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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】センサの安全機構
(51)【国際特許分類】
   G01P 21/00 20060101AFI20240116BHJP
   G01P 15/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01P21/00
G01P15/00 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022039253
(22)【出願日】2022-03-14
(65)【公開番号】P2022179330
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】20215593
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】ラッセ・アールトネン
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-502910(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00-21/02
G01C19/00-19/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ素子を備えるセンサデバイスの動作中に前記センサデバイスの障害を検出する方法であって、
a)第1の周波数帯域において試験信号を生成するステップと、
b)前記試験信号を前記センサデバイスの前記センサ素子に供給するステップと、
c)サンプルを取得するステップと、
d)前記サンプルから大きさ値を計算するステップと、
e)前記大きさ値を、前記大きさ値の最小値を定義する大きさ閾値と比較するステップと、
f)前記大きさ値が前記大きさ閾値を下回る場合、前記センサデバイスにエラーが発生したと判定するステップと
を含み、
前記試験信号は、入力トランスデューサを介して前記センサ素子に供給され、
前記第1の周波数帯域は、前記センサデバイスの信号周波数帯域を上回り、前記試験信号の大きさは、前記第1の周波数帯域における前記センサ素子の任意の固有ノイズの大きさの少なくとも5倍であり、
前記サンプルは、サンプリング周期中に前記センサ素子の出力において提供される出力信号の少なくとも2つの連続するサンプルを含むサンプルセットを含み、
ピーク間値、二乗平均平方根値、および標準偏差値のいずれか1つである前記大きさ値は、前記第1の周波数帯域における前記少なくとも2つの連続するサンプルから導出されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
連続するサンプリング周期中に得られる複数のサンプルセットについてステップc)~f)を連続的に繰り返すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
g)障害カウント閾値を決定し、障害カウンタを初期化するステップと、
h)各サンプルセットについて、ステップc)~f)を繰り返すステップと、
i)前記ステップf)においてエラーの発生が判定された場合、前記障害カウンタの値をインクリメントするステップと、
j)前記ステップf)でエラーが判定されなかった場合、前記障害カウンタを初期値に戻すステップと、
k)前記障害カウンタの現在の値がエラーカウント閾値と等しい場合、前記センサデバイスに障害があると判定するステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験信号は、少なくとも2つの離散試験トーンを含み、前記試験トーンの各々は、前記第1の周波数帯域内に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記試験信号は反復エンベロープを有し、前記サンプリング周期の長さは前記エンベロープの周期以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記試験信号はノイズ信号または擬似ランダムノイズ信号であり、前記試験信号の前記周波数帯域は第1の周波数帯域に制限される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記センサデバイスはMEMSセンサデバイスであり、前記センサ素子は1つまたは複数の機械的要素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサデバイスは、加速度計もしくはジャイロスコープなどの慣性センサデバイスであるか、または前記センサデバイスは圧力センサであるか、または前記センサデバイスはホール効果センサである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
センサ素子を備えるセンサデバイスの動作中に前記センサデバイスの障害を検出する装置であって、
- 第1の周波数帯域において試験信号を生成するように構成されている試験信号生成手段と、
- サンプリング周期中にサンプルを取得するように構成されているサンプリング手段と、
- 前記サンプルから大きさ値を計算するように構成されている計算手段と、
