(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】コイル部品の製造装置およびコイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/07 20160101AFI20240116BHJP
H01F 41/082 20160101ALI20240116BHJP
【FI】
H01F41/07
H01F41/082
(21)【出願番号】P 2021083359
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】伊谷 寧浩
(72)【発明者】
【氏名】奈良原 亮
(72)【発明者】
【氏名】苅森 盛治
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107993838(CN,A)
【文献】特開2018-093125(JP,A)
【文献】特開平05-258984(JP,A)
【文献】特開平10-144553(JP,A)
【文献】特開2009-246177(JP,A)
【文献】国際公開第2015/178165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/07
H01F 41/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワイヤを挿通可能とするノズルと、
コアを保持し、前記複数のワイヤを撚る方向に前記コアを前記ノズルに対して相対的に回転させ、前記ノズルと前記コアの間に、前記複数のワイヤが撚られた撚り部を形成可能とするワイヤ撚り機構と、
前記コアを保持し、前記撚り部を前記コアに巻回する方向に前記コアを前記ノズルに対して相対的に回転させ、前記撚り部を前記コアに巻回可能とするワイヤ巻回機構と、
前記コアに対して前記ノズルよりも近くに位置し、前記撚り部を前記コアに巻回する際に、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内可能とするガイド部材と
を備え
、
前記ノズルは、前記複数のワイヤのそれぞれを挿通可能とする複数のノズル部を有し、
前記複数のノズル部の間の距離を調整可能とするノズル間距離調整機構をさらに備える、コイル部品の製造装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記撚り部を前記コアに巻回する際に、前記ノズルと前記コアの間に位置する、請求項1に記載のコイル部品の製造装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記撚り部が通過する断面V字状の溝を有する、請求項1または2に記載のコイル部品の製造装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、円柱体であり、前記溝は、前記円柱体の側面に周方向に延在する、請求項3に記載のコイル部品の製造装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記円柱体の軸を中心に回転可能に保持されている、請求項4に記載のコイル部品の製造装置。
【請求項6】
前記撚り部を前記コアの軸方向に沿って巻回する際に、前記ガイド部材を前記コアの軸方向に移動可能とするガイド駆動機構をさらに備える、請求項1から5の何れか一つに記載のコイル部品の製造装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、2つ存在し、
2つの前記ガイド部材は、前記撚り部を前記コアに巻回する際に、前記撚り部に対して互いに反対側に位置して、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内可能とする、請求項1から6の何れか一つに記載のコイル部品の製造装置。
【請求項8】
前記ノズルと前記コアの間の距離を相対的に調整可能とするノズル高さ調整機構をさらに備える、請求項1から7の何れか一つに記載のコイル部品の製造装置。
【請求項9】
複数のワイヤをノズルに通して、前記複数のワイヤの始端をコアの外部電極に接続する工程と、
前記複数のワイヤを撚る方向に前記ノズルと前記コアを相対的に回転させ、前記ノズルと前記コアの間に、前記複数のワイヤが撚られた撚り部を形成する工程と、
前記撚り部を前記コアに巻回する方向に前記ノズルと前記コアを相対的に回転させ、前記コアに対して前記ノズルよりも近くに位置するガイド部材によって前記撚り部を前記コアの所定位置に案内しながら、前記撚り部を前記コアに巻回する工程と
を備え
、
前記ノズルは、前記複数のワイヤのそれぞれを挿通可能とする複数のノズル部を有し、
前記撚り部を形成する工程において、前記複数のノズル部の間の距離を調整する、コイル部品の製造方法。
【請求項10】
前記撚り部を前記コアに巻回する工程において、前記ガイド部材を前記ガイド部材の軸を中心に回転させながら、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内する、請求項
9に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項11】
前記撚り部を前記コアに巻回する工程において、前記ガイド部材を前記コアの軸方向に移動させて、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内する、請求項
9または
10に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項12】
前記ガイド部材は、2つ存在し、
前記撚り部を前記コアに巻回する工程において、前記撚り部に対して互いに反対側に位置する前記2つのガイド部材によって、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内する、請求項
9から
11の何れか一つに記載のコイル部品の製造方法。
【請求項13】
前記撚り部を形成する工程、および、前記撚り部を前記コアに巻回する工程の少なくとも一方の工程において、前記ノズルと前記コアの間の距離を相対的に調整する、請求項
9から
