IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図1
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図2
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図3
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図4
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図5
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図6
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図7
  • 特許-二次電池、電子機器及び電動工具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】二次電池、電子機器及び電動工具
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/145 20210101AFI20240116BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/159 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/191 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240116BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240116BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240116BHJP
【FI】
H01M50/145
H01M50/152
H01M50/159
H01M50/184 D
H01M50/186
H01M50/191
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/198
H01M50/342 101
H01M50/548 201
H01M50/559
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M10/052
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022553748
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2021033151
(87)【国際公開番号】W WO2022070824
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2020163163
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】袖山 国雄
(72)【発明者】
【氏名】梅川 雅文
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-238462(JP,A)
【文献】特開平10-040951(JP,A)
【文献】特開2014-103026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して帯状の正極と帯状の負極とが積層され、巻回された電極巻回体と、電解液とが電池缶に収容され、
前記電池缶の開口部が、ガスケットを介して安全弁機構と電池蓋によって密閉された二次電池であって、
前記電池蓋は端子部とフランジ部とを有する金属部材であり
前記フランジ部の主面のうち外側の主面とガスケットとの間に金属層を有し、
前記金属層は、透孔を有する円板状の金属部材であり、且つ、前記電池蓋よりもイオン化傾向が大きく、酸化された場合に絶縁性を有する金属部材である
二次電池。
【請求項2】
前記金属層は、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金の何れか1つ以上を含む層である請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記透孔の径は、前記ガスケットの先端部の内径よりも小さい請求項又はに記載の二次電池。
【請求項4】
前記金属層の厚さは0.2mm以上0.6mm以下である請求項からの何れかに記載の二次電池。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の二次電池を有する電子機器。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の二次電池を有する電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、電子機器及び電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池の用途は、携帯用電子機器ばかりでなく機械や工具などにも拡大している。例えば、海辺や船舶上などで電動リールの電源としてリチウムイオン二次電池が使用されることがある。電動リールが海水を浴びたり海水中に落下したりしたときには、リチウムイオン二次電池が海水に曝されることがある。
