(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】データ処理システム、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/04 20060101AFI20240116BHJP
H03K 5/19 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G06F1/04 302Z
H03K5/19 L
(21)【出願番号】P 2022118765
(22)【出願日】2022-07-26
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】島津 義治
(72)【発明者】
【氏名】小泉 真司
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-204993(JP,A)
【文献】特開昭63-071979(JP,A)
【文献】特開2014-102723(JP,A)
【文献】特開平10-207568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/04
H03K5/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2クロックと同じ周波数のクロックを逓倍したクロックで前記第2クロックを同期化したクロックである第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視
し、前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定する第1監視手段と、
前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視
し、前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定する第2監視手段と、
前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算する演算手段と、
前記論理和の演算結果が0である場合、前記第2クロックをデータ処理手段に出力し、前記論理和の演算結果が1である場合、前記逓倍したクロックのカウント数を示すカウント信号に基づいて前記第2クロックの位相に近い第3クロックを前記データ処理手段に出力するクロック切り替え制御手段と、
を備えるデータ処理システム。
【請求項2】
前記第2クロックと同じ周波数のクロックから前記逓倍したクロックを生成する逓倍手段、
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記逓倍したクロックで前記第2クロックを同期化したクロックである第1クロックを生成するクロック制御手段、
を備える請求項1または請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
データ処理システムが実行する処理方法であって、
第2クロックと同じ周波数のクロックを逓倍したクロックで前記第2クロックを同期したクロックである第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視
し、前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定することと、
前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視
し、前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定することと、
前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算することと、
前記論理和の演算結果が0である場合、前記第2クロックをデータ処理手段に出力し、前記論理和の演算結果が1である場合、前記逓倍したクロックのカウント数を示すカウント信号に基づいて前記第2クロックの位相に近い第3クロックを前記データ処理手段に出力することと、
を含む処理方法。
【請求項5】
データ処理システムが備えるコンピュータに、
第2クロックと同じ周波数のクロックを逓倍したクロックで前記第2クロックを同期したクロックである第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視
し、前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定することと、
前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視
し、前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定することと、
前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算することと、
前記論理和の演算結果が0である場合、前記第2クロックをデータ処理手段に出力し、前記論理和の演算結果が1である場合、前記逓倍したクロックのカウント数を示すカウント信号に基づいて前記第2クロックの位相に近い第3クロックを前記データ処理手段に出力することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ処理システム、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
データ処理システムでは、クロック信号が使用され、クロック信号を基準に処理が行われることが多い。特許文献1には、関連する技術として、クロック信号を切り替える装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のデータ処理システムは、複雑かつ大量のデータを処理するために、大規模化や高速化が行われている。そのため、クロック信号が想定していないノイズの影響を受けることにより、データ処理システムが誤動作してしまう。断線などによる長期間に及ぶクロックの消失に対しては、データ処理システムにおいて予めクロック断検出回路を設けることにより、アラームやステータスにより異常を通知することが可能となる。しかしながら、短期間の数クロックの消失によるデータ処理システムの誤動作については、データの誤り訂正によりデータの不正として処理されることが大多数である。そのため、データの再送や再処理などにより誤動作を回復するための時間が必要となる。
図13は、関連する比較対象のクロック信号により動作するデータ処理システムの一例を示す図である。
