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  • 特許-外観検査装置及び納品方法 図1
  • 特許-外観検査装置及び納品方法 図2
  • 特許-外観検査装置及び納品方法 図3
  • 特許-外観検査装置及び納品方法 図4
  • 特許-外観検査装置及び納品方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】外観検査装置及び納品方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240116BHJP
   B23D 19/06 20060101ALI20240116BHJP
   B23D 33/00 20060101ALI20240116BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240116BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240116BHJP
   B21B 38/00 20060101ALI20240116BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20240116BHJP
   B21C 47/26 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01N21/892 B
B23D19/06 Z
B23D19/06 D
B23D33/00 G
B23Q17/24 A
B23Q17/00 D
B21B38/00 F
B21C51/00 P
B21C47/26 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022016355
(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公開番号】P2023114162
(43)【公開日】2023-08-17
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】595051278
【氏名又は名称】恒成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】澁木 収一
(72)【発明者】
【氏名】白井 和久
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-263453(JP,A)
【文献】特開平05-340876(JP,A)
【文献】特開平11-132962(JP,A)
【文献】特表2005-514629(JP,A)
【文献】特開2005-103445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
B23D 15/00-35/00
B23Q 17/00-23/00
B21B 38/00-38/12
B21C 45/00-51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される金属製の帯状体をスリッター部で所定幅に切断して巻き取るスリッターラインに設けられる外観検査装置であって、
前記スリッター部で所定幅に切断された前記帯状体の裏面の傷、凹み若しくは汚れなどを撮影する撮影手段と、
前記所定幅に切断された帯状体の下方位置に設けられ、前記撮影手段が配置される架台と、
前記撮影手段で撮影された動画像をリアルタイムで表示する表示手段と、
保存開始指示手段からの指示に応じて前記撮影手段で撮影された動画像を前記指示の前後にわたる所定時間分だけ保存する動画像保存手段とを備え、
前記動画像保存手段は、保存される動画像の前記帯状体長手方向位置を示す位置情報も保存するように構成され
前記架台には足場部材が可動自在に取り付けられ、
前記足場部材を前記架台上にして前記撮影手段の上方位置に配置した第一の状態と、前記撮影手段の上方位置から退避させた第二の状態とに切り替えられるように構成され、前記スリッターラインの稼働時には前記第二の状態、メンテナンス時には前記第一の状態となるように構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の外観検査装置において、前記表示手段は、前記保存開始指示手段を操作する場所から前記撮影手段で撮影された前記動画像を視認可能な位置に設けられていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の外観検査装置において、前記架