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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電力変換装置、電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240116BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240116BHJP
【FI】
H02M3/155 Z
H02M3/155 F
H02M7/48 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021113208
(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公開番号】P2023009710
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石倉 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健太
(72)【発明者】
【氏名】北尾 文美
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-125626(JP,A)
【文献】特開2020-156224(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082783(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電源にそれぞれに接続する複数の入力配線と、
前記複数の入力配線のそれぞれに直列に接続された複数の統合用整流素子と、
前記複数の統合用整流素子が接続された前記複数の入力配線の一端が共通に接続されるノードと、
前記ノードに接続される入力キャパシタと、
前記入力キャパシタに接続し、前記入力キャパシタの電圧を所定電圧に変換して出力する電力変換回路と、
を備え、
前記電力変換回路は、発熱性回路素子であるインダクタとスイッチング素子と電力変換用整流素子と出力キャパシタと、を含んで構成され、
前記統合用整流素子は、順方向電圧特性において負の温度係数を有し、
少なくとも1つの前記発熱性回路素子と前記複数の統合用整流素子とは、共通の放熱器に直接または間接的に接続され
前記統合用整流素子と前記電力変換用整流素子とは、前記共通の放熱器に直接的または間接的に接続され、
前記電力変換用整流素子は、順方向電圧特性において正の温度係数を有する、
電力変換装置。
【請求項2】
前記放熱器は、金属板であり、
前記複数の統合用整流素子および前記電力変換用整流素子は、前記金属板の一面に絶縁シートを挟んで並んで配置される、
請求項に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記金属板に物理的に接触する部分を有し、前記複数の統合用整流素子および前記電力変換用整流素子と前記絶縁シートとを前記金属板とともに挟みこむ挟持部材を備える、
請求項に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記複数の統合用整流素子および前記電力変換用整流素子は、回路基板の同一面に実装される、
請求項乃至請求項のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記複数の入力配線にそれぞれ接続される複数のノイズフィルタを備え、
前記複数の統合用整流素子は、前記複数のノイズフィルタよりも前記電力変換回路側に配置される、
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電力変換装置と、
前記複数の発電源である複数の太陽電池と、
を備え、
前記電力変換装置は、
前記電力変換回路の動作を制御する電力管理制御回路と、
前記入力キャパシタの電圧を計測する電圧計測部と、
前記太陽電池の電流を計測する電流計測部と、
を備え、
前記電力管理制御回路は、
前記電圧計測部で計測する電圧と前記電流計測部で計測する電流から発電電力を算出し、所定の電圧範囲において、前記電圧計測部で計測する電圧が前記複数の太陽電池の発電電力が最大値となる電圧になるように、前記電力変換回路を制御する、
電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の直流発電源からの入力電圧を電力変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光発電に用いるパワーコンディショナーが記載されている。特許文献1に記載のパワーコンディショナーは、複数の太陽電池モジュールに対して共通のコンバータを備える。コンバータの入力端には、入力キャパシタが接続される。
【0003】
複数の太陽電池モジュールは、入力キャパシタに対して並列に接続される。言い換えれば、複数の太陽電池モジュールの出力は、入力キャパシタでまとめられて、コンバータに入力される。
【0004】
