(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】塗布体付き液体容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240116BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A45D34/04 515A
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2020085845
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】白岩 赳訓
(72)【発明者】
【氏名】本間 菜摘
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532513(JP,A)
【文献】特開平10-118555(JP,A)
【文献】実開昭59-055919(JP,U)
【文献】米国特許第05676480(US,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0001800(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D34/00-34/06
B65D83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液状内容物を収容可能な収容部が設けられた容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に装着され前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体に取り付けられ塗布体を有するアプリケータと、を備え、
前記アプリケータの前記塗布体を介して前記液状内容物を被塗布部に塗布する塗布体付き液体容器であって、
前記塗布体は、二つの対向する塗布面を備え、前記液状内容物を含浸可能且つ可逆変形可能な含浸体により形成されており、
前記アプリケータは、前記蓋体に対して周方向に回転可能に装着されると共に、二つの対向する脚部を有し当該脚部に前記塗布体が配置され、前記塗布面同士の間に前記被塗布部が挟み込み可能とされており、
前記容器本体の内部には、中栓が設けられ、
前記中栓には、前記液状内容物が通過可能な孔と、前記孔と連通し前記容器本体の軸線方向に延びる内部空間と、前記内部空間と連通し前記液状内容物を外部へ吐出可能な吐出口と、を有し、蓋体側へ向かって突出する吐出部が設けられ、
前記吐出口は、前記吐出部の側部に備えられ、
前記蓋体を前記容器本体に装着した際に、前記アプリケータの前記塗布面同士の間に前記吐出部が入りこみ前記塗布面が前記吐出口を塞ぐ位置に位置することを特徴とする塗布体付き液体容器。
【請求項2】
前記吐出部は、先端に行くに従い先細りとなる扁平形状であることを特徴とする請求項1記載の塗布体付き液体容器。
【請求項3】
前記吐出口は複数であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布体付き液体容器。
【請求項4】
前記容器本体の前記収容部には、前記液状内容物を撹拌するための撹拌部材が設けられ、
前記撹拌部材は、前記中栓の前記孔を塞ぐことが可能であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の塗布体付き液体容器。
【請求項5】
前記蓋体又は前記容器本体には、前記蓋体が前記容器本体に装着されたときに、前記液状内容物の揮発を防止するためのシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の塗布体付き液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布体付き液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、睫毛にマスカラを塗布したり、毛髪にヘアカラーを塗布できるものとして、以下の特許文献1に記載のプレスオン型化粧品アプリケータシステムが知られている。このプレスオン型化粧品アプリケータシステムにあっては、マスカラやヘアカラー等の液状の化粧品組成物を内部に収容する凸形状の容器と、容器の凸形状に沿って凹設された切欠部に着脱可能に取り付けられるアプリケータと、を備えている。容器には、切欠部の側面を貫通し化粧品組成物が流出可能な複数の細孔が設けられ、アプリケータには、二股に分かれた腕部が設けられている。腕部は、内側に移動可能な弾性を有し容器の切欠部を両側から挟み込むと共に、内面側に細孔に押し当てられ化粧品組成物を含浸可能な塗布体としてのアプリケータ要素を有している。
