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特許7420371ガスボンベ管理装置及びガスボンベシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ガスボンベ管理装置及びガスボンベシステム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20240116BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
F17C13/02 301A
F16K37/00 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019209742
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021081013
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】594034050
【氏名又は名称】株式会社ハーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】山田 利明
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-092735(JP,A)
【文献】特開2006-172411(JP,A)
【文献】特開昭62-140197(JP,A)
【文献】特開平07-293742(JP,A)
【文献】特開平10-332092(JP,A)
【文献】特表2004-514846(JP,A)
【文献】特開2013-200149(JP,A)
【文献】特開2019-195615(JP,A)
【文献】特開2005-265739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用側及び予備側の2つのガスボンベに接続された自動切替式調整器に着脱可能に取り付けられるガスボンベ管理装置であって、
前記自動切替式調整器は、回動操作によって使用側及び予備側のガスボンベを切り替えるための切替ハンドル、及び、前記切替ハンドルに設けられ、使用側のガスボンベの残量の低下を検知した場合に特定の色を表示する表示部を有しており、
前記表示部を含む前記切替ハンドルを覆い、前記切替ハンドルの回動に伴って回動するように前記自動切替式調整器に装着され、
前記表示部の色を検出する色検出部と、
検出した色に応じて、前記ガスボンベの残量が低下したことを示す無線信号を外部の装置に対して送信する無線通信部と
検出した色に応じた色を表示する色表示部と
を備える、
ガスボンベ管理装置。
【請求項2】
前記切替ハンドルの操作を検出する操作検出部をさらに備え、
前記無線通信部は、ガスボンベの交換が行われてから所定時間経過するまでに前記切替ハンドルの操作が検出されなかった場合に、前記切替ハンドルの操作が行われていないことを示す無線信号を外部の装置に対して送信する、
請求項1に記載のガスボンベ管理装置。
【請求項3】
前記操作検出部は、前記切替ハンドルの操作に伴って移動するセンサを有しており、当該センサの移動量に基づいて前記切替ハンドルの操作を検出する、
請求項2に記載のガスボンベ管理装置。
【請求項4】
自装置に電力を供給する電池と、
前記電池の電池残量を検出する電池残量検出部と
をさらに備え、
前記無線通信部は、前記電池の電池残量が所定値以下となった場合に、電池残量が少なくなったことを示す無線信号を外部の装置に対して送信する、
請求項1乃至3の何れかに記載のガスボンベ管理装置。
【請求項5】
前記自動切替式調整器までの距離を検出するためのセンサをさらに備え、
前記無線通信部は、前記自動切替式調整器までの距離が所定の閾値以上となった場合に、前記自動切替式調整器から取り外されたことを示す無線信号を外部の装置に対して送信する、
請求項1乃至4の何れかに記載のガスボンベ管理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のガスボンベ管理装置と、当該ガスボンベ管理装置と通信可能に接続されるサーバ装置とを備えるガスボンベ管理システムであって、
前記サーバ装置は、
前記ガスボンベ管理装置から送信された無線信号に基づいて、ガスボンベの交換を促すための交換要請情報を、ガスボンベ業者に通知する通知手段を具備する、