複数の太陽電池モジュールとコンバータとの間には、それぞれに逆流防止ダイオードが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-33587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の逆流防止ダイオードは、それぞれに電圧降下を生じる。そして、これら逆流防止ダイオードの電圧降下によって、電力変換装置としての効率は低下してしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、複数の直流発電源から入力を受ける電力変換装置の効率の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の電力変換装置は、複数の入力配線、複数の統合用整流素子、ノード、入力キャパシタ、および、電力変換回路を備える。複数の入力配線は、複数の発電源にそれぞれに接続する。複数の統合用整流素子は、複数の入力配線のそれぞれに直列に接続される。ノードは、複数の統合用整流素子が接続された複数の入力配線の一端が共通に接続される点である。入力キャパシタは、ノードに接続される。電力変換回路は、発熱性回路素子であるインダクタとスイッチング素子と電力変換用整流素子と出力キャパシタと、を含んで構成される。統合用整流素子は、順方向電圧特性において負の温度係数を有する。少なくとも1つの発熱性回路素子と複数の統合用整流素子とは、共通の放熱器に直接または間接的に接続される。
【0009】
この構成では、統合用整流素子は、温度が高くなるほど、電圧降下が小さくなる。また、統合用整流素子は、発熱性を有する電力変換用整流素子の熱の影響を受ける位置に配置される。電力変換回路の電力変換動作時には、電力変換用整流素子は発熱し、温度が高くなる。この熱は、共通の放熱器を通じて統合用整流素子に伝導する。これにより、統合用整流素子の温度が高くなり、電圧降下が小さくなる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数の直流電力源から入力を受ける電力変換装置の効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図2(A)は、第1の実施形態に係る電力変換装置の電力変換用整流素子の温度特性を示す図であり、図2(B)は、第1の実施形態に係る電力変換装置の統合用整流素子の温度特性を示す図である。
図3図3(A)、図3(B)は、第1の実施形態における電力変換装置における各ダイオードの配置態様の一例を示す図である。
図4図4は、太陽電池モジュールの出力特性の一例を示すグラフである。
図5図5は、第2の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、第3の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、第4の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置および電力変換システムについて、図を参照して説明する。なお、以下では、電力変換システムとして、太陽光発電システムを例に示す。例えば、電力変換装置への入力は、太陽電池モジュールに限らず、他の直流発電源であっても本願発明の電力変換装置の構成を適用でき、本願発明の作用効果を奏することができる。
【0013】
また、太陽電池モジュールの個数が4個の場合を示すが、太陽電池モジュールの個数は複数個であれば、4個に限らない。すなわち、複数の太陽電池モジュールが電力変換装置に接続される態様であれば、本実施形態を含む本願発明の構成を適用でき、本願発明の作用効果を奏することができる。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、太陽光発電システム1は、複数の太陽電池モジュール81-84(太陽電池モジュール81、太陽電池モジュール82、太陽電池モジュール83、および、太陽電池モジュール84)、および、電力変換装置10を備える。太陽光発電システム1の電力変換装置10は、出力制御スイッチ90を通じて、負荷91や電力系統92に接続される。太陽光発電システム1が、本発明の「電力変換システム」に対応する。
【0016】
(複数の太陽電池モジュールの概要)
複数の太陽電池モジュール81-84は、それぞれに、太陽電池(太陽光発電パネル)、太陽電池から電流と取り出す電子回路によって構成される。複数の太陽電池モジュール81-84は、同じ個数の太陽電池で構成されていてもよく、異なる個数の太陽電池で構成されていてもよい。
【0017】
複数の太陽電池モジュール81-84は、照射される太陽光によってそれぞれに発電を行い、発生した直流電力をそれぞれに出力端子811-814から出力する。
【0018】
(電力変換装置10の構成)
図1に示すように、電力変換装置10は、複数のダイオードD21-D24(ダイオードD21、ダイオードD22、ダイオードD23、および、ダイオードD24)、コンバータ30、インバータ40、および、電力管理制御回路100を備える。複数のダイオードD21-D24のそれぞれが本発明の「統合用整流素子」に対応する。電力管理制御回路100が本発明の「電力管理制御回路」に対応する。