- 前記大きさ値を、前記大きさ値の最小値を定義する大きさ閾値と比較し、前記大きさ値が前記大きさ閾値を下回る場合、前記センサデバイスにエラーが発生したと判定するように構成されている比較手段と
を備え、
前記装置は、
前記試験信号を前記センサ素子に供給するように構成されている入力トランスデューサ手段を備え、
前記第1の周波数帯域は、前記センサデバイスの信号周波数帯域を上回り、前記試験信号の大きさは、前記第1の周波数帯域における前記センサ素子の任意の固有ノイズの大きさの少なくとも5倍であり、
前記サンプルは、サンプリング周期中に前記センサ素子の出力において提供される出力信号の少なくとも2つの連続するサンプルを含むサンプルセットを含み、
ピーク間値、二乗平均平方根値、および標準偏差値のいずれか1つである前記大きさ値は、前記第1の周波数帯域における前記少なくとも2つの連続するサンプルから導出されることを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記装置は、連続するサンプリング周期中に、前記サンプルセットを取得すること、前記大きさ値を計算すること、および、前記大きさ値を前記大きさ閾値と比較することを連続的に繰り返すように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
- 障害カウンタと、
- 前記障害カウンタを初期化するように構成されている初期化手段と
を備え、前記サンプリング手段、前記計算手段、および前記比較手段は、各サンプルセットを処理し、前記処理に基づいて、
- エラーの発生が前記比較手段によって判定された場合には、前記障害カウンタの値をインクリメントし、
- エラーが前記比較手段によって判定されなかった場合には、前記障害カウンタを初期値に戻し、
- 前記障害カウンタの現在の値がエラーカウント閾値と等しい場合には、前記センサデバイスに障害があると判定するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記試験信号は、少なくとも2つの離散試験トーンを含み、前記試験トーンの各々は、前記第1の周波数帯域内に存在する、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記試験信号は反復エンベロープを有し、前記サンプリング周期の長さは前記エンベロープの周期以上である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記試験信号はノイズ信号または擬似ランダムノイズ信号であり、前記試験信号の周波数帯域は第1の周波数帯域に制限される、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記センサデバイスはMEMSセンサデバイスであり、前記センサ素子は1つまたは複数の機械的要素を含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記センサデバイスは、加速度計もしくはジャイロスコープなどの慣性センサデバイスであるか、または前記センサデバイスは圧力センサであるか、または前記センサデバイスはホール効果センサである、請求項9~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法ステップを実行するソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または前記の組み合わせを含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関連する方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、微小電気機械センサのための安全機構に関する方法、システム、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、可動部品と電気および/または電子回路の両方を有する微視的デバイスの技術を構成する。典型的なMEMSセンサデバイスは、周囲と相互作用する微小機械センサ素子と、センサ素子から受信され、センサ素子に向かって供給される信号を処理するための電子回路とを備える。トランスデューサは、必要な機械信号から電気信号への変換および電気信号から機械信号への変換を提供する。出力トランスデューサは機械信号から電気信号への変換を実行し、入力トランスデューサは電気信号から機械信号への変換を実行する。
【0003】
安全機構は、加速度センサおよびジャイロスコープなどのMEMSベースの慣性センサの多くの現代の安全上重要な用途において必要とされている。例えば、連続生産道路車両に設置される電気および/または電子システムの機能的安全機構が、ISO26262規格の自動車安全水準(ASIL)分類方式によって定義されている。製品が特定のASILレベルに合わせて設計される場合、製品はそれぞれの安全要件を満たさなければならない。
【0004】
