(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240116BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240116BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H7/02
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2023502311
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006082
(87)【国際公開番号】W WO2022181404
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2021027175
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 陽志
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-132372(JP,A)
【文献】特開2016-046605(JP,A)
【文献】特開2017-222455(JP,A)
【文献】特開2003-223093(JP,A)
【文献】国際公開第2020/149057(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
B65H 7/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路に沿って搬送し、さらに前記シートを前記搬送路の排出口から排出する搬送機構と、
前記排出口に対し前記シートの排出方向の下流側の下方に配置され、前記排出口から排出される前記シートを受ける排出トレイと、
前記排出トレイの上方または前記排出口の上方に配置され、前記排出トレイ上の前記シートに対し下方へ向けて送風する送風機と、
前記シートが前記排出口から排出されている途中の期間を含む第1期間において前記送風機を予め定められた基準出力よりも低い出力で動作させる、または、前記送風機を停止させ、前記第1期間の後の第2期間において前記送風機を前記基準出力で動作させる変動送風制御を実行する制御部と、
前記排出トレイに設けられ、前記シートの自重を受けて変位する変位部を有し、前記変位部の変位を検出するシート検出部と、
前記送風機が前記基準出力で動作しているときの前記シート検出部の検出状態によって前記排出トレイ上の前記シートの有無を判定する判定部と、を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
1つのジョブに対応する1枚または複数枚の前記シートの搬送が終了したときに前記判定部により前記排出トレイ上に前記シートが無いと判定された場合に、予め定められた第1不良通知処理を実行する第1通知部をさらに備える、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
1つのジョブに対応する複数枚の前記シートの搬送が実行されている途中における前記判定部の判定結果が予め定められた不良条件を満たす場合に、予め定められた第2不良通知処理を実行する第2通知部をさらに備える、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記判定部の判定結果に応じて予め定められた警告通知処理を実行する第3通知部をさらに備え、
前記制御部は、新たなジョブに対応する1枚または複数枚の前記シートの搬送が開始される前に、前記送風機を前記基準出力で動作させる開始前送風制御を実行し、
前記開始前送風制御が実行されているときに前記判定部により前記排出トレイ上に前記シートが有ると判定された場合に、前記制御部が前記新たなジョブに対応する前記シートの搬送を制限するとともに、前記第3通知部が前記警告通知処理を実行する、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
シートを搬送路に沿って搬送し、さらに前記シートを前記搬送路の排出口から排出する搬送機構と、
前記排出口に対し前記シートの排出方向の下流側の下方に配置され、前記排出口から排出される前記シートを受ける排出トレイと、
前記排出トレイの上方または前記排出口の上方に配置され、前記排出トレイ上の前記シートに対し下方へ向けて送風する送風機と、
