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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】パーテーション
(51)【国際特許分類】
   A47G 5/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A47G5/00 G
A47G5/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020178843
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069903
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-02-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年7月13日、旭洋株式会社ウェブサイト(https://www.kyokuyo-pp.co.jp/product_service/pickup/pickup_product-187/) 2020年7月14日、コムパックシステム株式会社へメールでカタログ送信(yoshi-suzuki@compack.co.jp、kitazawa@compack.co.jp、kanno@compack.co.jp 、 hanami@compack.co.jp 、 satomi@compack.co.jp 、hirahara@compack.co.jp) 2020年8月4日、コムパックシステム株式会社ウェブサイト(https://compack.co.jp/products/wrapp/partition-p.html) 2020年8月27日、国松株式会社へメールでカタログ送信(ohno@kunimatsu.biz) 2020年8月27日、国松株式会社ウェブサイト(https://kunimatsu.biz/2020/08/27/%e2%98%86%e6%9c%ac%e6%97%a5%e3%81%94%e7%b4%b9%e4%bb%8b%e3%81%99%e3%82%8b%e5%95%86%e5%93%81%ef%bc%88%e3%82%a6%e3%82%a3%e3%83%ab%e3%82%b9%e9%a3%9b%e6%b2%ab%e9%98%b2%e6%ad%a2%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%86/) 2020年9月3日、コムパックシステム株式会社へ販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直哉
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3227556(JP,U)
【文献】特開平11-161171(JP,A)
【文献】実開昭56-007969(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 5/00
A47B 17/04
A47B 96/04
B42D 5/04
G09F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不使用状態において平板状となるパーテーションであって、
使用状態において第一方向に延在する台座部と、
前記第一方向に沿って延びる第一折線を介して前記台座部と連設されるとともに、前記使用状態において前記台座部の厚み方向である第二方向の一側へ前記第一折線で折り立てられて前記第二方向に沿って立設される仕切部と、
前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って延びる第二折線を介して前記台座部と連設されるとともに、前記使用状態において前記第二方向の前記一側へ前記第二折線で折り立てられる支持部と、を備え、
前記支持部は、前記第三方向において前記第一折線が設けられる位置と同位置に切り込まれた支持スリットを有し、
前記仕切部は、前記使用状態において前記台座部との間に隙間をあけて配置される端縁部が前記支持スリットに嵌合して支持され
前記仕切部には、前記使用状態において前記第三方向に前記仕切部を貫通する開口が設けられるとともに、前記開口を塞ぐフィルムが貼着され、
前記パーテーションは、前記開口の前記台座部側の縁部に対応する位置で前記第一方向に沿って延びる第三折線を介して前記仕切部と連設され、前記不使用状態において前記フィルムに重なるとともに、前記使用状態において前記第二方向の他側へ前記第三折線で折り返されて前記仕切部に重なる補助支持部を備え、
