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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】有孔鋳造品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 25/02 20060101AFI20240116BHJP
   B22C 3/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B22D25/02 G
B22C3/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021524932
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022310
(87)【国際公開番号】W WO2020246588
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2019107040
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506267824
【氏名又は名称】株式会社ロータスマテリアル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 英雄
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/050892(WO,A1)
【文献】特開2001-129655(JP,A)
【文献】特開昭62-168657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 25/02
B22C 3/00
B22D 29/00
B22C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の保形性並びに屈曲変形可能性を備えた金属細線である単又は複数の耐熱線を、曲線状または折曲状に屈曲させた状態に鋳型内に配置し、
溶融した金属又は半導体材料を供給して凝固させた後、
前記曲線状または折曲状の形状のまま前記金属又は半導体材料と一体化された前記耐熱線を、前記金属又は半導体材料が凝固してなる鋳造物から屈曲変形させながら引き抜くことで、前記曲線状又は折曲状に伸びる単又は複数の耐熱線引き抜き孔が表面に開口した金属又は半導体材料の鋳造品を得る有孔鋳造品の製造方法であり、
遅くとも溶融した金属又は半導体材料を供給する前に、あらかじめ前記耐熱線の表面に離型剤を被覆してなる、有孔鋳造品の製造方法。
【請求項2】
前記曲線状が、波状である、請求項1記載の有孔鋳造品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンク、航空機エンジンタービン、医療器具、工作機械、熱電変換材料など、種々の分野において新規な材料として有効に利用できる、金属又は半導体材料の有孔鋳造品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔金属材や発泡金属材は、低密度で大きな表面積を有しており、主に軽量化材料や触媒、電極、振動吸収材、吸音材、衝撃吸収材としての応用が期待されている。多孔金属材の一つに、ロータス金属成形体が知られている。ロータス金属成形体は、高圧ガス法(Pressurized Gas Method)や熱分解法(Thermal Decomposition Method)など、公知の方法で作製され、一方向に気孔が伸びた金属成形体である(例えば、特許文献1参照。)。これを複数の板に切断することで、貫通孔を多数備えた多孔金属板(ロータス金属板)が得られる。ロータス金属板は、優れた熱伝達性を備えており、電子デバイス用のヒートシンクや各種熱交換フィンとしての利用が提案されている(たとえば、特許文献2、3参照)。
【0003】
しかしながら、ロータス金属成形体は、気孔の長さに制限があるため、ロータス金属板の孔を貫通孔とするために、その切断後の板厚には限界がある。ヒートシンク等のフィンとしてさらに優れた冷却能を確保するためには、長い孔を形成させることが望ましい。長い孔を形成できることは、上記触媒、電極、振動吸収材、吸音材、衝撃吸収材として応用する場合にも有利となる。
【0004】