【0003】
このようなプレスオン型化粧品アプリケータシステムによれば、使用者は容器を絞り、液状の化粧品組成物を細孔から押し出し、アプリケータ要素に含浸させる。そして、アプリケータを容器から取り出し、アプリケータの腕部を摘まみ、又は、絞り、内側方向への力を腕部に加えることによって、アプリケータ要素に含浸された化粧品組成物を睫毛や毛髪等に転写でき、そのままアプリケータを睫毛や毛髪の先端側へ向かって引くことで、効率的且つ均一に化粧品組成物を睫毛や毛髪等の被塗布部に塗布できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記プレスオン型化粧品アプリケータシステムにあっては、細孔をアプリケータ要素で覆い液状の化粧品組成物の液漏れ防止を図っているが、化粧品組成物を例えばヘアカラー等の液状化粧料を始めとした揮発成分を含有している液状内容物とした場合、気密を十分に図ることができず、液状内容物の揮発を防止できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、容器本体の内部に収容した液状内容物の揮発を防止できると共に、液状内容物を毛髪を始めとした被塗布部に容易に塗布できる塗布体付き液体容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による塗布体付き液体容器は、内部に液状内容物を収容可能な収容部が設けられた容器本体と、容器本体に着脱可能に装着され容器本体の開口を塞ぐ蓋体と、蓋体に取り付けられ塗布体を有するアプリケータと、を備え、アプリケータの塗布体を介して液状内容物を被塗布部に塗布する塗布体付き液体容器であって、塗布体は、二つの対向する塗布面を備え、液状内容物を含浸可能且つ可逆変形可能な含浸体により形成されており、アプリケータは、蓋体に対して周方向に回転可能に装着されると共に、二つの対向する脚部を有し当該脚部に塗布体が配置され、塗布面同士の間に被塗布部が挟み込み可能とされており、容器本体の内部には、中栓が設けられ、中栓には、液状内容物が通過可能な孔と、孔と連通し容器本体の軸線方向に延びる内部空間と、内部空間と連通し液状内容物を外部へ吐出可能な吐出口と、を有し、蓋体側へ向かって突出する吐出部が設けられ、吐出口は、吐出部の側部に備えられ、蓋体を容器本体に装着した際に、アプリケータの塗布面同士の間に吐出部が入りこみ塗布面が吐出口を塞ぐ位置に位置することを特徴としている。
【0008】
このような塗布体付き液体容器によれば、液状内容物を収容し内部に中栓を有する容器本体に蓋体が装着されると、アプリケータが容器本体内に進入し、中栓に設けられ蓋体側へ突出する吐出部の側部の吐出口が、アプリケータに取り付けられた塗布体の塗布面で塞がれ、さらに、容器本体の開口が蓋体により塞がれるため、二重に塞がれることになり、塗布体付き液体容器において気密が図られ液状内容物の揮発を防止できる。また、蓋体に対してアプリケータが回転可能なため、中栓の吐出部が異方的形状を有していても(方向性を有していても)、蓋体を容器本体に装着する際に、アプリケータが吐出部に外挿されるように回転し、吐出部の吐出口をアプリケータの塗布体の塗布面で容易に塞ぐことができ、塗布体付き液体容器において気密が一層図られ液状内容物の揮発を一層防止できる。また、被塗布部を例えば毛髪の一房として液状内容物を塗布するにあたっては、使用者は、容器本体から蓋体を取り外し、塗布面同士の間に毛髪の一房を誘い込んで、塗布面同士の間に毛髪の一房を挟み込み、毛根から離れる方向へスライド移動させることによって、液状内容物を毛髪の一房に容易に塗布することができる。このスライド移動の際に、蓋体に対してアプリケータが回転可能なため、例えば脚部を摘まんでこねながらでもスライド移動でき(スライドの際に手首をこねても支障がなく)、従って、塗布時に手首にかかる負担を低減できる。
【0009】
ここで、吐出部は、先端に行くに従い先細りとなる扁平形状であると、扁平形状の吐出部を挟む塗布面がほぼ平坦面となるため、被塗布部を塗布面同士の間に挟みやすく塗布がしやすくなる。
【0010】
また、吐出口は複数であると、複数の吐出口により空気置換が行われ、液状内容物の供給効率を高めることができる。ここで、吐出口が側部の両側に設けられている場合には、両方の塗布面へ液状内容物を吐出でき、両塗布面から液状内容物を被塗布部に塗布でき、効率良く液状内容物を塗布できる。
