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特許7420033プローブ情報送信装置、電波マップ更新装置、電波マップ提供装置、及び電波マップ取得利用装置
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  • 特許-プローブ情報送信装置、電波マップ更新装置、電波マップ提供装置、及び電波マップ取得利用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】プローブ情報送信装置、電波マップ更新装置、電波マップ提供装置、及び電波マップ取得利用装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20240116BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20240116BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240116BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20240116BHJP
【FI】
H04W16/18 110
G08G1/13
G08G1/00 A
H04W4/46
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020161472
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054331
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】230120499
【弁護士】
【氏名又は名称】藤江 和典
(74)【代理人】
【識別番号】100201385
【弁理士】
【氏名又は名称】中安 桂子
(72)【発明者】
【氏名】河合 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中田 恒夫
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-034103(JP,A)
【文献】特開2016-008939(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187884(WO,A1)
【文献】特開2010-230501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0255430(US,A1)
【文献】特開2012-022478(JP,A)
【文献】特開2014-132711(JP,A)
【文献】特開2010-062783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G01S5/00-5/14
19/00-19/55
G08G1/00-99/00
H04B1/60
3/46-3/493
7/24-7/26
17/00-17/40
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたプローブ情報送信装置(100)、及び前記プローブ情報送信装置からプローブ情報を受信して電波マップを生成又は更新する電波マップ更新装置(200)、とを有する電波マップ生成システムであって、
前記プローブ情報送信装置は、
前記移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部(101)と、
前記位置情報の測位精度を示す測位精度情報を生成する測位精度情報生成部(109)と、
外部の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部(102)と、
前記現在位置において、前記無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報を取得する伝搬環境情報取得部(103)と、
前記位置情報、前記測位精度情報、及び前記伝搬環境情報を前記プローブ情報として前記電波マップ更新装置に送信する送信部(105)と、を有し、
前記電波マップ更新装置は、
第1の基準位置の測位精度が相対的に高い場合の前記第1の基準位置を示す第1の基準位置情報、及び前記第1の基準位置における電波伝搬路の第1の基準伝搬環境情報を有する第1の電波マップを保存する第1の保存部(201)と、
第2の基準位置の測位精度が相対的に低い場合の前記第2の基準位置を示す第2の基準位置情報、及び前記第2の基準位置における電波伝搬路の第2の基準伝搬環境情報を有する第2の電波マップを保存する第2の保存部(202)と、
前記プローブ情報を受信する受信部(204)と、
前記測位精度情報に基づいて、前記位置情報の測位精度を判定する測位精度判定部(206)と、
前記位置情報の前記測位精度が所定の精度より高い場合、前記伝搬環境情報を用いて前記第1の電波マップの前記第1の基準伝搬環境情報、及び前記第2の電波マップの前記第2の基準伝搬環境情報を更新し、前記位置情報の前記測位精度が前記所定の精度より低い場合、前記伝搬環境情報を用いて前記第2の電波マップの前記第2の基準伝搬環境情報を更新する統計処理部(207)と、を有する
電波マップ生成システム。
【請求項2】
前記伝搬環境情報は、正規化した相対値である、
請求項1記載の電波マップ生成システム
【請求項3】
前記測位精度情報生成部は、利用する衛星システムの測位方式、補正に用いるデータの種類、及び測位演算の結果に基づき、前記測位精度情報を生成する、
請求項1記載の電波マップ生成システム
【請求項4】
前記第1の電波マップは、前記第1の基準位置の測位精度が道路の車線を区別できる程度であり、前記第2の電波マップは、前記第2の基準位置の測位精度が道路を区別できる程度である、
請求項1記載の電波マップ生成システム
【請求項5】
前記所定の精度は、1mの誤差範囲である、
請求項1記載の電波マップ生成システム
【請求項6】
移動体に搭載されたプローブ情報送信装置(100)、及び前記プローブ情報送信装置からプローブ情報を受信して電波マップを生成又は更新する電波マップ更新装置(200)で実行される電波マップ生成方法であって、
前記プローブ情報送信装置では、
前記移動体の現在位置を示す位置情報を取得し(S101)、
前記位置情報の測位精度を示す測位精度情報を生成し(S102)、
前記現在位置において、外部の通信装置との間で行う無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報を取得し(S103)、
前記位置情報、前記測位精度情報、及び前記伝搬環境情報を前記プローブ情報として前記電波マップ更新装置に送信(S104)、
前記電波マップ更新装置は、
第1の基準位置の測位精度が相対的に高い場合の前記第1の基準位置を示す第1の基準位置情報、及び前記第1の基準位置における電波伝搬路の第1の基準伝搬環境情報を有する第1の電波マップを保存する第1の保存部(201)と、
第2の基準位置の測位精度が相対的に低い場合の前記第2の基準位置を示す第2の基準位置情報、及び前記第2の基準位置における電波伝搬路の第2の基準伝搬環境情報を有する第2の電波マップを保存する第2の保存部(202)と、を有し、
前記電波マップ更新装置では、
前記プローブ情報を受信し(S201)、
前記測位精度情報に基づいて、前記位置情報の測位精度を判定し(S202)、
前記位置情報の前記測位精度と所定の精度を比較し(S203)、
前記位置情報の前記測位精度が前記所定の精度より高い場合、前記伝搬環境情報を用いて前記第1の電波マップの前記第1の基準伝搬環境情報、及び前記第2の電波マップの前記第2の基準伝搬環境情報を更新し(S204)、
前記位置情報の前記測位精度が前記所定の精度より低い場合、前記伝搬環境情報を用いて前記第2の電波マップの前記第2の基準伝搬環境情報を更新する(S205)、
