(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】チューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク及びその変調方法
(51)【国際特許分類】
G02F 3/00 20060101AFI20240116BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240116BHJP
G06G 7/60 20060101ALI20240116BHJP
G06E 3/00 20060101ALI20240116BHJP
G06N 3/067 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G02F3/00
G02F1/01 C
G06G7/60
G06E3/00
G06N3/067
(21)【出願番号】P 2022501202
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2020134670
(87)【国際公開番号】W WO2022001002
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】202010620808.5
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522010727
【氏名又は名称】ジャージァン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】38 ZHEDA RD,XIHU DISTRICT,HANGZHOU,ZHEJIANG 310027,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】522010738
【氏名又は名称】インフォメーション・サイエンス・アカデミー・オブ・チャイナ・エレクトロニクス・テクノロジー・グループ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INFORMATION SCIENCE ACADEMY OF CHINA ELECTRONICS TECHNOLOGY GROUP CORPORATION
【住所又は居所原語表記】BUILDING 4,YARD 36,NORTH SIDAOKOU STREET,HAIDIAN DISTRICT,BEIJING 100086,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フアン、イン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、タオ
(72)【発明者】
【氏名】フー、シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェイピン
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/236591(WO,A1)
【文献】米国特許第08078014(US,B1)
【文献】米国特許第09335568(US,B1)
【文献】特開2019-185501(JP,A)
【文献】特表2019-523932(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0019100(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110197277(CN,A)
【文献】国際公開第2019/217836(WO,A1)
【文献】特表2009-527020(JP,A)
【文献】Kumaresan, Ramdas、Peddinti, Vijay Kumar、Cariani, Peter,“Synchrony capture filterbank (SCFB): An auditory periphery inspired method for tracking sinusoids”,2012 IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing (ICASSP),2012年,p.153-156,DOI: 10.1109/ICASSP.2012.6287840
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力光信号を受信するための複数の入力端と、
複数の第1の光信号を出力するための複数の出力端と、を含む線形演算ネットワークであって、前記複数の入力光信号と前記複数の第1の光信号は、1対1の対応関係を有し、各入力光信号の光強度と対応する第1の光信号の光強度は、線形関係を有する線形演算ネットワークと、
前記複数の第1の光信号を受信し、前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するための複数の光電検出器と、
複数の第2の光信号を出力するための複数の光源と、
それぞれ1つの光電検出器及び1つの光源に接続され、且つそれぞれ前記光電検出器から出力された前記電気信号及び前記光源から出力された前記第2の光信号を受信し、前記電気信号に基づいて前記第2の光信号を変調して第3の光信号を出力するための複数のチューナブルフィルタと、を備え、
