(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】表示制御装置、および表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20240116BHJP
【FI】
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2022091180
(22)【出願日】2022-06-03
(62)【分割の表示】P 2019164856の分割
【原出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】福本 基宏
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 智
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095173(JP,A)
【文献】特開2012-242292(JP,A)
【文献】特開2019-090615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
B60W 10/00-10/30,30/00-60/00
G01C 21/00-21/36,23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(A)において用いられ、コンテンツの表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両の走行路について、高精度地図情報および前記高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得する地図情報取得部(103)と、
前記高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアと、前記高精度地図情報を取得不可能であり前記低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアとの切り替わりを示す切替コンテンツ(CTa,CTt,CTb)を表示させる表示制御部(109)と、
を備え
、
前記表示制御部は、
前記高精度地図エリアの路面を重畳対象として前記切替コンテンツを重畳表示させる表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)および前記低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)の一方を他方へと遷移させる遷移コンテンツ(CTa)を、前記切替コンテンツに含む請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記高精度地図エリアと前記低精度地図エリアとの切り替わりを文字情報にて示す文字情報コンテンツ(CTt)を前記切替コンテンツに含む請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両の走行路について、高精度地図情報および前記高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得する地図情報取得部(103)と、
前記高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ、前記高精度地図情報を取得不可能であり前記低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは前記低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させる表示制御部(109)と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記高精度地図エリアと前記低精度地図エリアとが切り替わる場合に、前記高精度コンテンツおよび前記低精度コンテンツのうち切り替わる前の前記コンテンツを所定期間非表示とした後に、切り替わる後の前記コンテンツを表示する表示制御装置。
【請求項5】
車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両の走行路について、高精度地図情報および前記高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得する地図情報取得部(103)と、
前記高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ、前記高精度地図情報を取得不可能であり前記低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは前記低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させる表示制御部(109)と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記高精度地図エリアと前記低精度地図エリアとが切り替わる場合、前記ヘッドアップディスプレイの画角(VA)のうち前記高精度地図エリアに前記高精度コンテンツを重畳表示させるとともに、前記画角内のうち前記低精度地図エリアに前記低精度コンテンツを表示させる表示制御装置。
【請求項6】
車両(A)において用いられ、コンテンツの表示を制御する表示制御プログラムであって、
少なくとも1つの処理部(11)に、
前記車両の走行路について、高精度地図情報および前記高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得し(S102;S201)、
前記高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアと、前記高精度地図情報を取得不可能であり前記低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアとの切り替わりを示す切替コンテンツ(CTa,CTt,CTb)を表示させる(S106,S109;S205)、
ことを含む処理を実行させ
、
前記切替コンテンツを表示させることは、
前記高精度地図エリアの路面を重畳対象として前記切替コンテンツを重畳表示させることを含む表示制御プログラム。
【請求項7】
車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御プログラムであって、
少なくとも1つの処理部(11)に、
前記車両の走行路について、高精度地図情報および前記高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得し(S302)、
前記高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ(S304)、
前記高精度地図情報を取得不可能であり前記低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは前記低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させ(S305)、
前記高精度地図エリアと前記低精度地図エリアとが切り替わる場合に、前記高精度コンテンツおよび前記低精度コンテンツのうち切り替わる前の前記コンテンツを所定期間非表示とした後に、切り替わる後の前記コンテンツを表示する(S307)、
ことを含む処理を実行させる表示制御プログラム。
【請求項8】
車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御プログラムであって、
少なくとも1つの処理部(11)に、
前記車両の走行路について、高精度地図情報および前記高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得し(S402)、
前記高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ、
前記高精度地図情報を取得不可能であり前記低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは前記低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させ(S405)、
前記高精度地図エリアと前記低精度地図エリアとが切り替わる場合、前記ヘッドアップディスプレイの画角(VA)のうち前記高精度地図エリアに前記高精度コンテンツを重畳表示させるとともに、前記画角内のうち前記低精度地図エリアに前記低精度コンテンツを表示させる(S404)、
ことを含む処理を実行させる表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、ヘッドアップディスプレイによるコンテンツの表示を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドアップディスプレイによってコンテンツを重畳表示する車両用表示装置が開示されている。この車両用表示装置は、乗員の前方視界に自車両の走行位置から誘導地点までの経路を示す誘導表示を重畳表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すようなコンテンツの表示制御において、走行路の地図情報が必要となる場合がある。しかし、地図情報には、高精度地図情報と、高精度地図情報よりも比較的精度の低い低精度地図情報とが存在する。このため、車両の走行に伴って、コンテンツ表示に利用する地図情報が切り替わる場合が存在し得る。この場合に、高精度地図情報を利用したコンテンツ表示と、低精度地図情報を利用したコンテンツ表示とが通知なく切り替わると、乗員に違和感を与える虞が有る。
【0005】
開示される目的は、利用する地図情報の切り替わりに伴う乗員の違和感を抑制可能な表示制御装置、および表示制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された表示制御装置のひとつは、車両(A)において用いられ、コンテンツの表示を制御する表示制御装置であって、車両の走行路について、高精度地図情報および高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得する地図情報取得部(103)と、高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアと、高精度地図情報を取得不可能であり低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアとの切り替わりを示す切替コンテンツ(CTa,CTt,CTb)を表示させる表示制御部(109)と、を備え、表示制御部は、高精度地図エリアの路面を重畳対象として切替コンテンツを重畳表示させる。