【0011】
また、容器本体の収容部には、液状内容物を撹拌するための撹拌部材が設けられ、撹拌部材は、中栓の孔を塞ぐことが可能であると、塗布体付き液体容器を例えば逆さにしたとき等に、撹拌部材により孔が塞がれるため、塗布体への過度の液状内容物の供給を防止できると共に、沈殿物による孔詰まりを防止できる。
【0012】
また、上記作用をより好適に奏する構成としては、具体的には、蓋体又は容器本体には、蓋体が容器本体に装着されたときに、液状内容物の揮発を防止するためのシール部材が設けられる構成が挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、容器本体の内部に収容した液状内容物の揮発を防止できると共に、液状内容物を毛髪を始めとした被塗布部に手首に負担をかけることなく容易に塗布できる塗布体付き液体容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る塗布体付き液体容器を示す縦断面図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る塗布体付き液体容器の塗布具の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係る塗布体付き液体容器を示す各縦断面図、
図3は、キャップの縦断面図、
図4及び
図5は、ジョイントを示す各図、
図6は、パッキンの縦断面図、
図7~
図11は、アプリケータを示す各図、
図12及び
図13は、容器本体を示す各図、
図14~
図17は、中栓を示す各図、
図18は、塗布体付き液体容器の塗布具の使用例を示す説明図である。なお、以下の説明において、「上」、「下」は、
図1及び
図2に示す塗布体付き液体容器を基準とした方向とする。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の塗布体付き液体容器100は、例えばヘアカラーとして用いられる液状化粧料L(液状内容物)を収容し、この液状化粧料Lを毛髪の一房H(
図18参照)に対して部分染めするのに好適なものである。塗布体付き液体容器100は、液状化粧料Lを収容可能な容器本体1と、容器本体1に着脱可能に装着され液状化粧料Lを塗布するための塗布具2と、を具備している。
【0017】
塗布具2は、容器本体1の蓋となる蓋体3と、蓋体3に取り付けられたアプリケータ4と、を備えている。アプリケータ4には、液状化粧料Lを塗布するための塗布体5が設けられている。
【0018】
蓋体3は、容器本体1に着脱可能に装着されるキャップ6と、キャップ6に取り付けられアプリケータ4を支持するジョイント7と、ジョイント7に装着され液状化粧料Lの揮発を防止するためのシール部材としてのパッキン8と、を備えている。
【0019】
キャップ6は、例えばPP等からなり、有頂円筒状に形成される。
図1~
図3に示すように、キャップ6の下部の内周面には、容器本体1に装着するための雌螺子9が設けられ、キャップ6の頂部近くの内周面には、ジョイント7を所謂嵌め殺しするための雌螺子10が設けられている。キャップ6の雌螺子10の下には、ジョイント7を装着するための凹部11が円環状に設けられている。
【0020】
ジョイント7は、例えばPP等からなり、略円筒状に形成される。
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、ジョイント7は、その上部の内周面から内側へ所定量張り出し下方へ有底円筒状に突出する有底突出部12を備えている。この有底突出部12は、ジョイント7内のアプリケータ4側の空間をできるだけ少なくし揮発を防止すると共に、塗布体5に近接して当該塗布体5の上方への抜けを防止するためのものである。
【0021】
ジョイント7の上部外周面には、キャップ6の凹部11に嵌合する凸部13が円環状に設けられている。ジョイント7の凸部13の上側の外周面には、上下方向に延びる突条14が、キャップ6の雌螺子10に嵌め殺しされるものとして周方向に複数離間して設けられている。
【0022】
ジョイント7の軸線方向中程の外周面には、パッキン8を装着するための凹部15が円環状に設けられている。ジョイント7の凹部15と下端との間で、パッキン8の位置より多少下方の位置には、ジョイント7の内外を連通する貫通孔16が、ジョイント7の円筒部に沿って円弧状に2箇所対向して形成されており、この貫通孔16の直下の内周面には、内側へ多少突出する凸部17が、アプリケータ4の下方への移動を阻止するものとして、円弧状に形成されている。円弧状に設けられた貫通孔16は、円弧状の凸部17を設けるために形成されているものであり、ジョイント7の金型成型時に金型を進入させるためのものである。また、ジョイント7の内周面で凸部17の上方には、縮径する段差部18が、アプリケータ4の上方への移動を阻止するものとして設けられている。