その他の多孔金属材の製法としては、後加工で機械的にドリルで孔を穿つ方法や、電子ビーム又はレーザーを用いて金属を溶融・蒸発させて穿設する方法もある。しかし、ドリルは小さい孔になるほど折損しやすく、加工時間も長時間を要し、コスト高となり、孔の長さもドリル工具の長さにより限界がある。電子ビームは高真空設備を要し、コスト高で工業化に不適である。レーザー加工は大気中でも可能だが穿孔に多大な経費と時間を要する。また、電子ビームやレーザーによる加工も孔の直径に対する長さの比(アスペクト比)が高々10程度であり、細く長い孔を穿つには限界がある。
【0005】
さらに、上述した従来の多孔金属材は、いずれも一方向に伸びる直線状の孔しか有することができなかった。ロータス金属成形体はその製法上、一方向凝固を利用しており、ドリル加工、電子ビーム加工等も直線的な穿設加工となるためである。もし、より細く、より長く、且つ曲線状の孔が作製できるのであれば、上記したヒートシンクその他の応用に際し、設計の自由度が格段に向上し、優れた性能を有する基材を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4217865号公報
【文献】特開2018-73869号公報
【文献】特開2018-179412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、多孔金属材として、より低コストで、より長く、細く、曲線状の孔をも設けることが可能であり、全体の形状や寸法、ならびにその有する孔の形態・寸法を適宜、自由に設定することができ、設計の自由度が飛躍的に向上し、ヒートシンク等としての優れた冷却能や、触媒、電極、振動吸収材、吸音材、衝撃吸収材等として利用するにあたっても、より高性能なものとして低コストで提供することができる多孔金属材、およびその製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 金属又は半導体材料の鋳造品であって、表面に単又は複数の耐熱線引き抜き孔が開口していることを特徴とする有孔鋳造品。
【0009】
(2) 前記耐熱線引き抜き孔が貫通孔である、(1)記載の有孔鋳造品。
【0010】
(3) 前記耐熱線引き抜き孔が、直線状、曲線状(たとえば波状、螺旋状など)、又は屈曲状(複数の方向に折れ曲がった形状)である、(1)又は(2)記載の有孔鋳造品。
(4) 前記耐熱線引き抜き孔の孔径(直径)が、100μm~20mm、好ましくは200μm~10mm、より好ましくは300μm~5mmである、(1)~(3)の何れかに記載の有孔鋳造品。
(5) 前記耐熱線引き抜き孔の孔の長さが、1mm~2000mm、好ましくは5mm~1000mm、より好ましくは10mm~300mmである、(1)~(4)の何れか1に記載の有孔鋳造品。
(6) 前記耐熱線引き抜き孔のアスペクト比が、0.05~20000、好ましくは1~1000、より好ましくは3~800である、(1)~(5)の何れかに記載の有孔鋳造品。
【0011】
(7) アルミニウム又はアルミニウム合金の金属又は半導体材料の鋳造品である、(1)~(6)の何れかに記載の有孔鋳造品。
【0012】
(8) 単又は複数の耐熱線を鋳型内に設け、溶融した金属又は半導体材料を供給して凝固させた後、前記耐熱線を引き抜くことで、単又は複数の耐熱線引き抜き孔が表面に開口した金属又は半導体材料の鋳造品を得ることを特徴とする、有孔鋳造品の製造方法。
【0013】
(9) 遅くとも溶融した金属又は半導体材料を供給する前に、あらかじめ前記耐熱線の表面に離型剤を被覆してなる、(8)記載の有孔鋳造品の製造方法。
【0014】
(10) 前記耐熱線が、所定の保形性並びに屈曲変形可能性を備えた金属細線である、(8)又は(9)記載の有孔鋳造品の製造方法。
【0015】
(11) 前記凝固させ、脱型した後、当該金属又は半導体材料の鋳造品から前記耐熱線を引き抜くことで、単又は複数の耐熱線引き抜き孔が表面に開口した金属又は半導体材料の鋳造品を得る、(8)~(10)の何れかに記載の有孔鋳造品の製造方法。
【0016】
(12) 前記耐熱線が、鋳型に一体的に設けられており、脱型の際、鋳型とともに耐熱線が引き抜かれる、(8)~(10)の何れかに記載の有孔鋳造品の製造方法。
【0017】
(13) 前記耐熱線が、直線状、曲線状(たとえば波状、螺旋状など)、又は屈曲状(複数の方向に折れ曲がった形状)であり、これを曲線状又は屈曲状の場合は屈曲変形させながら、前記引き抜くことにより、直線状、曲線状、又は屈曲状の前記耐熱線引き抜き孔を得る、(10)記載の有孔鋳造品の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
