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特許7420447健康行動提案装置および健康行動提案方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】健康行動提案装置および健康行動提案方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240116BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022511527
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047345
(87)【国際公開番号】W WO2021199520
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2020067402
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】田中 博典
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徹
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特許第6376628(JP,B1)
【文献】特開2007-172060(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204233(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に健康行動を提案する健康行動提案装置であって、
複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶手段と、
健康に関して前記利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を前記健康行動記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した健康行動を前記利用者に提示する提示手段と
健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を、複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶手段とを備え、
前記健康行動記憶手段には、
複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、
前記抽出手段は、
前記利用者の健康に関する検査における測定値から将来の値を予測する測定値予測手段を含み、
前記測定値予測手段が予測した将来の値が前記測定値に対して悪化する検査項目を特定し、
特定された検査項目の検査値が悪化することになる人を前記検査値記憶手段から抽出し、
抽出された人が持つ趣味を前記健康行動記憶手段から抽出し、
前記提示手段は、
健康行動としての趣味を前記利用者に提示する
とを特徴とする健康行動提案装置。
【請求項2】
前記健康行動記憶手段には、複数の健康行動の各々の複数の属性が健康行動に対応して記憶され、
前記抽出手段は、前記複数の要件と各々の前記健康行動の前記複数の属性とを比較することによって、前記利用者の健康状態と前記健康行動との関連性の程度を算出し、前記関連性の程度が高い1つまたは複数の健康行動を抽出する
請求項1記載の健康行動提案装置。
【請求項3】
前記提示手段は、前記抽出手段が抽出した健康行動に関する推薦文を前記利用者に提示する
請求項1または請求項2記載の健康行動提案装置。
【請求項4】
前記健康行動記憶手段に記憶されている趣味の間の関連度を記憶する関連度記憶手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記健康行動記憶手段から抽出された趣味に対して関連度が高い趣味を前記関連度記憶手段から抽出し、
前記提示手段は、前記関連度記憶手段から抽出された趣味も提示する
請求項記載の健康行動提案装置。
【請求項5】
利用者に健康行動を提案する健康行動提案装置で実行される健康行動提案方法であって、
前記健康行動提案装置が、健康に関して前記利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を、複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶手段から抽出し、
前記健康行動提案装置が、抽出された健康行動を前記利用者に提示し、
前記健康行動記憶手段には、複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、
前記健康行動提案装置が、前記利用者の健康に関する検査における測定値から将来の値を予測し、
前記健康行動提案装置が、予測された将来の値が前記測定値に対して悪化する検査項目を特定し、
前記健康行動提案装置が、特定された検査項目の検査値が悪化することになる人を、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶手段から抽出し、
前記健康行動提案装置が、抽出された人が持つ趣味を前記健康行動記憶手段から抽出し、
前記健康行動提案装置が、健康行動としての趣味を前記利用者に提示する
ことを特徴とする健康行動提案方法。
【請求項6】
前記健康行動記憶手段には、複数の健康行動の各々の複数の属性が健康行動に対応して記憶され、
前記健康行動提案装置が、前記複数の要件と各々の前記健康行動の前記複数の属性とを比較することによって、前記利用者の健康状態と前記健康行動との関連性の程度を算出し、前記関連性の程度が高い1つまたは複数の健康行動を抽出する
請求項記載の健康行動提案方法。
【請求項7】
前記健康行動提案装置が、抽出された健康行動に関する推薦文を前記利用者に提示する
請求項または請求項記載の健康行動提案方法。
【請求項8】
前記健康行動提案装置が、前記健康行動記憶手段から抽出された趣味に対して関連度が高い趣味を、前記健康行動記憶手段に記憶されている趣味の間の関連度を記憶する関連度記憶手段から抽出し、
前記健康行動提案装置が、前記関連度記憶手段から抽出された趣味も提示する
請求項5記載の健康行動提案方法。
【請求項9】
コンピュータに、
健康に関して利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を、複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶手段から抽出する抽出処理、および
抽出された健康行動を前記利用者に提示する提示処理を実行させるための健康行動提案プログラムであって、
前記健康行動記憶手段には、
複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、
前記抽出処理で、
前記利用者の健康に関する検査における測定値から将来の値を予測させ、
予測された将来の値が前記測定値に対して悪化する検査項目を特定させ、
特定された検査項目の検査値が悪化することになる人を、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶手段から抽出させ、
抽出された人が持つ趣味を前記健康行動記憶手段から抽出させ、
前記提示処理で、
健康行動としての趣味を前記利用者に提示させる
健康行動提案プログラム。
【請求項10】
前記健康行動記憶手段には、複数の健康行動の各々の複数の属性が健康行動に対応して記憶され、
前記コンピュータに、
前記抽出処理で、前記複数の要件と各々の前記健康行動の前記複数の属性とを比較することによって、前記利用者の健康状態と前記健康行動との関連性の程度を算出させ、前記関連性の程度が高い1つまたは複数の健康行動を抽出させる
請求項9記載の健康行動提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に健康行動への変容を促す健康行動提案装置および健康行動提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣病予防のために、生活習慣の改善が求められる。人が健康によい行動を行う可能性を高める要因としてどのようなものがあるかを示す考え方として健康行動理論がある。生活改善策の実施に相当する健康行動は、健康の維持、回復および向上に関連する行動パターンである。