12の何れか一つに記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品の製造装置およびコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイル部品の製造方法としては、特開2010-147132号公報(特許文献1)に記載されたものがある。コイル部品の製造方法は、複数本のワイヤをノズルに通してワイヤの先端をコアの外部電極部に接続する第1工程と、ノズルを所定回数だけ回転させてノズルとコアの間にワイヤの撚り部を形成する第2工程と、コアを回転させてワイヤの撚り部をコアに巻回する第3工程とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記コイル部品の製造方法では、工程数を削減するために、一度により多くのワイヤをコアに巻回する場合がある。この場合、より長いワイヤにおいて一度に撚り部を形成する。つまり、ノズルとコアの距離をできるだけ離して、ノズルとコアの間のワイヤをより長くして、ノズルとコアの間で撚り部を形成する。
【0005】
しかしながら、ノズルとコアが離れているので、この状態でワイヤの撚り部をコアに巻回すると、ワイヤの撚り部をコアの所望の位置に巻回することは困難である。特に、ノズルからコアまでの距離が長いと、ワイヤの撚り部をコアに位置精度よく巻回することは困難である。
【0006】
そこで、ワイヤの撚り部をコアの所望の位置に巻回することができるコイル部品の製造装置およびコイル部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるコイル部品の製造装置は、
複数のワイヤを挿通可能とするノズルと、
コアを保持し、前記複数のワイヤを撚る方向に前記コアを前記ノズルに対して相対的に回転させ、前記ノズルと前記コアの間に、前記複数のワイヤが撚られた撚り部を形成可能とするワイヤ撚り機構と、
前記コアを保持し、前記撚り部を前記コアに巻回する方向に前記コアを前記ノズルに対して相対的に回転させ、前記撚り部を前記コアに巻回可能とするワイヤ巻回機構と、
前記コアに対して前記ノズルよりも近くに位置し、前記撚り部を前記コアに巻回する際に、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内可能とするガイド部材と
を備える。
【0008】
ここで、コアの所定位置とは、撚り部をコアの周方向に軸方向に沿って螺旋状に巻回するために必要な位置である。
前記態様によれば、コアに対してノズルよりも近くに位置するガイド部材によって撚り部をコアの所定位置に案内しながら撚り部をコアに巻回するので、撚り部をコアの所望の位置に巻回することができる。
【0009】
好ましくは、前記ガイド部材は、前記撚り部を前記コアに巻回する際に、前記ノズルと前記コアの間に位置する。
【0010】
前記実施形態によれば、ガイド部材は、ワイヤに負荷をかけ難い位置に存在しながら、撚り部をコアに案内することができる。
【0011】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、前記ガイド部材は、前記撚り部が通過する断面V字状の溝を有する。
【0012】
ここで、V字状とは、溝の開口から溝の底に向かって幅が狭くなる形状をいい、完全なV字の形状に限定されず、溝の底が平坦である台形などの実質的なV字状であってもよい。
【0013】
前記実施形態によれば、ガイド部材は、断面V字状の溝を有するので、撚り部をガイド部材の溝に位置決めしながら撚り部をコアに巻回することができる。これにより、コアに対する撚り部の巻回の位置精度をより向上できる。
【0014】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、前記ガイド部材は、円柱体であり、前記溝は、前記円柱体の側面に周方向に延在する。
【0015】
前記実施形態によれば、溝は、円柱体の側面に周方向に延在するので、撚り部は、円柱体の側面に周方向に沿って案内される。これにより、撚り部に過度な負担をかけないで、撚り部を円滑にコアに案内することができる。
【0016】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、前記ガイド部材は、前記円柱体の軸を中心に回転可能に保持されている。
【0017】
前記実施形態によれば、ガイド部材は、回転可能に保持されているので、ガイド部材は、回転しながら撚り部をコアに案内する。これにより、ガイド部材の撚り部に対する抵抗を低減し、撚り部をより円滑にコアに案内することができる。
【0018】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、前記撚り部を前記コアの軸方向に沿って巻回する際に、前記ガイド部材を前記コアの軸方向に移動可能とするガイド駆動機構をさらに備える。
【0019】
前記実施形態によれば、ガイド駆動機構をさらに備えるので、ガイド部材をコアの所望の位置に合わせて、撚り部をコアに巻回することができる。これにより、コアに対する撚り部の巻回の位置精度をより向上できる。
【0020】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、
前記ガイド部材は、2つ存在し、
2つの前記ガイド部材は、前記撚り部を前記コアに巻回する際に、前記撚り部に対して互いに反対側に位置して、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内可能とする。
【0021】
前記実施形態によれば、2つのガイド部材は、撚り部に対して互いに反対側に位置して、撚り部をコアの所定位置に案内するので、コアに対する撚り部の巻回の位置精度をより向上できる。
【0022】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、前記ノズルと前記コアの間の距離を相対的に調整可能とするノズル高さ調整機構をさらに備える。
【0023】
前記実施形態によれば、撚り部を形成する際、または/および、撚り部をコアに巻回する際に、製品のサイズに合わせてノズルとコアの間の距離を調整することができる。また、撚り部を形成する際に、ノズルとコアの間の距離を調整することで、撚り部の撚りピッチを調整することができる。
【0024】
好ましくは、コイル部品の製造装置の一実施形態では、
前記ノズルは、前記複数のワイヤのそれぞれを挿通可能とする複数のノズル部を有し、