以上にしてなる本願発明によれば、耐熱線の引き抜きにより有孔鋳造品が得られるので、このような有孔鋳造品は、ロータス金属成形体の切断品や、ドリル、電子ビーム、レーザー等の後加工品などに比べ、より低コストで、より長く、細い孔を有するものを提供することが可能で、曲線状に伸びる孔とすることも可能であり、全体の形状や寸法も鋳型次第で自由に設定できるとともに、その有する孔の形態・寸法についても、耐熱線の長さ、太さ、形状などを適宜設定することで、自由に設定することができる。
【0019】
したがって、設計の自由度も飛躍的に向上し、ヒートシンク等としての優れた冷却能や、触媒、電極、振動吸収材、吸音材、衝撃吸収材等として利用するにあたり、より高性能なものとして低コストで提供することができる。本発明者は後述するように、アスペクト比786の長く細い孔を容易に設けることができることを確認している。また、曲線状や折れ線状の孔を設けることもできることを確認している。孔の直径は100μm~20mm程度の細孔とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の代表的実施形態に係る有孔鋳造品を示す斜視図。
図1B】同じく有孔鋳造品の他の例を示す説明図。
図2A】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図2B】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図2C】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図2D】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図2E】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図3A】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図3B】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図3C】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図3D】同じく有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図4A】同じく有孔鋳造品の製造手順の一例を示す説明図。
図4B】同じく製造手順の説明図。
図5A】同じく製造手順の説明図。
図5B】同じく製造手順の説明図。
図6A】同じく製造手順の説明図。
図6B】同じく製造手順の説明図。
図6C】同じく製造手順の説明図。
図7】同じく製造手順の他の例を示す説明図。
図8】耐熱線引き抜き工程(引き抜き途中)の具体例を示す説明図。
図9A】実施例のサンプル作製を行った製造装置、製造手順を示す説明図。
図9B】同じく製造装置、製造手順を示す説明図。
図9C】同じく製造装置、製造手順を示す説明図。
図9D】同じく製造装置、製造手順を示す説明図。
図10】実施例のサンプル作製に使用したプレート型および耐熱線を示す写真。
図11】作製した実施例の複数のサンプルのX線コンピュータートモグラフィ法によって測定された3次元画像イメージ(以下、「X線CT像」と称す。)。
図12】同じく他のサンプルのX線CT像。
図13】同じく他のサンプルのX線CT像。
図14】同じく他のサンプルのX線CT像、およびこのサンプル作製に用いたプレート型および耐熱線の写真。
図15】他のサンプル、および該サンプル作製に用いた耐熱線、巻き尺を並べた外観写真。
図16】本発明に係る有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図17A】同じく本発明に係る有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図17B】同じく本発明に係る有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図18】本発明に係る有孔鋳造品の引き抜き孔の一部に所定の線材を挿入した例を示す説明図。
図19A】同じく本発明に係る有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
図19B】同じく本発明に係る有孔鋳造品のさらに他の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