【0003】
特許文献1は、溶接板、材質がアルミニウム製の封口板、端子板が互いに密着した状態で積層されて絶縁性の樹脂からなる封口ガスケットの中空筒内に挿入されるとともに、円筒状電池缶を密封してなる円筒型電池を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-123375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電池は、封口部分に海水の飛沫がかかったときに電池缶と端子板との間に赤錆が析出することにより電気的な短絡状態となり、次第に電池電圧が低下した後、電池として使用できなくなるという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、電池が海水や塩水のようなイオン伝導性の水溶液に曝されたときでも、電池蓋と電池缶との間の電気絶縁性を保つことができる電池を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、
セパレータを介して帯状の正極と帯状の負極とが積層され、巻回された電極巻回体と、電解液とが電池缶に収容され、
電池缶の開口部が、ガスケットを介して安全弁機構と電池蓋によって密閉された二次電池であって、
電池蓋は端子部とフランジ部とを有する金属部材であり
フランジ部の主面のうち外側の主面とガスケットとの間に金属層を有し、
金属層は、透孔を有する円板状の金属部材であり、且つ、電池蓋よりもイオン化傾向が大きく、酸化された場合に絶縁性を有する金属部材である
二次電池である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の少なくとも実施の形態によれば、二次電池が海水や塩水に曝されたときでも、電池蓋と電池缶との間の電気絶縁性を保つことができる。なお、本明細書で例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施の形態に係る電池の断面図である。
図2図2は、電池への析出物を説明するための図である。
図3図3は、実施例1~4を説明するための図である。
図4図4は、実施例5~8を説明するための図である。
図5図5は、実施例9~13を説明するための図である。
図6図6は、本発明の応用例としての電池パックの説明に使用する接続図である。
図7図7は、本発明の応用例としての電動工具の説明に使用する接続図である。
図8図8は、本発明の応用例としての電動車両の説明に使用する接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.一実施の形態>
<2.変形例>
<3.応用例>
以下に説明する実施の形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。
【0011】
本発明の実施の形態では、二次電池として、円筒形状のリチウムイオン電池を例にして説明する。勿論、リチウムイオン電池以外の他の二次電池や円筒形状以外の形状の二次電池が用いられても良い。
【0012】
<1.一実施の形態>
まず、リチウムイオン電池の全体構成に関して説明する。図1は、リチウムイオン電池1の概略断面図である。リチウムイオン電池1は、例えば、図1に示すように、電池缶11の内部に電解液と電極巻回体20が収納されている円筒型の電池である。
【0013】
具体的には、リチウムイオン電池1は、円筒状の電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13と、電極巻回体20とを備えている。
【0014】
[絶縁板]
絶縁板12,13は、電極巻回体20の巻回軸方向(図1の鉛直方向)に対して略垂直な面を有するシート状の部材である。絶縁板12,13は、互いに電極巻回体20を挟むように配置されている。絶縁板12,13の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ベークライトなどが用いられる。ベークライトには、フェノール樹脂を紙又は布に塗布した後に加熱して作製される、紙ベークライトや布ベークライトがある。
【0015】
[かしめ構造]
電池缶11の開放端部11Nは、かしめ構造11Rによって密閉されている。具体的には、安全弁機構30、電池蓋14および金属層61が互いに密着した状態で積層されてガスケット15と共にかしめ構造11Rを形成している。電池缶11の内部に電解液と電極巻回体20が収納された状態で電池缶11の開放端部11Nが密閉されている。
【0016】
[電池蓋]
電池蓋14は、電池缶11の内部に電極巻回体20などが収納された状態において、その電池缶11の開放端部11Nを閉塞する部材である。この電池蓋14は、電池缶11の形成材料と同様の材料を含んでいる。電池蓋14は、中央領域に、図1の電池1の円筒形状の中心軸方向に突出している端子部53を有している。電池蓋14は中央領域の周囲にフランジ部52が一体的に設けられた形状を有している。電池蓋14のフランジ部52は安全弁機構30に接触している。電池蓋14は電池1の正極(+極,第2の極性)である。なお、図示しないが、電池蓋14のフランジ部52と安全弁機構30の間には、サーミスタ等のPTC素子が設けられていてもよい。
