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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの下方受承具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20240116BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240116BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023049292
(22)【出願日】2023-03-27
【審査請求日】2023-03-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397052000
【氏名又は名称】株式会社栄信
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】早野 宏一
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-006179(JP,A)
【文献】特開2011-117168(JP,A)
【文献】特開平08-070132(JP,A)
【文献】特開2014-012941(JP,A)
【文献】特開平07-269076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
E04F 15/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上に配備された太陽電池モジュールにおける、フレーム内の上部に嵌め込まれた太陽電池本体の下方に設置される下方受承具であって、屋根に設置される支持金具と、該支持金具上部より上方突出状態のボルトと、下部に前記ボルトが螺入されたボルト孔が形成された下方受承体とを有し、該下方受承体は、前記支持金具上部と前記太陽電池本体下面との寸法より薄く形成すると共に、前記ボルト孔が未貫通状態で形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの下方受承具。
【請求項2】
前記支持金具と前記下方受承体との間に少なくとも1枚の調整板を介在させ、該調整板に前記ボルトの貫通通部位を形成したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュールの下方受承具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上に太陽電池モジュールを取付けるために設置される支持金具を利用した太陽電池モジュールの下方受承具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池モジュールは、方形板状の太陽電池モジュール本体を方形枠状のフレーム内の上部に嵌め込まれ、且つ太陽電池モジュール本体の下面がフレーム下面より上方に位置する形態のものが代表的であり、屋根に固定された支持金具上に載置固定することで屋根に設置されており、太陽電池モジュールには、表面への積雪による荷重が作用することとなることから、豪雪地帯では、太陽電池モジュール本体表面のガラス板の破損が生じてしまう危険性があった。
【0003】
そこで、太陽電池モジュール本体表面のガラス板の破損を防止すべく、屋根上の太陽電池モジュールと屋根との間に設けて、屋根に固定される第1部材と、太陽電池モジュール本体下面への当接部を有する第2部材とを備え、第2部材は、前記距離を調節可能に第1部材に保持され、第1部材は、複数の保持位置に第2部材を保持可能として、当接部と太陽電池モジュール本体下面までの距離を調節可能とした支持部材(例えば、特許文献1参照)が見受けられる。
【0004】
これによれば、太陽電池モジュールに積雪荷重が作用しても、支持部材の当接部が太陽電池モジュール下面を支持可能なため、積雪荷重に対する耐性の向上を図ることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6744088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術の第1部材は、調節方向に延在し相互間に第1間隔を開けた一対の第1壁を有し、第2部材は、調節方向に延在し相互間に第2間隔を開けた一対の第2壁を有して、一対の第2壁における前記調節方向の少なくとも一部が、一対の第1壁間に、前記調節方向と交差するスライド方向にスライド挿入され、一対の第1壁の対向面に前記スライド方向に延びる複数の第1レールが、一対の第2壁外面に前記スライド方向に延びて第1レールと嵌合する複数の第2レールが設けられている形態であることから、調節する度に第2部材をスライド方向にスライドさせ第1部材がら外した後に、第1部材における対応する第1レールに第2部材の第