(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】予測モデル生成装置、特定行動予測装置、特定行動予測システム装置、予測モデル生産方法、特定行動予測結果情報の生産方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240116BHJP
【FI】
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2020010506
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】榎本 宏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 知宏
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206232(JP,A)
【文献】特開2019-139513(JP,A)
【文献】特開2016-114694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G16H 10/00 -80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ入力部、行動パターン分析部、及び、予測モデル生成出力部を含み、
前記データ入力部は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされており、
前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎
のアクセスポイント情報を含み、
前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含み、
前記行動パターン分析部は、前記データ入力部により入力された移動情報において、
前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、
前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力部は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各
経路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する、
予測モデル生成装置。
【請求項2】
前記行動パターン分析部は、前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報を集計してそれぞれの重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力部は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各
経路の通過回数の重み係数の双方を予測モデルとして生成し出力する、
請求項1記載の予測モデル生成装置。
【請求項3】
前記データ入力部は、さらに、属性情報を入力可能であり、
前記属性情報は
、ヒト属性情報、及び
、特定エリア環境属性情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル生成出力部は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境
属性情報の少なくとも一方と紐づけて前記予測モデルを生成する、
請求項1又は2記載の予測モデル生成装置。
【請求項4】
予測対象者データ入力部、予測モデル部、行動予測部、及び、予測結果出力部を含み、
前記予測対象者データ入力部は、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル部は、請求項1から3のいずれか一項に記載の予測モデル生成装置により生成出力された予測モデルを含み、
前記行動予測部は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一方を、前記予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して
、アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び
、経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出し、
前記予測結果出力部は、前記スコアを出力する、
特定行動予測装置。
【請求項5】
前記予測対象者データ入力部は、集団の予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記行動予測部は
、アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、
経路通過回数予測スコア軸の少なくとも一方の予測スコア軸を生成し、
前記行動予測部は、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記両予測スコア軸の少なくとも一方の予則スコア軸に対してプロットする、
請求項4記載の特定行動予測装置。
【請求項6】
前記行動予測部において、前記両予測スコア軸は、中心点を有し、
前記行動予測部は、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
請求項5記載の特定行動予測装置。
【請求項7】
予測モデル生成装置及び特定行動予測装置を含む特定行動予測システム装置であって、
前記予測モデル生成装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の予測モデル生成装置であり、
前記特定行動予測装置は、請求項4から6のいずれか一項に記載の特定行動予測装置である、
特定行動予測システム装置。
【請求項8】
データ入力工程、行動パターン分析工程、及び、予測モデル生成出力工程を含み、
前記データ入力工程は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされており、
前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎
のアクセスポイント情報を含み、
前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含み、
前記行動パターン分析工程は、前記データ入力
工程により入力された移動情報において、
前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、
前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力工程は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各
経路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する、
予測モデル生産方法。
【請求項9】
予測対象者データ入力工程、行動予測工程、及び、予測結果出力工程を含み、
前記予測対象者データ入力工程は、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一方を含み、
前記行動予測工程は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各
経路の通過回数情報の少なくとも一方を、予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して
、アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び
、経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出し、
前記予測モデルは、請求項1から3のいずれか一項に記載の予測モデル生成装置により生成出力された予測モデルであり、
前記予測結果出力工程は、前記スコアを出力する、
特定行動予測結果情報の生産方法。
【請求項10】
請求項8または9記載の方法をコンピュータ上で実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測モデル生成装置、特定行動予測装置、特定行動予測システム装置、予測モデル生産方法、特定行動予測結果情報の生産方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
大学等の組織において、学生及び職員等のIT(情報技術)を利用した管理が進められている。特許文献1では、入学試験を管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
学生が途中で退学することは、学生及び大学の双方において不利益が生じる場合が多い。学生に対しアンケート又はカウンセリング等を行い、退学を考えている学生を予め発見できれば、その後のケアにより、退学を未然に防ぐことも可能となる。しかし、退学を考えている学生を発見して退学を未然に防ぐには、全学生に対し、例えば、毎月のアンケート又はカウンセリングを実施する等、定期的に調査する必要があるが、実現は難しく現実的ではない。このような、退学するか否かのように、将来、特定行動をとるか否かの予測は、他の分野でも重要であり、大学生の退学だけではなく、例えば、会社及び病院等の組織における社員及び職員の退職、テーマパークにおいて来訪者が再度来訪するか否か(リピータの可能性)等においても重要である。
【0005】
そこで、本発明は、将来の特定行動の予測が可能な予測モデル生成装置、特定行動予測装置、予測モデル生産方法及び特定行動予測結果情報の生産方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の予測モデル生成装置は、
データ入力部、行動パターン分析部、及び、予測モデル生成出力部を含み、
前記データ入力部は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされており、
前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎の前記アクセスポイント情報を含み、
前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含み、
前記行動パターン分析部は、前記データ入力部により入力された移動情報において、
前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、
前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力部は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する、
装置である。
【0007】
本発明の特定行動予測装置は、
予測対象者データ入力部、予測モデル部、行動予測部、及び、予測結果出力部を含み、
前記予測対象者データ入力部は、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル部は、本発明の予測モデル生成装置により生成出力された予測モデルを含み、
前記行動予測部は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を、前記予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び、前記経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出し、