ガスボンベ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LPガスなどのガスボンベの状態を管理するガスボンベ管理装置、及びガスボンベ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用側及び予備側の2つのガスボンベに接続される自動切替式調整器は、何れかのガスボンベの残量が少なくなった場合に表示窓に赤色を表示することによって、ガスボンベの交換を促すものが一般的である。この表示を容易に視認できるようにするための技術として、特許文献1には、本体正面及び側面から表示を視認可能にする表示部を備えた調整器が開示されている。この調整器の場合、本体の側面からも表示を視認することができるため、作業者は容易に表示を確認することができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-92735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したとおり、特許文献1に記載の調整器では作業者が容易に表示を確認することができるものの、その表示を確認するためには作業者がガスボンベの設置先に出向かなければならず、その手間及びコストが問題になる。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上述した課題を解決することができるガスボンベ管理装置及びガスボンベ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様のガスボンベ管理装置は、使用側及び予備側の2つのガスボンベに接続された自動切替式調整器に着脱可能に取り付けられるガスボンベ管理装置であって、前記自動切替式調整器は、使用側のガスボンベの残量の低下を検知した場合に特定の色を表示する表示部を有しており、前記表示部の色を検出する色検出部と、検出した色に応じて、前記ガスボンベの残量が低下したことを示す無線信号を外部の装置に対して送信する無線通信部とを備える。
【0007】
前記態様において、検出した色に応じた色を表示する色表示部をさらに備えていてもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記自動切替式調整器は、2つのガスボンベの使用側及び予備側を切り替えるための切替ハンドルを有しており、前記切替ハンドルの操作を検出する操作検出部をさらに備え、前記無線通信部は、ガスボンベの交換が行われてから所定時間経過するまでに前記切替ハンドルの操作が検出されなかった場合に、前記切替ハンドルの操作が行われていないことを示す無線信号を外部の装置に対して送信するようにしてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記操作検出部は、前記切替ハンドルの操作に伴って移動するセンサを有しており、当該センサの移動量に基づいて前記切替ハンドルの操作を検出するようにしてもよい。
【0010】
また、前記態様において、自装置に電力を供給する電池と、前記電池の電池残量を検出する電池残量検出部とをさらに備え、前記無線通信部は、前記電池の電池残量が所定値以下となった場合に、電池残量が少なくなったことを示す無線信号を外部の装置に対して送信するようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記自動切替式調整器までの距離を検出するためのセンサをさらに備え、前記無線通信部は、前記自動切替式調整器までの距離が所定の閾値以上となった場合に、前記自動切替式調整器から取り外されたことを示す無線信号を外部の装置に対して送信するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一の態様のガスボンベ管理システムは、前記態様のガスボンベ管理装置と、当該ガスボンベ管理装置と通信可能に接続されるサーバ装置とを備えるガスボンベ管理システムであって、前記サーバ装置は、前記ガスボンベ管理装置から送信された無線信号に基づいて、ガスボンベの交換を促すための交換要請情報を、ガスボンベ業者に通知する通知手段を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガスボンベの設置先に出向くことなく自動切替式調整器の表示を確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ガスボンベ管理システム及びその接続先の構成を示すブロック図。
図2】ガスボンベ管理装置の外観構成を示す正面図。
図3】ガスボンベ管理装置の構成を示すブロック図。
図4】自動切替式調整器の外観構成を示す正面図。
図5】ガスボンベ管理装置が装着された状態の自動切替式調整器の外観構成を示す正面図。
図6】ガスボンベ管理装置が装着された状態の自動切替式調整器の外観構成を示す正面図。
図7】ガスボンベ管理装置が装着された状態の自動切替式調整器の構成を示す裏面図。
図8】ガス残量検出処理の手順を示すフローチャート。