図13に示すデータ処理システムでは、データ処理部902は、入力データ9-1および入力クロック9-2による通常の処理を行う。そして、クロック断検出部901は、データ処理部902から独立して入力クロック9-2の消失を監視する。クロック断検出部901は、クロックの消失を検出すると、警報としてアラーム9-4により通知する。その間も、データ処理部902は、処理を継続することになる。
【0005】
そこで、データ処理システムにおいて、ノイズが発生した場合であっても所望のクロック信号を得ることのできる技術が求められている。
【0006】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできるデータ処理システム、処理方法、およびプログラムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、データ処理システムは、第2クロックと同じ周波数のクロックを逓倍したクロックで前記第2クロックを同期化したクロックである第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視し、前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定する第1監視手段と、前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視し、前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定する第2監視手段と、前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算する演算手段と、前記論理和の演算結果が0である場合、前記第2クロックをデータ処理手段に出力し、前記論理和の演算結果が1である場合、前記逓倍したクロックのカウント数を示すカウント信号に基づいて前記第2クロックの位相に近い第3クロックを前記データ処理手段に出力するクロック切り替え制御手段と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、データ処理システムが実行する処理方法であって、第2クロックと同じ周波数のクロックを逓倍したクロックで前記第2クロックを同期したクロックである第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視し、前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定することと、前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視し、前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定することと、前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算することと、前記論理和の演算結果が0である場合、前記第2クロックをデータ処理手段に出力し、前記論理和の演算結果が1である場合、前記逓倍したクロックのカウント数を示すカウント信号に基づいて前記第2クロックの位相に近い第3クロックを前記データ処理手段に出力することと、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、データ処理システムが備えるコンピュータに、第2クロックと同じ周波数のクロックを逓倍したクロックで前記第2クロックを同期したクロックである第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視し、前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定することと、前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視し、前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定することと、前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算することと、前記論理和の演算結果が0である場合、前記第2クロックをデータ処理手段に出力し、前記論理和の演算結果が1である場合、前記逓倍したクロックのカウント数を示すカウント信号に基づいて前記第2クロックの位相に近い第3クロックを前記データ処理手段に出力することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の各態様によれば、データ処理システムにおいて、ノイズが発生した場合であっても所望のクロック信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態によるデータ処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるクロック制御部の構成の一例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるクロック制御部における動作波形の一例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態によるクロック断検出部の構成の一部を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態によるH-監視制御部における動作波形の一例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるL-監視制御部における動作波形の一例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態によるクロック切り替え制御部の入出力信号の一例を示す第1の図である。
【
図8】本開示の一実施形態によるクロック切り替え制御部の入出力信号の一例を示す第2の図である。
【
図9】本開示の一実施形態によるデータ処理システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図10】本開示の実施形態によるデータ処理システムの最小構成を示す図である。
【
図11】本開示の実施形態による最小構成のデータ処理システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図12】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【