前記予測結果出力部は、前記スコアを出力する、
装置である。
【0008】
本発明の特定行動予測システム装置は、予測モデル生成装置及び特定行動予測装置を含み、前記予測モデル生成装置は、本発明の予測モデル生成装置であり、前記特定行動予測装置は、本発明の特定行動予測装置である。
【0009】
本発明の予測モデル生産方法は、
データ入力工程、行動パターン分析工程、及び、予測モデル生成出力工程を含み、
前記データ入力工程は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされており、
前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎の前記アクセスポイント情報を含み、
前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含み、
前記行動パターン分析工程は、前記データ入力部により入力された移動情報において、
前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、
前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力工程は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する、
方法である。
【0010】
本発明の特定行動予測結果情報の生産方法は、
予測対象者データ入力工程、行動予測工程、及び、予測結果出力工程を含み、
前記予測対象者データ入力工程は、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を含み、
前記行動予測工程は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を、予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び、前記経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出し、
前記予測モデルは、本発明の予測モデル生成装置により生成出力された予測モデルであり、
前記予測結果出力工程は、前記スコアを出力する、
方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明者等は、大学キャンパス等の特定エリアにおいて、各アクセスポイントにおける滞在時間と経路の通過回数という二つのデータを使用することにより、退学等の将来の特定行動の予測が可能であることを見出し、本発明に至った。本発明によれば、退学等の将来の特定行動をとるか否かを、予測することが可能である。また、現在では、大学キャンパス等の特定エリアには複数のアクセスポイントが設けられ、また、特定エリア内で行動する学生等もスマートフォン等の端末を所持することが一般的であるため、本発明が使用する各アクセスポイントにおける滞在時間及び各径路の通過回数という二つのデータは、特別な施設、設備及び装置を必要とすることなく容易に収集可能なデータであり、他のAI等を用いた機械学習の予測方法に対し、コスト及び労力等の点で有利であるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1のシステム装置の一例の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のシステム装置の一例の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のシステム装置の一例の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態2の移動情報分析装置の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態2の移動情報分析装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態2の移動情報分析装置と、特定エリアに設置された複数の無線アクセスポイントとの関係を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態2-1の移動情報分析方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2-2における、特定エリアに設置された複数の無線アクセスポイントと、端末Aおよび端末Bの移動経路を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態2-2における、特定エリアに設置された複数の無線アクセスポイントと、端末Bの移動経路を示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態2-2の移動情報分析方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態3の予測モデル生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施形態3の予測モデル生成装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態3の予測モデル生成装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態4の特定行動予測装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施形態4の特定行動予測装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態4の特定行動予測装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態5の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、実施形態5の予測モデル生成の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、実施形態5の特定行動予測の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、実施形態5の特定行動予測の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、実施形態5の特定行動予測の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、実施形態6の特定行動予測の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、実施形態6の特定行動予測の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、実施形態7の特定行動予測の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、実施形態7の特定行動予測の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の予測モデル生成装置において、
前記行動パターン分析部は、前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報を集計してそれぞれの重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力部は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の双方を予測モデルとして生成し出力する、
という態様であってもよい。
【0014】
本発明の予測モデル生成装置において、
前記データ入力部は、さらに、属性情報を入力可能であり、
前記属性情報は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境属性情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル生成出力部は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境情報の少なくとも一方と紐づけて前記予測モデルを生成する、
という態様であってもよい。
【0015】
本発明の特定行動予測装置において、
前記予測対象者データ入力部は、集団の予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記行動予測部は、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の少なくとも一方の予測スコア軸を生成し、
前記行動予測部は、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記両予測スコア軸の少なくとも一方の予則スコア軸に対してプロットする、
という態様であってもよい。
【0016】
本発明の特定行動予測装置において、
前記行動予測部において、前記両予測スコア軸は、中心点を有し、
前記行動予測部は、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
という態様であってもよい。
【0017】
本発明の特定行動予測装置において、
前記行動予測部は、
前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の双方の予測スコア軸を生成し、かつ、前記両予測スコア軸が、互いの中心点で直交する平面座標を生成し、
前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記平面座標上にプロットし、かつ、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
という態様であってもよい。
【0018】
本発明の特定行動予測システムにおいて、さらに、移動情報分析装置を含み、
前記移動情報分析装置は、
ログ情報の受信部と、
ログ情報の記憶部と、
ログ情報の分析部と、
分析結果の出力部とを有し;
特定エリア内に配置された複数の無線アクセスポイントと、通信回線網を介して接続可能であり;
前記ログ情報は、
前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを含み;
前記受信部は、
前記複数の無線アクセスポイントから、それぞれ、前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを、ログ情報として受信し;
前記記憶部は、
前記特定エリアのマップ情報と、前記特定エリアにおける前記各アクセスポイントの位置情報とを紐付けて記憶し、
前記複数の無線アクセスポイントから受信した前記ログ情報について、前記端末の識別情報ごとに、前記端末検出時間と、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報とを紐付けて記憶し;
前記分析部は、
前記端末の識別情報ごとに、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報と前記端末検出時間とから、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントを時系列に示す時系列情報を生成し、
前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの時系列情報と、前記マップ情報と、前記無線アクセスポイントの位置情報とから、前記端末の移動経路と、任意の前記無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間とを推定し;
