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特許7420037車両用装置、車両用システム及び利用者認証管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】車両用装置、車両用システム及び利用者認証管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20240116BHJP
【FI】
G06F21/31
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020165364
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057225
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】半▲崎▼ 真生子
(72)【発明者】
【氏名】伊東 由佳
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
(72)【発明者】
【氏名】野村 肇
(72)【発明者】
【氏名】牧田 貴成
【審査官】平井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-057949(JP,A)
【文献】特開2016-018356(JP,A)
【文献】特開2015-103058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00-88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の利用者を認証する利用者認証部(5a)と、
前記利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理する利用者管理テーブル(5b)と、
前記利用者が前記利用者認証部により認証されると、前記利用者管理テーブルを参照し、その認証されている利用者の許可又は禁止されている操作を特定する操作特定部(5c)と、
前記操作特定部の特定結果を当該利用者の許可又は禁止されている操作に対応するアプリに通知し、当該利用者の操作を管理する操作管理部(5d)と、を備え
前記利用者管理テーブルは、車両シーンの1つとして、乗員の組み合わせにより区分される運転シーンを管理する車両用装置。
【請求項2】
前記利用者認証部は、複数人の前記利用者を認証し、
前記利用者管理テーブルは、前記利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを利用者毎に管理する請求項1に記載した車両用装置。
【請求項3】
前記操作管理部は、車両シーン変更要求が通知されると、前記利用者管理テーブルを参照し、前記車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されている又は禁止されていない利用者であると、車両シーンを変更する請求項1又は2に記載した車両用装置。
【請求項4】
前記操作管理部は、前記車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されていない又は禁止されている利用者であると、車両シーンを変更しない請求項3に記載した車両用装置。
【請求項5】
前記操作管理部は、前記車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されていない又は禁止されている利用者であると、車両シーンを変更しないと共に、車両シーン変更要求依頼を、車両シーン変更が許可されている又は禁止されていない利用者に通知する請求項4に記載した車両用装置。
【請求項6】
前記利用者管理テーブルは、車両シーンの1つとして、ライフサイクルに対応した初期設定シーンを管理する請求項1から5の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項7】
前記利用者管理テーブルは、車両シーンの1つとして、車両の点検整備が許可されている利用者の操作を許可すると共に他の利用者の操作を禁止する点検整備シーンを管理する請求項1から6の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項8】
前記利用者認証部は、携帯通信端末と通信する機能を有し、前記携帯通信端末を認証することで当該携帯通信端末を携帯する利用者を認証する請求項1から7の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項9】
車両の利用者により携帯される携帯通信端末(4)と、
前記携帯通信端末と通信する車両用装置(3)と、を備える車両用システム(1)であって、
前記車両用装置は、
車両の利用者を認証する利用者認証部(5a)と、
前記利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理する利用者管理テーブル(5b)と、
前記利用者が前記利用者認証部により認証されると、前記利用者管理テーブルを参照し、その認証されている利用者の許可又は禁止されている操作を特定する操作特定部(5c)と、
