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特許7420367釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロート
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  • 特許-釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロート
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20240116BHJP
   A01K 91/02 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A01K85/00 Z
A01K91/02 Z
A01K85/00 301A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019165718
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021040552
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519330537
【氏名又は名称】吉田 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 聡
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-24182(JP,U)
【文献】特開2007-330164(JP,A)
【文献】特開2003-204734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 83/00 - 85/18
A01K 91/00 - 91/16
A01K 91/20 - 95/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木と、前記餌木に取り付けられる釣針とを備えた釣り用仕掛けであって、
前記摺動部材は、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、
前記釣針は、針部と、前記針部が設けられる軸部材とを有し、
前記軸部材の一端は、前記餌木の尾部に固定され、
前記軸部材の他端には、前記突出部材が差し込まれる差込部が設けられてあり、
前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、
前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられている釣り用仕掛け。
【請求項2】
前記軸部材は、カーボンパイプであり、炭素繊維の繊維方向は軸部材の長手方向に沿ってある請求項1記載の釣り用仕掛け。
【請求項3】
前記餌木は、その下部に設けた棒状部材に移動可能に取り付けられた可動ウエイトをさらに備え、前記可動ウエイトは、前記棒状部材を貫通させる貫通孔と前記棒状部材との間に抵抗部材を介在させてある請求項1又は2記載の釣り用仕掛け。
【請求項4】
ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記ラインに接続され前方にウエイトを有するルアーと、前記ルアーに取り付けられる釣針とを備えた釣り用仕掛けであって、
前記摺動部材は、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、
前記ルアーの尾部には、前記突出部材が差し込まれる差込部が設けられてあり、
前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、
前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられている釣り用仕掛け。
【請求項5】
前記差込部は、前記ルアーの尾部にその長手方向に沿って形成された凹部である請求項4記載の釣り用仕掛け。
【請求項6】
前記差込部は、前記ルアーの尾部の外周面に設けられてある請求項4記載の釣り用仕掛け。
【請求項7】
前記摺動部材は、フロートである請求項1~6のいずれかに記載の釣り用仕掛け。
【請求項8】
ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木に前記ラインを仮止めする釣り用仕掛けに用いられるライン仮止具であって、
前記ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記餌木に取り付けられる釣針とよりなり、
前記摺動部材は、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、
前記釣針は、針部と、前記針部が設けられる軸部材とよりなり、
前記軸部材の一端は、前記餌木の尾部に固定され、
前記軸部材の他端には、前記突出部材が差し込まれる差込部が設けられてあり、
前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、
前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられているライン仮止具。
【請求項9】
ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木又はルアーに前記ラインを仮止めする釣り用仕掛けに用いられ、前記ラインに摺動可能に装着されるフロートであって、