本発明にかかる金属又は半導体材料の有孔鋳造品1は、図1A図1Bに示すように、単又は複数の耐熱線引き抜き孔10が表面に開口している。金属又は半導体材料としては、種々のものが可能である。後述する実施例のサンプルではアルミニウムとしたが、アルミニウム合金や銅、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、銀、金、カドミニウム、インジウム、錫、白金、タンタル、鉛、ビスマスや、これらの合金、シリコン、ゲルマニウムや、これらの化合物、その他の種々の金属又は半導体材料を用いることができる。耐熱線引き抜き孔10は、後述するように凝固した鋳造物から耐熱線を引き抜いて形成される孔であり、その断面形状は耐熱線の断面形状が反映され、円形以外に三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形状や、平板状(断面長方形)、L字型、V字型、Y字型、コ(カタカナ)字型、チューブ型(中空の円筒型)、歯車型などの断面形状も含まれる。また、ネジ溝が切られた形状の内周面を有する孔(耐熱線は雄ネジ状に外周面に螺旋状の凸条を有し、回転しながら引き抜く)とすることも可能である。
【0023】
断面積(開口面積)についても、耐熱線の断面積がそのまま反映され、従来のロータス成形体やドリル加工、レーザー加工等では困難であった細く長い孔を容易に形成することができる。断面積は、すべての引き抜き孔で同じサイズにする必要はない。すなわち、サイズの異なる孔より構成される有孔鋳造品も含まれる。構造部材では、負荷をかけた場合の応力集中は孔の大きさに依存して変わるので、このように大小の孔を混在させることによって応力集中による応力分布を変えることができ、応力集中を緩和させたり、制御させたりすることができる。とくにヒートシンクとして利用する場合には、冷媒を孔に流す場合の熱伝達率が孔の大小によって変化するので、このような大小の孔の混在によって熱発生分布を変化させることができ、熱伝達率を変化させたり、緩和させることができるのである。
【0024】
耐熱線および引き抜き孔の断面積は、軸方向に一定でなく、不均一なものとすることもできる。一例として、耐熱線および引き抜き孔に断面積が次第に小さく(大きく)なるようにテーパーが付いていてもよい。テーパーを付けることによって、有孔鋳造品の表層側が大口径で、且つ深層部または反対側の開口側が小口径というように、直径の傾斜化を施した孔を作製することができる。耐熱線の引き抜きは、大口径となる側から行う。このテーパー付きの引き抜き孔は、熱流、電磁流体、電磁波、音波、光波、放射線の集束あるいは発散をもたらすことが可能になり、様々な応用展開が可能になる。一定のテーパー角がついた貫通した引き抜き孔を設計する場合、大口径側の開口半径をr、他方の小口径側の開口半径をr、引き抜き孔の中心軸に沿った有孔鋳造品の厚みをL、孔内周面上を中心軸方向に沿って延びる母線の延長と中心線とのなす角(テーパー角)の角度をθとすると、tanθ=(r-r)/Lの関係が得られ、このようなテーパーを有する引き抜き孔の母線の傾斜(テーパー角θ)は、0<tan-1{(r-r)/L}<(π/2)の範囲に入ることになる。このようなテーパー状の引き抜き孔はレーザービームの集光などに利用することもできる。
【0025】
耐熱線引き抜き孔10の孔の長さは、1mm~2000mm、好ましくは5mm~1000mm、より好ましくは10mm~300mmとされる。2000mmより長くなると耐熱線も長くなり、鋳造物との接触面積が増え、引き抜きの際の摩擦力が増大して引き抜きが困難となる。短いほど引き抜きは容易となる。耐熱線引き抜き孔の孔径(直径)は、100μm~20mm、好ましくは200μm~10mm、より好ましくは270μm~5mmとされる。孔径が100μmより小さくなると、耐熱線もかなり細くなり、引き抜き時に破損しやすくなり製造が難しくなる。孔径が20mmよりも大きくなると、使用する耐熱線と鋳造物との接触面積が増え、引き抜きの際の摩擦力が大きくなり、引き抜きが困難になりやすい。中庸の太さの耐熱線を用いると引き抜き孔10の形成が容易である。
【0026】
後述するサンプル作製では、太さ(直径)0.28mm~3.2mmの種々の太さの耐熱線を用いてプレート型の上面から耐熱線の上端まで溶融アルミニウムに浸漬し、凝固した鋳造物から引き抜いて貫通孔を作製することができている。すなわち、太さ(直径)0.28mmの耐熱線を引き抜いた場合に、内径0.28mm、長さ220mmの貫通孔が形成できることが確認されている。また、耐熱線引き抜き孔10は、貫通孔である必要はなく、図2A図2Bに示すように引き抜き用に少なくとも一端が開口した有底の孔であってもよい。また、所定の保形性に加えて屈曲変形可能性を備えた金属細線を用いることで、図2C図2D図2E、又は図3Aに示すように曲線状(波状や螺旋状)又は折曲状して伸びる孔とすることもできる。