【0008】
開示された表示制御プログラムのひとつは、車両(A)において用いられ、コンテンツの表示を制御する表示制御プログラムであって、少なくとも1つの処理部(11)に、車両の走行路について、高精度地図情報および高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得し(S102;S201)、高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアと、高精度地図情報を取得不可能であり低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアとの切り替わりを示す切替コンテンツ(CTa,CTt,CTb)を表示させる(S106,S109;S205)、ことを含む処理を実行させ、切替コンテンツを表示させることは、高精度地図エリアの路面を重畳対象として切替コンテンツを重畳表示させることを含む。
【0009】
これらの開示によれば、高精度地図エリアと低精度地図エリアとで地図エリアが切り替わる場合に、その切り替わりを示す切替コンテンツが表示される。故に、切替コンテンツを視認した乗員は、地図エリアの切り替わりを容易に認識し得る。以上により、利用する地図情報の切り替わりに伴う乗員の違和感を抑制可能な表示制御装置、および表示制御プログラムを提供することができる。
【0010】
開示された表示制御装置のひとつは、車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御装置であって、車両の走行路について、高精度地図情報および高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得する地図情報取得部(103)と、高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ、高精度地図情報を取得不可能であり低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させる表示制御部(109)と、を備え、表示制御部は、高精度地図エリアと低精度地図エリアとが切り替わる場合に、高精度コンテンツおよび低精度コンテンツのうち切り替わる前のコンテンツを所定期間非表示とした後に、切り替わる後のコンテンツを表示する。
【0011】
開示された表示制御プログラムのひとつは、車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御プログラムであって、少なくとも1つの処理部(11)に、車両の走行路について、高精度地図情報および高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得し(S302)、高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ(S304)、高精度地図情報を取得不可能であり低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させ(S305)、高精度地図エリアと低精度地図エリアとが切り替わる場合に、高精度コンテンツおよび低精度コンテンツのうち切り替わる前のコンテンツを所定期間非表示とした後に、切り替わる後のコンテンツを表示する(S307)、ことを含む処理を実行させる。
【0012】
これらの開示によれば、高精度地図エリアと低精度地図エリアとが切り替わる場合に、切り替わる前のコンテンツが所定期間非表示となった後に、切り替わる後のコンテンツが表示される。故に、高精度コンテンツおよび低精度コンテンツの一方から他方へ表示が切り替わることを、コンテンツが非表示となることによって、乗員が容易に認識し得る。以上により、利用する地図情報の切り替わりに伴う乗員の違和感を抑制可能な表示制御装置、および表示制御プログラムを提供することができる。
【0013】
開示された表示制御装置のひとつは、車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御装置であって、車両の走行路について、高精度地図情報および高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得する地図情報取得部(103)と、高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ、高精度地図情報を取得不可能であり低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させる表示制御部(109)と、を備え、表示制御部は、高精度地図エリアと低精度地図エリアとが切り替わる場合、ヘッドアップディスプレイの画角(VA)のうち高精度地図エリアに高精度コンテンツを重畳表示させるとともに、画角内のうち低精度地図エリアに低精度コンテンツを表示させる。
【0014】
開示された表示制御プログラムのひとつは、車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)によるコンテンツの表示を制御する表示制御プログラムであって、少なくとも1つの処理部(11)に、車両の走行路について、高精度地図情報および高精度地図情報よりも精度の低い低精度地図情報の少なくとも一方を取得し(S402)、高精度地図情報を取得可能な高精度地図エリアでは高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を重畳表示させ、高精度地図情報を取得不可能であり低精度地図情報を取得可能な低精度地図エリアでは低精度地図情報に基づく低精度コンテンツ(CTrn)を表示させ(S405)、高精度地図エリアと低精度地図エリアとが切り替わる場合、ヘッドアップディスプレイの画角(VA)のうち高精度地図エリアに高精度コンテンツを重畳表示させるとともに、画角内のうち低精度地図エリアに低精度コンテンツを表示させる(S404)、ことを含む処理を実行させる。
【0015】
これらの開示によれば、高精度地図エリアと低精度地図エリアとで地図エリアが切り替わる場合に、画角内のうち高精度地図エリアに高精度コンテンツが重畳表示され、低精度地図エリアに低精度コンテンツが表示される。これにより、異なる各地図エリアに対応するコンテンツが画角内に共存して表示されるため、地図エリアの切り替わりを乗員が容易に認識し得る。以上により、利用する地図情報の切り替わりに伴う乗員の違和感を抑制可能な表示制御装置、および表示制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の第1実施形態によるHCUを含む車載ネットワークの全体像を示す図である。
【
図2】車両に搭載されるヘッドアップディスプレイの一例を示す図である。
【
図3】HCUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図6】HCUにて実行される表示制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態におけるHCUにて実行される表示制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【
図10】第4実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【
図11】第5実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【
図12】第5実施形態におけるHCUにて実行される表示制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第6実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【
図14】第6実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【
図15】第6実施形態におけるHCUにて実行される表示制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第7実施形態における信頼度表示の一例を示す図である。
【
図17】第7実施形態におけるHCUにて実行される表示制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図18】他の実施形態におけるエリア切替表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態による表示制御装置の機能は、
図1~3に示すHCU(Human Machine Interface Control Unit)100によって実現されている。HCU100は、車両Aにおいて用いられるHMI(Human Machine Interface)システム10を、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)20等とともに構成している。HMIシステム10には、操作デバイス26およびDSM(Driver Status Monitor)27等がさらに含まれている。HMIシステム10は、車両Aの乗員(例えばドライバ等)によるユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0018】
HMIシステム10は、車両Aに搭載された車載ネットワークの通信バス99に通信可能に接続されている。HMIシステム10は、車載ネットワークに設けられた複数のノードのうちの1つである。車載ネットワークの通信バス99には、例えば周辺監視センサ30、ロケータ40、DCM49、運転支援ECU50、およびナビゲーション装置60等がそれぞれノードとして接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。
【0019】
周辺監視センサ30は、車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、および他車両B等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、道路標識、走行区画線等の路面表示、および道路脇の構造物等の静止物体、を検出可能である。周辺監視センサ30は、車両Aの周囲の物体を検出した検出情報を、通信バス99を通じて、運転支援ECU50等に提供する。
【0020】