前記操作特定部の特定結果を当該利用者の許可又は禁止されている操作に対応するアプリに通知し、当該利用者の操作を管理する操作管理部(5d)と、を備え、
前記利用者管理テーブルは、車両シーンの1つとして、乗員の組み合わせにより区分される運転シーンを管理する車両用システム。
【請求項10】
車両の利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理し、車両シーンの1つとして、乗員の組み合わせにより区分される運転シーンを管理する利用者管理テーブル(5b)を備える車両用装置(3)に、
車両の利用者を認証する利用者認証手順と、
前記利用者を前記利用者認証手順により認証すると、前記利用者管理テーブルを参照し、その認証されている利用者の許可又は禁止されている操作を特定する操作特定手順と、
前記操作特定手順の特定結果を当該利用者の許可又は禁止されている操作に対応するアプリに通知し、当該利用者の操作を管理する操作管理手順と、を実行させる利用者認証管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用装置、車両用システム及び利用者認証管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の利用者が車両周辺や車内に複数存在する場合に、ある利用者の行動が他の利用者の安全安心を脅かしたり、複数の利用者が相反する操作を同時に行うことで混乱が生じたりする可能性がある。例えば整備士等の作業者が車両を点検整備中に車両の所有者であるオーナーがエンジン始動の操作をリモートで行うと、作業者の安全安心が脅かされる。例えばオーナーが運転中に同乗者がエンジン停止の操作を行うと、エンジンが突然停止して車両が立ち往生してしまう。
【0003】
従来の物理キーやFOBキーとは異なり、スマホキーや生体認証等では、利用者や機器を任意の数で登録可能となるメリットがあるが、複数の利用者が同時に操作を行った場合の対処として合理的な対応手順を予め定めておく必要がある。例えば特許文献1には、ライフサイクルに応じたアクセス制御ポリシを制御対象データ毎に管理する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-018356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法では、車両の利用者を新たに追加する場合に制御対象データ毎にアクセス制御ポリシを変更する手間が生じ、利便性に劣る問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、車両の利用者を新たに追加する場合に適切に対応することができ、利便性を高めることができる車両用装置、車両用システム及び利用者認証管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した車両用装置によれば、利用者認証部(5a)は、車両の利用者を認証する。利用者管理テーブル(5b)は、利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理する。操作特定部(5c)は、利用者が利用者認証部により認証されると、利用者管理テーブルを参照し、その認証されている利用者の許可又は禁止されている操作を特定する。操作管理部(5d)は、操作特定部の特定結果を当該利用者の許可又は禁止されている操作に対応するアプリに通知し、当該利用者の操作を管理する。利用者管理テーブルは、車両シーンの1つとして、乗員の組み合わせにより区分される運転シーンを管理する。
【0008】
利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを車両シーン毎に利用者管理テーブルにより管理し、利用者が認証されると、利用者管理テーブルを参照し、その認証されている利用者の許可又は禁止されている操作を特定する。そして、その特定結果を当該利用者の許可又は禁止されている操作に対応するアプリに通知し、当該利用者の操作を管理するようにした。追加する利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを利用者管理テーブルに新たに追加することで、利用者を追加する場合に適切に対応することができ、利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の全体構成を示す図
図2】利用者管理テーブルを示す図(その1)
図3】利用者管理テーブルを示す図(その2)
図4】利用者管理テーブルを示す図(その3)
図5】利用者管理テーブルを示す図(その4)
図6】フローチャート(その1)
図7】フローチャート(その2)
図8】フローチャート(その3)
図9】操作の許可・禁止を通知する表示画面を示す図(その1)
図10】操作の許可・禁止を通知する表示画面を示す図(その2)
