ472の非反転入力端子は、シャント抵抗471の高電位用端子に接続され、コンパレータ472の反転入力端子は、電圧源473を介してシャント抵抗471の低電位用端子に接続されている。電圧源473の端子間電圧は、センス判定電圧である。よって、シャント抵抗471の端子間電圧がセンス判定電圧よりも低い時は、コンパレータ472の出力電圧はLowである。他方、シャント抵抗471にある程度のセンス電流が流れて、シャント抵抗471の端子間電圧がセンス判定電圧よりも高くなると、出力電圧はHiとなる。
【0090】
、
制御回路48はセンス検出端子p5を有し、そのセンス検出端子p5に、コンパレータ472の出力端子が接続されている。第2判定部484は、第2期間T2又は逆電流期間T3において、過電圧時間Tが第2フィルタ時間Tth2を超えたことではなく、センス検出端子p5に入力される信号がHiであることを条件に、過電流異常と判定する。それにより、センス電流が所定値以上であることを条件に、過電流異常と判定する。
【0091】
本実施形態によれば次の効果が得られる。順電流期間において上スイッチSWHをターンONした直後においては、たとえインバータ30の正常時であっても、当該ターンONによるサージ電流が上スイッチSWHに流れる。そのため、第1期間T1においては、上スイッチSWHのセンス電流に基づいて、過電流の有無を判定するのは難しい。他方、第2期間T2や逆電流期間T3においては、インバータ30の正常時には、上スイッチSWHのターンONによるサージ電流が上スイッチSWHに流れない。
【0092】
ところで、下スイッチSWLの端子間で短絡が生じている場合には、上スイッチSWHのターンONに伴い、デサット検出電圧Vdよりもコレクタ電流の方が素早く変化しやすい。まずコレクタ電流が上昇してから、そのコレクタ電流によるドロップ電圧によりデサット検出電圧Vdが変化するからである。そのコレクタ電流に、センス電流は比例する。
【0093】
その点、順電流期間の第1期間T1に行う第1判定処理においては、たとえインバータ30の正常時であっても、上スイッチSWHのターンONによるサージ電流が上スイッチSWHに流れるので、センス電流ではなく、デサット検出電圧Vdに基づいて過電流異常か否かを判定する。他方、第2期間T2又は逆電流期間T3に行う第2判定処理においては、上スイッチSWHのターンONによるサージ電流が上スイッチSWHに流れないので、センス電流に基づいて判定する。それにより、第1判定処理は時間をかけて慎重に行う一方、第2判定処理は速やかに行う構成を、第1~第3実施形態とは異なる態様により実現できる。
【0094】
[第5実施形態]
次に
図9を参照しつつ、ゲート電圧に基づいて第1期間T1から第2期間T2に移行したことを判定する第5実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、説明を適宜省略する。
【0095】
まず、上駆動回路40Hについて説明する。制御回路48は、デサット検出電圧Vdが増加から減少に転じたことではなく、上スイッチSWHのゲート電圧の変化に基づいて、第1期間T1から第2期間T2に移行したことを判定する。
【0096】
具体的には、インバータ30の正常時には、
図9(a)示すように、タイミング#2で上スイッチSWHがターンONされるのに伴い、上スイッチSWHのゲート電圧が2段階で増加する。上スイッチSWHのゲートエミッタ間の規制容量により、ゲート電圧が一定期間略横ばいになり増加しないミラー期間が発生するからである。
【0097】
そこで、本実施形態では、制御回路48は、スイッチ制御端子p2と負極側検出端子p4との電位差によりゲート電圧をモニタしておき、ミラー期間が出現してからゲート電圧が上限電圧に到達した場合には、第1期間T1から第2期間T2に移行したと判定する。具体的には、ゲート電圧が、ミラー期間での電圧であるミラー電圧よりも低い閾値を超え、かつそれから所定期間経過後に、ミラー電圧よりも高い閾値を超えたことを条件に、第1期間T1から第2期間T2に移行したと判定することができる。それにより、フィルタ時間を第1フィルタ時間Tth1から第2フィルタ時間Tth2に切り替える。
【0098】
他方、過電流異常の時には、
図9(b)示すように、タイミング#2で上スイッチSWHがターンONされても、ミラー期間が出現しないままゲート電圧がミラー電圧を超えて上限電圧に到達する。そのため、ミラー期間が出現しないままゲート電圧が上限電圧に到達した場合には、そのままフィルタ時間を第1フィルタ時間Tth1に維持して、第1判定処理を継続する。そして、過電圧時間Tが第1フィルタ時間Tth1を超えたことを条件に、過電流異常と判定する。
【0099】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。制御回路48は、ゲート電圧の変化に基づいて、第1期間T1から第2期間T2に移行したと判定する。そのため、第1実施形態等とは異なる態様により、第1期間T1から第2期間T2に移行したことを判定できる。
【0100】
[第6実施形態]
次に、
図10を参照しつつ、上下の各スイッチ間電圧VH,VLを直接、デサット検出電圧Vdとして検出する第6実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、説明を適宜省略する。
【0101】
図10は、本実施形態の駆動回路及びその周辺を示す回路図である。まず、上駆動回路40Hについて説明する。本実施形態の上駆動回路40Hは、第1実施形態でいうダイオード43、コンデンサ44、放電スイッチ45、定電流源46を有していない。制御回路48の正極側検出端子p1には、上スイッチSWHの高電位用端子が接続され、制御回路48の負極側検出端子p4には、上スイッチSWHの低電位用端子が接続されている。そのため、検出部482は、上スイッチ間電圧VHを直接、デサット検出電圧Vdとして検出する。