【0027】
これにより引き抜き孔の長さを稼ぎ、より優れた性能を備えた基材として提供することが可能となる。とくに図2Dに示すように鋳造品本体の形状に沿わせるように引き抜き孔10を適宜屈曲させて配することができ、より性能のよい基材を効率よく提供することが可能となる。このような孔は従来のロータス金属成形体を切断したものやドリル加工、電子ビーム加工、レーザー加工では形成できない。図19(a)、(b)に示すように、直線状の引き抜き孔10と曲線状(本例では螺旋状)の引き抜き孔10を組み合わせたものも好ましい例である。また、有孔鋳造品1の鋳造時に耐熱線の配置を適宜設定することで、図3B図3Cに示すように、異なる方向に伸びる多数の貫通又は非貫通の引き抜き孔10を容易に設けることもできる。このような多方向の引き抜き孔10を備える有孔鋳造品1は、一方向気孔が形成されるロータス金属成形体では作製できず、ドリル加工や電子ビーム加工、レーザー加工も時間がかかり且つ装置も大型化してコスト高となる。このように、引き抜き孔を多方向に設定できるので、鋳造品に応力を負荷した場合における鋳造品の応力集中を抑制でき、十分な強度を有する軽量化金属又は半導体材料として提供することができる。
【0028】
さらに、図3Dに示すように内部途中で分岐した孔とすることも、同じく分岐する耐熱線を用いることで容易に実現できる。これもロータス金属成形体では実現できず、ドリル加工等も非常にコスト高となる。このように、貫通孔の方向や分岐を自由に設定できるので、万能な冷却路を有するヒートシンクを作製でき、各種分野に応用が期待できる。また本発明の引き抜き孔(10)は、耐熱線を完全に抜き去って貫通又は非貫通の孔とすること以外に、図16に示すように、耐熱線2の引き抜きを途中までとし、抜き出した突出部分を除去することで、内部に耐熱線の一部を残存させ、残存側が耐熱線で閉塞し、他端側のみ開口した引き抜き孔として形成することも含まれる。このような引き抜き孔によれば、耐熱線が残存している領域の強度アップを図ることができ、とくに本有孔鋳造品1を自動車などの移動体の骨格に用いる場合、引き抜き孔が存在することによる軽量化と強度維持(又は強度アップ)の両立を図ることが可能となる。すなわち、耐熱線が引き抜かれた中空軽量領域と残留された強度アップ領域とを混在させることによって軽くて強い(孔と耐熱線による)複合材料を創出することができ、引き抜き方向を設定することで前記混在の形態も容易に変えることができ、設計の自由度も高いものとなる。
【0029】
このように一つの引き抜き孔について、耐熱線を一部残存させることの他、図17(a),(b)に示すように、複数本の耐熱線のうち、一部の耐熱線をまったく引き抜かずに残存させ、当該耐熱線が残存した箇所を引き抜き孔とせずに、耐熱線が埋まった強度アップ領域とすることも好ましい実施例である。これにより、たとえば長尺の構造部材で局所的に大きな負荷荷重のかかる所(応力集中部)において、耐熱線を引き抜かずに残留させて強度アップを図り、その他の部分は耐熱線を引き抜いて引き抜き孔を形成し、軽量化を図る等することが可能となる。たとえば、上述した図19(a)、(b)に示した例において、直線状の引き抜き孔10の一部またはすべてを耐熱線を引き抜かずに耐熱線が埋まった状態とし、螺旋状の引き抜き孔の中心側を補強するようにしたり、反対に、螺旋状の引き抜き孔10を耐熱線を引き抜かずに耐熱線が埋まった状態とし、直線状の引き抜き孔の周囲を螺旋状に埋設された耐熱線で補強するようにしたものも好ましい例である。また、他の例としては、図18に示すように、本発明の有孔鋳造品を作製した後、引き抜き孔の一部に補強用の線材8を挿入することによって長尺構造部材の中心部の応力集中部だけを強化部材(線材8)で充填して補強させることも好ましい例である。この場合、部材の両端部分を有孔部とすることができる。
【0030】
有孔鋳造品1は、例えば図4Aに示すように、耐熱線2を設けた鋳型3を用いて製造することができる。図示した例では、鋳型3を、鋳造品の底面を形成するとともに耐熱線2を上方に突設した状態に支持する板状のプレート型30と、一体化されたプレート型30及び耐熱線2を内装し、鋳造品の外周面を形成する容器状の外側型31との組み合わせにより構成されている。図4Bは、プレート型30及び耐熱線2を外側型31に内装してセットした状態を示している。プレート型30の上面には耐熱線2の下端部を挿入して支持する支持用凹部が形成されることが好ましい。
【0031】