電波マップ生成方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波マップに関する装置等であって、主に移動体に搭載されるプローブ情報送信装置及び電波マップ取得利用装置、並びに、主にサーバで実現される電波マップ更新装置及び電波マップ提供装置、そしてこれらの装置で実現する方法及びこれらの装置で実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信が普及するにつれ、様々な場所で無線通信を用いた通信を行う機会が増えている。とりわけ、自動車等の移動体においては、大容量のセルラー通信や、車車間通信及び路車間通信のようなV2Xなどを用いて、運転支援や自動運転制御を行う技術が注目されている。これに伴い、車両が通信機能を備えるようになり、いわゆる車両のコネクティッド化が進んでいる。
ここで、無線通信においては電波が干渉しあうことにより、場所によって電波の送信レベルや受信レベルに強弱が生じることが知られており、一般的にこの現象はフェージングと呼ばれている。自動車等の移動体においては移動を前提としているので、移動に伴い通信品質の変動が生じることから、特定の場所における通信品質をあらかじめ知ることができれば事前に対策を講じることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、地点とその地点での通信に利用可能となると推定される通信資源量との対応関係を示す通信資源マップが記載されている。また、特許文献1には、地点とその地点の移動時に自律センサで自車の位置を特定する測位を行うとした場合に推定される測位精度との対応関係を示す測位精度マップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-203823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明者らは、以下の課題を見出した。
ある地点での電波伝搬路の状態又は推定結果を示す電波マップを生成又は更新する際、精度の異なるGNSS(Global Navigation Satellite System)によって求められた位置情報が混在した場合、高精度の位置情報の信頼性が減殺されてしまう。この結果、このような電波マップの用途は、低精度の位置情報に基づくサービスに用いることに限定されてしまう。
【0006】
本発明は、位置情報の測位精度に応じた電波マップを生成することを目的とする。
また、本発明は、利用方法に応じて適切な測位精度を有する電波マップを提供し、利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のプローブ情報送信装置(100)は、移動体に搭載されたプローブ情報送信装置であって、
前記移動体の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部(101)と、
前記位置情報の測位精度を示す測位精度情報を生成する測位精度情報生成部(109)と、
外部の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部(102)と、
前記現在位置において、前記無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報を取得する伝搬環境情報取得部(103)と、
前記位置情報、前記測位精度情報、及び前記伝搬環境情報をプローブ情報として電波マップ更新装置(200)に送信する送信部(105)と、を有する。
【0008】
本開示の電波マップ更新装置(200)は、移動体に搭載されたプローブ情報送信装置(100)からプローブ情報を受信して電波マップを生成又は更新する電波マップ更新装置であって、
第1の基準位置の測位精度が相対的に高い場合の前記第1の基準位置を示す第1の基準位置情報、及び前記第1の基準位置における電波伝搬路の第1の基準伝搬環境情報を有する第1の電波マップを保存する第1の保存部(201)と、
第2の基準位置の測位精度が相対的に低い場合の前記第2の基準位置を示す第2の基準位置情報、及び前記第2の基準位置における電波伝搬路の第2の基準伝搬環境情報を有する第2の電波マップを保存する第2の保存部(202)と、
前記移動体の位置を示す位置情報、前記位置情報の測位精度を示す測位精度情報、及び前記位置において前記移動体が無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報、を含む前記プローブ情報を受信する受信部(204)と、
前記測位精度情報に基づいて、前記位置情報の測位精度を判定する測位精度判定部(206)と、
前記位置情報の前記測位精度が所定の精度より高い場合、前記伝搬環境情報を用いて前記第1の電波マップの前記第1の基準伝搬環境情報、及び前記第2の電波マップの前記第2の基準伝搬環境情報を更新し、前記位置情報の前記測位精度が前記所定の精度より低い場合、前記伝搬環境情報を用いて前記第2の電波マップの前記第2の基準伝搬環境情報を更新する統計処理部(207)と、を有する。
【0009】
本開示の電波マップ提供装置(250)は、移動体に搭載された電波マップ取得利用装置(150)から電波マップリクエストを受信して必要な情報を送信する電波マップ提供装置であって、
第1の基準位置の測位精度が相対的に高い場合の前記第1の基準位置を示す第1の基準位置情報、及び前記第1の基準位置における電波伝搬路の第1の基準伝搬環境情報を有する第1の電波マップを保存する第1の保存部(201)と、
第2の基準位置の測位精度が相対的に低い場合の前記第2の基準位置を示す第2の基準位置情報、及び前記第2の基準位置における電波伝搬路の第2の基準伝搬環境情報を有する第2の電波マップを保存する第2の保存部(202)と、
要求する位置を示す要求位置情報、及び要求する測位精度を示す要求測位精度情報、を含む前記電波マップリクエストを受信する受信部(204)と、
前記電波マップリクエストに含まれる前記要求測位精度情報が所定の精度より高い場合、前記第1の保存部から前記要求位置情報に対応する前記第1の基準位置情報及び前記第1の基準伝搬環境情報を取得し、前記電波マップリクエストに含まれる前記要求測位精度情報が前記所定の精度より低い場合、前記第2の保存部から前記要求位置情報に対応する前記第2の基準位置情報及び前記第2の基準伝搬環境情報を取得する電波マップ抽出部(208)と、
前記電波マップ抽出部で取得した前記第1の基準位置情報及び第1の基準伝搬環境情報、又は前記第2の基準位置情報及び前記第2の基準伝搬環境情報、を含む電波マップリプライを送信する送信部(205)と、を有する。
【0010】
本開示の電波マップ取得利用装置(150)は、移動体に搭載された電波マップ取得利用装置であって、
要求する位置を決定して要求位置情報を生成する要求位置情報生成部(110)と、
要求する測位精度を決定して要求測位精度情報を生成する要求測位精度情報生成部(111)と、
前記要求位置情報、及び前記要求測位精度情報を含む電波マップリクエストを電波マップ提供装置(250)に送信する送信部(105)と、
前記電波マップリクエストに含まれる前記要求測位精度情報に対応する電波マップから取得した、前記要求位置情報に対応する基準位置情報及び基準伝搬環境情報を含む電波マップリプライを前記電波マップ提供装置から受信する受信部(106)と、
前記電波マップリプライに基づき、外部の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部(102)と、を有する。
【0011】
なお、特許請求の範囲、及び本項に記載した発明の構成要件に付した括弧内の番号は、本発明と後述の実施形態との対応関係を示すものであり、本発明を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0012】
上述のような構成により、位置情報の測位精度に応じた電波マップを生成することが可能となる。
また、上述のような構成により、利用方法に応じて適切な測位精度を有する電波マップを提供し、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態の全体構成を示す図