【0017】
[ガスケット]
ガスケット15は、電池缶11の折り曲げ部11P(以下、クリンプ部11Pと称する。)の内側と電池蓋14の端部の間に介在することにより、そのクリンプ部11Pと電池蓋14との間の隙間を封止する部材である。ガスケット15の表面には、例えば、アスファルトなどが塗布されていてもよい。なお、本発明においては、図1に示すように、ガスケット15の上端部は、クリンプ部11Pの先端部(電池缶11の先端部55)から外部に露出した面(以下、ガスケット面15Aと称する。)を有している。また、ガスケット15の下部は電極巻回体20に向かって延在していることが望ましい。
【0018】
ガスケット15は、絶縁性材料を含んでいる。絶縁性材料の種類は特に限定されないが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリプ口ピレン(PP)などの高分子材料である。電池缶11と電池蓋14とを互いに電気的に分離しながら、クリンプ部11Pと電池蓋14との間の隙間が十分に封止されるからである。
【0019】
[電池缶]
電池缶11は、電極巻回体20を収納する部材である。この電池缶11は、一端部が開放されると共に他端部が閉塞された円筒状の容器である。すなわち、電池缶11は、開放された一端部(開放端部11N)を有している。この電池缶11は、鉄、アルミニウム及びそれらの合金などの金属材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる。ただし、電池缶11の表面において、ニッケルなどの金属材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上が鍍金されていてもよい。電池缶11の缶底は電池1の負極(-極,第1の極性)である。電池缶11の全体が電池缶11の缶底と電気的に接続されているため、電池缶11の全体が電池1の負極(-極,第1の極性)である。電池缶11の開口部は、ガスケット15を介して安全弁機構30と電池蓋14によって密閉されている。
【0020】
[安全弁機構]
安全弁機構30は、電池缶11の内部の圧力(内圧)が上昇した際に、必要に応じて電池缶11の密閉状態を解除することにより、その内圧を開放する。電池缶11の内圧が上昇する原因は、充放電時において電解液の分解反応に起因して発生するガスなどである。
【0021】
[電極巻回体]
円筒形状のリチウムイオン電池では、帯状の正極21と帯状の負極22がセパレータ23を挟んで渦巻き状に巻回されて、電解液に含浸された状態で、電池缶11に収納されている。図示しないが、正極21、負極22はそれぞれ、正極箔、負極箔の片面又は両面に正極活物質層、負極活物質層を形成したものである。正極箔の材料は、アルミニウムやアルミニウム合金を含む金属箔である。負極箔の材料は、ニッケル、ニッケル合金、銅や銅合金を含む金属箔である。セパレータ23は多孔質で絶縁性のあるフィルムであり、正極21と負極22とを電気的に絶縁しながら、リチウムイオンの移動を可能にしている。
【0022】
電極巻回体20の中心には、正極21、負極22及びセパレータ23を巻回させる際に生じた空間(中心空間20C)が設けられており、中心空間20Cには、センターピン24が挿入されている(図1参照)。ただし、センターピン24は省略可能である。
【0023】
正極21には、正極リード25が接続されていると共に、負極22には、負極リード26が接続されている(図1参照)。正極リード25は、アルミニウムなどの導電性材料を含んでいる。正極リード25は、安全弁機構30に接続されており、電池蓋14と電気的に接続されている。負極リード26は、ニッケルなどの導電性材料を含んでいる。負極リード26は、電池缶11と電気的に接続されている。正極21、負極22、セパレータ23及び電解液のそれぞれの詳細な構成、材質に関しては、後述する。
【0024】
[正極]
正極活物質層は、リチウムを吸蔵及び放出することが可能である正極材料(正極活物質)を少なくとも含み、さらに、正極結着剤及び正極導電剤などを含んでいてもよい。正極材料は、リチウム含有化合物(例えば、リチウム含有複合酸化物及びリチウム含有リン酸化合物)が好ましい。
【0025】
リチウム含有複合酸化物は、例えば、層状岩塩型又はスピネル型の結晶構造を有している。リチウム含有リン酸化合物は、例えば、オリビン型の結晶構造を有している。
【0026】
正極結着剤は、合成ゴム又は高分子化合物を含んでいる。合成ゴムは、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴム及びエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)及びポリイミドなどである。
【0027】
正極導電剤は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック又はケッチェンブラックなどの炭素材料である。ただし、正極導電剤は、金属材料及び導電性高分子でもよい。
【0028】
[負極]