前記補助支持部は、前記第一方向において前記第二折線が設けられる位置と同位置に切
り込まれるとともに前記使用状態において前記支持部が嵌合する補助スリットを有する
ことを特徴とするパーテーション
【請求項2】
前記補助支持部は、前記第一方向において前記支持部が設けられる位置からオフセットした位置に突設された突条部を有し、
前記台座部は、前記第一方向において前記突条部が設けられる位置と同位置に貫設されるとともに前記使用状態で前記突条部が嵌合する台座スリットを有する
ことを特徴とする請求項に記載のパーテーション。
【請求項3】
前記補助支持部は、前記不使用状態で、前記第一方向において前記支持部が設けられる位置と同位置に形成された第一切欠きを有する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載のパーテーション。
【請求項4】
前記仕切部は、前記第一方向において前記第二折線が設けられる位置と同位置に切り込まれるとともに前記使用状態において前記支持部が嵌合する仕切スリットを有する
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載のパーテーション。
【請求項5】
前記支持部は、前記不使用状態において前記支持スリットよりも前記第一方向の一側に配置された前記第二折線を介して前記台座部と連設され、
前記仕切部の前記端縁部は、前記第一方向において前記第二折線が設けられる位置と同位置を含む所定部分が、前記使用状態で前記第一方向の前記一側かつ前記第二方向の他側
へ傾斜している
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載のパーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机上の空間や室内空間を仕切るパーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不使用時に嵩張らないように変形可能なパーテーションが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、略横長矩形の基板の縦方向に屈折部を設けることで、中央の遮蔽板部と両端の遮蔽板部とに区画した机上用衝立(パーテーション)が開示されている。特許文献1のパーテーションによれば、使用時には両端の遮蔽板部を中央の遮蔽板部に対して開くことでパーテーションを自立させることができる一方で、不使用時には中央の遮蔽板部の上に両端の遮蔽板部を折り畳むことで嵩張らずに保管することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-33863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように使用時に両端の遮蔽板部を開いて自立させるパーテーションは、移動させるたびに両端の遮蔽板部の位置を調整する必要がある。また、両端の遮蔽板部に位置によっては、パーテーションがぐらつくことがある。よって、パーテーションのユーザビリティを高めるうえで改善の余地がある。
【0006】
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、パーテーションのユーザビリティを高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示するパーテーションは、不使用状態において平板状となるパーテーションであって、使用状態において第一方向に延在する台座部と、前記第一方向に沿って延びる第一折線を介して前記台座部と連設されるとともに、前記使用状態において前記台座部の厚み方向である第二方向の一側へ前記第一折線で折り立てられて前記第二方向に沿って立設される仕切部と、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って延びる第二折線を介して前記台座部と連設されるとともに、前記使用状態において前記第二方向の前記一側へ前記第二折線で折り立てられる支持部と、を備える。また、前記支持部は、前記第三方向において前記第一折線が設けられる位置と同位置に切り込まれた支持スリットを有し、前記仕切部は、前記使用状態において前記台座部との間に隙間をあけて配置される端縁部が前記支持スリットに嵌合して支持される。
【発明の効果】
【0008】
開示のパーテーションによれば、ユーザビリティを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るパーテーションの使用状態での前面図である。