前記出力部は、
前記推定結果を出力する、移動情報分析装置である、
という態様であってもよい。
【0019】
本発明の予測モデル生産方法において、
前記行動パターン分析工程は、前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報を集計してそれぞれの重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力工程は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の双方を予測モデルとして生成し出力する、
という態様であってもよい。
【0020】
本発明の予測モデル生産方法において、
前記データ入力工程は、さらに、属性情報を入力可能であり、
前記属性情報は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境属性情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル生成出力工程は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境情報の少なくとも一方と紐づけて前記予測モデルを生成する、
という態様であってもよい。
【0021】
本発明の特定行動予測結果情報の生産方法において、
前記予測対象者データ入力工程は、集団の予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記行動予測工程は、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の少なくとも一方の予測スコア軸を生成し、
前記前記行動予測工程は、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記両予測スコア軸の少なくとも一方の予則スコア軸に対してプロットする、
請求項11記載の特定行動予測結果の生産方法。
【0022】
本発明の特定行動予測結果情報の生産方法において、
前記行動予測工程において、前記両予測スコア軸は、中心点を有し、
前記行動予測部は、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
という態様であってもよい。
【0023】
本発明の特定行動予測結果情報の生産方法において、
前記行動予測工程は、
前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の双方の予測スコア軸を生成し、かつ、前記両予測スコア軸が、互いの中心点で直交する平面座標を生成し、
前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記平面座標上にプロットし、かつ、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力工程は、前記評価情報を出力する、
という態様であってもよい。
【0024】
本発明のプログラムは、本発明の方法をコンピュータ上で実行可能なプログラムである。
【0025】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0026】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0027】
[実施形態1]
本実施形態は、本発明の特定行動予測システム装置についての実施形態である。
図1から
図3に、本実施形態のシステム装置の例を示す。
【0028】
まず、
図1に示すシステム装置1は、移動情報分析装置10、予測モデル生成装置30、及び、特定行動予測装置40の3つの装置により一つの装置として構成されている。移動情報分析装置10は、インターネット等の通信回線網20を介し、特定エリアAに設置されているアクセスポイント(AP)15a、15b、15cと接続(通信可能)となっている。アクセスポイント15a~cにより検知された端末のログ情報は、通信回線網20を介して移動情報分析装置10に送信される。移動情報分析装置10において、ログ情報から、予測対象者の各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、複数のアクセスポイント間の各径路の通過回数情報が分析・推定され、予測モデル生成装置30と特定行動予測装置40に出力される。予測モデル生成装置30において、出力された各アクセスポイントの滞在時間情報及び各径路の通過回数情報を基に、特定行動を予測する予測モデルが生成され、特定行動予測装置40に出力される。特定行動予測装置40において、予測モデルを基に、移動情報分析装置10により出力された予測対象者の各アクセスポイント滞在時間情報及び各径路の通過回数情報から、予測対象者の将来の特定行動(例えば、退学、退社、再来訪等)が予測される。移動情報分析装置10での各アクセスポイント滞在時間情報及び各径路の通過回数情報の分析・推定の詳細、予測モデル生成装置30での予測モデルの生成の詳細、及び、特定行動予測装置40での特定行動予測の詳細は、実施形態2以降で説明する。なお、本発明の特定行動予測システム装置は、予測モデル生成装置30と特定行動予測装置40を必須の構成要素とし、移動情報分析装置10、任意の構成要素である。
【0029】
図2に示すシステム装置2では、予測モデル生成装置30と特定行動予測装置40により一つの装置が構成され、移動情報分析装置10は、別装置となっている。その他は、
図1のシステム装置と同じである。
【0030】
図3に示すシステム装置は、移動情報分析装置10、予測モデル生成装置30、及び、特定行動予測装置40が、それぞれ独立した装置となっており、通信回線網20によって互いに接続されている。その他は、
図1のシステム装置と同じである。
【0031】
本発明において、前記特定エリアは、特に制限されず、複数のアクセスポイントが配置されているエリアであればよい。具体的には、例えば、学校(大学、高校等)、会社、役所、病院、介護施設、テーマパーク(遊園地等)、イベント会場、百貨店、ショッピングモール、観光地、ホテル、研究所、美術館、博物館、水族館、動物園、植物園、空港、駅、商店街、町内等がある。
【0032】
本発明において、予測対象者の前記特定行動は、退学、退職、再来訪(リピーター)等がある。また、本発明において、特定行動予測対象者は、例えば、学生、社員、職員、来場者、犯罪者等である。
【0033】
本発明において、前記各アクセスポイントの滞在時間及び各径路の通過回数は、例えば、前記移動情報分析装置により推定された滞在時間及び通過回数であってもよいし、実測された滞在時間及び通過回数であってもよい。
【0034】
[実施形態2]
本実施形態では、移動情報分析装置について、説明する。
【0035】
本実施形態の移動情報分析装置は、
ログ情報の受信部と、
ログ情報の記憶部と、
ログ情報の分析部と、
分析結果の出力部とを有し;
特定エリア内に配置された複数の無線アクセスポイントと、通信回線網を介して接続可能であり;
前記ログ情報は、
前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを含み;
前記受信部は、
前記複数の無線アクセスポイントから、それぞれ、前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを、ログ情報として受信し;
前記記憶部は、
前記特定エリアのマップ情報と、前記特定エリアにおける前記各アクセスポイントの位置情報とを紐付けて記憶し、
前記複数の無線アクセスポイントから受信した前記ログ情報について、前記端末の識別情報ごとに、前記端末検出時間と、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報とを紐付けて記憶し;
前記分析部は、
前記端末の識別情報ごとに、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報と前記端末検出時間とから、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントを時系列に示す時系列情報を生成し、
前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの時系列情報と、前記マップ情報と、前記無線アクセスポイントの位置情報とから、前記端末の移動経路と、任意の前記無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間とを推定し;
前記出力部は、
前記推定結果を出力する、
ことを特徴とする。
【0036】
本発明の移動情報分析装置によれば、例えば、既存の端末等を用いて、室内外における位置情報の分析を行うことができる。
【0037】
本発明の移動情報分析装置によれば、例えば、複数の無線アクセスポイントが設置された特定エリアであれば、前記無線アクセスポイントに接続可能な端末を携帯する携帯者の位置情報を分析することができる。本発明の移動情報分析装置により移動情報を分析するにあたり、前記無線アクセスポイントおよび前記端末は、何ら制限されず、既存の無線アクセスポイントおよび端末を使用することができる。このように、本発明の移動情報分析装置によれば、前記無線アクセスポイントおよび前記端末として、例えば、特殊なものを使用する必要性がないため、前記無線アクセスポイントおよび前記端末について、特別な追加投資等を行うことなく、移動情報の分析を行うことができる。
【0038】
本実施形態の移動情報分析装置は、例えば、前記端末が、無線LAN端末であり、前記端末の識別情報が、MACアドレスである。
【0039】
本実施形態の移動情報分析装置は、例えば、前記端末が、WiFi端末である。
【0040】
本実施形態の移動情報分析装置は、例えば、前記端末が、スマートフォンである。
【0041】
[実施形態2-1]
図4は、本実施形態の移動情報分析装置10の構成の一例を示すブロック図である。移動情報分析装置10は、受信部11、記憶部12、分析部13、出力部14を含む。
【0042】
本装置10の形態は、特に制限されないが、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)が挙げられる。また、本装置10を構成する各部11~14は、別々の装置がネットワーク(通信回線網)で接続された態様であってもよい。
【0043】
図5に、本装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央演算処理装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置(ディスプレイ)106、通信デバイス107等を有する。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0044】
中央演算処理装置101は、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央演算装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算装置101が、受信部11、分析部13、及び、出力部14として機能する。
【0045】
バス103は、例えば、外部機器とも接続できる。前記外部機器は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンター等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置又は機器と接続することもできる。他の装置としては、例えば、管理者の端末(PC,サーバ、スマートフォン、タブレット等)がある。
