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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/27 20060101AFI20240116BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20240116BHJP
   B01D 29/13 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B01D23/04
B01D29/10 501Z
B01D29/10 510A
B01D29/10 530A
B01D29/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019192093
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021065830
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】516101329
【氏名又は名称】ICN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(73)【特許権者】
【識別番号】000142115
【氏名又は名称】株式会社協豊製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】石原 孝行
(72)【発明者】
【氏名】福岡 充
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-174434(JP,A)
【文献】特開2013-103150(JP,A)
【文献】特開2005-144287(JP,A)
【文献】特開昭54-055869(JP,A)
【文献】特開2003-154213(JP,A)
【文献】中国実用新案第208911566(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D27/00-29/96
B01D35/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底壁および周壁を有する缶体の前記底壁にドレン孔を形成し、前記底壁上面に空気層を存在させるために樹脂製の網体を載置し、前記缶体の前記周壁の内周面を樹脂製の網体により被覆し、前記底壁上面および周壁内周面の前記両網体の内側に織物からなり伸縮可能なフィルタ本体を装着し、前記フィルタ本体内に濾過液を供給するとともに、前記底壁のドレン孔から自由落下させて濾過を行う濾過装置であって、前記底壁上には、中央開口を有し中央側が低位となる漏斗部材が敷設されていることを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
少なくとも底壁および周壁を有する缶体の前記底壁にドレン孔を形成し、前記底壁上面に空気層を存在させるために樹脂製の網体を載置し、前記缶体の前記周壁の内周面を樹脂製の網体により被覆し、前記底壁上面および周壁内周面の前記両網体の内側に織物からなり伸縮可能なフィルタ本体を装着し、前記フィルタ本体内に濾過液を供給するとともに、前記底壁のドレン孔に吸引ポンプを装着し、缶体内部を負圧にして濾過を行う濾過装置であって、前記底壁上には、中央開口を有し中央側が低位となる漏斗部材が敷設されていることを特徴とする濾過装置。
【請求項3】
前記缶体の上部開口には、前記フィルタ本体の上端部が前記周壁上縁に沿って折曲されており、このフィルタ本体の折曲部を前記周壁の内外から弾性的に狭持する蓋体が装着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記缶体の周壁は、上端が下端より拡開していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記缶体の蓋体を缶体に着脱可能に固定する蓋体の留め具が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記網体は、ポリプロピレン製ワイヤを変形させて形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に混入している固体を濾過するのに好適な濾過装置に係り、特にクーラントに混入しているスラッジを除去するのに好適な濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からクーラント中のスラッジを除去するためのさまざまな種類の濾過装置がある。これらのうち、代表的なものとして、バッグフィルタ、サイクロンフィルタ、アルポンフィルタ、キューロフィルタなどの濾過装置が知られている。