安全機能の目的は、センサデータが信頼できない場合にユーザに報告することである。しかしながら、追加される安全機構は、センサデバイスの性能に影響を及ぼすべきではなく、好ましくは、安全機能によってセンサデバイス製品に追加されるコストは最小限であるべきである。典型的には、MEMSセンサデバイスが慣性センサデバイスとして使用される場合、安全機能は、好ましくは、センサデバイスのASIC、マイクロコントローラ、またはFPGAチップなどの関連する電子回路上に構築される。電子回路は、トランスデューサを介して機械センサ素子から受信される生データにアクセスし、それを分析して、センサ素子が意図したように動作するか否かを判定する。電子機器は、センサ素子をトラバースする試験信号に基づいてセンサの動作の連続分析を可能にするために、入力トランスデューサを介して機械センサ素子に向けて試験信号を供給するための手段を備えることができる。安全機構が、いかなる形態の外部励起にも反応せず、外部励起に基づいていわゆる誤警報を生成しないことも重要である。したがって、自己試験機能の実装は複雑になる可能性がある。
【0005】
関連技術の説明
特許文献1および特許文献2は、センサの正常動作を妨げることなく微小電気機械センサの連続自己試験に使用することができる自己試験信号をどのように生成することができるかについての例を提供している。
【0006】
特許文献1は、別個の基本周波数を有する少なくとも2つの自己試験トーンを利用する、容量性センサの連続自己試験を開示している。
【0007】
特許文献2は、一次信号に同期された試験信号を用いた閉ループ振動ジャイロスコープの連続自己試験を開示している。
【0008】
特許文献3は、MEMS慣性センサを自己試験するための方法およびシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第10024882号明細書
【文献】米国特許第9846037号明細書
【文献】米国特許出願公開第2020/0011702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
目的は、機械センサのための安全機構を提供するという問題を解決するための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法および請求項に記載の装置によって達成される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態が、従属請求項に開示されている。
【0013】
本発明は、機械センサデバイスの意図的に増加したノイズレベル、または最も単純な場合にはピーク間値を検出するという着想に基づいている。効率的なノイズベースの安全機構を実装するために、ノイズ様試験信号が、センサデバイスの対象の信号周波数帯域を上回る周波数範囲においてセンサ素子に向けて供給され、センサ素子の出力、例えば出力トランスデューサの出力におけるノイズレベルが検出される。代替的に、安全機構のために検出されるセンサ素子の出力は、前処理済み信号を提供してもよく、前処理は、例えば、出力トランスデューサから受信される出力信号のフィルタリングおよび/または増幅を含むことができる。
【0014】
第1の態様によれば、センサデバイスの動作中にセンサデバイスの障害を検出するための方法が提供される。センサ素子は、1つのセンサ素子を含む。本方法は、センサデバイスの信号周波数帯域を上回る第1の周波数帯域において試験信号を生成するステップを含む。試験信号の大きさは、第1の周波数帯域におけるセンサ素子の任意の固有ノイズの大きさの少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。方法は、試験信号をセンサ素子に供給するステップと、サンプリング周期中にセンサ素子の出力において提供される出力信号の少なくとも2つの連続するサンプルを含むサンプルセットを取得するステップと、上記サンプルセットから大きさ値を計算するステップであって、大きさ値は、第1の周波数帯域において上記少なくとも2つの連続するサンプルから導出される、計算するステップとをさらに含む。本方法はまた、大きさ値を、大きさ値の最小値を定義する大きさ閾値と比較するステップと、大きさ値が大きさ閾値を下回る場合、センサデバイスにエラーが発生したと判定するステップとを含む。
【0015】
第2の態様によれば、方法は、センサデバイス内でエラーが発生したか否かを判定するために、連続するサンプリング周期中に取得されるサンプルの複数のセットについて、サンプルセットを取得する上記ステップ、大きさ値を計算する上記ステップ、および、上記大きさ値を比較する上記ステップを連続的に繰り返すステップをさらに含む。
【0016】
第3の態様によれば、方法は、障害カウント閾値を決定し、障害カウンタを初期化するステップと、センサデバイス内でエラーが発生したか否かを判定するために、連続するサンプリング周期中に取得されるサンプルの複数のセットについて、サンプルセットを取得する上記ステップ、大きさ値を計算する上記ステップ、および、上記大きさ値を比較する上記ステップを繰り返すステップとを含む。エラーの発生が判定された場合、障害カウンタの値がインクリメントされる。エラーが判定されない場合、障害カウンタは初期値に戻される。障害カウンタの現在の値がエラーカウント閾値と等しい場合、センサデバイスに障害があると判定される。
【0017】
第4の態様によれば、大きさ値は、ピーク間値、二乗平均平方根値、および標準偏差値のいずれか1つである。
【0018】
第5の態様によれば、試験信号は、少なくとも2つの離散試験トーンを含み、試験トーンの各々は、第1の周波数帯域内に存在する。