【0046】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、ディスプレイ106を有する。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。ディスプレイ106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0047】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、管理者からのアクセス情報及びログ情報、並びに、外部データベース(図示せず)から取得した情報を記憶することも可能である。また、記憶装置104は、記憶部12として機能する。
【0048】
本装置10において、受信部11は、例えば、通信デバイス107を介し、外部の通信回線網(ネットワーク)を介して、特定エリアのアクセスポイントから端末のログ情報を受信する。外部ネットワークとしては、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等がある。通信デバイス107による通信は、有線でも無線でもよい。無線通信としては、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、等が挙げられる。無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。
【0049】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。記憶装置104は、例えば、記憶媒体と、記憶媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。
【0050】
つぎに、
図6は、移動情報分析装置10と、前記特定エリア(対象エリア)内における複数の無線アクセスポイントとの関係を示す模式図である。
図6に示すように、前記特定エリアには、複数の無線アクセスポイント15a、15b、15c、15d、15e(以下、あわせて無線アクセスポイント15ともいう)が設置されており、移動情報分析装置10は、前記特定エリアの複数の無線アクセスポイント15のそれぞれと、通信回線網20を介して接続可能である。通信回線網20は、特に制限されず、公知の通信回線網を使用でき、例えば、有線でも無線でもよく、無線が好ましい。通信回線網20は、前述のように、インターネット回線、電話回線、LAN(Local Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等があげられる。
【0051】
無線アクセスポイント15は、それぞれ、識別情報を有しており、前記識別情報により、例えば、前記特定エリアにおける位置を特定できる。無線アクセスポイント15は、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)アクセスポイントがあげられる。無線アクセスポイント15は、例えば、任意に設定した検出エリア内に、無線アクセスポイント15に接続可能な前記端末が侵入すると、前記端末から前記端末の識別情報を受信する。前記端末は、無線アクセスポイント15に、通信回線網を介して接続可能な端末であればよく、例えば、WiFi端末等の無線LAN端末である。前記端末の具体例は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット、PC、ウェアラブル端末等があげられる。前記端末の識別情報は、例えば、各端末に個別に付与される、MAC(Media Access Control)アドレス、BSS-ID(Basic Service Set Identifier)等があげられる。
【0052】
移動情報分析装置10において、受信部11は、前記特定エリアに配置された複数の無線アクセスポイント15のそれぞれから、ログ情報を受信する。前記ログ情報は、無線アクセスポイント15の前記識別情報と、無線アクセスポイント15が検出した前記端末の識別情報と、無線アクセスポイント15が前記端末を検出した端末検出時間とを含む。無線アクセスポイント15の前記識別情報は、特に制限されず、例えば、各無線アクセスポイント15に個別に付与される、MACアドレス、BSS-ID等があげられる。
【0053】
受信部11は、例えば、複数の無線アクセスポイント15から、直接、前記ログ情報を受信してもよいし、複数の無線アクセスポイント15からの前記ログ情報が蓄積されたデータベースを介して、前記ログ情報を受信してもよい。
【0054】
記憶部12は、前記特定エリアのマップ情報と、前記特定エリアにおける各無線アクセスポイント15の位置情報とを紐づけて記憶する。
【0055】
前記特定エリアのマップ情報とは、例えば、前記特定エリアにおける地図である。前記特定エリアは、複数の無線アクセスポイント15が配置されているエリアであればよい。本発明の移動情報分析装置および方法は、無線アクセスポイント15から受信する前記ログ情報を利用するため、例えば、GPS等を利用するシステムとは異なり、屋内および屋外にかかわらず、前記端末の携帯者の移動情報を分析することができる。このため、本発明の移動情報分析装置および方法は、例えば、屋内と屋外とが混在するエリアに対して利用することが好ましい。前記特定エリアとしては、例えば、建物、広場、道、駐車場等が混在するエリアがあげられ、具体例としては、前述のように、学校、病院等である。
【0056】
無線アクセスポイント15の位置情報とは、例えば、前記特定エリアのどこに設置されているかという情報である。
【0057】
さらに、記憶部12は、受信部11により複数の各無線アクセスポイント15から受信した前記ログ情報について、前記端末の前記識別情報ごとに、前記端末検出時間と、前記端末を検出した無線アクセスポイント15の前記識別情報とを紐づけて記憶する。
【0058】
分析部13は、まず、前記端末の識別情報ごとに、前記端末を検出した無線アクセスポイント15の前記識別情報と前記端末検出時間とから、前記端末を検出した無線アクセスポイント15を時系列に示す時系列情報を生成する。そして、分析部13は、前記端末を検出した無線アクセスポイント15の前記時系列情報と、前記マップ情報と、無線アクセスポイント15の位置情報とから、前記端末の移動経路と、任意の無線アクセスポイント15から次の無線アクセスポイント15までの滞在時間とを推定する。
【0059】
出力部14は、分析部13の推定結果を出力する。出力部14による出力は、特に制限されず、例えば、モニターへの出力等があげられる。
【0060】
つぎに、本実施形態の移動情報分析装置10による分析方法について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
(A0)記憶工程(
図7に図示せず)
前記(A0)工程は、予め、特定エリアのマップ情報と、前記特定エリアに設置された複数の無線アクセスポイントの位置情報とを紐づけて記憶する工程である。具体的に、前記無線アクセスポイントの位置情報は、例えば、前記無線アクセスポイントの識別情報と共に、前記特定エリアのマップ情報と紐づけられている。
【0062】
(A1)受信工程
前記(A1)工程は、前記特定エリア内に配置された複数の無線アクセスポイントから、それぞれ、通信回線網を介して、前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを、ログ情報として受信する工程である。
【0063】
(A2)記憶工程
前記(A2)工程は、前記複数の無線アクセスポイントから受信した前記ログ情報について、前記端末の識別情報ごとに、前記端末検出時間と、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報とを紐付けて記憶する工程である。
【0064】
(A3)分析工程
前記(A3)工程は、前記端末の識別情報ごとに、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報と前記端末検出時間とから、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントを時系列に示す時系列情報を生成し、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの時系列情報と、前記マップ情報と、前記無線アクセスポイントの位置情報とから、前記端末の移動経路と、任意の前記無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間とを推定する工程である。具体的には、例えば、識別番号により分析する対象の端末を選択し、前記時系列情報の生成と前記推定とを、前記端末ごとに、繰り返し行う。なお、移動経路の推定とマッピング情報から、各径路の通過回数を算出することができる。
【0065】
(A4)出力工程
前記(A4)工程は、前記推定結果を出力する工程である。前記出力によって、例えば、前記端末の移動経路を可視化できる。
【0066】
[実施形態2-2]
前記実施形態2-1の移動情報分析装置10を用いた移動情報分析方法の一例として、端末Aを携帯する被験者Aおよび端末Bを携帯する被験者Bの移動情報の分析について説明する。
【0067】
図8に、特定エリア内における被験者Aおよび被験者Bの移動経路を、それぞれ矢印で示す。
図8において、被験者Aは、識別番号Aで特定される端末Aを携帯し、被験者Aの移動経路は、白抜き矢印で示し、被験者Bは、識別番号Bで特定される端末Bを携帯し、被験者Bの移動経路は、グレー矢印で示す。端末Aおよび端末Bは、無線アクセスポイント(15a~15i)の検出エリアに侵入すると、その無線アクセスポイントと接続可能であり、無線アクセスポイント(15a~15i)は、その検出エリアに端末Aまたは端末Bが侵入すると、侵入した端末Aまたは端末Bの識別情報を受信する。
【0068】
図8に示すように、端末Aは、被験者Aの移動によって、無線アクセスポイント15a、15b、15c、15eの検出エリアに侵入している。他方、端末Bは、被験者Bの移動によって、無線アクセスポイント15a、15f、15d、15c、15i、15gの検出エリアに侵入している。このため、移動情報分析装置10の受信部11は、無線アクセスポイント15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g、15iから、それぞれ、前記無線アクセスポイントの識別情報と、検出した端末の前記識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを、前記ログ情報として受信する。
【0069】
そして、移動情報分析装置10の記憶部12は、各無線アクセスポイント15から受信した前記ログ情報について、端末Aおよび端末Bの前記識別情報ごとに、前記端末検出時間と、前記端末を検出した無線アクセスポイント15の前記識別情報とを紐づけて記憶する。各無線アクセスポイント15から受信した前記ログ情報は、例えば、下記表1のように紐付けることができる。下記表1において、端末A検出時間および端末B検出時間には、便宜上、それぞれ、時系列の順序に通し番号を付している。
【0070】
【0071】
つぎに、移動情報分析装置10の分析部13は、端末Aおよび端末Bの前記識別情報ごとに、端末Aまたは端末Bを検出した各無線アクセスポイント15の前記識別情報と前記端末検出時間とから、端末Aまたは端末Bを検出した各無線アクセスポイント15を時系列に示す時系列情報を生成する。例えば、前記表1に示すログ情報から、下記表2に示すような時系列情報を生成することができる。