台には、前記所定幅に切断された帯状体の裏面を照明する照明部が設けられていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の外観検査装置において、前記動画像保存手段は、前記位置情報が前記動画像と共に表示されるように保存するものであることを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の外観検査装置において、前記動画像保存手段は、前記保存開始指示手段による指示の前後40秒~前後80秒間内で前記動画像を保存するように構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
搬送される金属製の帯状体をスリッター部で所定幅に切断して巻き取られた巻回製品を、当該巻回製品における細幅帯状体の裏面を請求項1~5いずれか1項に記載の外観検査装置を用いて撮影し、この撮影した動画像と共に納品することを特徴とする納品方法。
【請求項7】
請求項6記載の納品方法において、前記撮影された動画像は、適宜な指示に応じて前記指示の前後にわたる所定時間分を保存したものであり、この保存された動画像には該動画像の前記細幅帯状体長手方向位置を示す位置情報が共に表示されることを特徴とする納品方法。
【請求項8】
請求項7記載の納品方法において、前記巻回製品と共に、前記位置情報を含む前記動画像を提示して、前記細幅帯状体の裏面の傷、凹み若しくは汚れなどの製品異常情報をクライアントに告知する告知工程を含むことを特徴とする納品方法。
【請求項9】
請求項7,8いずれか1項に記載の納品方法において、前記指示の前後にわたる所定時間分は、指示の前後40秒~前後80秒間分であることを特徴とする納品方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置及び納品方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長尺の金属製の帯状体を長手方向に沿って複数条に連続的に裁断し、同時に細幅となった多条の帯状体を巻き取り加工するスリッターラインが知られており(特許文献1等参照)、このスリッターラインにおいて帯状体の傷、凹み若しくは汚れなどを作業者が目視で確認する場合がある。
【0003】
この際、表面(上面)はライン外から比較的容易に目視確認することができるが、裏面(下面)は作業者が帯状体の下方から覗き込んで目視せざるを得ず、したがって、ライン内に入り込むことになり、極めて危険であり、より安全性が高く効率的な目視確認の手法が要望されている。
【0004】
目視により傷等を発見した場合、例えば品質等に影響が出るような大きい(深い)傷は排除して納品される(傷を含む前後所定長さを切除して納品。)。また、品質等に影響がない小さい(浅い)傷や単なる汚れなどについては、発見時に作業者が帯状体に直接付箋を貼着しておき、傷等の場所が分かるようにして納品されるが(実質的な影響はないが傷があることを納品先に告知するため。)、この付箋貼着時も上記同様に危険であり、また、余分な作業工程となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2784428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、帯状体をライン内に入り込むことなく目視確認でき、しかも、撮影した動画像中の帯状体長手方向位置を示す位置情報も共に保存でき、さらに、納品先に傷等の情報を容易に且つ正確に告知できるなど、これまでにない外観検査装置及び納品方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
搬送される金属製の帯状体1をスリッター部2で所定幅に切断して巻き取るスリッターラインに設けられる外観検査装置であって、
前記スリッター部2で所定幅に切断された前記帯状体1の裏面の傷、凹み若しくは汚れなどを撮影する撮影手段3と、
前記所定幅に切断された帯状体1の下方位置に設けられ、前記撮影手段3が配置される架台8と、
前記撮影手段3で撮影された動画像をリアルタイムで表示する表示手段4と、
保存開始指示手段5からの指示に応じて前記撮影手段3で撮影された動画像を前記指示の前後にわたる所定時間分だけ保存する動画像保存手段とを備え、
前記動画像保存手段は、保存される動画像の前記帯状体長手方向位置を示す位置情報も保存するように構成され
前記架台8には足場部材9が可動自在に取り付けられ、