前記排出トレイの上面に形成された開口と前記送風機の給気口とを連通させる通風ダクト
と、を備える
、シート搬送装置。
【請求項6】
請求項1に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートから画像を読み取り、読取画像のデータを出力する読取部と、を備える画像読取装置。
【請求項7】
請求項1に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成するプリント部と、を備える画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートから画像を読み取り、読取画像のデータを出力する読取部と、を備える画像読取装置。
【請求項9】
請求項5に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成するプリント部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出トレイ上のシートの積載不良を回避できるシート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置または画像形成装置は、シート搬送装置を備える。前記シート搬送装置は、シートを搬送路に沿って搬送し、さらに前記シートを前記搬送路から排出トレイ上へ排出する。前記画像読取装置における前記シートは画像が形成された原稿であり、前記画像形成装置における前記シートは画像形成媒体としての用紙である。
【0003】
また、前記画像形成装置が、定着装置を通過した後に前記シート搬送装置により搬送される前記シートを冷却する送風機を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記シート搬送装置により搬送される前記シートが、前記排出口から前記排出トレイ上へ落下する途中で周囲の部材に引っ掛かかる場合がある。この場合、前記排出トレイ上で前記シートの積載不良が生じる。
【0006】
前記シートの積載不良が生じると、前記シートが前記排出トレイから脱落する、または、前記排出トレイに設けられたシート検出部が前記シートを検出できない、などの不都合が生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、排出トレイ上のシートの積載不良を回避できるシート搬送装置およびそれを備える画像読取装置または画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係るシート搬送装置は、搬送機構と、排出トレイと、送風機と、を備える。前記搬送機構は、シートを搬送路に沿って搬送し、さらに前記シートを前記搬送路の排出口から排出する。前記排出トレイは、前記排出口に対し前記シートの排出方向の下流側の下方に配置され、前記排出口から排出される前記シートを受ける。前記送風機は、前記排出トレイの上方または前記排出口の上方に配置され、前記排出トレイ上の前記シートに対し下方へ向けて送風する。
【0009】
本発明の他の局面に係る画像読取装置は、前記シート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送されるシートから画像を読み取り、読取画像のデータを出力する読取部と、を備える。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記シート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成するプリント部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排出トレイ上のシートの積載不良を回避できるシート搬送装置およびそれを備える画像読取装置または画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るシート搬送装置の一例である原稿搬送装置を備える画像処理装置の構成図である。
【
図2】
図2は、画像処理装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る原稿搬送装置における原稿排出トレイの周辺の構成図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る原稿搬送装置において原稿が排出ローラー対によって排出されている途中の様子を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る原稿搬送装置において原稿排出トレイ上への原稿の適切な排出が促進される様子を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るシート搬送装置の一例である用紙搬送装置を備える画像処理装置の構成図である。
