(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】球座圧盤、および、材料試験機
(51)【国際特許分類】
G01N 3/08 20060101AFI20240116BHJP
G01N 3/04 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01N3/08
G01N3/04 P
(21)【出願番号】P 2020199825
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 晃平
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-003980(JP,U)
【文献】特開2008-293547(JP,A)
【文献】特開平11-117856(JP,A)
【文献】実開昭56-079762(JP,U)
【文献】実開昭55-120605(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00029732(EP,A1)
【文献】中国実用新案第206512596(CN,U)
【文献】中国実用新案第206204774(CN,U)
【文献】中国実用新案第203514180(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00~3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球座面を有する球座受けと、前記球座面に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体と、を備え、供試体に所定の軸線方向に沿う試験力を付与する球座圧盤であって、
前記球座受けは、前記球座圧盤本体を前記軸線方向の軸回りに摺動可能に保持する保持部を備え、
前記保持部と前記球座圧盤本体との間には、緩衝材が配置されている、
球座圧盤。
【請求項2】
前記球座受けは、前記球座面が形成された基部と、前記基部とは別体に形成された前記保持部と、を有し、
前記保持部は、前記基部に対して固定部材で固定されており、
前記固定部材は、前記軸線方向に延びている、
請求項1に記載の球座圧盤。
【請求項3】
前記球座圧盤本体は、前記球座面に球面接触して摺動可能な摺動部と、前記摺動部から前記軸線方向に突出する圧盤部と、を備え、
前記圧盤部は前記摺動部よりも小径の柱状に形成されて、前記圧盤部と前記摺動部との接続部分に段差部が形成され、
前記保持部は、前記段差部に径方向外側から進入して前記球座圧盤本体を保持する、
請求項1又は2に記載の球座圧盤。
【請求項4】
一対の圧盤で供試体を挟んで前記供試体に所定の軸線方向に沿う圧縮方向の試験力を付与する材料試験機であって、
少なくとも第一の前記圧盤は、球座面を有する球座受けと、前記球座面に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体と、を備え、供試体に所定の軸線方向に沿う試験力を付与する球座圧盤であって、
前記球座受けは、前記球座圧盤本体を前記軸線方向の軸回りに摺動可能に保持する保持部を備え、
前記保持部と前記球座圧盤本体との間には、緩衝材が配置されている、
材料試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球座圧盤、および、材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、球座面を有する球座受けと、この球座受けの球座面と球面接触して揺動可能に支持された圧盤とを備えた材料試験機が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、供試体に接触する圧盤は、球座受けに対して揺動可能な状態で球座受けから吊り持ちされている。すなわち、特許文献1では、球座受けから下方に向かって延出する複数の圧盤吊りロッドが周方向に間隔を空けて配置されており、この圧盤吊りロッドの上端が、圧縮コイルばね及びナットによって球座受けに支持されると共に、圧盤吊りロッドの下端が、屈曲自在なユニバーサルジョイントを介して、上部圧盤の側面に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、コンクリートなどの供試体の圧縮試験においては、供試体に加える圧縮応力を一定の速度で増大させていき、最大強度が出現した後に負荷を停止する。このとき、負荷を停止する前に、供試体が破壊されて、いわゆる、爆裂が生じる場合がある。このような爆裂が生じる場合、材料試験機では、大きな荷重をかけているため、静の状態から急に動いて、その急激な動きが衝撃力となり易い。