【0023】
パッキン8は、例えばNBR等からなり、段付き円筒状に形成される。
図1、
図2及び
図6に示すように、パッキン8は、内側へ突出する上部19と、外側へ突出する下部20と、上部19と下部20とを繋ぐ中間部21と、を備えている。上部19には、内側に円環状に突出しジョイント7の凹部15に嵌合する突出部22が設けられ、下部20には、キャップ6と容器本体1との間に挟まれる鍔部23が設けられている。鍔部23の下面には容器本体1との間のシールとして機能する凸部24が円環状に形成されている。また、パッキン8の鍔部23より上方の外周面には、上下方向に離間して、キャップ6との間のシールとして機能する凸部25が、上下方向に離間して一対円環状に形成されている。
【0024】
そして、
図1及び
図2に示すように、パッキン8は、ジョイント7の下端側から外挿され、その突出部22が、ジョイント7の凹部15に嵌合することにより、ジョイント7に固定されている。
【0025】
パッキン8が装着されたジョイント7は、キャップ6の開放端側から内挿され、その上部の突条14が、キャップ6の雌螺子10に圧入されると共に、その凸部13が、キャップ6の凹部11に嵌合することにより、キャップ6に固定されている。この状態で、パッキン8の外周面の凸部25がキャップ6の内周面に圧接し、キャップ6との間のシールがなされている。
【0026】
アプリケータ4は、例えばLLDPE等からなり、
図1、
図2、
図7~
図11に示すように、ジョイント7に回転可能に支持され円筒状をなす上部の円筒部26と、円筒部26下に連設され当該円筒部26の円形の筒孔27に続き筒孔27より小さい四角孔28を有する連結部29と、連結部29下に連設され二股に分かれ下方へ延びる二つの対向する脚部30,30と、を備えている。
【0027】
脚部30は、その外面が、連結部29の外面にほぼ続くように先端側(下端側)へ延び、その内面が、先端部へ行くに従い互いの間隔が徐々に広がり、側面視V字状(逆V字状)の傾斜面31とされている。連結部29の四角孔28は、脚部30では先端側へ向かって真っ直ぐ延びる溝部32となって連続して続いている。溝部32は、塗布体5を収容するためのものとして設けられている。脚部30の先端部33は、後述の中栓34のドーム形状の湾曲部35に沿う形状を呈しており(
図2参照)、先端部33の先端側が径方向外方へさらに拡径する形状を呈している。
【0028】
円筒部26の外周面には、ジョイント7の円弧状の凸部17の上面に対面し軸線方向下方への移動を阻止するための凸部36が円環状に設けられている。また、円筒部26の外周面で凸部36の上方には、ジョイント7の段差部18に対面し軸線方向上方への移動を阻止するための段差部37が円環状に設けられている。また、連結部29の下部において脚部30近傍の外周面には、内側へ向かって凹設された湾曲縮径部38が設けられている。この湾曲縮径部38は、脚部30を指で摘まんだときの脚部30の湾曲の基点となる部分(脚部30を開閉しやすくするための部分)である。
【0029】
塗布体5は、例えばフェルト繊維を束ねたものであり、アプリケータ4への装着前は、長尺な直方体状の所謂チップと呼ばれているものである。この塗布体5は、液状化粧料Lを含浸可能且つ可逆変形可能な含浸体である。
【0030】
そして、
図1及び
図2に示すように、塗布体5は、中央を折り曲げられ、アプリケータ4の連結部の四角孔28及び脚部30の溝部32に、その折曲部を上にして上方から進入し、当該塗布体5は、各端部がそれぞれの脚部30の溝部32の先端部の段差部39に突き当てられるようにして、溝部32及び四角孔28に収められている。この塗布体5の折り曲げにより対向する二つの平坦な対向面が塗布面40とされる。また、塗布体5の先端部は、毛髪の一房Hを塗布面40,40同士の間に誘い込みやすくするために側面視Y字状の傾斜面41とされている(
図18参照)
【0031】
この塗布体5を備えたアプリケータ4は、蓋体3の開放端側から内挿され、その凸部36が、ジョイント7の円弧状の凸部17の上面に対面すると共に、その段差部37が、ジョイント7の段差部18と対面することにより、ジョイント7の円弧状の凸部17と段差部37との間に挟まれることになり、ジョイント7に対して回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。この状態で、塗布体5において折り曲げられ上方へ位置する折曲部が、抜け止めとなるジョイント7の有底突出部12に近接した状態となっている。