本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、
前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、
前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられているフロート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロートに関する。さらに詳しくは、ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木と、前記餌木に取り付けられる釣針とを備えた釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上述の如き釣り用仕掛けとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この釣り用仕掛けは、ラインを挿通させる貫通孔を有する小片と、餌木本体に固定された釣針から後方に向けて突出するピンとを備え、小片の貫通孔にピンを挿入することで、餌木本体にラインを仮止めする。しかし、釣針からピンが突出しているため、イカに対し違和感を生じさせる構成となり、取扱いにも注意が必要であった。また、ラインが挿通された貫通孔にピンを挿入するため、ピンとラインとが接触し、ラインが傷つく場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-330164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、イカや魚に違和感を生じさせることなく、扱い易く且つ長期にわたり使用可能な釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る釣り用仕掛けの特徴は、ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木と、前記餌木に取り付けられる釣針とを備えた構成において、前記摺動部材は、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、前記釣針は、針部と、前記針部が設けられる軸部材とを有し、前記軸部材の一端は、前記餌木の尾部に固定され、前記軸部材の他端には、前記突出部材が差し込まれる差込部が設けられてあり、前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられていることにある。
【0006】
上記構成によれば、摺動部材の本体部にラインを挿通させる貫通孔と本体部から突出する突出部材とが設けられているので、キャスティングの際にラインに張力が負荷されている状況において、貫通孔内でラインと突出部材とが接触する(擦れ合う)ことがなく、ラインを傷つけることがない。さらに、釣針の軸部材の一端を餌木の尾部に固定すると共に軸部材の他端に突出部材を差し込み可能な差込部を設けている。よって、ラインを餌木本体に仮止めする際に摺動部材の突出部材を軸部材の差込部に差し込むだけでよく、取り扱いやすく作業性がよい。しかも、釣針ではなく摺動部材に突出部材を設けているので、イカに対し違和感をも生じさせない。また、軸部材は餌木の尾部に固定されているので、ラインを餌木に仮止めすると、ウエイトはラインの前方に位置する。従って、安定したキャスティングを行うことができる。
【0007】
さらに、キャスティングの際にラインに張力が負荷されている状態では、摺動部材の突出部材が釣針の軸部材の差込部から離脱し難くなり、より安定したキャスティングが可能となる。
【0008】
また、前記軸部材は、カーボンパイプであり、炭素繊維の繊維方向は軸部材の長手方向に沿ってあるとよい。これにより、イカが食い付く餌木の尾部を強化することができる。
【0009】
前記餌木は、その下部に設けた棒状部材に移動可能に取り付けられた可動ウエイトをさらに備え、前記可動ウエイトは、前記棒状部材を貫通させる貫通孔と前記棒状部材との間に抵抗部材を介在させてあるとよい。可動ウェイトは、餌木のキャスト及び飛行時に、遠心力により棒状部材を介して前方へ移動するので、餌木の重心が前方へ移動することで餌木の飛行姿勢が安定し、より遠方へキャストできる。しかも、釣り人がラインをシャクることで、可動ウェイトは後部へ移動するが、抵抗部材を介在させることにより、可動ウェイトは後部で保持される。よって、餌木本体の水中での角度が水平に近くなり、イカの釣針への掛かりが良くなる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る釣り用仕掛けの他の特徴は、ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記ラインに接続され前方にウエイトを有するルアーと、前記ルアーに取り付けられる釣針とを備えた構成において、前記摺動部材は、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、前記ルアーの尾部には、前記突出部材が差し込まれる差込部が設けられてあり、前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられていることにある。
【0011】