前記第3の光信号の光強度と対応する前記第1の光信号の光強度は、非線形関係を有し、
前記チューナブルフィルタは
、F-Pキャビティフィルタを含み、
熱的変調又は電気的変調によっ
て前記F-Pキャビティフィルタの
光導波路の有効屈折率を変更することで、前記光導波路を経由する前記第2の光信号を前記第3の光信号に変更する
、ことを特徴とするチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ
であって、
前記F-Pキャビティフィルタは、
前記電気信号を受信するための加熱層と、
前記加熱層の下に位置する光導波路と、
前記光導波路の第1の端に接続され、前記第2の光信号を受信するための第1の分布ブラッグ反射鏡と、
前記光導波路の第2の端に接続され、前記第3の光信号を出力するための第2の分布ブラッグ反射鏡と、を含むことを特徴とするチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項2】
前記線形演算ネットワークは、Mach-Zehnder interferometer(MZI)ネットワーク又はDirect coupler(DC)ネットワークを含むことを特徴とする請求項1に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項3】
前記入力光信号、前記第1の光信号、前記第2の光信号及び前記第3の光信号は、同じ波長を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項4】
前記MZIネットワークは、複数の基本ユニットを含み、前記基本ユニットは、カプラ、外部移相器及び内部移相器を含み、前記カプラは、前記外部移相器と前記内部移相器の間に位置することを特徴とする請求項2~
3のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項5】
前記DCネットワークは、複数の基本ユニットを含み、前記基本ユニットは、変調アーム及びチューナブルDCカプラを含むことを特徴とする請求項2~
3のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項6】
前記チューナブルフィルタの中心波長は、初期又は無変調状態の時に前記第2の光信号の波長と同じであることを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項7】
前記チューナブルフィルタに印加された前記電気信号が変化すると、前記チューナブルフィルタの中心波長がシフトし、前記第2の光信号の波長における光波の透過強度が変化し、前記チューナブルフィルタから出力された前記第3の光信号の光強度と前記線形
演算ネットワークから出力された前記第1の光信号の光強度が非線形関係を呈するようになることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップ。
【請求項8】
複数の請求項1~
7のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークチップを含むフォトニック集積回路。
【請求項9】
複数の入力光信号に線形演算を行い、複数の第1の光信号を得るステップと、
前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するステップと、
複数の第2の光信号を得るステップと、
前記複数の電気信号を利用して複数の第2の光信号を変調し、複数の第3の光信号を得るステップと、を含み、
前記第3の光信号の光強度と対応する前記第1の光信号の光強度は、非線形関係を有し、
熱的変調又は電気的変調によっ
てF-Pキャビティフィルタ
の光導波路の有効屈折率を変更することで、前記光導波路を経由する前記第2の光信号を前記第3の光信号に変更することを特徴とする光信号の変調方法
であって、
前記F-Pキャビティフィルタは、
前記電気信号を受信するための加熱層と、
前記加熱層の下に位置する光導波路と、
前記光導波路の第1の端に接続され、前記第2の光信号を受信するための第1の分布ブラッグ反射鏡と、
前記光導波路の第2の端に接続され、前記第3の光信号を出力するための第2の分布ブラッグ反射鏡と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記入力光信号、前記第1の光信号、前記第2の光信号及び前記第3の光信号は、同じ波長を有する請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、出願番号が202010620808.5、出願日が2020年7月1日の中国特許出願に基づいて提案され、この中国特許出願の優先権を主張し、この中国特許出願の内容の全ては参照として本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光通信技術分野に関し、特にチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク及びその変調方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、人工知能及びビッグデータ技術の迅速な発展に伴い、チップのコンピューティング能力、特にレート及び電力消費に対する要件が益々高まっている。