【0019】
第6の態様によれば、試験信号は反復エンベロープを有し、サンプリング周期の長さはエンベロープの周期以上である。
【0020】
第7の態様によれば、試験信号はノイズ信号または擬似ランダムノイズ信号であり、試験信号の周波数帯域は第1の周波数帯域に制限される。
【0021】
第8の態様によれば、センサデバイスはMEMSセンサデバイスであり、センサ素子は1つまたは複数の機械的要素を含む。
【0022】
第9の態様によれば、センサデバイスは、加速度計もしくはジャイロスコープなどの慣性センサデバイスであるか、またはセンサデバイスは圧力センサであるか、またはセンサデバイスはホール効果センサである。
【0023】
別の態様によれば、電子回路であって、上記態様のいずれか1つによる方法ステップを実行するソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを備える電子回路が提供される。
【0024】
第1の装置態様によれば、センサデバイスの動作中にセンサデバイスの障害を検出するための装置が提供される。センサデバイスは、センサ素子を備える。装置は、センサデバイスの信号周波数帯域を上回る第1の周波数帯域において試験信号を生成するように構成されている試験信号生成手段を備え、試験信号の大きさは、第1の周波数帯域におけるセンサ素子の任意の固有ノイズの大きさの少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。装置は、試験信号をセンサ素子に供給するように構成されている入力トランスデューサ手段を備える。装置は、サンプリング周期中に、センサ素子の出力において提供される出力信号の少なくとも2つの連続するサンプルを含むサンプルセットを取得するように構成されているサンプリング手段を備える。装置は、上記サンプルセットから大きさ値を計算するように構成されている計算手段を備え、大きさ値は、第1の周波数帯域における上記少なくとも2つの連続するサンプルから導出される。装置は、大きさ値を、大きさ値の最小値を定義する大きさ閾値と比較し、大きさ値が大きさ閾値を下回る場合、センサデバイスにエラーが発生したと判定するように構成されている比較手段を備える。
【0025】
第2の装置態様によれば、装置は、連続するサンプリング周期中に上記の、サンプルセットを取得すること、大きさ値を計算すること、および、得られたサンプルセットについて、大きさ値を大きさ閾値と比較することを連続的に繰り返すように構成されている。
【0026】
第3の装置態様によれば、装置は、障害カウンタと、障害カウンタを初期化するように構成されている初期化手段とをさらに備える。サンプリング手段、計算手段、および比較手段は、各サンプルセットを処理し、上記処理に基づいて、エラーの発生が比較手段によって判定された場合には、障害カウンタの値をインクリメントし、エラーが比較手段によって判定されなかった場合には、障害カウンタを初期値に戻し、障害カウンタの現在の値がエラーカウント閾値と等しい場合には、センサデバイスに障害があると判定するように構成されている。
【0027】
第4の装置態様によれば、大きさ値は、ピーク間値、二乗平均平方根値、および標準偏差値のいずれか1つである。
【0028】
第5の装置態様によれば、試験信号は、少なくとも2つの離散試験トーンを含み、試験トーンの各々は、第1の周波数帯域内に存在する。
【0029】
第6の装置態様によれば、試験信号は反復エンベロープを有し、サンプリング周期の長さはエンベロープの周期以上である。
【0030】
第7の装置態様によれば、試験信号はノイズ信号または擬似ランダムノイズ信号であり、試験信号の周波数帯域は第1の周波数帯域に制限される。
【0031】
第8の装置態様によれば、センサデバイスはMEMSセンサデバイスであり、センサ素子は1つまたは複数の機械的要素を含む。
【0032】
第9の装置態様によれば、センサデバイスは、加速度計もしくはジャイロスコープなどの慣性センサデバイスであるか、またはセンサデバイスは圧力センサであるか、またはセンサデバイスはホール効果センサである。本発明は、本発明の安全機構が、非常に単純に実装することができ、電子機器、ならびに/または、センサ素子から受信されるデータを処理するために使用されるASIC、マイクロコントローラ、および/もしくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)チップをインターフェースするために必要な追加の面積および機能が最小限であるという利点を有する。インターフェース電子機器は、機械センサ素子から受信される信号を、さらなる信号処理に適した信号フォーマット、例えば電圧またはデジタル信号に変換するための電子回路を指す。
【0033】
以下において、添付の図面を参照しながら、好ましい実施形態に関連して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】安全対策として付加ノイズを使用する原理を示す図である。
図2】経時的なピーク間値の例示的な大きさを示す図である。
図3】一実施形態によるステートマシンのフローチャートである。
図4】別の実施形態によるステートマシンのフローチャートである。
図5】周期的に有効にされる外部正弦の存在下での経時的な大きさ値を示す図である。
図6】外部ランダムノイズ信号の存在下での経時的な大きさ値を示す図である。