【0003】
このうち、バッグフィルタは、二次濾過専用の加圧方式の濾過装置である。同様に加圧方式で濾過圧が高くポンプエネルギも高いサイクロンフィルタがある。また、アルポンフィルタは、二次濾過専用の垂れ流し方式の解放型濾過装置である。さらに、キューロフィルタは、二次濾過専用の真空吸引方式の濾過装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したアルポンフィルタは、ドレン型フィルタとして使用されているが、構造が複雑でコストが高い。また、キューロフィルタは、バキューム式として使用されているが、構造が複雑でコストも高い。さらに、バッグフィルタには、セラミックフィルタ、プリーツ状の紙フィルタ、金属メッシュフィルタなどがあるが、表面が目詰まりを起こしやすく、交換時に濾過できるスラッジ量は少量に過ぎない。また、サイクロンフィルタは、エネルギ費が高く、しかも絶対フィルタではないため、全体の装置コストも非常に高くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決するために、本発明は、簡単な構造として安価に製造でき、効率よくクーラントのような混ぜ物を除去する濾過を行うことのできる濾過装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の濾過装置は、少なくとも底壁および周壁を有する缶体の前記底壁にドレン孔を形成し、前記底壁上面に空気層を存在させるために樹脂製の網体を載置し、前記缶体の前記周壁の内周面を樹脂製の網体により被覆し、前記底壁上面および周壁内周面の前記両網体の内側に織物からなり伸縮可能なフィルタ本体を装着し、前記フィルタ本体内に濾過液を供給するとともに、前記底壁のドレン孔から自由落下させて濾過を行う濾過装置であって、前記底壁上には、中央開口を有し中央側が低位となる漏斗部材が敷設されていることを特徴としている。そして、このような構成を採用したことにより、上部の蓋体に濾過液の吸入孔を形成して、濾過液を供給する配管等を接続して、配管等から濾過液を缶体内のフィルタ本体に導入して濾過を行う。このようにフィルタ本体が濾過を続けると、フィルタ本体の下部に濾過により生じた混ぜ物が堆積し、その重量によりフィルタ本体が次第に伸長し,部分的な目詰まりを生じにくくして、良好な状態で継続的に濾過を行うことができ、しかも、吸引ポンプを使用しない簡単な構成で、安価に製造することができる。また、前記底壁上には、中央開口を有し中央側が低位となる漏斗部材が敷設されているので、流体の流れが円滑に行われることになる。
【0007】
本発明の他の過装置は、少なくとも底壁および周壁を有する缶体の前記底壁にドレン孔を形成し、前記底壁上面に空気層を存在させるために樹脂製の網体を載置し、前記缶体の前記周壁の内周面を樹脂製の網体により被覆し、前記底壁上面および周壁内周面の前記両網体の内側に織物からなり伸縮可能なフィルタ本体を装着し、前記フィルタ本体内に濾過液を供給するとともに、前記底壁のドレン孔に吸引ポンプを装着し、缶体内部を負圧にして濾過を行う濾過装置であって、前記底壁上には、中央開口を有し中央側が低位となる漏斗部材が敷設されていることを特徴としている。そして、このような構成を採用したことにより、フィルタ本体が濾過を続けると、フィルタ本体の下部に濾過により生じた混ぜ物が堆積し、その重量によりフィルタ本体が次第に伸長し,部分的な目詰まりを生じにくくして、さらに、フィルタ本体の底部から順次堆積したスラッジのような混ぜ物そのものも精密濾過装置の代役となり吸引し続けることができ、良好な状態で継続的に濾過を行うことができ、しかも、吸引ポンプにより缶体内の液分を吸引して効率よく濾過を行うことができる。また、底壁上には、中央開口を有し中央側が低位となる漏斗部材を敷設したので、流体の流れが円滑に行われることになる。
【0008】
本発明の他の濾過装置は、前記缶体の上部開口には、前記フィルタ本体の上端部が前記周壁上縁に沿って折曲されており、このフィルタ本体の折曲部を前記周壁の内外から弾性的に狭持する蓋体が装着されることを特徴としている。そして、このような構成を採用したことにより、フィルタ本体を安定的に支持することができる。