従来の電子チップは、ムーアの法則によって制限されるため、その集積度及びコンピューティング能力の向上が遅い。フォトニックチップは、情報処理キャリアとして超高速伝送速度、超低電力消費を有するため、益々注目されている。そのうち、シリコンフォトニックチップは、シリコンオンインシュレータ(SOI,Silicon-on-Insulator)材料で製造され、従来のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセスに適合し、高レート、低電力消費、低電力消費、高集積度及び電磁干渉耐性などの利点を有し、現在、光チップの主な実現形態である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、少なくともある程度で関連技術における技術課題の1つを解決することを目的とする。
【0005】
本開示の実施例は、複数の入力光信号を受信するための複数の入力端と、複数の第1の光信号を出力するための複数の出力端と、を含む線形演算ネットワークであって、前記複数の入力光信号と前記複数の第1の光信号は、1対1の対応関係を有し、各入力光信号の光強度と対応する第1の光信号の光強度は、線形関係を有する線形演算ネットワークと、前記複数の第1の光信号を受信し、前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するための複数の光電検出器と、複数の第2の光信号を出力するための複数の光源と、それぞれ1つの光電検出器及び1つの光源に接続され、且つそれぞれ前記光電検出器から出力された前記電気信号及び前記光源から出力された前記第2の光信号を受信し、前記電気信号に基づいて前記第2の光信号を変調して第3の光信号を出力するための複数のチューナブルフィルタと、を備え、前記第3の光信号の光強度と対応する前記第1の光信号の光強度は、非線形関係を有するチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを提供する。
【0006】
本開示の実施例において、前記線形演算ネットワークは、Mach-Zehnder interferometer(MZI)ネットワーク又はDirect coupler(DC)ネットワークを含む。
【0007】
本開示の実施例において、前記入力光信号、前記第1の光信号、前記第2の光信号及び前記第3の光信号は、同じ波長を有する。
【0008】
本開示の実施例において、前記チューナブルフィルタは、ブラッグ反射グレーティングフィルタを含む。
【0009】
本開示の実施例において、前記ブラッグ反射グレーティングフィルタは、前記電気信号を受信するための加熱層と、前記加熱層の下に位置し、その第1の端が前記第2の光信号を受信するために用いられ、その第2の端が前記第3の光信号を出力するために用いられるブラッググレーティングと、を含む。
【0010】
本開示の実施例において、熱的変調又は電気的変調によって前記ブラッググレーティングの有効屈折率を変更することで、前記チューナブルフィルタを実現する。
【0011】
本開示の実施例において、前記チューナブルフィルタは、F-Pキャビティフィルタを含む。
【0012】
本開示の実施例において、前記F-Pキャビティフィルタは、前記電気信号を受信するための加熱層と、前記加熱層の下に位置する光導波路と、前記光導波路の第1の端に接続され、前記第2の光信号を受信するための第1の分布ブラッグ反射鏡と、前記光導波路の第2の端に接続され、前記第3の光信号を出力するための第2の分布ブラッグ反射鏡と、を含む。
【0013】
本開示の実施例において、前記光信号を前記加熱層に入力して前記光導波路の有効屈折率を変更することで、前記光導波路を経由する前記第2の光信号を前記第3の光信号に変更する。
【0014】
本開示の実施例において、前記MZIネットワークは、複数の基本ユニットを含み、前記基本ユニットは、カプラ、外部移相器及び内部移相器を含み、前記カプラは、前記外部移相器と前記内部移相器の間に位置する。
【0015】
本開示の実施例において、前記DCネットワークは、複数の基本ユニットを含み、前記基本ユニットは、変調アーム及びチューナブルDCカプラを含む。
【0016】
本開示の実施例において、前記チューナブルフィルタの中心波長は、初期又は無変調状態の時に前記第2の光信号の波長と同じである。
【0017】
本開示の実施例において、前記チューナブルフィルタに印加された前記電気信号が変化すると、前記チューナブルフィルタの中心波長がシフトし、前記第2の光信号の波長における光波の透過強度が変化し、前記チューナブルフィルタから出力された前記第3の光信号の光強度と前記線形ネットワークから出力された前記第1の光信号の光強度が非線形関係を呈するようになる。
【0018】
本開示の実施例は、複数の上記のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを含むフォトニック集積回路を提供する。
【0019】
本開示の実施例は、複数の入力光信号に線形演算を行い、複数の第1の光信号を得るステップと、前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するステップと、複数の第2の光信号を得るステップと、複数の電気信号を利用して複数の第2の光信号を変調し、複数の第3の光信号を得るステップと、を含み、前記第3の光信号の光強度と対応する前記第1の光信号の光強度は、非線形関係を有する光信号の変調方法を提案する。