図2】本開示の実施形態の車載装置であるプローブ情報送信装置及び電波マップ取得利用装置の構成例を示すブロック図
図3】本開示の実施形態のサーバ装置である電波マップ更新装置及び電波マップ提供装置の構成例を示すブロック図
図4】本開示の実施形態で生成及び利用する電波マップを説明する説明図
図5】本開示の実施形態のプローブ情報送信装置及び電波マップ更新装置の動作を示すフローチャート
図6】本開示の実施形態の統計処理の具体的な方法を示すフローチャート
図7】本開示の実施形態の電波マップ取得利用装置及び電波マップ提供装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
なお、本発明とは、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された発明を意味するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。また、少なくともかぎ括弧内の語句は、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された語句を意味し、同じく以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
特許請求の範囲の従属項に記載の構成及び方法は、特許請求の範囲の独立項に記載の発明において任意の構成及び方法である。従属項に記載の構成及び方法に対応する実施形態の構成及び方法、並びに特許請求の範囲に記載がなく実施形態のみに記載の構成及び方法は、本発明において任意の構成及び方法である。特許請求の範囲の記載が実施形態の記載よりも広い場合における実施形態に記載の構成及び方法も、本発明の構成及び方法の例示であるという意味で、本発明において任意の構成及び方法である。いずれの場合も、特許請求の範囲の独立項に記載することで、本発明の必須の構成及び方法となる。
【0017】
実施形態に記載した効果は、本発明の例示としての実施形態の構成を有する場合の効果であり、必ずしも本発明が有する効果ではない。
【0018】
複数の実施形態がある場合、各実施形態に開示の構成は各実施形態のみで閉じるものではなく、実施形態をまたいで組み合わせることが可能である。例えば一の実施形態に開示の構成を、他の実施形態に組み合わせても良い。また、複数の実施形態それぞれに開示の構成を集めて組み合わせても良い。
【0019】
発明が解決しようとする課題に記載した課題は公知の課題ではなく、本発明者が独自に知見したものであり、本発明の構成及び方法と共に発明の進歩性を肯定する事実である。
【0020】
1.実施形態
(1)関係する機器を含む全体構成
図1を用いて、本実施形態で関係する機器及びこれらの相互関係を示す全体構成をまず説明する。
【0021】
「移動体」である車両に「搭載された」車載装置A及び車載装置Cは、通信ネットワークを介してサーバ装置Bと接続されている。
ここで、「移動体」とは、移動可能な物体をいい、移動速度は任意である。また移動体が停止している場合も当然含む。例えば、自動車、自動二輪車、自転車、歩行者、船舶、航空機、及びこれらに搭載される物を含み、またこれらに限らない。
また、「搭載された」とは、移動体に直接固定されている場合の他、移動体に固定されていないが移動体と共に移動する場合も含む。例えば、移動体に乗った人が所持している場合、移動体に載置された積荷に搭載されている場合、が挙げられる。
【0022】
車載装置Aは、本実施形態のプローブ情報送信装置100に相当し、通信ネットワークを介して電波マップを生成するために必要な情報であるプローブ情報をサーバ装置Bに送信する。
【0023】
サーバ装置Bは、本実施形態の電波マップ更新装置200に相当し、車載装置Aから通信ネットワークを介してプローブ情報を受信し、プローブ情報に基づき「電波マップ」を生成又は更新する。
ここで、「電波マップ」とは、特定の位置における電波伝搬路の状態又は推定結果の集合をいい、例えば地図上の格子点毎にRSSIをマッピングしたものをいう。
【0024】
また、サーバ装置Bは、本実施形態の電波マップ提供装置250に相当し、車載装置Cから通信ネットワークを介して電波マップリクエストを受信し、電波マップリクエストの内容に応じた情報である電波マップリプライを通信ネットワークを介して車載装置Cに送信する。
【0025】
車載装置Cは、本実施形態の電波マップ取得利用装置150に相当し、通信ネットワークを介して電波マップリクエストをサーバ装置Bに送信し、電波マップリクエストの内容に応じた情報である電波マップリプライを通信ネットワークを介してサーバ装置Bから受信する。
【0026】
車載装置A及び車載装置Cは、GNSS衛星から測位信号を受信し、それぞれの位置情報を取得する。
【0027】
車載装置A及び車載装置Cは、基地局との間で無線通信を行う。
【0028】
ここで、図1では、基地局との間の無線通信と通信ネットワークによる通信とを別の通信として説明しているが、これらは同じであってもよい。すなわち、車載装置A及び車載装置Cは、基地局を介して無線通信によりサーバ装置Bと接続してもよい。
【0029】
基地局との間の無線通信方式は、例えば、IEEE802.11(WiFi(登録商標))やIEEE802.16(WiMAX(登録商標))、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、HSPA(High Speed Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(Long Term Evolution Advanced)、4G、5G等を用いることができる。あるいは、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を用いることができる。
【0030】
通信ネットワークは、前述の無線通信方式に加えて、有線通信方式を用いることもできる。例えば、LAN(Local Area Network)やインターネット、固定電話回線を用いることができる。有線通信方式を用いる場合としては、車両は自宅やその他の場所の駐車場に停止していたり、修理工場に収容されていることが想定される。
【0031】
通信ネットワークは、無線通信方式と有線通信方式とを組み合わせてもよい。例えば、車載装置Aとセルラーシステムにおける基地局との間は無線通信方式で、基地局から先は、通信事業者の基幹回線やインターネット等の有線通信方式で、それぞれ接続されてもよい。
【0032】
なお、車載装置Aと車載装置Cは別の車両に搭載されている例を説明したが、これを一つの車両に搭載するようにしても良い。さらに、この場合、車載装置A及び車載装置Cを別々の装置として実装することはもちろん、車載装置Aであるプローブ情報送信装置100の機能及び車載装置Cである電波マップ取得利用装置150の機能を1つの車載装置として実装してもよい。
また、サーバ装置Bは、本実施形態の電波マップ更新装置200及び電波マップ提供装置250の両方の機能を有する例を説明したが、これを別々のサーバ装置に分けて設けてもよい。
【0033】
(2)車載装置(プローブ情報送信装置100、電波マップ取得利用装置150)の構成
図2を用いて、本実施形態の車載装置の構成について説明する。本実施形態では、車載装置が、プローブ情報送信装置100と電波マップ取得利用装置150の両方の機能を実現するように構成された例で説明する。
【0034】
車載装置は、位置情報取得部101、無線通信部102、伝搬環境情報取得部103、制御部104、送信部105、受信部106、アプリケーション107、保存部108からなる。また、制御部104は、測位精度情報生成部109、要求位置情報生成部110、要求測位精度情報生成部111を実現する。
【0035】