上記構成によれば、摺動部材の本体部にラインを挿通させる貫通孔と本体部から突出する突出部材とが設けられているので、キャスティングの際にラインに張力が負荷されている状況において、貫通孔内でラインと突出部材とが接触する(擦れ合う)ことがなく、ラインを傷つけることがない。さらに、ルアーの尾部に突出部材を差し込み可能な差込部を設けている。よって、ラインをルアー本体に仮止めする際に摺動部材の突出部材をルアーの尾部の差込部に差し込むだけでよく、取り扱いやすく作業性がよい。しかも、釣針ではなく摺動部材に突出部材を設けているので、魚に対し違和感をも生じさせない。また、差込部をルアーの尾部に設けているので、ラインをルアーに仮止めすると、ウエイトはラインの前方に位置する。従って、安定したキャスティングを行うことができる。
【0012】
さらに、キャスティングの際にラインに張力が負荷されている状態では、摺動部材の突出部材がルアーの尾部に設けた差込部から離脱し難くなり、より安定したキャスティングが可能となる。
【0013】
前記差込部は、前記ルアーの尾部に形成された凹部であってもよく、前記ルアーの尾部の外周面に設けてもよい。さらに、上記いずれかの構成において、前記摺動部材は、フロートであるとよい。これにより、着水時に浮力によってもラインの仮止めを解除することが可能となる。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係るライン仮止具の特徴は、ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木に前記ラインを仮止めする釣り用仕掛けに用いられる構成において、前記ラインに摺動可能に装着される摺動部材と、前記餌木に取り付けられる釣針とよりなり、前記摺動部材は、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、前記釣針は、針部と、前記針部が設けられる軸部材とよりなり、前記軸部材の端部には、前記突出部材が差し込まれる差込部が設けられてあり、前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられていることにある。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るフロートの特徴は、ラインに接続され前方にウエイトを有する餌木又はルアーに前記ラインを仮止めする釣り用仕掛けに用いられ、前記ラインに摺動可能に装着される構成において、本体部と、前記本体部を貫通し前記ラインのみを挿通させる貫通孔と、前記本体部から一方向にのみ突出する突出部材とを有し、前記突出部材は、その突出部材の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致するように設けられ、前記貫通孔は、その貫通孔の軸が前記本体部の平面視において前記本体部の中心軸と一致し且つ前記本体部の正面視において前記突出部材の突出方向の反対側の前記本体部の外側で前記本体部の中心軸と交差するように傾斜して設けられていることにある。
【0016】
これらライン仮止具及びフロートは、交換可能な部品(釣具)として、単独で実施することが可能である。例えば、市販されている餌木に取り付けられている釣針をライン仮止具の釣針と取り替えて、ラインにライン仮止具の摺動部材をラインに装着することで使用できる。また、餌木やルアーに接続されたラインにフロートとして装着して使用することもできる。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明に係る釣り用仕掛け並びにこれに用いられるライン仮止具及びフロートの特徴によれば、イカや魚に違和感を生じさせることなく、扱い易く且つ長期にわたり使用することが可能となった。
【0018】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態に係る釣り用仕掛けにおいて、ラインを餌木本体に仮止めした状態を示す図である。
図2】着水後に仮止めが解除された状態を示す図である。
図3】餌木を牽引している状態を示す図である。
図4】摺動部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図である。
図5】突出部材を示す図である。
図6】餌木本体を示す図である。
図7】カンナを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)の右正面図である。
図8】ウエイトの構成を示す模式図である。
図9】ラインの仮止めを説明する図であり、(a)は突出部材の差込前の状態を示す図、(b)は突出部材の差込後の状態を示す部分拡大断面図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る釣り用仕掛けにおいて、ラインをルアー本体に仮止めした状態を示す図である。
図11】本発明の第二実施形態の改変例を示す図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図1~9を参照しながら、本発明の第一実施形態を詳しく説明する。
本発明の第一実施形態に係る釣り用仕掛け1Aは、図1~3に示すように、大略、ライン5に摺動可能に装着される摺動部材2と、ライン5に接続され前方にウエイト6を有する疑似餌としての餌木3と、この餌木3に取り付けられる釣針としてのカンナ(イカ針)4とを備える。
【0021】
摺動部材2は、図4に示すように、大略、本体部20と、本体部20を貫通しライン5を挿通させる貫通孔21と、本体部20から突出する突出部材22とを有する。本実施形態において、摺動部材2は、フロートを構成する。本実施形態において、本体部20は、略球状を呈し、図2に示すように、ライン5に沿って摺動可能な浮力を生じさせるものであり、例えば合成樹脂製である。