【0020】
本開示の実施例において、前記入力光信号、前記第1の光信号、前記第2の光信号及び前記第3の光信号は、同じ波長を有する。
【0021】
本開示の付加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において与えられ、一部が以下の説明から明らかになり、又は本開示の実践によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、後文で図面に合わせて実施例を説明することによって明らかになり、容易に理解される。
【
図1】本開示の実施例によるチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークの構造概略図である。
【
図2】本開示の実施例によるMZIネットワークの構造概略図である。
【
図3】本開示の実施例によるDCネットワークの構造概略図である。
【
図4】本開示の実施例によるフィルタの概略図である。
【
図5】本開示の実施例によるフィルタの概略図である。
【
図6】本開示の実施例によるフィルタの出力スペクトルの概略図である。
【
図7】本開示の実施例によるフィルタの非線形関係図である。
【
図8】本開示の実施例による光信号の変調方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例は図面に示されており、同じ又は類似する符号は、終始、同じ又は類似する素子、或いは同じ又は類似する機能を有する素子を表す。後文で図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本開示を解釈するためのものであり、本開示を制限するものとして理解してはいけない。
【0024】
大規模のデータ処理に基づく機械学習は、人工知能技術の重要な実現方法であり、その中、人工ニューラルネットワーク(ANNs,Artificial Neural Networks)アルゴリズムは、機械学習によく用いられるアルゴリズムの1つであり、現在、主に電気CMOSチップによりコンピューティングを実現する。データ量及びコンピューティングの複雑さの向上につれて、従来のCMOSコンピューティングチップは、ニューラルネットワークのコンピューティングの要求を十分に満たすことができなくなった。電気CMOSチップに比べて、フォトニック技術により実現されたニューラルネットワークは、コンピューティング速度の面で大幅に高められ(フォトニック人工知能チップのコンピューティング速度がおよそ電子チップの千倍である)、同時に電力消費が電気チップよりも遥かに低い。人工ニューラルネットワークは、入力層、隠れ層及び出力層を含み、各層において情報が行列乗算などの線形結合によって伝搬され、その後、非線形活性化関数により処理され、具体的な演算は、主に行列乗算演算及び非線形活性化関数部分を含む。現在、フォトニックニューラルネットワークチップに対する研究は、光学により人工ニューラルネットワークにおける線形演算、即ち行列乗算演算部分を実現することに集中しており、例えば、シリコンベースMZIネットワーク構造又は波長分割多重システムに基づくマイクロリング重みバンク(micro-ring weight bank)を採用して行列演算などを実現する。しかしながら、非線形活性化関数部分については、依然として電気的方法で実現され、行列演算部分とのオンチップ集積を実現することができず、依然として演算速度が低く、電力消費が高い問題が存在する。
【0025】
以上を纏めると、ビッグデータ時代の迅速な発展に適応するために、オンチップニューラルネットワークに適するフォトニックコンピューティングチップを実現することは、電気コンピューティングの代わりに光コンピューティングを発展するために必然的なルートであり、現在の研究の重点でもある。光学による非線形活性化関数の実現又はオンチップ集積技術は、依然として模索の段階にあり、低電力消費、低遅延、高エネルギー効率比、高精度のフォトニックニューラルネットワークチップを実現するために、フォトニックニューラルネットワークに適合する励起関数を見つけることは急務となっている。
【0026】
図1は、本開示の実施例によるチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークの構造概略図である。
【0027】
図1に示すように、当該チューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク12は、線形演算ネットワーク1と、非線形演算オンチップ集積構造6と、を備える。
【0028】
線形演算ネットワーク1は、複数の入力端1IN及び複数の出力端1OUTを含む。
図1に示す実施例において、線形演算ネットワーク1は、4個の入力端1IN及び4個の出力端1OUTを含み、4×4の線形演算を実現するが、これは単なる例であることを理解すべきである。本開示は、6×6、8×8などの他の線形演算を実現することもでき、これに対して本開示の実施例において限定しない。複数の入力端1INは、複数の入力光信号を受信するために用いられる。複数の出力端1OUTは、複数の第1の光信号を出力するために用いられる。複数の入力光信号と複数の第1の光信号は、1対1の対応関係を有する。各入力光信号の光強度と対応する第1の光信号の光強度は、線形関係を有する。