前記足場部材9を前記架台8上にして前記撮影手段3の上方位置に配置した第一の状態と、前記撮影手段3の上方位置から退避させた第二の状態とに切り替えられるように構成され、前記スリッターラインの稼働時には前記第二の状態、メンテナンス時には前記第一の状態となるように構成されていることを特徴とする外観検査装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の外観検査装置において、前記表示手段4は、前記保存開始指示手段5を操作する場所から前記撮影手段3で撮影された前記動画像を視認可能な位置に設けられていることを特徴とする外観検査装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の外観検査装置において、前記架台8には、前記所定幅に切断された帯状体1の裏面を照明する照明部6が設けられていることを特徴とする外観検査装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の外観検査装置において、前記動画像保存手段は、前記位置情報が前記動画像と共に表示されるように保存するものであることを特徴とする外観検査装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の外観検査装置において、前記動画像保存手段は、前記保存開始指示手段5による指示の前後40秒~前後80秒間内で前記動画像を保存するように構成されていることを特徴とする外観検査装置に係るものである。
【0013】
また、搬送される金属製の帯状体1をスリッター部2で所定幅に切断して巻き取られた巻回製品を、当該巻回製品における細幅帯状体1の裏面を請求項1~5いずれか1項に記載の外観検査装置を用いて撮影し、この撮影した動画像と共に納品することを特徴とする納品方法に係るものである。
【0014】
また、請求項6記載の納品方法において、前記撮影された動画像は、適宜な指示に応じて前記指示の前後にわたる所定時間分を保存したものであり、この保存された動画像には該動画像の前記細幅帯状体長手方向位置を示す位置情報が共に表示されることを特徴とする納品方法に係るものである。
【0015】
また、請求項7記載の納品方法において、前記巻回製品と共に、前記位置情報を含む前記動画像を提示して、前記細幅帯状体1の裏面の傷、凹み若しくは汚れなどの製品異常情報をクライアントに告知する告知工程を含むことを特徴とする納品方法に係るものである。
【0016】
また、請求項7,8いずれか1項に記載の納品方法において、前記指示の前後にわたる所定時間分は、指示の前後40秒~前後80秒間分であることを特徴とする納品方法に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、帯状体をライン内に入り込むことなく目視確認でき、しかも、撮影した動画像中の帯状体長手方向位置を示す位置情報も共に保存でき、さらに、納品先に傷等の情報を容易に且つ正確に告知できるなど、これまでにない外観検査装置及び納品方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施例のスリッターラインの概略説明側面図である。
図2】本実施例の要部の概略説明平面図である。
図3】本実施例の表示手段・保存開始指示手段などの概略説明斜視図である。
図4】本実施例の撮影手段などを設置する架台の概略説明斜視図である。
図5】架台の別例を示す概略説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
作業者は、スリッター加工中、所定幅に切断された帯状体1の表面若しくは裏面を撮影した動画像が表示される表示手段4(モニター)を目視して傷、凹み若しくは汚れなどの異常がないか確認する。したがって、モニターを介して帯状体1の表面若しくは裏面を目視できライン内に入り込む必要がなく、作業者の危険負担を軽減できる。
【0021】
また、異常を発見した際には、保存開始指示手段5(録画開始スイッチ)を操作して異常部分が撮影された動画像を保存する。動画像は、保存開始指示手段5からの指示の前後にわたる所定の時間分(所定の時間幅、例えば前後1分程度)保存されるため、傷等の異常を確実に撮影することができる。また、保存した動画像はスリッター加工後に改めて確認できるため、加工中に傷等の合否判定を行う必要がなく(ラインを止めたり遅くしたりする必要がなく)、スリッター加工をより効率的に行えることになる。
【0022】
また、この動画像は、保存される動画像中の帯状体長手方向位置を示す位置情報と共に動画像と関連付けて保存される。したがって、スリッター加工後に動画像を確認する際にも前記位置情報を容易に確認でき、傷等に関する情報共有が容易となる。例えば、製品と共に前記動画像を納品することで、納品先に(実質的に影響がない)傷等に関する情報を簡単に且つ正確に告知することが可能となる。
