(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築及び姿勢制御方法
(51)【国際特許分類】
B64G 1/24 20060101AFI20240116BHJP
B64G 1/40 20060101ALI20240116BHJP
B64G 1/22 20060101ALI20240116BHJP
B64G 1/28 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B64G1/24 200
B64G1/40 900
B64G1/24 400
B64G1/22 100B
B64G1/28 300
(21)【出願番号】P 2022159266
(22)【出願日】2022-10-03
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】202111169293.2
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514112868
【氏名又は名称】北京理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】張 景瑞
(72)【発明者】
【氏名】張 若楠
(72)【発明者】
【氏名】楊 科瑩
(72)【発明者】
【氏名】李 林澄
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111470071(CN,A)
【文献】特表2018-504326(JP,A)
【文献】特開2007-157106(JP,A)
【文献】特開昭58-112899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0130872(US,A1)
【文献】Thomas Sinn,RESULTS OF THE DEPLOYABLE MEMBRANE & ADEO PASSIVE DE-ORBIT SUBSYSTEM ACTIVITIES LEADING TO A DRAGSAIL DEMONSTRATOR,7th European Conference of Space Debris
【文献】Lars Ttiedemann,ADEO - Architectural Design and Testing of De-orbiting Subsystem,CleanSat Workshop 17-18 .03.2015
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/24
B64G 1/40
B64G 1/22
B64G 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法であって、
大気抗力と地球形状の環境摂動を考慮して、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルにおいて、気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルに対する大気抗力の影響を考慮して、さらに気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させるステップ1と、
ステップ1で得られた気流遮断状況を考慮したピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルに基づいて、制御変数法に従って、さまざまな場合で軌道離脱セイルのパラメータから宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率に対する影響を分析し、すなわち、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則を分析して得て、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化して、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状を得て、さらに、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率を改善するステップ2と、を含
み、
ステップ1の実現方法は、
ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの動力学モデリングでは、軌道離脱セイルを剛体とみなし、支持棒の質量を薄膜セイル表面に割り当て表面密度に相当し、宇宙機本体を質点とし、ピラミッド型軌道離脱セイル装置は、宇宙機本体の点Oに取り付けられ、複数の支持棒と複数の薄膜セイル表面を含み、ここで、支持棒は傾斜方向に沿って展開され、隣接する支持棒は三角形の薄膜セイル表面に接続され、ピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒は長さが同じであり、各支持棒と軌道離脱セイルの対称軸との間の夾角は同じであり、任意の2つの隣接する支持棒の上端の間の距離は同じであり、O点を原点として本体座標系Ox
b
y
b
z
b
を確立し、そのうち、y
b
軸は軌道離脱セイルの対称軸と一致し、軌道離脱セイルによって宇宙機本体の方向を指し、右手の法則に適合し、
低軌道宇宙機の場合、大気抗力摂動と地球形状摂動が宇宙機の軌道運動に影響を与える重要な要因であると考えると、軌道状態ベクトルの地心距離rと速度vの変化率を式(1-1)のように定義し、あいまいさを避けるために、四元数を選択して宇宙機の姿勢を記述し、式(1-2)と式(1-3)を参照し、宇宙機が受けるモーメントTは、制御モーメントと環境モーメントのベクトルの和であり、ここで、環境モーメントは、空力モーメントと重力勾配モーメントを考慮したものであり、式(1)は、位置ベクトルと四元数の記述に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立することであり、宇宙機とは、ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機を指し、式(1)は(1-1)、(1-2)、(1-3)からなり、
【数1】
式中、
はそれぞれ大気抗力と重力による摂動加速度、Iは宇宙機の慣性モーメント、ω
b
は宇宙機の角速度、Q=[q q
0
]
T
は宇宙機の姿勢を表す四元数であり、
ピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒と薄膜セイル表面の数量はともにn(n≧3)であり、i(i=1,2,・・・,n)番目の薄膜セイル表面では、大気抗力によって生成される摂動力は
【数2】
であり、
式中、c
d
は大気抗力係数、ρは大気の密度、A
exp
は気流にさらされるセイル表面の面積、vは大気に対する宇宙機の速度、n
li
は慣性座標系におけるセイル表面の外法線の単位ベクトル、mは宇宙機の質量であり、
宇宙機全体が大気抗力によって生成される摂動加速度は
【数3】
であり、
地球低軌道の場合、地球形状摂動の主な原因は地球の扁平状であり、重力ポテンシャル関数では、方域調和項は宇宙機の短周期運動にのみ影響し、方域調和項を省略し、帯域調和項J
2
のみを考慮すると、重力によって生成される摂動加速度は
【数4】
であり、
式中、J
2
は帯域調和項の係数、μは重力定数、R
e