前記複数のノズル部の間の距離を調整可能とするノズル間距離調整機構をさらに備える。
【0025】
前記実施形態によれば、撚り部を形成する際に、複数のノズル部の間の距離を調整することで、撚り部の撚りピッチを調整することができる。
【0026】
また、本開示の一態様であるコイル部品の製造方法は、
複数のワイヤをノズルに通して、前記複数のワイヤの始端をコアの外部電極に接続する工程と、
前記複数のワイヤを撚る方向に前記ノズルと前記コアを相対的に回転させ、前記ノズルと前記コアの間に、前記複数のワイヤが撚られた撚り部を形成する工程と、
前記撚り部を前記コアに巻回する方向に前記ノズルと前記コアを相対的に回転させ、前記コアに対して前記ノズルよりも近くに位置するガイド部材によって前記撚り部を前記コアの所定位置に案内しながら、前記撚り部を前記コアに巻回する工程と
を備える。
【0027】
前記態様によれば、コアに対してノズルよりも近くに位置するガイド部材によって撚り部をコアの所定位置に案内しながら撚り部をコアに巻回するので、撚り部をコアの所望の位置に巻回することができる。
【0028】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、前記撚り部を前記コアに巻回する工程において、前記ガイド部材を前記ガイド部材の軸を中心に回転させながら、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内する。
【0029】
前記実施形態によれば、ガイド部材を回転させながら撚り部をコアに案内するので、ガイド部材の撚り部に対する抵抗を低減し、撚り部をより円滑にコアに案内することができる。
【0030】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、前記撚り部を前記コアに巻回する工程において、前記ガイド部材を前記コアの軸方向に移動させて、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内する。
【0031】
前記実施形態によれば、ガイド部材をコアの軸方向に移動させて、撚り部をコアの所定位置に案内するので、ガイド部材をコアの所望の位置に合わせて、撚り部をコアに巻回することができる。これにより、コアに対する撚り部の巻回の位置精度をより向上できる。
【0032】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、
前記ガイド部材は、2つ存在し、
前記撚り部を前記コアに巻回する工程において、前記撚り部に対して互いに反対側に位置する前記2つのガイド部材によって、前記撚り部を前記コアの所定位置に案内する。
【0033】
前記実施形態によれば、撚り部に対して互いに反対側に位置する2つのガイド部材によって、撚り部をコアの所定位置に案内するので、コアに対する撚り部の巻回の位置精度をより向上できる。
【0034】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、前記撚り部を形成する工程、および、前記撚り部を前記コアに巻回する工程の少なくとも一方の工程において、前記ノズルと前記コアの間の距離を相対的に調整する。
【0035】
前記実施形態によれば、撚り部を形成する工程、および、撚り部をコアに巻回する工程の少なくとも一方の工程において、製品のサイズに合わせてノズルとコアの間の距離を調整することができる。また、撚り部を形成する工程において、ノズルとコアの間の距離を調整することで、撚り部の撚りピッチを調整することができる。
【0036】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、
前記ノズルは、前記複数のワイヤのそれぞれを挿通可能とする複数のノズル部を有し、
前記撚り部を形成する工程において、前記複数のノズル部の間の距離を調整する。
【0037】
前記実施形態によれば、撚り部を形成する工程において、複数のノズル部の間の距離を調整することで、撚り部の撚りピッチを調整することができる。
【発明の効果】
【0038】
本開示の一態様であるコイル部品の製造装置およびコイル部品の製造方法によれば、ワイヤの撚り部をコアの所望の位置に巻回することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】コイル部品の製造装置の第1実施形態を示す簡略構成図である。
【
図5A】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5B】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5C】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5D】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5E】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5F】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5G】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図5H】コイル部品の製造方法について説明する説明図である。
【
図6】コイル部品の製造装置の第2実施形態を示す簡略斜視図である。
【
図7】コイル部品の製造装置の第3実施形態を示す簡略構成図である。
【
図8】コイル部品の製造装置の第4実施形態を示す簡略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本開示の一態様であるコイル部品の製造装置およびコイル部品の製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0041】
(第1実施形態)
図1は、コイル部品の製造装置の第1実施形態を示す簡略構成図である。