負極箔の表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極箔に対する負極活物質層の密着性が向上するからである。粗面化の方法は、例えば、電解法を利用して微粒子を形成し、負極箔の表面に凹凸を設ける手法がある。電解法により作製された銅箔は、一般的に電解銅箔と呼ばれている。
【0029】
負極活物質層は、リチウムを吸蔵及び放出することが可能である負極材料(負極活物質)を少なくとも含み、さらに、負極結着剤及び負極導電剤などを含んでいてもよい。
【0030】
負極材料は、例えば、炭素材料を含む。リチウムの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が安定して得られるからである。また、炭素材料は負極導電剤としても機能するため、負極活物質層の導電性が向上する。
【0031】
炭素材料は、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、黒鉛、低結晶性炭素、又は非晶質炭素である。炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状又は鱗片状を有している。
【0032】
また、負極材料は、例えば金属系材料を含む。金属系材料の例としては、Li(リチウム)、Si(ケイ素)、Sn(スズ)、Al(アルミニウム)、Zr(亜鉛)、Ti(チタン)が挙げられる。金属系元素は、他の元素と化合物、混合物又は合金を形成しており、その例としては、酸化ケイ素(SiO(0<x≦2))、炭化ケイ素(SiC)又は炭素とケイ素の合金、チタン酸リチウム(LTO)が挙げられる。
【0033】
リチウムイオン電池1では、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、その完全充電時の開回路電圧が低い場合と比較して、同じ正極活物質を用いても単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなる。これにより、高いエネルギー密度が得られる。
【0034】
[セパレータ]
セパレータ23は、樹脂を含む多孔質膜であり、2種類以上の多孔質膜の積層膜でもよい。樹脂は、ポリプロピレン及びポリエチレンなどである。
【0035】
セパレータ23は、多孔質膜を基材層として、その片面又は両面に樹脂層を含んでいてもよい。正極21及び負極22のそれぞれに対するセパレータ23の密着性が向上するため、電極巻回体20の歪みが抑制されるからである。
【0036】
樹脂層は、PVdFなどの樹脂を含んでいる。この樹脂層を形成する場合には、有機溶剤に樹脂が溶解された溶液を基材層に塗布したのち、その基材層を乾燥させる。なお、溶液中に基材層を浸漬させたのち、その基材層を乾燥させてもよい。樹脂層には、無機粒子又は有機粒子を含んでいることが、耐熱性、電池の安全性向上の観点で好ましい。無機粒子の種類は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト、タルク、シリカ、雲母などである。また、樹脂層に代えて、スパッタ法、ALD(原子層堆積)法などで形成された、無機粒子を主成分とする表面層を用いてもよい。
【0037】
[電解液]
電解液は、溶媒及び電解質塩を含み、必要に応じてさらに添加剤などを含んでいてもよい。溶媒は、有機溶媒などの非水溶媒、又は水である。非水溶媒を含む電解液を非水電解液という。非水溶媒は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステル又はニトリル(モノニトリル)などである。
【0038】
電解質塩の代表例はリチウム塩であるが、リチウム塩以外の塩を含んでいてもよい。リチウム塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SF6)などである。これらの塩を混合して用いることもでき、中でも、LiPF6、LiBF4を混合して用いることが、電池特性向上の観点で好ましい。電解質塩の含有量は特に限定されないが、溶媒に対して0.3mol/kgから3mol/kgであることが好ましい。
【0039】
[リチウムイオン電池の作製方法]
続いて、二次電池の製造方法に関して説明する。まず、正極21を作製する場合には、正極活物質、正極結着剤及び正極導電剤を混合することにより正極合剤を作製する。続いて、有機溶剤に正極合剤を分散させることにより、ペース卜状の正極合剤スラリーを作製する。続いて、正極箔の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、乾燥させることにより、正極活物質層を形成する。続いて、正極活物質層を加熱しながら、ロールプレス機を用いて正極活物質層を圧縮成型し、正極21が得られる。
【0040】
負極22を作製する場合にも、上記した正極21と同様の手順により行う。
【0041】
次に、溶接法を用いて正極箔、負極箔に、それぞれ正極リード25、負極リード26を接続する。続いて、セパレータ23を介して正極21及び負極22を積層したのち、それらを巻回し、セパレータ23の最外周面に固定テープを貼付することにより、電極巻回体20を形成する。
【0042】