【0019】
太陽電池モジュール81の出力端子811は、入力配線21を通じて入力キャパシタCi30に接続する。太陽電池モジュール82の出力端子821は、入力配線22を通じて入力キャパシタCi30に接続する。太陽電池モジュール83の出力端子831は、入力配線23を通じて入力キャパシタCi30に接続する。太陽電池モジュール84の出力端子841は、入力配線24を通じて入力キャパシタCi30に接続する。
【0020】
より具体的には、入力配線21の高圧側配線、入力配線22の高圧側配線、入力配線23の高圧側配線、および、入力配線24高圧側配線は、互いに接続して、高圧側ノードを形成する。高圧側ノードは、入力キャパシタCi30の高圧側端子に接続する。
【0021】
入力配線21の低圧側配線、入力配線22の低圧側配線、入力配線23の低圧側配線、および、入力配線24低圧側配線は、互いに接続して、低圧側ノードを形成する。低圧側ノードは、入力キャパシタCi30の低圧側端子に接続する。
【0022】
ダイオードD21は、入力配線21の高圧側配線に直列接続される。ダイオードD21のアノードは、出力端子811に接続し、ダイオードD21のカソードは、高圧側ノードに接続する。
【0023】
ダイオードD22は、入力配線22の高圧側配線に直列接続される。ダイオードD22のアノードは、出力端子821に接続し、ダイオードD22のカソードは、高圧側ノードに接続する。
【0024】
ダイオードD23は、入力配線23の高圧側配線に直列接続される。ダイオードD23のアノードは、出力端子831に接続し、ダイオードD23のカソードは、高圧側ノードに接続する。
【0025】
ダイオードD24は、入力配線24の高圧側配線に直列接続される。ダイオードD24のアノードは、出力端子841に接続し、ダイオードD24のカソードは、高圧側ノードに接続する。
【0026】
コンバータ30は、入力キャパシタCi30、インダクタL30、MOSFETQ31、ダイオードD32、および、出力キャパシタCo30を備える。MOSFETQ31が、本発明の「スイッチング素子」に対応し、ダイオードD32が、本発明の「電力変換用整流素子」に対応する。
【0027】
上述のように、入力キャパシタCi30の高圧側端子は、高圧側ノードに接続する。入力キャパシタCi30の低圧側端子は、低圧側ノードに接続する。入力キャパシタCi30によって、複数の入力配線21-24から入力される直流電圧は、所定値に保持される。言い換えれば、複数の太陽電池モジュール81-84の出力電圧は同じになる。
【0028】
インダクタL30の一方端は、入力キャパシタCi30の高圧側端子に接続する。インダクタL30の他方端は、MOSFETQ31のドレインに接続する。MOSFETQ31のソースは、入力キャパシタCi30の低圧側端子に接続する。MOSFETQ31のドレインとインダクタL30との接続点(ノード)は、ダイオードD32のアノードに接続する。
【0029】
ダイオードD32のカソードは、出力キャパシタCo30の高圧側端子に接続する。出力キャパシタCo30の低圧側端子は、MOSFETQ31のソースに接続する。この出力キャパシタCo30の両端が、コンバータ30の出力端子となる。
【0030】
このような構成によって、コンバータ30は、昇圧コンバータを構成する。
【0031】
そして、MOSFETQ31のゲートには、電力管理制御回路100からスイッチング制御信号が入力される。MOSFETQ31は、このスイッチング制御信号によって、所定のスイッチングDutyでスイッチング動作を行う。
【0032】
電力管理制御回路100は、太陽電池の発電電力が最大となるようにDutyを調整することによって、コンバータ30の入力電圧を調整する。これにより、コンバータ30は、複数の太陽電池モジュール81-84が供給する電力を入力して電力変換動作によって太陽電池の出力電力を最大化する。この際、電力管理制御回路100は、複数の太陽電池モジュール81-84のうち、少なくともひとつの太陽電池モジュールからゼロより大きい発電電力が得られる電圧の範囲(所定の電圧範囲)において、複数の太陽電池モジュール81-84の発電電力が最大になるように制御を行う。
【0033】
インバータ40は、二次電池BAT、入力キャパシタCi40、複数のMOSFETQ41-Q44(MOSFETQ41、MOSFETQ42、MOSFETQ43、MOSFETQ44)、インダクタL41、インダクタL42、および、出力キャパシタCo40を備える。
【0034】
二次電池BATの正極端子は、コンバータ30の高圧側出力端子に接続する。二次電池BATの負極端子は、コンバータ30の低圧側出力端子に接続する。これにより、二次電池BATは、コンバータ30の出力電圧によって充電される。二次電池BATは、例えば、図示しない充放電制御回路を通じて、充放電制御される。
【0035】
入力キャパシタCi40の高圧側端子は、二次電池BATの正極端子に接続する。入力キャパシタCi40の低圧側端子は、二次電池BATの負極端子に接続する。
【0036】
MOSFETQ41のドレインは、入力キャパシタCi40の高圧側端子に接続し、MOSFETQ41のソースは、MOSFETQ42のドレインに接続する。MOSFETQ42のソースは、入力キャパシタCi40の低圧側端子に接続する。