【0029】
オンチップ集積構造6は、複数の光電検出器2、複数の光源3及び複数のチューナブルフィルタ4を含む。複数の光電検出器2は、複数の第1の光信号を受信し、複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するために用いられる。つまり、各光電検出器2は、複数の第1の光信号のうちの1つの対応する第1の光信号を受信し、対応する第1の光信号を電気信号に変換する。各光源3は、1つの第2の光信号を出力する。各チューナブルフィルタ4は、1つの対応する光電検出器2及び1つの対応する光源3に接続される。各チューナブルフィルタ4は、対応する光電検出器2から出力された電気信号及び対応する光源3から出力された第2の光信号を受信し、電気信号に基づいて第2の光信号を変調して第3の光信号5を出力するために用いられる。
【0030】
本開示の実施例において、第3の光信号の光強度と対応する第1の光信号の光強度は、非線形関係を有することで、ニューラルネットワークにおける活性化関数の機能を実現する。
【0031】
本開示の実施例において、入力光信号、第1の光信号、第2の光信号及び第3の光信号は、同じ波長を有する。
【0032】
図1に示すように、4×4のフォトニックニューラルネットワークを例とし、4×4線形演算1は線形演算部分であり、非線形演算オンチップ集積構造6は非線形活性化関数を実現するモジュールであり、非線形活性化関数を実現するモジュールは、光電検出器、光源及びチューナブルフィルタで構成される。
【0033】
本開示の実施例において、線形演算ネットワーク1は、Mach-Zehnder interferometer(MZI)ネットワーク又はDirect coupler(DC)ネットワークを含む。
【0034】
例えば、MZIネットワークの複数の入力端は光信号入力端であり、複数の出力端は複数の光電検出器の入力端に接続され、入力された光信号に線形演算を行うために用いられる。
【0035】
具体的には、フォトニックニューラルネットワークの線形演算部分は、MZIネットワーク構造に基づいて実現され、例えば、行列乗算演算の線形演算である。
【0036】
MZIネットワークは、行列構造であり、複数の基本ユニットを含む。
図2に示すように、MZIネットワークの基本ユニット構造7及びMZI基本ユニットの展開構造11が示されている。基本ユニット構造7は、カプラ8、外部移相器9及び内部移相器10を含み、カプラ8は、外部移相器9と内部移相器10の間に位置する。
【0037】
DCネットワークは、行列構造であり、複数の基本ユニットを含む。
図3に示すように、DCネットワークの基本ユニット構造7及びDCネットワークの展開構造7-3が示されている。基本ユニット構造7は、変調アーム7-1及びチューナブルDCカプラ7-2を含む。
【0038】
MZIネットワーク又はDCネットワークを利用して入力光信号に線形演算を行い、線形演算後に得られた第1の光信号を光電検出器に入力する。光電検出器は、第1の光信号を電気信号に変換する。光電検出器の出力端は、チューナブルフィルタの電極入力端に接続される。光電検出器は、電気信号をチューナブルフィルタの電極入力端に入力し、チューナブルフィルタの変調信号としてチューナブルフィルタに加える。
【0039】
更に、熱的変調又は材料のプラズマ分散効果による電気的変調によって光導波路の有効屈折率を変更することで、チューナブルフィルタを実現する。
【0040】
具体的には、チューナブルフィルタは、熱電極又はキャリアドープ層を含み、熱電極により熱エネルギーを光導波路に伝達して光導波路の有効屈折率を変更し、又はキャリアドープ層により熱抵抗を形成し、熱抵抗が電流印加時に発熱して光導波路屈折率の変化を引き起こす。
【0041】
更に、材料のプラズマ分散効果による電気光学変調によって光導波路の有効屈折率を変更することで、チューナブルフィルタを実現してもよい。
【0042】
本開示の実施例において、チューナブルフィルタは、SOI光導波路(薄膜シリコン材料(Silicon-on-insulator,SOI))に基づく熱的変調ブラッグ反射グレーティングフィルタ又はF-Pキャビティフィルタであってよい。
【0043】
図4に示すように、チューナブルブラッググレーティングフィルタ構造が示されており、13はシリコン下地であり、14はシリカ埋め込み酸化層であり、15は
加熱層であり(構造が限定されていない)、17はブラッグ反射グレーティングである(構造が限定されていない)。
【0044】
加熱層15は、電気信号を受信するために用いられ、ブラッググレーティング17は、加熱層15の下に位置し、グレーティング17の第1の端は、第2の光信号を受信するために用いられ、グレーティング17の第2の端は、第3の光信号を出力するために用いられる。
【0045】
光信号を加熱層15に入力してグレーティング17の有効屈折率を変更することで、グレーティング17を経由する第2の光信号を第3の光信号に変更する。
【0046】
図5に示すように、チューナブルFPキャビティフィルタ構造が示されており、13はシリコン下地であり、14はシリカ埋め込み酸化層であり、15は
加熱層であり(構造が限定されていない)、16は光導波路であり、17はブラッグ反射グレーティングである(構造が限定されていない)。
【0047】