図1に示すように、コイル部品の製造装置1は、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122を挿通可能とするノズル10と、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122が撚られた撚り部を形成可能とするワイヤ撚り機構20と、撚り部をコア110に巻回可能とするワイヤ巻回機構30と、撚り部をコア110に巻回する際に、撚り部をコア110の所定位置に案内可能とするガイド部材40と、撚り部をコア110の軸110a方向に沿って巻回する際に、ガイド部材40をコア110の軸110a方向に移動可能とするガイド駆動機構50とを備える。コイル部品の製造装置1を用いて、コイル部品を製造することができる。
【0042】
ここで、コイル部品について説明する。
図2は、コイル部品の底面図である。
図2に示すように、コイル部品100は、コア110と、コア110に巻回されたコイル120と、コア110に設けられコイル120が電気的に接続された第1外部電極131、第2外部電極132、第3外部電極133および第4外部電極134とを備える。
【0043】
コア110は、巻芯部113と、巻芯部113の第1端に設けられた第1鍔部111と、巻芯部113の第2端に設けられた第2鍔部112とを有する。コア110の材料としては、例えば、フェライトの焼結体や、磁性粉含有樹脂の成型体などの磁性体が好ましく、アルミナや、樹脂などの非磁性体であってもよい。
【0044】
巻芯部113の形状は、例えば、直方体である。なお、巻芯部113の軸110aに直交する断面形状は、円形などの曲面を含む形状であってもよく、または、六角形や八角形などの多角形であってもよい。
第1鍔部111の形状と第2鍔部112の形状は、例えば、矩形の平板である。第1鍔部111の底面には、第1外部電極131および第2外部電極132が設けられ、第2鍔部112の底面には、第3外部電極133および第4外部電極134が設けられている。第1から第4外部電極131~134は、例えば、銀などの導電材料からなる。第1から第4外部電極131~134は、図示しない実装基板の電極に電気的に接続される。
【0045】
コイル120は、巻芯部113に巻回された第1ワイヤ121および第2ワイヤ122を含む。すなわち、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122は、コア110の軸110a(巻芯部13の延びる方向)に沿って、コア110に巻回されている。
【0046】
第1ワイヤ121および第2ワイヤ122は、例えば銅などの金属からなる導線がポリウレタンやポリアミドイミドなどの樹脂からなる被膜で覆われた絶縁被膜付導線である。第1ワイヤ121は、第1端が第1外部電極131と、第2端が第3外部電極133と電気的に接続されている。第2ワイヤ122は、第1端が第2外部電極132と、第2端が第4外部電極134と電気的に接続されている。第1ワイヤ121および第2ワイヤ122と、第1から第4外部電極131~134とは、例えば熱圧着、ろう付け、溶接などによって接続される。
【0047】
第1ワイヤ121および第2ワイヤ122は、巻芯部113に対して、同じ方向に巻回されている。これにより、コイル部品100では、差動信号など第1ワイヤ121と第2ワイヤ122とに逆相の信号が入力されれば、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122により発生する磁束が打ち消し合い、インダクタとしての働きが弱まり、当該信号を通過させる。一方、外来ノイズなど第1ワイヤ121と第2ワイヤ122とに同相の信号が入力されれば、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122により発生する磁束が強め合い、インダクタとしての働きが強まり、当該ノイズの通過を遮断する。したがって、コイル部品100は、差動信号などのディファレンシャルモードの信号の通過損失を低下しつつ、外来ノイズなどのコモンモードの信号を減衰させるコモンモードチョークコイルとして機能する。
【0048】
第1ワイヤ121および第2ワイヤ122は、互いに撚り合わされて撚り部125を構成する。撚り部125は、巻芯部113の領域に存在しているが、第1鍔部111と巻芯部113の間の領域および第2鍔部112と巻芯部113の間の領域の少なくとも一方の領域に存在していてもよい。撚り部125では、2本のワイヤ間の相対的な差異(線路長、浮遊容量の偏りなど)が小さくなるので、コイル部品100内でディファレンシャルモード信号がコモンモード信号に変換されて出力される、あるいはその逆に変換されて出力されるなどのモード変換出力が低減し、モード変換特性を良好なものとすることができる。
【0049】
図1に示すように、コイル部品の製造装置1において、ノズル10は、ワイヤ撚り機構20よりも鉛直方向の上方に配置されている。また、ワイヤ巻回機構30およびガイド部材40は、鉛直方向において、ノズル10とワイヤ撚り機構20との間に配置されている。ここで、上方とは、製造装置1を地面に設置した際に、重力方向の上側をいう。
【0050】
ノズル10は、第1ワイヤ121を挿通可能とする第1ノズル部11と、第2ワイヤ122を挿通可能とする第2ノズル部12と、第1ノズル部11および第2ノズル部12を支持する支持板15とを有する。第1ノズル部11および第2ノズル部12は、支持板15により一体に連結される。
【0051】
ワイヤ撚り機構20は、コア110を保持し、第1、第2ワイヤ121,122を撚る方向にコア110をノズル10に対して相対的に回転させ、ノズル10とコア110の間に撚り部125を形成可能とする。
【0052】
ワイヤ撚り機構20は、コア110を保持する撚りチャック部21と、撚りチャック部21を支持し固定する回転台22と、回転台22を鉛直軸周りに回転させるモータ23と、回転台22を回転可能に支持する支持台24と、支持台24を水平方向に往復移動させる第1シリンダ25と、支持台24を往復移動可能に支持する基台26と、基台26を鉛直方向に往復移動させる第2シリンダ27とを有する。
【0053】
撚りチャック部21は、モータ23の駆動により、回転台22とともに鉛直軸を中心としてR1方向に回転する。そして、巻回チャック部21に保持されたコア110は、モータ23の駆動により、コア110の軸110aに直交しコア110の中心を通過する鉛直軸を中心としてR1方向に回転する。
【0054】
撚りチャック部21および回転台22は、第1シリンダ25の駆動により、支持台24とともに水平方向に往復移動する。つまり、撚りチャック部21は、第1シリンダ25の駆動により、左右方向(X1方向)に往復移動して、ワイヤ巻回機構30に接近または離隔する。