【0003】
健康意識が高くない人にとって、生活習慣を見直すことは容易ではない。具体的にどのように生活習慣を見直すべきかについてのアイデアが欠如しているために、生活習慣の見直しに取り組めないという人も多い。そのような人に対して、健康行動に導くために「あなたは運動したほうがよい」とか「飲酒頻度を減らしたほうがよい」といった提案がなされても、その人は、なかなか提案された行動に従わない。
【0004】
一般に、人は、二者択一で物事を考えがちである。上記のような提案は、人を二者択一の考え方に導くことになる。すなわち、提案を受けた人に対して、健康行動を始める際に高い敷居を設定することになり、提案を受けた人は、健康行動を開始しづらい(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、個人毎の生活習慣の実データと、あらかじめ設定された検査項目の検査値とを訓練データとして用いて、生活習慣と検査値との関係を示すモデルを学習する健康状態予測装置が記載されている。特許文献1に記載された健康状態予測装置は、ユーザの生活習慣の実データとモデルとを用いて、ユーザの将来の検査値を予測する。そして、健康状態予測装置は、将来の検査値をユーザに提示する。さらに、特許文献1には、健康状態予測装置が、健康行動に関するアドバイスをユーザに提示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/204233号
【非特許文献】
【0007】
【文献】竹中晃二、「健康行動理論の基本」、糖尿病、一般社団法人糖尿病学会、2009年7月、第52巻第7号、p.507 - P.510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、対象者を健康行動に導くには、具体的な動機づけがより効果的である(非特許文献1参照)。特許文献1に記載された健康状態予測装置は、健康行動に関するアドバイスをユーザに提示するが、アドバイスは、ユーザの将来の検査値に関連していない。よって、特許文献1に記載された健康状態予測装置が使用される場合、アドバイスによってユーザを健康行動に導けるか否か不明である。
【0009】
本発明は、対象者が健康行動に導かれる可能性を高める健康行動提案装置および健康行動提案方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による健康行動提案装置は、利用者に健康行動を提案する健康行動提案装置であって、複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶手段と、健康に関して利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を健康行動記憶手段から抽出する抽出手段と、抽出手段が抽出した健康行動を利用者に提示する提示手段と、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を、複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶手段とを備え、健康行動記憶手段には、複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、抽出手段は、利用者の健康に関する検査における測定値から将来の値を予測する測定値予測手段を含み、測定値予測手段が予測した将来の値が測定値に対して悪化する検査項目を特定し、特定された検査項目の検査値が悪化することになる人を検査値記憶手段から抽出し、抽出された人が持つ趣味を健康行動記憶手段から抽出し、提示手段は、健康行動としての趣味を利用者に提示することを特徴とする。
【0011】
本発明による健康行動提案方法は、利用者に健康行動を提案する健康行動提案装置で実行される健康行動提案方法であって、健康行動提案装置が、健康に関して利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を、複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶手段から抽出し、健康行動提案装置が、抽出された健康行動を利用者に提示し、健康行動記憶手段には、複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、健康行動提案装置が、利用者の健康に関する検査における測定値から将来の値を予測し、健康行動提案装置が、予測された将来の値が測定値に対して悪化する検査項目を特定し、健康行動提案装置が、特定された検査項目の検査値が悪化することになる人を、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶手段から抽出し、健康行動提案装置が、抽出された人が持つ趣味を健康行動記憶手段から抽出し、健康行動提案装置が、健康行動としての趣味を利用者に提示することを特徴とする。
【0012】
本発明による健康行動提案プログラムは、コンピュータに、健康に関して利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を、複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶手段から抽出する抽出処理、および抽出された健康行動を利用者に提示する提示処理を実行させるための健康行動提案プログラムであって、健康行動記憶手段には、複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、抽出処理で、利用者の健康に関する検査における測定値から将来の値を予測させ、予測された将来の値が測定値に対して悪化する検査項目を特定させ、特定された検査項目の検査値が悪化することになる人を、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶手段から抽出させ、抽出された人が持つ趣味を健康行動記憶手段から抽出させ、提示処理で、健康行動としての趣味を利用者に提示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象者が健康行動に導かれる可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態の健康行動提案装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】健康行動保持部に格納される健康行動を特定可能なデータおよび付属情報の一例を示す説明図である。
図3】スコア化の一例を示す説明図である。
図4】第1の実施形態の健康行動提案装置の動作を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態における利用者が有する端末装置に表示される入力画面の一例を示す説明図である。
図6】第1の実施形態における利用者が有する端末装置に表示される提示画面の一例を示す説明図である。
図7】第2の実施形態の健康行動提案装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8】趣味間の関連度を説明するための説明図である。
図9】第2の実施形態の健康行動提案装置の動作を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態における利用者が有する端末装置に表示される入力画面の一例を示す説明図である。
図11】第2の実施形態における利用者が有する端末装置に表示される提示画面の一例を示す説明図である。
図12】CPUを有する情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図13】健康行動提案装置の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
実施形態1.