2レールにスライド挿入せねばならず、調節作業が面倒となるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記従来技術に基づく、第1部材に対する第2部材の着脱が面倒な課題に鑑み、屋根上に配備された太陽電池モジュールにおける、フレーム内の上部に嵌め込まれた太陽電池本体の下方に設置される下方受承具であって、屋根に設置される支持金具と、該支持金具上部より上方突出状態のボルトと、下部に前記ボルトが螺入されたボルト孔が形成された下方受承体とを有し、該下方受承体は、前記支持金具上部と前記太陽電池本体下面との寸法より薄く形成すると共に、前記ボルト孔が未貫通状態で形成されていることによって、下方受承体を正逆回転させることで下方受承体を上下動させるだけで、該下方受承体の上面の高さを調節可能として、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、屋根上に配備された太陽電池モジュールにおける、フレーム内の上部に嵌め込まれた太陽電池本体の下方に設置される下方受承具であって、屋根に設置される支持金具と、該支持金具上部より上方突出状態のボルトと、下部に前記ボルトが螺入されたボルト孔が形成された下方受承体とを有し、該下方受承体は、前記支持金具上部と前記太陽電池本体下面との寸法より薄く形成すると共に、前記ボルト孔が未貫通状態で形成されているので、調整作業は下方受承体を正逆回転させるだけであるため、作業容易性の向上を図ることが出来、而もボルトを有する支持金具であれば既存製品でも下方受承体を取り付けることが出来るため、太陽電池モジュール用のもの1種類で対応することが出来、状況に応じて夫々別の支持金具で対応することも出来る。
【0009】
下方受承体の下面が支持金具より離間した状態であってもその状態を維持可能であるが、振動などにより下方受承体が回転してしまう可能性があるが、前記支持金具と前記下方受承体との間に少なくとも1枚の調整板を介在させ、該調整板に前記ボルトの貫通通部位を形成しているので、この調整板を1枚或いは複数枚重ね貫通通部位にボルトを挿通させて下方受承体のボルト孔に、調整板の上面に下方受承体の下面が当接するまで螺入させることで、振動などによる下方受承体の回転を防止することが出来るため、調整位置を確実に維持することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る太陽電池モジュールの下方受承具の実施例1の正面図である。
図2】調整板の斜視図である。
図3(a)】下方受承体の正面図である。
図3(b)】図3(a)のA-A断面図である。
図4図1の下方受承具の設置状態を示す平面図である。
図5図4のB-B断面の拡大図である。
図6】調整板を使用した下方受承具の設置状態を示す一部断面正面図である。
図7(a)】野地板固定用の支持金具を使用した下方受承具の正面図である。
図7(b)】垂木固定用の支持金具を使用した下方受承具の正面図である。
図8】折板屋根用の支持金具を使用した下方受承具の正面図である。
図9】瓦棒屋根用の支持金具を使用した下方受承具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る太陽電池モジュールの下方受承具は、基本的に、屋根R上に太陽電池モジュールWを配備するために屋根Rに設置される支持金具1と、該支持金具1における上部(通常は太陽電池モジュールWの載置面2)より上方突出状態のボルト3と、下部にボルト3が螺入されたボルト孔4が形成された下方受承体5とを有し、該下方受承体5は、載置面2における太陽電池本体Wa下面との寸法Hより薄く形成すると共に、ボルト孔4が未貫通状態で形成されている。
【0012】
太陽電池モジュールWは、方形板状の太陽電池本体Waを方形枠状のフレームWb内の上部に嵌め込んで、太陽電池本体Waの下面がフレームWbの下面より上方に位置する形態のものが一般的である。
【0013】
そして、図4に示す様に、屋根R上の太陽電池モジュールWにおける太陽電池本体Waの下方所定位置に支持金具1を固定し、下方受承体5を太陽電池本体Waの下面に当接させるか少し離間させた状態とすべく、ボルト3に対し下方受承体5を回転させ該下方受承体5を上動させる。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る太陽電池モジュールの下方受承具の実施例1の正面図であり、屋根Rは図4~6に示すハゼ式折板屋根で、支持金具1はハゼ部Raを掴む形態のものであり、屋根Rの流れ方向に前後を対応させて太陽電池モジュールWを載置する台座部10を設け、該台座部10の右側縁下部に板状の右脚部11を下方連続形成し、該右脚部11の下端縁に先端が左側に指向する右爪片12を突設し、台座部10の左側縁下部に左下がりに傾斜した突片13を連続形成して成る右側つかみ部14と、該右側つかみ部14の突片13と右爪片12との間から挿入可能にして、且つ台座部10と突片13を載上合致可能な段丘部15を設け、該段丘部15は台座部10に着離自在な上段部16と突片13の先端を回動自在に受承する下段部17を設け、該下段部17の下側縁に板状の左脚部18を下方連続形成し、該左脚部18の下端縁に先端が右側に指向して右爪片12に対向する左爪片19を突設して成る左側つかみ部20とから成り、該左側つかみ部20の上段部より上方突設させたボルト3を、右側つかみ部14の台座部10に貫設した左右に長い長穴21に挿通してナット締めすることにより、左右爪片12、19間にハゼ部Raの基部を挟持可能としている。