【
図7】
図7は、従来の原稿搬送装置において原稿が原稿排出トレイの周囲の部材に引っ掛かる様子を示す図である。
【
図8】
図8は、従来の原稿搬送装置において湾曲した原稿が原稿排出トレイ上へ排出される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明の第1実施形態に係るシート搬送装置の一例である原稿搬送装置5は、画像処理装置10に含まれている(
図1参照)。
【0015】
[画像処理装置10の構成]
図1に示されるように、画像処理装置10は、原稿9から画像を読み取る画像読取装置1と、用紙90に画像を形成する画像形成装置2とを備える。原稿9および用紙90は、それぞれシートの一例である。
【0016】
さらに、画像処理装置10は、操作装置801、表示装置802および制御装置8を備える。操作装置801、表示装置802および制御装置8は、画像読取装置1の一部であるとともに、画像形成装置2の一部でもある。
【0017】
操作装置801は、人の操作を受け付ける装置であり、例えば、操作ボタンおよびタッチパネルを含む。表示装置802は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示ユニットなどのパネル表示装置を含む。
【0018】
制御装置8は、各種のデータ処理、画像読取装置1の制御および画像形成装置2の制御を実行する。
【0019】
画像読取装置1は、原稿搬送装置5および読取部6を備える。原稿搬送装置5は、原稿供給装置50、複数組の搬送ローラー対51および原稿排出トレイ56を備える。
【0020】
原稿供給装置50は、原稿供給トレイ52に積載された原稿9を1枚ずつ原稿搬送路500へ送り出す。原稿9は、画像の読み取りの対象となるシートである。
【0021】
原稿供給装置50は、原稿供給トレイ52、原稿供給ローラー54および原稿捌き部55を備える。原稿供給トレイ52は、原稿9が積載される部分である。
【0022】
原稿供給ローラー54は、原稿供給トレイ52に積載された原稿9のうちの最上位の1枚である上位原稿の上面へ付勢される。原稿供給ローラー54は、回転駆動されることにより前記上位原稿を原稿供給トレイ52上から送り出す。
【0023】
原稿捌き部55は、原稿供給ローラー54によって複数枚の原稿9が送り出されてしまった場合に、前記上位原稿のみを原稿搬送路500へ送り出す。原稿捌き部55は、前記上位原稿に対して下側に重なる原稿9を滞留させる。
【0024】
複数組の搬送ローラー対51は、原稿供給装置50から供給される原稿9を原稿搬送路500に沿って搬送し、さらに原稿9を原稿搬送路500の排出口500aから原稿排出トレイ56上へ排出する。複数組の搬送ローラー対51は、搬送機構の一例である。
【0025】
複数組の搬送ローラー対51のうちの1組は、原稿9を排出口500aから原稿排出トレイ56へ排出する排出ローラー対51aである。原稿搬送路500は、読取位置P1を経由する経路に沿って形成されている。
【0026】
原稿排出トレイ56は、原稿搬送路500の排出口500aに対し原稿9の排出方向の下流側の下方に配置されている。原稿排出トレイ56は、排出口500aから排出される原稿9を受ける。
【0027】
図1,3に示されるように、原稿搬送装置5は、原稿排出トレイ56に設けられた原稿検出部57をさらに備える。原稿検出部57は、揺動部材571および検出センサー572を備える(
図3参照)。
【0028】
揺動部材571は、支軸571aによって揺動可能に支持されている。揺動部材571は、原稿排出トレイ56の上面から上方へ突出した接触部571bと、原稿9と干渉しない被検出部571cとを有する。
【0029】
接触部571bは、原稿9の自重を受けることにより、予め定められた突出位置から下方の下降位置へ変位する。被検出部571cは、接触部571bの前記突出位置から前記下降位置への変位に連動して予め定められた退避位置から検出位置へ変位する。
【0030】
図3,4は、接触部571bが前記突出位置に位置し、被検出部571cが前記退避位置に位置する状態を示す。
図5は、接触部571bが前記下降位置に位置し、被検出部571cが前記検出位置に位置する状態を示す。