図1は、第1の実施形態の健康行動提案装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す健康行動提案装置10は、健康行動保持部100、要件入力部101、比較部103、健康行動選択部104および健康行動提示部105を備えている。
【0017】
健康行動保持部100には、あらかじめ、複数の健康行動を特定可能なデータが、属性(具体的には、属性を示すデータ)などの付属情報(付属データ)とともに格納される。すなわち、健康行動保持部100は、複数の健康行動を特定可能なデータと付属データとを記憶する。
【0018】
要件入力部101は、利用者20から、利用者20の健康行動に関連する要件(具体的には、要件を示すデータ)を入力する。要件として、利用者を特徴づける、「性別」、「独身/既婚」、「子供の有無」および「居住地」などの利用者の属性や、「現在の趣味」および「過去の趣味」などの利用者の嗜好や、「週末の過ごし方」および「現在地」などの利用者の状況等や、「健康課題」および「無料の健康行動を希望/有料の健康行動を希望」などの課題に関連する情報がある。よって、要件は、健康に関して利用者を特徴づける情報であるということもできる。以下、要件の一つ一つを、項目ということがある。
【0019】
健康行動に関連する要件の一部または全ては、利用者20から直接に入力されるのではなく、他の媒体から取得されてもよい。健康行動提案装置10が、利用者20が有し、少なくとも表示部および入力部を備える端末装置から利用者20の健康行動に関連する要件を入力する場合、要件入力部101は、通信回線を介して端末装置からデータを受信する受信機能を含む。また、要件の入力がGUI(Graphical User Interface)で実現される場合には、要件入力部101は、入力画面の表示データを端末装置に送信する送信機能を含む。なお、端末装置として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などが使用可能である。
【0020】
比較部103は、健康行動保持部100から健康行動に付属する属性を読み出し、要件入力部101が入力した要件と読み出した属性とを比較する。健康行動選択部104は、比較部103の比較結果に基づいて、利用者に推奨する健康行動を選択する。
【0021】
健康行動提示部105は、健康行動選択部104が選択した健康行動を特定可能なデータを付属情報とともに利用者に提示する。健康行動提案装置10が、利用者20が有する端末装置を介して健康行動を特定可能なデータ等を利用者20に提示する場合には、健康行動提示部105は、データを端末装置に送信する送信機能を含む。健康行動提示部105の送信機能は、上述した要件入力部101の送信機能と兼用されてもよい。
【0022】
図2は、健康行動保持部100に格納される健康行動を特定可能なデータおよび付属情報の一例を示す説明図である。図2には、健康行動として、行動そのものと行動を実行可能な施設とが例示されている。行動として、例えば、サイクリングやアウトドア活動がある。施設として、例えば、ABCジムがある。本実施形態では、行動を実行可能な施設も、健康行動に含められる。なお、健康行動は、図2に例示されたような行動および施設に限られない。
【0023】
図2に示す例では、健康行動保持部100には、複数の健康行動を特定可能なデータ(図2に示す例では、健康行動の名称)が項番とともに格納される。さらに、健康行動保持部100には、各々の健康行動に対応する付属情報が格納される。
【0024】
図2に示す例では、付属情報には、属性、コメントおよび場所の情報が含まれる。属性として、カテゴリ、付随情報および改善効果がある。なお、図2に示す例は一例であって、属性は、それらに限られない。図2に示す例では、付属情報に、さらに、コメントおよび場所が含まれる。コメントは、例えば、健康行動を実践した経験者による推薦文(キャッチフレーズ)である。場所は、健康行動が提供される場所を示す。なお、場所の情報が付属しない健康行動もある。以下、属性(特に、付随情報および改善効果)の一つ一つを、項目ということがある。また、付属情報の分類の仕方(本実施形態では、属性、コメントおよび場所に分類)は一例であって、他の分類の仕方を採用可能である。
【0025】
付属情報における改善効果およびコメントは、一例として、健康行動を実践した経験者から収集したアンケート結果に基づいて作成される。例えば、「体重」に関して、「増加した」と回答した者の割合が所定値を越えている場合に、「体重が増加」に対して、「Yes」のデータが設定される。他の項目についても同様にデータが設定される。また、改善効果には、権威ある所定の機関が健康行動に対して認定した内容が設定されてもよい。また、付属情報における付随情報も、健康行動を実践した経験者から収集したアンケート結果に基づいて作成可能であるが、健康行動提案装置の管理者または健康行動提案装置の構築者が、一般常識に基づいて付随情報の内容を設定してもよい。管理者または構築者が一般常識に基づいて付随情報の内容を設定してもよいことは、改善効果に対してもあてはまる。
【0026】
比較部103は、要件入力部101が入力した要件と健康行動保持部100から読み出した属性とを比較し、比較結果をスコア化する。
【0027】
図3は、スコア化の一例を示す説明図である。図3に示す例では、健康行動は、サイクリングである。図3における左側には、サイクリングの属性の項目が例示されている。図3における右側には、健康行動に関連する要件の項目が例示されている。
【0028】
比較部103は、要件の項目の各々とサイクリングの属性の項目の各々とを比較する。要件の項目およびサイクリングの属性の項目が例えばテキストデータで表されている場合には、比較部103は、“Yes” とされている要件の項目の各々と“Yes” とされているサイクリングの属性の項目の各々からキーワードを抽出する。図3に示された「体重が課題」を例にすると、「体重」がキーワードとして抽出される。また、「体重が改善」を例にすると、「体重」がキーワードとして抽出される。比較部103は、要件の項目から抽出されたキーワードと一致するキーワードが抽出されたサイクリングの属性の項目が存在した場合、サイクリングのスコアを例えば+1する。比較部103は、“Yes” とされている全ての要件の項目について、上述したようなキーワードの比較が終了したら、そのときのスコアを、最終的な健康行動(この例では、サイクリング)のスコアとする。
【0029】
なお、健康行動のスコアは、利用者20の健康状態との関連性の程度を示す。スコアが高いすなわちスコア値が多いほど、関連性が高い。
【0030】
なお、要件の項目である「お金を払ってでも」とサイクリングの属性の項目である「コストがかかる」とはキーワードが一致すると判定されるべきである。例えば、比較部103に、例えば「お金」と「コスト」とは一致するキーワードであることが設定された類義語辞書を設けることによって、比較部103は、「お金」と「コスト」とは一致するキーワードであると判定できる。
【0031】