周辺監視センサ30は、物体検出のための検出構成として、フロントカメラ31およびミリ波レーダ32を有している。フロントカメラ31は、車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、および撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。ミリ波レーダ32は、例えば車両Aの前後の各バンパーに互いに間隔を開けて複数配置されている。ミリ波レーダ32は、ミリ波または準ミリ波を、車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲および後側方範囲等へ向けて照射する。ミリ波レーダ32は、移動物体および静止物体等で反射された反射波を受信する処理により、検出情報を生成する。ソナー33は、車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲および後側方範囲等へ向けて超音波を照射する。ソナー33は、照射方向に存在する移動物体および静止物体等で反射された超音波を受信する処理により、検出情報を取得する。なお、ライダ等の他の検出構成が、周辺監視センサ30に含まれていてもよい。
【0021】
ロケータ40は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、車両Aの高精度な位置情報等を生成する。ロケータ40は、例えば複数車線のうちで、車両Aが走行する車線を特定可能である。ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器41、慣性センサ42、高精度地図データベース(以下、「高精度地
図DB」)43、およびロケータECU44を含む構成である。
【0022】
GNSS受信器41は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。GNSS受信器41は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも1つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。慣性センサ42は、例えばジャイロセンサおよび加速度センサを有している。
【0023】
高精度地
図DB43は、不揮発性メモリを主体に構成されており、高精度地図データ(高精度地図情報)を記憶している。高精度地図データは、後述のナビ地図データよりも高精度且つ高密度の情報を備えている。高精度地図データは、少なくとも高さ(z)方向の情報について、詳細な情報を保持している。高精度地図データには、高度運転支援および自動運転に利用可能な情報が含まれている。
【0024】
詳記すると、高精度地図データは、道路に関する情報、白線等の区画線および道路標示に関する情報、構造物に関する情報等を有している。道路に関する情報には、例えば地点別の位置情報、カーブ曲率や勾配、他の道路との接続関係といった形状情報、道路の種別情報、車線数や各車線に許容された進行方向といった車線情報等が含まれている。区画線や道路標示に関する情報には、例えば区画線および道路標示の種別情報、位置情報、および三次元形状情報が含まれている。構造物に関する情報には、例えば各構造物の種別情報、位置情報、および形状情報が含まれている。ここで構造物は、道路標識、信号機、街灯、トンネル、陸橋および道路に面する建物等である。
【0025】
高精度地図データは、上述の各種位置情報および形状情報を、三次元座標により表される特徴点の点群データやベクトルデータ等として有している。すなわち高精度地図データは、位置情報に関して経緯度に加えて高度を含んだ三次元地図であるということもできる。高精度地図データは、これらの位置情報を比較的小さい(例えばセンチメートルオーダーの)誤差で有している。高精度地図データは、高さ情報まで含んだ三次元座標による位置情報を有しているという点で精度の高い地図データである。また、その位置情報の誤差が比較的小さいという点で精度の高い地図データであるということもできる。
【0026】
高精度地図データは、実際の道路上を走行する計測車両の収集した情報に基づき作成されている。高精度地図データは、情報の収集されたエリアに関して作成され、情報の収集されていないエリアに関しては範囲外となっている。一般的に、高精度地図データは、現状で高速道路、自動車専用道路について比較的広いカバレッジで整備され、一般道路について比較的狭いカバレッジで整備されている。以下において、高精度地図データが整備されたエリア、すなわち高精度地図データが取得可能なエリアを、高精度地図エリアMhと表記する。
【0027】
ロケータECU44は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成の制御部である。ロケータECU44は、GNSS受信器41で受信する測位信号、慣性センサ42の計測結果、および通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、車両Aの自車位置および進行方向等を逐次測位する。ロケータECU44は、測位結果に基づく車両Aの位置情報および方角情報を、通信バス99を通じて、HCU100、および運転支援ECU50等に提供する。
【0028】
なお、車速情報は、車両Aの現在の走行速度を示す情報であり、車両Aの各輪のハブ部分に設けられた車輪速センサの検出信号に基づいて生成される。車速情報を生成し、通信バス99に出力するノード(ECU)は、適宜変更されてよい。例えば、各輪の制動力配分を制御するブレーキ制御ECU、またはHCU100等の車載ECUが、各輪の車輪速センサと電気的に接続されており、車速情報の生成および通信バス99への出力を継続的に実施する。
【0029】
ロケータECU44は、測位した自車位置等に基づき、車両Aの走行路について、高精度地図エリアMhに含まれる範囲を判別する。例えば、ロケータECU44は、後述の重畳範囲SAを少なくとも含む判別対象範囲内の走行路に関して、高精度地図エリアMhに含まれる範囲を判別する。ロケータECU44は、判別結果をHCU100に逐次提供する。ロケータECU44は、判別した走行路の少なくとも一部が高精度地図エリアMhに含まれる場合、該当する範囲の高精度地図データを高精度地
図DB43から読み出し、HCU100に提供する。なお、ロケータECU44は、ナビECU62から提供される情報に基づいて、走行路について後述のナビ地図エリアMnに含まれる範囲をさらに判別してもよい。
【0030】
DCM(Data Communication Module)49は、車両Aに搭載される通信モジュールである。DCM49は、LTE(Long Term Evolution)および5G等の通信規格に沿った無線通信により、車両Aの周囲の基地局との間で電波を送受信する。DCM49の搭載により、車両Aは、インターネットに接続可能なコネクテッドカーとなる。DCM49は、クラウド上に設けられたプローブサーバから、最新の高精度地図データを取得可能である。DCM49は、ロケータECU44と連携して、高精度地
図DB43に格納された高精度地図データを、最新の情報に更新する。
【0031】
運転支援ECU50は、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成の制御部である。運転支援ECU50は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を備えている。
【0032】
運転支援ECU50は、周辺監視センサ30から取得した車両Aの周辺範囲についての検出情報を解析し、車両Aの周囲の走行環境を認識する。具体的に、運転支援ECU50は、車両Aが現在走行する車線(以下、「自車車線Lns」
図4,5参照)の左右の区画線または道路端の相対位置を特定する。なお、左右の方向は、水平面上に静止した車両Aの幅方向と一致する方向であり、車両Aの進行方向を基準として設定される。運転支援ECU50は、検出情報の解析結果を、解析済みの検出情報としてHCU100等に逐次提供する。
【0033】
運転支援ECU50は、記憶部に記憶されたプログラムを処理部によって実行することにより、高度運転支援を実現する複数の機能を発揮可能である。複数の機能には、例えばACC(Adaptive Cruise Control)機能、LTC(Lane Trace Control)機能等を含んでいる。
【0034】
ナビゲーション装置60は、設定される目的地までの経路を探索し、探索した経路に沿った走行を案内する。ナビゲーション装置60は、ナビ地図データベース(以下、ナビ地
図DB)61、およびナビECU62を備える。
【0035】
ナビ地
図DB61は、不揮発性メモリであって、リンクデータ、ノードデータ、道路形状等のナビゲーション地図データ(以下、ナビ地図データ)を格納している。ナビ地図データは、高精度地図データよりも比較的広範囲のエリアにて整備されている。リンクデータは、リンクを特定するリンクID、リンクの長さを示すリンク長、リンク方位、リンク旅行時間、リンクの始端と終端とのノード座標、および道路属性等の各データから構成される。ノードデータは、地図上のノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノード種別、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種別等の各データから構成される。
【0036】
ナビ地図データは、二次元の位置座標情報としてノード座標を有している。すなわちナビ地図データは、位置情報に関して経緯度を含んだ二次元地図であるということもできる。ナビ地図データは、位置情報に関して高さ情報を有していない点で高精度地図データよりも低い精度の地図データである。また、位置情報の誤差が比較的大きいという点でも低い精度の地図データであるということもできる。ナビ地図データは、低精度地図情報の一例である。
【0037】
一般的に、ナビ地図データは、高精度地図データに対して比較的広範囲に整備されている。すなわち、高精度地図データが取得不可能であり、ナビ地図データは取得可能であるエリアが存在し得る。以下において、このようなエリアをナビ地図エリアMnと表記する。ナビ地図エリアMnは、低精度地図エリアの一例である。
【0038】
ナビECU62は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体に構成されている。ナビECU62は、車両A(自車)の位置情報および方角情報を、通信バス99を通じてロケータECU44より取得する。ナビECU62は、通信バス99およびHCU100を通じて、操作デバイス26に入力された操作情報を取得し、ドライバ操作に基づく目的地を設定する。ナビECU62は、目的地までの複数経路を、例えば時間優先および距離優先等の条件を満たすように探索する。探索された複数経路のうちの1つが選択されると、ナビECU62は、当該設定経路に基づく経路情報を、関連するナビ地図データとともに、通信バス99を通じて、HCU100に提供する。