は地球の半径であり、
宇宙機の圧力中心と質量中心の不一致により宇宙機に作用する空力モーメントは次式で表され、
【数5】
式中、r
CM,i
は各薄膜セイル表面の質量中心が本体座標系における位置ベクトル、r
CM
は軌道離脱セイルの圧力中心が本体座標系における位置ベクトル、F
Ab,i
は各薄膜セイル表面の大気抗力が本体座標系における表現であり、
各三角形の薄膜セイル表面の質量中心は三角形の幾何学的重心でもあり、即ち3つの頂点の平均値であり、たとえば、セイル表面の質量中心OABが本体座標系において、次のように表すことができ、
【数6】
式中、r( )は点( )が本体座標系における位置ベクトルを表し、
宇宙機の圧力中心は薄膜セイル表面のみに依存し、薄膜セイルの材料は均一と見なされ、面密度はσ
m
、単位長さあたりの支持棒の質量はρ
b
、計算量を簡単にするために、支持棒の質量を薄膜セイル表面に割り当て、このとき、軌道離脱セイルの面密度は
【数7】
と相当し、
式中、薄膜セイル表面の幾何学的面積は
であり、lは軌道離脱セイル支持棒の長さ、bは2つの支持棒の上端の間の距離、θは支持棒とy
b
軸の間の角度、軌道離脱セイルのコーン角と呼ばれ、範囲は(0°,90°)であり、
宇宙機本体を、質量がm
s
の質点に簡略化し、本体系の原点に位置し、宇宙機の総質量は
【数8】
本体系での宇宙機質量中心の位置は
【数9】
であり、
さらに、宇宙機は重力勾配モーメントにも影響され、次のように表され
【数10】
式中、r
b
は本体座標系における宇宙機の位置ベクトルであり、
対称性により、宇宙機の主慣性軸は本体の座標軸と一致し、セイル表面上のランダムな小さな単位Rを取り、その位置を(s,t)で表し、ここで、sはセイル表面のエッジに沿っており、tはセイル表面のベースに平行であり、
セイル表面上のランダム小単位Rの、本体系における座標は
【数11】
であり、
セイル表面上のランダム小単位Rから3つの主慣性軸までの距離は、
【数12】
であり、
セイル表面の慣性モーメントの式に代入すると、薄膜セイル表面の慣性モーメントは次のようになり、
【数13】
対称性により、各三角形セイル表面は、宇宙機の各主軸の周りの慣性モーメントに等しく寄与するため、宇宙機の主な慣性モーメントは
【数14】
式中、I
s
は宇宙機本体の慣性モーメントであり、
ピラミッド型軌道離脱セイルの薄膜セイル表面間にフロントセイル表面が気流を遮断する状況があるため、このとき、リアセイル表面の大気抗力の影響は無視され、したがって、大気抗力の摂動を計算するときは、気流にさらされるセイル表面の面積を計算するだけで済み、気流が遮断されたときのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの大気抗力に対する影響を考慮して、さらに気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させ、
初期軌道傾斜角が小さい場合、宇宙機は主に軌道面で姿勢運動を行うため、気流遮断は軌道面でのみ発生し、気流に対する宇宙機の方向を、y
b
軸と速度vの間の角度である指向角αによって表し、範囲は[-π,π]であり、
の場合、セイル表面が一部遮断する状況が発生し、軌道離脱セイルの対称性と幾何学的関係により、nが異なる値を取るときの気流露出面積A
exp
を取得でき、そのうち、n→∞の場合、軌道離脱セイルを円錐形の軌道離脱セイルとして近似でき、
【数15】
式中、φ=arcsin(b/2l)、κ
α
=arccos(tanθcotθ)、κは、円錐形軌道離脱セイルの円周角度であり、λは、軌道離脱セイルの気流衝撃の半径方向の限界であり、
大気抗力と地球形状の環境摂動を考慮して、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルは、式(1)で示され、式(15)に基づいて、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルで気流遮断でのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルが受ける大気抗力に対する影響を考慮して、さらに気流遮断でのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させることであることを特徴とするピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法。
【請求項2】
ステップ2において、さまざまな場合での軌道離脱セイルパラメータの宇宙機姿勢安定性と軌道離脱効率への影響には、次の4つの場合が含まれ、対応して分析すると姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型の軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則は次のとおり、
場合1、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合、宇宙機の慣性モーメントの差が小さいピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを選択してピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現し、
場合2、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合、宇宙機の姿勢安定性は、軌道離脱セイルコーン角の増加とともに最初に増加し、次に減少し、軌道離脱効率は、軌道離脱セイルのコーン角で最初に増加し、次に減少し、軌道離脱セイルの最適なコーン角を求めるように、宇宙機の姿勢安定性と最大表面対質量比を計量する必要があり、ピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現し、
場合3、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さが同じである場合、姿勢安定性を考慮すると、棒の長さは安定性にほとんど影響せず、コーン角に主に設計を行い、宇宙船の慣性モーメントの差が小さいピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角を選択してピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現し、
場合4、宇宙機の初期軌道高度が異なり、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の棒の長さが同じである場合、宇宙機の軌道高度が高いほど、宇宙機の安定性が低くなり、大きなコーン角の軌道離脱セイルを選択することで、軌道高度による姿勢安定性への影響を低減し、ピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現できることを特徴とする請求項
1に記載のピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法に基づいて実現される、ピラミッド型軌道離脱セイルの姿勢制御方法であって、前記ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法のステップ1とステップ2を含み、ステップ3をさらに含み、