【0009】
本発明の他の濾過装置は、前記缶体の周壁が、上端が下端より拡開していることを特徴としている。そして、このような構成を採用したことにより、フィルタ本体の缶体内への装着を良好に行うことができる。
【0010】
本発明の他の濾過装置は、前記缶体の蓋体を缶体に着脱可能に固定する蓋体の留め具が設けられていることを特徴としている。そして、このような構成を有することにより、蓋体を缶体に強固に固定することができる。
【0011】
本発明の他の濾過装置は、前記網体を、ポリプロピレン製ワイヤを変形させて形成したことを特徴としている。そして、このような構成を有することにより、フィルタ本体の外側に空気層が形成され、吸引ポンプを使用する実施形態の場合には、フィルタ本体のほぼ全域に吸引ポンプの吸引力が伝達され、フィルタ本体のほぼ全域で濾過を行うことができるし、吸引ポンプを使用しない自重濾過の場合にも、フィルタ本体の全域で濾過を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で安価に製造でき、効率よく濾過を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示す縦断面正面図
図2図1の周壁用の網体の展開図
図3図1のゴム製マットを示す斜視図
図4】本発明の他の実施形態を示す縦断面正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る濾過装置1の第1実施形態を示すものであり、缶体の1例としてのペール缶2は、円筒形の周壁3とこの周壁3の下端に連設されている底壁4を有している。前記底壁4の中央部には、円形開口5が形成されており、この円形開口5には、ドレン孔である排出管6が接続されている。なお、前記ペール缶2の周壁3は、下端より上端が多少大径となるように逆円錐台形をなしている。
【0016】
前記ペール缶2の上端には、上部開口7が形成されており、この上部開口7は、平面形状を円形とされた上蓋8により被覆されるようになっている。この上蓋8は、前記上部開口7の全域を被覆しうる形状とされており、上蓋8のペール缶2への装着は、下端を周壁3の上端部にそれぞれ固定されている公知のトグルクランプ式などの複数のほぼコ字状の止め金具9の上端をレバー10の回動により上蓋8の周縁部に圧接させて行うようになっている。他方、前記レバー10を圧接時と反対方向に回動すれば、上蓋8は自由状態となる。
【0017】
前記上蓋8の裏面には、ペール缶2の周壁3の上縁に内外から嵌合しうる位置ずれ防止用の2本の円形突部11A,11Bが同心状に突設されている。前記両円形突部11A,11B間の間隙は、前記ペール缶2の周壁3の上端部の厚みよりやや厚みのある寸法とされており、両円形突部11A,11Bはそれぞれ可撓性とされている。また、前記上蓋8の中央部には、上蓋8を貫通する供給管12が接続されており、この供給管12を介して濾過されるクーラントのような濾過液がペール缶2内に供給されるようになっている。
【0018】
前記ペール缶2の底壁4の上面には、ポリプロピレン製ワイヤを変形させてなる円盤状の網体13Aが載置されている。また、前記周壁3の内周面には、同じくポリプロピレン製ワイヤを図2に示す状態から,太い白抜き矢印で示すように、変形させてなる円筒状の網体13Bが装着されている。なお、これらの網体13A,13Bの製造は、公知の平面排水材(もやいドレーン)の製造方法により可能である。
【0019】
前記円筒状の網体13Bは、上端部を除く主要部13Baが、前記ペール缶2の周壁3の内周面に当接する寸法とされている。また、前記主要部13Ba上に着座する上端部13Bbは、前記主要部13Baより薄肉に形成されている。すなわち、上端部13Bbは、内径を前記主要部13Baと等しくされ、外径を前記主要部13Baより小径とされている。この結果、上端部13Bbと前記ペール缶2の周壁3の内周面との間には、間隙Gが形成されている。
【0020】
前記ペール缶2の底壁4の上面に載置されている網体13A上には、図3に示すように、内方ほど上面が低位に位置し、液が中心方向に流れる漏斗状とされた漏斗部材の一例としての円盤状のゴム製マット14が載置されている。なお、前記漏斗部材としては、ゴム製でない種々の材質のマットを使用することができるし、さらには、鉄板その他の種々の部材を用いることができる。鉄板の場合、ドレン配管を鉄板に溶接により固定することができる。