車載装置は、汎用のCPU(Central Processing Unit)、RAM等の揮発性メモリ、ROM、フラッシュメモリ、又はハードディスク等の不揮発性メモリ、各種インターフェース、及びこれらを接続する内部バスで構成することができる。そして、これらのハードウェア上でソフトウェアを実行することにより、図2に記載の各機能ブロックの機能を発揮させるように構成することができる。後述の図3で示されるサーバ装置においても同様である。
もちろん、車載装置を、LSI等の専用のハードウェアで実現してもよい。
【0036】
車載装置は、本実施形態では半完成品としての電子制御装置(ECU(Electric Control Unit)、以下ECUと略する。)の形態を想定しているが、これに限らない。例えば、部品の形態としては、半導体回路や半導体モジュール、完成品の形態としては、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、携帯電話、ナビゲーションシステムが挙げられる。
なお、車載装置は、単一のECUの他、複数のECUで構成されてもよい。例えば、外部との通信を通信ECUが担当するようにしてもよい。また、プローブ情報送信装置100と電波マップ取得利用装置150を別々のECUで構成してもよい。
【0037】
図2の車載装置の各ブロックは、専らプローブ情報送信装置100で用いられるブロック、専ら電波マップ取得利用装置150で用いられるブロック、プローブ情報送信装置100と電波マップ取得利用装置150の両方で用いられるブロックがある。以下、まずプローブ情報送信装置100で用いられるブロック、次に、電波マップ取得利用装置150で用いられるブロックを説明する。
【0038】
まず、プローブ情報送信装置100で用いられるブロックを説明する。
位置情報取得部101は、車両の現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部101は、主に衛星測位(GNSS)装置の測位受信機で構成される。測位受信機は、利用する衛星システムに対応する測位受信機を設ければよい。
位置情報取得部101は、測位受信機の他、位置情報の補正に用いる補正情報を供給する機器も含まれる。例えば、ジャイロセンサや加速度センサなどの慣性センサ、レーザセンサ、地図情報データベース、も位置情報取得部101として把握できる。
【0039】
無線通信部102は、外部の通信装置、本実施形態では基地局との間で「無線通信」を行い、必要な情報の送受信を行う。本実施形態では、外部の通信装置としてセルラー通信方式のeNBのような基地局を想定しているが、WiFiを用いる場合はAP、V2Xを用いる場合は他の車両や路側機であってもよい。もちろん、複数の通信方式に対応していてもよい。
ここで、「無線通信」とは、無線で信号を送信、又は/及び、受信することをいう。
【0040】
伝搬環境情報取得部103は、位置情報取得部101が取得した車両の現在位置において、無線通信部102の無線通信で用いる電波伝搬路の「伝搬環境情報」を「取得する」。例えば、伝搬環境情報取得部103は、参照信号の電波強度を測定する装置を用いることができる。
ここで、「伝搬環境情報」とは、電波伝搬路の状態又は推定結果を示すものであり、これを表す指標として、例えばRSSI、RSRP、RSRQ、SNR、SIR、BER、伝搬関数、伝搬路行列、単位時間当たりの平均ビットレート(bits/s)等が挙げられる。
また、「取得する」とは、伝搬環境情報を外部の通信装置等から取得する場合、伝搬環境情報を当該プローブ情報送信装置が自ら生成することにより取得する場合のいずれも含む。
【0041】
伝搬環境情報取得部103は、下り回線(ダウンリンク)の受信品質を評価するための情報を取得するためには、下り回線に割り当てられている周波数帯域における受信状況に関する情報を取得すればよい。例えば、参照信号のRSSI、RSRP、RSRQがこれにあたる。これらの情報を用いることにより、サーバ装置の電波マップ更新装置200において、地図上の特定の位置における受信電波マップを生成又は更新することができる。
また、伝搬環境情報取得部103は、上り回線(アップリンク)の受信品質を評価するための情報を取得するためには、上り回線に割り当てられている周波数帯域における送信状況に関する情報を取得すればよい。例えば、単位時間当たりの送信平均ビットレート(bits/s)がこれにあたる。あるいは、基地局において測定した参照信号のRSSI、RISP、RSRQを、基地局から受信するようにしてもよい。これらの情報を用いることにより、サーバ装置の電波マップ更新装置200において、地図上の特定の位置における送信電波マップを生成又は更新することができる。
【0042】
伝搬環境情報取得部103は、無線通信部102の機能として無線通信部102と兼ねるようにしてもよい。
また、伝搬環境情報取得部103で取得し出力する伝搬環境情報は、各値の測定結果の絶対値ではなく、正規化した相対値で求めるようにしてもよい。例えば、電波干渉がない理想的な通信状況で引き出せる最大速度を100、最小を0とした値としてもよい。
【0043】
制御部104は、位置情報取得部101、無線通信部102、伝搬環境情報取得部103、送信部105、受信部106、アプリケーション107、保存部108の動作を制御する。また、制御部104は、それ自身で測位精度情報生成部109、要求位置情報生成部110、及び要求測位精度情報生成部111を実現している。
【0044】
測位精度情報生成部109は、位置情報取得部101で取得した位置情報の測位精度を示す測位精度情報を生成する。
測位精度は、利用する衛星システムの測位方式や、補正に用いるデータの種類、及び測位演算の結果によって異なる。例えば、GPSのような単独測位方式の場合、1m~10mの誤差を常に含んでいる。
これに対し、相対測位方式やDGPS(Differential GPS)、RTK(Real Time Kinematic)-GPS測位、ネットワーク型RTK-GPS測位のように、誤差1m未満級や10cm未満級の測位方式も存在する。10cm未満級としては、RTK-GNSS/PPP-AR(準天頂衛星MADOCA方式)、PPP-RTK(準天頂衛星CLAS)方式)がある。単独測位方式にジャイロ航法やレーザセンサを併用して測位精度を1m未満級や10cm未満級に引き上げることもできる。1m未満級としては、補正データ利用のSLAS(サブメータ級測位補強サービス)方式がある。
また、測位演算において、FIX解が求まる場合は用いる測位方式の精度が低い場合でも1m未満級や10cm未満級の測位精度が得られることもある。FLOAT解が求まる場合も、用いる測位方式の精度が高ければ、1m未満級の測位精度が得られることもある。なお、測位解にFIX解やFLOAT解が存在するのは、AR(Ambiguity Resolution)を行う方式である。
すなわち、測位精度情報生成部109は、利用する衛星システムの測位方式、補正に用いるデータの種類、及び測位演算の結果に基づき、測位精度情報を生成する。本実施形態の場合、10m未満級、1m未満級、10cm未満級の3段階のグレードの測位精度情報を生成する例で説明しているが、2段階や4段階以上であってもよい。あるいは、連続的な値であってもよい。なお、以下の記載では、10m未満級を1m以上、1m未満級を10cm~1m、10cm未満級を10cm未満と、誤差範囲で記載する。
【0045】
送信部105は、位置情報取得部101で取得した位置情報、測位精度情報生成部109で生成した測位精度情報、及び伝搬環境情報取得部103で取得した伝搬環境情報をプローブ情報として電波マップ更新装置200に送信する。
例えば、本実施形態の場合、プローブ情報として以下の情報を送信している。
【0046】
(プローブ情報)
タイムスタンプ:プローブ情報を生成した時刻(UTC)
位置情報:GNSSで測位した座標、緯度経度高度(WGS-84)、地図上の格子点を表すIDのいずれか
測位精度情報:測位精度のグレード[1m以上/10cm~1m/10cm未満]
通信システムID:通信ネットワークの通信方式のID、基地局のID、周波数帯域の少なくとも一つ
電波強度(伝搬環境情報):受信電波強度(RSSI)の相対値
【0047】