具体的には、加熱層15は、電気信号を受信するために用いられ、光導波路16は、加熱層15の下に位置し、第1の分布ブラッグ反射鏡17は、光導波路16の第1の端に接続され、第2の光信号を受信するために用いられ、第2の分布ブラッグ反射鏡17は、光導波路16の第2の端に接続され、第3の光信号を出力するために用いられる。
【0048】
本開示の実施例において、F-Pキャビティの両側に第1の分布ブラッグ反射鏡17及び第2の分布ブラッグ反射鏡17が追加され、DBR(Distributed Bragg Reflector)F-Pキャビティフィルタを構成する。第2の光信号は、光導波路を介してDBR F-Pキャビティフィルタに入射し、まず、第1の分布ブラッグ反射鏡17に入り、中心波長の光波が第1の分布ブラッグ反射鏡17と第2の分布ブラッグ反射鏡17の間のF-Pキャビティにおいて干渉し、定常波を形成し、透過した光波が導波路を介して第3の光信号として出力される。両側のグレーティングを利用して反射率を設定し、透過した中心波長と第2の光信号の波長の間に一定のばらつきがあるように、F-Pキャビティの長さを合理的に設定し、F-Pキャビティが熱的変調又は電気的変調される場合、中心波長は第2の光信号の波長へシフトし、第2の光信号の波長における透過率が高くなり、適切な伝送曲線が得られる。それにより、第3の光信号光強度と第1の光信号光強度が非線形関係を呈することを実現する。
【0049】
図1に示すように、光源は、チューナブルフィルタの光信号入力端に設けられ、チューナブルフィルタに光信号を単独で提供する。チューナブルフィルタは、電気信号及び光源により提供された光信号に基づいて変調し、出力端で第3の光信号である光波5を出力する。
【0050】
上記光源は、チューナブルフィルタの入力光信号であり、当該入力光信号と線形演算後の光信号は、同じ波長を有する。初期の無変調状態で、チューナブルフィルタの中心波長と入力光信号の波長は等しく、
図6に示すように、この時、チューナブルフィルタの中心波長における反射率が最も大きく、透過率が最も小さく、出力光強度が0に近い。線形演算の出力光信号の光強度の変化につれて、チューナブルフィルタに加えられた変調電気信号が変化し、チューナブルフィルタの中心波長は右へシフトし、入力光信号の波長における光波の透過強度はそれに伴って変化し、即ち、フィルタの中心波長がシフトすると、入力光信号の波長における光波の透過率が変化する。それにより、フィルタの出力光強度とMZI行列の出力光強度が非線形関係を呈するようになる。
【0051】
図7に示すように、チューナブルフィルタの帯域幅及び自由スペクトル領域(Free Spectral Range,FSR)を一定の範囲内に設計し、MZI行列の出力光強度が小さい場合、フィルタの出力光強度も小さく、MZI行列の出力光強度が大きい場合、フィルタの出力光強度も大きい。従って、MZIネットワークの出力光信号に対して、チューナブルフィルタにおける光波の伝送は、tan
hに近似する関数を自然に実現し、それによって非線形関数を実現し、演算の速度及びエネルギー効率比を高めることができる。
【0052】
更に、本開示の1つの実施例において、MZIネットワーク、光電検出器、光源及びチューナブルフィルタで構成されたフォトニックニューラルネットワークをカスケードし、多層フォトニックニューラルネットワークを得る。
【0053】
具体的には、チューナブルフィルタの出力光信号を次の層のMZIネットワーク構造に直接入力して、多層ネットワークのカスケードを実現することができる。各層の非線形活性化関数部分の入力光信号は単独の光源から入力され、出力光強度と入力光強度には正の相関関係があり、同時に、多層カスケード時に光信号強度が挿入損失及び伝送損失によって減衰する問題も解決される。
【0054】
本開示の実施例によれば、MZIネットワーク又はDCネットワークによって入力光波に線形演算を行い、光電検出器は、MZIネットワーク又はDC線形演算後に出力された光信号を電気信号に変換するために用いられ、光源によりチューナブルフィルタに光信号を提供し、チューナブルフィルタは、電気信号及び光源により提供された光信号に基づいて変調して、光波を出力する。それにより、低電力消費、低遅延、高エネルギー効率比、高精度のフォトニックニューラルネットワークチップを実現し、且つ、各層の非線形活性化関数部分の入力光信号が単独の光源から入力され、出力光強度と入力光強度には正の相関関係があり、同時に、多層カスケード時に光信号強度が挿入損失及び伝送損失によって減衰する問題も解決される。
【0055】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例により提案されたチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを利用した変調方法について説明する。
【0056】
図8は、本開示の1つの実施例によるチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを利用した変調方法のフローチャートである。
【0057】
図8に示すように、当該チューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを利用した変調方法は、以下のステップを含む。
【0058】
S1、複数の入力光信号に線形演算を行い、複数の第1の光信号を得る。