【0005】
すなわち、圧盤が供試体に圧縮力を付与している際に供試体が破壊されると、圧盤が圧縮方向に移動しようとして、圧縮方向の衝撃力が生じ易い。
また、供試体が破壊される場合には供試体が捻じれるように破壊される場合もあり、圧盤が供試体に摩擦で追従しようとして、供試体の周方向の衝撃力が生じる場合もある。特に、供試体として、高強度コンクリートを使用する場合には、このような周方向の衝撃力が生じ易い。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、供試体が破壊される際の衝撃力による破損が抑制された球座圧盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、球座面を有する球座受けと、前記球座面に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体と、を備え、供試体に所定の軸線方向に沿う試験力を付与する球座圧盤であって、前記球座受けは、前記球座圧盤本体を前記軸線方向の軸回りに摺動可能に保持する保持部を備え、前記保持部と前記球座圧盤本体との間には、緩衝材が配置されている、球座圧盤に関する。
【0007】
本発明の第2の態様は、一対の圧盤で供試体を挟んで前記供試体に所定の軸線方向に沿う圧縮方向の試験力を付与する材料試験機であって、少なくとも第一の前記圧盤は、球座面を有する球座受けと、前記球座面に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体と、を備え、供試体に所定の軸線方向に沿う試験力を付与する球座圧盤であって、前記球座受けは、前記球座圧盤本体を前記軸線方向の軸回りに摺動可能に保持する保持部を備え、前記保持部と前記球座圧盤本体との間には、緩衝材が配置されている、材料試験機に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の態様および第2の態様によれば、供試体が破壊された場合に、軸線方向に球座圧盤本体が移動しようとすることによる衝撃力は緩衝材により緩衝され、球座圧盤本体が軸回り方向に移動しようとすることによる衝撃力は球座圧盤本体が軸回りに回動することで吸収され易くなっている。よって、球座圧盤について、供試体が破壊される際の衝撃力による破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る材料試験機の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[1.第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る材料試験機1の概略正面図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
第1実施形態に係る材料試験機1は、圧盤9、10の間に配置された供試体Tに対して、圧盤9、10の間隔が狭まる方向である圧縮方向に荷重(試験力)を付与可能な材料試験機である。
材料試験機1は、床面に設置されるベース2を有する。ベース2内には、ラムシリンダ3が配置されている。ラムシリンダ3は、昇降可能に構成されたラム3Aを有する。ラムシリンダ3には、不図示の油圧装置が接続されている。ラムシリンダ3内の油圧は、圧力セル(不図示)により計測され、制御装置(不図示)に入力される。ラム3Aの上端には、矩形板状のテーブル4が固定される。テーブル4は、ラムシリンダ3により昇降可能である。
図2に示すように、矩形板状のテーブル4の一方の対角線位置には、一対の支柱5が配置されている。一対の支柱5の上部には、幅方向に延びる上部クロスヘッド6が架け渡されて支持されている。
【0012】
テーブル4の他方の対角線位置には、厚み方向に貫通する貫通孔(不図示)が一対形成されており、この貫通孔に、上下方向に延びるねじ棹7がそれぞれ挿通されている。ねじ棹7は、ベース2に立設されている。このねじ棹7には、テーブル4よりも上方において、幅方向に延びる下部クロスヘッド8がかけ渡されており、ナット(不図示)を介してねじ棹7に支持されている。図示しない駆動源によりナットが回転することにより、下部クロスヘッド8がねじ棹7に沿って昇降する。
【0013】