【0037】
MOSFETQ43のドレインは、入力キャパシタCi40の高圧側端子に接続し、MOSFETQ43のソースは、MOSFETQ44のドレインに接続する。MOSFETQ44のソースは、入力キャパシタCi40の低圧側端子に接続する。
【0038】
インダクタL41の一方端は、MOSFETQ41のソースとMOSFETQ42のドレインとのノードに接続する。
【0039】
インダクタL42の一方端は、MOSFETQ43のソースとMOSFETQ44のドレインとのノードに接続する。
【0040】
出力キャパシタCo40の一方端子は、インダクタL41の他方端に接続し、出力キャパシタCo40の他方端子は、インダクタL42の他方端に接続する。出力キャパシタCo40の両端子が、インバータ40の出力端子となる。
【0041】
複数のMOSFETQ41-Q44の各ゲートは、電力管理制御回路100またはインバータ40の専用の制御回路からスイッチング制御信号が入力される。複数のMOSFETQ41-Q44は、このスイッチング制御信号によって、所定のスイッチング動作を行う。なお、このインバータ40に対するスイッチング制御は既知であり、詳細な説明は省略する。
【0042】
これにより、インバータ40は、コンバータ30から入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力する。
【0043】
(複数のダイオードD21-D24、ダイオードD32の特性および配置態様)
図2(A)は、第1の実施形態に係る電力変換装置の電力変換用整流素子の温度特性を示す図であり、図2(B)は、第1の実施形態に係る電力変換装置の統合用整流素子の温度特性を示す図である。
【0044】
ダイオードD32は、コンバータ30における電力変換の機能部に用いられる。したがって、ダイオードD32は、逆回復時間の短いものが好ましい。これにより、コンバータ30での電力変換効率は向上する。
【0045】
この特性を実現するため、ダイオードD32は、SiC半導体によって構成される。このため、ダイオードD32は、図2(A)に示すように、順方向電圧特性において、正の温度特性(正の温度係数)を有する。
【0046】
一方、複数のダイオードD21-D24は、図2(B)に示すように、順方向電圧特性において、負の温度特性(負の温度係数)を有する。したがって、複数のダイオードD21-D24は、温度が高くなるほど、電圧降下が低くなる。
【0047】
この温度特性を実現するため、複数のダイオードD21-D24は、例えば、Si半導体によって形成される。
【0048】
図3(A)、図3(B)は、第1の実施形態における電力変換装置における各ダイオードの配置態様の一例を示す図である。なお、図3(B)は、図3(A)の構成に対して、さらに挟持部材を追加した構成を示す。
【0049】
図3(A)に示すように、ダイオードD21と、コンバータ30のダイオードD32とは、ディスクリート部品であり、回路基板191に実装される。
【0050】
例えば、ダイオードD21は、本体211、放熱用金属端子212、複数の外部接続端子213を備える。
【0051】
本体211は、概略的には、ダイオード機能部が形成された半導体基板を樹脂モールドすることによって実現される。放熱用金属端子212は、平板状であり、本体211の一方主面に配置される。
【0052】
複数の外部接続端子213は、本体211の一側面から外方に延びる形状である。複数の外部接続端子213が回路基板191にはんだ等に接合されることで、ダイオードD21は、回路基板191に実装される。
【0053】
なお、他のダイオードD22、D23、D24も同様に、回路基板191に実装される。複数のダイオードD21-D24は、図3(A)のダイオードD21のように、コンバータ30のダイオードD32に近接する位置に配置される。
【0054】
複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、絶縁シート193を挟んで、放熱器192に固定される。より具体的には、放熱器192は、金属板である。放熱器192は、回路基板191における複数のダイオードD21-D24とダイオードD32の実装面と反対側の面に、回路基板191の側面よりも突出するように配置される。
【0055】
放熱器192の表面(複数のダイオードD21-D24とダイオードD32の実装側の面)には、絶縁シート193が配置される。
【0056】
複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、放熱用金属端子(ダイオードD21であれば放熱用金属端子212)が、放熱器192側となるように配置される。
【0057】
そして、図3(A)の場合であれば、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、放熱用金属端子が放熱器192に当接(面接触)するように、配置される。これにより、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、これらに共通の放熱器192に、直接、所定面積で接続される。