ステップ2で得られた高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータに従って、ピラミッド型軌道離脱セイルの四元数フィードバック再配置制御則を設計し、四元数フィードバック再配置制御則で速度座標系の、本体座標系に対する変換を考慮し、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させることを特徴とするピラミッド型軌道離脱セイルの姿勢制御方法。
【請求項4】
ステップ3の実現方法は、
四元数フィードバック再配置制御則は、線形状態フィードバックコントローラーを考慮して宇宙機の姿勢操作を実現するために使用され、制御モーメントを介して慣性モーメントの回転モーメント項を直接相殺し、制御則は次のように表され、
【数16】
式中、q
e=[q
1e q
2e q
3e]
Tは姿勢誤差四元数ベクトル、KとCはコントローラーのゲイン行列であり、姿勢誤差四元数[q
1e q
2e q
3e q
0e]
Tは、コマンド姿勢四元数[q
1c q
2c q
3c q
0c]
Tと現在の姿勢四元数[q
1 q
2 q
3 q
0]
Tを使用して計算されたものであり、式は次のようになり、
【数17】
行列K
-1Cが正定値の場合、コントローラーをもつ閉ループシステムの原点は、グローバルに漸近的に安定であり、このため、K=kIとC=cIを選択し、このアルゴリズムは、慣性モーメントのスケーリングと導関数ゲイン行列に基づいて、コントローラーのオーバーシュートを減らし、グローバルに漸近的に安定させ、
このとき、比例微分制御則は次のようになり、
【数18】
式中、ゲイン係数kと減衰係数cは、目的のシステムの固有振動数と減衰比の関数であり、次のように定義され、
k=2ω
n
2,c=2ω
nζ
式中、ω
nはシステムの固有振動数、ζは減衰比であり、
リアクションホイールをアクチュエータとして選択し、リアクションホイールの回転速度が特定の限界状態に達すると、宇宙機の余分な運動量モーメントを吸収できなくなり、宇宙機が暴走し、この状態は飽和と呼ばれ、制御システムに実際のモーメントと角運動量の制約を課す必要があり、リアクションホイールの角運動量は、リアクションホイールの状態方程式によって次のように計算され、
【数19】
式中、H
RWはリアクションホイールの角運動量を表し、
このとき、姿勢動力学モデル式は、宇宙機とフライホイールの両方を考慮する必要があり、
【数20】
ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの姿勢を任意の角度から最大風上面積の方向に操作して安定に保持するためには、姿勢コントローラーのコマンド姿勢四元数を指向角が0°である時の姿勢四元数に設定する必要があり、
指向角の大きさと方向を正確に記述するために、速度座標系x
0y
0z
0を確立し、座標系の原点は宇宙機の質量中心であり、y
0軸は宇宙機の速度の方向と一致し、x
0軸は軌道面内でy
0軸と垂直であり、地球の中心から座標系の原点に向かう方向を正とし、z
0軸は右手の法則に適合し、指向角を0°に保持するということは、宇宙機本体の座標系と速度座標系が一致していることを意味し、
四元数フィードバック再配置制御方法を採用し、四元数を使用して、宇宙機本体座標系の相対速度座標系の姿勢パラメータを記述し、即ち
【数21】
式中、ω
b0は宇宙機本体座標系の速度座標系に対する本体系における角速度ベクトルの成分を表し、関係ω
b0=ω
b-C
xbx0ω
0を満たし、ω
0は宇宙機の軌道角速度の速度座標系における投影を表し、次の式で計算され
【数22】
C
xbx0は本体座標系から速度座標系への変換行列であり、
【数23】
速度座標系から慣性座標系への変換行列C
x0Xは、軌道情報のみに関連し、即ち
【数24】
であり、
この場合、慣性座標系に対する本体座標系の変換行列はC
xbX=C
xbx0C
x0Xであり、
宇宙機本体座標系を速度座標系に一致させるために、コマンド姿勢四元数を[0 0 0 1]
Tに設定し、四元数フィードバック再配置制御則を使用して現在の本体系と速度系の四元数を制御し、
ただし、制御法則におけるω
bとω
b0が異なるため、積分項を使用して静的誤差を相殺させる必要があり、つまり、完全なPIDコントローラーを使用し、
【数25】
式中、k
iは積分項パラメータであり、
ステップ2で得られた高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータを使用して、ステップ1で確立された気流遮断を考慮した、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルに基づいて、四元数フィードバック再配置制御則で速度座標系の、本体座標系に対する変換を考慮して、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則式(25)を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させることを特徴とする請求項
3に記載のピラミッド型軌道離脱セイルの姿勢制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築及び姿勢制御方法に関し、宇宙機上に配備されたピラミッド型軌道離脱セイルの安定性分析と姿勢制御方法に関し、宇宙機の姿勢動力学及び制御分野に属する。
【背景技術】
【0002】
スペースデブリの発生を抑えるためには、宇宙機が終末期や任務完了後に積極的に軌道から離脱することは必要な除去手段と考えられている。低地球軌道、特に800km以下の領域では、大気抗力が宇宙機に大きな影響を与えるため、軌道離脱セイル装置を使用して、宇宙機の風上面積を拡大し、迅速な軌道離脱を達成することができる。現在、試作機開発や軌道上試験用の軌道離脱セイルの多くは平面形の軌道離脱セイルであり、三次元軌道離脱セイルの理論研究において、軌道離脱効率を最大化するための最適形状構築方法はほとんど提案されていない。
【0003】
平面型軌道離脱セイルに比べて、ピラミッド型軌道離脱セイルには多くの利点があり、例えば、姿勢がどのように変化しても、速度方向に垂直なセイル表面の投影面積はゼロより大きく、軌道離脱の有効性を保証する。本発明は、ピラミッド型軌道離脱セイルに対して、大気抗力と地球形状の環境摂動及び気流遮断からセイル表面の風上面積への影響を考慮して、軌道離脱セイルシステムの動力学モデルを確立し、軌道離脱プロセスにおける軌道離脱システムの運動法則を記述し、このモデルに基づいて、軌道離脱セイルの形状パラメータであるコーン角、および支持棒の長さによる宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率への影響を分析し、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化し、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、上記のモデルと選択された形状パラメータに基づいて、四元数フィードバック再配置PID制御則を設計し、軌道離脱セイルを備えた宇宙機の速度方向に対する姿勢を安定させ、さらに軌道離脱効率を改善する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宇宙機の終末期