なお、プローブ情報としてこれ以外の情報を送るようにしてもよい。
また、プローブ情報として送信する情報は、制御部104の他、特定のブロックで生成するようにしてもよい。
【0048】
以上、本実施形態のプローブ情報送信装置100によれば、測位精度情報を生成し送信しているので、これを受信した電波マップ更新装置200の側で、測位精度に応じた電波マップを作り分けることができる。
また、伝搬環境情報を正規化した相対値で求めることにより、各装置の能力の割合を指標とすることができるので、装置間のばらつきを補正せずに各装置で伝搬環境情報をそのまま用いることができる。
また、測位精度情報生成部109は、利用する衛星システムの測位方式に加え、補正に用いるデータの種類及び測位演算の結果に基づき測位精度を求めているので、測位精度をより正確に求めることができる。
【0049】
次に、電波マップ取得利用装置150で用いられるブロックを説明する。
要求位置情報生成部110は、車載装置である電波マップ取得利用装置150で無線通信を利用する位置を要求する位置として決定し、要求位置情報を生成する。要求する位置は、例えば現在の位置でもよいし、走行計画に基づき将来走行を予定している位置としてもよい。走行計画を用いる場合、現在の車速に基づき一定時間内に到達する単一若しくは複数の地点を要求する位置としてもよい。
【0050】
要求測位精度情報生成部111は、要求する測位精度を決定し要求測位精度情報を生成する。要求する測位精度は、例えば測位精度のグレード[1m以上/10cm~1m/10cm未満]としてもよいし、具体的な精度を示す値としてもよい。どの測位精度を要求するかは、電波マップ取得利用装置150のハードウェアの性能や利用するアプリケーション107が要求する精度に基づいて決定すればよい。例えば、以下の例が挙げられる。
(a)位置情報取得部101を構成する測位受信機のグレードが示す測位精度
(b)電波マップ取得利用装置150の車速に応じ、速度が速いときは相対的に低い測位精度、車速が遅いときは相対的に高い測位精度
(c)電波マップを自車の位置を求めるために用いる場合は、相対的に高い測位精度
(d)ストリーミング映像など遅延や途切れに敏感な用途では、相対的に高い測位精度
(e)要求する位置の範囲が一定以上の場合は、相対的に低い測位精度
【0051】
送信部105は、要求位置情報生成部110で生成した要求位置情報、及び要求測位精度情報生成部111で生成した要求測位精度情報を含む電波マップリクエストを電波マップ提供装置250に送信する。
例えば、本実施形態の場合、電波マップリクエストとして以下の情報を送信している。
【0052】
(電波マップリクエスト)
要求位置情報:緯度経度高度(WGS-84)又は地図上の格子点を表すID
要求測位精度情報:測位精度のグレード[1m以上/10cm~1m/10cm未満]
【0053】
電波マップリクエストを受信した電波マップ提供装置250は、電波マップリクエストに含まれる要求測位精度情報に対応する電波マップを選択し、選択した電波マップから、電波マップリクエストに含まれる「要求位置情報に対応する」基準位置情報及び基準伝搬環境情報を取得する。電波マップ提供装置250における動作の詳細は後述する。
ここで、「要求位置情報に対応する」とは、要求位置情報が示す位置と同じ又は近傍にあることをいう。
【0054】
受信部106は、基準位置情報及び基準伝搬環境情報を含む電波マップリプライを電波マップ提供装置250から受信する。受信した基準位置情報及び基準伝搬環境情報は、電波マップ提供装置250が選択した電波マップの一部であることから、受信した基準位置情報及び基準伝搬環境情報も電波マップと呼ぶこともある。
例えば、本実施形態の場合、電波マップリプライとして以下の情報を受信している。
【0055】
(電波マップリプライ)
タイムスタンプ:電波マップを生成した時刻(UTC)
基準位置情報:緯度経度高度(WGS-84)又は地図上の格子点を表すID
測位精度情報:測位精度のグレード[1m以上/10cm~1m/10cm未満]
通信システムID:通信ネットワークの通信方式のID、基地局のID、周波数帯域の少なくとも一つ
電波強度(基準伝搬環境情報):受信電波強度(RSSI)の相対値
【0056】
保存部108は、受信した電波マップリプライを保存する。保存部108に保存された基準位置情報及び基準伝搬環境情報の集合は電波マップ提供装置250に保存された電波マップの一部であることから、保存部108には電波マップのレプリカが保存されているといえる。保存部108に一定期間電波マップのレプリカを保存することにより、電波マップリクエストにより電波マップ提供装置250にアクセスする機会を減らすることができる。また、有効期限を設定しておき、有効期間が切れた情報は破棄するようにしてもよい。これにより、電波マップのレプリカの鮮度を一定以上に保つことができる。
【0057】
アプリケーション107は、無線通信部102を利用するアプリケーションである。例えば、車載カメラで撮影した動画をサーバ装置に送信するアプリケーションが例として挙げられる。
【0058】
無線通信部102は、受信部106で受信した電波マップリプライに基づき、外部の通信装置との間で無線通信を行う。例えば、車両の位置が基準位置情報で示される位置に至った場合、基準伝搬環境情報で示される通信環境に対応したビットレートを選択して撮影した動画を送信する。
【0059】
なお、電波マップリクエストに、取得する電波マップの要求測位精度に加え、上り回線用の電波マップである送信電波マップ又は下り回線用の電波マップである受信電波マップのいずれかを指定するようにしてもよい。本実施形態では受信電波マップを取得している例を示した。
原則として、上り回線の電波伝搬路の評価には送信電波マップを、下り回線の電波伝搬路の評価には受信電波マップを用いる。もっとも、上り回線と下り回線の伝搬環境が同じと評価できる場合は、上り回線の評価に受信電波マップを用いてもよいし、下り回線の評価に送信電波マップを用いてもよい。例えば、上り回線と下り回線とが同じ周波数帯域を用いるTDDモードの場合が挙げられる。別の例として、ビル等の遮蔽物により、上り回線と下り回線で同じ伝搬環境の変化が予想される場合が挙げられる。
【0060】
以上、本実施形態の電波マップ取得利用装置150によれば、電波マップリクエストに要求測位精度情報を含めて送信するので、要求測位精度情報に対応する電波マップから取得した情報を得ることができ、ハードウェアの性能や利用するアプリケーションに応じた電波マップを取得することができる。
また、前記移動体の車速に応じて要求測位精度情報を生成することにより、車速に応じた測位精度に基づく情報を取得できる。すなわち、車両の速度が速い場合は相対的に低い測位精度の電波マップで足りるが、車両の速度が遅い場合は相対的に高い測位精度の電波マップを用いることにより、通信環境に追随して安定した通信を維持することができる。
【0061】
(3)サーバ装置(電波マップ更新装置200、電波マップ提供装置250)の構成
図3を用いて、本実施形態のサーバ装置の構成について説明する。本実施形態では、サーバ装置が、電波マップ更新装置200と電波マップ提供装置250の両方の機能を実現するように構成された例で説明する。
【0062】
サーバ装置は、第1の保存部201、第2の保存部202、制御部203、受信部204、送信部205、及びプローブ情報保存部209からなる。また、制御部203は、測位精度判定部206、統計処理部207、及び電波マップ抽出部208を実現する。
【0063】
サーバ装置は、本実施形態では完成品としてのサーバ装置の形態を想定しているが、これに限らない。例えば、部品の形態としては、半導体回路や半導体モジュール、半完成品の形態としてはECU、完成品の形態としては、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション、スマートフォン、携帯電話が挙げられる。
【0064】