【0031】
検出センサー572は、接触部571bの前記下降位置に対応する前記検出位置において被検出部571cを検出する。これにより、検出センサー572は、原稿9が原稿排出トレイ56上に存在することを検出する。
【0032】
例えば、透過型のフォトセンサー、または、反射型のフォトセンサーが、検出センサー572として採用される。また、接触式のリミットスイッチが、検出センサー572として採用されてもよい。
【0033】
なお、原稿検出部57は、シート検出部の一例である。揺動部材571は、シートの自重を受けて変位する変位部の一例である。また、検出センサー572は、前記変位部の変位を検出するセンサーの一例である。
【0034】
読取部6は、原稿搬送路500に沿って搬送される原稿9に対する画像読取処理を実行する。前記画像読取処理は、原稿9から画像を読み取り、読取画像のデータを出力する処理である。読取部6は、イメージセンサーユニット61、AFE(Analog Front End)62およびコンタクトガラス63を備える。
【0035】
イメージセンサーユニット61は、発光部61a、レンズ61bおよびイメージセンサー61cを備える。
【0036】
発光部61aは、原稿9に光を照射する。レンズ61bは、原稿9に反射した光をイメージセンサー61cへ導く。イメージセンサー61cは、原稿9に反射した光の強度を検出し、検出信号を画像信号La1として出力するラインセンサーである。
【0037】
AFE62は、画像信号La1をデジタルの画像データである読取画像データLd1へ変換する。
図1に示される例において、イメージセンサーユニット61は、発光部61a、レンズ61bおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサー61cが一体化されたCIS(Contact Image Sensor)である。
【0038】
コンタクトガラス63は、原稿搬送路500の読取位置P1に対向して配置された透明の部材である。イメージセンサーユニット61がコンタクトガラス63に対向する位置に存在する状況下で、発光部61aは、読取位置P1を通過する原稿9に対し、コンタクトガラス63を通じて光を照射する。
【0039】
本実施形態において、読取部6は、プラテンガラス64およびユニット移動機構65をさらに備える。プラテンガラス64は、コンタクトガラス63の隣に配置されている。プラテンガラス64は、原稿9が載置される透明な原稿台である。
【0040】
ユニット移動機構65は、イメージセンサーユニット61をコンタクトガラス63に対向する位置からプラテンガラス64に対向する位置に亘る範囲で移動させる。
【0041】
原稿9が原稿搬送装置5によって搬送される場合に、ユニット移動機構65は、イメージセンサーユニット61をコンタクトガラス63に対向する位置に保持する。これにより、発光部61aの光が読取位置P1を通過する原稿9に走査されつつ、イメージセンサー61cが原稿9の画像を読み取る。
【0042】
即ち、原稿搬送装置5が動作するときの読取部6は、原稿搬送装置5によって供給される原稿9から画像を読み取り、読取画像データLd1を出力する。
【0043】
一方、原稿9がプラテンガラス64上に載置される場合に、ユニット移動機構65は、イメージセンサーユニット61をプラテンガラス64に沿って移動させる。これにより、発光部61aの光がプラテンガラス64上の原稿9に走査されつつ、イメージセンサー61cが原稿9の画像を読み取る。
【0044】
即ち、原稿搬送装置5が動作しないときの読取部6は、プラテンガラス64上に載置された原稿9に対する前記画像読取処理を実行する。
【0045】
なお、イメージセンサー61cがCCD(Charge Coupled Device)タイプのセンサーであってもよい。この場合、ユニット移動機構65は、発光部61aおよびレンズ61bを移動させ、CCDタイプのイメージセンサー61cは、予め定められた位置に固定される。
【0046】
原稿搬送装置5は、コンタクトガラス63およびプラテンガラス64の上面を開閉可能に支持された原稿カバー100に組み込まれている。原稿搬送装置5は、原稿カバー100がコンタクトガラス63上を覆う閉状態であるときに動作可能である。
【0047】
画像形成装置2は、用紙90に画像を形成するプリント処理を実行する。例えば、画像形成装置2は、画像読取装置1により得られる読取画像データLd1に基づく前記プリント処理を実行可能である。用紙90はシートの一例である。