【0055】
撚りチャック部21、回転台22および支持台24は、第2シリンダ27の駆動により、基台26とともに鉛直方向に往復移動する。つまり、撚りチャック部21は、第2シリンダ27の駆動により、上下方向(Z1方向)に往復移動して、ワイヤ巻回機構30に接近または離隔する。
【0056】
ワイヤ巻回機構30は、コア110を保持し、撚り部125をコア110に巻回する方向にコア110をノズル10に対して相対的に回転させ、撚り部125をコア110に巻回可能とする。
【0057】
ワイヤ巻回機構30は、コア110を保持する巻回チャック部31と、巻回チャック部31を水平軸の周りに回転させるモータ32とを有する。そして、巻回チャック部31に保持されたコア110は、モータ32の駆動により、当該水平軸と一致するコア110の軸110aを中心としてR2方向に回転する。なお、コア110は、撚りチャック部21または巻回チャック部31に選択的に保持されており、
図1では、コア110は、巻回チャック部31に保持された状態を示している。
【0058】
ガイド駆動機構50は、撚り部125をコア110に巻回する際に、ガイド部材40をコア110の軸110a方向に移動可能とする。
【0059】
ガイド駆動機構50は、ガイド部材40を支持するガイド支持部51と、ガイド支持部51を水平方向に往復移動させるガイド位置調整部52と、ガイド位置調整部52を水平方向に往復移動させるシリンダ53とを有する。
【0060】
ガイド位置調整部52は、例えば、ボールねじを有し、ガイド支持部51に螺合し、ボールねじの回転により、ガイド支持部51を水平方向に移動させる。ガイド部材40は、ガイド位置調整部52の駆動により、ガイド支持部51とともに水平方向に往復移動する。つまり、ガイド部材40は、ガイド位置調整部52の駆動により、左右方向(X2方向)に往復移動して、ワイヤ巻回機構30に接近または離隔する。
【0061】
ガイド部材40およびガイド支持部51は、シリンダ53の駆動により、ガイド位置調整部52とともに水平方向に往復移動する。つまり、ガイド部材40は、シリンダ53の駆動により、左右方向(X3方向)に往復移動して、ワイヤ巻回機構30に接近または離隔する。
【0062】
ガイド部材40は、巻回チャック部31に保持されたコア110に対してノズル10よりも近くに位置し、撚り部125をコア110に巻回する際に、撚り部125をコア110の所定位置に案内可能とする。
【0063】
具体的に述べると、ガイド部材40は、撚り部125をコア110に巻回する際に、ノズル10とコア110の間に位置する。つまり、ガイド部材40は、ノズル10とコア110の間のワイヤ121,122上に位置する。好ましくは、ガイド部材40は、ノズル10とコア110を結ぶ線分上に位置する。ガイド部材40は、鉛直方向において、ノズル10と、巻回チャック部31に保持されたコア110との間に位置する。
なお、ガイド部材40は、ノズル10とコア110を結ぶ線分上になくてもよい。また、ガイド部材40は、鉛直方向において、ノズル10とコア110の間になくてもよく、例えば、コア110と同じ高さに位置してもよい。
【0064】
ガイド部材40は、撚り部125をコア110の周方向に軸方向に沿って螺旋状に巻回する。言い換えると、ガイド部材40は、撚り部125を、コア110の周方向に巻回しつつ、コア110の軸110a方向に少しずつずれながら巻回する。このように、ガイド部材40は、コア110に対して撚り部125が巻回される位置に案内を行い、また、ガイド部材40は、撚り部125の軸110a方向へのずれに合わせて軸110a方向に移動可能となっている。
【0065】
上記構成によれば、コア110に対してノズル10よりも近くに位置するガイド部材40によって撚り部125をコア110の所定位置に案内しながら撚り部125をコア110に巻回するので、コア110に近い位置で撚り部125をコア110に案内でき、この結果、撚り部125をコア110の所望の位置に巻回することができる。
【0066】
また、ガイド部材40は、撚り部125をコア110に巻回する際に、ノズル10とコア110の間に位置するので、ガイド部材40は、ワイヤ121,122に負荷をかけ難い位置に存在しながら、撚り部125をコア110に案内することができる。
【0067】
また、ガイド駆動機構50をさらに備えるので、ガイド部材40を移動してコア110の所望の位置に合わせながら、撚り部125をコア110に巻回することができる。これにより、コア110に対する撚り部125の巻回の位置精度をより向上できる。
【0068】
図3Aは、ガイド部材40の斜視図である。
図3Bは、ガイド部材40の軸40aを含む断面図である。
【0069】
図3Aと
図3Bに示すように、ガイド部材40は、撚り部125が通過する断面V字状の溝41を有する。V字状とは、溝41の開口から溝41の底に向かって幅Hが狭くなる形状をいい、完全なV字の形状に限定されず、溝41の底が平坦である台形などの実質的なV字状であってもよい。この実施形態では、溝41の底は、平坦である。
【0070】
上記構成によれば、撚り部125を断面V字状の溝41に位置決めしながら撚り部125をコア110に巻回することができる。これにより、コア110に対する撚り部125の巻回の位置精度をより向上できる。
【0071】
また、ガイド部材40は、円柱体であり、溝41は、円柱体の側面に周方向に延在する。上記構成によれば、撚り部125は、円柱体の側面に周方向に沿って案内される。これにより、撚り部125に過度な負担をかけないで、撚り部125を円滑にコア110に案内することができる。
【0072】
また、ガイド部材40は、円柱体の軸40aを中心に回転可能に保持されている。つまり、ガイド部材40は、
図1に示すガイド支持部51に対して、軸40aを中心として回転可能に支持されている。上記構成によれば、ガイド部材40は、回転しながら撚り部125をコア110に案内する。これにより、ガイド部材40の撚り部125に対する抵抗を低減し、撚り部125をより円滑にコア110に案内することができる。
【0073】