図3のサーバ装置の各ブロックは、専ら電波マップ更新装置200で用いられるブロック、専ら電波マップ提供装置250で用いられるブロック、電波マップ更新装置200と電波マップ提供装置250の両方で用いられるブロックがある。以下、まず電波マップ更新装置200で用いられるブロック、次に、電波マップ提供装置250で用いられるブロックを説明する。
【0065】
まず、電波マップ更新装置200で用いられるブロックを説明する。
第1の保存部201は、基準位置の測位精度が「相対的に」高い場合、すなわち高解像度電波マップである第1の電波マップを保存する。第1の電波マップは、測位精度が「相対的に高い」第1の基準位置を示す第1の基準位置情報、及び第1の基準位置における電波伝搬路の第1の基準伝搬環境情報を有している。
ここで、「相対的に」とは、明示又は暗示の基準点を基準として、当該基準点からの乖離方向を示す。例えば、「相対的に高い」とは、明示又は暗示の基準点よりも高いことをいう。
【0066】
第2の保存部202は、基準位置の測位精度が「相対的に」低い場合、すなわち低解像度電波マップである第2の電波マップを保存する。第2の電波マップは、測位精度が「相対的に低い」第2の基準位置を示す第2の基準位置情報、及び第2の基準位置における電波伝搬路の第2の基準伝搬環境情報を有している。
ここで、「相対的に」とは、明示又は暗示の基準点を基準として、当該基準点からの乖離方向を示す。例えば、「相対的に低い」とは、明示又は暗示の基準点よりも低いことをいう。
【0067】
本実施形態の場合、第1の電波マップは、基準位置の測位精度が道路の車線(レーン)を識別可能なレベルである車線レベル、第2の電波マップは、基準位置の測位精度が道路を識別可能なレベルである道路レベル、を想定している。
【0068】
図4は、道路における格子点と電波マップの有効範囲を示す。図4(a)は、車線レベルである第1の電波マップにおける第1の基準位置とその有効範囲を示す。図4(a)において、格子点である第1の基準位置は×で示され、第1の基準位置はおよそ1車線の中心線上に配置されている。そして、その有効範囲を四角形で示しており、車線幅が約3mであるので有効範囲はその半分の1.5mである。そして、第1の電波マップには、各々の第1の基準位置における伝搬環境情報である第1の基準伝搬環境情報が対応付けられて保存されている。
【0069】
図4(b)は、道路レベルである第2の電波マップにおける第2の基準位置とその有効範囲を示す。図4(b)において、格子点である第2の基準位置は×で示され、第2の基準位置はおよそ全車線の中心線上、すなわちセンターライン上に配置されている。そして、その有効範囲を四角形で示しており、隣接する第2の基準位置間の距離がGPS誤差幅に相当する約20mであるので有効範囲はその半分の10mである。第2の電波マップにも第1の電波マップと同様、各々の第2の基準位置における伝搬環境情報である第2の基準伝搬環境情報が対応付けられて保存されている。
【0070】
図4の場合において、図4(a)と図4(b)を区別する測位精度の高低の基準は、約2mとすることができる。すなわち、測位精度が2mよりも高い場合(つまり、2mよりも小さい場合)は第1の電波マップ、測位精度が2mよりも低い場合(つまり、2mよりも大きい場合)は第2の電波マップを用いればよい。
もっとも、本実施形態のように測位精度を、1m以上、10cm~1m、10cm未満の3つに分ける場合は、1m以上を第1の電波マップ、10cm~1m及び10cm未満を第2の電波マップとしてもよい。つまり、測位精度の高低の基準は1mとすることができる。
【0071】
本実施形態の場合、電波マップは高低2種類としたが、3種類以上であってもよい。その場合においても、任意の2つの関係は、相対的な高低で表すことができる。
【0072】
受信部204は、プローブ情報送信装置100からプローブ情報を受信する。プローブ情報は、移動体の位置を示す位置情報、位置情報の測位精度を示す測位精度情報、及び移動体の位置において移動体が無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報、を含む。本実施形態で用いるプローブ情報は、(2)で説明した例と同じである。
【0073】
プローブ情報保存部209は、受信部204で受信したプローブ情報を保存する。プローブ情報保存部209は、情報を消去しない限り過去に受信した全てのプローブ情報を保持している。
【0074】
制御部203は、第1の保存部201、第2の保存部202、受信部204、送信部205、及びプローブ情報保存部209の動作を制御する。また、制御部203は、それ自身で測位精度判定部206、統計処理部207、及び電波マップ抽出部208を実現している。
【0075】
測位精度判定部206は、プローブ情報保存部209からプローブ情報を読み出し、プローブ情報中の測位精度情報に基づいて、プローブ情報中の位置情報の測位精度を判定する。本実施形態では、測位精度情報は測位精度を、1m以上、10cm~1m、10cm未満の3つで示しているので、測位精度情報から直接測位精度を判定することができる。
【0076】
統計処理部207は、測位精度判定部206で判定した測位精度が所定の精度「より」高い場合、プローブ情報中の伝搬環境情報を用いて第1の電波マップの第1の基準伝搬環境情報、及び第2の電波マップの第2の基準伝搬環境情報を更新する。また、測位精度判定部206で判定した測位精度が所定の精度「より」低い場合、プローブ情報中の伝搬環境情報を用いて第2の電波マップの第2の基準伝搬環境情報を更新する。すなわち、プローブ情報中に測位精度が高い位置情報が含まれている場合は、これを用いて第1の電波マップと第2の電波マップの両方を更新する。また、プローブ情報中に測位精度が低い位置情報が含まれている場合は、これを用いて第2の電波マップのみ更新する。
ここで、「より」とは、基準となる「所定の精度」を含む場合、含まない場合、の両方を含む。
【0077】
更新の方法は任意の方法を用いることができる。本実施形態では、プローブ情報の数、並びに伝搬環境情報の分散及び平均を用いて更新するが、これ以外の情報も併用してもよい。更新の方法の具体例は後述する。
【0078】
本実施形態では、既存の第1の電波マップ及び第2の電波マップに対し、新たに受信したプローブ情報を用いて随時これらを更新するようにしているが、更新の頻度は適宜定めることができる。例えば1日毎に更新する場合、1日の決まった時間にプローブ情報保存部209からその日に受信したプローブ情報を読み出し、測位精度判定部206で測位精度を判定して振り分け、統計処理部207で演算を行うことにより、第1の電波マップや第2の電波マップを更新するようにしてもよい。1日毎のようにある程度長いスパンで更新するようにすれば、電波マップのユーザである電波マップ取得利用装置150の側で更新タイミングをまたいだ新旧の電波マップが併存することを防止することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、更新という語を用いているが、これは新たな電波マップの生成と把握することもできる。すなわち、電波マップ更新装置とは、電波マップを生成又は更新する装置を意味する。
【0080】
以上、本実施形態の電波マップ更新装置200によれば、測位精度に応じて複数の電波マップを生成するので、測位精度の低い位置情報により測位精度の高い位置情報の信頼性が減殺されることがなく、測位精度の高い位置情報に基づく電波マップを生成することが可能である。
また、測位精度の高い位置情報により、第1の電波マップと第2の電波マップの両方を更新するので、第2の電波マップを更新するプローブ情報のサンプル数が不足するのを防止することが可能である。
また、第1の電波マップは、前記第1の基準位置の測位精度が道路の車線を区別できる程度とし、前記第2の電波マップは、前記第2の基準位置の測位精度が道路を区別できる程度とすることにより、第1の電波マップを道路の車線を区別することができる用途、第2の電波マップを道路を区別することができる用途、にそれぞれ用いることができる。