図9】ガスボンベ管理装置が装着された状態の自動切替式調整器の外観構成を示す正面図。
図10】操作忘れ検出処理の手順を示すフローチャート。
図11】電池残量検出処理の手順を示すフローチャート。
図12】盗難検出処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0016】
[システム全体の構成]
図1は、ガスボンベ管理システム及びその接続先の構成を示すブロック図である。ガスボンベ管理システム10は、サーバ装置1と、ガスボンベ管理装置(以下、単に「管理装置」という)2とを備えている。これらのサーバ装置1及び管理装置2は、インターネットを含む通信ネットワーク100と通信可能に接続されている。また、この通信ネットワーク100には、各ガスボンベ業者によって用いられる複数の業者側端末3が通信可能に接続されている。サーバ装置1は、通信ネットワーク100を介して、管理装置2及び業者側端末3と通信することができる。
【0017】
サーバ装置1は、コンピュータで構成されており、各ガスボンベ5を管理するための情報を格納する管理データベース(DB)1Aを備えている。この管理DB1Aには、ガスボンベ5を識別するためのボンベID毎に、ガスボンベ5の設置先に関する情報、ガスボンベ5を取り扱うガスボンベ業者に関する情報、ガスボンベ5の使用開始日、ガスボンベ5の使用終了日(交換日)、及び交換の要否を示す情報などの各種情報が格納されている。
【0018】
業者側端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話機又はタブレット端末等で構成される。後述するように、ガスボンベ業者は、業者側端末3を用いて、ガスボンベ5の交換要請などの各種情報を確認する。
【0019】
[ガスボンベ管理装置の構成]
管理装置2は、使用側及び予備側の2つのガスボンベ5,5に接続された自動切替式調整器(以下、単に「調整器」という)4に着脱可能に取り付けられるアタッチメント式の装置である。なお、調整器4は、ガスを使用する建物200に設けられた積算メータ6と接続され、また、積算メータ6を介して、建物200内に設けられたコンロ等のガス燃焼機器7と接続されている。
【0020】
図2は、管理装置2の外観構成を示す正面図であり、図3は、管理装置2の構成を示すブロック図である。また、図4は、調整器4の外観構成を示す正面図である。さらに、図5及び図6は、管理装置2が装着された状態の調整器4の外観構成を示す正面図である。なお、図6では、調整器4の構成のうち管理装置2によって隠れた部分が破線で示されている。
【0021】
調整器4は、一般に広く使用されている公知のものであって、使用側及び予備側の2つのガスボンベ5,5と接続され、使用側のガスボンベ5の圧力が所定値以下となった場合に、予備側のもう一方のガスボンベ5からも自動的にガスが供給されるように調整する機器である。以下、2つのガスボンベ5,5をガスボンベ5A,5Bと適宜区別して説明を続ける。
【0022】
図4に示すとおり、調整器4は、直方体状の筐体41と、2つのガスボンベ5A,5Bのそれぞれに接続されるガスホース42,43と、積算メータ6に接続される接続管44と、切替ハンドル45とを備えている。
【0023】
切替ハンドル45は、2つのガスボンベ5A,5Bの使用側及び予備側を切り替えるための操作部であって、全体として厚みのある円板状をなしている。切替ハンドル45は、図示しない回転軸に固定されており、その回転軸を中心として図中の矢印方向に回動可能となっている。作業者は、切替ハンドル45を回動させることによって使用側及び予備側の切り替えを行う。なお、切替ハンドル45の操作によって調整器4の内部に設けられている調整ねじが押し下げられ、その結果使用側が予備側と比べて高い圧力に設定される。これにより、使用側のガスボンベ5から優先的にガスが消費されることになる。
【0024】
また、切替ハンドル45は、使用側のガスボンベ5を指し示すための指示部46と、使用側のガスボンベ5の残量に応じた色を表示する表示部47とを備えている。指示部46は、切替ハンドル45の側面から幅方向一方側に突出する突出部46aを有しており、この突出部46aが指し示している側のガスボンベ5が使用側となる。図4に示す例では、突出部46aが図面に向かって右側を指し示しているため、右側に伸びるガスホース43に接続されているガスボンベ5Bが使用側となる。
【0025】
表示部47は、透明な部材で構成された表示窓47aと、その表示窓47aから視認可能な表示枠47bとで構成される。表示枠47bは、黒色に着色された黒色部位と赤色に着色された赤色部位とを有している。使用側のガスボンベ5からのガス供給圧力が所定値を超えている場合、表示枠47bの黒色部位が表示窓47aに対向する位置に位置付けられることにより、表示部47では黒色が表示される。また、使用側のガスボンベ5からのガス供給圧力が所定値以下となった場合、自動的に予備側のガスボンベ5からもガスが供給されるように調整されるとともに、表示枠47bの赤色部位が表示窓47aに対向する位置に位置付けられることによって表示部47に赤色が表示される。