図11】車両シーン変更要求依頼を通知する表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。車両用システムは、車両周辺や車内に存在する車両の利用者を認証し、認証されている利用者の各種操作を許可又は禁止するシステムである。利用者とは、例えば車両の所有者であるオーナー、オーナーの配偶者や親や子等のオーナー家族、オーナーの友人等である車両を一時的に利用する一時利用者、車両を点検整備する整備士等の作業者等である。利用者の各種操作とは、例えばエンジン始動・停止、エアコン調節、自動運転目的地設定の操作等である。利用者は例示した以外の利用者でも良く、利用者の各種操作は例示した以外の操作でも良い。又、本実施形態では、車両周辺や車内に存在する利用者が携帯通信端末を携帯していることを前提とし、携帯通信端末を認証することで、その携帯通信端末を携帯する利用者を認証する場合を例示する。
【0011】
図1に示すように、車両用システム1は、認証機器2と、電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)と称する)3とを備える。ECU3は車両用装置に相当する。
【0012】
認証機器2は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)、NFC(Near Field Communication)等の無線通信規格に準拠したデータ通信機能を有し、車両周辺や車内に存在する携帯通信端末4とデータ通信を行う。認証機器2は、携帯通信端末4が通信圏内に進入したことで当該携帯通信端末4との間で通信リンクを確立し、携帯通信端末4から送信された端末識別情報を受信すると、その受信した端末識別情報を予め登録されている端末識別情報と照合して携帯通信端末4を認証し、その認証結果をECU3に送信する。認証機器2は、携帯通信端末4から送信された端末識別情報が予め登録されている端末識別情報と合致すれば、その携帯通信端末4が登録済の携帯通信端末であると認証する。
【0013】
ECU3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含むマイコンを有し、非遷移的実体的記憶媒体に格納されている制御プログラムを実行して各種処理を行う。ECU3は、各種処理の1つとして車両の利用者の認証状態を管理する利用者認証管理部5を備える。利用者認証管理部5は、機能毎に、利用者認証部5aと、利用者管理テーブル5b、操作特定部5cと、操作管理部5dとを備える。
【0014】
利用者認証部5aは、認証機器2から送信された認証結果を受信すると、その認証結果に基づいて携帯通信端末4に対応する利用者を認証する。携帯通信端末4に対応する利用者とは、携帯通信端末4を携帯する利用者である。即ち、利用者認証部5aは、携帯通信端末4から送信された端末識別情報が予め登録されているオーナーの端末識別情報と合致すれば、その携帯通信端末4の所有者がオーナーであると特定し、車両周辺や車内にオーナーが存在すると特定する。利用者認証部5aは、携帯通信端末4から送信された端末識別情報が予め登録されているオーナー家族の端末識別情報と合致すれば、その携帯通信端末4の所有者がオーナー家族であると特定し、車両周辺や車内にオーナー家族が存在すると特定する。
【0015】
利用者認証部5aは、携帯通信端末4から送信された端末識別情報が予め登録されている一時利用者の端末識別情報と合致すれば、その携帯通信端末4の所有者が一時利用者であると特定し、車両周辺や車内に一時利用者が存在すると特定する。利用者認証部5aは、携帯通信端末4から送信された端末識別情報が予め登録されている作業者の端末識別情報と合致すれば、その携帯通信端末4の所有者が作業者であると特定し、車両周辺や車内に作業者が存在すると特定する。
【0016】
この場合、利用者認証部5aは、車両周辺や車内に複数の利用者が存在する場合には、複数の利用者を同時に認証し、車両周辺や車内に複数の利用者が存在すると特定する。
【0017】
本実施形態では、前述したように携帯通信端末4を認証することで利用者を認証する場合を例示しているが、携帯通信端末4を認証する以外の手法で利用者を認証しても良い。例えば認証機器2としてカメラを用い、利用者の顔をカメラにより撮像し、利用者の顔画像を予め登録されている顔画像と照合して利用者を認証しても良い。例えば認証機器2としてリーダーを用い、利用者が所有するカードのカード情報をリーダーにより読み取り、カード情報を予め登録されているカード情報と照合して利用者を認証しても良い。例えば認証機器2として生体情報を測定する測定機器を用い、利用者の生体情報を測定機器により読み取り、利用者の生体情報を予め登録されている生体情報と照合して利用者を認証しても良い。生体情報は、例えば指紋、瞳の中の虹彩、指や掌等の静脈、声紋等である。又、これらの幾つかの手法を組み合わせて利用者を認証しても良い。
【0018】
利用者管理テーブル5bは、車両の利用者と当該利用者の許可されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理するテーブルである。車両シーンは例えば運転シーンと点検整備シーンとに区分され、運転シーンは例えば乗員の組み合わせにより区分される。運転シーンは、ライフサイクルに対応した初期設定シーンを含む。点検整備シーンは、車両の点検整備が許可されている利用者である整備士等の作業者の操作を許可すると共に他の利用者の操作を禁止するシーンである。
【0019】