【0032】
容器本体1は、例えばPP等からなり、有底円筒状に形成される。容器本体1は、内部の軸線方向中程に配置された中栓34を仕切りとして、中栓34より下側が、液状化粧料Lを収容する収容部42とされ、中栓34より上側が、蓋体3を容器本体1に装着した際にアプリケータ4及び塗布体5を格納する格納部43とされている。収容部42には、液状化粧料Lと共に当該液状化粧料Lを撹拌するための撹拌部材としての撹拌球44が収容されている。撹拌部材を有することで、液状化粧料Lの均一化と沈殿防止を行うことができる。
【0033】
図1、
図2、
図12及び
図13に示すように、収容部42と格納部43との間には、中栓34を上方から突き当てるための段差部45が設けられている。収容部42の上部の内周面には、中栓34を装着するための凹部46が円環状に設けられている。また、格納部43の上部は、外径が縮径された開口頚部47とされ、開口頚部47の筒孔の上端が容器本体1の内外を連通する開口60とされている。また、開口頚部47の外周面には、蓋体3のキャップ6の雌螺子9に螺合する雄螺子48が形成されている。
【0034】
中栓34は、例えばPP等からなり、
図1、
図2、
図14~
図17に示すように、円筒状を呈する円筒部50と、円筒部50の上部に連設された鍔部51と、鍔部51の上部に連設され上方へ凸となるようにドーム状に湾曲する湾曲部35と、湾曲部35の頂部に連設され上方へ延びる吐出部52と、を備えている。
【0035】
円筒部50には、その上部の外周面に、容器本体1の収容部42の凹部46に嵌合する凸部53が円環状に設けられており、この凸部53の下方に、収容部42の内周面に当接しシールとして機能する凸部54が円環状に設けられている。鍔部51は、段差部45に突き当てるためのものであり、径方向に突出し円環状をなしている。
【0036】
湾曲部35の頂部の下面には、撹拌球44が嵌まり込むように上方へ凹設される凹部55が形成されている。この凹部55には、液状化粧料Lが通過可能な孔56が開口され、この孔56が、中栓34の吐出部52の後述する内部空間57と連通している。孔56は、下面視において長方形に形成されている。また、円筒部50の下部近くの内面から湾曲部35の内面へ亘っては、上下方向へ延在し、撹拌球44を凹部55へ向かって誘導するための誘導用リブ58が周方向に沿って複数個(ここでは4個)形成されている。
【0037】
吐出部52は、上方へ行くに従い厚みが薄くなっていく扁平形状を呈し、吐出部52には、長方形の孔56に連通し扁平形状に倣って上方へ行くに従い長方形が小さくなる内部空間57が形成されている。吐出部52の側部(扁平面部)には、内部空間57と外部を連通し液状化粧料Lを外部へ吐出可能な吐出口59が開口されている。この吐出口59は、ここでは、両側部に2個ずつ設けられ、上下方向に離間して形成されている。また、吐出部52の先端側の角部61は、Rにされている。
【0038】
図1及び
図2に示すように、中栓34は、容器本体1の開口頚部47の開口60から内挿され、その鍔部51が、段差部45に突き当てられ、その円筒部50の凸部53が、容器本体1の収容部42の凹部46に嵌合することにより、容器本体1に装着されている。この状態で、中栓34の凸部54が容器本体1の収容部42の内周面に圧接し、容器本体1の収容部42との間のシールがなされている。
【0039】
そして、蓋体3の雌螺子9を容器本体1の雄螺子48に螺合することにより、蓋体3が容器本体1に対して着脱可能に装着される。この状態で、アプリケータ4が容器本体1内に進入し、アプリケータ4の塗布体5の塗布面40,40同士の間に吐出部52が入りこみ塗布面40が吐出口59を塞ぐ位置に位置し、塗布体5の塗布面40により吐出口59が塞がれた状態となっている。また、この状態で、蓋体3のパッキン8の底面の凸部24が容器本体1の上端面に圧接し、容器本体1の格納部43との間のシールがなされている。
【0040】
このような本実施形態の塗布体付き液体容器100によれば、液状化粧料Lを収容し内部に中栓34を有する容器本体1に蓋体3が装着されると、中栓34に設けられ蓋体3側へ突出する吐出部52の側部の吐出口59が、アプリケータ4に取り付けられた塗布体5の塗布面40で塞がれ、さらに、容器本体1の開口60が蓋体3により塞がれるため、二重に塞がれることになり、塗布体付き液体容器100において気密が図られ液状化粧料Lの揮発を防止できる。