【0026】
管理装置2は、図2に示すとおり、円板形状の筐体部2Aと、筐体部2A上に設けられた棒状のレバー部2Bとを備えている。レバー部2Bは、筐体部2Aの側面から幅方向両側に突出しており、一方側が他方側よりも大きく突出している。以下、大きく突出している側を先端部といい、もう一方の側を他端部という。レバー部2Bの先端部は、使用側のガスボンベ5を指し示すための指示部として機能し得る。
【0027】
管理装置2は、調整器4の切替ハンドル45を模した形状となっており、切替ハンドル45よりも外形が少し大きくなっている。切替ハンドル45の外側から筐体2Aを嵌合して装着することにより、切替ハンドル45の全体を覆うようにして管理装置2が調整器4に取り付けられる。図5及び図6には、管理装置2が取り付けられた状態の調整器4の構成が示されている。なお、図7は、その状態の調整器4の構成を示す裏面図である。この図7では、切替ハンドル45以外の構成は省略されている。
【0028】
なお、管理装置2は、調整器4の切替ハンドル45にねじ止めなどによって固定されてもよく、嵌合されるのみであってもよい。いずれの場合でも、管理装置2は、切替ハンドル45の回動を妨げることなく切替ハンドル45に装着される。そのため、管理装置2は、切替ハンドル45の回動に伴って回動する。
【0029】
管理装置2の筐体部2A及びレバー部2Bの内部には、図3に示す各構成要素が設けられている。以下、その構成要素の詳細について説明する。図3に示すとおり、管理装置2は、制御部21、メモリ部22、通信部23、アンテナ部24、色センサ25、加速度センサ26、色表示部27、及び各構成要素に電力を供給するための電池28を備えている。
【0030】
制御部21は、各構成要素の動作を制御するとともに、外部に対して送信する信号の生成、及び電池28の電池残量の検出等、後述する各種の処理を実行する。
【0031】
メモリ部22は、制御部21が処理する各種のデータを記憶するための装置である。また、このメモリ部22には、通信部23によって送受信される各種の信号が記憶される。
【0032】
通信部23は、例えばLTE(Long Term Evolution)回線で無線通信するための通信モジュールで構成されており、アンテナ24を備えている。通信部23は、制御部21の命令にしたがって、送信すべきデジタル信号を変調して無線信号を生成し、アンテナ24を介してその無線信号を外部へ送信する。
【0033】
色センサ25は、赤色・青色・緑色の反射光の比率に基づいて色を判別する公知のセンサであって、調整器4の切替ハンドル45に設けられた表示部47に表示される色を検出するためのものである。そのため、色センサ25は、管理装置2が調整器4に取り付けられたときに、表示窓47aに対向する位置に設けられている。
【0034】
加速度センサ26は、管理装置2の加速度を計測するためのセンサであって、レバー部2Bの先端部の内部に設けられている。加速度センサ26の計測値を時間について積分することにより、加速度センサ26又は管理装置2の移動量が得られる。より具体的には、後述するように、管理装置2が回動したときの加速度センサ26の移動量、管理装置2が調整器4から取りはずれたときの管理装置2の移動量が得られる。なお、加速度センサ26に代えて、または加速度センサ26とともに、角速度センサなどの他のセンサを設け、それによって管理装置2の移動量などを検出してもよい。
【0035】
色表示部27は、赤色LED(発光ダイオード)で構成されており、レバー部2Bの他端部において外方に露出して設けられている。そのため、色表示部27の表示は、外方から視認可能である。
【0036】
[システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の管理装置2及びガスボンベ管理システム10の動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。以下では、(1)ガスボンベ5の残量の低下を検出するためのガス残量検出処理、(2)切替ハンドル45の操作忘れを検出するための操作忘れ検出処理、(3)電池28の残量の低下を検出するための電池残量検出処理、及び(4)管理装置2の盗難を検出するための盗難検出処理の各処理について説明する。
【0037】
(1)ガス残量検出処理