【0058】
なお、この際、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、金属製のネジ(図示を省略する)等を、本体(ダイオードD21であれば本体211)に形成された穴に挿嵌して放熱器192に固定することもできる。これにより、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32が放熱器192に接続した状態は、安定する。
【0059】
また、図3(B)の場合であれば、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、導電性の挟持部材194によって固定される。具体的には、挟持部材194は、放熱器192に物理的に接触する部分を有し、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32と絶縁シート193とを放熱器192とともに挟みこむ。これにより、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32が放熱器192に接続した状態は、安定する。
【0060】
このような構成によって、ダイオードD32で発生した熱は、放熱器192に伝導する。放熱器192に伝導した熱は、複数のダイオードD21-D24に伝導する。これにより、複数のダイオードD21-D24の温度は高くなる。
【0061】
上述のように、複数のダイオードD21-D24は、負の温度特性を有するので、温度が高くなるほど、電圧降下は低減される。したがって、複数のダイオードD21-D24の電圧降下は低減される。
【0062】
すなわち、コンバータ30が動作すると、この動作に応じてダイオードD32が発熱するが、この熱によって複数のダイオードD21-D24の温度が高くなり、複数のダイオードD21-D24の電圧降下は低減される。これにより、電力変換装置10は、電力変換装置の効率の低下を抑制できる。
【0063】
特に、上述の構成では、ダイオードD32に対して複数のダイオードD21-D22が近接して配置されるので、ダイオードD32から複数のダイオードD21-D24に、効果的に熱が伝わる。したがって、電力変換装置10は、電力変換装置の効率の低下をさらに抑制できる。
【0064】
なお、上述の説明では、ダイオードD32、および、複数のダイオードD21-D24の材料の一例を示したが、これらに限られるものではなく、少なくとも複数のダイオードD21-D24が負の温度特性を有する構成であれば、上述の作用効果を奏する。
【0065】
また、上述の構成では、ダイオードD32が逆回復時間の短いダイオードであるので、コンバータ30での電力変換効率は、高くなる。これにより、電力変換装置10は、電力変換装置の効率の低下をさらに抑制できる。
【0066】
また、上述の構成では、ダイオードD32が正の温度特性を有するが、ダイオードD32で発生した熱は、放熱器192を通じて複数のダイオードD21-D24に伝導する。これにより、ダイオードD32の温度上昇を抑制でき、ダイオードD32での電圧降下を抑制できる。したがって、電力変換装置10は、電力変換装置の効率の低下をさらに抑制できる。
【0067】
なお、上述の構成では、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32は、放熱器192に直接接続している。しかしながら、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とが熱的に接続するように、放熱器192に対して間接的に接続してもよい。
【0068】
(電力変換装置10の電力変換動作の一例)
図4は、太陽電池モジュールの出力特性の一例を示すグラフである。図4に示すように、太陽電池モジュールは、出力電圧に応じて出力電力が非線形に変化し、所定の出力電圧において電流の極大点を有する。
【0069】
複数の太陽電池モジュール81-84の出力特性は、理想的には同じであってもよいが、現実的には異なっている。例えば、最大出力電圧、出力電圧に対する出力電力の変化(図4における曲線の形状)は、複数の太陽電池モジュール81-84のそれぞれで異なる。
【0070】
したがって、電力管理制御回路100は、例えば、次に示すように、コンバータ30における電力変換動作を制御する。
【0071】
電力管理制御回路100は、入力キャパシタCi30の入力電圧と太陽電池からの入力電流を計測する。より具体的には、例えば、入力電圧に関しては、複数の入力配線21-24の高圧側配線に、電圧計測用の抵抗素子を接続し(図示を省略している)、電力管理制御回路100は、電圧計測用の抵抗素子の両端電圧を計測する。この電圧計測用の抵抗素子と電力管理制御回路100との組が、本発明の「電圧計測部」に対応する。入力電流に関しては、複数の入力配線21-24の低圧側配線に、電流計測用の抵抗素子を接続し(図示を省略している)、電力管理制御回路100は、電流計測用の抵抗素子の両端電圧を計測する。この構成が、本発明の「電流計測部」に対応する。また、電力管理制御回路100は、コンバータ30の出力電圧(出力キャパシタCo30の電圧)を計測する。