【実施例
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、図1に図示したように、搬送される金属製(例えばステンレス)の帯状体1をスリッター部2(スリッター本体とスクラップワインダーを含む)で所定幅に切断して巻き取るスリッターラインに本発明に係る外観検査装置を適用したものである。
【0025】
図1中、符号11はコイル状の原反、12は繰り出し部、13は入側シャー、14は保護材(ビニール)貼り付け部、15は入側ループ、16は出側ループ、17はMDロール、18は出側シャー、19はデフレクトロール、20は巻取り部(リコイラー)、21は支持ローラである。
【0026】
すなわち、スリッターラインとしては、スリッター部2において長尺の金属製の帯状体1が長手方向に沿って複数条に連続的に裁断され、細幅となった多条の帯状体1がリコイラー20で巻き取り加工される一般的なものを採用できる。なお、本実施例では巻き取り加工の際に一本の長尺ロールに多数の帯状体1を巻き取る構成としているが、短尺ロールを多数用意し、細幅の各帯状体1を夫々異なる短尺ロールに巻き取る構成としても良い。
【0027】
スリッター部2で所定幅に切断された前記帯状体1の表面若しくは裏面の傷、凹み若しくは汚れなどを撮影する撮影手段3は、スリッター部2以降、すなわち、スリッターにより長手方向に沿って連続的に裁断され細幅となった多条の帯状体1を撮影可能な位置に設ける。本実施例では、出側シャー18とデフレクトロール19との間に撮影手段3を設けている。
【0028】
本実施例は、帯状体1(スリッター部2により細幅に加工されたもの)の裏面を、帯状体1の下方に設置した撮影手段3(静止画及び動画像データを生成可能なカメラ)で撮影するように構成されている(図2参照)。撮影手段3は各撮影手段3の撮影範囲に応じて適宜な数配置することができる(全ての細幅帯状体1を撮影できるように配置する。)。本実施例では搬送方向と直交する方向に沿って2つ並設している。
【0029】
撮影手段3と帯状体1との間には、照明部6が設けられている。照明部6は撮影手段3の撮影範囲の全域を照明できるように照射範囲が設定されている。また、照明部6は(搬送方向に対して)前後一対設けられており、各照明部6はその長手方向が搬送方向と直交する方向に沿うように設けられている。撮影手段3は、平面視においてこの一対の照明部6の間に設けられている。
【0030】
撮影手段3と照明部6とは、金属製の架台8に設置されている(図4参照)。撮影手段3は搬送方向と直交する方向に90度ずつ旋回可能に設けられている。また、架台8の上部には、ヒンジ部を介して上下方向に回動することで開閉動作する足場部材9が設けられている。この足場部材9は、帯状体1の搬送を許容する開状態と、帯状体1の搬送位置を塞ぐように架台8上部の桟8a上に配設される閉状態とに切替可能に構成されている。足場部材9を閉状態とし例えば足場板(図示省略)を敷設することで、搬送前後位置のローラを清掃する際などに、作業者が架台8上(足場部材9及び足場板)に乗ることが可能となり、別途足場を用意することなく清掃などを行うことができる。
【0031】
なお、図4の構成に限らず、図5に図示したように足場板30を開閉スライド自在に架台8の上部に設けた構成を採用しても良い。具体的には、桟8aに断面凹形状のガイドブロック31を設け、足場板30の下面にガイドブロック31が被嵌されるレール32を設けた構成とし、足場板30をガイドブロック31に沿ってスライド移動させて、撮影手段3及び照明部6の上方を閉塞する閉状態と撮影手段3及び照明部6の上方を開放する開状態とに切替可能に構成しても良い。この場合、足場板30を閉状態とすることで架台8上に乗ることが可能となる。
【0032】
また、スリッターラインの近傍部位には、前記撮影手段3で撮影された動画像をリアルタイムで表示する表示手段4(検査用モニター)が設けられている。
【0033】
具体的には、表示手段4は、前記保存開始指示手段5を操作する場所から前記撮影手段3で撮影された前記動画像を視認可能な位置に設けられている。したがって、作業者は表示手段4を視認しつつ異常を発見した際には即時保存開始指示手段5を操作して当該異常を含む帯状体1の動画像を保存することができる。
【0034】
また、表示手段4は撮影手段3毎に設けている。すなわち、本実施例では2つのカメラに対応して2つの検査用モニター(第一の表示手段)を並設している。
【0035】