図2】一実施形態に係るパーテーションの使用状態での下面図である。
図3図1のA-A矢視断面図である。
図4】一実施形態に係るパーテーションの不使用状態での上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態としてのパーテーションについて説明する。この実施形態はあくまでも例示にすぎず、下記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0011】
[I.一実施形態]
[1.構成]
図1に本実施形態に係るパーテーション1を示す。パーテーション1は、使用される場合に載置面上で自立して机上や室内の空間を仕切ることができ、使用されない場合には嵩張らないように平板状に変形可能である(図4参照)。下記の実施形態では、パーテーション1が載置面上で自立している状態を使用状態と呼び、平板状である状態を不使用状態と呼ぶ。
【0012】
パーテーション1は、使用状態において、載置面の一方向に沿って延在する台座部2と、載置面に垂直な方向に沿って立設されて机上や室内の空間を仕切る仕切部3と、仕切部3を支持する支持部4とを備える。また、本実施形態のパーテーション1は、使用状態において、支持部4による仕切部3の支持を補助する補助支持部5を備える。
【0013】
本実施形態のパーテーション1は、板状部材10とフィルム60とで形成されており、板状部材10を折りなすことで不使用状態から使用状態に組み立てられる。板状部材10は、板厚tが一様な板材であって、台座部2,仕切部3,支持部4および補助支持部5をなす。すなわち、台座部2,仕切部3,支持部4および補助支持部5はいずれも、所定の板厚tを有する板状に形成される。
【0014】
以下の説明では、使用状態および不使用状態においてパーテーション1の台座部2が水平面に沿って配置されている(載置面が水平面である)ものとして説明する。また、水平面に直交する方向を上下方向(第二方向)とし、台座部2の延在方向を幅方向(第一方向)とし、上下方向と幅方向とのいずれにも直交する方向を前後方向(第三方向)とする。なお、ここでいう「直交」には、厳密な直角だけでなく、「ほぼ直角」も含まれる。パーテーション1が不使用状態から使用状態となる際に、仕切部3の後述する上縁部33が前後方向において移動する方向を前方とし、この反対側を後方とする。本実施形態のパーテーション1は幅方向の中心線C0を基準として対称に形成されており、幅方向において中心線C0に向かう側を内側とし、この反対側(中心線C0から離間する側)を外側とする。
【0015】
以下、使用状態を基準としてパーテーション1の各部(台座部2,仕切部3,支持部4,および補助支持部5)の構成を説明したあと、不使用状態におけるパーテーション1の構成を説明する。
【0016】
台座部2は、図1に示すように、台座部2の板厚方向(厚み方向)が上下方向と一致するように載置され、上方を向く上面21と下方を向く下面22とを有する。図2に示すように、台座部2は、幅方向に延在する縁部として、仕切部3よりも前方に設けられた前縁部23と、仕切部3よりも後方に設けられた後縁部24と、前後方向で仕切部3と同じ位置に設けられた第一接続縁部25とを有する。第一接続縁部25では、台座部2が後述の第一折線BL1を介して仕切部3に連設される。
【0017】
本実施形態の台座部2は、下面視において、前後方向よりも幅方向に長い矩形の幅方向中央部分が後方に向かって突出した形状をなす。言い換えれば、台座部2は、後方に向けて突出する略凸状をなす。台座部2では、後方に突出した幅方向中央部分が後縁部24をなし、第一接続縁部25,25が後縁部24の幅方向外側に一対設けられている。
【0018】
台座部2は、幅方向で第一接続縁部25,25が設けられた位置からオフセットした位置において、支持部4の形状に台座部2を上下方向に貫通する支持部型孔26を有する。支持部型孔26は、不使用状態で支持部4が嵌る孔であるとともに、使用状態で支持部4が上方(第二方向の一側)へ折り立てられることにより現出する孔である。本実施形態では、二つの第一接続縁部25,25よりも幅方向内側において、中心線C0に対称に設けられた二つの支持部型孔26,26を例示する。
【0019】
台座部2は、支持部型孔26の縁部の一部であるとともに前後方向に沿って延びる第二接続縁部27を有する。本実施形態では支持部型孔26,26が一対設けられていることに対応して、台座部2は一対の第二接続縁部27,27を有する。また、本実施形態の第二接続縁部27は、支持部型孔26の幅方向外側(第一方向の一側)の縁部として設けられる。第二接続縁部27では、台座部2が後述の第二折線BL2を介して支持部4と連設される。
【0020】