なお、比較部103がキーワードの基づく比較を行うことは一例である。例えば、入力可能な項目があらかじめコード化され(一例として、「体重が課題」=001)、要件入力部101が、実際に“Yes” と入力された項目に対応するコードを比較部103に出力するようにしてもよい。その場合には、健康行動の入力可能な属性の項目にあらかじめコードが割り当てられる。例えば、「体重改善」に対して001が割り当てられる。そして、健康行動保持部100に、健康行動の属性の項目としてのコードが格納される。比較部103は、健康行動の属性の項目のコードを読み出し、要件の項目のコードと健康行動の属性の項目のコードとを比較する。
【0032】
次に、図4のフローチャートを参照して健康行動提案装置10の動作を説明する。利用者20が、自身の端末装置から健康行動提案装置10に健康行動に関連する要件を送信し、少なくとも表示部および入力部を備える端末装置を介して健康行動提案装置10から健康行動の提示を受ける場合を例にする。
【0033】
要件入力部101は、利用者20から、利用者20の健康行動に関連する要件を入力する(ステップS401)。要件入力部101は、GUIを介して健康行動に関連する要件を入力する場合には、例えば、入力のための画面(入力画面)を表示するための表示データを利用者20の端末装置に送信する。
【0034】
利用者20の端末装置には、図5に例示するような入力画面が表示される。画面には、健康行動に関連する要件の各々の項目と、項目に対応する入力欄またはラジオボタンが表示される。利用者20は、入力欄に、利用者自身に関するデータを入力するか、または、該当するラジオボタンを選択する。なお、入力欄は、プルダウンメニュー形式で構成されていることが好ましい。入力欄に入力されたデータおよびラジオボタンによる選択結果は、健康行動提案装置10に送信される。図5に例示されたような入力画面を使用する場合には、要件入力部101は、ステップS401の処理で、端末装置に入力されたデータおよび選択結果を受信することによって要件を入力する。
【0035】
なお、GUIを介して要件を入力する方法は一例であって、他の方法、例えば、利用者が健康行動提案装置10からの端末装置を介する画像または音声による問いかけに応じて端末装置にテキストまたは音声で回答を入力するような方法も使用可能である。
【0036】
比較部103は、健康行動保持部100から健康行動に付属する属性を読み出す(ステップS402)。そして、比較部103は、要件入力部101を介して得られた要件と読み出した属性とを比較し、健康行動のスコアを算出する(ステップS403)。比較の仕方は、既に説明したとおりである。また、健康行動のスコアの算出の仕方は、比較結果のスコア化として既に説明したとおりである。
【0037】
健康行動保持部100に格納されている全ての健康行動についてステップS402,S403の処理が実行されたら、ステップS405に移行する(ステップS404)。そうでない場合には、ステップS402に戻る。そして、ステップS402で、健康行動保持部100に格納されている次の健康行動についてステップS402,S403の処理が実行される。
【0038】
ステップS405において、健康行動選択部104は、全ての健康行動のうち、スコアが高い順に1つまたは複数の健康行動を選択する。
【0039】
そして、健康行動提示部105は、健康行動選択部104が選択した健康行動の付属情報(例えば、コメント)を健康行動保持部100から読み出す。健康行動提示部105は、健康行動を特定可能なデータを付属情報とともに利用者に提示する(ステップS406)。具体的には、健康行動提示部105は、健康行動を特定可能なデータを付属情報とともに利用者20が有する端末装置に送信する。端末装置において、健康行動を特定可能なデータが付属情報とともに画面表示される。以下、端末装置において表示される画面を提示画面という。
【0040】
図6は、利用者20が有する端末装置において表示される提示画面の一例を示す説明図である。図6に示す例では、3つの健康行動のそれぞれに対応するアイコンが表示される。すなわち、この例では、健康行動選択部104によって、スコアが高い順に3つの健康行動が選択される。また、図6に示す例では、健康行動に対応するアイコンとともに、コメントすなわち推薦文も表示される。
【0041】
なお、本実施形態では、比較部103は、健康行動保持部100に格納されている全ての健康行動を対象としてスコアを算出したが、一部の健康行動を対象としてスコアを算出してもよい。一例として、比較部103は、利用者20の健康行動に関連する要件の項目に性別が含まれていた場合、該当する性別を属性として含む健康行動を対象としてスコアを算出する。
【0042】
また、健康行動提案装置10は、健康行動の付属情報の場所の情報をスコアの算出に反映してもよい。例えば、健康行動提案装置10が端末装置の位置情報を入手可能な場合、または、端末装置に場所に関する情報(例えば、図5に例示された居住地のデータ)が入力された場合を想定する。その場合、比較部103は、スコアを算出するときに、「場所」の付属情報を伴う健康行動における場所の内容(すなわち、位置)が、端末装置からの情報(位置情報または場所に関する情報)が示す位置と一致するか、または、端末装置からの情報が示す位置と近接するか否か確認する。双方の場所が一致するか、または、近接している場合には、比較部103は、健康行動のスコアを高くする。
【0043】
また、本実施形態では、健康行動提案装置10が、利用者20が有する端末装置にGUIの表示データ等を送信したが、端末装置が、GUIの枠組みデータや提示画面の枠組みデータ等を有するようにしてもよい。
【0044】
例えば、健康行動提案装置10は、GUIの枠組み(データ未入力の状態のGUI)のデータや提示画面の枠組み(テキストやアイコンが未表示の状態の提示画面)のデータを含み、端末装置がダウンロード可能なアプリケーションプログラム(健康行動提案アプリケーションプログラム)を提供する。端末装置は、あらかじめ、アプリケーションプログラムをダウンロードする。そして、端末装置においてアプリケーションプログラムが起動されると、アプリケーションプログラムは、図5に例示されたような入力画面を端末装置の表示部に表示されるように機能する。利用者20が入力欄にデータを入力しラジオボタンによる選択を行った後、表示部に表示される所定の送信ボタンまたは完了ボタンを押下すると、アプリケーションプログラムは、入力欄に入力されたデータおよびラジオボタンによる選択結果を健康行動提案装置10に送信する。その後、健康行動提案装置10は、上述した処理を実行する。
【0045】
なお、他者が端末装置の位置情報を取得できるように利用者20が端末装置を設定している場合には、健康行動提案装置10は、アプリケーションプログラムを介して、容易に、端末装置の位置情報を入手できる。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態では、健康行動提案装置10は、利用者20の属性や利用者20が認識している課題等に適合する健康行動を利用者20に提示するので、利用者20が提示された健康行動に導かれる可能性を高めることができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、例えば健康行動を実践した経験者による推薦文としてのコメントも利用者20に提示されるので、利用者20が提示された健康行動に導かれる可能性がより高められる。
【0048】
実施形態2.