【0072】
電力管理制御回路100は、入力キャパシタCi30の入力電圧、太陽電池からの入力電流、および、コンバータ30の出力電圧を計測しながら、複数の太陽電池モジュール81-84の発電電力が所定値となるように、コンバータ30の制御を行う。発電電力は、入力電圧と入力電流とから算出される。
【0073】
複数の太陽電池モジュール81-84のそれぞれは、上述の図4に示すように、出力電圧と出力電流とが一意の関係にあり、それぞれに異なる。複数の太陽電池モジュール81-84の出力が入力キャパシタCi30でまとめられているので、入力キャパシタCi30の入力電圧は、複数の太陽電池モジュール81-84の出力電圧となる。この出力電圧と上述の図4のVI特性とから、複数の太陽電池モジュール81-84の出力電流は決定する。したがって、入力キャパシタCi30の入力電圧、太陽電池からの入力電流、および、コンバータ30の出力電圧を計測しながら、コンバータ30を制御することで、複数の太陽電池モジュール81-84の発電電力を所定値に制御できる。
【0074】
例えば、電力管理制御回路100は、入力キャパシタCi30の入力電圧、および、コンバータ30の出力電圧を計測しながら、複数の太陽電池モジュール81-84による総発電量が最大となるように、コンバータ30の制御を行う。
【0075】
これにより、電力変換装置10は、電力変換動作を効率的に実行できる。
【0076】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。図5は、第2の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0077】
図5に示すように、第2の実施形態に係る太陽光発電システム1Aは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1に対して、電力変換装置10Aの構成において異なる。太陽光発電システム1Aの他の構成は、太陽光発電システム1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0078】
電力変換装置10Aは、第1の実施形態に係る電力変換装置10に対して、複数のノイズフィルタ51-54を備える点で異なる。電力変換装置10Aの他の構成は、電力変換装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0079】
電力変換装置10Aは、複数のノイズフィルタ51-54(ノイズフィルタ51、ノイズフィルタ52、ノイズフィルタ53、ノイズフィルタ54)を備える。
【0080】
ノイズフィルタ51は、入力配線21に直列接続される。より具体的には、ノイズフィルタ51は、入力配線21におけるダイオードD21よりも出力端子811側に接続される。言い換えれば、ダイオードD21は、ノイズフィルタ51よりもコンバータ30側に接続される。
【0081】
ノイズフィルタ52は、入力配線22に直列接続される。より具体的には、ノイズフィルタ52は、入力配線22におけるダイオードD22よりも出力端子821側に接続される。言い換えれば、ダイオードD22は、ノイズフィルタ52よりもコンバータ30側に接続される。
【0082】
ノイズフィルタ53は、入力配線23に直列接続される。より具体的には、ノイズフィルタ53は、入力配線23におけるダイオードD23よりも出力端子831側に接続される。言い換えれば、ダイオードD23は、ノイズフィルタ53よりもコンバータ30側に接続される。
【0083】
ノイズフィルタ54は、入力配線24に直列接続される。より具体的には、ノイズフィルタ54は、入力配線24におけるダイオードD24よりも出力端子841側に接続される。言い換えれば、ダイオードD24は、ノイズフィルタ54よりもコンバータ30側に接続される。
【0084】
このように、複数のノイズフィルタ51-54を備えることによって、電力変換装置10Aは、電力変換装置10と同様の作用効果を奏するとともに、コンバータ30に入力するノイズ電圧を低減でき、コンバータ30の入力電圧を安定させることができる。
【0085】
また、電力変換装置10Aは、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32との間に接続される回路素子数を少なくできる。これにより、より容易な配線で、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とを近接して配置できる。したがって、電力変換装置10Aは、より容易な構造で、電力変換装置の効率の低下を、より効果的に抑制できる。また、放熱器192を小さくでき、電力変換装置10Aを小型化できる。
【0086】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。図6は、第3の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0087】