【0039】
加えてナビECU62は、設定経路に含まれた右左折を行う交差点および分岐ポイント等の案内地点に車両Aが接近すると、案内実施要求を、HCU100へ向けて順次出力する。案内地点は、一例として交差点区間および分岐可能区間の各中央付近に設定される。なお、案内地点は、交差点区間および分岐可能区間の各手前側または各奥側に設定されてもよい。
【0040】
案内実施要求は、案内地点を含む経路案内区間におけるドライバへの経路案内に用いられる案内情報である。具体的には、案内実施要求は、案内地点の位置情報と、案内地点にて車両Aが進むべき方向を示す情報とを含んでいる。案内実施要求は、車両Aから案内地点までの残距離が閾値(例えば300m程度)未満となったタイミングで出力される。HCU100は、ナビECU62からの案内実施要求の取得に基づき、経路案内に関連した情報提示を実施する。
【0041】
次に、HMIシステム10に含まれる操作デバイス26、DSM27、HUD20およびHCU100の各詳細を、
図1および
図2に基づき順に説明する。
【0042】
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えばACC機能について、起動および停止の切り替え、および車間距離の設定等を行うユーザ操作が入力される。具体的には、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部8に設けられた操作レバー、およびドライバの発話を検出する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
【0043】
DSM27は、近赤外光源および近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。DSM27は、運転席のヘッドレスト部に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部8の上面またはインスツルメントパネル9の上面等に設置されている。DSM27は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、アイポイントEPの位置および視線方向等の情報を撮像画像から抽出し、抽出した状態情報をHCU100へ向けて逐次出力する。
【0044】
HUD20は、メータディスプレイおよびセンターインフォメーションディスプレイ等とともに、複数の車載表示デバイスの1つとして、車両Aに搭載されている。HUD20は、HCU100と電気的に接続されており、HCU100によって生成された映像データを逐次取得する。HUD20は、映像データに基づき、例えばルート情報、標識情報、および各車載機能の制御情報等、車両Aに関連する種々の情報を、虚像Viを用いてドライバに提示する。
【0045】
HUD20は、ウィンドシールドWSの下方にて、インスツルメントパネル9内の収容空間に収容されている。HUD20は、虚像Viとして結像される光を、ウィンドシールドWSの投影範囲PAへ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、投影範囲PAにおいて運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、投影範囲PAを通して見える前景に、虚像Viが重畳された表示を視認する。
【0046】
HUD20は、プロジェクタ21および拡大光学系22を備えている。プロジェクタ21は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルおよびバックライトを有している。プロジェクタ21は、LCDパネルの表示面を拡大光学系22へ向けた姿勢にて、HUD20の筐体に固定されている。プロジェクタ21は、映像データの各フレーム画像をLCDパネルの表示面に表示し、当該表示面をバックライトによって透過照明することで、虚像Viとして結像される光を拡大光学系22へ向けて射出する。拡大光学系22は、合成樹脂またはガラス等からなる基材の表面にアルミニウム等の金属を蒸着させた凹面鏡を、少なくとも1つ含む構成である。拡大光学系22は、プロジェクタ21から射出された光を反射によって広げつつ、上方の投影範囲PAに投影する。
【0047】
以上のHUD20には、画角VAが設定される。HUD20にて虚像Viを結像可能な空間中の仮想範囲を結像面ISとすると、画角VAは、ドライバのアイポイントEPと結像面ISの外縁とを結ぶ仮想線に基づき規定される視野角である。画角VAは、アイポイントEPから見て、ドライバが虚像Viを視認できる角度範囲となる。HUD20では、垂直方向における垂直画角よりも、水平方向における水平画角の方が大きくされている。アイポイントEPから見たとき、結像面ISと重なる前方範囲が画角VA内の範囲となる。
【0048】
HUD20は、重畳コンテンツCTs(
図4および
図5参照)および非重畳コンテンツを、虚像Viとして表示する。重畳コンテンツCTsは、拡張現実(Augmented Reality,以下「AR」)表示に用いられるAR表示物である。重畳コンテンツCTsの表示位置は、例えば路面の特定位置、前方車両、歩行者および道路標識等、前景に存在する特定の重畳対象に関連付けられている。重畳コンテンツCTsは、前景中にある特定の重畳対象に重畳表示され、当該重畳対象に相対固定されているように、重畳対象を追って、ドライバの見た目上で移動可能である。即ち、ドライバのアイポイントEPと、前景中の重畳対象と、重畳コンテンツCTsとの相対的な位置関係は、継続的に維持される。そのため、重畳コンテンツCTsの形状は、重畳対象の相対位置および形状に合わせて、所定の周期で継続的に更新されてよい。重畳コンテンツCTsは、非重畳コンテンツよりも水平に近い姿勢で表示され、例えばドライバから見た奥行方向(進行方向)に延伸した表示形状とされる。
【0049】
非重畳コンテンツは、前景に重畳表示される表示物のうちで、重畳コンテンツCTsを除いた非AR表示物である。非重畳コンテンツは、重畳コンテンツCTsとは異なり、重畳対象を特定されないで、前景に重畳表示される。非重畳コンテンツは、投影範囲PA内の決まった位置に表示されることで、ウィンドシールドWS等の車両構成に相対固定されているように表示される。
【0050】
HCU100は、HMIシステム10において、HUD20を含む複数の車載表示デバイスによる表示を統合的に制御する電子制御装置である。HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing
Unit)等の演算コアを少なくとも1つ含む構成である。RAM12は、映像生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(表示制御プログラム等)が格納されている。
【0051】
図1~
図3に示すHCU100は、記憶部13に記憶された表示制御プログラムを処理部11によって実行することで、HUD20によるコンテンツ表示を制御する制御部として機能するための複数の機能部を有する。具体的に、HCU100には、ドライバ情報取得部101、位置情報取得部102、地図情報取得部103、案内情報取得部104、外界情報取得部105、および表示生成部109等の機能部が構築される。
【0052】
ドライバ情報取得部101は、DSM27から取得する状態情報に基づき、運転席に着座しているドライバのアイポイントEPの位置および視線方向を特定し、ドライバ情報として取得する。ドライバ情報取得部101は、アイポイントEPの位置を示す三次元の座標(以下、「アイポイント座標」)を生成し、生成したアイポイント座標を、表示生成部109に逐次提供する。
【0053】
位置情報取得部102は、車両Aについての最新の位置情報および方角情報を、自車位置情報としてロケータECU44から取得する。位置情報取得部102は、取得した自車位置情報、判定結果、および高精度地図データを、表示生成部109に逐次提供する。
【0054】
地図情報取得部103は、車両Aの走行路に関する、高精度地図エリアMhに含まれる範囲の判別結果を、ロケータECU44から取得する。地図情報取得部103は、判別結果に基づき、判別対象範囲内の走行路の全域が高精度地図エリアMhに含まれる場合、走行路についての高精度地図データをロケータECU44から取得する。また、走行路が高精度地図エリアMhに含まれない場合、地図情報取得部103は、走行路についてのナビ地図データをナビECU62から取得する。
【0055】
加えて、地図情報取得部103は、走行路の一部のみが高精度地図エリアMhに含まれる場合には、当該領域についての高精度地図データをロケータECU44から取得し、残りの領域についてのナビ地図データをナビECU62から取得する。例えば、高精度地図エリアMhが走行路の途中で終了する場合、および高精度地図エリアMhが走行路の途中から開始される場合に、このような状況が発生し得る。地図情報取得部103は、取得した地図データを、表示生成部109へと逐次提供する。
【0056】
案内情報取得部104は、ナビゲーション装置60に目的地が設定されている場合に、目的地までのルート案内に用いられる経路情報を取得する。加えて案内情報取得部104は、案内地点への接近に伴い、ナビECU62から出力される案内実施要求を取得する。案内情報取得部104は、経路情報および案内実施要求を表示生成部109へと逐次提供する。
【0057】
外界情報取得部105は、運転支援ECU50から、車両Aの周辺範囲、特に、前方範囲について解析済みの検出情報を取得する。例えば、外界情報取得部105は、自車車線Lnsの左右の区画線または道路端の相対位置を示す検出情報を取得する。外界情報取得部105は、取得した検出情報を表示生成部109に逐次提供する。なお、外界情報取得部105は、運転支援ECU50から取得する解析結果としての検出情報に替えて、フロントカメラ31の撮像データを、検出情報として取得してもよい。
【0058】
表示生成部109は、取得した種々の情報に基づき、重畳コンテンツCTs(
図4,5参照)の表示レイアウトをシミュレートする仮想レイアウト機能と、情報提示に用いるコンテンツを選定するコンテンツ選定機能とを備えている。加えて、表示生成部109は、仮想レイアウト機能およびコンテンツ選定機能から提供される情報に基づき、HUD20に逐次出力させる映像データを生成する生成機能を備えている。表示生成部109は、表示制御部の一例である。
【0059】
表示生成部109は、仮想レイアウト機能の実行により、自車位置情報、高精度地図データおよび検出情報等に基づいて車両Aの現在の走行環境を仮想空間中に再現する。詳記すると、