上記のとおり、使用側のガスボンベ5からのガス供給圧力が所定値以下となった場合、調整器4の表示部47の表示が黒色から赤色に変化する。ガス残量検出処理では、管理装置2がこの色の変化に基づいてガス残量の低下を検出する。
【0038】
図8は、管理装置2及びサーバ装置1によって実行されるガス残量検出処理の手順を示すフローチャートである。図8に示すように、管理装置2は、色センサ25を用いて、調整器4の表示部47に表示されている色を検出し(S11)、その色が赤色であるか否かを判定する(S12)。
【0039】
ステップS12において表示色が赤色ではないと判定した場合(S12でNO)、管理装置2はステップS11に戻り、それ以降の処理を繰り返す。他方、表示色が赤色であると判定した場合(S12でYES)、管理装置2は、色表示部27を点灯する(S13)。
【0040】
次に、管理装置2は、通信部23を用いて、使用側のガスボンベ5の残量が低下したことを示す残量低下信号を生成し、これをサーバ装置1に対して送信する(S14)。なお、この残量低下信号には、使用側のガスボンベ5のガスボンベIDが含まれている。
【0041】
サーバ装置1は、管理装置2から送信された残量低下信号を受信すると(S21)、管理DB1Aを参照して当該ガスボンベ5を取り扱うガスボンベ業者を特定し、そのガスボンベ業者の業者側端末3に対して、ガスボンベ5の交換を促すための交換要請情報を送信する(S22)。また、サーバ装置1は、当該ガスボンベ5の交換が必要になったことを示す情報を管理DB1Aに登録する(S23)。
【0042】
以上のガス残量検出処理によって、残量が少なくなったガスボンベ5の交換要請情報をガスボンベ業者が受け取ることができる。これにより、ガスボンベ業者は、ガスボンベ5の設置先まで出向かなくても、そのガスボンベ5の交換時期を知ることができる。その後、ガスボンベ業者がガスボンベ5の交換を行うことによって、ガス切れの発生を防止することができる。
【0043】
なお、調整器4に管理装置2が取り付けられている場合、調整器4の表示部47は管理装置2の筐体部2Aに覆われて外部から視認することができないため、ガスボンベ業者は表示部47の表示を確認することができない。しかし、本実施の形態の場合、その代わりに色表示部27に赤色光が点灯されるので、ガスボンベ業者は、この表示によっても交換の必要があることを確認することができる。ガスボンベ業者は、上記のとおり交換要請情報を受け取ることができるため、色表示部27による表示がなくても交換が必要であることを確認することができるが、色表示部27による表示があることによって、交換作業のために設置先に出向いたガスボンベ業者が交換対象のガスボンベ5を容易に確認できるなどのメリットが生じる。また、ガスボンベ業者以外の者がガスボンベ5の交換の必要性を知ることも可能になる。
【0044】
また、上記のとおり、調整器4の表示部47は管理装置2の筐体部2Aに覆われているため、色センサ25は、外光の影響を受けることなく表示部47の表示色を検出する。そのため、当該表示色を精度良く検出することが可能になる。
【0045】
(2)操作忘れ検出処理
ガスボンベ業者は、上記の交換要請情報に応じてガスボンベ5の設置先に出向き、ガスボンベの交換作業を行う。この場合、ガスボンベ業者は、調整器4の切替ハンドル45を操作して予備側を使用側に切り替えた後、使用側であったガスボンベ5を取り外して新たなガスボンベに交換する。このとき、ガスボンベ業者が切替ハンドル45の操作を忘れると、交換された新たなガスボンベ5から優先的に消費されてしまうという不都合が生じる。以下の操作忘れ検出処理は、このような不都合の発生を抑制するための処理である。
【0046】
なお、本実施の形態では、調整器の4の切替ハンドル45に管理装置2が取り付けられており、この管理装置2は切替ハンドル45とともに回動可能となっている。ガスボンベ業者は、ガスボンベの交換作業の際、管理装置2のレバー部2Bを把持して所望の方向に回動させることによって切替ハンドル45の操作を行う。例えば、図5に示すように、ガスボンベ5Bが使用側の場合であって、ガスボンベ5Bが新たなガスボンベに交換されるために予備側のガスボンベ5Aを使用側に切り替えるとき、ガスボンベ業者は、図9に示すように、管理装置2を切替ハンドル45とともに矢印方向に回動させて、ガスボンベ5Aを使用側に設定する。この操作忘れを検出するために、管理装置2は以下の操作忘れ検出処理を実行する。
【0047】