又は任務完了後の軌道離脱に使用されるピラミッド型軌道離脱セイルの軌道離脱効率が使用のニーズを満たさないという問題を解決するために、本発明の1つの目的は、ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法を提供することであり、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステム三次元軌道姿勢結合動力学モデルにおいて、気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルに対する大気抗力の影響を考慮して、さらに気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させ、そして前記モデルに基づいて異なる場合での姿勢安定性と軌道離脱効率の、コーン角と棒の長さに関する法則を得て、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化し、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、さらに、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率を向上させる。
【0005】
本発明によって提供されるピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法に基づいて、本発明は、ピラミッド型軌道離脱セイルの姿勢制御方法も提供し、ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法に基づいて、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、最適化された後のピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータに従って四元数フィードバック再配置制御則を設計し、四元数フィードバック再配置制御則において、速度座標系の本体座標系に対する変換を考慮して、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は以下の技術的解決手段により実現される。
【0007】
本発明は、前記ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築及び姿勢制御方法を開示する。該方法では、大気抗力と地球形状の環境摂動を考慮して、位置ベクトルと四元数記述に基づく三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、そのうち、軌道離脱セイルを剛体とみなし、宇宙機本体を質点とみなし、風上面積は気流の遮断状況を考慮し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させ、そして前記モデルに基づいて異なる場合での宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則を得て、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化し、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、さらに、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率を向上させ、上記のモデルと選択された形状パラメータに基づいて、四元数フィードバック再配置PID制御則を設計し、軌道離脱セイルが配備された宇宙機の速度方向に対する姿勢を安定させ、さらに軌道離脱効率を向上させる。
【0008】
本発明に開示されたピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法は、以下のステップを含む。
【0009】
ステップ1:大気抗力と地球形状の環境摂動を考慮して、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルにおいて、気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルに対する大気抗力の影響を考慮し、さらに気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させる。
【0010】
ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの動力学モデリングでは、軌道離脱セイルを剛体とみなし、支持棒の質量を薄膜セイル表面に割り当て表面密度に相当し、宇宙機本体を質点とする。ピラミッド型軌道離脱セイル装置は、宇宙機本体の点Oに取り付けられ、複数の支持棒と複数の薄膜セイル表面を含む。ここで、支持棒は傾斜方向に沿って展開され、隣接する支持棒は三角形の薄膜セイル表面に接続される。ピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒は長さが同じであり、各支持棒と軌道離脱セイルの対称軸との間の夾角は同じであり、任意の2つの隣接する支持棒の上端の間の距離は同じである。O点を原点として本体座標系Oxbybzbを確立し、そのうち、yb軸は軌道離脱セイルの対称軸と一致し、軌道離脱セイルは宇宙機本体の方向を指し、右手の法則に適合する。
【0011】
低軌道宇宙機の場合、大気抗力摂動と地球形状摂動が宇宙機の軌道運動に影響を与える重要な要因であると考えると、軌道状態ベクトルの地心距離rと速度vの変化率を式(1-1)のように定義し、あいまいさを避けるために、四元数を選択して宇宙機の姿勢を記述し、式(1-2)と式(1-3)を参照する。宇宙機が受け取るモーメントTは、制御モーメントと環境モーメントのベクトルの和であり、ここで、環境モーメントは、空力モーメントと重力勾配モーメントを考慮したものである。式(1)は、位置ベクトルと四元数の記述に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立することであり、宇宙機とは、ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機を指す。式(1)は(1-1)、(1-2)、(1-3)からなる。
【数1】
【0012】
式中、
はそれぞれ大気抗力と重力による摂動加速度、Iは宇宙機の慣性モーメント、ω
bは宇宙機の角速度、Q=[q q
0]
Tは宇宙機の姿勢を表す四元数である。
【0013】
ピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒と薄膜セイル表面の数量はともにn(n≧3)であり、i(i=1,2,・・・,n)番目の薄膜セイル表面では、大気抗力によって生成される摂動力は
【数2】
式中、c
dは大気抗力係数、ρは大気の密度、A
expは気流にさらされるセイル表面の面積、vは大気に対する宇宙機の速度、n
liは慣性座標系におけるセイル表面の外法線の単位ベクトル、mは宇宙機の質量である。
【0014】
宇宙機全体が大気抗力によって生成される摂動加速度は
【数3】
である。
【0015】
地球低軌道の場合、地球形状摂動の主な原因は地球の扁平状である。重力ポテンシャル関数では、方域調和項は宇宙機の短周期運動にのみ影響し、方域調和項を省略し、帯域調和項J