第2の実施形態では、健康行動として趣味が着目される。また、健康に関して利用者を特徴づける情報すなわち要件として、健康診断等の健康に関する検査における各検査項目の値(測定値、すなわち実測値)が使用される。以下、健康診断等の健康に関する検査の検査項目を、単に、検査項目という。
【0049】
図7は、第2の実施形態の健康行動提案装置の構成の一例を示すブロック図である。図7に示す健康行動提案装置11は、趣味保持部110、実測値入力部111、予測値算出部112、比較部113、趣味選択部114および趣味提示部115を備えている。健康行動提案装置11は、さらに、検査値保持部121および趣味関連度保持部122を備えている。
【0050】
趣味保持部110には、あらかじめ、複数の趣味の各々を特定可能なデータが、その趣味を持つ人に対応して格納される。すなわち、趣味保持部110は、複数の趣味を特定可能なデータを、その趣味を持つ人に対応して記憶する。趣味は、健康の維持、回復および向上に関連する行動であることが好ましい。以下、趣味を特定可能なデータを、単に、趣味ということがある。また、趣味保持部110に格納される趣味は、たとえば、健康行動提案装置11の利用者から収集された趣味であるが、健康行動提案装置11の外部のデータベースから提供された趣味であってもよい。
【0051】
検査値保持部121には、あらかじめ、多数の人の各々の各検査項目の値(検査値)が格納される。すなわち、検査値保持部121は、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を、多数の人の各々に対応して記憶する。検査値は、健康行動提案装置11の利用者から収集された実績値や、健康行動提案装置11の外部のデータベースから提供された実績値である。
【0052】
趣味関連度保持部122には、あらかじめ、趣味保持部110に格納されている趣味の間の関連度が格納される。すなわち、趣味関連度保持部122は、趣味間の関連度を記憶する。趣味関連度保持部122に格納される関連度は、健康行動提案装置11の利用者から収集された趣味に基づいてあらかじめ決定された関連度であるが、健康行動提案装置11の外部のデータベースから提供された趣味に基づいてあらかじめ決定された関連度であってもよい。なお、趣味関連度保持部122には、当然、趣味保持部110に格納されている趣味との関連度が格納されている趣味を持つ人を特定可能なデータも実質的に設定されている。
【0053】
関連度は、複数種類の趣味をどれだけの人が共通して持っているかの程度である。例えば、一の趣味(例えば、「ドライブ」)を持っている人の数に対する、他の趣味(例えば、「サイクリング」)を持っている人の数の割合を、一の趣味と他の趣味との関連度とすることができる。一例として、一の趣味(一例として、「ドライブ」)を持っている人の数(サンプルサイズとする。)が1000人であり、そのうちの他の趣味(例えば、「サイクリング」)を持っている人の数が100人であるとすると、一の趣味と他の趣味との関連度は、0.1である。
【0054】
そして、関連度があらかじめ定められている所定値以上である場合に、関連度が高いとされる。
【0055】
図8は、趣味間の関連度を簡略的に説明するための説明図である。図8に示す例では、人B、人C、人Dの3人のうち、人Bは、「ドライブ」および「サイクリング」の趣味を持つ。人Cは、「フットサル」、「ドライブ」および「サイクリング」の趣味を持つ。人Dは、「ドライブ」および「アウトドア活動」の趣味を持つ。
【0056】
「ドライブ」の趣味を持つ人の数は3人である。そのうち「サイクリング」の趣味を持つ人の数は2人である。よって、「ドライブ」と「サイクリング」との関連度は、2/3=0.67である。3人のうちで「フットサル」の趣味または「アウトドア活動」の趣味を持つ人は1名である。よって、「ドライブ」と「フットサル」との関連度は、1/3=0.33である。「ドライブ」と「アウトドア活動」との関連度は、1/3=0.33である。
【0057】
例えば、関連度が高いか否か判定するための所定値として0.5が用いられる場合には、「ドライブ」と「サイクリング」との関連度は高いといえる。所定値として0.3が用いられる場合には、「ドライブ」と「フットサル」との関連度も高く、「ドライブ」と「アウトドア活動」との関連度も高いといえる。
【0058】
なお、サンプルサイズが大きい(一例として、100以上)趣味を対象として他の趣味との関連度が算出され、サンプルサイズが小さい趣味は関連度の算出の対象から除外されることが好ましい。
【0059】
趣味関連度保持部122には、複数の趣味(図8に示す例では、「ドライブ」、「サイクリング」、「フットサル」および「アウトドア活動」)のそれぞれに対応して、他の趣味(例えば、「ドライブ」に対する「サイクリング」、「フットサル」および「アウトドア活動」)の各々の関連度が設定される。
【0060】
実測値入力部111は、利用者20から、利用者20の各検査項目の実測値を入力する。各検査項目の実測値の一部または全ては、利用者20から直接に入力されるのではなく、他の媒体から取得されてもよい。健康行動提案装置11が、利用者20が有し、少なくとも表示部および入力部を備える端末装置から利用者20の検査項目の実測値を入力する場合、実測値入力部111は、通信回線を介して端末装置からデータを受信する受信機能を含む。また、検査項目の実測値の入力がGUI(Graphical User Interface)で実現される場合には、実測値入力部111は、入力画面の表示データを端末装置に送信する送信機能を含む。
【0061】
予測値算出部112は、各検査項目の将来の値を予測する。すなわち、予測値算出部112は、各検査項目の予測値を算出する。
【0062】
比較部113は、予測値算出部112が算出した予測値が実測値に対して悪化しているか否か判定する。また、比較部113は、予測値が悪化していると判定した検査項目と同じ検査項目について、検査値保持部121に格納されている検査値の将来の値を予測する。すなわち、比較部113は、予測検査値を算出する。さらに、比較部113は、予測検査値が検査値に対して悪化しているか否か判定する。比較部113は、予測検査値が悪化していると判定した検査項目に対応する人(具体的には、検査値保持部121に格納されている当該検査項目に対応する人を表すデータ)を特定する。すなわち、比較部113は、検査値が悪化すると予測される人を特定する。
【0063】