【0041】
次に、このような構成を有する塗布体付き液体容器100を用い毛髪の一房Hを部分染めする場合について説明する。
【0042】
ここで、塗布体5は、フェルト繊維を束ねたものであるため、液状化粧料Lを含浸した状態では、中栓34の吐出部52を挟み込んでいる塗布面40は、吐出部52の扁平形状に馴染んだ状態となっている。
【0043】
そして、使用にあたっては、その一例として、使用者は、先ず、塗布体付き液体容器100を手に持って軽く振る。これにより、容器本体1の液状化粧料Lは、吐出部52の吐出口59を介して塗布体5に含浸される。塗布体付き液体容器100を軽く振るときに、塗布体付き液体容器100を逆さにすると、吐出口59からの液状化粧料Lの供給が向上し、より好ましい。次いで、使用者は、一方の手の指で蓋体3(キャップ6)を摘まみ螺合を解除する方向へ回転させて蓋体3を容器本体1から取り外し、塗布具2を取り出す。すると、吐出部52を挟み込んでいる塗布体5は、当該吐出部52から取り外されると可逆変形し、元の平坦面の形状に復帰する。なお、実際は、塗布体5の先端側は、元の直方体状の平坦面に完全には復帰せず吐出部52の根元の形状に倣った跡が多少残存し、折曲部側へ向かうに従い塗布面40,40同士の間の隙間が徐々に狭くなる傾斜面が残存することになるが、実際の塗布に際しては支障はない(詳しくは後述)。
【0044】
次いで、使用者は、もう一方の手の指で毛髪の一房Hを選び取り、毛髪の一房Hをアプリケータ4の脚部30の塗布体5の塗布面40,40同士の間に誘い込む。このとき、
図18を参照すれば、脚部30のドーム状に湾曲された先端部33、及び、脚部30の側面視V字状の傾斜面31、並びに、塗布体5の先端部の側面視Y字状の傾斜面41により、毛髪の一房Hを塗布面40,40同士の間に誘い込みやすくなっている。従って、例えば、後ろ髪等の見え難い箇所も簡単に塗布面40,40同士の間に誘い込めるようになっている。
【0045】
次いで、蓋体3を摘まんだ一方の手の指で、アプリケータ4の対向する脚部30,30を矢印で示すように摘まむことにより、塗布面40,40同士の間に隙間なく毛髪の一房Hを挟み込むことができる。次いで、蓋体3を摘まんだ手を毛根から離れる方向へスライド移動させることによって、液状化粧料Lを毛髪の一房Hに容易に塗布することができる。このスライド移動の際に、蓋体3に対してアプリケータ4が回転可能なため、例えば脚部30を摘まんでこねながらでもスライド移動でき(スライドの際に手首をこねても支障がなく)、従って、塗布時に手首にかかる負担を低減できる。また、蓋体3の装着時に塗布体5で吐出口59を塞ぎ液状化粧料Lをシールしているため、液状化粧料Lが漏出しアプリケータ4の脚部30へ付着していることはなく、塗布の際に、指を汚すことはない。なお、脚部30,30を摘まむことにより以下の作用・効果を奏する。すなわち、塗布体5が潰れて液状化粧料Lが放出されるため、放出された液状化粧料Lが毛束内に染み込み内部も染めることができると共に、塗布体5が毛髪表面に押し付けられるため、ムラになり難く均一染めることができる。
【0046】
そして、塗布が終わったら、蓋体3を容器本体1に装着する。ここで、吐出部52は、異方的形状を有している(方向性を有している)ため、蓋体3を容器本体1に装着する際に、アプリケータ4が吐出部52に外挿されるように回転し、吐出部52の吐出口59をアプリケータ4の塗布体5の塗布面40で容易に塞ぐことができる。この装着に際しては、吐出部52の角部61がRにされているため、アプリケータ4の脚部30の先端部33の内面が吐出部52の角部61に当接すると、当該先端部33が角部61のRにより滑るように回転して吐出部52に外挿されていき、アプリケータ4と吐出部52との向きを合わせるアシストとして機能する。また、吐出部52は、異方的形状を有しているが、アプリケータ4が蓋体3に対して回転可能なため、吐出部52に対するアプリケータ4の向きを容易に合わせて、蓋体3を容器本体1に対して螺合により装着でき、塗布体付き液体容器100において気密が一層図られ液状化粧料Lの揮発を一層防止できる。
【0047】
また、吐出部52は、先端に行くに従い先細りとなる扁平形状のため、扁平形状の吐出部52を挟む塗布面40がほぼ平坦面であり、毛髪の一房Hを塗布面40,40同士の間に挟みやすく塗布がしやすい。
【0048】