【0048】
画像形成装置2は、用紙搬送装置3およびプリント部4を備える。用紙搬送装置3は、用紙供給装置30、複数組の搬送ローラー対31および用紙排出トレイ36を備える。
【0049】
用紙供給装置30は、用紙供給トレイ32に積載された用紙90を1枚ずつ用紙搬送路300へ送り出す。用紙90は、画像形成媒体となるシートである。
【0050】
用紙供給装置30は、用紙供給トレイ32、用紙供給ローラー34および用紙捌き部35を備える。用紙供給トレイ32は、用紙90が積載される部分である。
【0051】
用紙供給ローラー34は、用紙供給トレイ32に積載された用紙90のうちの最上位の1枚である上位用紙の上面へ付勢される。用紙供給ローラー34は、回転駆動されることにより前記上位用紙を用紙供給トレイ32上から送り出す。
【0052】
用紙捌き部35は、用紙供給ローラー34によって複数枚の用紙90が送り出されてしまった場合に、前記上位用紙のみを用紙搬送路300へ送り出す。用紙捌き部35は、前記上位用紙に対して下側に重なる用紙90を滞留させる。
【0053】
複数組の搬送ローラー対31は、用紙供給装置30から供給される用紙90を用紙搬送路300に沿って搬送し、さらに用紙90を用紙搬送路300の排出口300aから用紙排出トレイ36上へ排出する。複数組の搬送ローラー対31は、搬送機構の一例である。
【0054】
複数組の搬送ローラー対31のうちの1組は、用紙90を排出口300aから用紙排出トレイ36上へ排出する排出ローラー対31aである。用紙搬送路300は、画像形成位置P2を経由する経路に沿って形成されている。
【0055】
用紙搬送装置3は、用紙搬送路300における予め定められたレジスト位置を通過する用紙90を検出する通過用紙センサー39を備える。
【0056】
用紙排出トレイ36は、用紙搬送路300の排出口300aに対し用紙90の排出方向の下流側の下方に配置されている。用紙排出トレイ36は、排出口300aから排出される用紙90を受ける。
【0057】
プリント部4は、用紙搬送装置3によって搬送される用紙90に対して前記プリント処理を実行する。その際、プリント部4は、画像形成位置P2を通過する用紙90に対して画像を形成する。
【0058】
図1に示される例では、プリント部4は、電子写真方式で前記プリント処理を実行する装置である。なお、プリント部4がインクジェット方式で前記プリント処理を実行する装置であってもよい。
【0059】
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。さらに、制御装置8は、他装置と通信可能な通信装置85も備える。
【0060】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0061】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0062】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0063】
通信装置85は、画像処理装置10に各種のジョブを送信するホスト装置などの他装置との通信を実行する。CPU81は、通信装置85を通じて他装置と通信する。
【0064】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、用紙搬送制御部8b、プリント制御部8c、原稿搬送制御部8dおよび読取制御部8eなどを含む。
【0065】
主制御部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、表示装置802の制御などを実行する。
【0066】
用紙搬送制御部8bは、用紙搬送装置3を制御することにより、用紙90の搬送を制御する。用紙搬送制御部8bは、通過用紙センサー39の検出結果に応じて用紙90を画像形成位置P2へ搬送するタイミングを制御する。
【0067】
プリント制御部8cは、用紙搬送装置3による用紙90の搬送に同期して、プリント部4に前記プリント処理を実行させる。
【0068】
原稿搬送制御部8dは、原稿搬送装置5を制御することにより、原稿9の搬送を制御する。読取制御部8eは、読取部6を制御することにより、読取部6に前記画像読取処理を実行させる。
【0069】
ところで、原稿搬送装置5により搬送される原稿9が、原稿搬送路500の排出口500aから原稿排出トレイ56上へ落下する途中で周囲の部材に引っ掛かかる場合がある。この場合、原稿排出トレイ56上で原稿9の積載不良が生じる。