2のみを考慮すると、重力によって生成される摂動加速度は
【数4】
であり、
式中、J
2は帯域調和項の係数、μは重力定数、R
eは地球の半径である。
【0016】
宇宙機の圧力中心と質量中心の不一致により宇宙機に作用する空力モーメントは次式で表される。
【数5】
式中、r
CM,iは各薄膜セイル表面の質量中心が本体座標系における位置ベクトル、r
CMは軌道離脱セイルの圧力中心が本体座標系における位置ベクトル、F
Ab,iは各薄膜セイル表面の大気抗力が本体座標系における表現である。
【0017】
各三角形の薄膜セイル表面の質量中心は三角形の幾何学的重心でもあり、即ち3つの頂点の平均値である。たとえば、セイル表面OABの質量中心が本体座標系において、次のように表すことができる。
【数6】
式中、r
( )で点( )が本体座標系における位置ベクトルを表す。
【0018】
宇宙機の圧力中心は薄膜セイル表面のみに依存し、薄膜セイルの材料は均一と見なされ、面密度はσ
m、単位長さあたりの支持棒の質量はρ
bである。計算量を簡単にするために、支持棒の質量を薄膜セイル表面に割り当て、このとき、軌道離脱セイルの面密度は
【数7】
と相当する。
式中、薄膜セイル表面の幾何学的面積は
である。lは軌道離脱セイル支持棒の長さ、bは2つの支持棒の上端の間の距離、θは支持棒とy
b軸の間の角度、軌道離脱セイルのコーン角と呼ばれ、範囲は(0°,90°)である。
【0019】
宇宙機本体を、質量がm
sの質点に簡略化し、本体系の原点に位置し、宇宙機の総質量は
【数8】
である。
本体系での宇宙機質量中心の位置は
【数9】
である。
また、宇宙機は重力勾配モーメントにも影響され、次のように表される。
【数10】
式中、r
bは本体座標系における宇宙機の位置ベクトルである。
【0020】
対称性により、宇宙機の主慣性軸は本体の座標軸と整列する。セイル表面上のランダムな小さな単位Rを取り、その位置を(s,t)で表し、ここで、sはセイル表面のエッジに沿っており、tはセイル表面のベースに平行である。
【0021】
セイル表面上のランダム小単位Rの、本体系における座標は
【数11】
であり、
セイル表面上のランダム小単位Rから3つの主慣性軸までの距離は、
【数12】
である。
セイル表面の慣性モーメントの式に代入すると、薄膜セイル表面の慣性モーメントは次のようになる。
【数13】
対称性により、各三角形セイル表面は、宇宙機の各主軸の周りの慣性モーメントに等しく寄与するため、宇宙機の主な慣性モーメントは
【数14】
式中、I
sは宇宙機本体の慣性モーメントである。
【0022】
ピラミッド型軌道離脱セイルの薄膜セイル表面間にフロントセイル表面が気流を遮断する状況があるため、このとき、リアセイル表面の大気抗力の影響は無視され、したがって、大気抗力の摂動を計算するときは、気流にさらされるセイル表面の面積を計算するだけで済む。気流が遮断されたときのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの大気抗力に対する影響を考慮して、さらに気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させる。
【0023】
初期軌道傾斜角が小さい場合、宇宙機は主に軌道面で姿勢運動を行うため、気流遮断は軌道面でのみ発生する。気流に対する宇宙機の方向を、y
b軸と速度vの間の角度である指向角αによって表し、範囲は[-π,π]である。
の場合、セイル表面が一部遮断する状況が発生する。軌道離脱セイルの対称性と幾何学的関係により、nが異なる値を取るときの気流露出面積A
expを取得でき、そのうちn→∞の場合、軌道離脱セイルを円錐形の軌道離脱セイルとして近似できる。
【数15】
式中、φ=arcsin(b/2l)、κ
α=arccos(tanθcotθ)、κは、円錐形軌道離脱セイルの円周角度であり、λは軌道離脱セイルの気流衝撃の半径方向の限界である。
【0024】
大気抗力と地球形状の環境摂動を考慮して、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルは、式(1)で示され、式(15)より、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルで気流遮断でのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルが受ける大気抗力に対する影響を考慮して、さらに気流遮断でのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させる。
【0025】
ステップ2:ステップ1で得られた気流遮断状況を考慮したピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルに基づいて、制御変数法に従って、さまざまな場合で軌道離脱セイルのパラメータから宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率に対する影響を分析し、すなわち、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則を分析して得て、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化し、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状を得て、さらに、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率を改善する。
【0026】
好ましくは、さまざまな場合での軌道離脱セイルパラメータの宇宙機姿勢安定性と軌道離脱効率への影響には、次の4つの場合が含まれ、対応して分析すると姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型の軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則は次のとおりである。
【0027】
場合1、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合、宇宙機の慣性モーメントの差が小さいピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを選択してピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現すべきである。
【0028】
場合2、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合、宇宙機の姿勢安定性は、軌道離脱セイルコーン角の増加とともに最初に増加し、次に減少し、軌道離脱効率は、軌道離脱セイルのコーン角で最初に増加し、次に減少し、軌道離脱セイルの最適なコーン角を求めるように、宇宙機の姿勢安定性と最大表面対質量比を計量する必要があり、ピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現する。
【0029】
場合3、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さが同じである場合、姿勢安定性を考慮すると、棒の長さは安定性にほとんど影響せず、コーン角に主に設計を行い、宇宙船の慣性モーメントの差が小さいピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角を選択してピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現すべきである。