少なくとも耐熱線2の外面には、離型剤が塗布される。耐熱線2以外にもプレート型30の上面、外側型31の内周面にも離型剤が塗布されることが好ましい。離型剤を塗布するタイミングは、一体化したプレート型30及び耐熱線2に対して予め離型剤を全体に塗布し、乾燥後に外側型31にセットしてもよいし、セット後に塗布することもできる。
【0032】
離型剤には、使用する金属又は半導体材料に応じて公知の種々の離型剤を用いることができる。具体的には、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)や、アルミナ(アルミナセメント)、グラファイト、フラーレン、シリコン、二硫化モリブデン、酸化クロムなどを主成分とした公知の離型剤を、使用する金属又は半導体材料に応じて選択できる。たとえばアルミニウムやマグネシウムなどの場合は窒化ホウ素を主成分とした離型剤が好ましく、銅や鉄、鉄鋼、ステンレス鋼、ニッケル、金、銀、白金、シリコン、ゲルマニウム、その他多くの半導体材料などの場合はアルミナを主成分とした離型剤を用いることが好ましい。また、離型剤は、離型機能を保持し得る最高温度が使用する金属又は半導体材料の融点よりも高いものを選ばなければならない。離型剤と耐熱線材表面とのぬれ性や密着性を改善するために、離型のための主成分に、有機溶剤などを添加してもよい。しかしながら、その有機溶剤が溶融材料と反応を起こして離型機能性を低下させる場合には、離型主材料単体を耐熱線に塗布することもできる。
【0033】
そして、適宜鋳型3(外側型31)を加熱した状態で、図5Aの如く、別途溶融された金属又は半導体材料(たとえば溶融アルミニウム)(以下、「溶融材料」と称す。)を、耐熱線2が立設されている鋳型3内に注湯した後、図5Bの状態で冷却し、凝固させる。溶融材料は耐熱線2間の隙間に充填され、耐熱線2と一体化された状態に凝固する。溶融材料の供給方法は、固形の金属又は半導体材料(固体材料)を鋳型上部にセットして加熱により溶融させ、下方の鋳型内に移動させるものでもよい。
【0034】
耐熱線2を完全に埋没させるまで注湯すれば、当該耐熱線の引き抜き孔は非貫通孔となり、耐熱線2の上端が湯面から突出状態までで注湯を止めれば、当該耐熱線の引き抜き孔は貫通孔となる。このように耐熱線の長さ又は注湯量で、引き抜き孔の貫通/非貫通を設定できる。なお、耐熱線2の間の距離が小さい場合は、溶融材料の浸漬が表面張力や粘性により不十分となる場合があるので、そのような場合は細いセラミックス棒などによる撹拌手段や、振動手段を設けることが好ましい。
【0035】
溶融材料が凝固した後、図6Aに示すように、下方から図示しないピンで押し上げる等して、外側型31からプレート型30を分離し、耐熱線2と一体化した金属又は半導体材料の鋳造物4が上面側に載った状態のプレート型30を取り出す。ここで、外側型31を側壁と底壁を分離可能とし、底壁を取り外して底側から取り出すことも勿論できる。
【0036】
そして、図6Bに示すように、鋳造物4の側面4bを治具5で挟持する等して支持した状態で、下面側のプレート型30を取り外し、露出(突出)した各耐熱線2の下端部2aを、図6Cに示すように挟持治具6などを用いて摘み、そのまま下方に引き抜くことにより、鋳造物4に引き抜き孔10が形成され、有孔鋳造品1が完成する。引き抜きの際の下端部2aの露出は、支持用凹部の深さ分だけ突出する。上方にも耐熱線2を露出させて貫通孔を形成する場合は、耐熱線2の上端部から上方向に引き抜くこともできる。
【0037】
図8は、治具5、6の一例を示している。この例では、鋳造物4の側面4bを万力(治具5)で固定した状態で、鋳造物4に埋め込まれた耐熱線2の露出した下端部2aを、コレットチャック(治具6)で複数本同時に引き抜くものである。より具体的には、治具6として多芯型のコレットチャックを用い、図示したように複数の耐熱線2の各下端部2aをつかませ、下方に移動させることで耐熱線2を複数本同時に引き抜くことが好ましい例である。コレットチャック治具6は上下左右に自由に移動することができ、耐熱線2をつかみ、耐熱線2を引き抜く作業を行う。
【0038】
本例では、図6B図6Cに示すように、鋳造物4からプレート型30を取り外した後、耐熱線2を治具6で引き抜くようにしたが、プレート型30と耐熱線2の相互を強固に固定しておくことで、プレート型30の取り外しの際に耐熱線2もプレート型30とともに下方に移動して引き抜かれるように構成することも効率上、好ましい。すなわち、脱型した後に鋳造物から耐熱線を引き抜くこともできるし、耐熱線を鋳型に一体的に設け、脱型の際、鋳型とともに耐熱線が引き抜かれるようにすることもできる。