図5に示すように、表示生成部109は、仮想の三次元空間の基準位置に自車オブジェクトAOを設定する。表示生成部109は、地図データの示す形状の道路モデルを、自車位置情報に基づき、自車オブジェクトAOに関連付けて、三次元空間にマッピングする。表示生成部109は、高精度地図データに基づいて、高精度地図エリアMhの道路モデルをマッピングし、ナビ地図データに基づいて、ナビ地図エリアMnの道路モデルをマッピングする。
【0060】
表示生成部109は、自車オブジェクトAOに関連付けて、仮想カメラ位置CPおよび重畳範囲SAを設定する。仮想カメラ位置CPは、ドライバのアイポイントEPに対応する仮想位置である。表示生成部109は、ドライバ情報取得部101にて取得される最新のアイポイント座標に基づき、自車オブジェクトAOに対する仮想カメラ位置CPを逐次補正する。重畳範囲SAは、虚像Viの重畳表示が可能となる範囲である。表示生成部109は、仮想カメラ位置CPと、記憶部13(
図1参照)等に予め記憶された投影範囲PAの外縁位置(座標)情報とに基づき、仮想カメラ位置CPから前方を見たときに結像面ISの内側となる前方範囲を、重畳範囲SAとして設定する。重畳範囲SAは、HUD20の画角VAに対応している。
【0061】
表示生成部109は、仮想空間中に第1仮想オブジェクトVO1、第2仮想オブジェクトVO2、および第3仮想オブジェクトVO3を配置する。各仮想オブジェクトVO1,VO2は、三次元空間の道路モデルの路面上に配置された走行予定経路に重なるように配置される。第1仮想オブジェクトVO1は、後述する高精度経路コンテンツCTrhを虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。第2仮想オブジェクトVO2は、後述する低精度経路コンテンツCTrnを虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。各仮想オブジェクトVO1,VO2は、走行予定経路に沿って仮想路面に平面的に配置される帯状のオブジェクトとされる。
【0062】
第1仮想オブジェクトVO1は、重畳範囲SA内の路面が高精度地図エリアMhに含まれる場合に配置される。第1仮想オブジェクトVO1は、高精度地図データに基づいて、その位置を決定される。一方、第2仮想オブジェクトVO2は、重畳範囲SA内の路面がナビ地図エリアMnに含まれる場合に配置される。第2仮想オブジェクトVO2は、ナビ地図データに基づいて、その位置を決定される。各仮想オブジェクトVO1,VO2は、経路コンテンツCTrh,CTrnの位置および形状を規定する。すなわち、仮想カメラ位置CPから見た仮想オブジェクトVO1,VO2の形状が、アイポイントEPから視認される経路コンテンツCTrh,CTrnの虚像形状となる。
【0063】
第3仮想オブジェクトVO3は、後述する重畳範囲SA内の路面がナビ地図エリアMnと高精度地図エリアMhとで切り替わる場合に設定される。第3仮想オブジェクトVO3は、後述する遷移コンテンツCTaを重畳表示する場合に、仮想空間中に設定される。第3仮想オブジェクトVO3は、第1仮想オブジェクトVO1および第2仮想オブジェクトVO2の一方から他方へと形状を変形するアニメーションオブジェクトである。すなわち、地図エリアが高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと変化する場合、第3仮想オブジェクトVO3は、第1仮想オブジェクトVO1から第2仮想オブジェクトVO2へと変形する形状とされる。地図エリアがナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと変化する場合、第3仮想オブジェクトVO3は、第2仮想オブジェクトVO2から第1仮想オブジェクトVO1へと変形する形状とされる。
【0064】
表示生成部109は、コンテンツ選定機能の実行により、他車両情報および表示レイアウトのシミュレーション結果等に基づいて、映像データに描画するコンテンツを選択する。そして表示生成部109は、HUD20に逐次出力される映像データの生成機能の実行により、HUD20によるドライバへの情報提示を制御する。具体的には、表示生成部109は、コンテンツ選定機能による選定結果に基づき、映像データを構成する各フレーム画像に描画する元画像を決定する。表示生成部109は、重畳コンテンツCTs(
図4および
図5参照)の元画像をフレーム画像に描画する場合、アイポイントEPおよび重畳対象の各位置に応じて、フレーム画像における元画像の描画位置および描画形状を補正する。以上により、重畳コンテンツCTsは、アイポイントEPから見たとき、重畳対象に正しく重畳される位置および形状で表示されるようになる。
【0065】
表示生成部109は、上述のコンテンツ選定機能および映像データの生成機能により、車両Aの進行予定経路をドライバに提示する経路コンテンツを表示可能である。表示生成部109は、現在の走行路について取得可能な地図データに応じて、経路コンテンツの表示態様を変化させる。経路コンテンツの表示の詳細について、
図4および
図5を参照しつつ以下説明する。なお、
図4は、車両Aが高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと移る場合の経路コンテンツの態様の変化を示している。一方、
図5は、車両Aがナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと移る場合の経路コンテンツの態様の変化を示している。
【0066】
経路コンテンツは、走行予定経路の路面を重畳対象とする重畳コンテンツCTsである。経路コンテンツは、走行予定経路に沿った形状に描画され、車両Aの走行すべき車線や、右左折および車線変更の必要な地点等を示す。経路コンテンツは、走行予定経路の車線において、車両Aの進行方向に沿って帯状に延伸するシート形状の道路ペイントである。経路コンテンツは、車線が直線状の場合には直線状の態様となり、カーブ状の場合にはカーブに沿って湾曲した態様となる。また、経路コンテンツは、交差点内においては、走行予定経路上の進入車線と退出車線とを繋ぐ態様となる。経路コンテンツは、車両Aの走行に合わせて、アイポイントEPから見える路面形状に適合するように、所定の更新周期で描画形状を更新される。
【0067】
表示生成部109は、経路コンテンツとして、高精度経路コンテンツCTrhおよび低精度経路コンテンツCTrnのいずれか一方を表示させる。高精度経路コンテンツCTrhは、車両Aの走行路が高精度地図エリアMhである場合に表示される経路コンテンツである。具体的には、高精度経路コンテンツCTrhは、重畳範囲SA内の路面が高精度地図エリアMhに含まれる場合に表示される。
【0068】
高精度経路コンテンツCTrhは、表示シミュレーションにて配置される第1仮想オブジェクトVO1に基づいて描画位置、および描画形状を決定される。すなわち、高精度経路コンテンツCTrhは、高精度地図データに基づいて生成されるコンテンツである。これにより、高精度経路コンテンツCTrhは、低精度経路コンテンツCTrnと比較して高い精度で路面に重畳表示され得る。高精度経路コンテンツCTrhは、低精度経路コンテンツCTrnと異なる表示態様で表示される。例えば、高精度経路コンテンツCTrhは、後述の低精度経路コンテンツCTrnよりも幅の大きい帯状とされ、低精度経路コンテンツCTrnと異なる表示色(例えば青色)とされる。高精度経路コンテンツCTrhは、高精度コンテンツの一例である。
【0069】
低精度経路コンテンツCTrnは、車両Aの走行路がナビ地図エリアMnである場合、具体的には、重畳範囲SA内の路面がナビ地図エリアMnに含まれる場合に表示される。低精度経路コンテンツCTrnは、表示シミュレーションにて配置される第2仮想オブジェクトVO2に基づいて描画位置、および描画形状を決定される。すなわち、低精度経路コンテンツCTrnは、ナビ地図データに基づいて生成されるコンテンツである。これにより、低精度経路コンテンツCTrnは、高精度経路コンテンツCTrhと比較してより低い精度で路面に重畳表示され得る。低精度経路コンテンツCTrnは、例えば高精度経路コンテンツCTrhより幅の小さい帯状とされ、高精度経路コンテンツCTrhと異なる表示色(例えば赤色)とされる。低精度経路コンテンツCTrnは、低精度コンテンツの一例である。
【0070】
加えて、表示生成部109は、経路コンテンツの表示中に走行路の地図エリアが切り替わる場合に、遷移コンテンツCTaを表示する。遷移コンテンツCTaは、地図エリアの切り替わりをドライバに提示する切替コンテンツの一例である。遷移コンテンツCTaは、経路コンテンツと同様の重畳コンテンツCTsとされる。遷移コンテンツCTaは、切り替わり前の地図エリアに対応する経路コンテンツから、切り替わり後の地図エリアに対応する経路コンテンツへと遷移させるコンテンツである。例えば、遷移コンテンツCTaは、一方の経路コンテンツの表示態様から他方の経路コンテンツの表示態様へと見かけ上連続的に変化するアニメーションコンテンツとされる。すなわち、第1実施形態の経路コンテンツの場合、遷移コンテンツCTaは、経路コンテンツの幅および表示色が遷移するアニメーションとして表示される。なお、遷移コンテンツCTaは、一方の経路コンテンツから他方の経路コンテンツへの遷移を見かけ上段階的に示す複数または1つの静止画像であってもよい。
【0071】
地図エリアが高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合、遷移コンテンツCTaは、重畳範囲SAがナビ地図エリアMnに進入する前に、高精度地図エリアMhの路面に重畳表示される。すなわち、遷移コンテンツCTaは、高精度地図データに基づいて生成される。遷移コンテンツCTaは、ナビ地図エリアMnに進入する前に遷移アニメーションが完了するように、ナビ地図エリアMn到達まで所定距離または所定時間手前の地点にて表示開始される。
【0072】
また、地図エリアがナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合、遷移コンテンツCTaは、重畳範囲SAが高精度地図エリアMhへ進入後に、高精度地図エリアMhの路面に重畳表示される。これにより、上述と同様に、遷移コンテンツCTaは高精度地図データに基づいて生成される。
【0073】
次に、表示制御プログラムに基づく各コンテンツの表示制御方法の詳細を、
図6に示すフローチャートに基づき、
図4および
図5を参照しつつ、以下説明する。
図6に示す処理は、例えば車両電源のオン状態への切り替えにより、起動処理等を終えたHCU100により開始される。
【0074】
HCU100は、まずステップS101で、取得した案内情報に基づき、経路案内区間か否かを判定する。経路案内区間である判定するとステップS102へと進み、現在の走行路に関する地図データを取得する。次にステップS103では現在の走行路が高精度地図エリアMhか否かを判定する。高精度地図エリアMhであると判定されると、ステップS104へと進む。