【0030】
場合4、宇宙機の初期軌道高度が異なり、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さが同じである場合、宇宙機の軌道高度が高いほど、宇宙機の安定性が低くなり、大きなコーン角の軌道離脱セイルを選択することで、軌道高度による姿勢安定性への影響を低減し、ピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現できる。
【0031】
本発明は、ピラミッド型軌道離脱セイルの姿勢制御方法も開示し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法のステップ1とステップ2を含み、ステップ3をさらに含み、ステップ2で得られた高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータに従って、ピラミッド型軌道離脱セイルの四元数フィードバック再配置制御則を設計し、四元数フィードバック再配置制御則で速度座標系の、本体座標系に対する変換を考慮し、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させる。
【0032】
四元数フィードバック再配置制御則は、線形状態フィードバックコントローラーを考慮して宇宙機の姿勢操作を実現するために使用され、制御モーメントを介して慣性モーメントの回転モーメント項を直接相殺し、制御則は次のように表される。
【数16】
式中、q
e=[q
1e q
2e q
3e]
Tは姿勢誤差四元数ベクトル、KとCはコントローラーのゲイン行列である。姿勢誤差四元数[q
1e q
2e q
3e q
0e]
Tは、コマンド姿勢四元数[q
1c q
2c q
3c q
0c]
Tと現在の姿勢四元数[q
1 q
2 q
3 q
0]
Tを使用して計算されたものであり、式は次のようになる。
【数17】
行列K
-1Cが正定値の場合、コントローラーをもつ閉ループシステムの原点は、グローバルに漸近的に安定である。このため、K=kIとC=cI選択し、このアルゴリズムは、慣性モーメントのスケーリングと導関数ゲイン行列に基づいて、コントローラーのオーバーシュートを減らし、グローバルに漸近的に安定させる。
【0033】
このとき、比例微分制御則は次のようになる。
【数18】
式中、ゲイン係数kと減衰係数cは、目的のシステムの固有振動数と減衰比の関数であり、次のように定義される。
k=2ω
n
2,c=2ω
nζ
式中、ω
nはシステムの固有振動数、ζは減衰比である。
【0034】
リアクションホイールをアクチュエータとして選択し、リアクションホイールの回転速度が特定の限界状態に達すると、宇宙機の余分な運動量モーメントを吸収できなくなり、宇宙機が暴走し、この状態は飽和と呼ばれ、制御システムに実際のモーメントと角運動量の制約を課す必要がある。リアクションホイールの角運動量は、リアクションホイールの状態方程式によって次のように計算される。
【数19】
式中、H
RWはリアクションホイールの角運動量を表す。
【0035】
このとき、姿勢動力学モデル式は、宇宙機とフライホイールの両方を考慮する必要がある。
【数20】
【0036】
ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの姿勢を任意の角度から最大風上面積の方向に操作して安定に保持するためには、姿勢コントローラーのコマンド姿勢四元数を指向角が0°である時の姿勢四元数に設定する必要がある。
【0037】
指向角の大きさと方向を正確に記述するために、速度座標系x0y0z0を確立し、座標系の原点は宇宙機の質量中心であり、y0軸は宇宙機の速度の方向と一致し、x0軸は軌道面内でy0軸と垂直であり、地球の中心から座標系の原点に向かう方向を正とし、z0軸は右手の法則に適合する。指向角を0°に保持するということは、宇宙機本体の座標系と速度座標系が一致していることを意味する。
【0038】
四元数フィードバック再配置制御方法を採用し、四元数を使用して、宇宙機本体座標系の相対速度座標系の姿勢パラメータを記述し、即ち
【数21】
式中、ω
b0は宇宙機本体座標系の速度座標系に対する本体系における角速度ベクトルの成分を表し、関係ω
b0=ω
b-C
xbx0ω
0を満たし、ω
0は宇宙機の軌道角速度の速度座標系における投影を表し、次の式で計算される。
【数22】
C
xbx0は本体座標系から速度座標系への変換行列である。
【数23】
速度座標系から慣性座標系への変換行列C
x0Xは、軌道情報のみに関連し、即ち
【数24】
である。
この場合、慣性座標系に対する本体座標系の変換行列はC
xbX=C
xbx0C
x0Xである。
【0039】
宇宙機本体座標系を速度座標系に一致させるために、コマンド姿勢四元数を[0 0 0 1]Tに設定し、四元数フィードバック再配置制御則を使用して現在の本体系と速度系の四元数を制御する。
【0040】
ただし、制御法則におけるω
bとω
b0が異なるため、積分項を使用して静的誤差を相殺する必要があり、つまり、完全なPIDコントローラーを使用する。
【数25】
式中、k
iは積分項パラメータである。
【0041】
ステップ2で得られた高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータを使用して、ステップ1で確立された気流遮断を考慮した、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルに基づいて、四元数フィードバック再配置制御則で速度座標系の、本体座標系に対する変換を考慮し、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則式(25)を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させる。
【発明の効果】
【0042】
有益な効果は以下のとおりである。
1、本発明に開示されたピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法は、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルにおいて、気流遮断でのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルに対する大気抗力の影響を考慮して、さらに気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させる。
2、本発明に開示されたピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法は、気流遮断状況を考慮したピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルに基づいて、制御変数法に従って、さまざまな場合で軌道離脱セイルパラメータから宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率に対する影響を分析し、すなわち、姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則を分析して得て、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化し、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、さらに、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率を向上させる。