趣味選択部114は、比較部113が特定した人が持つ趣味を、趣味保持部110から読み出す。趣味選択部114は、読み出した趣味を趣味提示部115に出力する。
【0064】
趣味提示部115は、趣味関連度保持部122に格納されている関連度を参照して、趣味選択部114から入力した趣味に関連する趣味を、趣味保持部110から読み出す。なお、趣味提示部115が、趣味関連度保持部122に格納されているデータから、関連する趣味を認識することも可能である。そして、趣味提示部115は、趣味選択部114から入力した趣味を特定可能なデータとその趣味に関連する趣味を特定可能なデータとを利用者20に提示する。健康行動提案装置11が、利用者20が有する端末装置を介して趣味を特定可能なデータを利用者20に提示する場合には、趣味提示部115は、データを端末装置に送信する送信機能を含む。趣味提示部115の送信機能は、上述した実測値入力部111の送信機能と兼用されてもよい。
【0065】
以下、比較部113が特定した人が持つ趣味とその趣味に関連する趣味とを関連趣味という。すなわち、関連趣味には、比較部113が特定した人が持つ趣味とその趣味に関連する趣味とが含まれる。なお、一の趣味に関連する趣味は、一の趣味との関連度が高い趣味を意味する。
【0066】
次に、図9のフローチャートを参照して健康行動提案装置11の動作を説明する。利用者20が、自身の端末装置から健康行動提案装置11に各検査項目の実測値を送信し、少なくとも表示部および入力部を備える端末装置を介して健康行動提案装置11から趣味の提示を受ける場合を例にする。
【0067】
実測値入力部111は、利用者20から、利用者20の各検査項目の実測値を入力する(ステップS501)。実測値入力部111は、GUIを介して実測値を入力する場合には、例えば、入力のための画面(入力画面)を表示するための表示データを利用者20の端末装置に送信する。
【0068】
利用者20の端末装置には、図10に例示するような入力画面が表示される。画面には、各検査項目の実測値に対応する入力欄が表示される。利用者20は、入力欄に、利用者自身に関するデータを入力する。
【0069】
図10は、第2の実施形態における利用者が有する端末装置に表示される入力画面の一例を示す説明図である。図10に示す例では、検査項目として、生活習慣病に関連する、空腹時血糖、HbA1c 、収縮期血圧、拡張期血圧、中性脂肪、HDL(High Density Lipoprotein)コレステロール、LDL(Low Density Lipoprotein )コレステロール、および腹囲が例示されている。例えば、健康診断などで中性脂肪の測定値が100[mg/dl]であった場合、利用者20は、中性脂肪の記入欄に100を入力する。なお、図10には、生活習慣病に関連する検査項目が例示されているが、生活習慣病に直結しない検査項目が含まれていてもよい。
【0070】
入力画面における入力欄に入力されたデータは、健康行動提案装置11に送信される。図10に例示されたような入力画面を使用する場合には、実測値入力部111は、ステップS501の処理で、端末装置に入力されたデータを受信することによって実測値を入力する。
【0071】
予測値算出部112は、実測値入力部111に入力された実測値から予測値を算出する(ステップS502)。予測値は、例えば、利用者20の実測値が得られたときから1年後の予測される値や、3年後の予測される値である。予測値算出部112は、例えば、あらかじめ得られている1つの予測式を用いて予測値を算出する。予測式として、AI(Artificial Intelligence )を利用して得られた式が利用されてもよい。また、予測値算出部112は、異種混合学習で得られた複数の予測式のうちの最適な予測式を選択して使用してもよい。
【0072】
予測値算出部112は、各検査項目に関して、実測値と予測値とを比較する。そして、予測値算出部112は、実測値に対して予測値が悪化している検査項目を抽出する(ステップS503)。例えば、値が増加すると悪化していることになる検査項目については、悪化しているか否かは、増加率または増加値があらかじめ決められている所定の率または値を越えているか否かによって判定される。値が減少すると悪化していることになる検査項目については、悪化しているか否かは、減少率または減少値があらかじめ決められている所定の率または値を越えているか否かによって判定される。予測値算出部112は、抽出した検査項目を比較部113に出力する。
【0073】
比較部113は、予測値算出部112が抽出した検査項目が設定されている人(利用者20に対する他者)の当該検査項目の検査値を検査値保持部121から読み出す(ステップS504)。比較部113は、読み出した他者の検査値の予測値(予測検査値)を算出する(ステップS505)。算出の仕方は、予測値算出部112が行う算出の仕方と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0074】
さらに、比較部113は、検査値と予測検査値とを比較する。そして、予測値算出部112は、検査値に対して予測検査値が悪化しているか否か判定する。すなわち、検査値に対して予測検査値が悪化していることになる他者を特定する(ステップS506)。悪化していないと判定した場合には、当該検査値に対応する他者に関する情報は、以降の処理において使用されない。なお、検査値に対して予測検査値が悪化しているか否かの判定の仕方は、予測値算出部112の実測値と予測値とに関する判定の仕方と同じである。
【0075】
比較部113は、特定した他者を示すデータを趣味選択部114に出力する。なお、複数の他者が特定された場合には、比較部113は、全ての他者を示すデータを趣味選択部114に出力してもよいが、悪化の程度が利用者20の悪化の程度に近い1人または複数人の他者を示すデータを趣味選択部114に出力してもよい。
【0076】
趣味選択部114は、比較部113から入力したデータが示す他者の趣味を、趣味保持部110から抽出する(ステップS507)。また、趣味選択部114は、趣味関連度保持部122から、趣味保持部110から抽出した趣味と関連する趣味を抽出する(ステップS508)。趣味選択部114は、趣味保持部110から抽出した趣味と当該趣味と関連する趣味とを、関連趣味として趣味提示部115に出力する。趣味選択部114は、各々の関連趣味の関連度も趣味提示部115に出力する。
【0077】