【0072】
【0073】
そして、分析部13は、端末Aを検出した無線アクセスポイントの時系列情報と、前記マップ情報と、無線アクセスポイントの位置情報とから、端末Aの移動経路と、任意の無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間とを推定する。具体的には、例えば、前記表2の端末Aの時系列情報を、前記マップ情報と、無線アクセスポイントの位置情報に基づいて、マッピングすることにより、無線アクセスポイント15a、15b、15c、15eをつなぐ経路が、端末Aを携帯する被験者Aの移動経路と推定できる。また、端末Aを検出した無線アクセスポイントの検出時間と、次に検出した無線アクセスポイントの検出時間との間の時間が、前の無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間と推定できる。例えば、無線アクセスポイント15aから無線アクセスポイント15bまでの滞在時間は、10分、無線アクセスポイント15bから無線アクセスポイント15cまでの滞在時間は、1時間20分、無線アクセスポイント15cから無線アクセスポイント15eまでの滞在時間は、2時間と推定できる。
【0074】
また、分析部13は、同様に、端末Bを検出した無線アクセスポイントの時系列情報と、前記マップ情報と、無線アクセスポイントの位置情報とから、端末Bの移動経路と、任意の無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間とを推定する。具体的には、前記表2の端末Bの時系列情報を、前記マップ情報と、無線アクセスポイントの位置情報に基づいて、マッピングすることにより、無線アクセスポイント15a、15f、15d、15c、15i、15gをつなぐ経路が、端末Bを携帯する被験者Bの移動経路と推定できる。また、端末Bを検出した無線アクセスポイントの検出時間と、次に検出した無線アクセスポイントの検出時間との間の時間が、前の無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間と推定できる。
【0075】
分析部13における移動経路の推定には、例えば、さらに、前記端末を検出しなかった無線アクセスポイントの情報を利用することもできる。
図9に、
図8と同様に、無線アクセスポイントと、端末Bを有する被験者Bの移動経路を、グレー矢印で示す。
図9に示すように、無線アクセスポイント15aから無線アクセスポイント15cまで移動する場合、グレー矢印に示すように、無線アクセスポイント15fと15dとを経て、無線アクセスポイント15cに到達する経路もあるが、点線矢印に示すように、無線アクセスポイント15bを経て、無線アクセスポイント15cに到達する経路もある。しかし、前記表1に示すように、移動情報分析装置10の受信部11は、端末Bに関する無線アクセスポイント15bからの前記ログ情報は受信していない。この結果からも、端末Bを有する被験者Bは、無線アクセスポイント15bではなく、無線アクセスポイント15fと15dとを経て、無線アクセスポイント15cに到達したとの推測を裏付けることができる。
【0076】
そして、出力部14は、分析部13による前記推定結果を出力する。
【0077】
本発明において、例えば、より詳細に移動情報を分析する場合には、前記特定エリアに前記無線アクセスポイントを増設することで対応できる。
【0078】
つぎに、より具体的に、
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0079】
前記実施形態2-1と同様に、前記(A0)記憶工程、前記(A1)受信工程および前記(A2)記憶工程を行う。そして、前記(A3)分析工程として、(A3-1)~(A3-5)工程を行う。
【0080】
具体的には、まず、前記(A3-1)工程として、分析対象の端末を選択する。そして、前記(A3-2)工程として、前記選択した端末について、時系列情報を生成し、前記(A3-3)工程として、移動経路の推定を行う。ここで、選択した端末に関する推定した移動経路が1つの場合(NO)、前記選択した端末については、マッピングを行う(A3-5)、さらに、未選択の他の端末について、前記(A3-1)~(A3-4)工程を繰り返し行う。一方、選択した端末に関する推定した移動経路が複数の場合(YES)は、前記(A3-4)工程として、例えば、前述のように、前記端末を検出しなかった無線アクセスポイントの情報から、移動経路の絞り込みを行い、前記選択した端末については、マッピングを行い(A3-5)、さらに、未選択の他の端末について、前記(A3-1)~(A3-4)工程を繰り返し行う。このように、選択した端末について、移動経路が推定されると、前記(A3-5)工程として、各端末について、移動経路のマッピングを行い、前記(A4)工程として、推定結果(例えば、移動経路をマッピングしたマップ)を出力する。
【0081】
[実施形態3]
本実施形態では、予測モデル生成装置及び予測モデル生産方法の一例を示す。
【0082】
図11は、本実施形態の予測モデル生成装置30の構成の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、予測モデル生成装置30は、データ入力部31、行動パターン分析部32、予測モデル生成出力部33を含む。
【0083】
本装置30の形態は、特に制限されないが、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)が挙げられる。また、本装置30を構成する各部31~33は、別々の装置がネットワーク(通信回線網)で接続された態様であってもよい。
【0084】
図12に、本装置30のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置30は、例えば、中央演算処理装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置(ディスプレイ)106、通信デバイス107等を有する。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0085】
中央演算処理装置101は、本装置30の全体の制御を担う。本装置30において、中央演算装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算装置101が、データ入力部31、行動パターン分析部32、及び、予測モデル生成出力部33として機能する。
【0086】
データ入力部31は、入力装置105又は通信デバイス107による通信によって、移動情報分析装置が出力する各アクセスポイントの滞在時間情報及び各径路の通過回数情報を本装置30に入力する。
【0087】
行動パターン分析部32は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出する。重み係数の算出は、後述する。
【0088】
予測モデル生成出力部33は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する。出力は、例えば、表示装置(ディスプレイ)106による表示でもよいし、プリンター(図示です)によるプリントアウトでもよいし、通信デバイス107を介して他の装置(端末)に出力して表示又はプリントアウトしてもよい。
【0089】
予測モデル生成装置30のその他の構成は、実施形態2の移動情報分析装置10と同じである。
【0090】
図13のフローチャートに、本装置30による処理(予測モデル生産方法)を示す。
【0091】
まず、データ入力部31により、データを入力する(S1)。データ入力部31は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力する。前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされている。前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎の前記アクセスポイント情報を含み、前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含む。
【0092】
次に、行動パターン分析部32により行動パターンを分析する(S2)。行動パターンの分析は、まず、前記データ入力部により入力された移動情報において、前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出することにより、実施される。
【0093】
次に、予測モデル生成出力部33により、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する(S3)。
【0094】
本発明の予測モデル生成装置30において、予測モデル生成出力部33は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境情報の少なくとも一方と紐づけて前記予測モデルを生成するという態様であってもよい。この態様であれば、更に精度が高い予測が可能となる。前記ヒト属性情報としては、例えば、性別、年齢、学年、所属学部学科、所属サークル、家族構成、交友関係、成績、購買金額、来訪(来場)回数、出身地、現居住地、来場方法(車、徒歩、公共交通機関等)等のヒトに関わる事項である。前記特定エリア環境属性情報は、例えば、時間帯、季節、月、温度、天気、イベント情報(学祭、入学式、コンサート、セール)等の時間及び場所に関わる事項である。具体的に、予測モデル生成出力部33は、例えば、機械学習手段、及び分析手段を含むことで、更に精度が高い予測が可能となる。このような予測により、例えば、来場施設をより有効に活用するための対策を検討することも可能となる。
【0095】
具体的に、前記ヒト属性情報を用いる場合を例に挙げて説明する。前記機械学習手段は、例えば、ヒト属性データベースを参照して、機械学習により、ヒト属性モデルを生成する。前記ヒト属性データベースは、例えば、学生コードをキーとして性別や学年等の分類でヒト属性情報が格納されているデータベースである。すなわち、前記機械学習手段は、例えば、男性のみ、女性のみ、入学したての1年生のみ、就職活動中の3年生のみ、等のヒト属性情報を用いて機械学習することで、前記ヒト属性情報をもつヒトに対してより精度の高いヒト属性情報モデルが生成可能である。前記機械学習の手法は、特に制限されない。そして、前記分析手段は、例えば、前記ヒト属性情報と対応する前記ヒト属性モデルを用いて分析する。具体的に、前記分析手段は、例えば、前記ヒト属性情報が「3年生」であるヒトに対し、前記ヒト属性情報「3年生」のみを用いて生成されたヒト属性モデルを使って分析する。そして、予測モデル生成出力部33は、例えば、前記分析によって、得られた分析データを紐づけて、前記予測モデルを生成する。
【0096】
次に、前記特定エリア環境情報を用いる場合を例に挙げて説明する。前記機械学習手段は、例えば、特定エリア環境データベースを参照して、機械学習により、特定エリア環境モデルを生成する。前記特定エリア環境データベースは、例えば、一定の単位(月単位等)等の分類で特定エリア環境情報が格納されているデータベースである。すなわち、前記機械学習手段は、例えば、入学や履修等のイベントがある4月のみのデータ、授業時期である6月のみのデータ、テスト時期である7月のみのデータ、夏休み時期である8月~9月のみのデータ、等の前記特定エリア環境情報を用いて機械学習することで、その時期のより高い精度の特定エリア環境モデルが生成可能である。前記機械学習の手法は、特に制限されない。そして、前記分析手段は、例えば、前記特定エリア環境情報と対応する前記特定エリア環境モデル(すなわち、前記特定エリア環境情報と同時期の特定エリア環境モデル)を用いて分析する。そして、予測モデル生成出力部33は、例えば、前記分析によって、得られた分析データを紐づけて、前記予測モデルを生成する。なお、これらは例示であって、本発明は、これらに制限されない。例えば、観光地においては、朝、昼、夜等の時間帯別にデータを分類して機械学習を実施し、分析してもよい。また、特定の天気(雨、晴れ等)や特定の時間帯、特定の気温(暑い、寒い等)のみで、機械学習を実施し、分析してもよい。