例えば運転シーンとして、オーナーが運転者であり、オーナー家族が同乗者であれば、図2に示すように、オーナー及びオーナー家族の各々の許可されている操作が設定されている。図2に例示した管理テーブルでは、例えば「利用者追加」や「車両シーン変更」の操作は、オーナー及びオーナー家族の両方に対して許可される。又、図2に例示した管理テーブルでは、例えば「ドア施開錠・スライドドア開閉」や「エンジン始動・停止」の操作は、オーナーに対して許可されるが、オーナー家族に対して許可されない。即ち、例えばオーナーが運転中に同乗者がエンジン停止の操作を行っても、その同乗者が行うエンジン停止の操作は許可されていないので、エンジンが突然停止して車両が立ち往生してしまうことはない。
【0020】
例えば運転シーンとして、オーナーが運転者であり、一時利用者が同乗者であれば、図3に示すように、オーナー、オーナー家族及び一時利用者の各々の許可されている操作が設定されている。例えば運転シーンとして、一時利用者が運転者であり、同乗者がいなければ、図4に示すように、オーナー、オーナー家族及び一時利用者の各々の許可されている操作が設定されている。
【0021】
又、点検整備シーンであれば、図5に示すように、オーナー、オーナー家族及び作業者の許可されている操作が設定されている。図5に例示した管理テーブルでは、例えば「ドア施開錠・スライドドア開閉」や「エンジン始動・停止」の操作は、作業者に対して許可されるが、オーナー及びオーナー家族に対して許可されない。即ち、作業者が車両を点検整備中にオーナーがエンジン始動の操作をリモートで行っても、そのオーナーが行うエンジン始動の操作は許可されていないので、作業者の安全安心が脅かされることはない。
【0022】
車両シーンの区分は例示した以外の区分であっても良い。例えば時間帯により昼間の運転シーンと夜間の運転シーンとに区分されたり、一般道路の運転シーンと自動車専用道路の運転シーンとに区分されたり、作業者の技術スキル等により許可される作業内容が区分されたりしても良い。又、利用者の区分は例示した以外の区分であっても良く、例えばオーナー家族が配偶者と親や子とで区分されたり、一時利用者が年齢や運転経験年数等で区分されたりしても良い。
【0023】
操作特定部5cは、利用者が利用者認証部5aにより認証されると、利用者管理テーブル5bを参照し、その認証されている利用者の許可されている操作を特定する。操作管理部5dは、認証されている利用者の許可されている操作が操作特定部5cにより特定されると、その特定結果を当該利用者の許可されている操作に対応するアプリ6に通知し、当該利用者の操作を管理する。アプリとは、特定の機能を実現するためにハードウェア上で実行されるソフトウェアを意味する。アプリ6は、操作管理部5dから特定結果が通知されると、その特定結果にしたがって実行するか否かを選択する。アプリ6は、操作管理部5dから通知された特定結果が、利用者の操作が許可されている旨であれば、実行する旨を選択し、制御信号を車両ネットワーク7を通じて車載装置8や表示装置9に送信する。車載装置8は、例えばアプリ6の機能を実行するECUであり、エンジン始動・停止を制御するエンジンECU、エアコン調節を制御するエアコンECU、自動運転目的地設定を制御するナビECU等である。表示装置9は、センターディスプレイ、メーター、ヘッドアップディスプレイ等である。
【0024】
操作特定部5cは、例えば利用者がオーナー及びオーナー家族であると利用者認証部5aにより認証されると、図2に例示した利用者管理テーブル5bを参照し、その認証されている利用者の許可されている操作を特定する。操作管理部5dは、その特定結果を当該利用者の許可されている操作に対応するアプリ6に通知する。図2に例示した利用者管理テーブル5bでは、例えば「利用者追加」の操作はオーナー及びオーナー家族の何れにも許可されているので、操作管理部5dは、オーナー及びオーナー家族の何れもが「利用者追加」の操作を行うと、表示装置9に制御信号を送信し、利用者追加を行うための表示画面を表示装置9に表示する。即ち、オーナー及びオーナー家族の何れもが表示装置9に表示される表示画面にしたがって利用者追加の操作を可能となる。尚、オーナー及びオーナー家族の何れもが自分の携帯通信端末4を操作して利用者追加の操作を可能としても良い。
【0025】
又、図2に例示した利用者管理テーブル5bでは、例えば「エンジン始動・停止」の操作はオーナーには許可されているがオーナー家族には許可されていないので、操作管理部5dは、オーナーが「エンジン始動・停止」の操作を行うと、エンジン始動・停止を制御する車載装置8に制御信号を送信し、エンジン始動・停止の制御を実行するが、オーナー家族が「エンジン始動・停止」の操作を行っても、エンジン始動・停止を制御する車載装置8に制御信号を送信せず、エンジン始動・停止の制御を実行しない。即ち、オーナーはエンジン始動・停止の操作を可能となるが、オーナー家族はエンジン始動・停止の操作を可能とならない。
【0026】
次に、上記した構成の作用について図6から図11を参照して説明する。利用者認証管理部5は、利用者認証管理プログラムを実行することで以下に示す処理を実行する。利用者認証管理部5が実行する処理として、(1)初期動作時処理、(2)車両シーン変更要求の通知時処理(変更要求依頼なし)、(3)車両シーン変更要求の通知時処理(変更要求依頼あり)について説明する。