テーブル4の上面には、円盤板状の下部圧盤(圧盤)9が配置される。また、下部クロスヘッド8の下面には、上部圧盤(圧盤)10が配置されている。下部圧盤9と上部圧盤10との間には供試体Tが配置される。供試体Tは、例えば、日本産業規格に基づいて規定された形状に形成されている。本実施形態の供試体Tは、中心軸T0を有する直円柱状に形成されており、下面T1と上面T2とを有する。供試体Tには、圧盤9,10により所定の軸線方向Lに沿って圧縮方向の荷重が付与される。
【0014】
図3は、上部圧盤10の中心軸L1、L2に沿った断面図である。
第1実施形態の上部圧盤10は、球座圧盤で構成される。上部圧盤10は、球座受け11と、球座受け11に受けられる球座圧盤本体21とを備える。
球座受け11は、中心軸L1を有する回転体形状に形成される。球座受け11は中心軸L1が軸線方向Lに沿うように配置される。球座受け11は、円柱状の基部12を有する。基部12の下部(軸線方向第一部)には、上方に球面状に凹んだ球座面13が形成されている。基部12の下端(軸線方向第一端)には、基部12の径方向外側に突出するフランジ部14が形成されている。フランジ部14には、厚み方向に貫通する固定孔14Aが形成されている。固定孔14Aは、周方向に所定の間隔を空けてフランジ部14に複数形成されている。固定孔14Aには雌ねじが形成されている。
【0015】
球座受け11は、フランジ部14に支持される受け金具(保持部)16を有する。
受け金具16は、中心軸L1を有する回転体形状に形成されている。受け金具16は、上下方向(軸線方向)に延びる円筒部(突出部)17を有する。円筒部17は、軸線方向Lにおいて、基部12のフランジ部14に対して突出している。円筒部17の上端(軸線方向第二端)には、径方向外側に突出するフランジ部18が形成されている。フランジ部18には、厚み方向に貫通する固定孔18Aが形成されている。固定孔18Aは、基部12のフランジ部14の固定孔14Aに対応して形成されている。フランジ部18の固定孔18Aから、上下方向に延びる固定部材41が挿通される。固定部材41は、フランジ部14の固定孔14Aに締結されて固定される。これにより、受け金具16が、基部12の下側に固定される。固定部材41は、例えば、ボルトである。
【0016】
円筒部17の下端には、円環状の受け部(保持部本体部)19が形成されている。受け部19には、その径方向の内端形状により、軸線方向Lに貫通する円形状の開口19Aが形成されている。
球座受け11には、基部12と受け金具16とに囲まれた形状により、中空状の空間11Aが形成される。基部12と受け金具16とは、同心の回転体形状であり、中空状の空間11Aも軸線方向Lに対する断面が円形状の空間である。
【0017】
空間11Aには、球座圧盤本体21が配置される。球座圧盤本体21は、中心軸L2を有する回転体形状に形成される。
本実施形態の球座圧盤本体21は、球面部(摺動部)22を有する。球面部22は、上方に凸状に形成されている。球面部22は、球座受け11の球座面13に配置される。球面部22に対して下側(軸線方向Lに沿った反対側)には、圧盤部23が形成されている。圧盤部23は、軸線方向Lに沿って延びた円柱状である。圧盤部23の下端面(端面)23Aは、中心軸L2に対して直交した平面状に形成されている。下端面23Aは、供試体Tの上面T2に面接触可能に構成されている。
【0018】
圧盤部23は、球面部22の外径よりも小径に形成されている。よって、圧盤部23が供試体Tから受ける力は、圧盤部23の下端面23Aよりも大きい面積の球面部22で受けることができる。また、圧盤部23は球面部22に対して同心状に配置されるため、球面部22と圧盤部23の接続部分には、径方向外側から内側に凹んだ段差部24が形成される。段差部24は環状である。段差部24には、受け部19が進入した状態で配置され、受け部19の径方向内側に、圧盤部23が配置される。圧盤部23は、受け部19の開口19Aを通じて、球座受け11から軸線方向Lに突出している。
【0019】
受け部19は、球座圧盤本体21の中心軸L2が軸線方向Lに沿った状態であり、且つ、球面部22が球座面13に接触した状態の場合に、段差部24の球面部22に対して所定の隙間が空くように形成されている。また、この場合には、受け部19の開口19Aの径方向内端と、圧盤部23の径方向外端との間に、所定の隙間が空くように形成されている。これらの所定の隙間により、球座圧盤本体21は、中心軸L2が軸線方向Lに対して所定の角度だけ揺動可能に構成されている。
【0020】