【0097】
[実施形態4]
本実施形態では、特定行動予測装置及び特定行動予測結果情報の生産方法の一例を示す。
【0098】
図14は、本実施形態の特定行動予測装置40の構成の一例を示すブロック図である。
図14に示すように、特定行動予測装置40は、予測対象者データ入力部41、予測モデル部42、行動予測部43、及び、予測結果出力部44を含む。
【0099】
本装置40の形態は、特に制限されないが、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)が挙げられる。また、本装置40を構成する各部41~44は、別々の装置がネットワーク(通信回線網)で接続された態様であってもよい。
【0100】
図15に、本装置40のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置40は、例えば、中央演算処理装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置(ディスプレイ)106、通信デバイス107等を有する。本装置40の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0101】
中央演算処理装置101は、本装置40の全体の制御を担う。本装置40において、中央演算処理装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算処理装置101が、予測対象者データ入力部41、予測モデル部42、行動予測部43、及び、予測結果出力部44として機能する。
【0102】
予測対象者データ入力部41は、入力装置105又は通信デバイス107による通信によって、移動情報分析装置が出力する予測対象者の各アクセスポイントの滞在時間情報及び各径路の通過回数情報を本装置40に入力する。
【0103】
予測モデル部42は、予測モデル生成装置30が生成した予測モデルである。行動予測部43は、スコアを算出する。スコアの算出方法は、後述する。
【0104】
予測結果出力部44は、スコアを出力する。出力は、例えば、表示装置(ディスプレイ)106による表示でもよいし、プリンター(図示です)によるプリントアウトでもよいし、通信デバイス107を介して他の装置(端末)に出力して表示又はプリントアウトしてもよい。
【0105】
特定行動予測装置40のその他の構成は、実施形態2の移動情報分析装置10と同じである。
【0106】
図16のフローチャートに、本装置40による処理(特定行動予測結果情報の生産方法)を示す。
【0107】
まず、予測対象者データ入力部41により、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力する(S1)。前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報を含む。
【0108】
次に、行動予測部43は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報を、前記予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び、前記経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出する(S2)。
【0109】
そして、予測結果出力部44は、前記スコアを出力する(S3)。
【0110】
本発明の特定行動予測装置40において、予測対象者データ入力部41は、集団の予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、行動予測部43は、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の少なくとも一方の予測スコア軸を生成し、行動予測部43は、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記両予測スコア軸の少なくとも一方の予則スコア軸に対してプロットする、という態様であってもよい。この態様であれば、特定行動予測結果を可視化できるため、分かりやすい。
【0111】
本発明の特定行動予測装置40において、前記両予測スコア軸は、中心点を有し、行動予測部43は、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、予測結果出力部44は、前記評価情報を出力する、という態様であってもよい。
【0112】
本態様において、さらに、行動予測部43は、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の双方の予測スコア軸を生成し、かつ、前記両予測スコア軸が、互いの中心点で直交する平面座標を生成し、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記平面座標上にプロットし、かつ、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成する、という態様であってもよい。
【0113】
前記の態様であれば、評価情報が出力されるため、よし客観的な予測となり、また、平面座標でプロットすることで予測結果が可視化され、分かりやすくなる。
【0114】
前記の態様において、前記中心点は、例えば、集団の平均値、集団の中央値、集団の最頻値、数値0点等である。
【0115】
[実施形態5]
図17~
図28に示す本実施形態では、大学で退学者を予測する予測モデルを生成、前記予測モデルを使用して学生の退学の可能性を予測する一例を示す。
【0116】
図17では、大学のキャンパスが特定エリアとなっており、複数の無線アクセスポイントが設置されている。
図17には、被験者A及び被験者Bの移動ルートが示されており、無線アクセスポイントごとに、被験者A又は被験者Bの端末がアクセスした時刻情報が表示されている。各アクセスポイントは、無線ネットワークに接続しており、ログ収集サーバと通信可能となっている。ログ収集管理サーバはアクセスログ情報をデータベースに格納して記憶している。ログ収集管理サーバは、ログ分析サーバと接続しており、ログ分析サーバが移動情報分析装置である。ログ分析サーバによる分析結果は、管理者又は利用者の端末(PC、タブレット、スマホ等)からアクセスすることにより、閲覧・参照することができる。
【0117】
図18では、
図17の分析結果を可視化して表示した例を示している。
図18では、被験者Aの移動ルートについて、通路情報、検出したアクセスポイント及び検出されなかったアクセスポイントから移動経路を推定している。例えば、バツ印で示す径路は、この径路を通過する場合は、
図18において左下のアクセスポイントがログ情報を検出(反応)することになるが、ログ情報が検出(反応)されていないので、この径路候補は、通過経路としては採用していない(不採用)。
【0118】
図19では、学習フェース(予測モデルの生成)を示す。
図19では、将来の特定行動を「退学(ドロップアウト)」とし、退学した学生(被験者Aグループ)と退学していない学生(通常学生、被験者Bグループ)の二つのグループに分け、それぞれの各アクセスポイントの滞在時間及び各径路の通過回数を計測している。学習フェース(予測モデルの生成)では、被験者Aグループ(退学)の各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数をプラス(+)値で集計しており、被験者B(通常学生)の各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数をマイナス(-)で集計している。
【0119】
図20は、
図19での集計の例を示している。
図20に示すように、退学(ドロップアウト)の学生では、あるアクセスポイントの滞在時間をプラス(+)14分とし、ある経路の通過回数(移動回数)をプラス(+)1回としている。また、
図20に示すように、通常学生では、あるアクセスポイントの滞在時間をマイナス(-)2分とし、ある経路の通過回数(移動回数)をマイナス(-)1回としている。
【0120】
図21は、移動情報分析装置による各アクセスポイントの滞在時間及び各径路の通過回数のマッピングの処理、予測モデル生成の処理、及び、特定行動(退学)予測の処理の一連の処理を示すフローチャートである。以下、各処理を記載する。
【0121】
(移動情報分析A)
処理開始。
(1)無線アクセスポイントのログデータをデータベースに取り込む。
(2)可視化期間と可視化対象者(MACアドレス)を指定し、(1)のデータベースから必要なデータを切出す。
(3)対象者毎の時系列移動情報を作成。
(4)無線アクセスポイント位置情報と地図経路情報から移動経路候補を抽出。
(5)移動経路候補が複数ある場合はアクセスログを記録しなかったアクセスポイント(そこは通っていない)情報から候補を絞り込む。
(6)(3)~(5)を対象者分繰り返す。
(7)移動経路推定情報を地図にマッピングする。
(8)推定結果を出力。
処理終了。
【0122】
(予測モデル生成)
処理開始。
(11)移動情報分析Aにより、非在席の全学生のアクセスポイント滞在時間と移動経路を抽出する。
(12)(11)のデータをドロップアウトした学生データと一般データに分類する。
(13)一般(非退学)データの滞在時間をマイナス値。退学トデータをプラス値として各アクセスポイントごとに集計しアクセスポイントAPの重みづけ値とする。
(14)一般データの移動経路通過回数をマイナス値、退学データの移動経路通過回数をプラス値として経路の重みづけする。
処理終了。
【0123】
(特定行動(退学)予測)
処理開始
(15)移動情報分析Aにより在席中の学生のアクセスポイント滞在時間と移動経路を抽出する。
(16)(15)の各学生の滞在時間と(13)の重みの積を各学生ごとに集計(サマリ)する。
(17)(15)の各学生の移動経路と(14)の重みの積を各学生ごとに集計(サマリ)する。
(18)退学可能性チェックリストとして(16)と(17)をそれぞれ大きいもの順にリスト出力する。
処理終了
【0124】
図21に示すように、特定行動(退学)の予測は、例えば、一週間から数週間単位、一か月から数カ月単位等のように定期的に実施することが好まし、定期的な実施により、学生をモニタリングでして、退学の可能性を早期に検出でき、退学を防ぐケアも早期に実施できる。
【0125】
図21に示すように、特定行動(退学)予測において、退学か否かの判断の閾値を設定してもよし、閾値は、データを蓄積した後に、設定してもよい。また、閾値を超えて退学可能性ありの学生には、アラートを出しても良い。
【0126】
図22は、予測モデル生成のデータのイメージを示す。
図22に示すように、アクセス大学キャンパスには、アクセスポイントA~Oがあり、退学(ドロップアウト)の学生では、Aのアクセスポイントの滞在時間をプラス(+)14分とし、AからCへの経路の通過回数(移動回数)をプラス(+)1回としている。また、