【0021】
図1に戻って、前記底壁4の円形開口5には、円形開口5の外周に溶接された金属フランジ16から延在する金属パイプ17を介して前記排出管6が接続されており、この排出管6には、吸引式ダイアフラムポンプなどの吸引ポンプ18が接続されている。
【0022】
前記ペール缶2内には、織物からなり伸縮可能なフィルタ本体19が配設されている。このフィルタ本体19は、ソックスフィルタと称されているものであり、縦方向に伸びても目開きがしにくい構造となるように編んである。このフィルタ本体19は、上部開口20を有する円筒状とされている。
【0023】
前記フィルタ本体19は、具体的には、伸縮性のあるウレタンナイロン製の細い糸を織ってフィルタ本体19にも伸縮性を持たせるようにし、かつ、濾過液のみは織物の目から抜けるようになっている。なお、フィルタ本体19の糸の太さや、織り方の目の細かさなどは、濾過液の種類により種々の設定が可能である。
【0024】
前記フィルタ本体19は、その伸びしろを考慮し、ペール缶2の全高の約1/2-2/3程度の初期長さとされており、上端部を前記ペール缶2の周壁3と網体13Bの上端部13Bbとの間隙G内に折曲して引掛け、この折曲部21を前記ペール缶2の周壁3の上端部、網体13Bの上端部13Bbとともに前記上蓋8の2本の円形突部11A,11B間に嵌合し、両円形突部11A,11Bを撓ませて弾性的に狭持しフィルタ本体19をペール缶2に固定している。
【0025】
なお、前記ペール缶2の周壁3の内側に位置する円筒状の網体12Bの内側には、前記フィルタ本体19内にクーラントなどが貯留されてペール缶2の上端から抜けにくくなるのを防止するため、突起物が生じないようになっている。
【0026】
つぎに、前述した実施形態の作用について説明する。
【0027】
上蓋8をペール缶2から外しておき、ペール缶2の上部開口7からフィルタ本体19をペール缶2内に挿入し、フィルタ本体19の上端部を外側に折り返しておく。このとき、フィルタ本体19の下端が、ペール缶2内の下端から約1/3程度の高さに位置するようにしておく。そして、上蓋8を、その1対の円形突部11A,11B間にフィルタ本体19の上端部を被覆した周壁3の上端部、網体12Bの上端部12Bbを嵌合するようにして上蓋8によりペール缶2を被覆する。さらに、止め金具9のレバー10を回動して上蓋8をペール缶2に固着する。
【0028】
そして、吸引ポンプ18を駆動してペール缶2内を負圧状態にしておき、供給管12から濾過液をペール缶2内に供給する。この濾過液は、ペール缶2内に設けられているフィルタ本体19の上部開口20からフィルタ本体19内に供給される。このとき、フィルタ本体19の外周は、ペール缶2の周壁3の内側に網体13Bが配置されており、空気層が存在することになり吸引ポンプ18による吸引を阻害しないため、吸引ポンプ18による吸引によりフィルタ本体19はそのペール缶2内におけるほぼ全域から吸引され、液分のみがフィルタ本体19を通過して漏斗状ゴム製マット14を介してペール缶2の中央部に集められ、排出管6から排出される。
【0029】
一方、フィルタ本体19内のクーラントのような混ぜ物が次第に増えてくると、その混ぜ物の重量により、フィルタ本体19が,図1に想像線で示すように、伸びてフィルタ本体19の表面積が増大するので、濾過効率が減少することを防止して良好な濾過を継続することができる。
【0030】
また、フィルタ本体19の底の方から順次目詰まりしてきても、濾液中の混ぜ物自体が堆積し、堆積された混ぜ物自体がフィルタ本体19の代わりにもなってくる。最終的にはケーキ状となった混ぜ物が採れることになる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の濾過装置によれば、簡単な構成により効率よく濾過を行うことができるという優れた効果を奏する。
【0032】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、缶体としては、濾過量に応じてドラム缶その他の種々の容積の円筒状の缶体を使用することができる。また、フィルタ本体としても濾過量に応じて種々の容量のソックスフィルタを使用することができる。
【0033】