検査用モニターの前方には、保存開始指示手段5(録画開始スイッチ)と保存した動画像を確認するためのサブモニター7(第二の表示手段)とが設けられている。
【0036】
また、本実施例は、保存開始指示手段5からの指示に応じて前記撮影手段3で撮影された動画像を前記指示の前後にわたる所定時間分だけ保存する動画像保存手段を有する。本実施例では、保存開始指示手段5による指示の前後40秒~前後80秒間内で前記動画像を保存する。具体的には前後60秒間分の動画像を保存する。動画像保存手段は、所定時間分(過去数分間分)の動画像を蓄積しておき、保存開始指示手段5からの指示を受けると過去60秒間分の動画像に続けて60秒間分の動画像を別途保存するものである。
【0037】
また、スリッターラインには、繰り出し部12と関連して帯状体1の搬送量情報(加工距離情報)を得る搬送量取得手段が設けられている。搬送量情報と、搬送量取得位置と撮影手段3までの距離とから、撮影された部位の帯状体1の加工開始端からの距離(長手方向位置)を算出できる。
【0038】
本実施例の動画像保存手段は、保存される動画像中の前記帯状体1の長手方向位置を示す位置情報(帯状体1の始端から何mmの地点であるか)も保存するように構成されている。
【0039】
上述の各手段は制御部によって適宜制御される。制御部は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを持つコンピューターによって構成可能である。
【0040】
本実施例では、保存開始指示手段5である録画開始スイッチが押下されると、動画像保存手段が押下検出の前後60秒間分の動画像を出力し、この際、搬送量取得手段が取得した前記位置情報を用いて、動画像と位置情報とが関連付けられた情報を記憶部に保存する。具体的には、動画像保存手段は、前記位置情報が前記動画像と共に表示される情報(位置情報を含む動画像)を保存する。位置情報は動画像の再生時間と連動して変化するように表示させても良いし、保存開始指示手段5による指示時点の位置情報を常に表示させても良い。また、位置情報は動画像の周囲の余白部分に表示させる。なお、さらに加工日時を余白部分に表示させても良い。
【0041】
保存開始指示手段5を操作すると、操作したことを作業者が認識できるように前記位置情報を含む動画像がサブモニター7に表示される。
【0042】
以上のような外観検査装置を用いることで、例えば、上述のスリッターラインにより得られた巻回製品を、当該巻回製品における細幅帯状体1の表面若しくは裏面の傷、凹み若しくは汚れなどを撮影した動画像と共に納品することが可能となる。
【0043】
すなわち、前記巻回製品と共に、前記位置情報を含む前記動画像を提示して、実質的な影響がない傷、凹み若しくは汚れなどの製品異常情報を簡単に且つ正確にクライアントに告知することが可能となる。
【0044】
本実施例は上述のように構成したから、作業者は、スリッター加工中、所定幅に切断された帯状体1の表面若しくは裏面を撮影した動画像が表示される表示手段4(モニター)を目視して傷、凹み若しくは汚れなどの異常がないか確認する。したがって、モニターを介して帯状体1の表面若しくは裏面を目視できライン内に入り込む必要がなく、作業者の危険負担を軽減できる。
【0045】
また、異常を発見した際には、保存開始指示手段5(録画開始スイッチ)を操作して異常部分が撮影された動画像を保存する。動画像は、保存開始指示手段5からの指示の前後にわたる所定の時間分(所定の時間幅、例えば前後1分程度)保存されるため、傷等の異常を確実に撮影することができる。また、保存した動画像はスリッター加工後に改めて確認できるため、加工中に傷等の合否判定を行う必要がなく(ラインを止めたり遅くしたりする必要がなく)、スリッター加工をより効率的に行えることになる。
【0046】
また、この動画像は、保存される動画像中の帯状体長手方向位置を示す位置情報と共に動画像と関連付けて保存される。したがって、スリッター加工後に動画像を確認する際にも前記位置情報を容易に確認でき、傷等に関する情報共有が容易となる。例えば、製品と共に前記動画像を納品することで、納品先に(実質的に影響がない)傷等に関する情報を簡単に且つ正確に告知することが可能となる。
【0047】
よって、本実施例は、帯状体1をライン内に入り込むことなく目視確認でき、しかも、撮影した動画像中の帯状体1の長手方向位置を示す位置情報も共に保存でき、さらに、納品先に傷等の情報を容易に且つ正確に告知できるなど、これまでにない外観検査装置となる。
【符号の説明】
【0048】
1 帯状体
2 スリッター部
3 撮影手段
4 表示手段
5 保存開始指示手段
照明部
架台
足場部材
図1
図2
図3
図4
図5