図10は、管理装置2及びサーバ装置1によって実行される操作忘れ検出処理の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、管理装置2は、上記のガス残量検出処理によって交換が必要と判断されたガスボンベ5の交換が完了したか否かを判定する(S31)。この判定は種々の手法で実現することができる。例えば、サーバ装置1が、ガスボンベの交換作業が完了した旨(又は交換作業を行う予定である旨)を示す情報を業者側端末3から取得し、それを管理装置2に通知することによって、管理装置2がガスボンベ5の完了を検知することが想定される。その他にも、管理装置2が、上記のガス残量検出処理において残量低下信号の送信日時を記憶しておき、その送信日時から所定期間経過した場合に、ガスボンベ5の交換が完了したとみなすようにしてもよい。
【0048】
管理装置2は、ガスボンベ5の交換が完了したと判定されるまでステップS31を繰り返す。そして、ガスボンベ5の交換が完了したと判定した場合(S31でYES)、管理装置2は、所定時間(例えば、1時間又は12時間など)のタイマーを設定する(S32)。
【0049】
次に、管理装置2は、ステップS32にて設定された時間が経過したか否かを判定する(S33)。管理装置2は、当該時間が経過した判定されるまでステップS33を繰り返し、経過したと判定した場合(S33でYES)、切替ハンドル45が回動されたか否かを判定する(S34)。
【0050】
ステップS34の判定は、管理装置2の加速度センサ26の計測値に基づいて行われる。管理装置2は、レバー部2Bの先端部の内部に設けられている加速度26の計測値を時間について積分することによって加速度センサ26の移動量を算出し、その移動量が所定の範囲内にある場合、管理装置2が回動された、すなわち切替ハンドル45が回動されたと判定する。
【0051】
管理装置2は、切替ハンドル45が回動されたと判定した場合(S34でYES)、切替ハンドル45が正しく操作されたと判断して処理を終了する。他方、切替ハンドル45が回動されていないと判定した場合(S34でNO)、管理装置2は、切替ハンドル45が操作されていないと判断し、通信部23を用いて、切替ハンドル45の操作が行われていないことを示す操作忘れ信号を生成し、これをサーバ装置1に対して送信する(S35)。なお、この操作忘れ信号には、交換されたガスボンベ5のガスボンベIDが含まれている。
【0052】
サーバ装置1は、管理装置2から送信された操作忘れ信号を受信すると(S41)、管理DB1Aを参照して当該ガスボンベ5を取り扱うガスボンベ業者を特定し、そのガスボンベ業者の業者側端末3に対して、切替ハンドル45の操作を促すための操作要請情報を送信する(S42)。また、サーバ装置1は、当該ガスボンベ5に係る調整器4の切替ハンドル45の操作が行われていないことを示す情報を管理DB1Aに登録する(S43)。
【0053】
以上の操作忘れ検出処理によって、ガスボンベ5の交換の際に切替ハンドル45の操作が行われなかったことをガスボンベ業者が把握することができる。この場合、ガスボンベ業者は、当該ガスボンベ5の設置先の周辺を移動する機会があるときなど、適宜のタイミングで、その設置先に出向いて切替ハンドル45の操作を行うことになる。
【0054】
管理装置2は、上記のステップS34と同様の処理によってその後に切替ハンドル45の操作を検出した場合、そのことを示す信号をサーバ装置1に対して送信するようにしてもよい。これにより、サーバ装置1側で、切替ハンドル45の操作が完了したことを把握することが可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態では、管理装置2が切替ハンドル45の操作忘れを検知したタイミングでサーバ装置1から操作要請情報を送信しているが、特に緊急性が高いわけではないので、その検知から所定時間経過後に操作要請情報を送信するようにしてもよい。また、サーバ装置1は、切替ハンドル45の操作が完了するまで、所定の時間間隔で繰り返し操作要請情報を送信するようにしてもよい。
【0056】
(3)電池残量検出処理
図11は、管理装置2及びサーバ装置1によって実行される電池残量検出処理の手順を示すフローチャートである。図11に示すように、管理装置2は、電池28の電池残量を検出し(S51)、その残量が所定の閾値以下であるか否かを判定する(S52)。
【0057】
ステップS52において閾値以下ではないと判定した場合(S52でNO)、管理装置2は、ステップS51に戻り、それ以降の処理を繰り返す。他方、閾値以下であると判定した場合(S52でYES)、管理装置2は、通信部23を用いて、電池28の残量が低下していることを示す残量低下信号を生成し、これをサーバ装置1に対して送信する(S53)。なお、この残量低下信号には、使用側及び/又は予備側のガスボンベ5のガスボンベIDが含まれている。
【0058】
サーバ装置1は、管理装置2から送信された残量低下信号を受信すると(S61)、管理DB1Aを参照して当該ガスボンベ5を取り扱うガスボンベ業者を特定し、そのガスボンベ業者の業者側端末3に対して、電池28の交換を促すための交換要請情報を送信する(S62)。また、サーバ装置1は、電池28の交換が必要になったことを示す情報を管理DB1Aに登録する(S63)。