図22に示すように、通常学生では、Aのアクセスポイントの滞在時間をマイナス(-)2分とし、AからCへの経路の通過回数(移動回数)をマイナス(-)1回としている。
【0127】
図23は、予測モデル生成においての、データ構造及びテーブル構造の一例を示す。
図23の左側のテーブルは、学生の各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過のデータを示す。同テーブルでは、退学(ドロップアウト)を識別番号Aのグループとし、非退学(一般)を識別番号Bのグループとしており、各アクセスポイントA~O毎に、端末のログ検出の記録時間(記録時刻)及び滞在時間が、時系列に並べられている。
図23の右側には、アクセスポイントの滞在時間の管理テーブル及び径路と移動(通過)回数の管理テーブルが示されている。
【0128】
図24は、退学の学生の滞在時間をプラス値とし、非退学(一般)の学生の滞在時間をマイナス値として処理する例を示す。
図24で示す処理は、
図21のフローチャートの予測モデル生成の処理(11)に該当する。
図24において、例えば、左の表のアクセスポイントAの滞在時間はプラス(+)14分で、右の表では、プラス(+)14分と、アクセスポイントAで端末を検出した回数をカウント1とが記録されている。同様に、左の表のアクセスポイントJの滞在時間はマイナス(-)95分で、右の表では、マイナス(-)95分と、アクセスポイントJで端末を検出した回数をカウント1とが記録されている。また、アクセスポイントCでは、右の表の退学のプラスと非退学のマイナスが、左の表では相殺されて滞在時間はプラス(+)5分となっている。アクセスポイントDも同様にプラスとマイナスが相殺されて左の表では滞在時間0分となっている。
【0129】
図25は、各径路(例えば、アクセスポイントAからアクセスポイントB、右の表ではA-->Bとしめす。)退学の学生の経路の通過回数(移動回数)をプラス値とし、非退学(一般)の学生の経路の通過回数(移動回数)をマイナス値として処理する例を示す。まず、左の表では、時系列に記録時間(端末のログ情報検出時間)早い順番に、アクセスポイントと記録時間が配列されている。左の表において、アクセスポイントAの記録時間8:28、アクセスポイントCの記録時間8:42から、端末を所有する学生の移動経路は、アクセスポイントAからアクセスポイントCであると推定し、右の表の経路AからCに移動回数を記録するが、この学生は退学した学生なので、プラス(+)1回と右の表に記録し、かつ、左の表において、経路AからCを通過(移動)したのは一つなので、右の表において、カウント数1と記録する。左の表において、経路CからDに該当するのは、アクセスポイントCの8:42からアクセスポイントDの8:52と、アクセスポイントCの8:47からアクセスポイントDの8:52の二回があり、それぞれ、退学の学生の通過と非退学の学生の通過であるため、通過回数+1と―1が相殺されて、右の表では、経路CからDの回数は0と記録され、カウント数は2と記録される。
【0130】
図26では、右側には、予測モデルとしての各アクセスポイント毎の滞在時間の重み付けの係数の表(滞在時間の管理テーブル)と各径路の通過回数の重み付け係数の表(通過回数の管理テーブル)が示されている。また、
図26の左側には、分析にかける新たな学生(特定行動予測対象者)の各アクセスポイントの滞在時間と移動経路データ(道標では「記録時間」と記載、学生の端末のログ情報の検出時刻)の表(データY)が示されている。
【0131】
滞在時間スコア及び通過回数スコアを算出する一例を説明する。
図26は、滞在時間スコア及び通過回数スコアを算出するために用いるデータ構造及びテーブル構造の一例を示す。
図26の左側のテーブルは、学生S(識別番号S)と学生T(識別番号T)の各アクセスポイントの記録時間(各学生の端末のログ情報の検出時刻)及び滞在時間のデータを示す。同テーブルでは、各アクセスポイントA~O毎に、端末のログ検出の記録時間(記録時刻)及び滞在時間が、時系列に並べられている。
図26の真ん中のテーブルは、各アクセスにおける滞在時間の予測モデルであり、各アクセスポイント毎に重み付け係数が付加されたデータを示す。
図26の左側のテーブルは、各通過経路の予測モデルであり、各通過経路毎に重み付け係数が付加されたデータを示す。
【0132】
図27(A)では、学生S(識別番号S)と学生T(識別番号T)の各アクセスポイントの滞在時間を用いて、滞在時間スコアを算出する例を示す。
図27(A)の処理は、
図21のフローチャートの特定行動(退学)予測の処理(16)に該当する。
図27(A)の上側の表には、学生Sと学生Tの各アクセスポイント毎に滞在時間(
図26の左側のテーブルにおけるデータ)に重み付け係数(
図26の真ん中のテーブルのデータ)を乗じて算出した数値が記載されている。そして、
図27(A)の下の表では、学生Sと学生T毎に、各アクセスポイントの重み付け係数を乗じて算出した数値を集計した滞在時間スコアが記載されており、学生Sの滞在時間スコアは「プラス(+)53042」であり、学生Tの滞在時間スコアは「マイナス(-)23297」となっている。
【0133】
同様に、
図27(B)では、学生S(識別番号S)と学生T(識別番号T)の各径路の通過回数(移動回数)を用いて、通過回数スコアを算出する例を示す。
図27(B)の処理は、
図21のフローチャートの特定行動(退学)予測の処理(17)に該当する。
図27(B)の上側の表は、
図26の右側のテーブルのデータを参照して、学生Sと学生Tの各径路毎の通過回数(
図26の左側のテーブルにおけるデータ)に重み付け係数を乗じて算出した数値が記載されている。そして、
図27(B)の下の表では、学生Sと学生T毎に、各径路の重み付け係数を乗じて算出した数値を集計した通過回数スコアが記載されており、学生Sの通過(移動)回数スコアは「プラス(+)5」であり、学生Tの通過(移動)回数スコアは「マイナス(-)8」となっている。
【0134】
図28は、学生S及び学生Tを含む複数の学生の手段の予測結果示す。
図28は、
図21のフローチャートの特定行動(退学)予測の処理(18)に該当する。
図28の左側の表は、各学生毎に、滞在時間スコアをリスト化した表であり、右側の表は、各学生毎に通過回数スコアをリスト化した表である。
図28のグラフは、滞在時間スコア軸を横軸(X軸)とし、通過回数(移動回数)スコアを縦軸(Y軸)とし、両軸を中心点で直交させて作成した平面座標に、各学生の滞在時間スコアと通過回数スコアをプロットしたものである。同グラフの右上の集団(四角枠で囲った集団)は、退学の可能性が高い学生(個別のフォローが必要な退学予兆の学生)の集団と判断した例である。なお、
図28において、前記中心点は、「滞在時間×重み」がプラスマイナス0であり、且つ「移動回数×重み」がプラスマイナス0である点とした。なお、これは、例示であって、前記中心点は、データの偏りによって任意に選択可能であってもよい。具体的には、平均値や中央値等に基づき、前記中心点を選択可能である。
【0135】
[実施形態6]
図29及び
図30に示す実施形態は、本発明を観光地(公園)に適用し、来訪者を、リピータ(再来訪者)と非リピータとの二つのグループに分けて、将来の特定行動としてリピータになるか否かの予測モデルを生成し、生成された予測モデルを用いて、来訪者が、将来、リピータになる可能性を予測するものである。
【0136】
図29では、公園の各アクセスポイントにおいて、観光客(被験者)の端末からログ情報を検出し、検出時刻(認証時刻)を記録している例が示されている。観光客のうち、被験者Aは非リピータであり、被験者B及び被験者Cは、リピータである。
図29では、アクセスポイントAにおいて、非リピータの端末のログ情報認証時刻(検出時刻)11:11とリピータの端末のログ情報の認証時刻(検出時刻)10:11が例示されている。
【0137】
図30では、リピータの各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数(移動回数)をマイナス(-)値で集計し、非リピータの各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数(移動回数)をプラス(+)値で集計している。例えば、アクセスポイントAにおいて、リピータの滞在時間は-2分であり、非リピータの滞在時間は+14分である。また、アクセスポイントAからBの経路の通過回数(移動回数)は、リピータは-1回であり、非リピータは+1回である。
【0138】
これら以外は、実施形態5と同様にして予測モデルを生成し、生成された予測モデルを用いて、公園の来訪者が、将来、リピータになるか否かを予測できる。
【0139】
本実施形態では、来訪者が、将来、リピータになるか否かの予測に加え、リピータと非リピータの各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数の双方のデータから、来訪者の行動を分析することにより、物品の販売計画、イベントの案内、及び径路の誘導等に活用することもできる。
【0140】
[実施形態7]
図31及び
図32に示す実施形態は、本発明を病院に適用し、病院職員を、離職者と非離職者との二つのグループに分けて、将来の特定行動として離職者になるか否かの予測モデルを生成し、生成された予測モデルを用いて、病院職員が、将来、離職者になる可能性を予測するものである。
【0141】
図31では、病院の各アクセスポイントにおいて、病院職員の端末からログ情報を検出し、検出時刻(認証時刻)を記録している例が示されている。病院職員のうち、被験者Aは離職者であり、被験者B及び被験者Cは、非離職者である。
図31では、アクセスポイントAにおいて、離職者の端末のログ情報認証時刻(検出時刻)11:11と非離職者の端末のログ情報認証時刻(検出時刻)10:11が例示されている。
【0142】
図32では、離職者の各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数(移動回数)をプラス(+)値で集計し、非離職者の各アクセスポイントの滞在時間と各径路の通過回数(移動回数)をマイナス(-)値で集計している。例えば、アクセスポイントAにおいて、離職者の滞在時間は+14分であり、非離職者の滞在時間は-2分である。また、アクセスポイントAからBの経路の通過回数(移動回数)は、離職者は+1回であり、非離職者は-1回である。
【0143】
これら以外は、実施形態5と同様にして予測モデルを生成し、生成された予測モデルを用いて、病院職員が、将来、離職するか否かを予測できる。離職の可能性が高い病院職員に対しては、予防的なケアやフォロー、業務の適正化等を行い、離職を未然に防ぐことが可能である。
【0144】
[実施形態8]
本実施形態のプログラムは、本発明の方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク等が挙げられる。
【0145】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0146】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
データ入力部、行動パターン分析部、及び、予測モデル生成出力部を含み、
前記データ入力部は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされており、
前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎の前記アクセスポイント情報を含み、
前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含み、
前記行動パターン分析部は、前記データ入力部により入力された移動情報において、