さまざまな場合での軌道離脱セイルパラメータによる宇宙機姿勢安定性と軌道離脱効率への影響には、次の4つの場合が含まれ、対応して分析すると姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型の軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則は次のとおりである。
宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合、宇宙機の慣性モーメントの差が小さいピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを選択しすべきであり、軌道高度が同じで、最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合、宇宙機の姿勢安定性は、軌道離脱セイルコーン角の増加とともに最初に増加し、次に減少し、軌道離脱効率は、軌道離脱セイルのコーン角で最初に増加し、次に減少し、軌道離脱セイルの最適なコーン角を求めるように、宇宙機の姿勢安定性と最大表面対質量比を計量する必要があり、軌道高度が同じで、コーン角と支持棒の長さが同じである場合、姿勢安定性を考慮すると、棒の長さは安定性にほとんど影響せず、コーン角に主に設計を行い、宇宙船の慣性モーメントの差が小さいピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角を選択すべきであり、軌道高度が異なり、コーン角と支持棒の長さが同じである場合、宇宙機の軌道高度が高いほど、宇宙機の安定性が低くなり、大きなコーン角の軌道離脱セイルを選択することで、軌道高度による姿勢安定性への影響を低減できる。上記の提案によれば、ピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータを選択してピラミッド型軌道離脱セイルの最適な形状構築を実現する。
3、本発明は、ピラミッド型軌道離脱セイルの姿勢制御方法を開示し、ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築方法に基づいて、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、最適化された後のピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータに基づいて、四元数フィードバック再配置制御則を設計し、四元数フィードバック再配置制御則で速度座標系の、本体座標系に対する変換を考慮し、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】n=4の場合のピラミッド型軌道離脱セイル装置の概略図である。
【
図3】ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の動力学モデルの概略図である。
【
図4】初期軌道高度と最大表面対質量比が同じである場合の宇宙機の平均指向角と軌道低減高度のコーン角による変化曲線である。
【
図5】初期軌道高度とピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒の長さが同じである場合の宇宙機の平均指向角と軌道低減高度のコーン角による変化曲線である。
【
図6】初期軌道高度(半長軸)とピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角が同じである場合の宇宙機の平均指向角が軌道離脱セイルの支持棒の長さによる変化曲線である。
【
図7】同じ形状ピラミッド型軌道離脱セイルの、異なる初期軌道半長軸での平均指向角の経時変化曲線である。
【
図8】ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の姿勢制御システムの概略図である。
【
図9】姿勢制御システムの作用下でのピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機本体系の速度系に対するオイラー角の経時変化曲線である。
【
図10】姿勢安定コントローラーを使用した場合と使用しない場合のピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の指向角の経時変化曲線であり、そのうち:
図10(a)は、姿勢安定コントローラーを使用した場合の宇宙機の指向角の経時変化曲線であり、
図10(b)は、姿勢安定コントローラーを使用しない場合の宇宙機の指向角の経時変化曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の技術的詳細をよりよく説明するために、以下では、特定の実施例を使用して、本発明における形状構築および姿勢制御方法の具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【0045】
実施例1
宇宙機本体は辺長0.01m、質量1kgの立方体衛星であることがわかり、ピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒と薄膜セイル表面の数量は4、薄膜セイル表面の面密度は13.2g/m2、支持棒の線密度は16.3g/mとして選択され、初期角速度は0であり、初期姿勢ybは速度方向と一致することであり、慣性座標系に対する宇宙機の初期軌道要素は[a e i Ω ω f]0=[6971~7171km 0.005 0.1° 270° 90° 0°]であり、以降の比較分析において、ピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒の長さと最大表面積対質量比を定数に設定すると、それらの値はl=1m、AMRmax=b2/m=0.9m2/kgであり、大気密度モデルはNRLMSISE-00モデルを採用し、大気抗力係数cd=2.2、2014年4月1日を初期軌道離脱時間として選択し、対応する瞬間の大気抗力を計算するために使用され、コントローラーが臨界減衰状況を選択し、即ち減衰比ζ=1、固有振動数はωn=0.35を選択し、積分項パラメータkiは0.01とし、アクチュエータは10SP-Mマイクロ三軸リアクションホイールシステムを採用し、リアクションホイールの角運動量が±0.42N・m・sに飽和し、制御モーメントは±6mN・mに制限され、10SP-Mが出せる最大モーメント±10mN・mの60%であり、姿勢制御システムの検証では、速度座標系に対する本体座標系のオイラー角[γ0 ψ0 δ0]=[0° 0.1° 15°]を取った。
【0046】
ピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築及び姿勢制御方法を採用し、具体的な実現は以下のとおりである。