図7】外部デュアルトーン信号の存在下での経時的な大きさ値を示す図である。
図8】外部デュアルトーン信号の存在下での経時的な大きさ値を示す図である。
図9】単一の試験トーンと同じ大きさを有する連続的に掃引される外部正弦の存在下での経時的な大きさ値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「試験信号」という用語は、試験トーンとしても参照される少なくとも2つの別個の試験周波数を有する単一の信号、または各々が少なくとも1つの別個の試験周波数(試験トーン)を搬送する複数の信号、または帯域制限ノイズ信号もしくは帯域制限擬似ノイズ信号を搬送する単一の信号、あるいはそれらの組み合わせを指す。試験信号は、電気信号として生成され、電気試験信号を機械的試験信号に変換する入力トランスデューサを介して機械的要素に供給される。
【0036】
「信号周波数帯域」という用語は、センサ素子およびセンサデバイスが、検知された物理的パラメータの値を表す信号を提供する周波数帯域を指す。
【0037】
「センサ素子の出力信号」という用語は、センサ素子から取得可能な出力信号を指す。センサ素子の出力信号は、出力トランスデューサから取得することができ、その場合、出力信号は、典型的には、電流、静電容量または抵抗を表す。センサ素子の出力信号は、前処理済み信号であってもよい。前処理は、例えば、センサデバイスのインターフェース回路によって内部的に出力トランスデューサから受信される信号をフィルタリングおよび/または増幅することを含むことができる。本発明の安全機構に使用されるセンサ素子の出力信号の周波数帯域は、任意選択的に、信号周波数帯域上の検知されたパラメータの情報を含まないように制限されてもよい。
【0038】
「センサデバイスの出力信号」という用語は、例えば加速度、角速度、圧力または磁場など、センサデバイスによって検知されるパラメータの大きさに関する情報を含む、電流または電圧またはデジタル値であり得る。好ましくは、センサデバイスの出力信号は、試験信号などの信号周波数帯域を超える信号を除外する。
【0039】
外部信号はセンサノイズを容易に増加させる可能性があるが、外部励起によって、外部信号がセンサノイズを本来よりも低く見せる可能性は非常に低い。帯域外周波数領域にノイズまたは試験信号を意図的に追加すると、所定の最小ノイズレベルの観測をより確実かつより高速にすることができる。安全機構が最小ノイズレベルを検出するように構築されている場合、安全機構は、ノイズまたは信号内容の増加につながる障害を観測することができない。しかしながら、安全機構は、そうでなければカスタム安全機能を必要とするであろうノイズまたは信号内容の減少につながる多くの障害事例を検出することができる。MEMSセンサから受信されるノイズまたは信号内容を減少させる障害は、例えば、差動信号を追加しない差動信号経路内のコモンモード(CM)制御回路の障害、例えば粒子が慣性質量の運動を妨げる機械的問題、センサ素子の検出電圧の欠如、および/または例えば通常よりも感度を低くする容量-電圧変換トランスデューサのスイッチ障害を含む。したがって、基本的に、信号がある値にスタックされる原因となる信号経路全体の問題は、意図的に追加されたノイズの減少として検出することができる。多くの種類の誤動作も固有ノイズの欠如または大幅な低減を引き起こすため、信号経路において固有ノイズを検出することによってさらなるセキュリティチェックを実行することができる。
【0040】
図1は、安全対策として意図的に付加ノイズを使用する原理を単純な様式で示す。この例では、「ノイズ」を表す既知の周波数を有する2つの試験トーンを含む試験信号が、入力トランスデューサを使用して機械センサ素子に静電的に供給される。この例では、2つの試験トーンの両方が等しい振幅を有するように設定されている。例示的な試験ベンチでは、センサデータは、二次1ビットデルタ-シグマ変換器においてデジタル化され、3次カスケード積分器-コーム(CIC)型デシメーションフィルタが、アナログ-デジタル変換器(ADC)ビットレートを約12kHzまで64kHzだけ低減する。上側のグラフは、時間領域におけるセンサ素子のデジタル化された出力信号(101)を示し、下側のグラフは、周波数領域におけるセンサ素子の出力信号(102)を示し、ピーク(105a、105b)は、試験トーンの周波数を示す。機械センサ素子は、例えば、加速度計またはジャイロスコープであってもよいが、圧力センサまたはホール効果センサなどの他のタイプのMEMSセンサの機械センサ素子も適用可能である。例示的なMEMSセンサデバイスの信号周波数帯域は、最大500Hzであり、試験トーンは、センサデバイスの信号周波数帯域を明らかに上回る1.5kHzおよび2kHzの周波数を有する。これにより、試験信号のいかなる影響も、実際のセンサ読み値に影響しないようにフィルタリング除外することができる。試験信号のこれら2つの試験トーンのそれぞれのエンベロープは500Hzの周期を有する。その結果、約2msの期間にわたってデータを取得することは、センサ素子の出力信号の信頼できるピーク間推定値を計算するのに十分である。外部信号、例えば加速度は、試験トーンの一方または両方の周波数に加算される可能性が非常に低いため、結果として得られるピーク間値は、平均ピーク間値結果よりも大幅に低くなる。本発明は、例示的なMEMSセンサデバイスにも、その特定の信号周波数帯域または信号処理回路にも限定されず、同じ原理は、当該信号周波数帯域におけるセンサデバイスの動作に影響を及ぼさない帯域外ノイズ信号を追加または供給することが可能なMEMS技術および電気信号処理能力を使用して実装される任意のセンサデバイスに一般に適用可能である。例えば、MEMS圧力センサの信号周波数帯域は、わずか10Hzであってもよい。この場合、試験信号に含まれる2つの試験トーンは、30Hzおよび40Hzであり得る。