【0075】
ステップS104では、取得した高精度地図データに基づいて、表示生成部109にて高精度経路コンテンツCTrhの重畳表示を実行する。次に、ステップS105では、重畳範囲SAがナビ地図エリアMnに接近しているか否かを判定する。ナビ地図エリアMnに接近していない場合、ステップS101へと戻る。一方でナビ地図エリアMnに接近していると判定されると、ステップS106へと進む。ステップS106では、高精度地図データに基づき、高精度経路コンテンツCTrhから低精度経路コンテンツCTrnへの遷移を示す遷移コンテンツCTaを表示させる。
【0076】
ステップS106にて遷移コンテンツCTaの表示を実行した場合、およびステップS103にて走行路が高精度地図エリアMhではないと判定した場合には、ステップS107へと進む。ステップS107では、ナビ地図データに基づき、低精度経路コンテンツCTrnの重畳表示を実行する。
【0077】
次に、ステップS108では、重畳範囲SAが高精度地図エリアMhに進入したか否かを判定する。高精度地図エリアMhに進入したと判定すると、ステップS109へと進み、高精度地図データに基づき、低精度経路コンテンツCTrnから高精度経路コンテンツCTrhへの遷移を示す遷移コンテンツCTaを表示させる。遷移コンテンツCTaの表示が完了すると、ステップS104へと戻る。
【0078】
一方で、ステップS109にて高精度地図エリアMhへと進入していないと判定した場合には、ステップS101へと戻る。一連の処理は、ステップS101にて経路案内区間ではないと判定されるまで継続され、経路案内区間ではないと判定されると、ステップS110へと進み経路案内に関連するコンテンツの表示を終了した後、一連の処理を終了する。
【0079】
次に第1実施形態のHCU100がもたらす作用効果について説明する。
【0080】
HCU100は、高精度地図エリアMhとナビ地図エリアMnとが切り替わる場合に、地図エリアの切り替わりを示す切替コンテンツとして遷移コンテンツCTaを表示させる。これによれば、高精度地図エリアMhとナビ地図エリアMnとで地図エリアが切り替わる場合に、その切り替わりを示す切替コンテンツとして遷移コンテンツCTaが表示される。故に、遷移コンテンツCTaを視認した乗員としてのドライバは、地図エリアの切り替わりを容易に認識し得る。以上により、利用する地図データの切り替わりに伴うドライバの違和感を抑制可能である。
【0081】
また、ナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合に、遷移コンテンツCTaは、低精度経路コンテンツCTrnを高精度経路コンテンツCTrhへと遷移させるコンテンツとして表示される。一方で、高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合に、遷移コンテンツCTaは、高精度経路コンテンツCTrhを低精度経路コンテンツCTrnへと遷移させるコンテンツとして表示される。
【0082】
これによれば、各地図エリアに対応した経路コンテンツが地図エリアの切り替わりに伴って遷移することで、当該切り替わりがドライバに提示される。故に、地図エリアの切り替わりを違和感の比較的少ない状態でドライバに提示できる。特に、第1実施形態では、経路コンテンツの表示中において、当該経路コンテンツの遷移によって地図エリアの切り替わりを提示するので、切り替わりを示すコンテンツを追加で表示させる場合よりも、画角VA内が煩雑になることを抑制することができる。
【0083】
遷移コンテンツCTaは、高精度地図エリアMhの路面に重畳表示される。これによれば、遷移コンテンツCTaは、高精度地図データに基づいて表示され得る。故に、経路コンテンツの遷移するアニメーションが、路面に対してより正確に重畳表示される。したがって、経路コンテンツの遷移における表示の違和感が低減され得る。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。
図7および
図8において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0085】
第2実施形態において、表示生成部109は、仮想空間中に第4仮想オブジェクトVO4を表示する。第4仮想オブジェクトVO4は、走行予定経路上の仮想路面に配置される。第4仮想オブジェクトVO4は、後述の文字情報コンテンツCTtを虚像表示させる場合に、仮想空間中の高精度地図エリアMhに設定される。第4仮想オブジェクトVO4は、文字情報コンテンツCTtに対応するテキストを模った形状とされる。
【0086】
表示生成部109は、地図エリアの切り替わりを示すコンテンツとして、文字情報コンテンツCTtを表示可能である。文字情報コンテンツCTtは、路面を重畳対象とする重畳コンテンツCTsである。文字情報コンテンツCTtは、経路コンテンツ等の他のコンテンツの有無に関わらず表示される。文字情報コンテンツCTtは、地図エリアの切り替わりを文字情報によって示すコンテンツとされる。例えば、ナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合は、「高精度地図スタート」等のテキストとして表示され、高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合は、「ナビ地図スタート」等のテキストとして表示される。
【0087】
文字情報コンテンツCTtは、高精度地図データに基づいて、高精度地図エリアMhの路面の特定位置に留まっているように、重畳表示される。すなわち、ナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合、重畳範囲SAの高精度地図エリアMhへの進入後に文字情報コンテンツCTtが視認可能となる。
【0088】
一方で、高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合、重畳範囲SAがナビ地図エリアMnへ進入する前に文字情報コンテンツCTtが視認可能となる。この場合、文字情報コンテンツCTtは、ナビ地図エリアMn到達の所定距離または所定時間手前の地点にて表示開始され、ナビ地図エリアMnへ進入する直前に非表示とされる。なお、文字情報コンテンツCTtは、車両Aの進行に同期して移動し、所定時間後に非表示となるように表示されてもよい。
【0089】
次に、第2実施形態における表示制御方法の詳細を、
図8に示すフローチャートに基づき、
図7を参照しつつ、以下説明する。
【0090】
HCU100は、まずステップS201で、現在の走行路についての地図データを取得する。次に、ステップS202では、現在の走行路が高精度地図エリアMhに含まれるか否かを判定する。高精度地図エリアMhであると判定されると、ステップS203へと進み、ナビ地図エリアMnに接近しているか否かを判定する。ナビ地図エリアMnに接近していない場合には、接近していると判定されるまで待機する。一方でナビ地図エリアMnに接近していると判定されると、ステップS205へと進み、文字情報コンテンツCTtを表示した後一連の処理を終了する。
【0091】
一方で、ステップS202にて高精度地図エリアMhではないと判定されると、ステップS204へと進む。ステップS204では、ナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと進入したか否かを判定する。高精度地図エリアMhに進入していない場合には、進入したと判定されるまで待機する。一方で高精度地図エリアMhに進入したと判定されると、ステップS205へと進み、文字情報コンテンツCTtを表示した後一連の処理を終了する。
【0092】
第2実施形態では、地図エリアの切り替わりが文字情報コンテンツCTtによって表示される。これによれば、ドライバは、地図エリアの切り替わりを文字情報によって認識し得る。したがって、より明確に地図エリアの切り替わりが認識され得る。特に第2実施形態の文字情報コンテンツCTtは、路面の特定位置に留まるように重畳表示されるので、路面の地図エリアの境界をドライバに惹起させ易い。
【0093】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。
図9において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0094】
第3実施形態において、表示生成部109は、切替コンテンツとして境界コンテンツCTbを表示する。境界コンテンツCTbは、表示シミュレーションにおいて仮想路面に配置される帯状の第5仮想オブジェクトVO5に基づいて、路面を重畳対象とする重畳コンテンツCTsとして表示される。境界コンテンツCTbは、各地図エリアに対応する異なる態様の画像を進行方向に沿って並べたコンテンツとされる。
【0095】
例えば、境界コンテンツCTbは、表示色の異なるシート状の画像が一続きに連なったコンテンツである。境界コンテンツCTbは、ナビ地図エリアMnに対応する画像を、低精度経路コンテンツCTrnと同じ表示色(例えば赤色)とし、高精度地図エリアMhに対応する画像を、高精度経路コンテンツCTrhと同じ表示色(例えば青色)とする。
【0096】
すなわち、地図エリアがナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合、境界コンテンツCTbは、手前側が赤色、奥側が青色で表示されたコンテンツとされる。一方で、地図エリアが高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合、境界コンテンツCTbは、手前側が青色、奥側が赤色で表示されたシート状のコンテンツとされる。
【0097】
以上の境界コンテンツCTbは、第2実施形態の文字情報コンテンツCTtと同様に、高精度地図エリアMhの路面に、高精度地図データに基づいて重畳される。境界コンテンツCTbは、路面の特定位置に留まるように表示される。または、境界コンテンツCTbは、車両Aの進行に同期して移動するコンテンツであってもよい。
【0098】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。
図10において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0099】
第4実施形態において、表示生成部109は、切替コンテンツとして境界コンテンツCTbを表示する。第4実施形態の境界コンテンツCTbは、表示シミュレーションにおいて仮想路面に配置される帯状の第6仮想オブジェクトVO6に基づいて、高精度地図エリアMhの路面を重畳対象とする重畳コンテンツCTsとして表示される。