【0047】
ステップ1:大気抗力と地球形状の環境摂動を考慮して、位置ベクトルと四元数記述に基づいてピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルを確立し、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルにおいて、気流遮断状況時のセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルに対する大気抗力の影響を考慮して、さらに気流遮断でのセイル表面の風上面積からピラミッド型軌道離脱セイルの軌道と姿勢に対する影響を考慮して、前記ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルの精度を向上させる。
【0048】
まず、ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の質量中心、圧力中心、慣性モーメント等のパラメータを計算し、軌道離脱セイル姿勢-軌道結合動力学モデルに代入し、ここで、宇宙機の姿勢変化は軌道離脱セイルの風上面積を変化させ、それに応じて大気抗力摂動の軌道への影響が変化し、軌道高度の変化は大気密度を変化させ、空力モーメントの軌道離脱セイルへの擾乱を変化させ、宇宙機の姿勢に影響を与える。
図1は本発明のフローチャートであり、
図2はn=4の場合のピラミッド型軌道離脱セイル装置の概略図であり、
図3は、ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の動力学モデルの概略図である。
【0049】
ステップ2:ステップ1で得られた気流遮断状況を考慮したピラミッド型軌道離脱セイルシステムの三次元軌道姿勢結合動力学モデルに基づいて、制御変数法に従って、さまざまな場合で軌道離脱セイルパラメータから宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率に対する影響を分析し、すなわち、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則を分析して得て、前記法則に基づいて、ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状パラメータを分析及び最適化し、高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルを得て、さらに、宇宙機の姿勢安定性と軌道離脱効率を向上させる。
好ましくは、さまざまな場合での軌道離脱セイルパラメータの宇宙機姿勢安定性と軌道離脱効率への影響には、次の4つの場合が含まれる。
場合1は、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合である。
場合2は、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じであり、コーン角が異なる場合である。
場合3は、宇宙機の初期軌道高度が同じで、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さが同じである場合である。
場合4は、宇宙機の初期軌道高度が異なり、ピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さが同じである場合である。
【0050】
図4は、初期軌道高度と最大表面対質量比が同じである場合の宇宙機の平均指向角と軌道低減高度のコーン角による変化曲線である。
図5は、初期軌道高度とピラミッド型軌道離脱セイルの支持棒の長さが同じである場合の宇宙機の平均指向角と軌道低減高度のコーン角による変化曲線である。
図6は、初期軌道高度(半長軸)とピラミッド型軌道離脱セイルのコーン角が同じである場合の宇宙機の平均指向角が軌道離脱セイルの支持棒の長さによる変化曲線である。
図7は、同じ形状ピラミッド型軌道離脱セイルの、異なる初期軌道半長軸での平均指向角の経時変化曲線である。
【0051】
対応して分析すると姿勢安定性と軌道離脱効率の、ピラミッド型の軌道離脱セイルのコーン角と支持棒の長さに関する法則を得る。ピラミッド型軌道離脱セイルシステムの形状構築について、宇宙機の初期軌道高度と軌道離脱セイルの最大表面対質量比が同じである場合、宇宙機の慣性モーメントの差が小さいもの形状方式を選択する必要があり、このとき、軌道離脱セイルの最適なコーン角は65°であり、軌道高度と棒の長さが同じである場合、宇宙機の姿勢安定性と最大表面対質量比を計量する必要があり、それにより軌道離脱セイルの最適なコーン角を得て、このとき、軌道離脱セイルの最適なコーン角は86°であり、宇宙機の姿勢安定性を考慮する場合、主にコーン角を設計する必要があり、棒の長さは安定性にほとんど影響せず、宇宙機の軌道高度が高いほど、宇宙機の安定性が低くなり、大きなコーン角の軌道離脱セイルを選択することで、軌道高度が姿勢安定性に与える影響を低減できる。
【0052】
ステップ3:ステップ2で得られた高い姿勢安定性と高い軌道離脱効率を備えたピラミッド型軌道離脱セイルの形状パラメータに従って、ピラミッド型軌道離脱セイルの四元数フィードバック再配置制御則を設計し、四元数フィードバック再配置制御則で速度座標系の、本体座標系に対する変換を考慮し、軌道離脱セイルシステムの四元数フィードバック再配置PID制御則を形成し、軌道離脱セイルシステムの姿勢を速度方向に対して安定させ、軌道離脱プロセス中にピラミッド型軌道離脱セイルの風上面積を最大に保持させ、大気抗力を最大に保持させ、宇宙機の軌道離脱時間をさらに短縮し、宇宙機の軌道離脱効率を向上させる。
【0053】
図8は、ピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の姿勢制御システムの概略図であり、
図9は、姿勢制御システムの作用下でのピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機本体系の速度系に対するオイラー角の経時変化曲線であり、
図10は、姿勢安定コントローラーを使用した場合と使用しない場合のピラミッド型軌道離脱セイルが配備された宇宙機の指向角の経時変化曲線であり、そのうち:
図10(a)は、姿勢安定コントローラーを使用した場合の宇宙機の指向角の経時変化曲線であり、
図10(b)は、姿勢安定コントローラーを使用しない場合の宇宙機の指向角の経時変化曲線である。
【0054】
姿勢コントローラーは、45秒以内にピラミッド型軌道離脱セイルの表面を最大風上面積の方向に向け、それを維持することができ、5年以内に、制御システムは非制御システムよりも15km以上の軌道高度を低減することができ、同じ時間で非制御システムより、より多くの軌道高度を低減する。
【0055】
上記の技術的詳細と制御アルゴリズムを通じて、宇宙機の終末期または任務完了後に軌道から離脱するためのピラミッド型軌道離脱セイルの形状構築と姿勢制御方法が最終的に実現され、宇宙機の軌道離脱効率を向上させる。
【0056】
要約すると、上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。本発明の精神と原理の範囲内で行われるいかなる修正、同等の置換、改良なども、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。