【0041】
離散時間MEMS慣性センサシステムにおいて試験信号を生成および供給するための例示的な方法が、特許文献3に提示されている。慣性センサは、少なくとも2つの慣性チャネルを有する。慣性チャネルのうちの1つは、他の慣性チャネル(複数可)(のうちの1つ)がセンサ読み値を取得するために検出されているときに、必要に応じて試験信号によってバイアスすることができる。当然ながら、チャネル間の潜在的な交差結合リスクを考慮する必要があるが、これは非常に簡単である。MEMSシステムは、ローパス特性を有する傾向があり、これは、可動質量であるロータが、例えば外部慣性力に反応し、質量-ばね-ダンパシステムが固定されているセンサ素子の基準の固定慣性フレームに対してロータを動かす典型的な質量-ばね-ダンパシステムに起因する。例えば、加速度計の応答は、典型的には減衰共振器の応答であり、一方、ジャイロスコープのレート応答は、ローパスフィルタ、典型的にはピークフィルタの応答である。これは、静電パルスが、システムの帯域幅よりもはるかに高い速度で供給されると、パルスストリームがシステム自体によってフィルタリングされ、したがって単一の入力(試験)周波数に平滑化されることを意味する。
【0042】
図1に示す例では、2ms間のデシメーションフィルタデータを使用することによって、24個の連続するサンプルが読み取られ、24個のサンプルの新たなセットが利用可能なときに再びピーク間(PP)値が計算されることになる。このため、PP値計算は2ms毎程度で更新される。
【0043】
図1のデータをプロットするために使用される同じ例示的なシステムでは、大きさ値、この例ではピーク間値(PP_DATA)が、図2に示すように経時的に現れる。ピーク間値は、サンプリング周期中に得られるセンサ素子の出力信号のサンプルにおける最小値と最大値との差を表す。ADCのダイナミックレンジは、例示的な試験ベンチにおいて+-100gを超えるように構成される。量子化ノイズは、PP値にいくらかの変動を引き起こす(201)が、すべてのPP値の平均から10%未満のままである。この例では、許容可能なPP値(201)に対して最小閾値(202)が定義されており、PP値がこの最小閾値(202)を下回る場合、センサデバイスは適切に機能しない。
【0044】
上記の例は特定の試験トーンを有する試験信号によって与えられているが、センサシステムにおいて帯域制限ノイズまたは帯域制限擬似ノイズを供給することによって同様の効果が引き起こされる。特定の試験トーンと同様に、任意の意図的に追加されたノイズの周波数帯域は、追加されたノイズによる測定の正確度の低下を回避するために、信号周波数帯域を大幅に上回る必要がある。信号周波数帯域はまた、対象の周波数帯域としても参照され得る。帯域制限ノイズ、擬似ノイズ信号、および/または試験トーンを含むか否かにかかわらず、試験信号は、試験信号の周波数帯域におけるシステム内の残りのノイズ源よりも著しく大きい大きさ、例えば少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍大きい大きさを有することも重要である。特に、信号が追加されたピーク間ノイズレベルは、試験信号の周波数帯域における信号チャネルの固有のピーク間ノイズレベルよりも高くなければならない。このようにして、これは、何らかの機械的または電気的な障害のためにセンサ信号が遮断されたときに、予測される検出ノイズレベルよりも低い形態で確実に見ることができる。帯域制限ノイズまたは擬似ノイズが試験信号として使用される場合、サンプリング窓の適切なサイズを設計するときに、ノイズまたは擬似ノイズの特性も考慮されなければならない。試験信号としてノイズを使用する場合、誤エラー検出閾値が好ましくは5シグマ未満、またはより好ましくは10シグマ未満のシグマ確率を有するように、サンプリング窓サイズ、言い換えればサンプリング周期の長さ、および/または障害カウンタを選択することができる。同じことが、当然ながら、試験信号として使用される試験トーンの任意のタイプの組み合わせにも当てはまる。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態によるエラー検出安全機構のための第1の例示的なステートマシンの流れ図である。以下の例では、「ノイズレベル」という用語が、大きさ値を指すために使用される。ステートマシンは、大きさ閾値を表すノイズレベル閾値(noise_TH)を定義することによって初期化される(300)。ノイズレベル閾値は、最小ノイズレベルを表す。ノイズレベル閾値は、例えば、ピーク間値、RMS値または標準偏差値に対して定義される。ステップ301において、センサ素子の出力信号の複数のサンプルが読み取られる。取得されるサンプルは、好ましくは、信号のすべての情報内容を担持し、すなわち、サンプルを試験周波数帯域に限定する必要はなく、サンプルは、センサの所望の信号周波数帯域をカバーすることができるが、試験周波数帯域をカバーしなければならない。試験周波数帯域の信号内容の分析を可能にするために、センサ素子の出力信号のサンプリングは、好ましくは、安全機構を実装するための試験周波数帯域の後の分離を可能にするのに十分高い周波数で実行される。したがって、センサ素子の出力信号の同じサンプルは、試験周波数帯域と、対応して後続の信号処理においてサンプリングされた信号の信号周波数帯域とを単純に分離することによって、安全機構と、検知パラメータの決定の両方に使用することができる。複数の目的のためにただ1つのサンプリング回路を有することは、センサデバイスの回路を単純化することを可能にする。