【0059】
S2、前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換する。
【0060】
S3、複数の第2の光信号を得る。
【0061】
S4、複数の電気信号を利用して複数の第2の光信号を変調し、複数の第3の光信号を得る。
【0062】
具体的には、MZIネットワークによって複数の入力光信号に線形演算を行い、線形演算後に得られた複数の第1の光信号を複数の光電検出器に入力し、光電検出器により光信号を電気信号に変換し、且つ電気信号をチューナブルフィルタに入力し、熱的変調又は電気的変調によって光導波路の有効屈折率を変更することで、チューナブルフィルタを実現し、且つ、光源によりチューナブルフィルタに波長が線形演算と同じ第2の光信号を印加し、電気信号及び光源により提供された第2の光信号に基づいて変調し、出力端で第3の光信号を出力する。
【0063】
本開示の実施例において、第3の光信号の光強度と対応する第1の光信号の光強度は、非線形関係を有することで、ニューラルネットワークにおける活性化関数の機能を実現する。
【0064】
本開示の実施例において、入力光信号、第1の光信号、第2の光信号及び第3の光信号は、同じ波長を有する。
【0065】
より具体的には、線形演算部分が終わった後、光波がMZI行列から出力され、オンチップ集積された光電検出器により光信号を電気信号に変換し、チューナブルフィルタの変調信号としてチューナブルフィルタに加え、熱的変調又は電気的変調によって光導波路の有効屈折率を変更する。チューナブルフィルタに波長が線形演算と同じ光信号を入力し、チューナブルフィルタの入力光信号とする。初期の無変調状態で、チューナブルフィルタの中心波長と入力光信号の波長が等しいように設計される。
【0066】
前述したフォトニックニューラルネットワークの実施例に対する解釈説明は、当該実施例の方法にも適用されることを説明しておき、ここで繰り返して説明しない。
【0067】
本開示の実施例により提案されたチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを利用した変調方法では、MZIネットワークによって入力光波に線形演算を行い、線形演算後に得られた光信号を光電検出器に入力し、光電検出器により光信号を電気信号に変換し、且つ電気信号をチューナブルフィルタに入力し、熱的変調又は電気的変調によって光導波路の有効屈折率を変更することで、チューナブルフィルタを実現し、且つ、光源によりチューナブルフィルタに波長が線形演算と同じ光信号を印加し、電気信号及び光源により提供された光信号に基づいて変調し、出力端で光波を出力する。それにより、低電力消費、低遅延、高エネルギー効率比、高精度のフォトニックニューラルネットワークチップを実現し、且つ、各層の非線形活性化関数部分の入力光信号が単独の光源から入力され、出力光強度と入力光強度には正の相関関係があり、同時に、多層カスケード時に光信号強度が挿入損失及び伝送損失によって減衰する問題も解決される。
【0068】
なお、「第1」、「第2」という用語は説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は示唆するか又は指示された技術的特徴の数を表す意味を暗に含むと理解してはいけない。それにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明らか又は暗に含み得る。本開示の説明では、別途明確且つ具体的に限定されていない限り、「複数」の意味は、少なくとも2つであり、例えば2つ、3つなどである。
【0069】
本明細書の説明では、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照した説明は、当該実施例又は例に結合して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する概略的な記述は、必ず同じ実施例又は例に対するものであるとは限らない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つの又は複数の実施例又は例において適切な形で結合することができる。更に、相互に矛盾しない限り、当業者は、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴に対して結合及び組み合わせを行うことができる。
【0070】
前文で本開示の実施例を示して説明したが、上記の実施例は例示的なものであり、本開示を制限するものとして理解してはいけず、当業者は、本開示の範囲内で上記の実施例に変更、修正、置換及び変形を行うことができる。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
複数の入力光信号を受信するための複数の入力端と、
複数の第1の光信号を出力するための複数の出力端と、を含む線形演算ネットワークであって、前記複数の入力光信号と前記複数の第1の光信号は、1対1の対応関係を有し、各入力光信号の光強度と対応する第1の光信号の光強度は、線形関係を有する線形演算ネットワークと、
前記複数の第1の光信号を受信し、前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するための複数の光電検出器と、
複数の第2の光信号を出力するための複数の光源と、