ここで、仮に、球座圧盤本体21が自重で受け部19に接触した状態で球座圧盤本体21に中心軸L2の軸回り方向の力が作用したとすると、球座圧盤本体21は回転方向に摺動可能である。すなわち、受け部19は、球座圧盤本体21を軸線方向Lの軸回りに摺動可能に保持している。
【0021】
受け部19の上面(内面)には、緩衝材の一例としての円環状のゴムシート31が配置される。ゴムシート31は、球座受け11の受け部19と、球座圧盤本体21の段差部24との間に配置される。よって、球座圧盤本体21は、ゴムシート31を介して受け部19に保持される。
【0022】
ゴムシート31は、球座圧盤本体21に押されて弾性変形する。本実施形態のゴムシート31は、球座圧盤本体21の重さとゴムシート31の弾性力がつり合う状態で、球座圧盤本体21の球面部22が球座面13に接触するか否かの境界状態となるような弾性力に構成されている。すなわち、ゴムシート31は、つり合い状態では、球座圧盤本体21の重さをキャンセルするように構成されている。これにより、供試体Tに荷重を付与する際に、空間11A内で、球座受け11と球座圧盤本体21との間の隙間を埋める必要がなく、余計な荷重をかけることが抑制される。また、荷重の付与開始初期には球座受け11と球座圧盤本体21との間に大きな摩擦抵抗が生じ難いため、供試体Tの上面T2形状に応じて、滑らかに球座圧盤本体21を球座面13に沿って摺動させ易くなっている。
なお、受け金具16の受け部19とゴムシート31との間に、シム等の薄板部材を配置することも可能である。シム等を配置することにより寸法公差が生じてもその寸法公差を解消し易くなっている。
【0023】
上部圧盤10の基部12には、外周部に注油口12Aが形成されている。注油口12Aは注油路12Bを介して球座面13まで連通している。注油口12Aから、球座面13と球面部22との間に潤滑油を供給可能である。潤滑油により、球座圧盤本体21と球座受け11との間の摩擦抵抗が抑制され易くなっている。なお、ゴムシート31により潤滑油は空間11A内に密閉され易くなっている。
【0024】
上部圧盤10の上方には、板状の取り付け部材42が固定される。取り付け部材42には、上下方向に延びる固定部材43が上方から挿通されて、上部圧盤10の上方に固定される。固定部材43は、頭部が取り付け部材42の座繰り孔42Aに埋没した状態で固定され、取り付け部材42に対して突出しないように固定される。取り付け部材42には、上下方向に延びる固定部材44が下方から挿通されて、下部クロスヘッド8の下面に固定される。これにより、上部圧盤10が取り付け部材42を介して下部クロスヘッド8に固定される。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態の材料試験機1では、供試体Tは、下面T1が下部圧盤9上に面接触した状態で配置される。そして、図示しない駆動源によりナット(不図示)を回転させて、下部クロスヘッド8を下降させる。下部クロスヘッド8の上部圧盤10が供試体Tの上面T2に接触する際に、下部クロスヘッド8を停止させる。これにより、供試体Tが材料試験機1にセットされ、材料試験機1では圧縮試験が可能となる。
【0026】
圧縮試験が開始されると、ラムシリンダ3により、下部圧盤9を介して所定の応力速度で供試体Tに圧縮荷重が付与される。この際に、圧縮荷重の増加に伴い、ゴムシート31を弾性変形させながら、球座圧盤本体21が供試体Tの上面T2の傾斜角度に追従して揺動可能であり、球座圧盤本体21の下端面23Aが供試体Tの上面T2に面接触した状態が保持される。供試体Tには、上面T2に上部圧盤10が面接触し、下面T1に下部圧盤9が面接触して、上部圧盤10と下部圧盤9とに供試体Tが挟まれた状態で、供試体Tには圧縮方向の荷重が付与される。
【0027】
圧縮荷重が増加していき、供試体Tの破壊点に達して供試体Tが破壊されると、上部圧盤10においては、球座圧盤本体21の圧縮方向の力が瞬時に解放され、球座圧盤本体21が圧縮方向に移動しようとする。このとき、球座圧盤本体21はゴムシート31と接触しており、ゴムシート31が弾性変形するため、球座圧盤本体21が圧縮方向に移動しようとする力を吸収し易くなっている。よって、上部圧盤10の軸線方向Lに沿った衝撃力を抑制可能である。
【0028】
また、供試体Tが破壊される際には、供試体Tの周方向に捻じれるような力が作用する。球座圧盤本体21は供試体Tに高圧で面接触しており、球座圧盤本体21の下端面23Aと供試体Tとの間には高摩擦力が生じ易くなっている。このため、供試体Tが捻じれるように破壊されると、球座圧盤本体21にも回転する方向の力が作用する。