【0027】
(1)初期動作時処理
利用者認証管理部5は、初期動作時処理を開始すると、認証機器2から送信された認証結果に基づいて車両周辺や車内に存在する利用者を利用者認証部5aにより認証し(S1、利用者認証手順に相当する)、その認証結果にしたがって該当する利用者管理テーブル5bを選択する(S2)。利用者認証管理部5は、利用者管理テーブル5bを選択すると、その選択した利用者管理テーブル5bを参照し、その認証されている利用者の許可されている操作を特定する(S3、操作特定手順に相当する)。利用者認証管理部5は、その特定結果を当該利用者の許可されている操作に対応するアプリ6に通知し、当該利用者の操作を管理し(S4、操作管理手順に相当する)、初期動作時処理を終了する。
【0028】
即ち、利用者認証管理部5は、例えば利用者がオーナー及びオーナー家族であり、オーナー及びオーナー家族を認証すると、図2に示す利用者管理テーブル5bを選択し、オーナー及びオーナー家族の許可されている操作を特定し、その特定結果を該当するアプリ6に通知する。この状態では、例えばオーナー及びオーナー家族の何れもが利用者追加の操作を可能となる。又、例えばオーナーはエンジン始動・停止の操作を可能となるが、オーナー家族はエンジン始動・停止の操作を可能とならない。
【0029】
(2)車両シーン変更要求の通知時処理(変更要求依頼なし)
利用者認証管理部5は、車両シーン変更要求が通知されると、車両シーン変更要求の通知時処理を開始する。利用者認証管理部5は、車両シーン変更要求の通知時処理を開始すると、認証機器2から送信された認証結果に基づいて車両周辺や車内に存在する利用者を利用者認証部5aにより認証し(S11)、その認証結果にしたがって該当する利用者管理テーブル5bを選択する(S12)。
【0030】
利用者認証管理部5は、利用者管理テーブル5bを選択すると、その選択した利用者管理テーブル5bを参照し、車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されている利用者であるか否かを判定する(S13)。利用者認証管理部5は、車両シーン変更が許可されている利用者であると判定すると(S13:YES)、車両シーンを変更し(S14)、変更後の利用者管理テーブル5bを選択する(S15)。
【0031】
利用者認証管理部5は、変更後の利用者管理テーブル5bを選択すると、その選択した利用者管理テーブル5bを参照し、その認証されている利用者の許可されている操作を特定する(S16)。利用者認証管理部5は、その特定結果を当該利用者の許可されている操作に対応するアプリ6に通知し、当該利用者の操作を管理し(S17)、車両シーン変更要求の通知時処理を終了する。尚、利用者認証管理部5は、車両シーン変更が許可されている利用者でないと判定すると(S13:NO)、車両シーンを変更せずに、車両シーン変更要求の通知時処理を終了する。
【0032】
即ち、例えばオーナーが車両を一時利用者に貸す場合には以下の運用となる。利用者認証管理部5は、例えば図2に例示した利用者管理テーブル5bを選択しており、オーナーが車両シーン変更を操作すると、そのオーナーが携帯する携帯通信端末4を認証し、そのオーナーを認証することで、車両シーンを、図2に例示した利用者管理テーブル5bから図4に例示した利用者管理テーブル5bに変更する。これ以降、オーナーはエンジン始動・停止の操作等を不能となるが、一時利用者はエンジン始動・停止の操作等を可能となる。
【0033】
この場合、利用者認証管理部5は、操作の許可・禁止を通知する表示画面をオーナーの携帯通信端末4に表示させる。即ち、オーナーは、自分の携帯通信端末4に表示される表示画面を確認することで、許可から禁止に変更された操作や禁止から許可に変更された操作を把握することができ、エンジン始動・停止の操作等が不能となったことを把握することができる。又、これと同時に、利用者認証管理部5は、操作の許可・禁止を通知する表示画面として、図9に示す表示画面を一時利用者の携帯通信端末4に表示させる。即ち、一時利用者は、自分の携帯通信端末4に表示される表示画面を確認することで、許可から禁止に変更された操作や禁止から許可に変更された操作を把握することができ、エンジン始動・停止の操作等が可能となったことを把握することができる。尚、利用者認証管理部5は、このように操作の許可・禁止を通知する表示画面をオーナーや一時利用者の携帯通信端末4に表示させることに加え、同等の内容を通知する表示画面を表示装置9に表示させても良い。
【0034】
又、オーナーが車両の点検整備を依頼する場合には以下の運用となる。利用者認証管部5は、例えば図2に例示した利用者管理テーブル5bを選択しており、オーナーが車両整備場まで運転し、車両周辺に存在する作業者が車両シーン変更を操作すると、その作業者が携帯する携帯通信端末4を認証し、その作業者を認証することで、車両シーンを、図2に例示した利用者管理テーブル5bから図5に例示した利用者管理テーブル5bに変更する。これ以降、オーナーはエンジン始動・停止の操作等を不能となるが、作業者はエンジン始動・停止の操作等を可能となる。この場合も、利用者認証管理部5は、操作の許可・禁止を通知する表示画面として、図10に示す表示画面をオーナーの携帯通信端末4に表示させる。