【0022】
ここで、図4に示すように、突出部材22の軸22aは、本体部20の中心軸20aと一致する。貫通孔21の軸21aは、同図(a)に示す如く本体部20の中心軸20aと一致する。一方、同図(b)に示す如く正面視において、貫通孔21の軸21aは、本体部20の中心軸20aと交差するように傾斜させている。なお、同図の例では、貫通孔21の両端部を補強する補強部材20cを設けているが、必須の構成ではなく省略してもよい。
【0023】
突出部材22は、例えばステンレス鋼ワイヤーよりなるピンであり、図5に示すように、ピン本体22bの一方の端部22b1側には、例えばハンマー等で変形させた張出部22cが形成されている。この張出部22cが形成された端部22b1側を本体部20に埋設する。これにより、ピン22の本体部20からの脱落(抜け)を防止する。
【0024】
第一実施形態における疑似餌としての餌木3は、図6に示すように、大略、餌木本体30と、ライン5を接続させる接続部材としてのラインアイ31と、後述するウエイト6を支持する棒状部材63を固定する固定部32a,32bと、後述する釣針4の軸部材42が嵌入され固定される嵌入部33とを備える。
【0025】
ラインアイ31は、餌木3の頭部30a先端に埋設されている。また、固定部32a,32bは、餌木3の頭部30a及び腹部30bに凹部として形成されてあり、棒状部材63の端部を係止される係止部32c,32dが設けられている。嵌入部33は、カンナ4の軸部材42の一端42bが嵌入される有底の穴である。なお、餌木本体30には、目や羽等の装飾部材35を取り付ける取付部34が設けられている。
【0026】
第一実施形態における釣針としてのカンナ4は、図7に示すように、大略、餌木3の頭部30aに向けて湾曲させた複数の針が傘状になるように連結固定された針部41と、この傘状の針部41が他端42a側に設けられる軸部材42よりなる。
【0027】
本実施形態において、軸部材42は、中空のカーボンパイプであり、その炭素繊維の繊維方向Fは軸部材42の長手方向に沿ってある。そして、軸部材42の一端42b側は、餌木本体30の尾部30cに形成された嵌入部33に嵌入され、例えば接着剤で固着される。これにより、イカが食い付く餌木本体30の尾部30cの強度を向上させることができる。
【0028】
さらに、軸部材42の他端42aには、図7(b)に示すように、フロート2に設けたピン22を差し込み可能な差込部42cが設けられている。本実施形態において、差込部42cは軸部材42の中空部である。これにより、ピン22とライン5とが貫通孔21内で接触する(擦れ合う)ことなく、ライン5を餌木3に仮止めできるので、ライン5が摺れて損傷することを防止できる。
【0029】
本実施形態において、ウエイト6は、図8に示すように、固定ウエイトとしての第1シンカー61と、棒状部材63に摺動(移動)可能に取り付けられた可動ウエイトとしての第2シンカー62よりなる。第1シンカー61は、その内部で棒状部材63の前側端部を固定すると共に、前側屈曲部63aを餌木本体30の係止部32cに係止させた状態で前側固定部32aに固定される。また、棒状部材63の後側屈曲部63bは、餌木本体30の係止部32dに係止させた状態で後側固定部32bに固定される。これらの固定は、例えば接着剤により固着される。これにより、餌木3の前方(頭部30a側)に重心を位置させることができ、キャスティング姿勢を向上させることができる。
【0030】
さらに、本実施形態において、第2シンカー62には、棒状部材61を貫通させる貫通孔62aと棒状部材61との間に抵抗部材としてシリコン部材64を介在させてある。餌木3がキャストされると、第2シンカー62は遠心力によって頭部30a側へ移動するので、餌木3の重心は頭部30a(前方)へ移動する(偏る)。よって、餌木3の飛行姿勢が安定し、より遠方へキャストできる。そして、餌木3の着水後、釣り人がライン5を引っ張る(シャクリを入れる)ことで、第2シンカー62は腹部30b(後部)へ移動する。しかし、第2シンカー62は、シリコン部材64が抵抗となって腹部30b(後部)で保持される。よって、餌木本体30の水中での姿勢がほぼ水平となるので、イカの食い付きを向上させることができる。
【0031】
ここで、釣り用仕掛け1Aにおけるライン5の仮止めについて説明する。
第一実施形態において、仮止具10は、ライン5に移動可能に装着される摺動部材としてのフロート2と、疑似餌としての餌木3に取り付けられる釣針としてのカンナ4とより構成される。図9(a)に示すように、カンナ4の軸部材42の差込部42cにフロート2の突出部材22を差し込み、ライン5を餌木3に仮止めする。これにより、図1に示すように、ウエイト6が釣り用仕掛け1Aの下部(ライン5の先端)に位置することとなり、キャスティングが安定して行え、より遠方にキャストすることができる。
【0032】
しかも、上述したように、貫通孔21の軸21aは、突出部材22の軸22a(本体部20の中心軸20a)と交差するように傾斜させている。よって、図9(b)に示すように、ライン5と突出部材22の方向が相違するので、ライン5に張力が負荷されている状態ではフロート2がカンナ4から離脱しにくくなり、安定したキャスティングが可能となる。また、同図に示すように、突出部材22は本体部20から外方に向けて設けられ、貫通孔21は本体部20の内部に設けられているので、キャスティングの際にライン5に張力が負荷されている状況において、貫通孔21内でライン5と突出部材22とが接触する(擦れ合う)ことがない。よって、ライン5が傷つきにくく、耐久性が向上する。
【0033】