図13】関連する比較対象のクロック信号により動作するデータ処理システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<実施形態>
図1は、本開示の一実施形態によるデータ処理システム1の構成の一例を示す図である。データ処理システム1は、
図1に示すように、クロック補正回路2およびデータ処理部105を備える。
【0013】
クロック補正回路2は、
図1に示すように、クロック逓倍部101、クロック制御部102、クロック断検出部103、およびクロック切り替え制御部104を備える。
【0014】
クロック逓倍部101は、入力クロックであるクロック1-3を逓倍(例えば、16逓倍)し、クロック制御部102およびクロック断検出部103で使用するクロック1-5を生成する。
【0015】
クロック制御部102は、初めに、クロック逓倍部101が生成したクロック1-5により入力クロックであるクロック1-2の同期化を行う。クロック1-2は、クロック1-3と同じ周波数である。クロック制御部102は、同期化を行ったクロック1-2をクロック1-2’としてクロック断検出部103に出力する。
【0016】
次に、クロック制御部102は、クロック制御部102およびクロック断検出部103において使用するクロック1-5をカウントするカウント信号を生成する。カウント信号は、同期化を行ったクロック1-2の立ち上がりの検出により初期化"0"を初回のみ実施し、2回目以降はカウント信号の値により初期化"0"を実施するクロック制御部102による自走式とする。クロック制御部102は、カウント信号を制御することによりカウント信号を"H(High)"と"L(Low)"とを交互に変化させることで入力クロック1-2の位相に近いクロック1-7を生成する。クロック制御部102は、カウント信号をカウンタ1-6としてクロック断検出部103に出力する。
【0017】
ここで、クロック制御部102についてより詳しく説明する。
図2は、本開示の一実施形態によるクロック制御部102の構成の一例を示す図である。クロック制御部102は、
図2に示すように、同期処理部201、立ち上がり検出部202、カウンタ制御部203、およびクロック生成部204を備える。
【0018】
同期処理部201は、クロック逓倍部101が生成したクロック1-5によりクロック1-2を2段リタイミングとすることで、クロック1-2をクロック1-5で同期化する。立ち上がり検出部202は、同期化を行ったクロック1-2の立ち上がりを検出する。
【0019】
カウンタ制御部203は、クロック1-5をカウントするカウント信号を制御する。
図3は、本開示の一実施形態によるクロック制御部102における動作波形の一例を示す図である。
図3には、クロック1-2、クロック1-5、同期化を行ったクロック1-2、同期化したクロック1-2の立ち上がりを検出する信号、カウンタ1-6、およびクロック1-7それぞれの信号が示されている。カウント信号(
図3におけるカウンタ1-6)は、
図3に示すように、同期化を行ったクロック1-2の立ち上がりの検出により初期化"0"を初回のみ実施し、2回目以降はカウンタ信号の値が"15"の場合に初期化"0"を実施するクロック制御部102による自走式とする。
【0020】
クロック生成部204は、カウンタ制御部203がカウント信号を制御することによりカウント信号を"H(High)"と"L(Low)"とを交互に変化させることで入力クロック1-2の位相に近いクロック1-7を生成する。例えば、クロック生成部204は、
図3に示すように、カウント信号の値が"15"の場合に"H"、"7"の場合に"L"と交互に変化させることによりクロック1-2の位相に近い位相を有するクロック1-7を生成する。
【0021】
また、クロック生成部204は、同期化を行ったクロック1-2をクロック1-2’としてクロック断検出部103に出力する。また、クロック生成部204は、カウント信号をカウンタ1-6としてクロック断検出部103に出力する。
【0022】
図4は、本開示の一実施形態によるクロック断検出部103の構成の一部を示す図である。クロック断検出部103は、クロック制御部102で生成されたカウンタ1-6をもとにクロック1-2’の消失を監視する。クロック断検出部103は、
図4に示すように、H-監視制御部301、L-監視制御部302、および論理和(OR)303を備える。
【0023】
H-監視制御部301は、クロック1-5により同期化を行ったクロック1-2’における"H"の消失を監視する。
図5は、本開示の一実施形態によるH-監視制御部301における動作波形の一例を示す図である。
図5には、クロック1-2、クロック1-5、クロック1-2’、クロック1-2’の立ち上がりを検出する信号、カウンタ1-6、およびアラーム1-4それぞれの信号が示されている。
図5に示すように、H-監視制御部301は、カウンタ1-6の値が"0"のときにクロック1-2’が"1"であると判定した場合、クロック1-2’の"H"が消失していないと判定する。また、H-監視制御部301は、カウンタ1-6の値が"0"のときにクロック1-2’が"0"であると判定した場合、クロック1-2’の"H"が消失したと判定する。H-監視制御部301は、クロック1-2’の"H"が消失したと判定した場合、"H"側のアラームであるアラーム3-1を、設定を示す"1"にする。そして、H-監視制御部301は、カウンタ1-6の値が"8"のときにアラーム3-1を、解除を示す"0"にする。
【0024】
L-監視制御部302は、クロック1-5で同期化したクロック1-2’の"L"の消失を監視する。
図6は、本開示の一実施形態によるL-監視制御部302における動作波形の一例を示す図である。
図6には、クロック1-2、クロック1-5、クロック1-2’、クロック1-2’の立ち上がりを検出する信号、カウンタ1-6、およびアラーム1-4それぞれの信号が示されている。
図6に示すように、L-監視制御部302は、カウンタ1-6の値が特定の値(例えば、"8")のときにクロック1-2’が"0"であると判定した場合、クロック1-2’の"L"が消失していないと判定する。また、L-監視制御部302は、カウンタ1-6の値が"8"のときにクロック1-2’が"1"であると判定した場合、クロック1-2’の"L"が消失したと判定する。L-監視制御部302は、クロック1-2’の"L"が消失したと判定した場合、"L"側のアラームであるアラーム3-2を、設定を示す"1"にする。そして、L-監視制御部302は、カウンタ1-6の値が特定の値(例えば、"0")のときにアラーム3-2を、解除を示す"0"にする。
【0025】