【0039】
図9A図9Dに示す製造装置の例は、図9Aに示すように、るつぼ型の外側型31に、相互に強固に固定したプレート型30及び耐熱線2をセットするとともに、外側型31内の耐熱線2の上部に固形の金属又は半導体材料(固体材料9)を挿入し、ヒーター7で加熱することで、図9Bに示すように固体材料9を溶融させ、当該溶融材料を耐熱線2間の隙間に充填・凝固する例である。そして、図9Cに示すように耐熱線2と一体化した金属又は半導体材料の鋳造物4が上面側に載った状態のプレート型30を外側型31から取り出した後、図9Dに示すようにプレート型30を鋳造物4から分離させることで、同時に耐熱線2もプレート型30とともに引き抜かれ、有孔鋳造品を効率よく得ることができる。
【0040】
以上の例は、縦方向に耐熱線を配置し、縦方向に引き抜き孔を形成する製法であるが、横方向に形成することも勿論できる。その場合は、たとえば図7に示すように、プレート型30を左右一対設け、同じく外側型31にセットし、同様に注湯、凝固、プレート型30の除去、耐熱線2の引き抜きを行うことで製造できる。この場合、プレート型30が金属又は半導体材料の鋳造品の側面を形成し、外側型31が下面を形成する。
【0041】
耐熱線は、所定の保形性並びに屈曲変形可能性を備えたものであり、好ましくは金属細線が用いられる。耐熱線2は、本例のように直線状のもの以外に、曲線状(たとえば波状、螺旋状など)、又は屈曲状(複数の方向に折れ曲がった形状)にすることができ、この形状のまま金属材と一体化された鋳造物から、屈曲変形させながら耐熱線を引き抜くことで、曲線状、又は屈曲状の前記耐熱線引き抜き孔10を得ることができる。耐熱線は、溶融材料が注湯された状態で耐熱性を保持しなければならないので、その融点は溶融材料に使用される金属又は半導体材料の融点よりも高くなければならない。少なくとも100℃以上高いことが望ましい。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例
【0043】
図9に示したるつぼからなる製造装置、ただしプレートと耐熱線は強固に固着していないものを用いて、本発明の有孔鋳造品の実施例にかかるサンプルを複数作製し、引き抜き孔の様子を観察した結果について説明する。
【0044】
(サンプルの作製)
形成する孔のテンプレートとなる耐熱線は、ステンレス鋼(SUS)線、銅線、白金線、モリブデン線を各々太さの異なる複数種類を用意した。ステンレス鋼線の太さは、0.28mm、0.35mm、0.45mm、0.7mm、0.85mm、1.2mm、1.6mm、2.0mm、3.2mmを用意した。銅線、白金線、モリブデン線の太さは、それぞれ1.0mm、0.6mm、1.0mmを用意した。
【0045】
各耐熱線は、鋳造品の下面を形成する円柱状のグラファイトディスクからなるプレート型の上面に、上方に向けて突出した状態に取り付け、これらプレート型および耐熱線の全体に離型剤を塗布した。図10は、離型剤を塗布した耐熱線およびプレート型の例を示している。図10(a)の耐熱線は、外径0.85mmのステンレス鋼(SUS304)線であり、これを9本、それぞれ約25mm突出した状態に設けたもの、図10(b)の耐熱線は、外径3.2mmのステンレス鋼(SUS304)線であり、これを7本、それぞれ約25mm突出した状態に設けたものである。
【0046】
このように、耐熱線およびプレート型を、鋳造品の外周面を形成する筒状のグラファイトるつぼ型(内径15mm)内に、耐熱線が上になるように挿入してセットした。離型剤には、窒化ホウ素からなる「BNコート<M>」(株式会社オーデック製)を用いた。離型剤の塗布厚みは10~20μmとした。このるつぼ型の内部に、固体材料として所定量の固形アルミニウム(純度99.99%)を耐熱線の上端に当接させるように配置したうえで、るつぼ型全体を縦型電気炉に設置し、953Kで360秒間保持してアルミニウムを溶解し、溶融したアルミニウムを耐熱線間に落下させて耐熱線間の空隙に充填させた。上記360秒の加熱の後、縦型電気炉からるつぼ型を取出し、冷却し、内部のアルミニウムを凝固させた。
【0047】
そして、るつぼ型から耐熱線およびプレート型と一体的に凝固したアルミニウム鋳造物を取り出した後、プレート型および耐熱線を鋳造物から引き抜き、複数の貫通した耐熱線引き抜き孔が表面に開口したアルミニウム鋳造品を得た。引き抜きは、より詳しくは、まずプレート型を取り外した後、耐熱線を一本ずつ、ペンチで引き抜くことで行った。
【0048】
(観察結果)