台座部2は、幅方向において支持部型孔26が設けられた位置からオフセットした位置に貫設された配線用の孔28(以下、「配線孔28」ともいう)を有する。ここでは、台座部2の幅方向中央に設けられた配線孔28を例示する。配線孔28は、下面22の下方から上面21の上方に配線を通すために設けられている。配線孔28は、例えば、複数本のケーブルを挿通可能な大きさの略矩形に形成される。
【0021】
台座部2は、前後方向において補助支持部5が設けられる位置と同じ位置に貫設された台座スリット29を有する。台座スリット29は、補助支持部5の後述する突条部54が嵌合することで補助支持部5を固定するために設けられる。台座スリット29は、幅方向において、支持部型孔26および配線孔28が設けられた位置からオフセットした位置に設けられ、幅方向に延在する。本実施形態では、一対の支持部型孔26,26のそれぞれから幅方向内側に延出した一対の台座スリット29,29を例示する。
【0022】
支持部4は、図1に示すように、下縁部41が台座部2の第二接続縁部27に接続するとともに、板厚方向が幅方向と一致するように台座部2の直上に立設される。本実施形態では、第二接続縁部27,27が一対設けられていることに対応して、支持部4,4も一対設けられる。
【0023】
支持部4は、下縁部41よりも上方で前後方向に沿って延在する上縁部42を有する。図3に示すように、下縁部41と上縁部42とはいずれも、仕切部3よりも前方から仕切部3よりも後方まで延在する。本実施形態の支持部4は、側面視(幅方向視)で略等脚台形状に形成される。
【0024】
不使用状態において、支持部4の上縁部42は、幅方向において第二接続縁部27(後述の第二折線BL2)が設けられた位置よりも幅方向内側に配置されて、支持部型孔26の幅方向内側の縁部に当接する。支持部4は、パーテーション1を組み立てる際に、上縁部42が幅方向外側に移動するように上方に折り立てられる。
【0025】
支持部4は、前後方向で仕切部3と重なる位置において上縁部42から下方に向かって切り込まれた支持スリット43を有する。支持スリット43は、使用状態において仕切部3の直立状態を支持(保持)するために設けられる。支持スリット43のスリット幅は仕切部3の板厚tと同じまたはこれよりもやや大きく設定される。
【0026】
仕切部3は、台座部2の直上において、板厚方向が前後方向と一致するように上下方向に沿って立設される。仕切部3は、前方を向く前面31と後方を向く後面32とを有する。図1に示すように、本実施形態では、正面視で上部が略矩形の仕切部3を例示するが、仕切部3の形状はこれに限らない。
【0027】
仕切部3は、上側の縁部として、上縁部33を有する。本実施形態では、仕切部3の上部が略矩形に形成されるため、上縁部33は幅方向に沿ってまっすぐに延在する。また、仕切部3は、仕切部3の下側において幅方向に延在する縁部として、台座部2の第一接続縁部25,25に接続する接続縁部35,35と、台座部2との間に隙間をあけて配置される下縁部34(端縁部)とを有する。
【0028】
本実施形態では、上述の台座部2の形状に対応して、下縁部34が仕切部3の幅方向中央部分に設けられるとともに、一対の接続縁部35,35が仕切部3の幅方向外側にそれぞれ設けられる。すなわち、本実施形態の仕切部3は、正面視において、矩形の下辺の幅方向中央部分が上方に窪んだ形状に形成される。言い換えれば、仕切部3は、上下を反転させた略凹状をなす。
【0029】
仕切部3は、下縁部34が支持スリット43に嵌合することで、支持部4に支持される。詳細にいえば、仕切部3は、支持スリット43のスリット幅を形成する両縁部に挟持されることにより、直立状態に保持される。
【0030】
本実施形態の仕切部3の下縁部34は、幅方向において、台座部2の第二接続縁部27(後述の第二折線BL2)が設けられる位置と同位置を含む所定部分が幅方向外側に向かうにつれて下方(第二方向の他側)に傾斜している。ここで、支持部4の下縁部41から支持スリット43の下端部までの長さを第一距離X1とすると、下縁部34において上記の所定部分以外の部分は、台座部2の上面21から第一距離X1以上の間隔をあけて幅方向に沿ってまっすぐに延在する。
【0031】
下縁部34の所定部分の傾斜は、支持部4の上縁部42から切り込まれた支持スリット43に仕切部3を嵌合させやすくするためのものであって、支持部4が支持部型孔26から折り立てられる際の上縁部42の移動方向に向かうにつれて下方に傾斜する。上述の通り、本実施形態の支持部4は、パーテーション1を組み立てる際に、支持部4の上縁部42が幅方向外側に移動するように折り立てられるため、下縁部34の所定部分の傾斜は、幅方向外側に向かうにつれて下方に傾斜している。