続いて、電極巻回体20の負極リード26が露出している側に絶縁体が接した状態で、電極巻回体20を電池缶11の内部に収納し、缶底と負極リード26とを溶接法を用いて接続する。次に、電極巻回体20の正極リード25が露出している側にも絶縁体を置き、溶接法を用いて正極リード25の一端を安全弁機構30に接続する。
【0043】
続いて、ビーディング加工機(溝付け加工機)を用いて電池缶11を加工することにより、電池缶11に窪みを形成する。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入し、電極巻回体20に含浸させる。続いて、電池缶11の内部にガスケット15と共に安全弁機構30、電池蓋14及び金属層61を収納する。
【0044】
最後に、図1に示したように、電池缶11の開放端部11Nにおいて金属層61、電池蓋14及び安全弁機構30を互いに密着した状態にして、かしめ構造11Rを形成する。
【実施例
【0045】
以下、上述のようにして作製した電池を用いて、塩水耐久試験後の電圧降下率と落下試験の合格率についての実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0046】
電池蓋14の材質を鉄又はステンレスとした。この場合、もし、電池が海水や塩水のような水溶液中にあるとしたとき、電池蓋14の主成分であるFe(鉄)が溶解し、水溶液中でFeの酸化物や水酸化物へと化学変化し、図2に示されるように、電池蓋14から電池缶11にかけて析出物58が堆積することがある。このとき、析出物58のうち、Feの酸化物には高い電気伝導性を有するもの(例えば、赤錆)があるため、電池蓋14(+極)と電池缶11(-極)との間に電気が流れて、電池1が短絡を起こすことがある。
【0047】
そこで、本発明の一実施の形態では、中央に透孔を有する円板状であり、材質がアルミニウムである金属層61を設けた。Al(アルミニウム)はFe(鉄)よりもイオン化傾向が大きく、Alは空気中でも安定な物質である。例えば、金属層61を電池蓋14のフランジ部52の外側の主面56に接触するように配置すると、電池は海水や塩水のような水溶液中で、電池蓋14のFeよりも金属層61のAlが優先的に溶解し、Alが例えば酸化物や水酸化物となって、電池蓋14から電池缶11にかけて析出するが、Alの酸化物や水酸化物は電気的に絶縁性を有するため、電池蓋14と電池缶11との間に電気が流れず、電池は短絡を起こさないと考えられる。金属層61は電池蓋14とガスケット15との間に配置され、且つ、電池蓋14に少なくとも一部が接触するように配置される。なおここでは、上記のフランジ部52の主面のうち、安全弁機構30に対向する面を内側の主面、その反対側の面を外側の主面と呼ぶこととしている。以下の実施例で詳細を述べる。
【0048】
まずは、図3に示されるように、金属層61の外径ODと内径ID(具体的には図4を参照)を一定値とし、異なる厚さの金属層61を有する電池について比較した。以下で、電池蓋14のフランジ部52の外径を19.3mmとし、内径を9.6mmとした。ガスケット15の先端部の内径GIDを16.8mmmとした。電池のサイズを円筒形状の18650(直径18mm、長さ65mm)とした。
【0049】
[実施例1]
図3に示されるように、電池蓋14のフランジ部52の主面のうち外側の主面56とガスケット15との間に、材質がアルミニウムの金属層61を配置した電池を作製した。金属層61の厚さt1を0.2mmとした。金属層61の外径ODを19.3mmとし、金属層61の内径IDを16.0mmとした。
【0050】
[実施例2]
金属層61の厚さt1を0.3mmとした以外は、実施例1と同様にした。
【0051】
[実施例3]
金属層61の厚さt1を0.5mmとした以外は、実施例1と同様にした。
【0052】
[実施例4]
金属層61の厚さt1を0.6mmとした以外は、実施例1と同様にした。
【0053】
[比較例]
金属層61を配置しなかったこと以外は、実施例1と同様にした。
【0054】
[評価]
上述した実施例1から実施例4、および比較例の電池について、塩水耐久試験を行い、電圧降下率を測定した。さらに落下試験を行い、合格率を求めた。塩水耐久試験とは、電池缶11の側面部54にセロテープ(登録商標)を筒状に巻き付けて、電池蓋14の上部にセロテープ(登録商標)の筒を作製し、その筒の中に水面が高さ10mmとなるように、塩水(1wt%塩化ナトリウム水溶液)を入れ、室温(約23℃)の環境下で2時間放置する試験である。電圧降下率は試験前の開回路電圧に対する試験前後の電圧降下の割合である。試験数を各例10本ずつとして、電圧降下率の平均値を算出した。落下試験とは開回路電圧が4.4Vに充電した電池を10mの高さからコンクリート製の床面に30回落下させる試験である。落下試験の合格率とは、試験直後の電池を目視して電解液が電池の外部に漏洩しなかった電池の数を計数し、割合を求めたものである。試験数を各例100本ずつとした。以下の表1に、その結果を示す。
【0055】
[表1]
【0056】