そして、餌木3が着水すると、着水時の衝撃やフロート2の浮力によって、図2に示すように、ライン5の仮止めが解除される。さらに、リール及び竿を操作してライン5を引き寄せる(又はシャクる)ことで、図3に示す如くバランスをとって餌木3を泳がせることができる。この際、第2シンカー62はシリコン部材64が抵抗となり小さい荷重では摺動せず、腹部30b(後部)で保持される。よって、餌木本体30の水中での角度が水平に近くなり、イカのカンナ4への掛かりが良くなる。
【0034】
上述の摺動部材(フロート)2及びカンナ(釣針)4は、ライン5に接続され前方にウエイト6を有する餌木3にライン5を仮止めする釣り用仕掛け1に用いられるライン仮止具10を構成する。市販されている餌木に固定された釣針をこのカンナ4(釣針)に取り替えると共にライン5に上述の摺動部材(フロート)2を装着することで、市販の餌木にライン仮止具10を適用することができる。
【0035】
次に、図10を参照しながら、本発明の第二実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、上記実施形態と同様の部材等には同一の符号を付してある。
【0036】
第二実施形態における釣り用仕掛け1Bは、上述の摺動部材2と、ライン2に接続され前方にウエイト6’を有する疑似餌としてのルアー7と、ルアー7に取り付けられる釣針としてのフック8とを備える。
【0037】
図10に示すように、ルアー本体70の尾部70cには、突出部材22を差し込み可能な差込部として凹部72が形成されている。この凹部72は、尾部70cをルアー本体70cの長手方向に削ることで形成されている。よって、フロート2の突出部材22を尾部70cの凹部72に差し込むことによって、ライン5をルアー7に仮止めすることができる。従って、上記第一実施形態と同様に、貫通孔21内でライン5と突出部材22とが接触する(擦れ合う)ことがないのでライン5が傷つきにくく、また、安定したキャスティングが可能となる。
【0038】
また、本実施形態においても、貫通孔21の軸21aは平面視で本体部20の中心軸20aと一致するが、正面視では本体部20の中心軸20aと交差するように傾斜させている。よって、上記第一実施形態と同様に、キャスティングの際にライン5に張力が負荷されている状態では、突出部材22が差込部72から離脱し難くなり、より安定したキャスティングが可能となる。
【0039】
最後に、本発明のさらに他の実施形態の可能性について説明する。
上記第二実施形態において、突出部材22を差し込み可能な差込部72をルアー本体70の尾部70cに直接形成したが、この態様に限られない。例えば、図11に示すように、ルアー本体70の尾部70c近傍の外周面に差込部74を形成した差込部材73を設けても構わない。このように、ルアー本体70の尾部70cにルアー本体70の長手方向に突出部材22を差し込み可能な差込部72,74が形成されていればよい。なお、差込部材73をルアー本体70の尾部70cと別体とし着脱可能とすることで、上述の摺動部材2と差込部材73とをラインに接続され前方にウエイト6’を有するルアー7にライン5を仮止めするライン仮止具10’として構成することも可能である。
【0040】
上記第一実施形態において、ウエイト6を固定ウエイトとしての第1シンカー61と、可動ウエイトとしての第2シンカー62とにより構成した。しかし、ウエイト6は、上記構成に限られるものではなく、固定ウエイト又は可動ウエイトを単独で設けてよく、可動ウエイトの構成も上記構成に限られない。第二実施形態のウエイト6’も適宜設定可能である。
【0041】
上記第一実施形態において、軸部材42としてカーボンパイプを用いたがこれに限られるものではない。軸部材42の少なくとも他端42aに突出部材22を差し込み可能な差込部42cが形成されていればよく、例えば軸部材42の一端42bは中実(棒状体)であってもよい。なお、軸部材42の材質は上述の如き炭素繊維に限定されないが、強度の点で上記実施形態が優れている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、餌木やルアーの釣り用仕掛けとして利用することができる。また、餌木にラインを仮止めする交換可能なライン仮止具としても利用でき、釣り用仕掛けに用いられるフロートとしても実施可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,1A,1B,1B’:釣り用仕掛け、2:摺動部材(フロート)、3:餌木(疑似餌)、4:カンナ(釣針)、5:ライン、6,6’:ウエイト、7:ルアー(疑似餌)、8:フック(釣針)、10,10’:ライン仮止具、20:本体部、20a:中心軸、20c:補強部材、21:貫通孔、21a:軸、22:ピン(突出部材)、22a:軸、22b:ピン本体、22b1:端部、22c:張出部、30:餌木本体、30a:頭部、30b:腹部、30c:尾部、31:ラインアイ(接続部材)、32a:前側固定部、32b:後側固定部、32c,32d:係止部、33:嵌入部、34:取付部、35:装飾部材、40:、41:針部、42:軸部材、42a:他端、42b:一端、42c:差込部、60:、61:第1シンカー(固定ウエイト)、62:第2シンカー(可動ウエイト、63:棒状部材、63a:前側屈曲部、63b:後側屈曲部、64:シリコン部材(抵抗部材)、70:ルアー本体、70a:頭部、70b:腹部、70c:尾部、71:ラインアイ(接続部材)、72:凹部(差込部)、73:差込部材、74:差込部、F:繊維方向、W:海
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図11