好ましくは、溝41の開口側の幅Hは、ワイヤ121,122の直径の2倍以上かつ3倍以下である。幅Hが2倍以上であると、撚り部125において最大寸法となる2本のワイヤ121,122が軸40aに平行な横方向に並んだ状態でも、撚り部125を溝41内に収容することができる。一方、幅Hが3倍以下であると、溝41内に収容される撚り部125を巻芯部113に巻回する際、溝41内で撚り部125が移動可能となる遊び代を低減でき、この結果、溝41内の撚り部125を、巻芯部113の所望の位置に巻回することができる。
【0074】
次に、コイル部品の製造方法について説明する。
【0075】
まず、
図4に示すように、コア110の第1鍔部111の底面に第1外部電極131および第2外部電極132を設け、コア110の第2鍔部112の底面に第3外部電極133および第4外部電極134を設ける。
【0076】
そして、
図5Aに示すように、コア110の第1鍔部111を巻回チャック部31にて保持する。また、図示しないボビンからワイヤ121,122を引き出し、第1ワイヤ121を第1ノズル部11に通し、第2ワイヤ122を第2ノズル部12に通して、第1ワイヤ121の始端をコア110の第1外部電極131に接続し、第2ワイヤ122の始端をコア110の第2外部電極132に接続する。例えば、ヒータチップを用いて、ワイヤ121,122の始端を外部電極131,132に圧着する。このとき、撚りチャック部21は、第1位置(退避位置)に位置している。
【0077】
その後、
図5Bに示すように、第1シリンダ25のロッドを伸ばして、撚りチャック部21を回転台22および支持台24とともに巻回チャック部31に接近させる。また、
図1に示す第2シリンダ27のロッドを伸ばして、撚りチャック部21を回転台22、支持台24および基台26とともに巻回チャック部31に接近させる。つまり、撚りチャック部21を
図5Aに示す第1位置から
図5Bに示す第2位置(コア受け渡し位置)に移動させる。そして、巻回チャック部31にて保持されたコア110を撚りチャック部21に移動させる。
【0078】
その後、
図5Cに示すように、第1シリンダ25のロッドを縮めて、撚りチャック部21を回転台22および支持台24とともに巻回チャック部31から離隔させる。このとき、撚りチャック部21は、第3位置(撚り部形成位置)に位置している。
【0079】
そして、
図5Dに示すように、2本のワイヤ121,122を撚る方向にノズル10とコア110を相対的に回転させ、ノズル10とコア110の間に、2本のワイヤ121,122が撚られた撚り部125を形成する。具体的に述べると、ノズル10を固定し、
図1に示すモータ23の駆動により、回転台22を鉛直軸周りに回転させ、撚りチャック部21(コア110)をR1方向に回転させる。
なお、コア110を固定し、ノズル10をコア110の周りを回転させてもよく、または、コア110を回転させ、ノズル10をコア110の回転と逆方向に回転させてもよく、または、コア110を回転させ、ノズル10をコア110の回転と同方向にコア110の回転よりも速く回転させてもよい。
【0080】
その後、
図5Eに示すように、第1シリンダ25のロッドを伸ばして、撚りチャック部21を回転台22および支持台24とともに巻回チャック部31に接近させ、つまり、撚りチャック部21を
図5Bに示す第2位置に移動して、
図5Fに示すように、撚りチャック部21にて保持されたコア110を巻回チャック部31に移動させる。そして、第1シリンダ25のロッドを縮めて、撚りチャック部21を回転台22および支持台24とともに巻回チャック部31から離隔させる。また、
図1に示す第2シリンダ27のロッドを縮めて、撚りチャック部21を回転台22、支持台24および基台26とともに巻回チャック部31から離隔させる。つまり、撚りチャック部21を
図5Aに示す第1位置に移動させる。
【0081】
その後、
図5Gに示すように、シリンダ53のロッドを伸ばして、ガイド部材40をガイド支持部51およびガイド位置調整部52とともに巻回チャック部31に接近させる。このとき、ガイド部材40を巻回チャック部31に保持されたコア110に近づけ、撚り部125をガイド部材40の溝41内に収容して這わせる。
【0082】
そして、
図5Hに示すように、撚り部125をコア110に巻回する方向にノズル10とコア110を相対的に回転させ、コア110に対してノズル10よりも近くに位置するガイド部材40によって撚り部125をコア110の所定位置に案内しながら、撚り部125をコア110に巻回する。具体的に述べると、ノズル10を固定し、モータ32の駆動により、巻回チャック部31を水平軸周りに回転させ、巻回チャック部31に保持されたコア110を、コア110の軸110aを中心としてR2方向に回転させる。
【0083】
これによれば、コア110に対してノズル10よりも近くに位置するガイド部材40によって撚り部125をコア110の所定位置に案内しながら、撚り部125をコア110に巻回するので、コア110に近い位置で撚り部125をコア110に案内でき、この結果、撚り部125をコア110の所望の位置に巻回することができる。また、撚り部125をガイド部材40の溝41内に走行させながら、撚り部125をコア110に巻回するので、撚り部125がずれ難く、さらに正確な位置に巻回することができる。
【0084】
好ましくは、撚り部125をコア110に巻回する際、ノズル10とガイド部材40の間の距離よりもガイド部材40とコア110の間の距離を短くすることで、撚り部125をより正確な位置に巻回することができる。
【0085】
また、撚り部125をコア110に巻回する際、ガイド部材40をガイド部材40の軸40aを中心に回転させながら、撚り部125をコア110の所定位置に案内する。これによれば、ガイド部材40の撚り部125に対する抵抗を低減し、撚り部125をより円滑にコア110に案内することができる。例えば、ガイド部材40によるワイヤ121,122への摩擦を低減でき、ワイヤ121,122の断線を抑制することができる。
【0086】
また、撚り部125をコア110に巻回する際、ガイド部材40をコア110の軸110a方向に移動させて、撚り部125をコア110の所定位置に案内する。具体的に述べると、ガイド部材40を、ガイド位置調整部52の駆動により、ガイド支持部51とともにコア110の軸110aに沿って第1鍔部111から第2鍔部112に移動させる。これによれば、ガイド部材40を移動してコア110の所望の位置に合わせながら、撚り部125をコア110に巻回することができる。これにより、コア110に対する撚り部125の巻回の位置精度をより向上できる。