図6に示すように、第3の実施形態に係る太陽光発電システム1Bは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1に対して、電力変換装置10Bの構成において異なる。太陽光発電システム1Bの他の構成は、太陽光発電システム1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0088】
電力変換装置10Bは、第1の実施形態に係る電力変換装置10に対して、複数のダイオードD21-D24の構成において異なる。電力変換装置10Bの他の構成は、電力変換装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0089】
ダイオードD21は、入力配線21の低圧側配線に直列接続される。ダイオードD21のアノードは、低圧側ノードに接続し、ダイオードD21のカソードは、出力端子811に接続する。
【0090】
ダイオードD22は、入力配線22の低圧側配線に直列接続される。ダイオードD22のアノードは、低圧側ノードに接続し、ダイオードD22のカソードは、出力端子821に接続する。
【0091】
ダイオードD23は、入力配線23の低圧側配線に直列接続される。ダイオードD23のアノードは、低圧側ノードに接続し、ダイオードD23のカソードは、出力端子831に接続する。
【0092】
ダイオードD24は、入力配線24の低圧側配線に直列接続される。ダイオードD24のアノードは、低圧側ノードに接続し、ダイオードD24のカソードは、出力端子841に接続する。
【0093】
複数の入力配線21-24の高圧側配線は、互いに接続され、高圧側ノードを形成する。
【0094】
このような構成によって、太陽光発電システム1Bは、太陽光発電システム1と同様の作用効果を奏する。
【0095】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。図7は、第4の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0096】
図7に示すように、第4の実施形態に係る太陽光発電システム1Cは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1に対して、電力変換装置10Cの構成において異なる。太陽光発電システム1Cの他の構成は、太陽光発電システム1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0097】
電力変換装置10Cは、第1の実施形態に係る電力変換装置10に対して、コンバータ30Cの構成において異なる。電力変換装置10Cの他の構成は、電力変換装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0098】
コンバータ30Cは、第1の実施形態に係るコンバータ30に対して、ダイオードD32をMOSFETQ32に置き換えた点で異なる。コンバータ30Cの他の構成は、コンバータ30と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0099】
コンバータ30Cは、MOSFETQ32を備える。MOSFETQ32のソースは、MOSFETQ31のドレインに接続する。MOSFETQ32のドレインは、出力キャパシタCo40の高圧側端子に接続する。このMOSFETQ32が、本発明の「電力変換用整流素子」に対応する。
【0100】
電力管理制御回路100は、MOSFETQ31とMOSFETQ32にスイッチング制御信号を与える。電力管理制御回路100は、所定のDutyで、MOSFETQ31とMOSFETQ32とを同期させて交互にオン制御する。これにより、コンバータ30Cは、同期整流型のコンバータとして動作する。
【0101】
このような構成によって、太陽光発電システム1Cは、太陽光発電システム1と同様の作用効果を奏する。
【0102】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることができ、それぞれの組み合わせに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0103】
1、1A、1B、1C:太陽光発電システム
10、10A、10B、10C:電力変換装置
21、22、23、24:入力配線
30、30C:コンバータ
40:インバータ
51、52、53、54:ノイズフィルタ
81、82、83、84:太陽電池モジュール
90:出力制御スイッチ
91:負荷
92:電力系統
100:電力管理制御回路
191:回路基板
192:放熱器
193:絶縁シート
194:挟持部材
211:本体
212:放熱用金属端子
213:外部接続端子
811、821、831、841:出力端子
BAT:二次電池
Ci30:入力キャパシタ
Ci40:入力キャパシタ
Co30:出力キャパシタ
Co40:出力キャパシタ
D21-D24:ダイオード
D32:ダイオード
L30:インダクタ
L41、L42:インダクタ
Q31、Q32:MOSFET
Q41、Q42、Q43、Q44:MOSFET
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7