【0015】
下方受承体5は、基本的に、円盤状の受承体本体25と、該受承体本体25の下面中央に一体形成された、ボルト孔4が形成された円筒部26とを有しており、該円筒部26の外側に円周壁27を形成すると共に、受承体本体25仮面に複数の補強リブ28、28a …を有している。
【実施例2】
【0016】
図7(a)及び図7(b)は、野地板固定用・垂木固定用の支持金具を使用した下方受承具(実施例2)の正面図であり、屋根Rはスレート葺屋根で、下方受承体5は実施例1と同一としている。
【0017】
支持金具1は、載置板30と、該載置板上面に対向配置された一対の側壁31、31a と、該側壁31、31a の上端内側に内向配置した凹溝32、32a と、該凹溝32、32a に両側端部を嵌め込み下方よりボルト3が貫通状態の基底板33とを有している。
【0018】
野地板固定用の支持金具1は、図7(a)に示す様に、載置板30における側壁31、31a からの外方突出部位にネジなどの固定具Nを屋根R側へ打ち込んで固定している。
【0019】
垂木固定用の支持金具1は、図7(b)に示す様に、載置板30における側壁31、31a 間の部位にネジなどの固定具Nを屋根R側へ打ち込んで固定している。
【実施例3】
【0020】
図8は、折板屋根用の支持金具を使用した下方受承具(実施例3)の正面図であり、下方受承体5は実施例1と同一としている。
【0021】
支持金具1は、上下方向で平行な一対の基板35、36と、上方の基板35の左右側縁部より下方へ連続形成した一対の垂下板37、37a と、下方の基板36の左右側縁部より上方へ連続形成し且つ垂下板37、37a の内側に位置した一対の立上板38、38a とを有した上側構成体39及び下側構成体40を有し、該上側構成体39及び下側構成体40を支軸41で軸着して、下側構成体40に対し上側構成体39を水平状態と直立状態に俯仰自在と成し、上側構成体39の基板35にボルト3が下方より貫通状態で配置されている。
【0022】
そして、支持金具1は、下側構成体40の基板36にネジなどの固定具Nを屋根R側へ打ち込んで固定している。
【実施例4】
【0023】
図9は、瓦棒屋根用の支持金具を使用した下方受承具(実施例4)の正面図であり、下方受承体5は実施例1と同一としている。
【0024】
支持金具1は、瓦棒Rbへの載置部45と、該載置部45の両側部に設けた、下方且つ外方へ傾斜状態の一対の掴み板46、46a と、該掴み板46、46a 及び載置部45を水平貫通するボルト47と、該ボルト47の突端部に螺嵌したナット48と、載置部45に設けたボルト3とを有している。
【0025】
そして、支持金具1は、ナット48を締め付けることで、一対の掴み板46、46a により屋根R側の瓦棒Rbを挟みつけて固定している。
【0026】
図6に示す様に、支持金具1と下方受承体5との間に少なくとも1枚の調整板50を介在させ、該調整板50は、図2に示す様に、ボルト3の貫通通部位51を形成し、該貫通通部位51は側辺で開口するスリットであるのが好ましい。
【0027】
そして、調整板50を組み込む際には、下方受承体5を上動させ支持金具1との間に隙間を開け、この隙間に所定枚数の調整板50を、貫通通部位51の開口側からボルト3を差し込む様にスライドさせた後、下方受承体5を調整板50に当接させるまで下動させて、下方受承体5を所定位置に固定する。
【符号の説明】
【0028】
1 支持金具
3 ボルト
4 ボルト孔
5 下方受承体
50 調整板
51 貫通通部位
H 寸法
R 屋根
W 太陽電池モジュール
Wa 太陽電池本体
【要約】
【課題】屋根側へ固定する第1部材に対する、太陽電池モジュールを受承する第2部材の着脱が面倒となる。
【解決手段】屋根R上に太陽電池モジュールWを配備するために屋根Rに設置される支持金具1と、該支持金具1における上部より上方突出状態のボルト3と、下部にボルト3が螺入されたボルト孔4が形成された下方受承体5とを有し、該下方支持体5は、支持金具1における上部と太陽電池モジュールWにおける太陽電池本体Wa下面との寸法Hより薄く形成することにより、下方受承体5を正逆回転させるだけで下方受承体5を上下動させて、該下方受承体5の上面の高さを容易に調節可能とする。
【選択図】図5
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9