【0032】
仕切部3は、幅方向において第二接続縁部27(後述の第二折線BL2)が設けられた位置と同位置に形成された仕切スリット36を有する。仕切スリット36は、使用状態において支持部4を抜けにくくする(直立状態に保持する)ための構成であり、下縁部34から上方へ切り欠かれている。仕切スリット36は、台座部2の上面21から仕切スリット36の上端部までの長さが第一距離X1と等しくなる深さまで切り込まれる。
【0033】
本実施形態の仕切部3には、仕切部3を前後方向に貫通する開口37が設けられる。本実施形態では、略矩形の開口37を例示するが、開口37の形状はこれに限られない。仕切部3の後面32には、開口37を覆うフィルム60が貼着される。フィルム60は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、等の素材から形成される透明なシートである。なお、図1および図4では、フィルム60に網点を付して示す。
【0034】
開口37の下側の縁部を形成する開口下縁部38(台座部2側の縁部)は、幅方向に沿って延在する。開口下縁部38に対応する位置では、補助支持部5が後述の第三折線BL3を介して仕切部3に連設されている。
【0035】
補助支持部5は、仕切部3の開口下縁部38から下方に延出するとともに、板厚方向が前後方向と一致するように仕切部3に対向配置される(仕切部3に重なる)。補助支持部5は、幅方向に延在する縁部として、仕切部3の開口下縁部38に接続する接続縁部51と、開口下縁部38よりも下方において台座部2の上面21に当接するように設けられた下縁部52とを有する。本実施形態では、略矩形の補助支持部5を例示する。
【0036】
補助支持部5は、幅方向で第二接続縁部27(後述の第二折線BL2)が設けられる位置と同位置に下縁部52から上方に向かって切り込まれた補助スリット53を有する。補助スリット53には、支持部4が嵌合する。支持部4は、補助スリット53のスリット幅を形成する両縁部に挟持される。本実施形態では、支持部4,4が一対設けられていることに対応して、補助スリット53,53も一対設けられる。
【0037】
補助スリット53は、使用状態において、支持部4の幅方向位置を規制するとともに、補助支持部5を支持部4に固定するために設けられる。補助スリット53のスリット幅は支持部4の板厚tと同じまたはこれよりもやや大きく設定される。また、補助スリット53は、支持部4の上縁部42から支持部4の下縁部41までの長さに等しくなる深さに切り込まれる。
【0038】
補助支持部5は、幅方向で台座部2に設けられた台座スリット29と同位置に下縁部52から下方に突設された突条部54を有する。使用状態において、補助支持部5は、突条部54が台座スリット29に嵌ることで位置が固定される。本実施形態では、一対の台座スリット29,29が設けられていることに対応して、突条部54,54も一対設けられる。
【0039】
補助支持部5は、さらに、幅方向で台座部2に設けられた支持部型孔26と同位置に形成された第一切欠き55を有する。第一切欠き55は、下縁部52から上方に切り欠かれている。本実施形態では、支持部型孔26が一対設けられていることに対応して、第一切欠き55,55も一対設けられる。
【0040】
また、補助支持部5は、幅方向で台座部2に設けられた配線孔28と同位置に形成された第二切欠き56も有する。第二切欠き56も、下縁部52から上方へ切り欠かれている。本実施形態では、配線孔28が台座部2の幅方向中央に設けられているため、第二切欠き56も台座部2の幅方向中央に設けられる。
【0041】
以下、図4を参照しながら、不使用状態でのパーテーション1の構造について説明する。図4では、不使用状態のパーテーション1が使用状態に組み立てられる際に折り曲げられる第一折線BL1,第二折線BL2および第三折線BL3を二点鎖線で示すとともに、板状部材10を板厚方向に貫通する切れ込みである第一切断線CL1,第二切断線CL2および第三切断線CL3を点線で示す。
【0042】
板状部材10は、例えば、プラスチック段ボール製である。プラスチック段ボールは、一般の紙製の段ボールを模した構造であって、二枚のプラスチック製シート間に、リブを有する構造を一体成形することで形成され、リブに沿って貫通する空洞部により中空構造をなす。なお、本発明の板状部材に適用される素材としては、上記のようなプラスチック段ボールに限定されず、プラスチック製シート間にハニカム状または円柱状の中空構造を有するプラスチックボードや、内部に独立気泡構造を持たせたプラスチック製発泡シートも適用可能である。
【0043】