前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、
前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力部は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する、
予測モデル生成装置。
(付記2)
前記行動パターン分析部は、前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報を集計してそれぞれの重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力部は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の双方を予測モデルとして生成し出力する、
付記1記載の予測モデル生成装置。
(付記3)
前記データ入力部は、さらに、属性情報を入力可能であり、
前記属性情報は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境属性情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル生成出力部は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境情報の少なくとも一方と紐づけて前記予測モデルを生成する、
付記1又は2記載の予測モデル生成装置。
(付記4)
予測対象者データ入力部、予測モデル部、行動予測部、及び、予測結果出力部を含み、
前記予測対象者データ入力部は、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル部は、付記1から3のいずれかに記載の予測モデル生成装置により生成出力された予測モデルを含み、
前記行動予測部は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を、前記予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び、前記経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出し、
前記予測結果出力部は、前記スコアを出力する、
特定行動予測装置。
(付記5)
前記予測対象者データ入力部は、集団の予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記行動予測部は、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の少なくとも一方の予測スコア軸を生成し、
前記行動予測部は、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記両予測スコア軸の少なくとも一方の予則スコア軸に対してプロットする、
付記4記載の特定行動予測装置。
(付記6)
前記行動予測部において、前記両予測スコア軸は、中心点を有し、
前記行動予測部は、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
付記5記載の特定行動予測装置。
(付記7)
前記行動予測部は、
前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の双方の予測スコア軸を生成し、かつ、前記両予測スコア軸が、互いの中心点で直交する平面座標を生成し、
前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記平面座標上にプロットし、かつ、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
付記6記載の特定行動予測装置。
(付記8)
予測モデル生成装置及び特定行動予測装置を含む特定行動予測システム装置であって、
前記予測モデル生成装置は、付記1から3のいずれかに記載の予測モデル生成装置であり、
前記特定行動予測装置は、付記4から7のいずれかに記載の特定行動予測装置である、
特定行動予測システム装置。
(付記9)
さらに、移動情報分析装置を含み、
前記移動情報分析装置は、
ログ情報の受信部と、
ログ情報の記憶部と、
ログ情報の分析部と、
分析結果の出力部とを有し;
特定エリア内に配置された複数の無線アクセスポイントと、通信回線網を介して接続可能であり;
前記ログ情報は、
前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを含み;
前記受信部は、
前記複数の無線アクセスポイントから、それぞれ、前記無線アクセスポイントの識別情報と、前記無線アクセスポイントが検出した端末の識別情報と、前記端末を検出した端末検出時間とを、ログ情報として受信し;
前記記憶部は、
前記特定エリアのマップ情報と、前記特定エリアにおける前記各アクセスポイントの位置情報とを紐付けて記憶し、
前記複数の無線アクセスポイントから受信した前記ログ情報について、前記端末の識別情報ごとに、前記端末検出時間と、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報とを紐付けて記憶し;
前記分析部は、
前記端末の識別情報ごとに、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの識別情報と前記端末検出時間とから、前記端末を検出した前記無線アクセスポイントを時系列に示す時系列情報を生成し、
前記端末を検出した前記無線アクセスポイントの時系列情報と、前記マップ情報と、前記無線アクセスポイントの位置情報とから、前記端末の移動経路と、任意の前記無線アクセスポイントから次の無線アクセスポイントまでの滞在時間とを推定し;
前記出力部は、
前記推定結果を出力する、移動情報分析装置である、
付記8記載の特定行動予測システム装置。
(付記10)
データ入力工程、行動パターン分析工程、及び、予測モデル生成出力工程を含み、
前記データ入力工程は、特定エリアでの複数のヒトの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、特定行動をとった前記ヒトの特定行動グループ、及び、前記特定行動をとらなかった前記ヒトの非特定行動グループの二つのグループにグループ分けされており、
前記二つのグループのそれぞれにおいて、前記移動情報は、前記ヒト毎の前記アクセスポイント情報を含み、
前記アクセスポイント情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一つの情報を含み、
前記行動パターン分析工程は、前記データ入力部により入力された移動情報において、
前記二つのグループの何れか一方のグループの前記アクセスポイント情報をプラス値とし、他方のグループのアクセスポイント情報をマイナス値とし、
前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を集計して重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力工程は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の少なくとも一方を予測モデルとして生成し出力する、
予測モデル生産方法。
(付記11)
前記行動パターン分析工程は、前記二つのグループのそれぞれの前記アクセスポイント情報に基づき、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報を集計してそれぞれの重み係数を算出し、
前記予測モデル生成出力工程は、前記各アクセスポイントでの滞在時間重み係数、及び、前記各径路の通過回数の重み係数の双方を予測モデルとして生成し出力する、
付記10記載の予測モデル生産方法。
(付記12)
前記データ入力工程は、さらに、属性情報を入力可能であり、
前記属性情報は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境属性情報の少なくとも一方を含み、
前記予測モデル生成出力工程は、前記ヒト属性情報、及び、前記特定エリア環境情報の少なくとも一方と紐づけて前記予測モデルを生成する、
付記10又は11記載の予測モデル生産方法。
(付記13)
予測対象者データ入力工程、行動予測工程、及び、予測結果出力工程を含み、
前記予測対象者データ入力工程は、予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記特定エリアには複数のアクセスポイントが設置され、前記複数のアクセスポイント間で複数の経路が設定され、
前記移動情報は、前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を含み、
前記行動予測工程は、前記予測対象者の前記各アクセスポイントでの滞在時間情報、及び、前記各径路の通過回数情報の少なくとも一方を、予測モデルの前記重み係数を乗じて集計して、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア、及び、前記経路通過回数予測スコアのいずれか一方のスコアを算出し、
前記予測モデルは、付記1から3のいずれかに記載の予測モデル生成装置により生成出力された予測モデルであり、
前記予測結果出力工程は、前記スコアを出力する、
特定行動予測結果情報の生産方法。
(付記14)
前記予測対象者データ入力工程は、集団の予測対象者の特定エリアでの移動情報を入力可能であり、
前記行動予測工程は、前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の少なくとも一方の予測スコア軸を生成し、
前記前記行動予測工程は、前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記両予測スコア軸の少なくとも一方の予則スコア軸に対してプロットする、
付記13記載の特定行動予測結果情報の生産方法。
(付記15)
前記行動予測工程において、前記両予測スコア軸は、中心点を有し、
前記行動予測部は、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力部は、前記評価情報を出力する、
付記13記載の特定行動予測結果情報の生産方法。
(付記16)
前記行動予測工程は、
前記アクセスポイント滞在時間予測スコア軸及び、前記径路通過回数予測スコア軸の双方の予測スコア軸を生成し、かつ、前記両予測スコア軸が、互いの中心点で直交する平面座標を生成し、
前記集団の予測対象者の移動情報から算出するスコアを、前記平面座標上にプロットし、かつ、前記中心点とプロットとの距離に応じて、特定行動をとる可能性を評価する評価情報を生成し、
前記予測結果出力工程は、前記評価情報を出力する、
付記15記載の特定行動予測結果情報の生産方法。
(付記17)
付記10から16のいずれかに記載の方法をコンピュータ上で実行可能なプログラム。
(付記18)
付記17記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明によれば、将来の特定行動を予測することが可能であり、例えば、学校における学生の退学の予測、会社、病院及び役所における社員又は職員の退職の予測、テーマパーク及びイベント会場でのリピータの予測等、幅広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
1 特定行動予測システム装置
10 移動情報分析装置
15 アクセスポイント
20 通信回線網
30 予測モデル生成装置
40 特定行動予測装置