比較例の電圧降下率が5.5%であったのに対し、金属層61の厚みt1=0.2mmから0.6mmのときに電圧降下率を格段に小さくすることができた。電池蓋14のフランジ部52の主面のうち外側の主面56とガスケット15との間に、材質がアルミニウムの金属層61を配置することによって、電池の封口部分が塩水に曝されても電圧降下を抑制できることを確認できた。金属層61の厚みt1は0.2mm以上であると、単独の金属部材として組立工程での取り扱いが容易であって、かつ変形しにくいので好ましい。金属層61であるアルミニウム層の厚みt1が大きいほど電圧降下が生じにくいため、電池蓋14と電池缶11との間の電気絶縁性を保つことができることが分かった。本発明の電池は、使用中に封口部分に海水や塩水の飛沫を浴びても電気的な短絡が生じにくく、電池機能を損なうことなく使用できる信頼性の高い電池であることを立証できた。
【0057】
次に、金属層61の厚さt1と外径ODを一定値とし、異なるリングの内径IDを有する電池を作製して、塩水耐久試験後の電圧降下率を比較した。
【0058】
[実施例5]
図4に示されるように、電池蓋14のフランジ部52とガスケット15との間に、材質がアルミニウムの金属層61を配置した。フランジ部52の主面のうち、電池の外部に露出している主面の少なくとも一部を金属層61が覆うように配置した。金属層61の外径ODを19.3mm、金属層61の厚さt1を0.3mm、金属層61の内径IDを17.0mm、フランジ部の内径FIDを9.6mmとした。ガスケット15の先端部の内径GIDを16.8mmmとした。
【0059】
[実施例6]
金属層61の内径IDを15.0mmとした以外は、実施例5と同様にした。
【0060】
[実施例7]
金属層61の内径IDを13.0mmとした以外は、実施例5と同様にした。
【0061】
[実施例8]
金属層61の内径IDを9.6mmとした以外は、実施例5と同様にした。
【0062】
[評価]
上述した例の電池について、上述の通り、塩水耐久試験を行い、電圧降下率を測定した。以下の表2に結果を示す。表2に示される占有率とは、電池蓋14のフランジ部52の主面のうち外側の主面56の表面積(221.3mm)に対する金属層61の一主面の表面積の割合のことである。
【0063】
[表2]
【0064】
実施例2および実施例5は金属層61の内径IDがガスケット15の先端部の内径GIDよりも大きい。これに対して実施例6は、金属層61の内径IDがガスケット15の先端部の内径GIDよりも小さい。したがって、金属層61の内径IDがガスケット15の先端部の内径GIDよりも小さいときに、電圧降下率を低減する効果が高いことを確認できた。これは、フランジ部52とガスケット15との間に露出している金属層61の表面積が大きいほど金属層61が電池蓋14のFeより先に溶け出す効果が大きいためと考えられる。さらに、実施例7および8ではフランジ部52の主面のうち外側の主面56の占有率が高いので、電圧降下率を低減する効果がさらに高いということが分かった。金属層61の内径IDが15.0mm以下(占有率が53%以上)であるとき、電池蓋14と電池缶11との間の電気絶縁性をより高く保つことができるので好ましい。金属層61の内径IDが13.0mm以下(占有率が72%以上)であるとき、電池蓋14と電池缶11との間の電気絶縁性をさらに高く保つことができるのでさらに好ましい。
【0065】
次に、ステンレス(SUS430)の母材層62の一面にアルミニウム層が圧延接合されたクラッドメタルをプレス加工することによって電池蓋14を作製した。アルミニウム層63の厚みを変化させた電池蓋14を有する電池をそれぞれ作製した。
【0066】
[実施例9]
図5に示されるように、電池蓋14の外側の主面全体には金属層としてのアルミニウム層63が配置されている。アルミニウム層63の厚さを0.03mm、母材層62の厚さを0.57mm、電池蓋14の厚さ(アルミニウム層63の厚さと母材層62の厚さとの合計)が0.60mmである電池を作製した。
【0067】
[実施例10]
アルミニウム層63の厚さを0.05mmとし、母材層62の厚さを0.55mmとした以外は実施例9と同様とした。
【0068】
[実施例11]
アルミニウム層63の厚さを0.10mmとし、母材層62の厚さを0.50mmとした以外は実施例9と同様とした。
【0069】
[実施例12]
アルミニウム層63の厚さを0.20mmとし、母材層62の厚さを0.40mmとした以外は実施例9と同様とした。
【0070】
[実施例13]
アルミニウム層63の厚さを0.25mmとし、母材層62の厚さを0.35mmとした以外は実施例9と同様とした。
【0071】
[評価]
上述した例の電池について、塩水耐久試験を行い、電圧降下率を測定し、落下試験を行い、合格率を求めた。以下の表3に結果を示す。
【0072】
[表3]
【0073】
電池蓋14の外側の主面全体にアルミニウム層63を配置した電池構造の場合、比較例および実施例9から実施例13の電圧降下率の結果から、アルミニウム層の厚みt2が0.03mmから0.25mmであるときに電圧降下率を低減する効果が得られることが分かった。厚みt2が0.05mmから0.25mmであるときに電圧降下率を低減する効果が高いので好ましい。厚みt2が0.10mmから0.25mmであるときに電圧降下率を低減する効果がさらに高いのでさらに好ましいと云える。
【0074】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施の形態について具体的に説明したが、本発明の内容は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0075】