【0059】
以上の電池残量検出処理によって、残量が少なくなった電池28の交換要請情報をガスボンベ業者が受け取ることができる。これにより、ガスボンベ業者は、ガスボンベ5の設置先まで出向かなくても、電池28の交換時期を知ることができる。その後、ガスボンベ業者が電池28の交換を行うことによって、管理装置2を安定して駆動させることが可能になる。
【0060】
(4)盗難検出処理
管理装置2は、調整器4に着脱可能に取り付けられるものであるため、その稼働中に第三者によって調整器4から取り外されて持ち去られてしまうおそれがある。以下の盗難検出処理は、そのような盗難の発生を検出するための処理である。
【0061】
図12は、管理装置2及びサーバ装置1によって実行される盗難検出処理の手順を示すフローチャートである。図12に示すように、管理装置2はまず、基準となる位置である原点位置を所定の座標系に設定する原点位置設定処理を実行する(S71)。
【0062】
次に、管理装置2は、原点位置からの管理装置2の移動量を算出する(S72)。この移動量は、加速度センサ26の計測値を時間について積分することによって算出される。その後、管理装置2は、その移動量が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S73)。
【0063】
ステップS73において閾値以上ではないと判定した場合(S73でNO)、管理装置2は、ステップS72に戻り、それ以降の処理を繰り返す。他方、閾値以上であると判定した場合(S73でYES)、管理装置2は、自装置が調整器4から取り外されたものと判断し、通信部23を用いて、調整器4から取り外されたことを示す取り外し信号を生成してこれをサーバ装置1に対して送信する(S74)。なお、この取り外し信号には、使用側及び/又は予備側のガスボンベ5のガスボンベIDが含まれている。
【0064】
サーバ装置1は、管理装置2から送信された取り外し信号を受信すると(S81)、管理DB1Aを参照して当該ガスボンベ5を取り扱うガスボンベ業者を特定し、そのガスボンベ業者の業者側端末3に対して、管理装置2について盗難が発生したおそれがあることを示す盗難発生情報を送信する(S82)。また、サーバ装置1は、盗難が発生したおそれがあることを示す情報を管理DB1Aに登録する(S83)。
【0065】
以上の盗難検出処理によって、管理装置2の盗難の発生をガスボンベ業者が把握することができる。この場合、ガスボンベ業者は、ガスボンベ5の設置先まで出向き、新たな管理装置2を調整器4に取り付ける。これにより、ガスボンベ5の監視を安定して継続させることが可能になる。
【0066】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、色センサ25を用いることによって、調整器4の表示部47の表示色を検出し、それが赤色であるか否かを判定している。但し、本実施の形態のように、表示部47の表示色が黒色・赤色の2色の場合、その表示色が黒色ではないことを判別すれば、使用側のガスボンベ5の残量が低下したことを検知することができる。そのため、管理装置2が、色センサ25の代わりに、光を照射してその反射光の有無のみを判別するセンサを設け、当該センサが反射光を検出した場合に、使用側のガスボンベ5の残量が低下したと判断するようにしてもよい。この場合、当該センサが表示部47の表示色が黒色ではない色であることを検出し、その色に基づいて、使用側のガスボンベ5の残量を検知したことになる。
【0067】
また、上記の実施の形態では、調整器4の表示部47が管理装置2の筐体部2Aに覆われて外部から視認することができないが、筐体部2Aの一部に透明窓を設けることによって、表示部47を外部から視認できるような構成としてもよい。この場合、管理装置2に色表示部27が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 サーバ装置
1A 管理データベース
2 ガスボンベ管理装置
2A 筐体部
2B レバー部
21 制御部
22 メモリ部
23 通信部
24 アンテナ部
25 色センサ
26 加速度センサ
27 色表示部
28 電池
3 業者側端末
4 自動切替式調整器
41 筐体
42,43 ガスホース
44 接続管
45 切替ハンドル
46 指示部
46a 突出部
47 表示部
47a 表示窓
47b 表示枠
5 ガスボンベ
6 積算メータ
7 ガス燃焼機器
10 ガスボンベ管理システム
100 通信ネットワーク
200 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12