【0029】
本実施形態では、圧盤部23を有する球座圧盤本体21は、球座受け11の空間11Aに配置されているに過ぎない。すなわち、従来のように、圧盤部23を有する球座圧盤本体21が、圧盤吊りロッドに接続されていない。その上、球座圧盤本体21は回転体形状であり、その配置された空間11Aも回転体形状であるため、球座圧盤本体21に回転方向の衝撃力が作用しても、摩擦力以外の力が生じ難くなっている。よって、供試体Tが破壊される際に、球座圧盤本体21が回転方向の力が作用しても、球座圧盤本体21が回転可能であり、また、その回転力も摩擦力により減衰され易くなっている。球座圧盤本体21の回転方向に移動させる衝撃力が生じても、球座圧盤本体21が破損し難くなっている。
【0030】
したがって、本実施形態では、球座圧盤である上部圧盤10について、供試体が破壊される際の衝撃力による破損を抑制し易くなっている。
【0031】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0032】
本実施形態の上部圧盤10は、球座面13を有する球座受け11と、球座面13に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体21と、を備え、供試体Tに所定の軸線方向Lに沿う試験力を付与する上部圧盤10であって、球座受け11は、球座圧盤本体21を軸線方向Lの軸回りに摺動可能に保持する受け金具16を備え、受け金具16と球座圧盤本体21との間には、ゴムシート31が配置されている。
したがって、供試体Tが破壊された場合に、軸線方向Lに球座圧盤本体21が移動しようとすることによる衝撃力はゴムシート31により緩衝され、球座圧盤本体21が軸回り方向に移動しようとすることによる衝撃力は球座圧盤本体21が軸回りに回動することで吸収され易くなっている。よって、上部圧盤10について、供試体Tが破壊される際の衝撃力による破損を抑制することができる。
【0033】
本実施形態では、球座受け11は、球座面13が形成された基部12と、基部12とは別体に形成された受け金具16と、を有し、受け金具16は、基部12に対して固定部材41で固定されており、固定部材41は、軸線方向Lに延びている。
したがって、球座面13を複数部品の合わせ構造で形成する場合に比べて、球座面13を一体に形成できて精度良の良い球座面13を設けることができ、球座圧盤本体21を精度よく摺動し易くできる。また、固定部材41が軸線方向Lに延びており、上部圧盤10の軸線方向Lの負荷に対する強度を確保できる。よって、上部圧盤10の破損を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、球座圧盤本体21は、球座面13に球面接触して摺動可能な球面部22と、球面部22から軸線方向Lに突出する圧盤部23と、を備え、圧盤部23は球面部22よりも小径の柱状に形成されて、圧盤部23と球面部22との接続部分に段差部24が形成され、受け金具16は、段差部24に径方向外側から進入して球座圧盤本体21を保持する。
したがって、球面部22を圧盤部23よりも大径にした構成で上部圧盤10の破損を抑制することができる。
【0035】
本実施形態の材料試験機1は、一対の圧盤9,10で供試体Tを挟んで供試体Tに所定の軸線方向Lに沿う圧縮方向の試験力を付与する材料試験機1であって、少なくとも上部圧盤10は、球座面13を有する球座受け11と、球座面13に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体21と、を備え、供試体Tに所定の軸線方向Lに沿う試験力を付与する上部圧盤10であって、球座受け11は、球座圧盤本体21を軸線方向Lの軸回りに摺動可能に保持する受け金具16を備え、受け金具16と球座圧盤本体21との間には、ゴムシート31が配置されている。
したがって、供試体Tが破壊された場合に、軸線方向Lに球座圧盤本体21が移動しようとすることによる衝撃力はゴムシート31により緩衝され、球座圧盤本体21が軸回り方向に移動しようとすることによる衝撃力は球座圧盤本体21が軸回りに回動することで吸収され易くなっている。よって、上部圧盤10について、供試体Tが破壊される際の衝撃力による破損を抑制することができる。
【0036】
[2.変形例]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、および応用が可能である。