また、所定の精度を1mの誤差範囲とすることにより、車線レベルと道路レベルの電波マップを作り分けたり使い分けたりすることができ、車載用途として適切な電波マップを生成することができる。
【0081】
次に、電波マップ提供装置250で用いられるブロックを説明する。
第1の保存部201、及び第2の保存部202は、電波マップ更新装置200で説明したとおり、高解像度電波マップである第1の電波マップ及び低解像度電波マップである第2の電波マップを保存している。
【0082】
受信部204は、要求する位置を示す要求位置情報、及び要求する測位精度を示す要求測位精度情報、を含む電波マップリクエストを電波マップ取得利用装置150から受信する。本実施形態で用いる電波マップリクエストは、(2)で説明した例と同じである。
【0083】
電波マップ抽出部208は、電波マップリクエストに含まれる要求測位精度情報が所定の精度「より」高い場合、第1の保存部から「要求位置情報に対応する」第1の基準位置情報及び第1の基準伝搬環境情報を取得する。また、電波マップ抽出部208は、電波マップリクエストに含まれる要求測位精度情報が所定の精度「より」低い場合、第2の保存部から「要求位置情報に対応する」第2の基準位置情報及び第2の基準伝搬環境情報を取得する。具体的には、所定の精度を1mとした場合、要求精度情報が10cm未満又は10cm~1mである場合は、第1の保存部に保存されている高解像度電波マップから要求位置情報に対応する位置とその位置での伝搬環境情報を取得する。また、要求精度情報が1m以上である場合は、第2の保存部に保存されている低解像度電波マップから要求位置情報に対応する位置とその位置での伝搬環境情報を取得する。
ここで、「より」とは、基準となる「所定の精度」を含む場合、含まない場合、の両方を含む。
また、「要求位置情報に対応する」とは、要求位置情報が示す位置と同じ又は近傍にあることをいう。
【0084】
送信部205は、電波マップ抽出部208で取得した第1の基準位置情報及び第1の基準伝搬環境情報、又は第2の基準位置情報及び第2の基準伝搬環境情報を含む電波マップリプライを送信する。本実施形態で用いる電波マップリプライは、(2)で説明した例と同じである。
【0085】
以上、本実施形態の電波マップ提供装置250によれば、電波マップリクエストに含まれる要求測位精度情報に応じて、高解像度電波マップ又は低解像度電波マップのいずれかから必要な情報を提供することができる。
また、第1の電波マップは、前記第1の基準位置の測位精度が道路の車線を区別できる程度とし、前記第2の電波マップは、前記第2の基準位置の測位精度が道路を区別できる程度とすることにより、第1の電波マップを道路の車線を区別することができる用途、第2の電波マップを道路を区別することができる用途、にそれぞれ用いることができる。
また、所定の精度を1mの誤差範囲とすることにより、車線レベルと道路レベルの電波マップを使い分けることができ、車載用途として適切な電波マップを提供することができる。
【0086】
(4)電波マップ生成プロセスにおける、プローブ情報送信装置100及び電波マップ更新装置200の動作
プローブ情報送信装置100及び電波マップ更新装置200は、共に電波マップの生成に関与している。以下、図5及び図6のフローチャートを用いて、本実施形態の電波マップ生成プロセスにおける、プローブ情報送信装置100及び電波マップ更新装置200の動作を説明する。
なお、以下の動作は、プローブ情報送信装置100で実行されるプローブ情報送信方法を示すだけでなく、プローブ情報送信装置100で実行可能なプローブ情報送信プログラムの処理手順を示すものである。また、以下の動作は、電波マップ更新装置200で実行される電波マップ生成更新方法を示すだけでなく、電波マップ更新装置200で実行可能な電波マップ生成更新プログラムの処理手順を示すものである。
そして、これらの処理は、図5及び図6で示した順序には限定されない。すなわち、あるステップでその前段のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0087】
プローブ情報送信装置100の位置情報取得部101は、車両の現在位置を示す位置情報を取得する(S101)。
測位精度情報生成部109は、S101で取得した位置情報の測位精度を示す測位精度情報を生成する(S102)。
伝搬環境情報取得部103は、現在位置において、外部の通信装置との間で行う無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報を取得する(S103)。
そして、送信部105は、S101で取得した位置情報、S102で生成した測位精度情報、及びS103で取得した伝搬環境情報、をプローブ情報として電波マップ更新装置200に送信する(S104)。
【0088】
電波マップ更新装置200の受信部204は、車両の位置を示す位置情報、位置情報の測位精度を示す測位精度情報、及び車両が無線通信で用いる電波伝搬路の伝搬環境情報、を含むプローブ情報を受信し、プローブ情報保存部209に保存する(S201)。
測位精度判定部206は、プローブ情報をプローブ情報保存部209から読み出し、プローブ情報に含まれる測位精度情報に基づいて、位置情報の測位精度を判定する(S202)。
統計処理部207は、位置情報の測位精度と所定の精度を比較する(S203)。位置情報の測位精度が所定の精度より高い場合、伝搬環境情報を用いて第1の電波マップの第1の基準伝搬環境情報、及び第2の電波マップの第2の基準伝搬環境情報を更新する(S204)。位置情報の測位精度が所定の精度より低い場合、伝搬環境情報を用いて第2の電波マップの第2の基準伝搬環境情報を更新する(S205)。
【0089】
図6は、図5の統計処理部207の動作、つまりS204及びS205の詳細例を示すサブルーチンである。この例は、例えば1日毎に、制御部203を構成する測位情報判定部206が、プローブ情報保存部209に保存されている未処理のプローブ情報を読み出し、プローブ情報に含まれる位置情報の測位精度を判定する(S202)。そして、統計処理部207がプローブ情報を測位精度毎に振り分ける(S203)。そして、測位精度毎に、統計処理部207が統計処理を行うことを前提とする(S204、S205)。すなわち、測位精度が所定の精度よりも高い場合は、低解像度電波マップと高解像度電波マップの両方に対しそれぞれ図6の処理を行い、測位精度が所定の精度よりも低い場合は、低解像度電波マップに対し図6の処理を行う。
【0090】
統計処理部207が振り分けた測位精度を有するプローブ情報全てを対象に、プローブ情報毎にプローブ情報に含まれる位置情報に最も近い地図上の格子点IDを探索する(S221)。格子点IDの位置及び間隔は、図4で説明した通り、高解像度電波マップと低解像度電波マップとでは異なる。もっとも、高解像度電波マップの格子点と低解像度電波マップの格子点とが一部重なっていてもよい。
そして、各プローブ情報を、格子点ID及び通信システムIDが共通するプローブ情報の集合を得るため、格子点ID及び通信システムIDをキーとするデータ列にプッシュする(S222)。
【0091】
次に、格子点ID及び通信システムIDが共通するグループのプローブ情報に対し、以下の処理を行う。
まず、グループに属するプローブ情報のサンプル数が十分かどうか判定する(S223)。例えば、サンプル数が10以上の場合は、S224に処理を移し、10未満の場合は、サンプル数不足としてその格子点の伝搬環境情報である電波強度を未定義とする(S227)。
サンプル数が十分である場合は、グループに属するプローブ情報の伝搬環境情報である伝搬強度の平均値と分散を求める(S224)。
そして、分散が所定以内かどうかを判定する(S225)。例えば、分散が±σを超える場合はばらつきが大きいのでデータの信頼性が低いと評価され、その格子点の電波強度は未定義とする(S227)。分散が±σ以下の場合はばらつきが小さいのでデータの信頼性が高いと評価され、S224で求めた電波強度の平均値を、その格子点ID及び通信システムIDにおける電波強度、すなわち第1の基準伝搬環境情報、又は第2の基準伝搬環境情報とする(S226)。