なお、関連趣味の数が多い場合には、趣味選択部114は、関連度が高い1つまたは複数の関連趣味を選択して趣味提示部115に出力してもよい。趣味保持部110から抽出された趣味の関連度は、1.0で最も高いと見なされる。
【0078】
なお、比較部113は、全ての他者を示すデータを趣味選択部114に出力するように構成されている場合に、比較部113が複数の他者を示すデータを趣味選択部114に出力したときに、趣味選択部114は、趣味保持部110から複数の他者の趣味を抽出する。そして、趣味選択部114は、抽出した趣味のうち、最も多くの他者が共通して持つ趣味と当該趣味と関連する趣味とを、関連趣味として趣味提示部115に出力する。健康状態が近い人は同程度で健康になりたいという願望を持つと考えられるので、最も多くの他者が共通して持つ趣味は、それらの人々が健康改善のために実行している可能性が高く、利用者20が健康改善のために持つべき趣味としてより適切であると考えられる。
【0079】
また、比較部113から複数の他者を示すデータが入力されたときに、趣味保持部110から複数の趣味が抽出された場合に、趣味選択部114は、抽出されたすべての趣味を趣味提示部115に出力してもよい。
【0080】
趣味提示部115は、関連趣味を特定可能なデータを利用者に提示する(ステップS509)。具体的には、趣味提示部115は、関連趣味を特定可能なデータを関連度とともに利用者20が有する端末装置に送信する。端末装置において、関連趣味を特定可能なデータが、関連度が高い順で画面表示される。以下、端末装置において表示される画面を提示画面という。
【0081】
なお、趣味選択部114は、趣味保持部110から抽出した趣味のみを趣味提示部115に出力してもよい。その場合には、趣味提示部115は、趣味保持部110から抽出した趣味のみを利用者20が有する端末装置に送信する。
【0082】
図11は、利用者20が有する端末装置において表示される提示画面の一例を示す説明図である。図11に示す例では、3つの趣味のそれぞれに対応するアイコンが表示される。すなわち、この例では、趣味選択部114によって、関連度が高い順に3つの関連趣味が、実際に提示される関連趣味として選択されている。
【0083】
なお、図11に示す例では、趣味に対応するアイコンとともに、コメントすなわち推薦文も表示されるが、本実施形態では、推薦文は表示されなくてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、健康行動提案装置11は、趣味保持部110から抽出された趣味と、その趣味と関連度が高い趣味とを利用者20に提示したが、すなわち、関連度が高い順で趣味を利用者20に提示したが、健康状態が改善する効果が高い順で趣味を利用者20に提示してもよい。
【0085】
健康状態が改善する効果が高い順で趣味を利用者20に提示する場合、例えば、趣味選択部114は、趣味も学習データに含められたAIを利用して得られた予測式を使用して、関連趣味を持つ人の検査項目の検査値の予測値を算出する。趣味選択部114は、予測値が検査値に対して改善しているか否か判定する。例えば、値が減少すると改善していることになる検査項目については、改善しているか否かは、減少率または減少値があらかじめ決められている所定の率または値を越えているか否かによって判定される。さらに、趣味選択部114は、検査値が改善すると判定した場合には、関連趣味を趣味提示部115に出力するとともに、改善の程度(減少率または減少値の大きさ)を趣味提示部115に出力する。なお、上記のような改善しているか否かの判定方法は一例であって、改善の程度を算出可能な他の方法が用いられてもよい。
【0086】
趣味提示部115は、関連趣味を特定可能なデータを改善の程度とともに利用者20が有する端末装置に送信する。端末装置において、関連趣味を特定可能なデータが、改善の程度が高い順で画面表示される。
【0087】
なお、本実施形態では、健康行動提案装置11が、利用者20が有する端末装置にGUIの表示データ等を送信したが、端末装置が、GUIの枠組みデータや提示画面の枠組みデータ等を有するようにしてもよい。
【0088】
例えば、健康行動提案装置11は、GUIの枠組みのデータや提示画面の枠組みのデータを含み、端末装置がダウンロード可能なアプリケーションプログラムを提供する。端末装置は、あらかじめ、アプリケーションプログラムをダウンロードする。そして、端末装置においてアプリケーションプログラムが起動されると、アプリケーションプログラムは、図10に例示されたような入力画面を端末装置の表示部に表示されるように機能する。利用者20が入力欄にデータ(実測値)を入力した後、表示部に表示される所定の送信ボタンまたは完了ボタンを押下すると、アプリケーションプログラムは、入力欄に入力されたデータを健康行動提案装置11に送信する。その後、健康行動提案装置11は、上述した処理を実行する。
【0089】
なお、アプリケーションプログラムに、例えば「健康行動のためのお薦め趣味」といったアプリケーション名が付されることによって、利用者20は、提示される趣味が健康改善につながる蓋然性があることを認識できる。また、趣味提示部115は、図11に例示されたような提示画面において健康行動のための趣味であることが謡われたコメント(推薦文に相当)も表示されるような表示データを作成して、端末装置に送信してもよい。その場合には、利用者20は、提示された趣味が健康改善につながることをより容易に認識できる。
【0090】
以上に説明したように、本実施形態では、健康行動提案装置11は、利用者20と同様に検査項目の値が悪化すると予測される他者が持つ趣味およびその趣味に関連する趣味を利用者20に提示するので、利用者20が提示された趣味に導かれる可能性を高めることができる。なお、利用者20と同様に検査項目の値が悪化すると予測される他者は、健康行動として趣味を実践している蓋然性があると考えられる。また、検査項目の値が悪化すると予測される他者が持つ趣味に関連する趣味も、ある程度利用者20の健康改善につながると考えられる。
【0091】
また、健康行動提案装置11は、健康状態が利用者20の健康状態に近い他者の趣味を提示することによって、利用者20の健康状態を改善する願望に沿い、かつ、健康に効果のある趣味を提案することができる。なお、健康行動提案装置11を利用する者は、健康状態を改善する願望を有していると考えられる。
【0092】