また、吐出口59が複数のため、複数の吐出口59により空気置換が行われ、液状化粧料Lの供給効率を高めることができる。特に、本実施形態のように、吐出口59が側部の両側に設けられている場合には、両方の塗布面40に液状化粧料Lを吐出でき、両塗布面40,40から液状化粧料Lを毛髪の一房Hに塗布でき、効率良く液状化粧料Lを塗布できる。なお、吐出口59は、上下方向に延びる長孔等であっても良い。なお、空気置換が行われ液状化粧料Lの供給効率を高めることができるとして、吐出口59を複数としているが、1個であっても良い。
【0049】
また、容器本体1の収容部42には、液状化粧料Lを撹拌するための撹拌球44が設けられ、撹拌球44は、中栓34の孔56を塞ぐことが可能なため、塗布体付き液体容器100を例えば逆さにしたとき等に、撹拌球44により孔56が塞がれることになり、塗布体5への過度の液状化粧料Lの供給を防止できると共に、沈殿物による孔詰まりを防止できる。
【0050】
また、蓋体3には、蓋体3が容器本体1に装着されたときに、液状化粧料Lの揮発を防止するためのパッキン8が設けられているため、気密が一層図られ液状化粧料Lの揮発を一層防止できる。
【0051】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に気密を図るべく、蓋体3の容器本体1への着脱を螺合により行っているが、嵌合等であっても良い。
【0052】
また、上記実施形態においては、特に気密を図るべく、パッキン8を別部品とし、キャップ6、ジョイント7、パッキン8により蓋体3を構成するようにしているが、蓋体3は、キャップ6、ジョイント7、パッキン8を一体とした樹脂部品であっても良い。また、気密防止用のパッキンは容器本体1に設けられていても良い。
【0053】
また、シールの他の実施形態として、パッキン8ではなくアウタ-リングでシールするようにしても良い。具体的には、容器本体1の開口頚部47に着脱可能に係合する螺子や嵌合等の係合部を下部内周面に備える円筒状のキャップと、キャップの上側の開放端を塞ぐ有頂円筒状の尾栓と、尾栓に回転可能に取り付けられるアプリケータと、を備える構成とし、キャップの係合部より上側の内周面の位置に円環状の凸部をアウターリングとして設け、このアウターリングが、容器本体1の開口頚部47の外周面でキャップに対する係合部より上側の位置に当接し、気密をとる構成に代えても良い。
【0054】
また、上記実施形態においては、アプリケータ4自体が二股に分かれた脚部30,30を備えているが、脚部30は各々単独でも良く、互いに対向する一対の脚部30,30が別体の基部に固定され、当該基部が蓋体3に回転可能に装着されていても良い。
【0055】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、対向する塗布面40,40同士をほぼ平坦面としているが、例えば、対向面に向かって凸状に湾曲する湾曲面であっても良い。
【0056】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、吐出部52を扁平形状としているが、例えば、円錐形状等の他の形状であっても良く、要は、蓋体3を取り外しアプリケータ4を摘まんだときに、塗布面40,40同士の間に毛髪の一房Hを挟めれば良い。
【0057】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、被塗布部を毛髪の一房Hとし、液状化粧料Lをアプリケータ4の塗布体5を介して部分染めする塗布体付き液体容器100について述べているが、被塗布部を睫毛とし、液状化粧料であるマスカラをアプリケータ4の塗布体5を介して塗布する塗布体付き液体容器に対しても適用可能である。さらには、被塗布部を爪とし、液状化粧料である化粧品ジェルや、液状内容物である雑貨品ジェルをアプリケータ4の塗布体5を介して塗布する塗布体付き液体容器に対しても適用可能であり、要は、アプリケータ4の塗布体5を介して液状内容物を被塗布部に塗布する塗布体付き液体容器全てに対して適用できる。従って、塗布体は、液状化粧料Lを始めとした液状内容物を含浸可能且つ可逆変形可能なものであれば良い。
【0058】
また、塗布体5の塗布面40,40同士間に毛髪等の被塗布部を挟み込む際、また、蓋体3及びアプリケータ4をスライドさせて毛髪等の被塗布部に液状化粧料Lを塗布する際に、脚部30,30を指で摘ままなくても良い。
【符号の説明】
【0059】
1…容器本体、3…蓋体、4…アプリケータ、5…塗布体、8…パッキン(シール部材)、9…雌螺子、30…脚部、34…中栓、40…塗布面、42…収容部、44…撹拌球(撹拌部材)、48…雄螺子、52…吐出部、56…孔、57…内部空間、59…吐出口、60…開口、100…塗布体付き液体容器、H…毛髪の一房(被塗布部)、L…液状化粧料(液状内容物)。