板状部材10では、第一接続縁部25に対応する位置に第一折線BL1が設けられ、第二接続縁部27に対応する位置に第二折線BL2が設けられ、開口下縁部38に対応する位置に第三折線BL3が設けられる。第一折線BL1および第三折線BL3は幅方向に沿って延び、第二折線BL2は前後方向に沿って延びる。台座部2と仕切部3とは、第一折線BL1を介して連設されている。また、台座部2と支持部4とは、第二折線BL2を介して連設されている。さらに、仕切部3と補助支持部5とは、第三折線BL3を介して連設されている。
【0044】
本実施形態では、上述の台座部2および仕切部3の形状に対応して、第一折線BL1,BL1よりも幅方向内側に一対の第二折線BL2,BL2が設けられ、第一折線BL1,BL1および第二折線BL2,BL2から後方にオフセットした位置に第三折線BL3が設けられている。不使用状態において、個々の支持部4に着目すると、第二折線BL2は支持スリット43よりも幅方向外側に配置される。
【0045】
第一折線BL1,第二折線BL2および第三折線BL3は、いずれもプラスチック段ボールに施されたハーフカットにより形成される。ハーフカットは、折り曲げ箇所において、板厚方向の一側に配置される一方の基材のみを残し、芯材と他方の基材とを切断する加工法である。なお、各折線BL1,BL2,BL3を形成するために板状部材10に施されるハーフカットは、連続していなくてもよく、一部が板状部材10を板厚方向に貫通するように切り込まれていてもよい。
【0046】
板状部材10には、一対の第一折線BL1,BL1の内側端部同士を繋ぐ第一切断線CL1が設けられる。第一切断線CL1は、第一折線BL1とともに仕切部2と台座部3とを区画する。
【0047】
第一切断線CL1の幅方向中央部分は、第一折線BL1が設けられた位置よりも後方にオフセットした位置で幅方向に沿う直線状をなす。これにより、仕切部2は、幅方向中央部分が後方に窪んだ略凹状に形成され、台座部3は、幅方向中央部分が後方に突出した略凸状に形成される。
【0048】
詳述すると、第一切断線CL1は、第一折線BL1よりも後方における中心線C0上の位置から幅方向に沿って延出したあと、幅方向において第二折線BL2が設けられる位置と同位置を含む所定部分で第一折線BL1に近づくように(幅方向外側かつ前方へ)傾斜し、幅方向における第一折線BL1の内側端部と同位置で前方へ屈曲して第一折線BL1の内側端部に繋がる。
【0049】
板状部材10には、第二折線BL2の両端部を繋ぐ第二切断線CL2が設けられる。第二切断線CL2は、第二折線BL2とともに台座部2から支持部4を区画する。第二切断線CL2は、一対の第二折線BL2,BL2に対応して、一対設けられる。
【0050】
第二切断線CL2は、第二折線BL2よりも幅方向内側で第二折線BL2と平行に延びる部分の両端部が、第二折線BL2の両端部へ向けて幅方向外側へ屈曲した形状に設けられる。言い換えれば、第二切断線CL2は、幅方向外側に開口するコの字状に設けられる。
【0051】
補助支持部5は、不使用状態において、フィルム60に重なって配置される。板状部材10には、第三折線BL3の両端のそれぞれから後方に延出する第三切断線CL3,CL3が設けられる。また、板状部材10には、仕切部3に設けられた開口37から、補助支持部5が重なる部分を除いた形状に対応する孔部10hが貫設される。孔部10hの前側(補助支持部5側)の縁部は、補助支持部5の下縁部52に対応した形状をなす。補助支持部5は、第三折線BL3,第三切断線CL3および孔部10hの前側の縁部により仕切部3から区画される。
【0052】
板状部材10には、さらに、台座部2に設けられた配線孔28および台座スリット29,29と、仕切部3に設けられた仕切スリット36,36と、支持部4に設けられた支持スリット43,43とが貫設されている。
【0053】
パーテーション1は、不使用状態から使用状態に組み立てられる際に、仕切部3の上縁部33が前方に移動するように、仕切部3が第一折線BL1で上方に折り立てられる。その後、第二折線BL2で支持部4が上方に折り立てられて、仕切部3の下縁部34が支持部4の支持スリット43に嵌合する。これにより、仕切部3は、支持スリット43のスリット幅を形成する両縁部に挟持されて、直立状態に保持される。また、このとき、支持部4が仕切部3の仕切スリット36に嵌合する。これによっても支持部4の直立状態が保持される。
【0054】
それから、パーテーション1は、補助支持部5が第三折線BL3で下方に折り返されて仕切部3に重ねられるとともに、補助支持部5の補助スリット53に支持部4が嵌合する。これにより、支持部4は、補助スリット53のスリット幅を形成する両端部に挟持されて、幅方向位置が規制される。また、このとき、補助支持部5の突条部54が台座部2の台座スリット29に嵌合する。これにより、補助支持部5の位置が固定される。