上記の各実施形態における各機能(各処理)を、CPU(Central Processing Unit )等のプロセッサやメモリ等を有するコンピュータで実現可能である。例えば、記憶装置(記憶媒体)に上記の実施形態における方法(処理)を実施するための健康行動提案プログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納された健康行動提案プログラムをCPUで実行することによって実現してもよい。
【0093】
図12は、CPUを有する情報処理装置(コンピュータ)の一例を示すブロック図である。CPU700は、記憶装置701に格納された健康行動提案プログラムに従って処理を実行することによって、上記の各実施形態における各機能を実現する。すなわち、コンピュータは、図1図7に示された要件入力部101、比較部103、健康行動選択部104、健康行動提示部105、実測値入力部111、予測値算出部112、比較部113、趣味選択部114および趣味提示部115の機能を実現する。
【0094】
記憶装置701は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium )である。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium )を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の具体例として、磁気記録媒体(例えば、ハードディスク)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、CD-R(Compact Disc-Recordable )、CD-R/W(Compact Disc-ReWritable )、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM )、フラッシュROM)がある。
【0095】
記憶装置701は、図1図7に示された健康行動保持部100、趣味保持部110、検査値保持部121および趣味関連度保持部122として利用可能である。
【0096】
また、健康行動提案プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium )に格納されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体には、例えば、有線通信路または無線通信路を介して、すなわち、電気信号、光信号または電磁波を介して、健康行動提案プログラムが供給される。
【0097】
メモリ702は、例えばRAM(Random Access Memory)で実現され、CPU700が処理を実行するときに一時的にデータを格納する記憶手段である。メモリ702に、記憶装置701または一時的なコンピュータ可読媒体が保持する健康行動提案プログラムが転送され、CPU700がメモリ702内の健康行動提案プログラムに基づいて処理を実行するような形態も想定しうる。
【0098】
次に、本発明の概要を説明する。図13は、本発明による健康行動提案装置の主要部を示すブロック図である。健康行動提案装置800(例えば、健康行動提案装置10,11)は、複数の健康行動の各々を特定可能なデータを記憶する健康行動記憶部(健康行動記憶手段)801(実施形態では、健康行動保持部100または趣味保持部110で実現される。)と、健康に関して利用者を特徴づける複数の要件のいずれかに対応する健康状態の改善に貢献する健康行動を健康行動記憶部801から抽出する抽出部(抽出手段)802(実施形態では、比較部103と健康行動選択部104、または、予測値算出部112と比較部113と趣味選択部114とで実現される。)と、抽出部802が抽出した健康行動を利用者に提示する提示部(提示手段)803(実施形態では、健康行動提示部105または趣味提示部115で実現される。)とを備えている。
【0099】
また、健康行動提案装置800は、健康行動記憶部801(実施形態では、健康行動保持部100で実現される。)に、複数の健康行動の各々の複数の属性が健康行動に対応して記憶され、抽出部802(実施形態では、比較部103と健康行動選択部104とで実現される。)が、複数の要件と各々の健康行動の複数の属性とを比較することによって、利用者の健康状態と健康行動との関連性の程度(例えば、スコア)を算出し、関連性の程度が高い1つまたは複数の健康行動を抽出するように構成されていてもよい。
【0100】
また、健康行動提案装置800は、健康行動記憶部801(実施形態では、趣味保持部110で実現される。)に、複数の趣味が、趣味を持つ人に対応して記憶され、健康に関する検査における複数の検査項目の検査値を、複数の人の各々に対応して記憶する検査値記憶部(実施形態では、検査値保持部121で実現される。)とを含み、抽出部802(実施形態では、予測値算出部112と比較部113と趣味選択部114とで実現される。)が、利用者の健康に関する検査における測定値(例えば、実測値)から将来の値を予測する測定値予測部(実施形態では、予測値算出部112で実現される。)を含み、測定値予測部が予測した将来の値が測定値に対して悪化する検査項目を特定し、特定された検査項目の検査値が悪化することになる人(具体的には、人を表すデータ)を検査値記憶部から抽出し、抽出された人(具体的には、抽出されたデータが表す人)が持つ趣味を健康行動記憶部801から抽出し、提示部803が、健康行動としての趣味を利用者に提示するように構成されていてもよい。
【0101】
以上、本実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0102】
この出願は、2020年4月3日に出願された日本特許出願2020-067402を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0103】
10,11 健康行動提案装置
20 利用者
100 健康行動保持部
101 要件入力部
103 比較部
104 健康行動選択部
105 健康行動提示部
110 趣味保持部
111 実測値入力部
112 予測値算出部
113 比較部
114 趣味選択部
115 趣味提示部
121 検査値保持部
122 趣味関連度保持部
700 CPU
701 記憶装置
702 メモリ
800 健康行動提案装置
801 健康行動記憶部
802 抽出部
803 提示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13