【0070】
図7は、従来の原稿搬送装置5Xにおいて、原稿9が原稿排出トレイ56の周囲の部材に引っ掛かる様子を示す。
図7に示される原稿搬送装置5Xは、原稿搬送装置5と同様に、原稿供給装置50、複数組の搬送ローラー対51、原稿排出トレイ56および原稿検出部57を備える。
【0071】
原稿9の積載不良が生じると、原稿9が原稿排出トレイ56から脱落する、または、原稿排出トレイ56に設けられた原稿検出部57が原稿9を検出できない、などの不都合が生じ得る(
図7参照)。
【0072】
また、
図8に示されるように、従来の原稿搬送装置5Xにおいて、湾曲した原稿9が原稿排出トレイ56に排出された場合にも、原稿検出部57が原稿9を検出できないという不都合が生じ得る。
【0073】
一方、原稿搬送装置5は、原稿排出トレイ56上の原稿9の積載不良を回避するための構成を備える。以下、その構成について説明する。
【0074】
原稿搬送装置5は、送風機58をさらに備える(
図1,3参照)。送風機58は、原稿排出トレイ56の上方に配置されている。
図1,3に示される例では、送風機58は、原稿供給トレイ52の下面に取り付けられている。
【0075】
本実施形態において、送風機58および揺動部材571の接触部571bは、相互に対向する状態で配置されている。なお、送風機58が、原稿搬送路500の排出口500aの上方に配置されることも考えられる。
【0076】
送風機58は、原稿排出トレイ56上の原稿9に対し下方へ向けて送風する。送風機58の風力は、原稿9を原稿排出トレイ56へ押し付ける力として作用する。これにより、原稿9が原稿排出トレイ56上へ落下する途中で周囲の部材に引っ掛かったままになるという積載不良が回避される(
図5,7参照)。
【0077】
また、湾曲した原稿9が原稿排出トレイ56上に排出された場合でも、送風機58の作用により、原稿9が原稿検出部57によって検出されないという検出不良も回避される。
【0078】
一方、
図4に示されるように、原稿9が原稿搬送路500の排出口500aから排出されている途中の期間においては、送風機58の風力が原稿9の円滑な排出を阻害するおそれがある。
【0079】
そこで、原稿搬送制御部8dは、送風機58に対して第1期間制御および第2期間制御を含む変動送風制御を実行する。以下の説明において、送風機58の予め定められた2段階の出力を基準出力および待機出力と称する。前記待機出力は、前記基準出力よりも低い。
【0080】
前記第1期間制御は、原稿9が排出口500aから排出されている途中の期間を含む第1期間において送風機58を前記待機出力で動作させる制御である。前記第2期間制御は、前記第1期間の後の第2期間において送風機58を前記基準出力で動作させる制御である。
【0081】
本実施形態において、原稿搬送装置5は、原稿搬送路500における予め定められた位置を通過する原稿9を検出する通過原稿センサー59を備える(
図1参照)。
【0082】
原稿搬送制御部8dは、通過原稿センサー59の検出結果に応じて前記第1期間を判定する。
【0083】
例えば、原稿搬送制御部8dは、通過原稿センサー59が原稿9を検出した時点から予め定められた時間が経過した時点を前記第1期間の始点と判定する。
【0084】
さらに、原稿搬送制御部8dは、通過原稿センサー59が原稿9を検出しない状態へ変化した時点から予め定められた時間が経過した時点を前記第1期間の終点と判定する。例えば、前記第2期間は、前記第1期間の終点から予め定められた時間が経過するまでの期間である。前記第2期間が、前記第1期間の終点から次の前記第1期間の始点までの期間であってもよい。
【0085】
図4は、前記第1期間制御が実行されている状態を示し、
図5は、前記第2期間制御が実行されている状態を示す。前記変動送風制御が実行されることにより、送風機58の風力が原稿9の円滑な排出を阻害することは回避される。
【0086】
また、主制御部8aは、送風機58が前記基準出力で動作しているときの原稿検出部57の検出状態によって原稿排出トレイ56上の原稿9の有無を判定する排出判定処理を実行する。前記排出判定処理を実行する主制御部8aは判定部の一例である。
【0087】
なお、原稿搬送制御部8dは、前記第1期間制御において、送風機58を停止させてもよい。
【0088】
本実施形態において、原稿搬送装置5は、原稿供給トレイ52に設けられた供給原稿検出部53をさらに備える(
図1,3参照)。供給原稿検出部53は、原稿供給トレイ52上に載置された原稿9を検出する。