一実施の形態では、電池のサイズを円筒形状の18650(直径18mm、長さ65mm)としたが、21700(直径21mm、長さ70mm)やその他のサイズであってもよい。
また、金属層61の材質は、Feよりもイオン化傾向が高く、空気中で安定な物質であるZn(亜鉛)であってもよい。また、金属層61の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金のうち何れか2つ以上を含んでいてもよい。金属層61は、圧延接合されたクラッド材に含まれる層であっても良い。金属層61は、電解メッキや無電解メッキによって母材の表面に形成された層であっても良い。
【0076】
<3.応用例>
(1)電池パック
図6は、本発明の実施の形態又は実施例にかかる二次電池を電池パック300に適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パック300は、組電池301、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。制御部310は各デバイスの制御を行い、さらに異常発熱時に充放電制御を行ったり、電池パック300の残容量の算出や補正を行ったりすることが可能である。組電池301を構成する電池に、本発明のリチウムイオン電池を適用できる。
【0077】
電池パック300の充電時には正極端子321及び負極端子322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電池パック300に接続された電子機器の使用時には、正極端子321及び負極端子322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
【0078】
組電池301は、複数の二次電池301aを直列及び/又は並列に接続してなる。図6では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、どのような接続方法でもよい。
【0079】
温度検出部318は、温度検出素子308(例えばサーミスタ)と接続されており、組電池301又は電池パック300の温度を測定して、測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301及びそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
【0080】
スイッチ制御部314は、電圧検出部311及び電流測定部313から入力された電圧及び電流をもとに、スイッチ部304の充電制御スイッチ302a及び放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧若しくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304にOFFの制御信号を送ることにより、過充電及び過放電、過電流充放電を防止する。ここで、二次電池がリチウムイオン二次電池の場合、過充電検出電圧は例えば4.20V±0.05Vと定められ、過放電検出電圧は例えば2.4V±0.1Vと定められる。
【0081】
充電制御スイッチ302a又は放電制御スイッチ303aがOFFした後は、ダイオード302b又はダイオード303bを介することによってのみ、充電又は放電が可能となる。これらの充放電スイッチは、MOSFETなどの半導体スイッチを使用することができる。この場合、MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302b及び303bとして機能する。なお、図6では+側にスイッチ部304を設けているが、-側に設けても良い。
【0082】
メモリ317には、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池特性やなどが予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310と協働して残容量を算出することができる。
【0083】
(2)電子機器
上述した本発明の実施の形態又は実施例に係る二次電池は、電子機器や電動輸送機器、蓄電装置などの機器に搭載され、電力を供給するために使用することができる。
【0084】
電子機器としては、例えばノート型パソコン、スマートフォン、タブレット端末、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、ウェアラブル端末、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、音楽プレイヤー、ヘッドホン、ゲーム機、ペースメーカー、補聴器、電動工具、テレビ、照明機器、玩具、医療機器、ロボットが挙げられる。また、後述する電動輸送機器、蓄電装置、電動工具、電動式無人航空機も、広義では電子機器に含まれ得る。
【0085】
電動輸送機器としては電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)、電動バイク、電動アシスト自転車、電動バス、電動カート、無人搬送車(AGV)、鉄道車両などが挙げられる。また、電動旅客航空機や輸送用の電動式無人航空機も含まれる。本発明に係る二次電池は、これらの駆動用電源のみならず、補助用電源、エネルギー回生用電源などとしても用いられる。