【0055】
[2.作用および効果]
(1)パーテーション1によれば、台座部2,仕切部3,支持部4および補助支持部5が一枚の板状部材10から折りなされるため、不使用状態では平板状に変形させることができ、嵩張りを抑制できる。このため、収納性の高いパーテーション1を提供することができる。また、板状部材10に設けられた折線BL1,BL2,BL3を折り曲げることでパーテーション1が使用状態となるため、簡単に組み立てることができる。よって、パーテーション1のユーザビリティを高めることができる。
【0056】
パーテーション1によれば、仕切部3および支持部4のそれぞれに連設する台座部2が載置面に沿って配置されるため、使用状態においてパーテーション1を倒れにくくすることができる。また、台座部2に連設する支持部4に設けられた支持スリット43によって仕切部3が挟持されて、仕切部3の直立状態が保持されるため、仕切部3がぐらつきにくく、使用状態におけるパーテーション1の姿勢をより安定させることができる。
【0057】
さらに、仕切部材の両端に設けられた部材を開いて自立させる観音開き型の従来のパーテーションと比較して、パーテーション1では、仕切部3を支持する支持部4の位置を、載置面に応じて都度調整する必要がなく、パーテーション1を移動させるたびに調整する必要もない。したがって、より使い勝手の良いパーテーション1を提供することができる。
【0058】
特に、上記のパーテーション1では、支持部4が中心線C0に対称に一対設けられていることで、二つの支持部4,4で仕切部3を支持することができるため、使用状態における直立姿勢をより安定させることができる。また、支持部4の上縁部42が幅方向外側に移動するように折り立てられる構成とすることで、一対の支持部4,4の間の距離を大きくとることができるため、仕切部3をより安定支持することができる。
【0059】
(2)パーテーション1によれば、補助支持部5に設けられた補助スリット53によって支持部4を挟持することで、支持部4の幅方向位置を規制することができるとともに、支持部4に補助支持部5を固定できる。これにより、仕切部3から支持部4を外れにくくすることができるとともに、補助支持部5も固定できるため、使用状態におけるパーテーション1の姿勢をより安定させることができる。
【0060】
また、支持部4と嵌合する補助支持部5が第三折線BL3を介して仕切部3と連設されているため、使用状態において、支持部4と補助支持部5との両方で仕切部3を支持することができる。また、仕切部3は支持部4との嵌合により前後方向位置が規制されるとともに補助支持部5によって幅方向位置が規制されるため、使用状態における仕切部3のぐらつきをより抑制することができる。
【0061】
使用状態において、補助支持部5を一時的に上方に折り戻せば仕切部3の下縁部34と台座部2との間の隙間から書類などの受け渡しもできるため、パーテーション1のユーザビリティをより高めることができる。さらに、仕切部3に開口37を設けることで板状部材10が軽量化されるため、パーテーション1の軽量化を図ることができる。
【0062】
また、仕切部3に貼着されるフィルム60が透明(または半透明)である場合には、パーテーション1の前後方向の両側で(共に)作業する作業者どうしが、フィルム60を通じてお互いを目視可能となるため、作業効率の向上に寄与することができる。
【0063】
(3)使用状態では、補助支持部5に設けられた突条部54が台座部2に設けられた台座スリット29に嵌合することで、補助支持部5の位置が固定される。これにより、補助支持部5の補助スリット53から支持部4を抜けにくくすることでできる。したがって、仕切部3から支持部4をより外れにくくすることができ、使用状態におけるパーテーション1の姿勢をより安定させることができる。加えて、補助支持部5の位置が固定されることで、第三折線BL3を介して補助支持部5に連設された仕切部3の位置も固定されるため、仕切部3のぐらつきをより抑制することができる。
【0064】
(4)補助支持部5に設けられた第一切欠き55により、使用状態では、仕切部3の前方から後方またはその逆方向にパソコンや照明器具などの配線を迂回させることなく通すことができる。また、パーテーション1の前後方向の両側で(共に)作業する際には、第一切欠き55を通じて小物の受け渡しをすることができる。したがって、パーテーション1のユーザビリティをより向上させることができる。
【0065】
また、使用状態から不使用状態へパーテーション1を変形させる際(解体時)には、使用者が第一切欠き55から指を入れて補助支持部5を把持することができるため、補助支持部5を容易に上方に折り戻すことができる。したがって、解体時の作業性を向上することができる。