作製した多孔アルミニウム鋳造品について、X線コンピュータートモグラフィ法によって3次元画像イメージを測定した。X線管電圧は200kV、電流は250μAである。図11図14は各サンプルのX線CT像、図15は外観写真を示す。図11の(a)は、耐熱線を外径0.28mmのステンレス鋼(SUS304)線9本とし、(b)は、耐熱線を外径0.35mmのステンレス鋼(SUS304)線9本とし、(c)は、耐熱線を外径0.45mmのステンレス鋼(SUS304)線9本とし、(d)は、耐熱線として外径0.70mmのステンレス鋼(SUS304)線21本とし、(e)は、耐熱線として外径0.85mmのステンレス鋼(SUS304)線9本とし、(f)は、耐熱線として外径1.2mmのステンレス鋼(SUS304)線21本とし、(g)は、耐熱線として外径1.6mmのステンレス鋼(SUS304)線9本とし、(h)は、耐熱線として外径2.0mmのステンレス鋼(SUS304)線9本とし、(i)は、耐熱線として外径3.2mmのステンレス鋼(SUS304)線7本として作製したものである。
【0049】
作製されたサンプルは、るつぼ内周面の形状を反映した外径15mmの円柱形状であり、図11から分かるように、軸方向に伸びる複数の耐熱線引き抜き孔が確認できる。さらに鋳造品の上部の中央部に鋳造欠陥(引け巣)が観察され、多数の小さな球状イメージも観察された。これらは鋳造品の表面に生成された欠陥である。これは凝固過程で形成されたものであるが、耐熱線引き抜き孔は凝固時に耐熱線が存在するため、孔が詰まる等の欠陥は生じず、確実に孔空間が確保できる。アスペクト比は、耐熱線引き抜き孔の内径に対する長さの比から求めることができる。図12(a)の例は耐熱線として外径0.85mm、長さ25mm以上のステンレス鋼(SUS304)線を用いたものであり、アスペクト比29.4の引き抜き孔を得た。図12(b)の例は耐熱線として外径0.28mm、長さ76mm以上のステンレス鋼(SUS304)線を用いたものであり、アスペクト比271.4の引き抜き孔を得た。図12(c)の例は耐熱線として外径0.85mm、長さ90mm以上のステンレス鋼(SUS304)線とし、アスペクト比105.9の引き抜き孔を得た。また、図15の例は、耐熱線として外径0.28mm、長さ220mm以上のステンレス鋼(SUS304)線(1本のみ)を用いたものであり、アスペクト比786の引き抜き孔を得た。このように図15に示すサンプルで、アスペクト比は最大で786を確認できた。
【0050】
図13(a)は、耐熱線としてステンレス鋼線(外径0.85mm)を用いた例、図13(b)は、銅線(外径1.0mm)、白金線(外径0.6mm)、モリブデン線(外径1.0mm)の耐熱線を組み合わせた例である。もし溶融アルミニウムと耐熱線との間で相互拡散が起きるならば、相互拡散によって形成された合金層の厚みを拡散データから見積もることができる。相互拡散係数Dは、次の式(1)によって評価できる。
=cAl+cAl ・・・(1)
ここでc、Dはそれぞれ組成および固有拡散係数である。添字のAlとMはそれぞれアルミニウムと耐熱線金属である。
【0051】
融点直上の溶融金属中の拡散係数は10-9/sのオーダーであり、固体金属中の拡散係数よりも数桁大きい。したがって、10-10/s≦D≦10-9/sである。360s(時間t)の拡散距離は、0.4mm≦2×(Dt)1/2≦1.2mmと評価できる。このような厚みの合金層が耐熱線とアルミニウムとの間に形成されると、耐熱線が引き抜きにくくなるが、本例では、図13に示すように、どの金属の耐熱線も同様にスムーズに引き抜くことができた。これは、耐熱線とアルミニウムとの界面に離型剤が介在し、相互拡散による合金層の形成が抑えられたことを示している。
【0052】
図14(a)~(c)は、螺旋状やV字型の引き抜き孔をもつ貫通孔を設けた例である。図14(a)~(c)の下欄は、それぞれ上欄のものの製造に用いた耐熱線およびプレート型の外形写真である。このような曲線状の孔形態は、本発明の製作法に特有のものである。従来の多孔金属材では、ロータスは一方向凝固を利用し、ドリル、電子ビームも直線的な穿設加工となるため、一方向に伸びる直線状の孔しかできなかった。これに対し、本発明は直線状のみならず曲線状の孔も作製できることが分かる。
【符号の説明】
【0053】
1 有孔鋳造品
2 耐熱線
2a 端部
3 鋳型
4 鋳造物
4b 側面
5 治具
6 治具
7 ヒーター
8 線材
10 引き抜き孔
30 プレート型
31 外側型
9 固体材料
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B