【0100】
第4実施形態の境界コンテンツCTbは、高精度地図エリアMhの路面において、ナビ地図エリアMnの境界を始端として進行方向に延びるシート状のコンテンツとされる。例えば、境界コンテンツCTbは、高精度経路コンテンツCTrhおよび低精度経路コンテンツCTrnと異なる表示態様とされる。
図10の例では、境界コンテンツCTbは、高精度経路コンテンツCTrhおよび低精度経路コンテンツCTrnと異なる表示色(例えば緑色)で表示されている。
【0101】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。
図11および
図12において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0102】
第5実施形態において、表示生成部109は、経路案内中に地図エリアが切り替わる場合に、経路コンテンツを非表示とする。例えば、高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合、表示生成部109は、ナビ地図エリアMnの開始地点または当該開始地点よりも手前側の地点に重畳範囲SAが到達した際に、高精度経路コンテンツCTrhを非表示とする。この場合、表示生成部109は、高精度経路コンテンツCTrhを非表示として所定期間経過したタイミングで、低精度経路コンテンツCTrnを表示させる。このとき、低精度経路コンテンツCTrnは、重畳範囲SAの路面の少なくとも一部が高精度地図エリアMhに含まれている場合であっても、高精度地図エリアMhにおけるナビ地図データを利用して表示される。
【0103】
一方で、ナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合、表示生成部109は、例えば重畳範囲SAの高精度地図エリアMhへの進入開始以降に、低精度経路コンテンツCTrnを非表示とする。表示生成部109は、低精度経路コンテンツCTrnを非表示として所定期間経過したタイミングで、高精度経路コンテンツCTrhを表示させる。例えば、表示生成部109は、重畳範囲SAの全体が高精度地図エリアMhとなって以降に、高精度経路コンテンツCTrhの表示を開始させる。
【0104】
次に、第5実施形態における表示制御方法の詳細を、
図12に示すフローチャートに基づき、
図11を参照しつつ、以下説明する。なお、ステップS301~S304およびS310の処理は、第1実施形態におけるS101~104およびS110の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
HCU100は、ステップS302にて現在の走行路が高精度地図エリアMhに含まれないと判定した場合、ステップS305にて低精度経路コンテンツCTrnを表示させる。ステップS304またはステップS305の処理を実行した後、ステップS306へと進む。
【0106】
ステップS306では、現在の走行路の該当する地図エリアが切り替わるか否かを判定する。現在の地図エリアが切り替わらず継続すると判定された場合には、ステップS301に戻る。一方で、地図エリアが切り替わると判定された場合には、ステップS307へと進み、直前に表示していた経路コンテンツを非表示とする。ステップS307における非表示期間が完了するとステップS303へと戻り、切り替わり後の地図エリアを判定して対応する経路コンテンツの表示を開始する。
【0107】
以上の第5実施形態では、地図エリアが切り替わる場合に、切り替わる前の経路コンテンツが所定期間非表示とされた後に、切り替わる後の経路コンテンツが表示される。故に、高精度経路コンテンツCTrhおよび低精度経路コンテンツCTrnの一方から他方へ表示が切り替わることを、コンテンツが非表示となることによって、ドライバが容易に認識し得る。以上により、利用する地図データの切り替わりに伴うドライバの違和感を抑制可能となる。
【0108】
(第6実施形態)
第6実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。
図13~
図15において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0109】
第3実施形態にて、表示生成部109は、経路案内中に地図エリアが切り替わる場合に、画角VA内に高精度経路コンテンツCTrhと低精度経路コンテンツCTrnとを共存させてそれぞれの地図エリアMh,Mnに重畳表示させる(
図11、
図12参照)。
【0110】
図13は、ナビ地図エリアMnから高精度地図エリアMhへと切り替わる場合の表示を示している。
図13において、重畳範囲SAがナビ地図エリアMnに進入を開始すると、重畳範囲SA内の高精度地図エリアMhに第1仮想オブジェクトVO1が配置され、ナビ地図エリアMnに第2仮想オブジェクトVO2が配置される。
【0111】
結果として、画角VA内の路面のうち高精度地図エリアMhに含まれる手前側の部分に、高精度経路コンテンツCTrhが重畳表示される。そして、画角VA内の路面のうちナビ地図エリアMnに含まれる奥側の部分に、低精度経路コンテンツCTrnが重畳表示される。車両Aの進行に伴って、画角VA内の高精度経路コンテンツCTrhは、奥側から手前側へと連続的に消失し、低精度経路コンテンツCTrnは、奥側から手前側へと連続的に伸長する。
【0112】
図14は、高精度地図エリアMhからナビ地図エリアMnへと切り替わる場合の表示を示している。この場合にも、低精度経路コンテンツCTrnと高精度経路コンテンツCTrhの位置関係が逆になる以外は、
図13と同様に経路コンテンツの表示態様が変更される。
【0113】
このような切り替わり時の表示において、表示生成部109は、2つの経路コンテンツのうち手前側の輝度を高くする。すなわち、
図13においては、低精度経路コンテンツCTrnの輝度が、高精度経路コンテンツCTrhに対して高くなり、
図14においては逆になる。結果として、手前側の路面に重畳されたコンテンツの視認性が、奥側の路面に重畳されたコンテンツよりも高まる。なお、表示生成部109は、奥側の経路コンテンツの透過率を高くすることで、手前側の経路コンテンツの視認性を向上させてもよい。
【0114】
また、表示生成部109は、低精度経路コンテンツCTrnが手前側に表示されている場合において、低精度経路コンテンツCTrnが画角VA外となるより前に、低精度経路コンテンツCTrnを非表示とする。
【0115】
加えて、表示生成部109は、高精度経路コンテンツCTrhと低精度経路コンテンツCTrnが画角VA内に共存して表示されている場合、隣接する高精度地図エリアMhの高精度地図データに基づき、低精度経路コンテンツCTrnの表示位置を補正する。表示生成部109は、例えば高精度地図エリアMhの道路形状からナビ地図エリアMnの道路形状を推定し、その推定情報を低精度経路コンテンツCTrnの表示位置の演算に利用する。また、表示生成部109は、低精度経路コンテンツCTrnの端部位置を高精度経路コンテンツCTrhの端部位置に合わせる等、高精度経路コンテンツCTrhの表示状態を利用してもよい。
【0116】
次に、第6実施形態における表示制御方法の詳細を、
図15に示すフローチャートに基づき、
図13,14を参照しつつ、以下説明する。なお、ステップS401,S402,S410の処理は、それぞれ第1実施形態におけるS101,S102,S110の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
HCU100は、ステップS403では、画角VA内に高精度地図エリアMhおよびナビ地図エリアMnの2つの地図エリアが含まれているか否かを判定する。2つの地図エリアが含まれていると判定した場合、ステップS404にて画角VA内の地図エリアごとに、対応する経路コンテンツを重畳表示させる。ステップS404の表示処理を実行すると、ステップS401へと戻る。
【0118】
一方で、ステップS403にて画角VA内に高精度地図エリアMhおよびナビ地図エリアMnのうち一方のみが含まれている場合には、ステップS405へと進む。ステップS405では、画角VA内の地図エリアに応じて、高精度経路コンテンツCTrhおよび低精度経路コンテンツCTrnのいずれかを路面に重畳表示させ、ステップS401へと戻る。
【0119】
第6実施形態では、地図エリアが切り替わる場合に、画角VA内のうち高精度地図エリアMhに高精度経路コンテンツCTrhが重畳表示され、画角VA内のうちナビ地図エリアMnに低精度経路コンテンツCTrnが重畳表示される。故に、異なる各地図エリアに対応するコンテンツが画角VA内に共存して表示され、地図エリアの切り替わりをドライバが容易に認識し得る。以上により、利用する地図データの切り替わりに伴うドライバの違和感が抑制可能となる。
【0120】
また、第6実施形態では、地図エリアが切り替わる場合に、手前側の経路コンテンツの視認性が奥側の経路コンテンツに対して高められる。これによれば、より直近で必要とされる手前側の経路コンテンツを、ドライバが容易に認識し得る。したがって、ドライバにとってより利便性の高い表示が可能となる。
【0121】
さらに、第6実施形態では、手前側に低精度経路コンテンツCTrnが重畳され、奥側に高精度経路コンテンツCTrhが重畳されている場合には、ナビ地図エリアMnが画角VA外となるより前に、低精度経路コンテンツCTrnが非表示とされる。これによれば、比較的精度の低い低精度経路コンテンツCTrnが早めに非表示となるので、低精度経路コンテンツCTrnの表示位置のずれをより目立たなくすることが可能になる。
【0122】
また、第6実施形態では、隣接する高精度地図エリアMhの高精度地図データに基づいて低精度経路コンテンツCTrnの表示位置が補正されるので、低精度経路コンテンツCTrnの表示位置のずれが抑制され得る。
【0123】
(第7実施形態)
第7実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。
図16および
図17において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0124】
高精度経路コンテンツCTrhが基づく高精度地図データは、整備されてから時間が経過して鮮度が低下すると、実際の道路状態と異なるものとなり、信頼度が低下する場合がある。第7実施形態において、HCU100は、高精度経路コンテンツCTrhが基づく高精度地図データの信頼度をドライバに提示するために、高精度地図データの信頼度をドライバに提示する。
【0125】