【0089】
例えば、供給原稿検出部53は、原稿排出トレイ56に設けられた原稿検出部57と同様の構成を備える。
【0090】
原稿搬送制御部8dは、搬送開始時点から搬送終了時点までの期間に行われる画像読取処理を1つの画像読取ジョブであると判定する。前記搬送開始時点は、供給原稿検出部53によって原稿9が検出されている状況下で原稿9の搬送が開始される時点である。前記搬送終了時点は、供給原稿検出部53によって原稿9が検出されなくなったときに搬送されている原稿9の搬送が終了する時点である。
【0091】
1つの前記画像読取ジョブにおいて、1枚または複数枚の原稿9が原稿搬送装置5によって搬送される。
【0092】
また、主制御部8aは、予め定められた第1不良条件が成立する場合に予め定められた第1不良通知処理を実行する。前記第1不良条件に基づく前記第1不良通知処理を実行する主制御部8aは、第1通知部の一例である。
【0093】
前記第1不良条件は、1つの前記画像読取ジョブに対応する1枚または複数枚の原稿9の搬送が終了したときに主制御部8aにより原稿排出トレイ56上に原稿9が無いと判定されるという条件である。
【0094】
例えば、前記第1通知処理は、原稿9の搬送不良が生じている可能性がある旨の通知を表示装置802または前記画像読取ジョブに対応付けられた前記ホスト装置の表示部へ表示させる処理である。
【0095】
さらに、主制御部8aは、予め定められた第2不良条件が成立する場合に予め定められた第2不良通知処理を実行する。前記第2不良条件に基づく前記第2不良通知処理を実行する主制御部8aは、第2通知部の一例である。
【0096】
前記第2不良条件は、1つの前記画像読取ジョブに対応する複数枚の原稿9の搬送が実行されている途中における主制御部8aによる原稿排出トレイ56上の原稿9の有無の判定結果に関する条件である。
【0097】
例えば、前記第2不良条件は、複数枚の原稿9の搬送が実行されている途中において、予め定められた枚数の原稿9の排出処理について連続して原稿排出トレイ56上の原稿9が無いと判定される、という条件である。
【0098】
前記第2通知処理は、原稿9の搬送不良が生じている可能性がある旨の通知を表示装置802または前記画像読取ジョブに対応付けられた前記ホスト装置の表示部へ表示させる処理である。
【0099】
また、原稿搬送制御部8dは、新たな前記画像読取ジョブに対応する1枚または複数枚の原稿9の搬送が開始される前に、送風機58を一時的に前記基準出力で動作させる開始前送風制御を実行する。
【0100】
さらに、予め定められた警告条件が成立する場合に、原稿搬送制御部8dが原稿搬送制限処理を実行するとともに、主制御部8aが予め定められた警告通知処理を実行する。
【0101】
前記警告条件は、主制御部8aによる原稿排出トレイ56上の原稿9の有無の判定結果に関する条件である。具体的には、前記警告条件は、前記開始前送風制御が実行されているときに主制御部8aにより原稿排出トレイ56上に原稿9が有ると判定される、という条件である。
【0102】
前記原稿搬送制限処理は、新たな前記画像読取ジョブに対応する原稿9の搬送を制限する処理である。原稿搬送制御部8dは、予め定められた解除条件が成立するまで新たな前記画像読取ジョブに対応する原稿9の搬送を禁止する。
【0103】
例えば、前記解除条件は、前記警告条件が成立しなくなったという条件、または、操作装置801に予め定められた解除操作が行われたという条件などである。
【0104】
前記警告処理は、原稿排出トレイ56に残る原稿9が取り除かれなければ新たな前記画像読取ジョブの実行が制限される旨の通知を所定の表示部へ表示させる処理である。前記警告条件に基づく前記警告処理を実行する主制御部8aは、第3通知部の一例である。
【0105】
前記所定の表示部は、画像処理装置10の表示装置802、または、前回の前記画像読取ジョブおよび新たな前記画像読取ジョブに対応付けられた前記ホスト装置の表示部である。
【0106】
以上に示されるように、主制御部8aは、送風機58が前記基準出力で動作しているときに原稿排出トレイ56上の原稿9の有無を判定する。さらに、原稿搬送制御部8dは、その判定の結果に基づいて各種の通知処理を実行する。
【0107】
従って、原稿9の引っ掛かり、または、湾曲した原稿9などに起因する原稿排出トレイ56上の原稿9の検出漏れ、および、通知処理または警告処理の漏れが回避される。
【0108】
また、