【0087】
その後、第1ワイヤ121の終端をコア110の第3外部電極133に接続し、第2ワイヤ122の終端をコア110の第4外部電極134に接続して、
図2に示すように、コイル部品100を製造する。
【0088】
なお、コイル部品100の撚り部125の撚りピッチを変更する場合、ノズル10とコア110を相対的に回転させて撚り部125を形成する際に、撚りチャック部21の回転数を変更することで、撚り部125の撚りピッチを変更することができる。
【0089】
ここで、撚り部125の撚りピッチとは、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122が互いに撚り合わされた状態において、第1ワイヤ121および第2ワイヤ122の特定の相対位置から次の同じ相対位置に最初に戻るまでの長さをいう。つまり、互いに撚り合わされた複数のワイヤの位置関係が0°から360°まで回転したときの長さをいう。
【0090】
(第2実施形態)
図6は、コイル部品の製造装置の第2実施形態を示す簡略斜視図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、ガイド部材の数量が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0091】
図6に示すように、第2実施形態のコイル部品の製造装置1Aでは、ガイド部材40は、2つ存在する。2つのガイド部材40は、撚り部125をコア110に巻回する際に、撚り部125に対して互いに反対側に位置して、撚り部125をコア110の所定位置に案内可能とする。具体的に述べると、2つのガイド部材40は、撚り部125に対して互いに反対側に位置し、かつ、撚り部125に沿って上下に配置されている。撚り部125は、2つのガイド部材40のそれぞれの溝41内を走行する。
【0092】
上記構成によれば、2つのガイド部材40は、撚り部125を溝41内で挟持しつつコア110の所定位置に案内するので、コア110に対する撚り部125の巻回の位置精度をより向上できる。
【0093】
次に、コイル部品の製造方法の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、1つのガイド部材40を用いて撚り部125をコア110に巻回しているが、第2実施形態では、2つのガイド部材40を用いて撚り部125をコア110に巻回している点が相違する。なお、その他の工程は、第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0094】
つまり、撚り部125をコア110に巻回する工程において、撚り部125に対して互いに反対側に位置する2つのガイド部材40によって、撚り部125をコア110の所定位置に案内する。これによれば、コア110に対する撚り部125の巻回の位置精度をより向上できる。
【0095】
なお、前記第2実施形態において、ガイド部材40は、2つ存在するが、3つ以上存在してもよく、この場合、複数のガイド部材40は、撚り部125に沿って配置され、撚り部125に対して交互に反対側に位置してもよい。
【0096】
(第3実施形態)
図7は、コイル部品の製造装置の第3実施形態を示す簡略構成図である。第3実施形態は、第1実施形態とは、ノズル高さ調整機構を設けた点が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0097】
図7に示すように、第3実施形態のコイル部品の製造装置1Bでは、ノズル10とコア110の間の距離を相対的に調整可能とするノズル高さ調整機構61をさらに備える。つまり、ノズル高さ調整機構61は、ノズル10とワイヤ撚り機構20の間の距離を相対的に調整可能とする。この実施形態では、ノズル高さ調整機構61は、
図7の矢印に示すように、ノズル10を撚りチャック部21に対して接近または離隔可能とする。具体的に述べると、ノズル10は、下方に移動して、撚りチャック部21に保持されたコア110に接近し、一方、ノズル10は、上方に移動して、撚りチャック部21に保持されたコア110から離隔する。
【0098】
なお、ノズル高さ調整機構は、撚りチャック部21をノズル10に対して接近または離隔可能としてもよく、または、ノズル高さ調整機構は、ノズル10および撚りチャック部21を互いに接近または離隔可能としてもよい。
【0099】
上記構成によれば、撚り部125を形成する際に、製品のサイズに合わせてノズル10とコア110の間の距離を調整することができる。また、撚り部125を形成する際に、ノズル10とコア110の間の距離を調整することで、撚り部125の撚りピッチを調整することができる。具体的に述べると、ノズル10とコア110の間の距離を大きくすると、撚りピッチは大きくなり、ノズル10とコア110の間の距離を小さくすると、撚りピッチは小さくなる。
【0100】
同時に、ノズル高さ調整機構61は、ノズル10とワイヤ巻回機構30の間の距離を相対的に調整可能とする。この実施形態では、ノズル高さ調整機構61は、ノズル10を巻回チャック部31に対して接近または離隔可能とする。具体的に述べると、ノズル10は、下方に移動して、巻回チャック部31に保持されたコア110に接近し、一方、ノズル10は、上方に移動して、巻回チャック部31に保持されたコア110から離隔する。
【0101】
なお、ノズル高さ調整機構は、巻回チャック部31をノズル10に対して接近または離隔可能としてもよく、または、ノズル高さ調整機構は、ノズル10および巻回チャック部31を互いに接近または離隔可能としてもよい。
【0102】
上記構成によれば、撚り部125をコア110に巻回する際に、製品のサイズに合わせてノズル10とコア110の間の距離を調整することができる。
【0103】
次に、コイル部品の製造方法の第3実施形態について説明する。第1実施形態では、撚り部125の形成工程、および、撚り部125の巻回工程において、ノズル10とコア110の間の距離を一定にしているが、第3実施形態では、ノズル10とコア110の間の距離を変動している点が相違する。なお、その他の工程は、第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0104】