"H"側のアラームであるアラーム3-1と、"L"側のアラームであるアラーム3-2とは同じタイミングで設定されることはない。そのため、論理和(OR)303は、アラーム3-1とアラーム3-2との論理和(OR)を演算し、演算結果をアラーム1-4としてクロック切り替え制御部104に出力する。このように、クロック断検出部103は、1クロック単位でクロック1-2’の監視を完結する。そのため、クロック断検出部103は、クロック1-2’が連続して消失する場合であっても問題なくクロック1-2’を監視することができる。
【0026】
図7は、本開示の一実施形態によるクロック切り替え制御部104の入出力信号の一例を示す第1の図である。
図8は、本開示の一実施形態によるクロック切り替え制御部104の入出力信号の一例を示す第2の図である。
図7および
図8に示すように、クロック切り替え制御部104は、アラーム1-4が"0"であるとき、クロック1-2をクロック1-9としてデータ処理部105に出力する。また、クロック切り替え制御部104は、アラーム1-4が"1"であるとき、クロック1-7をクロック1-9としてデータ処理部105に出力する。このように、クロック切り替え制御部104がクロック1-2とクロック1-7とを切り替え、クロック1-9としてデータ処理部105に出力することにより、消失したクロックの補正が実施される。
【0027】
データ処理部105は、クロック切り替え制御部104が出力するクロック1-9により動作する。そのため、入力クロック1-2が消失した場合でも問題なく動作することができる。
【0028】
次に、本開示の一実施形態によるデータ処理システム1が行う処理について説明する。
図9は、本開示の一実施形態によるデータ処理システム1の処理フローの一例を示す図である。ここでは、
図9を参照して、データ処理システム1が行うクロックを補正する処理について説明する。
【0029】
クロック逓倍部101は、入力クロックであるクロック1-3を逓倍(例えば、16逓倍)し、クロック制御部102およびクロック断検出部103で使用するクロック1-5を生成する。
【0030】
クロック制御部102は、初めに、入力クロックであるクロック1-2を、クロック逓倍部101が生成したクロック1-5で同期化する(ステップS1)。クロック制御部102は、同期化を行ったクロック1-2をクロック1-2’としてクロック断検出部103に出力する。
【0031】
次に、クロック制御部102は、クロック制御部102およびクロック断検出部103において使用するクロック1-5をカウントするカウント信号を生成する(ステップS2)。カウント信号は、同期化を行ったクロック1-2の立ち上がりの検出により初期化"0"を初回のみ実施し、2回目以降はカウント信号の値により初期化"0"を実施するクロック制御部102による自走式である。クロック制御部102は、カウント信号を制御することによりカウント信号を"H(High)"と"L(Low)"とを交互に変化させることで入力クロックであるクロック1-2の位相に近いクロック1-7を生成する(ステップS3)。
【0032】
クロック制御部102は、カウント信号をカウンタ1-6としてクロック断検出部103に出力する(ステップS4)。
【0033】
具体的には、同期処理部201は、クロック逓倍部101が生成したクロック1-5によりクロック1-2を2段リタイミングとすることでクロック1-2の同期化を行う。立ち上がり検出部202は、同期化を行ったクロック1-2の立ち上がりを検出する。カウンタ制御部203は、クロック1-5をカウントするカウント信号を制御する。クロック生成部204は、カウンタ制御部203がカウント信号を制御することによりカウント信号を"H(High)"と"L(Low)"とを交互に変化させることで入力クロック1-2の位相に近いクロック1-7を生成する。また、クロック生成部204は、同期化を行ったクロック1-2をクロック1-2’としてクロック断検出部103に出力する。また、クロック生成部204は、カウント信号をカウンタ1-6としてクロック断検出部103に出力する。
【0034】
クロック断検出部103は、クロック制御部102で生成されたカウンタ1-6をもとにクロック1-2’の消失を監視する(ステップS5)。
【0035】
具体的には、H-監視制御部301は、クロック1-5により同期化を行ったクロック1-2’における"H"の消失を監視する。H-監視制御部301は、カウンタ1-6の値が"0"のときにクロック1-2’が"1"であると判定した場合、クロック1-2’の"H"が消失していないと判定する。また、H-監視制御部301は、カウンタ1-6の値が"0"のときにクロック1-2’が"0"であると判定した場合、クロック1-2’の"H"が消失したと判定する。H-監視制御部301は、クロック1-2’の"H"が消失したと判定した場合、"H"側のアラームであるアラーム3-1を、設定を示す"1"にする。そして、H-監視制御部301は、カウンタ1-6の値が"8"のときにアラーム3-1を、解除を示す"0"にする。
【0036】
また、L-監視制御部302は、クロック1-5で同期化したクロック1-2’の"L"の消失を監視する。L-監視制御部302は、カウンタ1-6の値が特定の値(例えば、"8")のときにクロック1-2’が"0"であると判定した場合、クロック1-2’の"L"が消失していないと判定する。また、L-監視制御部302は、カウンタ1-6の値が"8"のときにクロック1-2’が"1"であると判定した場合、クロック1-2’の"L"が消失したと判定する。L-監視制御部302は、クロック1-2’の"L"が消失したと判定した場合、"L"側のアラームであるアラーム3-2を、設定を示す"1"にする。そして、L-監視制御部302は、カウンタ1-6の値が特定の値(例えば、"0")のときにアラーム3-2を、解除を示す"0"にする。
【0037】
"H"側のアラームであるアラーム3-1と、"L"側のアラームであるアラーム3-2とは同じタイミングで設定されることはない。そのため、論理和(OR)303は、アラーム3-1とアラーム3-2との論理和(OR)を演算し(ステップS6)、演算結果をアラーム1-4としてクロック切り替え制御部104に出力する。このように、クロック断検出部103は、1クロック単位でクロック1-2’の監視を完結する。そのため、クロック断検出部103は、クロック1-2’が連続して消失する場合であっても問題なくクロック1-2’を監視することができる。
【0038】
クロック切り替え制御部104は、アラーム1-4が"0"であるとき、クロック1-2をクロック1-9としてデータ処理部105に出力する(ステップS7)。また、クロック切り替え制御部104は、アラーム1-4が"1"であるとき、クロック1-7をクロック1-9としてデータ処理部105に出力する(ステップS8)。このように、クロック切り替え制御部104がクロック1-2とクロック1-7とを切り替え、クロック1-9としてデータ処理部105に出力することにより、消失したクロックの補正が実施される。