図3に示される例では、空気の入り口である流入開口56aが原稿排出トレイ56の上面に形成されている。この場合、原稿搬送装置5は、原稿排出トレイ56の上面に形成された流入開口56aと送風機58の給気口58aとを連通させる通風ダクト580を備える。
【0109】
通風ダクト580の作用により、送風機58の風力は、原稿9を下方から吸引する力、および、原稿9を上方から押さえる力として作用する。これにより、送風機58の出力は、原稿9を原稿排出トレイ56に沿わせる力として、より効率的に利用される。
【0110】
[第2実施形態]
次に、
図6を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るシート搬送装置の一例である用紙搬送装置3A、および、その用紙搬送装置3Aを備える画像処理装置10Aについて説明する。
【0111】
画像処理装置10Aの用紙搬送装置3Aは、画像処理装置10の用紙搬送装置3に用紙検出部37および送風機38が追加された構成を備える。
【0112】
用紙搬送装置3Aにおける用紙排出トレイ36、用紙検出部37および送風機38は、原稿搬送装置5における原稿排出トレイ56、原稿検出部57および送風機58に対応する構成を備えている。
【0113】
送風機38は、用紙排出トレイ36の上方に配置されている。なお、送風機38が、用紙搬送路300の排出口300aの上方に配置されることも考えられる。
【0114】
図6に示されるように、用紙検出部37は、用紙排出トレイ36に設けられている。用紙検出部37は、原稿検出部57と同様に揺動部材371および検出センサー372を備える。揺動部材371および検出センサー372は、原稿検出部57における揺動部材571および検出センサー572と同様の構成を有する。
【0115】
本実施形態において、送風機38および揺動部材371における用紙排出トレイ36の上面から突出した接触部は、相互に対向する状態で配置されている。
【0116】
また、本実施形態において、主制御部8aは、用紙搬送装置3Aについても前記排出判定処理を実行する。即ち、主制御部8aは、送風機38が前記基準出力で動作しているときの用紙検出部37の検出状態によって用紙排出トレイ36上の用紙90の有無を判定する。
【0117】
さらに、用紙搬送制御部8bは、原稿搬送制御部8dと同様に、用紙搬送装置3Aの送風機38に対する前記変動送風制御を実行する。送風機38に対する前記変動送風制御において、前記第1期間は、用紙90が用紙搬送路300の排出口300aから排出されている途中の期間を含む。
【0118】
用紙搬送制御部8bは、通過用紙センサー39の検出結果に応じて送風機38に対応する前記第1期間を判定する。
【0119】
例えば、用紙搬送制御部8bは、通過用紙センサー39が用紙90を検出した時点から予め定められた時間が経過した時点を送風機38に対応する前記第1期間の始点と判定する。
【0120】
さらに、用紙搬送制御部8bは、通過用紙センサー39が用紙90を検出しない状態へ変化した時点から予め定められた時間が経過した時点を送風機38に対応する前記第1期間の終点と判定する。例えば、前記第2期間は、前記第1期間の終点から予め定められた時間が経過するまでの期間である。前記第2期間が、前記第1期間の終点から次の前記第1期間の始点までの期間であってもよい。
【0121】
さらに、用紙搬送制御部8bは、原稿搬送制御部8dと同様に、用紙搬送装置3Aの送風機38に対する前記開始前送風制御を実行する。
【0122】
そして、主制御部8aは、用紙搬送装置3Aについても原稿搬送装置5と同様に、前記第1不良条件に基づく前記第1不良通知処理、前記第2不良条件に基づく前記第2不良通知処理、および前記警告条件に基づく前記警告処理を実行する。
【0123】
また、用紙搬送制御部8bは、原稿搬送制御部8dの前記原稿搬送制限処理と同様に、用紙搬送装置3Aについての前記警告条件が成立する場合に、新たなジョブに対応する用紙90の搬送を制限する。
【0124】
用紙搬送制御部8bは、前記ホスト装置から通信装置85を通じて得られる1つのプリントジョブ、または、前記1つの画像読取ジョブに対応する1つのコピージョブを用紙搬送装置3Aに関する1つのジョブであると判定する。
【0125】
また、用紙搬送装置3Aが、用紙排出トレイ36の上面に形成された流入開口と送風機38の給気口とを連通させる通風ダクトを備えていてもよい(不図示)。
【0126】
用紙搬送装置3Aによる用紙90の排出においても、原稿搬送装置5による原稿9の排出において得られる効果が同様に得られる。