詳記すると、表示生成部109は、地図情報取得部103にて取得した高精度地図データと、外界情報取得部105にて取得した検出情報とを比較して、そのずれ度合が許容範囲内か許容範囲から外れているかを判定する。例えば、表示生成部109は、高精度地図データに含まれている道路形状および構造物等の特徴点と、フロントカメラ31やライダ等にて検出された当該特徴点との位置座標のずれ量をずれ度合として算出する。表示生成部109は、算出したずれ量が所定の誤差範囲内であれば、高精度地図データと検出情報とが一致すると判定する。一方で、ずれ量が所定の誤差範囲を外れる場合には、高精度地図データと検出情報とが異なると判定する。換言すれば、表示生成部109は、高精度地図データと検出情報とのずれ度合が許容範囲内か許容範囲から外れているかを判定する。なお、表示生成部109は、高精度地図データと、一般車両の走行情報に基づいて生成されたプローブ地図データのずれ度合を算出してもよい。
【0126】
表示生成部109は、高精度地図データと検出情報とが一致した場合と、異なる場合とで、高精度経路コンテンツCTrhの表示色を変更する。これにより、高精度経路コンテンツCTrhは、高精度地図データと検出情報とが一致した場合と異なる場合とで、異なる表示態様にて表示される。結果として、高精度地図データの信頼度が、高精度経路コンテンツCTrhによってドライバに提示される。なお、表示生成部109は、表示色に代えて、輝度、透過率、および形状等を変更してもよい。
【0127】
次に、表示制御プログラムに基づく各コンテンツの表示制御方法の詳細を、
図17に示すフローチャートに基づき説明する。
図17に示す処理は、例えば車両電源のオン状態への切り替えにより、起動処理等を終えたHCU100により開始され、繰り返し実行される。
【0128】
ステップS501では、地図データを取得する。ステップS502では、取得した地図データに基づき、走行路が高精度地図エリアMhであるか否かを判定する。高精度地図エリアMhではないと判定すると一連の処理を終了する。一方で、高精度地図エリアMhであると判定するとステップS503へと進み、高精度地図データと検出情報とが一致するか否かを判定する。
【0129】
一致すると判定されるとステップS504へと進み、高精度経路コンテンツCTrhを高信頼度の表示態様とした後、一連の処理を終了する。一方で、高精度地図データと検出情報とが異なると判定された場合には、ステップS505へと進む。ステップS505では、高精度経路コンテンツCTrhを、ステップS504とは異なる低信頼度の表示態様として、一連の処理を終了する。HCU100は、一連の処理を繰り返し実行することで、現在地点の高精度地図データの信頼度に応じて高精度経路コンテンツCTrhの表示態様を更新する。また、表示生成部109は、ずれ量に応じて連続的に表示態様を変更させてもよい。
【0130】
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0131】
上述の実施形態において、地図情報取得部103は、計測車両の走行により予め生成された高精度地図データを取得するとした。これに代えて、地図情報取得部103は、複数の一般車両の走行情報に基づいて生成されたプローブ地図データを高精度地図データとして取得してもよい。プローブ地図データは、高さ方向の情報を含む地図データであり、ネットワーク上のセンタサーバ等からDCM49を介して取得される。この場合、プローブ地図データを取得可能なエリアが高精度地図エリアとなり、プローブ地図データを取得不可能でナビ地図データを取得可能なエリアが低精度地図エリアとなる。または、プローブ地図データと、ロケータ40に格納された地図データとで、より高精度な一方を取得可能なエリアが高精度地図エリアとされ、当該一方を取得不可能で他方を取得可能なエリアが低精度地図エリアとされてもよい。この場合には、誤差の大きさやデータの新しさ、特徴点の密度等に基づいて、より高精度な地図データが決定されればよい。
【0132】
上述の実施形態において、表示生成部109は、幅の異なるシート状のコンテンツとして各経路コンテンツを表示させるとしたが、各経路コンテンツの表示態様はこれに限定されない。例えば、表示生成部109は、
図18に示すように、高精度経路コンテンツCTrhを自車車線Lnsの両脇に延びる一対の線状コンテンツとして表示させてもよい。また、表示生成部109は、低精度経路コンテンツCTrnを進行予定経路に沿って並ぶ複数の三角形状のコンテンツとしてもよい。
図18の低精度経路コンテンツCTrnは、高精度経路コンテンツCTrhよりも自車車線Lnsの中央付近に重畳されることで、重畳位置のずれが目立たない態様として表示されている。
【0133】
上述の実施形態において、表示生成部109は、各地図データに基づくコンテンツとして案内情報に応じた経路コンテンツを表示させるとしたが、表示させるコンテンツはこれに限定されない。例えば、表示生成部109は、LTC機能による車両Aの進行予定軌跡を示すコンテンツを、各地図データに基づいて表示させてもよい。
【0134】
上述の実施形態において、表示生成部109は、切替コンテンツを重畳コンテンツCTsとして表示させるとしたが、非重畳コンテンツとして表示させてもよい。例えば、表示生成部109は、切替コンテンツを非重畳コンテンツとして表示させる場合、画角VA内路面がナビ地図エリアMnに含まれている間切替コンテンツを表示させ、高精度地図エリアMhに含まれている間は非表示とする。これによれば、表示生成部109は、画角VA内において高精度コンテンツを重畳可能な領域を有効に活用することができる。
【0135】
上述の第2実施形態乃至第4実施形態において、切替コンテンツは、経路コンテンツ等の他のコンテンツの有無に関わらず表示されるとした。切替コンテンツとしての文字情報コンテンツCTtは、例えば経路コンテンツとともに表示される場合、ドライバの見た目上で経路コンテンツの上方に重なって表示されればよい。また、切替コンテンツとしての境界コンテンツCTbは、経路コンテンツと一続きに連続するように表示されればよい。
【0136】
上述の第6実施形態において、表示生成部109は、低精度経路コンテンツCTrnの表示位置の補正を、各経路コンテンツが共存して表示されている場合に実行するとした。しかし、表示生成部109は、低精度経路コンテンツCTrnのみを表示している場合であっても、高精度地図データに基づく補正が可能であれば、これを実行する構成であってもよい。第1実施形態乃至第5実施形態の表示生成部109が、低精度経路コンテンツCTrnを表示している間に、高精度地図データに基づく表示位置の補正を実行してもよい。
【0137】
上述の実施形態の処理部およびプロセッサは、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)を含む。こうした処理部およびプロセッサは、CPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)およびDFP(Data Flow Processor)等を含む処理部であってよい。さらに処理部およびプロセッサは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、並びにAIの学習および推論等の特定処理に特化したIPコア等を含む処理部であってもよい。こうしたプロセッサの各演算回路部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA等に実装された構成であってもよい。
【0138】
制御プログラムを記憶するメモリ装置には、フラッシュメモリおよびハードディスク等の種々の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)が採用可能である。こうした記憶媒体の形態も、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、メモリカード等の形態であり、車載ECUに設けられたスロット部に挿入されて、制御回路に電気的に接続される構成であってよい。
【0139】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0140】
次に、上述の第7実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0141】
(付記1)
車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両の走行路について、地点別の高さ情報を含む高精度地図情報を取得する地図情報取得部(103)と、
前記走行路について、前記高精度地図情報とは異なる情報源からの走行路情報を取得する走行路情報取得部と、
前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)を表示する表示制御部(109)と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記高精度地図情報と、前記走行路情報とのずれ度合が許容範囲を外れる場合と、前記ずれ度合が許容範囲内の場合とで、前記高精度コンテンツの表示態様を変更する表示制御装置。
【0142】
(付記2)
車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する表示制御プログラムであって、
少なくとも1つの処理部(11)に、
前記車両の走行路について、地点別の高さ情報を含む高精度地図情報を取得し(S501)、
前記走行路について、前記高精度地図情報とは異なる情報源からの走行路情報を取得し(S503)、
前記高精度地図情報と、前記走行路情報とのずれ度合が許容範囲を外れる場合と、前記ずれ度合が許容範囲内の場合とで、前記高精度地図情報に基づく高精度コンテンツ(CTrh)の表示態様を変更する(S504、S505)
ことを含む処理を実行させる表示制御プログラム。
【0143】
これらの態様によれば、高精度地図情報と走行路情報とのずれ度合が比較的大きい場合と小さい場合とで、高精度コンテンツの表示態様が異なって乗員に認識され得る。故に、乗員は、高精度地図情報と走行路情報とのずれ度合の変化、すなわち高精度地図情報の信頼度の変化を把握し得る。したがって、乗員に高精度地図情報の信頼度を表示可能な表示制御装置および表示制御プログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0144】
11 処理部、 20 HUD(ヘッドアップディスプレイ)、 100 HCU(表示制御装置)、 103 地図情報取得部、 109 表示生成部(表示制御部)、 A 車両、 CTa 遷移コンテンツ(切替コンテンツ)、 CTt 文字情報コンテンツ(切替コンテンツ)、 CTrh 高精度経路コンテンツ(高精度コンテンツ)、 CTrn 低精度経路コンテンツ(低精度コンテンツ)、 画角 VA。