【0037】
上述した第1実施形態において、緩衝材の一例としてのリング状のゴムシート31を説明したが、これに代えて、ゴム以外の樹脂や、金属でもよい。また、環状に限らず、例えば、周方向に等間隔に配置された圧縮ばねなどでもよい。
上述した第1実施形態において、球座受け11は基部12と受け金具16を有し、上下方向に分割されて組付けられる構成を説明したが、左右方向に分割して組付ける構成でもよい。
上述した第1実施形態において、球座面13は一体に形成されることが望ましいが、一体でなくてもよい。
上述した第1実施形態において、上部圧盤10が球座圧盤の構成を例示したが、下部圧盤9が球座圧盤の構成でもよいし、上部圧盤10および下部圧盤9が球座圧盤の構成でもよい。
【0038】
上述した例示的な実施形態、及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0039】
(第1項)
一態様に係る球座圧盤は、球座面を有する球座受けと、前記球座面に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体と、を備え、供試体に所定の軸線方向に沿う試験力を付与する球座圧盤であって、前記球座受けは、前記球座圧盤本体を前記軸線方向の軸回りに摺動可能に保持する保持部を備え、前記保持部と前記球座圧盤本体との間には、緩衝材が配置されていてもよい。
【0040】
第1項に記載の球座圧盤によれば、供試体が破壊された場合に、軸線方向に球座圧盤本体が移動しようとすることによる衝撃力は緩衝材により緩衝され、球座圧盤本体が軸回り方向に移動しようとすることによる衝撃力は球座圧盤本体が軸回りに回動することで吸収され易くなっている。よって、球座圧盤について、供試体が破壊される際の衝撃力による破損を抑制することができる。
【0041】
(第2項)
第1項に記載の試験機において、前記球座受けは、前記球座面が形成された基部と、前記基部とは別体に形成された前記保持部と、を有し、前記保持部は、前記基部に対して固定部材で固定されており、前記固定部材は、前記軸線方向に延びていてもよい。
【0042】
第2項に記載の球座圧盤によれば、球座面を複数部品の合わせ構造で形成する場合に比べて、球座面を一体に形成できて精度良の良い球座面を設けることができ、球座圧盤本体を精度よく摺動し易くできる。また、固定部材が軸線方向に延びており、球座圧盤の軸線方向の負荷に対する強度を確保できる。よって、球座圧盤の破損を抑制することができる。
【0043】
(第3項)
第1項又は第2項に記載の球座圧盤において、前記球座圧盤本体は、前記球座面に球面接触して摺動可能な摺動部と、前記摺動部から前記軸線方向に突出する圧盤部と、を備え、前記圧盤部は前記摺動部よりも小径の柱状に形成されて、前記圧盤部と前記摺動部との接続部分に段差部が形成され、前記保持部は、前記段差部に径方向外側から進入して前記球座圧盤本体を保持してもよい。
【0044】
第3項に記載の球座圧盤によれば、摺動部を圧盤部よりも大径にした構成で球座圧盤の破損を抑制することができる。
【0045】
(第4項)
一態様に係る材料試験機は、一対の圧盤で供試体を挟んで前記供試体に所定の軸線方向に沿う圧縮方向の試験力を付与する材料試験機であって、少なくとも第一の前記圧盤は、球座面を有する球座受けと、前記球座面に球面接触して揺動可能に支持された球座圧盤本体と、を備え、供試体に所定の軸線方向に沿う試験力を付与する球座圧盤であって、前記球座受けは、前記球座圧盤本体を前記軸線方向の軸回りに摺動可能に保持する保持部を備え、前記保持部と前記球座圧盤本体との間には、緩衝材が配置されていてもよい。
【0046】
第4項に記載の材料試験機によれば、供試体が破壊された場合に、軸線方向に球座圧盤本体が移動しようとすることによる衝撃力は緩衝材により緩衝され、球座圧盤本体が軸回り方向に移動しようとすることによる衝撃力は球座圧盤本体が軸回りに回動することで吸収され易くなっている。よって、圧盤について、供試体が破壊される際の衝撃力による破損を抑制することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 材料試験機
9 下部圧盤(圧盤)
10 上部圧盤(球座圧盤、圧盤)
11 球座受け
12 基部
13 球座面
16 受け金具(保持部)
21 球座圧盤本体
22 球面部(摺動部)
23 圧盤部
24 段差部
31 ゴムシート(緩衝材)
41 固定部材
L 軸線方向
T 供試体