【0039】
データ処理部105は、クロック切り替え制御部104が出力するクロック1-9により動作する(ステップS9)。そのため、入力クロック1-2が消失した場合でも問題なく動作することができる。
【0040】
(利点)
以上、本開示の一実施形態によるデータ処理システム1について説明した。データ処理システム1において、H-監視制御部301(第1監視手段の一例)は、クロック1-2’(第1クロックの一例)におけるHighの消失を1クロック単位で監視する。L-監視制御部302(第2監視手段の一例)は、前記クロック1-2’におけるLowの消失を1クロック単位で監視する。こうすることにより、データ処理システムにおいて、ノイズが発生した場合であっても所望のクロック信号を得ることができる。
【0041】
図10は、本開示の実施形態によるデータ処理システム1の最小構成を示す図である。データ処理システム1は、
図10に示すように、H-監視制御部301(第1監視手段の一例)、およびL-監視制御部302(第2監視手段の一例)を備える。H-監視制御部301は、クロック1-2’(第1クロックの一例)におけるHighの消失を1クロック単位で監視する。L-監視制御部302は、前記クロック1-2’におけるLowの消失を1クロック単位で監視する。
【0042】
図11は、本開示の実施形態による最小構成のデータ処理システム1の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成のデータ処理システム1の処理について
図11を参照して説明する。
【0043】
H-監視制御部301は、クロック1-2’(第1クロックの一例)におけるHighの消失を1クロック単位で監視する(ステップS101)。L-監視制御部302は、前記クロック1-2’におけるLowの消失を1クロック単位で監視する(ステップS102)。
【0044】
以上、本開示の実施形態による最小構成のデータ処理システム1について説明した。このデータ処理システム1により、データ処理システムにおいて、ノイズが発生した場合であっても所望のクロック信号を得ることができる。
【0045】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0046】
本開示の実施形態について説明したが、上述のデータ処理システム1、クロック補正回路2、データ処理部105、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0047】
図12は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、
図12に示すように、CPU(Central Processing Unit)6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0048】
例えば、上述のデータ処理システム1、クロック補正回路2、データ処理部105、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0049】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0050】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【0052】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0053】
(付記1)
第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視する第1監視手段と、
前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視する第2監視手段と、
を備えるデータ処理システム。
【0054】
(付記2)
前記第1監視手段は、
前記Highを消失したと判定した場合、High側のアラームである第1アラームを設定し、
前記第2監視手段は、
前記Lowを消失したと判定した場合、Low側のアラームである第2アラームを設定する、
付記1に記載のデータ処理システム。
【0055】
(付記3)
前記第1アラームと前記第2アラームとの論理和を演算する演算手段、
を備える付記2に記載のデータ処理システム。
【0056】
(付記4)
前記演算手段は、
前記論理和の演算結果が0である場合、第2クロックをデータ処理手段に出力し、
前記論理和の演算結果が1である場合、第3クロックをデータ処理手段に出力する、
付記3に記載のデータ処理システム。
【0057】
(付記5)
データ処理システムが実行する処理方法であって、
第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視することと、
前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視することと、
を含む処理方法。
【0058】
(付記6)
データ処理システムが備えるコンピュータに、
第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視することと、
前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視することと、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0059】
1・・・データ処理システム
2・・・クロック補正回路
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
101・・・クロック逓倍部
102・・・クロック制御部
103・・・クロック断検出部
104・・・クロック切り替え制御部
105・・・データ処理部
201・・・同期処理部
202・・・立ち上がり検出部
203・・・カウンタ制御部
204・・・クロック生成部
301・・・H-監視制御部
302・・・L-監視制御部
303・・・論理和(OR)
【要約】
【課題】ノイズが発生した場合であっても所望のクロック信号を得ることのできるデータ処理システムを提供する。
【解決手段】データ処理システムは、第1クロックにおけるHighの消失を1クロック単位で監視する第1監視手段と、前記第1クロックにおけるLowの消失を1クロック単位で監視する第2監視手段と、を備える。
【選択図】
図10