【0046】
段階302において、センサ素子の出力信号のサンプルに基づいてノイズレベル値が計算される。ノイズレベル値は、大きさ値である。段階303において、計算されたノイズレベル値が、大きさ閾値を表すノイズレベル閾値と比較される。計算されたノイズレベル値がノイズレベル閾値よりも大きい場合、センサデバイスは安全性試験に合格したとみなされ、段階304においてOKフラグが「真」に設定される。計算されたノイズレベル値がノイズレベル閾値よりも小さい場合、センサデバイスは安全性試験に失格したとみなされ、段階307においてOKフラグが「偽」に設定される。OKフラグが偽である場合、警告を提供することができる。試験は、センサデバイスが動作可能である限り、別の複数の新たなサンプルを得るために段階301に戻って繰り返される。段階307における「OK=false(偽)」の判定は、「エラーフラグ」の成立とみなすことができ、またはステータスOK=false(偽)は、エラーフラグの成立をトリガするために使用することができる。エラーフラグの成立は、自己試験が、センサデバイスが適切に動作していないことを認識する状況を指し、これは、例えば単に電子回路から出力される信号のバイナリ値の変化であってもよいが、任意の適用可能な方法を使用して実施されてもよい「エラーフラグ」の成立によって示すことができる。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態によるエラー検出安全機構のための第2の例示的なステートマシンである。この例示的なステートマシンは、上記で開示されたより単純なノイズレベル値計算および比較と比較して、エラーフラグ生成を機械的ノイズなどの外部ノイズに対してよりロバストになるようにさらに改善する。
【0048】
初期化(300)中に、さらなるパラメータ「障害カウント閾値」(F_TH)が定義され、障害カウンタがゼロにされる。障害カウンタは、2つ以上の連続する計算されたノイズレベル値が所定のノイズレベル閾値(noise_TH)を超えない場合、チェックが失敗し、エラーフラグが成立することを確認するために使用される。
【0049】
ステップ301~303は、図3に関連して開示されたものと同様である。計算された各ノイズレベル値は、ステップ303において所定のノイズ閾値(noise_TH)と比較される。この比較に基づいて「エラーフラグ」を直接成立させる、すなわちOKステータスを「真」または「偽」に設定する代わりに、計算されたノイズレベル値とノイズレベル閾値との間の比較が、障害カウンタ(FAIL_CNT)を制御するために使用される。ステップ303において、計算されたノイズレベル値がノイズレベル閾値を下回らない場合、OKはステータス「真」に設定され、障害カウンタは0に設定される。ステップ303において、計算されたノイズレベル値がノイズレベル閾値を超えない場合、ステップ305において、障害カウンタが障害カウント閾値(F_TH)に達したか否かがチェックされる。障害カウンタが障害カウント閾値に等しい場合、OKステータスは偽に設定され、エラーフラグが成立する。障害カウンタが障害カウント閾値に等しくない場合、エラーフラグは成立しない。代わりに、Okステータスは「真」のままであり、ステップ304において障害カウンタが1だけ増加する。その後、段階301において次のN個のサンプルが分析される。
【0050】
計算されたノイズレベル値とノイズレベル閾値との間のステップ303における連続的な比較の、ここでは障害カウント閾値として参照される整数「F_TH」に達しなかった後にのみ、ステップ307においてOKが「偽」に設定され、それによってエラーフラグがトリガされる。その結果、障害カウンタを障害カウント閾値(F_TH)と比較することにより、障害検出速度とロバスト性との間の交渉が可能になる。
【0051】
当業者によって理解されるように、図4のステートマシンは、依然として同等の結果を達成しながら、いくらか変更することができる。例えば、障害カウンタ(FAIL_CNT)は、ステップ305において障害カウント閾値と比較される前に1だけ増加させることができる。
【0052】
上記の試験ベンチは、様々なタイプの外部ノイズを試験するためにも使用された。試験したセンサデバイスは、入力信号が平板コンデンサギャップを直接変調する理想的な静電容量トランスデューサを備えていた。センサ素子の運動の大きさは、最初に静電容量の変化として検出される加速度計のロータ変位のg感度と照合された。この静電容量は、電圧バイアスを使用して検出され、1ビットシグマデルタアナログ-デジタル変換器(ADC)を使用してデジタル信号に変換され、フィルタリングされ、センサ素子の出力信号を形成する12kHzのサンプルレートまでデシメーションされる。以下のプロットに示すセンサ素子の出力信号は、通常の加速度gと比較した加速度値を表す。信号の大きさの基準値として加速度を選択することは任意選択である。測定された大きさおよびそれぞれの閾値は、加速度、角速度、静電容量、電圧または電流などの、センサ素子またはセンサデバイスの出力から取得することができる任意の測定可能なパラメータとすることができる。