さらに、缶体の内部に設けられていた網体13A,13Bなどの材料であるポリプロピレン製ワイヤにより円形底壁と円筒周壁とを形成し、これらの円形底壁と円筒周壁とを溶着して上部開口を有するネット状の籠を形成して、この籠の上部開口を被覆するようにフィルタ本体を円筒周壁の上縁に引っ掛けて固定することにより、極めて簡単な構成の濾過装置を構成することができる。
【0034】
前述したアルポンフィルタは構造が複雑であるとともに1本の濾過流量が20l/min程度であるのに対し、本実施形態のペール缶式では、70l/min(水であれば100l/min)は可能であり、シンプルに1つのフィルタによって十分クーラントのような混ぜ物の捕捉が可能である。
【0035】
また、本濾過装置には、海水や真水などを利用する場合があるので、防錆のためにステンレス製のペール缶を使用してもよいし、また、安価なポリプロピレン製のペール缶を使用してもよい。このポリプロピレン製のペール缶は、耐薬品性にも優れている。
【0036】
なお、ポリプロピレン製フィルタ本体は、耐熱性が高く100℃の熱湯にも形崩れしないので、加温洗浄機用の洗浄液の濾過にも好適である。
【0037】
図4は本発明に係る濾過装置の他の実施形態を示すものであり、図1ないし図3の実施形態における部材と同一あるいは相当するものについては図面中に同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0038】
本実施形態の濾過装置は、濾過液を自重により自由落下させるようにして濾過するようになっているため、ペール缶2内を気密に保持する必要がない。前記ペール缶2の底壁4の全域には、ポリプロピレンからなる網体製円板22が載置されており、また、ペール缶2の周壁3の内周面には、前記網体製円板22と同様の材質からなる網体製円筒23が周設されている。この網体製円筒23は、長尺の長方形板を巻回して周壁3の内周面に装着したものである。この網体製円筒23は、前記網体製円板22上に着座していることになる。
【0039】
ペール缶2の上部開口7は開放されており、この上部開口7を介してフィルタ本体19が保持されている。すなわち、前述した第1実施形態と同様、フィルタ本体19は、ソックスフィルタと称されているものであり、縦方向に伸びても目開きがしにくい構造となるように編んである。このフィルタ本体19は、上部開口20を有する円筒状とされている。そして、このフィルタ本体19は、ペール缶2の上部開口7の周縁に折曲して引っ掛けられており、外周側をマジックバンド(図示せず)などにより固定されてペール缶2に保持されている。
【0040】
前記ペール缶2の全高の約1/2-2/3程度の初期長さとされており、混ぜ物がフィルタ本体19内に堆積されると、混ぜ物の自重により次第に伸長することになる。
【0041】
前述した構成によれば、ペール缶2の上部開口7から濾過液をペール缶2内のフィルタ本体19内に供給すると、フィルタ本体19の外周は、ペール缶2の周壁3の内側に網体製円筒23が配置されており、空気層が存在することになり濾過液の自由落下を阻害しないため、フィルタ本体19はそのペール缶2内におけるほぼ全域から落下し、濾過液中の液分は自重によりフィルタ本体19および網体製円筒23を通過してペール缶2の円形開口5から排出される。一方、濾過液中の混ぜ物は、フィルタ本体19内に堆積されていく。フィルタ本体19の底の方から順次目詰まりしてきても、濾液中の混ぜ物自体が堆積し、堆積された混ぜ物自体がフィルタ本体19の代わりにもなってくる。最終的にはケーキ状となった混ぜ物が採れることになる。
【0042】
本実施形態によれば、吸引ポンプを使用することなく、簡単な構成にもかかわらず、濾過液の自由落下により液分と混ぜ物を分離することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 濾過装置
2 ペール缶
3 ペール缶2の周壁
4 ペール缶2の底壁
5 ペール缶2の円形開口
6 排出管
7 ペール缶2の上部開口
8 上蓋
9 止め金具
10 レバー
11A,11B 円形突部
12 供給管
13A,13B 網体
13Ba 網体13Bの主要部
13Bb 網体13Bの上端部
14 ゴム製マット(漏斗部材)
16 金属フランジ
17 金属パイプ
18 吸引ポンプ
19 フィルタ本体
20 フィルタ本体19の上部開口
21 フィルタ本体19の折曲部
22 網体製円板
23 網体製円筒
G ペール缶2の周壁3の外周面と網体13Bの上端部13Bbの間隙
図1
図2
図3
図4