【0066】
さらに、第一切欠き55が、支持部型孔26,26の設けられた位置と同位置に設けられるため、配線を下面22の下方から上面21上に通す際に、補助支持部5の下縁部52と配線との干渉を抑制することができ、パーテーション1のユーザビリティをより向上させることができる。
【0067】
補助支持部5に設けられた第二切欠き部56は、第一切欠き55と同様に機能することができるため、バーテーション1のユーザビリティをより向上させることができる。また、配線孔28が設けられることで、使用状態において下面22の下方から上面21上に配線を通すことができるとともに、第二切欠き部56が配線孔28と同位置に設けられることで、補助支持部5の下縁部52と配線との干渉を抑制することができ、パーテーション1のユーザビリティをより向上することができる。
【0068】
(5)使用状態では、支持部4に設けられた支持スリット43と仕切部3に設けられた仕切スリット36とが噛み合うことで、仕切部3の前後方向位置および支持部4の幅方向位置の双方が規制される。これにより、使用状態においてパーテーション1の姿勢をより安定させることができる。
【0069】
(6)仕切部3の下縁部34の所定部分が、幅方向外側かつ下方へ傾斜していることにより、支持部4を折り立てている途中で支持部4の支持スリット43の端部が仕切部3の下縁部34に当接しにくくなる。このため、組み立て時に支持部4の支持スリット43を仕切部3に嵌め込みやすくすることができる。したがって、パーテーション1の組み立て容易性を高めることができる。
【0070】
[II.その他]
上述したパーテーション1の構成は一例である。上記の実施例では中心線C0に対して対称なパーテーション1を例示したが、パーテーション1は中心線C0に対して非対称であってもよい。パーテーション1に設けられる支持部4は、一つでもよく、三つ以上でもよい。
【0071】
第一折線BL1や支持部4が設けられる幅方向位置は、上述したものに限らない。例えば、板状部材10の幅方向中央部分に第一折線BL1が設けられて、第一折線BL1よりも幅方向外側に支持部4が設けられていてもよい。
【0072】
不使用状態において第二折線BL2が支持スリット43よりも幅方向内側に位置していてもよい。この場合、仕切部3の下縁部34の傾斜を幅方向内側かつ下方へ傾斜させることで、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、仕切部3に設けられる仕切スリット36が省略されてもよい。仕切部3の上縁部33の形状は、上記の形状に限らず、例えば、円弧状など、パーテーション1の用途に応じて適宜設定することができる。
【0073】
仕切部3に設けられた開口37,補助支持部5およびフィルム60が、省略されてもよい。この場合、パーテーションを板状部材のみで構成することができるため、パーテーション1の構成を簡素化でき、製造容易性を高めることができる。
【0074】
支持スリット43と台座スリット29とは、不使用状態において互いに連設されていてもよい。この場合、支持スリット43と台座スリット29とを板状部材10に一体で貫設することができるため、打ち抜き性が向上するととともに、打ち抜き屑の数を削減でき、生産性の向上を図ることができる。また、台座スリット29は、支持部型孔26に連設されていなくてもよく、例えば、上述の配線孔28が設けられた位置において、台座スリット29が配線孔28に代えて幅方向中央に設けられていてもよい。
【0075】
配線孔28の形状は略矩形に限らず、円形やその他の形状であってもよい。同様に、第一切欠き55および第二切欠き56の形状も上述のものに限らない。配線孔28,第一切欠き55および第二切欠き56は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 パーテーション
2 台座部
3 仕切部
4 支持部
5 補助支持部
10 板状部材
21 上面
22 下面
23 前縁部
24 後縁部
25 第一接続縁部
26 支持部型孔
27 第二接続縁部
28 配線孔
29 台座スリット
31 前面
32 後面
33 上縁部
34 下縁部(端縁部)
35 接続縁部
36 仕切スリット
37 開口
38 開口下縁部(台座側の縁部)
41 下縁部
42 上縁部
43 支持スリット
51 接続縁部
52 下縁部
53 補助スリット
54 突条部
55 第一切欠き
56 第二切欠き
60 フィルム
BL1 第一折線
BL2 第二折線
BL3 第三折線
CL1 第一切断線
CL2 第二切断線
CL3 第三切断線
図1
図2
図3
図4