【0092】
なお、S226では、更新前の電波強度の値は用いず、1日毎の電波強度の平均値で上書きしているが、更新前の電波強度の値も用いるようにしてもよい。例えば、更新前の電波強度(x0)の重みづけをa、1日毎の最新の電波強度の平均値(x1)の重みづけをbとし、(ax0+bx1)/(a+b)を更新後の電波強度としてもよい。
【0093】
このような統計処理を行うことで第1の電波マップ及び第2の電波マップを更新することにより、最新の電波伝搬路の状況を反映した電波マップを生成・更新することができる。
【0094】
(5)電波マップ利用プロセスにおける、電波マップ提供装置250及び電波マップ取得利用装置150の動作
電波マップ提供装置250及び電波マップ取得利用装置150は、共に電波マップの利用に関与している。以下、図7のフローチャートを用いて、本実施形態の電波マップ利用プロセスにおける、電波マップ提供装置250及び電波マップ取得利用装置150の動作を説明する。
なお、以下の動作は、電波マップ提供装置250で実行される電波マップ提供方法を示すだけでなく、電波マップ提供装置250で実行可能な電波マップ提供プログラムの処理手順を示すものである。また、以下の動作は、電波マップ取得利用装置150で実行される電波マップ取得利用方法を示すだけでなく、電波マップ取得利用装置150で実行可能な電波マップ取得利用プログラムの処理手順を示すものである。
そして、これらの処理は、図7で示した順序には限定されない。すなわち、あるステップでその前段のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0095】
電波マップ取得利用装置150の要求位置情報生成部110は、要求する位置を決定して要求位置情報を生成する(S151)。
要求測位精度情報生成部110は、要求する測位精度を決定して要求測位精度情報を生成する(S152)。
そして、送信部105は、S151で生成した要求位置情報、及びS152で生成した要求測位精度情報を含む電波マップリクエストを電波マップ提供装置250に送信する(S153)。
【0096】
電波マップ提供装置250の受信部204は、要求する位置を示す要求位置情報、及び要求する測位精度を示す要求測位精度情報、を含む電波マップリクエストを受信する(S251)。
電波マップ抽出部208は、S251で受信した電波マップリクエストに含まれる要求測位精度情報と所定の精度を比較する(S252)。要求測位精度情報が所定の精度より高い場合、第1の保存部201から要求位置情報に対応する第1の基準位置情報及び第1の基準伝搬環境情報を取得する(S253)。要求測位精度情報が所定の精度より低い場合、第2の保存部202から要求位置情報に対応する第2の基準位置情報及び第2の基準伝搬環境情報を取得する(S254)。
そして、送信部205は、S253で取得した第1の基準位置情報及び第1の基準伝搬環境情報、又はS254で取得した第2の基準位置情報及び第2の基準伝搬環境情報を含む電波マップリプライを送信する(S255)。
【0097】
電波マップ取得利用装置150の受信部106は、電波マップリプライを電波マップ提供装置250から受信する(S154)。
そして、S154で受信した電波マップリプライに基づき、外部の通信装置との間で無線通信を行う(S155)。例えば、アプリケーション107を実行して、外部の通信装置に対し、車両が収集した車両情報を送信する。
【0098】
2.総括
以上、本発明の各実施形態におけるプローブ情報送信装置、電波マップ更新装置、電波マップ提供装置、電波マップ取得利用装置の特徴について説明した。
【0099】
各実施形態で使用した用語は例示であるので、同義の用語、あるいは同義の機能を含む用語に置き換えてもよい。
【0100】
実施形態の説明に用いたブロック図は、装置の構成を機能毎に分類及び整理したものである。それぞれの機能を示すブロックは、ハードウェア又はソフトウェアの任意の組み合わせで実現される。また、機能を示したものであることから、かかるブロック図は方法の発明、及び当該方法を実現するプログラムの発明の開示としても把握できるものである。
【0101】
各実施形態に記載した処理、フロー、及び方法として把握できる機能ブロック、については、一のステップでその前段の他のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0102】
各実施形態、及び特許請求の範囲で使用する、第1、第2、乃至、第N(Nは整数)、の用語は、同種の2以上の構成や方法を区別するために使用しており、順序や優劣を限定するものではない。
【0103】
各実施形態は、車両に搭載されるプローブ情報送信装置や電波マップ取得利用装置を前提としているが、本発明は、特許請求の範囲で特に限定する場合を除き、車両用以外の専用又は汎用の装置も含むものである。
【0104】
各実施形態では、各実施形態に開示のプローブ情報送信装置や電波マップ取得利用装置を車両に搭載する前提で説明したが、歩行者が所持する前提としてもよい。
【0105】
また、本発明の装置の形態の例として、以下のものが挙げられる。
部品の形態として、半導体素子、電子回路、モジュール、マイクロコンピュータが挙げられる。
半完成品の形態として、電子制御装置(ECU(Electric Control Unit))、システムボードが挙げられる。
完成品の形態として、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション、サーバが挙げられる。
その他、通信機能を有するデバイス等を含み、例えばビデオカメラ、スチルカメラ、カーナビゲーションシステムが挙げられる。
【0106】
また各装置に、アンテナや通信用インターフェースなど、必要な機能を追加してもよい。
【0107】
本発明の電波マップ更新装置や電波マップ提供装置は、各種サービスの提供を目的とするために用いられることが想定される。かかるサービスの提供に伴い、本発明の装置が使用され、本発明の方法が使用され、又は/及び本発明のプログラムが実行されることになる。
【0108】
加えて、本発明は、各実施形態で説明した構成及び機能を有する専用のハードウェアで実現できるだけでなく、メモリやハードディスク等の記録媒体に記録した本発明を実現するためのプログラム、及びこれを実行可能な専用又は汎用CPU及びメモリ等を有する汎用のハードウェアとの組み合わせとしても実現できる。
【0109】
専用や汎用のハードウェアの非遷移的実体的記録媒体(例えば、外部記憶装置(ハードディスク、USBメモリ、CD/BD等)、又は内部記憶装置(RAM、ROM等))に格納されるプログラムは、記録媒体を介して、あるいは記録媒体を介さずにサーバから通信回線を経由して、専用又は汎用のハードウェアに提供することもできる。これにより、プログラムのアップグレードを通じて常に最新の機能を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のプローブ情報送信装置や電波マップ取得利用装置は、主として自動車に搭載される車両用の電子制御装置として説明したが、自動二輪車、電動機付自転車、鉄道はもちろん、歩行者、船舶、航空機等、移動する移動体全般に適用することが可能である。
また、携帯電話やタブレット、ゲーム機等、様々な用途に用いられる装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
100 プローブ情報送信装置、101 位置情報取得部、102 無線通信部、103 伝搬環境情報取得部、105 送信部、106 受信部、109 測位精度情報生成部、110 要求位置情報生成部、111 要求測位精度情報生成部、150 電波マップ取得利用装置、200 電波マップ更新装置、201 第1の保存部、202 第2の保存部、204 受信部、205 送信部、206 測位精度判定部、207 統計処理部、208 電波マップ抽出部、250 電波マップ提供装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7