それぞれ1つの光電検出器及び1つの光源に接続され、且つそれぞれ前記光電検出器から出力された前記電気信号及び前記光源から出力された前記第2の光信号を受信し、前記電気信号に基づいて前記第2の光信号を変調して第3の光信号を出力するための複数のチューナブルフィルタと、を備え、
前記第3の光信号の光強度と対応する前記第1の光信号の光強度は、非線形関係を有することを特徴とするチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C2]
前記線形演算ネットワークは、Mach-Zehnder interferometer(MZI)ネットワーク又はDirect coupler(DC)ネットワークを含むことを特徴とするC1に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C3]
前記入力光信号、前記第1の光信号、前記第2の光信号及び前記第3の光信号は、同じ波長を有することを特徴とするC1又は2に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C4]
前記チューナブルフィルタは、ブラッグ反射グレーティングフィルタを含むことを特徴とするC1~3のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C5]
前記ブラッグ反射グレーティングフィルタは、
前記電気信号を受信するための加熱層と、
前記加熱層の下に位置し、第1の端が前記第2の光信号を受信するために用いられ、第2の端が前記第3の光信号を出力するために用いられるブラッググレーティングと、を含むことを特徴とするC4に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C6]
熱的変調又は電気的変調によって前記ブラッググレーティングの有効屈折率を変更することで、前記チューナブルフィルタを実現することを特徴とするC5に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C7]
前記チューナブルフィルタは、F-Pキャビティフィルタを含むことを特徴とするC1~3のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C8]
前記F-Pキャビティフィルタは、
前記電気信号を受信するための加熱層と、
前記加熱層の下に位置する光導波路と、
前記光導波路の第1の端に接続され、前記第2の光信号を受信するための第1の分布ブラッグ反射鏡と、
前記光導波路の第2の端に接続され、前記第3の光信号を出力するための第2の分布ブラッグ反射鏡と、を含むことを特徴とするC7に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C9]
前記光信号を前記加熱層に入力して前記光導波路の有効屈折率を変更することで、前記光導波路を経由する前記第2の光信号を前記第3の光信号に変更することを特徴とするC8に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C10]
前記MZIネットワークは、複数の基本ユニットを含み、前記基本ユニットは、カプラ、外部移相器及び内部移相器を含み、前記カプラは、前記外部移相器と前記内部移相器の間に位置することを特徴とするC2~9のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C11]
前記DCネットワークは、複数の基本ユニットを含み、前記基本ユニットは、変調アーム及びチューナブルDCカプラを含むことを特徴とするC2~9のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C12]
前記チューナブルフィルタの中心波長は、初期又は無変調状態の時に前記第2の光信号の波長と同じであることを特徴とするC1~11のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C13]
前記チューナブルフィルタに印加された前記電気信号が変化すると、前記チューナブルフィルタの中心波長がシフトし、前記第2の光信号の波長における光波の透過強度が変化することで、前記チューナブルフィルタから出力された前記第3の光信号の光強度と前記線形ネットワークから出力された前記第1の光信号の光強度が非線形関係を呈するようになることを特徴とするC1~12のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワーク。
[C14]
複数のC1~13のいずれか一項に記載のチューナブルフィルタに基づくシリコン基板上のフォトニックニューラルネットワークを含むフォトニック集積回路。
[C15]
複数の入力光信号に線形演算を行い、複数の第1の光信号を得るステップと、
前記複数の第1の光信号を複数の電気信号に変換するステップと、
複数の第2の光信号を得るステップと、
複数の電気信号を利用して複数の第2の光信号を変調し、複数の第3の光信号を得るステップと、を含み、
前記第3の光信号の光強度と対応する前記第1の光信号の光強度は、非線形関係を有することを特徴とする光信号の変調方法。
[C16]
前記入力光信号、前記第1の光信号、前記第2の光信号及び前記第3の光信号は、同じ波長を有するC15に記載の方法。