つまり、撚り部125を形成する工程、および、撚り部125をコア110に巻回する工程の少なくとも一方の工程において、ノズル10とコア110の間の距離を相対的に調整する。これによれば、撚り部125を形成する工程、および、撚り部125をコア110に巻回する工程の少なくとも一方の工程において、製品のサイズに合わせてノズル10とコア110の間の距離を調整することができる。また、撚り部125を形成する工程において、ノズル10とコア110の間の距離を調整することで、撚り部125の撚りピッチを調整することができる。
【0105】
なお、ノズル高さ調整機構は、ノズルとワイヤ撚り機構の間の距離、または、ノズルとワイヤ巻回機構の間の距離の何れか一方の距離を、相対的に調整可能としてもよい。
【0106】
(第4実施形態)
図8は、コイル部品の製造装置の第4実施形態を示す簡略構成図である。第4実施形態は、第1実施形態とは、ノズル間距離調整機構を設けた点が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0107】
図8に示すように、第4実施形態のコイル部品の製造装置1Cでは、ノズル10は、第1ノズル部11と第2ノズル部12が互いに接近または離隔可能となるように、構成されている。コイル部品の製造装置1Cは、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を調整可能とするノズル間距離調整機構62をさらに備える。この実施形態では、ノズル間距離調整機構62は、
図8の矢印に示すように、第1ノズル部11と第2ノズル部12を互いに水平方向に移動する。つまり、ノズル間距離調整機構62は、第1ノズル部11と第2ノズル部12を互いに接近または離隔する。なお、ノズル間距離調整機構62は、第1ノズル部11または第2ノズル部12の何れか一方を移動可能としてもよい。
【0108】
上記構成によれば、撚り部125を形成する際に、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を調整することで、撚り部125の撚りピッチを調整することができる。具体的に述べると、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を大きくすると、撚りピッチは小さくなり、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を小さくすると、撚りピッチは大きくなる。
【0109】
次に、コイル部品の製造方法の第4実施形態について説明する。第1実施形態では、撚り部125の形成工程において、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を一定にしているが、第4実施形態では、第1ノズル部11と第2ノズル部12の距離を変動している点が相違する。なお、その他の工程は、第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0110】
つまり、撚り部125を形成する工程において、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を調整する。これによれば、撚り部125を形成する工程において、第1ノズル部11と第2ノズル部12の間の距離を調整することで、撚り部125の撚りピッチを調整することができる。
【0111】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第4実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0112】
前記実施形態では、コイル部品を、コモンモードチョークコイルとして用いているが、例えば、トランス、結合インダクタアレイなどの複数のワイヤが巻芯部に巻回される巻線型コイルとして用いてもよい。これらの巻線型コイルにおいても、線間容量の低減は有用である。
【0113】
前記実施形態では、コイルがワイヤを2本含むが、コイルは複数のワイヤを含めばよく、3本以上としてもよい。この場合、撚り部も2本のワイヤが撚り合わされた構成に限られず、3本以上のワイヤが撚り合わされた構成となっていてもよい。また、ワイヤを3本以上とする場合、ノズル部も3つ以上とし、3本のワイヤのそれぞれを挿通可能とする。
【0114】
前記実施形態では、ガイド駆動機構はシリンダを有するが、シリンダを省略してガイド位置調整部のみとしてもよい。また、前記実施形態では、ガイド駆動機構を設けているが、ガイド駆動機構を設けなくてもよい。
【0115】
前記実施形態では、ノズルは、第1ワイヤを挿通する第1ノズル部と第2ワイヤを挿通する第2ノズル部を有するが、ノズルは、1つのノズル部を有し、この1つのノズル部に複数のワイヤを挿通してもよい。
【0116】
前記実施形態では、撚り部を形成する際、ノズルを固定し、撚りチャック部を回転させるが、ノズルを回転し、撚りチャック部を固定してもよく、または、ノズルおよび撚りチャック部をそれぞれ同一方向または反対方向に回転させてもよい。
【0117】
前記実施形態では、撚り部を巻回する際、ノズルを固定し、巻回チャック部を回転させるが、ノズルを回転し、巻回チャック部を固定してもよく、または、ノズルおよび巻回チャック部をそれぞれ同一方向または反対方向に回転させてもよい。
【0118】
前記実施形態では、一括して撚り部を形成してから、その後、一括して撚り部をコアに巻回しているが、複数回に分けて撚り部を形成してからコアに巻回してもよい。つまり、所定数の撚り部を形成してからコアに巻回し、その後、再度、所定数の撚り部を形成してからコアに巻回してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1,1A,1B,1C コイル部品の製造装置
10 ノズル
11 第1ノズル部
12 第2ノズル部
20 ワイヤ撚り機構
21 撚りチャック部
30 ワイヤ巻回機構
31 巻回チャック部
40 ガイド部材
40a 軸
41 溝
50 ガイド駆動機構
52 ガイド位置調整部
61 ノズル高さ調整機構
62 ノズル間距離調整機構
100 コイル部品
110 コア
110a 軸
111 第1鍔部
112 第2鍔部
113 巻芯部
120 コイル
121 第1ワイヤ
122 第2ワイヤ
125 撚り部
131 第1外部電極
132 第2外部電極
133 第3外部電極
134 第4外部電極