【0102】
本実施形態では、第1判定部483は、第1実施形態の場合よりも長い第1フィルタ時間Tth1を設定することが好ましい。本実施形態では、ターンON直後からデサット検出電圧Vdが不飽和電圧になるからである。また、第2判定部484も、第1実施形態の場合よりも長い第2フィルタ時間Tth2を設定することが好ましい。第1実施形態の場合よりも、デサット検出電圧Vdにノイズが重畳し易くなるからである。
【0103】
本実施形態によれば、上スイッチ間電圧VH及び下スイッチ間電圧VLを直接、デサット検出電圧Vdとして検出することにより、簡易な構成でデサット検出機能を実現できる。
【0104】
[第7実施形態]
次に
図11を参照しつつ、スイッチ間電圧VH,VLを分圧する第7実施形態について説明する。本実施形態については、第6実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第6実施形態と同一又は類似の部分については、説明を適宜省略する。
【0105】
図11は、本実施形態の駆動回路及びその周辺を示す回路図である。まず、上駆動回路40Hについて説明する。上スイッチSWHと並列に2つのコンデンサ441,442の直列接続体が接続されている。そして、制御回路48の正極側検出端子p1は、一方のコンデンサ442の高電位用端子の電位を検出し、制御回路48の負極側検出端子p4は、当該一方のコンデンサ442の低電位用端子の電位を検出する。
【0106】
すなわち、本実施形態では、制御回路48は、コンデンサ441,442により分圧された電圧をデサット検出電圧Vdとして検出する。なお、ここでの判定電圧は、例えば、第1実施形態の場合の判定電圧Vthに、分圧比を乗じたものとするとよい。
【0107】
本実施形態によれば、制御回路48は、コンデンサ441,442により分圧された電圧をデサット検出電圧Vdとして検出するので、制御回路48に入力されるデサット検出電圧Vdを抑えることができる。そのため、制御回路48の耐圧を抑えることができる。
【0108】
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。
【0109】
図1等に示すように、各実施形態における上下の各スイッチSWH,SWLは、Nチャンネル型のIGBTであるが、これに代えて、Pチャンネル型のIGBTや、Nチャンネル型又はPチャンネル型のMOSFETや、NPN型又はPNP型のバイポータトランジスタにしてもよい。なお、上下の各スイッチSWH,SWLを、Pチャンネル型やPNP型にする場合、各実施形態とは反対に、エミッタ又はソースが高電位用端子となり、コレクタ又はドレインが低電位用端子となる。また、上下の各スイッチSWH,SWLを、MOSFET又はバイポーラトランジスタにする場合、寄生ダイオードを有するため、フリーホイールダイオードDを省略できる。
【0110】
各実施形態では、3相交流用のインバータ30の過電流異常の検出を行っているが、これに代えて、例えばDC/DCコンバータ等の、スイッチを有するその他の回路の過電流異常の検出を行ってもよい。
【0111】
各実施形態において、
図2に示す定電流源46等は常に給電しているが、自身に対応するスイッチSWH,SWLのターンONに伴い給電を開始し、ターンOFFに伴い当該給電を停止するようにしてもよい。
【0112】
図3(c)(d)に示すように、第1実施形態では、順電流期間における第2期間T2と、逆電流期間T3とで、同じ第2フィルタ時間Tth2を設定しているが、これに代えて、互いに異なる第2フィルタ時間Tth2を設定するようにしてもよい。また、第2実施形態の場合においても同様に、
図5(c)(d)に示すように、順電流期間における第2期間T2と、逆電流期間T3とで、同じ第2判定電圧Vth2を設定しているが、これに代えて、互いに異なる第2判定電圧Vth2を設定するようにしてもよい。
【0113】
図5に示すように、第2実施形態では、デサット検出電圧Vdが、第1判定電圧Vth1又は第2判定電圧Vth2を超えたことを条件に、過電流異常と判定している。これに代えて、デサット検出電圧Vdが、第1判定電圧Vth1又は第2判定電圧Vth2を超えている時間としての過電圧時間がフィルタ時間を超えたことを条件に、過電流異常と判定するようにしてもよい。
【0114】
図6に示す第3実施形態では、給電装置460が、切替スイッチ462と第1抵抗463と第2抵抗464とを有しているが、これらに代えて、可変抵抗を有していてもよい。
【0115】
図7に示すように、第3実施形態では、デサット検出電圧Vdが、判定電圧Vthを超えたことを条件に過電流異常と判定しているが、これに代えて、デサット検出電圧Vdが判定電圧Vthを超えている時間としての過電圧時間がフィルタ時間を超えたことを条件に、過電流異常と判定するようにしてもよい。
【0116】
第3~第6実施形態は、第1実施形態をベースに実施しているが、これらに代えて、その他の実施形態をベースに実施してもよい。具体的には、例えば、第5実施形態を、第2実施形態をベースに実施する場合には、ゲート電圧の変化に基づいて、フィルタ時間Tth1,Tth2ではなく、判定電圧Vth1,Vth2を切り替えることになる。
【0117】
図11に示す第7実施形態では、上下の各スイッチ間電圧VH,VLをコンデンサ441,442により分圧しているが、これに代えて、抵抗により分圧するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
30…インバータ、40H…上駆動回路、40L…下駆動回路、482…検出部、483…第1判定部、484…第2判定部、SWH…上スイッチ、SWL…下スイッチ、T1…第1期間、T2…第2期間、Vd…デサット検出電圧、VH…上スイッチ間電圧、VL…下スイッチ間電圧。