【0035】
(3)車両シーン変更要求の通知時処理(変更要求依頼あり)
利用者認証管理部5は、車両シーン変更が許可されている利用者でないと判定すると(S13:NO)、車両シーン変更が許可されている利用者が存在するか否かを判定する(S21)。利用者認証管理部5は、車両シーン変更が許可されている利用者が存在すると判定すると(S21:YES)、車両シーン変更要求依頼を、その車両シーン変更が許可されている利用者に通知し(S22)、車両シーン変更要求の通知時処理を終了する。この場合、利用者認証管理部5は、車両シーン変更要求依頼を通知する表示画面として、図11に示す表示画面を車両シーン変更が許可されている利用者に通知する。
【0036】
即ち、利用者認証管理部5は、例えば図2に例示した利用者管理テーブル5bを選択しており、車両周辺に存在する作業者が車両シーン変更を操作すると、作業者からの車両シーン変更の操作が許可されていないので、車両シーン変更要求依頼を通知する表示画面を、車両シーン変更の操作が許可されているオーナーの携帯通信端末4やオーナー家族の携帯通信端末4に表示させる。即ち、オーナーやオーナー家族は、自分の携帯通信端末4に表示される表示画面を確認することで、車両シーン変更要求依頼を把握することができ、その車両シーン変更要求依頼を承認するか拒否するかを選択することができる。尚、利用者認証管理部5は、このように車両シーン変更要求依頼を通知する表示画面をオーナーやオーナー家族の携帯通信端末4に表示させることに加え、同等の内容を通知する表示画面を表示装置9に表示させても良い。
【0037】
尚、以上は、利用者管理テーブル5bとして、車両の利用者と当該利用者の許可されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理するテーブルを例示したが、車両の利用者と当該利用者の禁止されている操作との対応付けを車両シーン毎に管理するテーブルでも良い。又、許可されている操作との対応付けを管理するテーブルと禁止されている操作との対応付けを管理するテーブルとを併用しても良い。
【0038】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
ECU3において、利用者と当該利用者の許可されている操作との対応付けを車両シーン毎に利用者管理テーブル5bにより管理し、利用者が認証されると、利用者管理テーブル5bを参照し、その認証されている利用者の許可されている操作を特定する。そして、その特定結果を当該利用者の許可又は禁止されている操作に対応するアプリ6に通知し、当該利用者の操作を管理するようにした。追加する利用者と当該利用者の許可又は禁止されている操作との対応付けを利用者管理テーブル5bに新たに追加することで、利用者を追加する場合に適切に対応することができ、利便性を高めることができる。
【0039】
車両シーン変更要求が通知されると、利用者管理テーブル5bを参照し、車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されている利用者であると、車両シーンを変更するようにした。車両シーン変更が許可されている利用者、即ち、車両シーン変更の権限が与えられている利用者であれば、車両シーンを自在に変更することができ、利便性をより高めることができる。
【0040】
又、車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されていない利用者であると、車両シーンを変更しないようにした。車両シーン変更が許可されている利用者、即ち、車両シーン変更の権限が与えられていない利用者が車両シーンを変更することを回避することができ、安全安心やセキュリティを確保することができる。
【0041】
又、車両シーン変更要求の要求元が、車両シーン変更が許可されていない利用者であると、車両シーン変更要求依頼を、車両シーン変更が許可されている利用者に通知するようにした。車両シーン変更の権限が与えられていない利用者が車両シーンを変更することを回避すると共に、車両シーン変更の権限が与えられていない利用者に代わり、車両シーン変更の権限が与えられている利用者であれば、車両シーンを自在に変更することができ、利便性をより高めることができる。
【0042】
又、携帯通信端末4を認証することで、利用者を認証するようにした。利用者の顔を撮像するカメラや利用者が所有するカードのカード情報を読み取るリーダーを使用せずに新たなハードウェアを追加することなく、既存のソフトウェアを改良するだけで実現することができる。
【0043】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0044】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0045】
図面中、1は車両用システム、3はECU(車両用装置)、4は携帯通信端末、5は利用者認証管理部、5aは利用者認証部、5bは利用者管理テーブル、5cは操作特定部、5dは操作管理部である。
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