【0086】
蓄電装置としては、商業用又は家庭用の蓄電モジュールや、住宅、ビル、オフィスなどの建築物用又は発電設備用の電力貯蔵用電源などが挙げられる。
【0087】
(3)電動工具
図7を参照して、本発明が適用可能な電動工具として電動ドライバの例について概略的に説明する。電動ドライバ431には、シャフト434に回転動力を伝達するモータ433と、ユーザが操作するトリガースイッチ432が設けられている。トリガースイッチ432の操作により、シャフト434によって被対象物にねじなどが打ち込まれる。
【0088】
電動ドライバ431の把手の下部筐体内に、電池パック430及びモータ制御部435が収納されている。電池パック430としては、上述した電池パック300を使用することができる。電池パック430は、電動ドライバ431に対して内蔵されているか、又は着脱自在とされている。電池パック430は、電動ドライバ431に内蔵された状態、又は外された状態で、充電装置に装着可能である。電池パック430に含まれる電池に本発明の二次電池を適用できる。
【0089】
電池パック430及びモータ制御部435のそれぞれには、マイクロコンピュータが備えられている。電池パック430からモータ制御部435に対して電源が供給されると共に、両者のマイクロコンピュータ間で電池パック430の充放電情報が通信される。モータ制御部435は、モータ433の回転/停止、並びに回転方向を制御し、さらに、過放電時に負荷(モータ433など)への電源供給を遮断することができる。
【0090】
(4)電動車両用蓄電システム
本発明を電動車両用の蓄電システムに適用した例として、図8に、シリーズハイブリッドシステムを採用したハイブリッド車両(HV)の構成例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンを動力とする発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0091】
このハイブリッド車両600には、エンジン601、発電機602、電力駆動力変換装置603(直流モータ又は交流モータ。以下単に「モータ603」という。)、駆動輪604a、駆動輪604b、車輪605a、車輪605b、バッテリ608、車両制御装置609、各種センサ610、充電口611が搭載されている。バッテリ608に対して、上述した本発明の電池、又は本発明の電池を複数搭載した蓄電モジュールが適用され得る。二次電池の形状としては、円筒型、角型又はラミネート型である。バッテリ608に含まれる電池に、本発明の二次電池を適用できる。
【0092】
バッテリ608の電力によってモータ603が作動し、モータ603の回転力が駆動輪604a、604bに伝達される。エンジン601の回転力は発電機602に伝えられ、その回転力によって発電機602により生成された電力をバッテリ608に蓄積することが可能である。各種センサ610は、車両制御装置609を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度を制御したりする。各種センサ610には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0093】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両600が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ603に回転力として加わり、この回転力によって生成された回生電力がバッテリ608に蓄積される。また、図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置(例えば、電池の残量表示装置)を備えていても良い。バッテリ608は、ハイブリッド車両600の充電口611を介して外部の電源に接続されることで電力供給を受け、蓄電することが可能である。このようなHV車両を、プラグインハイブリッド車(PHV又はPHEV)という。
【0094】
以上では、シリーズハイブリッド車を例として説明したが、エンジンとモータを併用するパラレル方式、又は、シリーズ方式とパラレル方式を組み合わせたハイブリッド車に対しても本発明は適用可能である。さらに、エンジンを用いない駆動モータのみで走行する電気自動車(EV又はBEV)や、燃料電池車(FCV)に対しても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1・・・リチウムイオン電池,12,13・・・絶縁板,21・・・正極,22・・・負極,23・・・セパレータ,24・・・センターピン,25・・・正極リード,26・・・負極リード,41・・・絶縁層,52・・・フランジ部,53・・・端子部,54・・・電池缶の側面部,56・・・主面,57・・・主面,58・・・析出物,61・・・金属層,62・・・母材層,63・・・アルミニウム層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8