【0053】
図5は、20gの大きさのセンサデバイスに対する、周期的に切り替えられる外部100Hz正弦信号の効果を示す。外部信号は、その時点で30msの間、周期的にオン/オフに切り替えられた。この例では、検出されるノイズレベル信号は、サンプリング周期中に取得されたセンサ素子の出力信号の複数の連続するサンプルから計算された、ピーク間大きさ値(PP_DATA、201)、言い換えれば、最高出力サンプル値と最低出力サンプル値との間の大きさの差であり、ノイズレベル閾値は、それに対応してピーク間閾値(PP_TH、202)として定義された。この例では、サンプリング周期中に24個の連続するサンプルのセットが取得され、分析されたが、上記で説明したように、サンプリング周期は、例えば、使用される試験信号のタイプ、および試験信号の周波数帯域とセンサデバイスの信号周波数帯域との間の関係に依存する設計パラメータである。ノイズレベル閾値は、例えば0.8gとすることができる。センサ素子の出力信号から、外部信号の存在によってノイズが周期的に増加することが明確に分かるが、ノイズは減少せず、そのため、安全機構はセンサデバイスが正しく動作していることを示す。
【0054】
図6は、加速度計に影響を及ぼすランダムな外部機械振動に対応するランダムノイズが、2つの試験トーンが存在する周波数領域の周りに加えられた別の試験事例において得られたノイズレベルを示す。ここではピーク間値(PP_DATA、201)によって表される出力信号の大きさ値は、ここでも、追加されたノイズによって減少するのではなく増加する。すべての大きさ値は、これらの例では大きさ閾値であるノイズレベル閾値(PP_TH、202)を明らかに上回っている。このように、外部から付加されるランダムノイズが、安全機構の障害を引き起こさないことも分かる。
【0055】
図7は、2トーン試験信号を使用する安全機構が、内部試験信号と同じ振幅および各試験トーンについて5%および3%の周波数誤差を有する外部ノイズ源にさらされた第3の試験事例において取得される検出ノイズレベルを示す。単一のノイズレベルデータ点は、計算されたノイズレベル値(PP_DATA、ピーク間ノイズレベル、201)によって引き起こされる誤差を示す。実際には、周波数と大きさの両方において正確に両方の試験トーンに一致する外乱が発生する可能性は非常に低い。そのような起こりそうもない場合でも、少なくとも2である障害カウンタ閾値を有するステートマシン内の障害カウンタを使用して、安全機構は、ノイズレベル閾値(PP_TH、202)を下回るノイズレベル値(PP_DATA、201)を有する2つの連続するサンプルが検出されなかったため、センサデバイスが適切に動作しており、エラーフラグがトリガされていないと依然として判定する。
【0056】
図8は、試験が意図的に失敗するように設定された別のロバスト性試験の検出ノイズレベル(201)を示す。これは、2つの試験トーン試験信号において、試験信号の2つの試験トーンに等しい大きさおよび試験トーンからのわずか0.5%および1%の偏差と一致する周波数を有する2つのノイズ成分を含む外部ノイズを提供することによって達成された。試験トーンに対する外部ノイズ源(複数可)のそのような近密な一致は、極めて稀である。この場合、エラーカウント閾値が例えば10に設定されるか、またはここでピーク間閾値(PP_TH、202)によって表されるノイズ閾値がわずかに低い値、例えば0.7gに設定された場合、誤エラーフラグの成立を防止することができる。
【0057】
図9は、正弦波掃引を使用して単一の試験トーン安全機構を試験した、さらに別のロバスト性試験の結果を示す。外部正弦ノイズ信号の振幅は、試験周波数のうちの1つに一致する振幅を有し、周波数は、0.4sで1kHzから2.5kHzまで掃引された。いくつかのノイズ大きさ閾値(PP_TH、202)交差が大きさ値(PP_DATA、201)によって検出されたが、5未満の連続するサンプルが大きさ閾値(202)を下回ったままである場合にエラーフラグの成立を抑制する5のエラーカウント閾値が、エラーフラグを防止するのに十分である。
【0058】
安全機構のロバスト性の向上はまた、より複雑な試験信号、すなわち、より多くの試験トーンまたはより多くのノイズを試験励起のように生成し、ノイズレベル計算のためにより長い周期のデータを使用することによって達成することができるが、これは、より複雑で調整可能性の低い実施態様を容易にもたらす。追加の「ノイズ」が対象の信号周波数帯域で見えないことは非常に重要である。
【0059】
技術の進歩とともに、本発明の基本的な着想を様々な方法で実施することができることが、当業者には明らかである。それゆえ、本発明およびその実施形態は上述の例には限定されず、特許請求の範囲内で様々に変化してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9